説明

電子機器、電子機器システム及び画像処理方法

【課題】送信対象のデータの処理負荷を低減することができる電子機器を提供する。
【解決手段】PC100であって、画像データを読み出す読出部131と、使用者による操作を受け付けて、読出部131が読み出した画像データを電気通信回線150を介して他の電子機器に送信する送信部132と、読出部131が読み出した画像データに対して画像処理を行う第一の画像処理部133と、ムービーカメラ120に備えられ撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行う第二の画像処理部141が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して第二の画像処理部141に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを送信部132に送信させ、第二の画像処理部141が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して第一の画像処理部133に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを送信部132に送信させる制御部134とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に、撮像装置に接続可能であり、画像データの処理及び送信が可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
動画撮影が可能なデジタルカメラを接続した複数のPC(Personal Computer)を、インターネットネットワークを介して接続し、ビデオ会議システムを構築する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたPCは、ビデオ会議用のプログラムが格納されており、デジタルカメラが接続されたことを検知し、かつ双方向通信可能に接続されたことを検知すると、ビデオ会議用プログラムを自動起動する。そして、当該PCは、通話するために双方のデジタルカメラで撮影した動画を、双方のPCディスプレイに表示する。これにより、特許文献1に開示されたPCによれば、複雑な操作を要することなく、使用者が簡単にビデオ会議に参加することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−238040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、使用者が通信中の他者に対して、フルハイビジョン動画データのような高容量の画像データを送信したいとき、当該送信対象の画像データを送信に適する形式に処理する必要がある。
【0006】
しかしながら、汎用の演算処理部にてソフトウェアを用いて処理を実行する従来の電子機器においては、高容量の画像データを処理するのに大きな負荷がかかるという課題がある。このため、従来の電子機器は、当該送信対象の画像データの処理に多大な時間を要するなど、使用者にとって使い勝手の良いものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、送信対象の画像データの処理負荷を低減することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電子機器は、撮像装置に接続可能な電子機器であって、画像データを読み出す読出部と、使用者による操作を受け付けて、前記読出部により読み出された画像データを、電気通信回線を介して他の電子機器に送信する送信部と、前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う第一の画像処理部と、前記撮像装置に備えられた第二の画像処理部であって、前記撮像装置で撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行うための第二の画像処理部が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して、前記第二の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させ、前記第二の画像処理部が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して、前記第一の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させる制御部とを備える。
【0009】
これによれば、撮像装置に備えられた第二の画像処理部が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して第二の画像処理部に画像処理を行わせ、第二の画像処理部が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して第一の画像処理部に画像処理を行わせる。ここで、テレビ会議等の電気通信回線を介したコミュニケーションサービスを利用可能な状態においては、電子機器に撮像装置が接続されて使用されるため、電子機器の制御部に撮像装置の第二の画像処理部が接続される。これにより、第二の画像処理部に画像処理を行わせることができるため、第一の画像処理部が行う処理の負荷を低減することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記制御部は、前記送信部が前記読出部により読み出された画像データを送信していないときは、前記撮像装置が撮像して前記第二の画像処理部で画像処理が行われた画像データを前記送信部に送信させる。
【0011】
これによれば、送信部が読出部により読み出された画像データを送信していないときは、撮像装置が撮像して第二の画像処理部で画像処理が行われた画像データを送信部に送信させる。このため、撮像装置に撮像された画像データと、読出部により読み出された画像データとの送信をスムーズに実行することができる。
【0012】
また、本発明は、このような電子機器として実現することができるだけでなく、当該電子機器と撮像装置とを備える電子機器システムとして実現することもできる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る電子機器システムにおいて、好ましくは、前記撮像装置は、さらに、被写体を撮像する撮像部を備え、前記第二の画像処理部は、前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う場合には、当該画像処理を行った後の画像データを前記制御部に送信し、前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行わない場合には、前記撮像部が撮像して得られた画像データに対して画像処理を行い、当該画像処理を行った後の画像データを前記制御部に送信する。
【0014】
これによれば、第二の画像処理部は、読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う場合には、当該画像処理を行い、読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行わない場合には、撮像部が撮像して得られた画像データに対して画像処理を行う。つまり、1つの第二の画像処理部で、読出部により読み出された画像データに対しても撮像部が撮像して得られた画像データに対しても画像処理を行うことができ、第一の画像処理部が行う処理の負荷を低減することができる。
【0015】
また、本発明は、このような電子機器が備える各処理部が行う処理をステップとする画像処理方法として実現することもできる。また、当該画像処理方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。また、電子機器に含まれる特徴的な処理部を備える集積回路として実現したりすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送信対象の画像データの処理負荷を低減することができる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかるPCを備える電子機器システムの全体構成を示す図
【図2】実施の形態1にかかるPCの機能構成を示すブロック図
【図3】実施の形態1にかかる複数の電子機器システムを備えたテレビ会議システムの構成を示す図
【図4】実施の形態1にかかる液晶ディスプレイが表示する送信画面を示すイメージ図
【図5】実施の形態1にかかる送信操作を開始した後の第一の演算処理部の処理動作を示すフローチャート
【図6】実施の形態1の他の実施の形態にかかる集積回路を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施の形態1〕
実施の形態1に係るPC100は、エンコード処理を施すことができる第二の演算処理部122が接続されているときは、送信対象の動画像データに対して、第二の演算処理部122でエンコード処理を施して送信する。また、第二の演算処理部122は、PC100に外部接続されるムービーカメラ120に搭載されており、第一の演算処理部101は、送信モジュール110がHDD104に格納された動画像データを送信していないときは、ムービーカメラ120が撮像した動画像データを送信するよう送信モジュール110を制御する。
【0019】
以下、図を用いて、PC100のシステムの構成および動作について詳細に説明する。
【0020】
[1.システムの構成]
まず、PC100のシステムの構成について図1を用いて説明する。図1は、PC100を備える電子機器システム10の全体構成を示す図である。
【0021】
PC100は、第一の演算処理部101、システム管理メモリ102、ワークメモリ103、HDD104、マウス105、キーボード106、USBコネクタ107、表示デバイス108、液晶ディスプレイ109、送信モジュール110、及びムービーカメラ120を備えている。
【0022】
第一の演算処理部101は、PC100上の処理を実行する処理部である。第一の演算処理部101は、システム管理メモリ102、ワークメモリ103、HDD104、USBコネクタ107、表示デバイス108、及び送信モジュール110に電気的に接続されている。
【0023】
そして、第一の演算処理部101は、USBコネクタ107を介して、マウス105またはキーボード106を用いての使用者の操作情報を受け付ける。また、第一の演算処理部101は、HDD104に格納されている動画像データや、画像処理ソフトを読み出すことができる。
【0024】
また、第一の演算処理部101は、読み出した画像処理ソフトに従って、読み出した動画像データをエンコード処理することができる。ここで、第一の演算処理部101は、汎用機能を実行するために汎用的な電気回路から構成されており、画像処理ソフトを読み出すことで、エンコード処理をソフトウェアにより実現することができる。
【0025】
また、第一の演算処理部101は、USBコネクタ107を介して、ムービーカメラ120との間で動画像データの送受信が可能である。また、第一の演算処理部101は、USBコネクタ107を介して、ムービーカメラ120に対して制御要求信号を送信したり、制御応答信号を受信したりする。
【0026】
また、第一の演算処理部101は、電気通信回線(インターネット)150を介して、動画像データを、他のPCに送信するよう送信モジュール110を制御する。また、図示していないが、第一の演算処理部101は、PC100の各部に供給される電力等のシステムを全体的に制御している。
【0027】
システム管理メモリ102は、OS(オペレーションシステム)などが保持されているメモリである。
【0028】
ワークメモリ103は、第一の演算処理部101が各種処理動作を実行するために必要な情報を一時的に格納するメモリである。
【0029】
HDD104は、動画像データなどを格納する大容量の記録媒体である。また、HDD104は、画像処理ソフトの実行ファイルを格納している。上述したように、HDD104に格納された動画像データまたは画像処理ソフトは、適宜第一の演算処理部101により読み出される。
【0030】
マウス105は、使用者による操作を受け付けるポインティングデバイスである。使用者は、マウス105を操作することにより、液晶ディスプレイ109に表示された送信画面上において、動画像データを選択操作することができる。また、使用者は、マウス105を操作することにより、選択した動画像データを送信対象のデータとして、他のPCに送信操作することができる。
【0031】
キーボード106は、使用者が文字入力などを行う、キーボードデバイスである。使用者は、動画像データの送信時に、必要に応じて、動画像データ等に文字入力をすることができる。
【0032】
USBコネクタ107は、マウス105とキーボード106、およびムービーカメラ120をPC100に接続するためのコネクタである。
【0033】
表示デバイス108は、第一の演算処理部101で演算された画面情報を映像化するデバイスであり、画面情報を液晶ディスプレイ109に伝える。
【0034】
液晶ディスプレイ109は、表示デバイス108で映像化した画面情報を表示する表示デバイスである。
【0035】
送信モジュール110は、第一の演算処理部101から受け取った動画像データを、電気通信回線150を介して、他のPCに送信することができる。送信モジュール110は、例えば、有線LAN(Local Area Network)や、無線LANにより実現することが可能である。
【0036】
続いて、ムービーカメラ120の構成について、図1を用いて説明する。ムービーカメラ120は、撮像部121と、第二の演算処理部122と、USBコネクタ123とを有している。
【0037】
撮像部121は、被写体を撮像する部位であり、図示していないが、光学系、撮像センサ等により構成されている。撮像部121は、リアルタイム映像を撮影することができる。
【0038】
第二の演算処理部122は、撮像部121で撮影されたリアルタイム映像に対して、エンコード処理などの画像処理を行う。そして、第二の演算処理部122は、処理後のリアルタイム映像を、USBコネクタ123を介して、第一の演算処理部101に供給する。
【0039】
また、第二の演算処理部122は、USBコネクタ123を介して、PC100から転送された動画像データをエンコード処理する。そして、第二の演算処理部122は、処理後の動画像データを、USBコネクタ123を介して、第一の演算処理部101に供給する。
【0040】
ここで、第二の演算処理部122は、画像処理を専用に実行するための専用の電気回路を有しており、エンコード処理をハードウェアにより実現することができる。すなわち、ソフトウェアにより実現する第一の演算処理部101に比べて、ハードウェアにより実現する第二の演算処理部122の方が、動画像データのエンコード処理能力が高い。そのため、ムービーカメラ120が、PC100に接続されているときは、第一の演算処理部101は、第二の演算処理部122にアクセス可能な状態になるため、動画像データのエンコード処理を第二の演算処理部122に実行させることが可能となる。
【0041】
これにより、PC100は、ムービーカメラ120が接続されているときは、動画像データの処理負荷が低減されるので、効率よく動画像データのエンコード処理を完了させ、他のPCに効率よくエンコード処理後の動画像データを送信することができる。
【0042】
また、第一の演算処理部101は、汎用的な電気回路により構成されており、実行したい機能のソフトウェアを読み込むことで、エンコード処理以外の処理も実行することができる。すなわち、第一の演算処理部101は、エンコード処理以外にも、送受信処理や、表示処理等を実行している。
【0043】
このため、エンコード処理の専用回路を有する第二の演算処理部122が接続されたときは、第一の演算処理部101は、エンコード処理に関する仕事を第二の演算処理部122に担当させることができ処理負荷が低減されるため、PC100は、他の処理内容との並列処理を勘案しても、トータルで効率よく動画像データのエンコード処理を完了させることができる。
【0044】
また、第二の演算処理部122は、動画像データのエンコード処理および、撮像したリアルタイム映像の処理といった、画像処理を専属的に実行することが可能である。そのため、第二の演算処理部122を有するムービーカメラ120がPC100に接続されているときは、第一の演算処理部101は、これらの画像処理を第二の演算処理部122に委譲することで、送信処理等の他の処理に集中することができる。従って、PC100は、ムービーカメラ120が接続されているときは処理負荷が低減されるので、他の処理内容との並列処理を勘案しても、トータルで効率よく動画像データのエンコード処理を完了させることができる。
【0045】
USBコネクタ123は、ムービーカメラ120をPC100に接続するためのコネクタである。ここで、PC100のUSBコネクタ107とムービーカメラ120のUSBコネクタ123とは、USBケーブル等により接続されている。尚、この実施形態は一例であり、PC100とムービーカメラ120とは、他の有線接続方法であっても、無線接続方法であっても、本発明には適用可能である。
【0046】
次に、PC100の機能的な構成について説明する。
【0047】
図2は、実施の形態1にかかるPC100の機能構成を示すブロック図である。
【0048】
同図に示すように、PC100は、読出部131、送信部132、第一の画像処理部133及び制御部134の機能を有している。また、ムービーカメラ120は、ムービーカメラ120で撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行うための第二の画像処理部141の機能を有している。
【0049】
読出部131は、動画像データなどの画像データを、HDD104から読み出す処理部である。
【0050】
送信部132は、使用者による操作を受け付けて、読出部131により読み出された画像データを、電気通信回線150を介して他の電子機器に送信する処理部である。また、送信部132は、ムービーカメラ120で撮像されて第二の画像処理部141で画像処理された画像データについても、他の電子機器に送信する。つまり、送信部132は、第一の画像処理部133または第二の画像処理部141から受け取った画像データを、他の電子機器に送信する。なお、送信部132は、送信モジュール110の機能を有する処理部である。
【0051】
第一の画像処理部133は、読出部131により読み出された画像データに対して、エンコード処理などの画像処理を行う処理部である。
【0052】
制御部134は、第二の画像処理部141が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して、第二の画像処理部141に画像処理を行わせて、画像処理後の画像データを送信部132に送信させる。
【0053】
また、制御部134は、第二の画像処理部141が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して、第一の画像処理部133に画像処理を行わせて、画像処理後の画像データを送信部132に送信させる。
【0054】
また、制御部134は、送信部132が読出部131により読み出された画像データを送信していないときは、ムービーカメラ120が撮像して第二の画像処理部141で画像処理が行われた画像データを送信部132に送信させる。
【0055】
ここで、読出部131、第一の画像処理部133及び制御部134は、第一の演算処理部101の汎用的な電気回路が所定のソフトウェアを実行することにより実現される。
【0056】
また、第二の画像処理部141は、読出部131により読み出された画像データに対して画像処理を行う場合には、当該画像処理を行った後の画像データを制御部134に送信する。また、第二の画像処理部141は、読出部131により読み出された画像データに対して画像処理を行わない場合には、ムービーカメラ120の撮像部121が撮像して得られた画像データに対して画像処理を行い、当該画像処理を行った後の画像データを制御部134に送信する。
【0057】
ここで、第二の画像処理部141は、第二の演算処理部122のエンコード処理の専用回路により実現される。
【0058】
図3は、実施の形態1にかかる複数の電子機器システム10A及び10Bを備えたテレビ会議システムの構成を示す図である。つまり、同図は、2つのPC100A及び100Bを電気通信回線150で接続した際のイメージ図である。
【0059】
ここで、PC100AとPC100Bとは、上述したPC100の構成と同等の構成を有している。また、PC100AとPC100Bには、ムービーカメラ120Aとムービーカメラ120Bとがそれぞれ接続されている。また、PC100AとPC100Bは、それぞれが有する送信モジュール110を介して、電気通信回線150に接続されている。
【0060】
このため、PC100AとPC100Bは、コミュニケーションサービスを実行するためのソフトウェアを起動させることで、電気通信回線150を介してコミュニケーションサービスを利用可能な状態にすることができる。以下の説明においては、PC100は、他のPCと電気通信回線150を介して、コミュニケーションサービスが利用可能な状態に設定されているとして説明する。
【0061】
[2.特許請求の範囲の記載との対応関係]
PC100は、特許請求の範囲に記載の「電子機器」の一例である。ムービーカメラ120は、特許請求の範囲に記載の「撮像装置」の一例である。
【0062】
[3.送信画面の構成]
続いて、液晶ディスプレイ109が表示する送信画面の構成について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態1にかかる液晶ディスプレイ109が表示する送信画面を示すイメージ図である。
【0063】
同図に示すように、液晶ディスプレイ109に表示される送信画面は、コミュニケーションサービス用のウィンドウ200、及び動画像データを格納したフォルダのウィンドウ210等から構成される。
【0064】
コミュニケーションサービス用のウィンドウ200は、PC100に接続されているムービーカメラ120により撮像されているリアルタイム映像や、HDD104に格納されている動画像データを表示又は送信するときに、使用者が参照するウィンドウである。ここで、コミュニケーションサービス用のウィンドウ200は、子画面201A、子画面201B等から構成されている。
【0065】
子画面201Aと子画面201Bは、リアルタイム映像や動画像データを表示する画面である。コミュニケーションサービスを利用している状態において、例えば、子画面201Aは、他のPCに接続されたムービーカメラの撮像によるリアルタイム映像を表示し、子画面201Bは、自身に接続されたムービーカメラ120の撮像によるリアルタイム映像を表示するようにしてもよい。あるいは、子画面201Aは、他のPCに接続されたムービーカメラの撮像によるリアルタイム映像を表示し、子画面201Bは、HDD104に格納された動画像データを表示するようにしてもよい。
【0066】
動画像データを格納したフォルダのウィンドウ210は、送信するための動画像データを表示するウィンドウである。同図に示すように、動画像データを格納したフォルダのウィンドウ210には、動画像データ211A、動画像データ211Bというように、複数の動画像データが表示される。動画像データを格納したフォルダのウィンドウ210に表示される動画像データは、HDD104に格納された動画像データの全てでもよいし、特定のフォルダに格納された動画像データのみを選択的に抽出したものでもよい。
【0067】
使用者は、マウス105を操作することにより、動画像データを格納したフォルダのウィンドウ210に表示された動画像データを選択することができる。このとき、送信画面上に重畳表示されたマウスカーソル220を、マウス105の操作により所望の動画像データ上に移動させて、マウス105をクリックすることで、その動画像データを選択することができる。また、マウスカーソル220を複数の所望の動画像データを囲む領域の対角線上に移動させることで、その複数の動画像データを領域選択することもできる。
【0068】
次に、送信画面上での、使用者の送信操作の概要を説明する。
【0069】
使用者は、マウス105を使って、動画像データを格納したフォルダのウィンドウ210に配置された動画像データ(例えば、動画像データ211A)を選択し、コミュニケーションサービス用のウィンドウ200にドラッグ&ドロップする。そして、第一の演算処理部101は、ドラッグ&ドロップされた動画像データを処理し、送信モジュール110を介して、処理後の動画像データを送信する。以下の説明において、使用者が選択した動画像データ211Aについて、第一の演算処理部101による処理内容の詳細を説明する。
【0070】
[4.システムの動作]
続いて、使用者の送信操作に応じて、第一の演算処理部101が行う処理について、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態1にかかる送信操作を開始した後の第一の演算処理部101の処理動作を示すフローチャートである。
【0071】
他のPCへの送信対象とする動画像データを使用者が選択したら、第一の演算処理部101は、USBコネクタ107を介して、第二の演算処理部122を有するムービーカメラ120が接続されているか否かを判定する(S400)。
【0072】
第一の演算処理部101は、第二の演算処理部122を有するムービーカメラ120が接続されていれば(S400でYes)、ステップS401に進み、接続されていなければ(S400でNo)、ステップS405に進む。
【0073】
まず、ステップS401のムービーカメラ120が接続されている場合について説明する。第一の演算処理部101は、HDD104に格納された動画像データ211Aを読み出す(S401)。
【0074】
そして、第一の演算処理部101は、読み出した動画像データ211Aを、USBコネクタ107を介して、第二の演算処理部122に転送する(S402)。動画像データ211Aを受信した第二の演算処理部122は、専用の画像処理回路を用いて、動画像データ211Aをハードウェアによりエンコード処理する。
【0075】
第二の演算処理部122によるエンコード処理が完了すると、第一の演算処理部101は、処理後の動画像データを受け取る(S403)。
【0076】
そして、第一の演算処理部101は、送信モジュール110を介して、受け取った処理後の動画像データを、他のPCに対して送信する(S404)。
【0077】
次に、ステップS405のムービーカメラ120が接続されていない場合について説明する。まず、第一の演算処理部101は、HDD104に格納された画像処理ソフトを読み出す(S405)。
【0078】
続いて、第一の演算処理部101は、HDD104に格納された動画像データ211Aを読み出す(S406)。
【0079】
そして、第一の演算処理部101は、ステップS405にて読み出した画像処理ソフトを用いて、動画像データ211Aに対してエンコード処理を行う(S407)。
【0080】
当該エンコード処理が完了した後、第一の演算処理部101は、送信モジュール110を介して、処理後の動画像データを他のPCに対して送信する(S404)。
【0081】
以上の実施形態の説明では、使用者が単一の動画像データ211Aを選択した場合について説明してきたが、使用者が複数の動画像データを選択した場合であっても、本発明は適用可能である。すなわち、第一の演算処理部101は、使用者が選択した複数の動画像データのそれぞれについて上記の動作を行うことができる。第一の演算処理部101は、この処理動作を複数の動画像データに対して並列的に行っても良いし、1つ1つの動画像データについて順番に行っても良い。
【0082】
ここで、ムービーカメラ120が接続されており、ステップS401から送信処理を開始した後であって送信処理が完了する前に、ムービーカメラ120の接続が解除された場合について、以下に説明する。
【0083】
第一の演算処理部101は、ムービーカメラ120の接続が解除された旨を確認した後、送信処理を一旦停止し、ステップS405から送信処理に処理フローを切り替える。これにより、送信処理中にムービーカメラ120の接続が解除された場合であっても、第一の演算処理部101は、送信処理を続行することができる。
【0084】
[5.まとめ]
以上説明したように、本実施の形態に係るPC100は、ムービーカメラ120に接続可能な電子機器であって、画像データを読み出す読出部131と、使用者による操作を受け付けて、読出部131により読み出された画像データを、電気通信回線150を介して他の電子機器に送信する送信部132と、読出部131により読み出された画像データに対して画像処理を行う第一の画像処理部133と、ムービーカメラ120に備えられた第二の画像処理部141であって、ムービーカメラ120で撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行うための第二の画像処理部141が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して、第二の画像処理部141に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを送信部132に送信させ、第二の画像処理部141が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して、第一の画像処理部133に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを送信部132に送信させる制御部134とを備える。
【0085】
これにより、PC100は、ムービーカメラ120に備えられた第二の画像処理部141が接続されている場合には、送信対象の動画像データに対して第二の画像処理部141に画像処理を行わせ、第二の画像処理部141が接続されていない場合には、送信対象の動画像データに対して第一の画像処理部133に画像処理を行わせる。ここで、テレビ会議などでは、PC100にムービーカメラ120が接続されて使用されるため、PC100の制御部134にムービーカメラ120の第二の画像処理部141が接続される。これにより、第二の画像処理部141に画像処理を行わせることができるため、第一の画像処理部133が行う処理の負荷を低減することができる。
【0086】
また、PC100において、制御部134は、送信部132が読出部131により読み出された画像データを送信していないときは、ムービーカメラ120が撮像して第二の画像処理部141で画像処理が行われた画像データを送信部132に送信させる。
【0087】
これにより、PC100は、送信部132が読出部131により読み出された動画像データを送信していないときは、ムービーカメラ120が撮像して第二の画像処理部141で画像処理が行われた動画像データを送信部132に送信させる。このため、ムービーカメラ120により撮像されている動画像データと、読出部131により読み出された動画像データとの送信をスムーズに実行することが可能となる。
【0088】
また、電子機器システム10において、第二の画像処理部141は、読出部131により読み出された動画像データに対して画像処理を行う場合には、当該画像処理を行い、読出部131により読み出された動画像データに対して画像処理を行わない場合には、撮像部121が撮像して得られた動画像データに対して画像処理を行う。つまり、1つの第二の画像処理部141で、読出部131により読み出された動画像データに対しても撮像部121が撮像して得られた動画像データに対しても画像処理を行うことができ、第一の画像処理部133が行う処理の負荷を低減することができる。
【0089】
[6.他の実施の形態]
以上、本発明に係るPC100について、上記実施の形態1を用いて説明したが、本発明は、上記実施の形態1に限定されず、他の実施の形態も考えられる。
【0090】
つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。以下、他の実施の形態について、まとめて説明する。
【0091】
上記実施の形態1においては、動画像データがHDD104に格納されており、当該動画像データが処理されて送信されることとした。しかし、HDD104に格納され処理されて送信されるデータは動画像データに限られず、静止画などの画像データであってもよい。
【0092】
また、上記実施の形態1においては、電気通信回線を介して他の電子機器と通信するシステムとして、テレビ会議システムを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、テレビ電話システムなど、電気通信回線を介したコミュニケーションシステムであれば、本発明に適用可能である。
【0093】
また、上記実施の形態1においては、PC100に内蔵されたHDD104を一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、PC100に外付けで装着可能なHDD104であっても本発明に適用可能である。また、HDD104以外であっても、動画像データ等の画像データを記録可能な記録媒体であれば、本発明に適用可能である。
【0094】
また、上記実施の形態1においては、画像処理の一例としてエンコード処理について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ビットレート変更処理やリサイズ処理等の画像処理であっても、本発明に適用可能である。
【0095】
また、上記実施の形態1に係るPC100では、単一のムービーカメラ120で動画像データを処理したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数のムービーカメラが接続されていて、複数の動画像データを送信する場合、第一の演算処理部101は、それぞれのムービーカメラに動画像データのエンコード処理を割り当てて、当該処理を並列的に実行するようにしてもよい。
【0096】
また、使用者が送信対象として選択した複数の動画像データのそれぞれの時間長等を考慮して、第一の演算処理部101は、ムービーカメラに割り当てる動画像データの順番等をスケジューリングするようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態1に係るPC100では、使用者が送信対象とした1つの動画像データのエンコード処理と送信処理とを、一連の処理で行うようにしたが、エンコード処理と送信処理とを並列的に行うようにしてもよい。
【0098】
また、本発明は、このようなPC100として実現することができるだけでなく、PC100とムービーカメラ120とを備える電子機器システム10として実現することもできる。また、このようなPC100が備える各処理部が行う処理をステップとする方法として実現することもできる。また、当該方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0099】
また、本発明は、PC100に含まれる特徴的な処理部を備える集積回路として実現したりすることもできる。これらの処理部は個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。例えば、図6に示すように、送信部132と第一の画像処理部133と制御部134とを備える集積回路160として実現することができる。
【0100】
なお、集積回路160は、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSI等により実現可能である。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
【0101】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。光技術やバイオ技術等による機能ブロックの集積化が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、電子機器に関し、特に、撮像装置に接続可能であり、画像データの処理及び送信操作が可能な電子機器に関する。つまり、本発明はPC100への適用に限定されず、撮像装置に接続可能であり、画像データの処理及び送信操作が可能であれば、携帯電話等の電子機器にも適用可能である。また、同様の機能を実行可能なプログラムを格納したCDやDVD等の記録メディアにも適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
10、10A、10B 電子機器システム
100、100A、100B PC
101 第一の演算処理部
102 システム管理メモリ
103 ワークメモリ
104 HDD
105 マウス
106 キーボード
107 USBコネクタ
108 表示デバイス
109 液晶ディスプレイ
110 送信モジュール
120、120A、120B ムービーカメラ
121 撮像部
122 第二の演算処理部
123 USBコネクタ
131 読出部
132 送信部
133 第一の画像処理部
134 制御部
141 第二の画像処理部
150 電気通信回線
160 集積回路
200 コミュニケーションサービス用のウィンドウ
201A、201B 子画面
210 動画像データを格納したフォルダのウィンドウ
211A、211B 動画像データ
220 マウスカーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に接続可能な電子機器であって、
画像データを読み出す読出部と、
使用者による操作を受け付けて、前記読出部により読み出された画像データを、電気通信回線を介して他の電子機器に送信する送信部と、
前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う第一の画像処理部と、
前記撮像装置に備えられた第二の画像処理部であって、前記撮像装置で撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行うための第二の画像処理部が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して、前記第二の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させ、前記第二の画像処理部が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して、前記第一の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させる制御部と
を備える電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信部が前記読出部により読み出された画像データを送信していないときは、前記撮像装置が撮像して前記第二の画像処理部で画像処理が行われた画像データを前記送信部に送信させる
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器と、
前記電子機器に接続された前記撮像装置と
を備える電子機器システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、さらに、被写体を撮像する撮像部を備え、
前記第二の画像処理部は、
前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う場合には、当該画像処理を行った後の画像データを前記制御部に送信し、
前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行わない場合には、前記撮像部が撮像して得られた画像データに対して画像処理を行い、当該画像処理を行った後の画像データを前記制御部に送信する
請求項3に記載の電子機器システム。
【請求項5】
撮像装置に接続可能な電子機器が行う画像処理方法であって、
前記電子機器は、
画像データを読み出す読出部と、
使用者による操作を受け付けて、前記読出部により読み出された画像データを、電気通信回線を介して他の電子機器に送信する送信部と、
前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う第一の画像処理部とを備え、
前記画像処理方法は、
前記撮像装置に備えられた第二の画像処理部であって、前記撮像装置で撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行うための第二の画像処理部が前記電子機器に接続されている場合には、送信対象の画像データに対して、前記第二の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させ、前記第二の画像処理部が前記電子機器に接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して、前記第一の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させる制御ステップ
を含む画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
撮像装置に接続可能な集積回路であって、
画像データを読み出す読出部と、
使用者による操作を受け付けて、前記読出部により読み出された画像データを、電気通信回線を介して他の電子機器に送信する送信部と、
前記読出部により読み出された画像データに対して画像処理を行う第一の画像処理部と、
前記撮像装置に備えられた第二の画像処理部であって、前記撮像装置で撮像されて得られた画像データに対して画像処理を行うための第二の画像処理部が接続されている場合には、送信対象の画像データに対して、前記第二の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させ、前記第二の画像処理部が接続されていない場合には、送信対象の画像データに対して、前記第一の画像処理部に画像処理を行わせて画像処理後の画像データを前記送信部に送信させる制御部と
を備える集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−65301(P2012−65301A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37869(P2011−37869)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】