説明

電子機器およびその制御法

【課題】小型化した電子機器をユーザが片手で持って操作する場合にも操作性が良好となる電子機器を提供すること。
【解決手段】接触動作または押圧動作の履歴から操作信号を生成する操作部を備える電子機器1において、履歴のデータを出力し電子機器1を操作する領域となる操作領域(タッチパッド2)が弧形状とされている。弧は、円または楕円の中心から135°以上225°以下である円弧または楕円弧であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびその制御法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられる操作部としては、ユーザによる接触または押圧しながらの摺動によって信号の一部を生成するための操作面領域を有する、いわゆるタッチパッドが知られている(特許文献1)。そしてこの特許文献1記載の発明では、タッチパッドを円環状として、その円環状に沿ってユーザが接触または押圧し回転操作することによって、電子機器が有する画面のスクロールを途切れさせることなく高速のスクロールをさせることを可能としている。
【0003】
【特許文献1】特表平2005−507112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近は、電子機器が小型化し、片手で持ちながらその片方の手の指で操作部を操作する機会が増加している。しかし、円環状のタッチパッドは、ユーザが小型の携帯式電子機器を片手で持ちながらその片方の手の指で操作する場合には高速のスクロールが困難となっている。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、小型化した電子機器をユーザが片手で持って操作する場合に操作性の良好な電子機器を提供することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、接触動作または押圧動作の履歴から操作信号を生成する操作部を備える電子機器において、履歴のデータを出力し電子機器を操作する領域となる操作領域が弧形状とされている。
【0007】
本発明の電子機器によれば、小型化した電子機器をユーザが片手で持ち、その片手で操作する場合に、主として操作に用いられる親指の容易な移動範囲を操作領域に一致させることが可能となる。そのため、小型化した電子機器をユーザが片手で持って操作する場合に操作性の良好な電子機器を提供することが可能となる。
【0008】
また、他の本発明に係る電子機器は、上述の発明に加え、弧は、円または楕円の中心から135°以上225°以下である円弧または楕円弧である。この構成を採用することによって、親指がより容易に動く範囲を操作領域とすることができる。
【0009】
また、他の本発明に係る電子機器は、上述の発明に加え、操作領域は、視覚または触覚によってその存在が認識できるものである。この構成を採用することによって、ユーザは操作領域を容易に認識できる。特に操作領域が触覚によってその存在が認識できる場合は、ユーザは電子機器を見ることなく暗闇またはポケットの中等でも操作領域を容易に認識できる。
【0010】
また、他の本発明に係る電子機器は、上述の発明に加え、操作領域と、操作領域以外の領域との境に凸部または凹部が設けられている。この構成を採用することによって、ユーザは電子機器を見ることなく暗闇またはポケットの中でも操作領域をより容易に認識できる。
【0011】
操作領域の表面には、弧形状の弧に沿って、高さ寸法が0.02mm以上0.1mm以下の凸が線状に複数形成されている。この構成を採用することによって、ユーザの親指等が凹凸を触覚によって認識でき、凹凸の領域に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器の制御法は、接触動作または押圧動作の履歴から操作信号を生成する操作部を備える電子機器の制御法において、履歴のデータを出力し電子機器を操作する領域となる操作領域が弧形状とされ、操作領域における接触または押圧の位置が操作領域を移動し、その直後に接触または押圧の位置が操作領域の移動方向の端部に留まると、その留まっている期間は移動の際に生成する操作信号によって電子機器が発揮する機能と同じ機能を発揮させる操作信号を生成する。
【0013】
本発明の電子機器の制御法によれば、操作領域が弧形状とされているため、小型化した電子機器をユーザが片手で持ち、その片手で操作する場合に、主として操作に用いられる親指の容易な移動範囲を操作領域に一致させることが可能となる。そのため、小型化した電子機器をユーザが片手で持ってその片手で操作する場合に操作性が良好となる電子機器を提供することが可能となる。また、本発明の電子機器の制御法によれば、操作領域における接触または押圧の位置が操作領域を移動し、その直後に接触または押圧の位置が操作領域の移動方向の端部に留まると、その留まっている期間は移動の際に生成する操作信号によって電子機器が発揮する機能と同じ機能を発揮させる操作信号を生成する。そのため、たとえば従来の電子機器のように、電子機器が有する画面のスクロールを途切れさせることなく高速のスクロールをさせることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、小型化した電子機器をユーザが片手で持ってその片方の手の指で操作する場合に操作性が良好となる電子機器を提供することを可能にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る電子機器1について、図面を参照しながら説明する。なお、この電子機器1は、楽曲再生装置となっている。
【0016】
図1(A)は、電子機器1の平面図を示し、図1(B)は、電子機器1の右側面図を示し、図1(C)は、電子機器1の正面図を示している。電子機器1の左側面図は右側面図と略同一の形態であり、電子機器1の背面図は正面図と同一の形態である。
【0017】
(電子機器の全体構成)
本発明の実施の形態に係る電子機器1は、接触動作の履歴から操作信号を生成する操作部を備える電子機器1において、履歴のデータを出力し電子機器を操作する領域となる操作領域(タッチパッド2)が弧形状とされている。
【0018】
電子機器1は、図1に示すように、主としてタッチパッド2と、タッチパッド2によって操作される内容を表示する表示部3と、タッチパッド2および表示部3を支持する筐体4と、タッチパッド2の操作によって選択された楽曲を再生する楽曲として決定する決定ボタン5と、を有している。
【0019】
LCD(Liquid Crystal Display)からなり、角が丸みを帯びた長方形の表示部3は、図1(A)において、電子機器1の上側に配置されている。そして、表示部3の下側で、かつ筐体4のほぼ中央に、円の中心から220°で下側の領域が欠けている円弧状の静電容量式のタッチパッド2が配置されている。
【0020】
このタッチパッド2は、接触動作の履歴のデータを出力可能である。またこのタッチパッド2は、操作領域に相当する。また、タッチパッド2の表面は、その円弧に沿って多数の溝(図示省略)が並び形成されている。この溝は、メッシュが♯300のスクリーンを用いて、耐摩耗性に優れた紫外線硬化樹脂インクを印刷・硬化することによって、平面状に凸を形成して形成される。この凸は断面が丸みを帯びた三角に近い形状であり、隣り合う凸の裾部の間、すなわち、平面部となる溝の幅は0.1mm、凸の幅は0.03mm、凸の高さは0.05mmである。また、この凸はタッチパッド2の基材となる樹脂パネルとの密着性を高くされ、かつ凸自身の硬度も高くされている。この凸の形成によって、操作領域には凹凸が形成される。
【0021】
また、筐体4(操作領域以外の領域)は、8つの隅部(角部)が全て丸みを帯びた形状をしている。さらに、静電容量式の円形の決定ボタン5がタッチパッド2の内周側のさらに内側に配置されている。このタッチパッド2は、人の指が触れることで接触を検出し、またその接触の位置が検出できるものとなっている。この検出はタッチパッド2と後述するCPU10によって行われる。
【0022】
また、表示部3の表面は、筐体4の表面と同じ平面上となるようにされ、タッチパッド2の基材部は、筐体4の平面部の表面よりも0.1mm突出している。そして、決定ボタン5は、筐体4の平面部の表面よりも0.2mm突出している。
【0023】
図2は、電子機器1を片手で操作する状態を示す図である。図2(A)は、ユーザが電子機器1を操作する前の初期状態を示す図で、図2(B)は、ユーザが電子機器1の初期状態からタッチパッド2を用いて表示部3の表示のスクロールを行った後の状態を示す図である。
【0024】
電子機器1は、表示部3に表示される楽曲の名称(A,B,C,D,E,F,G等)の中から選択される楽曲を、決定ボタン5を押すことによって再生し、スピーカ(図示省略)によって出力されるような機能を有するよう構成されている。なお、この電子機器1のタッチパッド2および決定ボタン5の操作は、表示部3とのGUI(Graphical User Interface)によってなされる。
【0025】
電子機器1の主な部品構成は、図3の電子機器1のブロック図に示すように、タッチパッド2、決定ボタン5および表示部3の他に中央演算装置(CPU)10、音声データを記憶するハードディスクからなる記憶装置11、スピーカ12からなっている。CPU10は、タッチパッド2および決定ボタン5の操作内容(接触をしながらの動作の履歴のデータ等)に基づいて操作信号を生成する。そしてCPU10は、その操作信号に基づいて表示部3の表示内容を変更したり、記憶装置11から所定の音声データを抽出し、その音声データに基づく音をスピーカ12によって出力するように構成されている。ここでCPU10は、操作部として機能する。
【0026】
(電子機器の操作)
図2(A)では、表示部3に楽曲の名称A,B,C,D,E,F,Gが上から順番に表示されている。そして、ユーザの親指6(接触部)がタッチパッド2の左端に接触している。この状態では、「E」の名前が他の名前とは表示色が異なるよう表示されている。この表示色が異なる領域(破線で囲んだ選択領域7)では、現在選択されている楽曲の名称が強調表示されている。そこで、この状態で決定ボタン5を押すと、「E」の楽曲が再生される。
【0027】
図2(B)では、図2(A)に示す状態からユーザが親指6をタッチパッド2の表面で摺動させ、矢印8に沿って矢示「a」の方向へ親指6を移動させタッチパッド2の右端の位置まで移動してきた状態を示している。このような移動をすると、表示部3では選択領域7が矢印9の矢示「b」の方向へと移動(スクロール)する。そしてそのまま親指6をタッチパッド2の右端(移動方向の端部)に留めておくと、その留めておく期間は、スクロールの動作がそのまま継続する。
【0028】
すると、選択領域7が表示部3の最も下の位置に留まり、図2(A)に示す状態では表示部3に示されていない楽曲の名称(図2(B)では「H」)が選択領域7に順次表示される。その順次表示されることに伴って、図2(A)の状態では表示部3の最も上に表示されていた楽曲の名称(図2(A)では「A」)は順次表示されなくなる。
【0029】
逆に、図2(B)に示すようにユーザが親指6をタッチパッド2の右端の位置から矢印8に沿って矢示「a’」の方向へ摺動させ、図2(A)に示すようにタッチパッド2の左端の位置まで移動させた場合は、次のとおりとなる。すなわち、この場合には、表示部3では選択領域7が矢印9の矢示「b’」の方向へと移動(スクロール)する。そしてそのまま親指6をタッチパッド2の左端(移動方向の端部)に留めておくと、その留めておいた期間は、スクロールの動作がそのまま継続する。
【0030】
すると、選択領域7が表示部3の最も上の位置に留まり、図2(B)に示す状態では表示部3に示されていない楽曲の名称(図2(A)では「A」)が選択領域7に順次表示される。その順次表示されることに伴って、図2(B)の状態では表示部3の最も下に表示されていた楽曲の名称(図2(B)では「H」)は順次表示されなくなる。
【0031】
なお、この明細書でタッチパッド2の右端または左端というときは、タッチパッド2の右端または左端から2mm以内の所定の面積を有するそれぞれの領域をいうものとする。
【0032】
図4は、このような操作を実現するための電子機器1の制御の内容を示すフロー図である。電子機器1の制御が開始されると(ステップS101)、まずCPU10は決定ボタン5が押されたか否かの判断を行う(ステップS102)。決定ボタン5が押されたならCPU10は、その旨の操作信号を生成し決定ボタン5が押されたときの選択領域7の楽曲を記憶装置11から抽出してスピーカ12から出力する処理を行う(ステップS103)。その後、後述するステップS104へと進む。
【0033】
次に、ステップS102において、決定ボタン5が押されていないなら、また、ステップS103の処理が終了したなら、タッチパッド2の表面をユーザの親指6が摺動しながら移動しているか否かをCPU10が判断する(ステップS104)。移動していないならCPU10はステップS102へと戻るよう処理する。移動しているならタッチパッド2はその移動の履歴のデータをCPU10に出力し、CPU10は、その旨の操作信号を生成しその移動方向に基づいて表示部3の表示をスクロールする(ステップS105)。
【0034】
その後、CPU10は、指がタッチパッド2の長さ方向の端に留まっているか否かを判断する(ステップS106)。留まっている場合には、タッチパッド2はその旨の履歴のデータをCPU10に出力し、CPU10は、その旨の操作信号を生成しスクロール(ステップS105)を継続するように処理する(ステップS107)。
【0035】
留まっていない場合には、CPU10はユーザの親指6がタッチパッド2から離れているか、および指6の移動が止まっているか否かを判断する(ステップS108)。ステップS108の判断が「N」(=No)ならば、タッチパッド2はその旨の履歴のデータをCPU10に出力し、CPU10はその旨の操作信号を生成しステップS105の処理を継続して行う。ステップS108の判断が「Y」(=Yes)ならばタッチパッド2は親指6の接触の履歴のデータをCPU10に出力し、CPU10は、タッチパッド2から離れている、または親指6の移動が停止していると判断し、その旨の操作信号を生成しスクロールを停止する(ステップS110)。
【0036】
ステップS107の処理によって、スクロールを継続する場合には、その後CPU10はユーザの親指6がタッチパッド2から離れているか否かを判断する(ステップS109)。ステップS109の判断が「N」(=No)ならば、タッチパッド2はその旨の履歴のデータをCPU10に出力し、CPU10は、その旨の操作信号を生成しスクロールを継続させる(ステップS107)。ステップS109の判断が「Y」(=Yes)ならばタッチパッド2は親指6の接触の履歴のデータをCPU10に出力し、CPU10は、その旨の操作信号を生成しスクロールを停止する(ステップS110)。
【0037】
そして、ステップS108の判断が「Y」、またはステップS109の判断が「Y」となることによってCPU10がスクロールを停止した(ステップS110)後には、CPU10は、決定ボタン5が押されたか否かの判断(ステップS102)に戻る。そして、以後これら(ステップS102〜S110)の処理を繰り返す。なお、図示はしていないが、ステップS108,S109の判断において、親指6がタッチパッド2から離れずにステップS104における移動方向とは逆方向に移動していると判断された場合は、ステップS102の処理に戻るようにされている。そしてステップS103,ステップS104,S105の処理によって、その逆方向への移動の操作を電子機器1に反映させる。
【0038】
(本発明の実施形態による主な効果)
本発明の実施形態に係る電子機器1は、ユーザが片手で持ってその片手の中の親指6で操作する場合に、従来の円環状のタッチバッドを用いた場合と同様に、表示部3のスクロールをさせるための操作性が良好なものとなる。特に電子機器1は、タッチパッド2の表面を親指6で摺動後にタッチパッド2の右端または左端に親指6を留めておくことで、表示部3における表示のスクロールを継続できる。そのため電子機器1は、従来の円環状のタッチパッドのように円環に沿って指を接触しながら回転させる動作を継続して表示のスクロールを行う電子機器よりも操作が容易となる。
【0039】
また電子機器1は、タッチパッド2の形状を弧形状とし、その弧は、円の中心から220°とした円弧としているため、図2に示すように、主に電子機器1を操作する親指6が移動する範囲をタッチパッド2の領域とすることができる。
【0040】
また電子機器1は、タッチパッド2および決定ボタン5を筐体4の表面から突出させているため、視覚または触覚によってその存在を認識できる。電子機器1は、タッチパッド2および決定ボタン5の筐体4の表面からの突出高さを異ならせているため、両者の区別を視覚または触覚によって認識できる。
【0041】
また電子機器1は、タッチパッド2の形状を弧形状としているため、従来の円環状のタッチパッドに比較して、電子機器1の中に占めるタッチパッド2の面積を小さくできることから、電子機器1全体を小型化することが可能となる。
【0042】
また、タッチパッド2の表面は、その円弧に沿った多数の線状の凸によって形成される溝が並び形成されている。よって、ユーザの親指6等が凸を触覚によって認識でき、また、凸に沿ってスムーズにタッチパッド2上を移動させることができる。
【0043】
(他の本発明の実施の形態)
上述した本発明の実施の形態に係る電子機器1は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において以下のように種々変形実施が可能である。
【0044】
たとえば本発明の実施の形態に係る電子機器1は、タッチパッド2および決定ボタン5を静電容量式としタッチパッド2への接触を感知するタイプとしているが、指などで操作した場合の圧力による操作圧を検知する方式等の他の方式のものを用いることができる。操作圧を検知する方式のタッチパッドとした場合、押圧動作の履歴のデータを出力することとなる。また、この方式のタッチパッドを操作する親指6等は押圧手段となる。
【0045】
また電子機器1に係るタッチパッド2および決定ボタン5は、筐体4の表面から突出させているが、そのような構成にする必要は必ずしもない。タッチパッド2または決定ボタン5は、筐体4の表面と同一平面としたり筐体4の表面から陥没させて設けても良い。また、仮に電子機器1のようにタッチパッド2および決定ボタン5を筐体4の表面から突出させるとしても、その突出高さは、タッチパッド2としては0.1mm、決定ボタン5としては0.2mmに限定されず、製品設計等の諸事情に応じて適宜その距離を決定することができる。
【0046】
またタッチパッド2は、外観が円環状であって、操作可能な有効領域(操作領域)をその円環の一部の円弧形状の領域としても良い。図5(A)には、外観が円環状であって、タッチパッド2Aがその円環状の一部の円弧状の領域Wに配置された例を示している。境界線2A1,2A2は、タッチパッド2Aの領域Wとそうでない非操作領域2A3との境界を示している。境界線2A1,2A2は、目視しづらいが、後述するように、タッチパッド2Aの領域Wと非操作領域2A3の表面の加工が異なるためその反射状態が異なる結果、境界線2A1,2A2は、目視可能となる。また、上述の実施の形態では操作手段や押圧手段として親指6を示したが、人の他の指としたり、電子機器1を持った手とは異なる他方の手の指を操作手段としてもよい。
【0047】
またタッチパッド2の表面に形成された並列の凹凸は、必須の構成要素ではないため省略することができる。しかし、この並列の凹凸は親指6をスムーズに動作させるガイドとなるため、この並列の凹凸を設けることが好ましい。また、並列の凹凸の代わりにドット形状の凹凸をタッチパッド2の表面に設けるようにしても良い。触感上は、並列の凹凸かドット状の凹凸のいずれかが好ましい。図5(A)に示すタッチパッド2Aにも並列の凹凸またはドット状の凹凸が形成されている(図示省略)。しかし非操作領域2A3には凹凸が形成されておらず、鏡面加工が施された平面となっている。よって、タッチパッド2Aと非操作領域2A3との境界は、触覚や視覚で認識できる。さらにタッチパッド2は、筐体4のほぼ中央に配置しているが、配置の場所は特に限定されず、製品設計等の諸事情に応じて適宜配置の場所を決定できる。なお、ドット状の凸は印刷の際、だれるため半球状または円錐状となる。ドットの径は、だれとの関係で0.03mm以上とするのが好ましく、触感上、0.1mm以下とするのが好ましい。
【0048】
上述の並列の凹凸の形状は、本発明の実施の形態に係るものと異なるものであっても良い。たとえば、凹凸を形成する凸の寸法は、本発明の実施の形態に係る寸法から適宜変更できる。本発明の実施の形態に係る隣り合う凸の間の溝の幅は0.1mmとしているが、これと異なる寸法とすることができる。またドット形状にした場合も、凸のドットの裾部間の間隔も0.1mmとするのが好ましいが他の値としても良い。
【0049】
凸の高さ寸法は、0.05mmとしているが、異なる高さ寸法としても良い。ただし、凸の高さを0.02mm以上とすることによって、一般の人間の親指6の触覚で凸を容易に認識できるため、凸の高さは0.02mm以上が好ましい。凸の高さを0.08mm、0.1mmとしたものについても検討したところ、0.05mmのものと同様の触覚を得ることができる。ただし、凸形状として美感を最も生じさせるものは、高さが0.05mmのものだったことから、高さが0.05mmのものが最適な凸高さである。また、凸の高さを0.1mm以下とすることで、凸の違和感が緩和されるため好ましい。この凸の高さ寸法については、同様のことがドット形状の凸にも当てはまる。
【0050】
また、凸の幅寸法は、0.03mmとしているが、これと異なる寸法とすることができる。たとえば0.01mmとすることができる。しかし、スクリーン印刷技術を採用して凸を形成する場合には、インクが流れてしまうことがあるためこのようなファインパターンの形成は困難である。凸の幅寸法を0.01mmとするように製版の開口を形成する場合は、やはりインクの流れが生じ、凸の幅寸法を0.01mmとすることが困難だった。よって、製造の容易化または製造工程の安定化を図るためには、凸の幅寸法は0.03mm以上とすることが好ましい。この凸の幅寸法については、ドット形状場合はドット径に相当し、同様のことが言える。
【0051】
また、並列の凸やドット形状の凸の形成方法としてのスクリーン印刷の条件は、適宜変更することができる。たとえば、上述の実施形態で用いたスクリーンは、メッシュが♯300のものを用いたが、メッシュが♯200または♯500のものを用いても良い。また、インクには紫外線硬化樹脂インクを用いているが、他のインクを用いることができる。ここで、他の指よりも押圧力の大きな親指6が凸の表面の摺動を繰り返すことを考慮すると、硬化後のインクは、耐磨耗性に優れていることが好ましい。たとえば、硬化後のインクは、銅との静摩擦係数が、0.5以下であることが好ましい。なお、スクリーン印刷の条件は、スクリーンまたはインクの種類の変更の他、スキージ圧等の変更によっても実現できる。このようなスクリーン印刷の条件変更によって、凸の形状・寸法を調整できる。
【0052】
また、並列の凸やドット形状の凸の形成方法は、スクリーン印刷法に限られず、他の方法を採用することができる。たとえば、他の方法は、平滑な樹脂の表面に炭酸ガスレーザ等のレーザ光を照射して凹を形成し、その凹以外の部分を凸として形成する方法である。この他の方法(以下、レーザ法という。)では、スクリーン印刷法よりも自由に凸の寸法を設定できる利点がある。また、この利点を有する別の他の方法は、樹脂を成型加工して、並列の凸やドット形状の凸を形成する方法である。この別の他の方法(以下、成型法という。)は、レーザ光を照射する場合に比べて安価な製造が可能となる利点がある。この成型法では、たとえば成型される樹脂にアクリル系のものを用いる場合には、成型金型温度を加工面である上型が120℃、裏面である下型を80℃に設定し、40秒間加圧しながら加熱後冷却する。ただし、この成型条件に限定されないことは言うまでもない。
【0053】
レーザ法および成型法は、凸の断面を台形等の四角形とすることも、親指6が接触する部分を頂点の一つとする三角形とすることもできる。ドット形状の凹凸の場合には、凸または凹の平面形状を四角形、三角形、いろいろな形状とすることができる。また、レーザ法および成型法は、スクリーン印刷法に比べて凸の断面形状の角部(エッジ)を鋭くすることができ、親指6等で接触する際に、凸を認識しやすい利点がある。
【0054】
レーザ法によって形成した並列の凸やドット形状の凸の高さ寸法を0.01mm、0.02mm、0.05mmおよび0.1mmとし、また、成型法によって形成した凸の高さ寸法を0.02mmおよび0.05mmとした場合の手触りの感触について述べる。0.01mmを除く他のいずれの高さ寸法の凸も、触覚によって認識することができる。スクリーン印刷法によって形成される凸と比較すると、同じ0.02mmの高さ寸法のものでは、上述のエッジの効果のためレーザ法および成型法によって形成した凸の方が認識しやすい。また、レーザ法によって形成した凸の高さが0.05mmおよび0.1mmの場合は、より認識しやすく、好ましかった。さらに、レーザ法によって微少深さの凹を形成する際には、その深さが安定し難いため、凸の高さ寸法は0.02mm以上であることが好ましい。
【0055】
レーザ法によって形成した並列の凸の幅寸法やドット形状の径を0.03mm、0.05mmおよび0.1mmに設定し、また、成型法によって形成した凸の幅寸法を0.05mmおよび0.1mmとした場合について述べる。レーザ法によって形成した凸の幅寸法または凸の径を0.03mmと小さくした場合には、レーザ照射位置が安定しないため、凸の幅寸法または凹の径のばらつきが大きかった。よって、レーザ法によって形成した凸の幅寸法または径は、0.05mm以上が好ましい。なお、成型法によって形成した凸の幅寸法または径は、成型法に起因するそのような好ましい範囲は見出せなかった。
【0056】
なお、レーザ法によって凸の寸法を変化させるには、レーザ光の出力・照射範囲を調整する。また、成型法によって凸の寸法を変化させるには、成型金型の形状を変更する。ここで、金型の製造の容易さの観点からは、凸の高さ寸法を0.02mmとする金型の方が、凸の高さ寸法を0.05mmとする金型よりも形状が複雑でなく、好ましい。また、印刷法、レーザ法、成型法のいずれの場合も、タッチパッド2の基材となる樹脂板は、透光度の高いポリカーボネート樹脂またはアクリル系樹脂を採用したが他の基材にしても良い。また、その樹脂板としては0.4mmの厚さのものを採用したが他の厚さのものとしても良い。たとえば0.25mmの厚さも良い結果を示した。なお、成型法において、0.25mm、および0.4mmの厚みのものについて検討したところ、0.25mmの厚みのものは成型の際に変形が生じたが、0.4mmの厚みのものは変形が生じなかった。よって、成型法を採用する場合、基材の厚みは0.4mm以上とすることが好ましい。
【0057】
レーザ法および成型法によって形成した凸によって形成される溝の幅寸法や凸の間隔は、0.1mmとしているが、他の値としても良い。この寸法は凸を触覚で認識することを可能とする寸法である。なお、溝の幅寸法や凸の裾部の間隔は、どの方法の場合も0.05mm以上0.2mm以下が感触上好ましい。
【0058】
このようにタッチパッド2に凹凸を形成することによって、タッチパッド2を透光材料で構成する場合には、タッチパッド2の下方から照射される光が凹凸によって屈折・分散し、均一かつ高輝度の光を視認できる。透光性の良好なタッチパッド2に適した材料としては、上述したポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、タッチパッド2の裏面からの照光時のタッチパッド2の光の均一性や輝度の面からはレーザ法によるものが最も良く、均一性の面では成型法が最も良いものとなった。
【0059】
タッチパッド2および決定ボタン5における、筐体4から突出させている部分は、その突出の結果として触覚によってその存在が認識できる効果を有するものである。同様の効果を得るためには、突出の代わりに、または突出と併せてタッチパッド2または決定ボタン5の表面の触感を筐体4の表面の触感と異なるものとすることとしても良い。たとえば、決定ボタン5の表面を梨子地状にしてもよい。また、図5(A)の場合のように、タッチパッド2の領域Wを凹凸にし、非操作領域2A3を鏡面として筐体4の表面と区別できるようにしても良い。
【0060】
さらに同様の効果を得るためには、タッチパッド2または決定ボタン5と筐体4(操作領域以外の領域)との境に樹脂等からなる凸部または凹部を設けるようにしても良い。また、タッチパッド2および決定ボタン5の色を、筐体4の色とは異なる色とすることすることとしてもよい。そうすることによって電子機器1は、視覚によってタッチパッド2および決定ボタン5の存在が認識できる効果を有する。
【0061】
また決定ボタン5は、必須の構成要素ではないため省略することができる。その場合、たとえば表示部3をタッチスクリーンとし、表示された楽曲の名称の部分を指で接触することで、決定ボタン5と同様な機能を備えさせることができる。また、決定ボタン5は、タッチパッド2の弧形状の凹側(内側)に配置されているが、凸側(図1ではタッチパッド2の上側)に配置されるように構成されていても良い。
【0062】
図5は、4方向スイッチをも示している。図5(A)は、タッチパッド2Aの領域W内であってその表面よりも下層に4方向スイッチのうちの3つである円形のスイッチ5A,5B,5Dがあり、また非操作領域2A3の領域内であってその表面よりも下層に円形のスイッチ5Cがあり、これらの4つのスイッチ5A〜5Dからなる4方向スイッチのそれぞれが等間隔に配置されている。これらのスイッチ5A〜5Dは、触覚では認識できないようにされているが、認識できるようにしても良い。さらに視認がしづらい境界線2A1,2A2の下には4方向スイッチの各スイッチ5A〜5Dよりも若干径が小さい機能スイッチ5Eおよび5Fが配置されている。これらの機能スイッチ5E,5Fの用途は、たとえば「初期画面表示」、「再生楽曲の再生順序が決められている場合に、現在の再生楽曲の次に再生される楽曲を再生させる」、「再生楽曲の再生順序が決められている場合に、現在の再生楽曲の前に再生される楽曲を再生させる」、「楽曲再生の一時停止・その解除」、「再生音量の増減」等である。4方向スイッチとして作用する4つのスイッチ5A〜5Dを、方向スイッチとしてではなく上述の機能スイッチとして働くようにしても良い。なお、機能スイッチ5Eおよび5Fは、境界線2A1,2A2の下層に配置されているため、表面に溝が形成されていない非操作領域2A3と溝が形成されているタッチパッド2Aの領域Wとの境目として触覚で認識できる。
【0063】
図5(B)は、楕円の中心から180°の楕円弧形状のタッチパッド2Bの平面図を示している。タッチパッド2Bの領域Yは、図示のように180°の範囲であり、その範囲内は、視認しづらい境界線2B1,2B2,2B3,2B4で5つの領域に区切られている。スイッチ領域2B5,2B7,2B9には、その表面よりも下層にそれぞれ円形の機能スイッチ5G,5H,5Jが配置されている。このスイッチ領域2B5,2B7,2B9の表面は、鏡面加工が施されており平滑面となっている。そして、凹凸領域2B6,2B8は、タッチパッド2の領域Wと同様にその表面に線状の凸が弧に沿って並列形成されている。よって、機能スイッチ5G,5H,5Jの存在は、ユーザの触覚によって認識できる。機能スイッチ5G,5H,5Jの機能は、上述の機能スイッチ5E,5Fと同様のものとすることができる。
【0064】
また表示部3は、必須の構成要素ではないため省略することができる。その場合タッチパッド2は、たとえば再生する楽曲の当初設定されている音量を変更させるため等に用いられることとすることができる。また、表示部3はLCDからなっているが、それ以外の表示装置、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等を用いても良い。さらに表示部3は筐体4と同一平面に設けられているが、筐体4よりも突出させたり陥没させて設けることとしても良い。
【0065】
また記憶装置11、スピーカ12は、必須の構成要素ではないため省略することができる。また電子機器1が記憶装置11を備えるとしても、記憶装置11は、ハードディスクに代えてRAM(Random Access Memory)等で構成させても良い。また電子機器1が楽曲再生装置の場合には、スピーカ12ではなくイヤホンジャック等を音発生手段として備えても良い。
【0066】
また電子機器1は楽曲再生装置に限らず、携帯電話または携行可能な小型のパーソナルコンピュータ等とすることができる。
【0067】
またタッチパッド2,2A,2Bは、右端へと、または左端へと親指6を摺動させた直後に右端または左端に手の指を留めておくと表示部3のスクロールが継続するが、そのような継続動作は必ずしも必要でない。たとえば、CPU10は、そのようにスクロールを継続させることなく、停止するようにしても良い。また、CPU10は、親指6を摺動させる際に生成する操作信号によって電子機器1が発揮する機能と同じ機能を発揮させる操作信号を生成することとしても良い。たとえば、スクロールを継続させる際に、そのスクロールの速度を親指6がタッチパッド2,2A,2Bの表面を摺動する速度以外の速度(たとえば、予め設定した速度または操作時に設定する速度等)としてもよい。また、この右端および左端(長さ方向の端部)は、タッチパッド2の右端および左端から2mm以内の所定の面積を有する領域としているが、2mmより長くしたりまたは短くしたり、そのような面積を有さず字義どおり右端および左端のみとしても良い。
【0068】
また図3に示す電子機器1の構成要素として、計時部を付加し、タッチパッド2,2A,2Bの操作の際に手の指とタッチパッド2,2A,2Bとの接触時間等を把握することができる構成としても良い。そのような構成とすることによって、たとえば所定時間以上手の指がタッチパッド2,2A,2Bの同一領域に接触している場合、または所定時間以内に複数回手の指がタッチパッド2,2A,2Bの同一領域に接触している場合には、決定ボタン5を押すのと同じ動作、または電子機器1の電源をオフにする動作等を電子機器1に行わせることができる。また、そのような動作を電子機器1に行わせる場合には、タッチパッド2,2A,2Bの複数箇所に対して別々の動作の実行を設定することができる。
【0069】
また、そのように計時部を付加する構成とすることによって、たとえば所定時間以上手の指が決定ボタン5の同一領域に接触している場合または所定時間以内に複数回手の指が決定ボタン5に接触している場合には、電子機器1の電源をオフにする動作等を電子機器1に行わせることができる。
【0070】
また、電子機器1は、表示部3に表示される楽曲の名称のスクロールを図2に向かって縦方向(矢示b、b’の方向)に行わせている。しかし、スクロールの方向は、表示部3の横方向、斜め方向等とすることができる。また、タッチパッド2,2A,2Bを操作することによって、パーソナルコンピュータにおけるマウスポインタのようなものが、表示部3の2次元平面上を操作に基づいた方向に移動しても良い。
【0071】
またタッチパッド2,2A,2Bは、接触手段となる親指6の接触によって操作されているが、上述したように他方の手の指、同じ手の人差し指等他の人体の部位、またはスタイラス等によって操作されるものであっても良い。
【0072】
また、電子機器1は、図2(B)において、矢示aの方向へタッチパッド2の表面を親指6で摺動すると表示部3のスクロール方向が矢示bの方向となり、矢示a’の方向へタッチパッド2の表面を親指6で摺動すると表示部3のスクロール方向が矢示b’の方向となっているが、スクロール方向を逆にしても良い。また、そのようなスクロール方向をユーザーが設定できる構成の電子機器としても良い。このような構成とすることで、右手で電子機器1を操作する場合と、左手で電子機器1を操作する場合とで、操作においてスクロール方向に違和感を感じないようになる。
【0073】
またタッチパッド2は、円の中心から220°の、図1において上側に凸を形成する円弧状の形状をしているが、そのような形状に限定されない。たとえばタッチパッド2は、図5(A)(B)のように機能したり、図1において下側に凸を形成する円弧状の形状としても良い。また、タッチパッド2は、円の中心から135°未満または225°を超える範囲の円弧または楕円弧の形状としても良い。
【0074】
図6(A)〜(E)は、タッチパッド2の形状の変形例を示し、そのように変形させた場合の電子機器1の形態の例を示している。なお、図6(A)〜(E)では、電子機器1の表示部3および筐体4に相当する部材には同一の符号を付している。
【0075】
図6(A)は、タッチパッド2Cが、楕円弧形状をしている電子機器1Aの平面図を示している。この楕円弧は、楕円の中心から180°の楕円弧であり、電子機器1Aの図6(A)における上下方向に短い形状である。そのためタッチパッド2Cは、タッチパッド2に比べて長さ方向と直交する幅方向の寸法が小さくなる。よって電子機器1Aの寸法は、図6(A)における上下方向に小さくすることができる。
【0076】
図6(B)は、タッチパッド2Cを用いている電子機器1Bの平面図を示している。電子機器1Bは、図6(B)における上下方向に空いたスペースに、テンキー13を配置し、高機能化を図ったものである。
【0077】
図6(C)は、タッチパッド2Dを用いている電子機器1Cの平面図を示している。タッチパッド2Dは、円弧でも楕円弧でもない弧形状であり、図6(C)において上方向に凸の形状をなしている。この弧形状は、タッチパッド2Cの図6(B)における上下方向寸法よりも図6(C)におけるタッチパッド2Dの上下方向寸法が短い。
【0078】
図6(D)は、タッチパッド2Eを用いている電子機器1Dの平面図を示している。タッチパッド2Eは、タッチパッド2Dと180°対称の形状をしている。そして図6(D)において下方向に凸の形状をなしている。
【0079】
図6(E)は、タッチパッド2Fを用いている電子機器1Eの平面図を示している。タッチパッド2Dの弧形状は、曲線部分を有しておらず、角張った「く」の字形状である。そしてタッチパッド2Fの弧形状は、図6(E)において上方向に凸の形状をなしている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器を示す図であり、(A)は、平面図であり、(B)は、その右側面図であり、(C)は、その正面図である。
【図2】図1に示す電子機器を片手で操作する状態を示す図であり、(A)は、ユーザが電子機器を操作する前の初期状態を示す図で、(B)は、ユーザが電子機器の初期状態からタッチパッドを用いて表示部の表示のスクロールを行った後の状態を示す図である。
【図3】図1に示す電子機器の部品構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す電子機器の制御の内容を示すフロー図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るタッチパッドおよびの変形例を示す図で、(A)は、円環状の操作部の一部にタッチパッドの領域を有する例を示す図で、(B)は、楕円弧形状のタッチパッドの例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るタッチパッドおよび電子機器の形状の変形例を示す図で、(A)〜(E)は、それぞれの電子機器の平面図である。
【符号の説明】
【0081】
1,1A,1B,1C,1D,1E 電子機器
2,2A,2B,2C,2D,2E,2F タッチパッド(操作領域)
10 CPU(操作部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触動作または押圧動作の履歴から操作信号を生成する操作部を備える電子機器において、
上記履歴のデータを出力し上記電子機器を操作する領域となる操作領域が弧形状とされていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記弧は、円または楕円の中心から135°以上225°以下である円弧または楕円弧であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記操作領域は、視覚または触覚によってその存在が認識できるものであることを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作領域と、前記操作領域以外の領域との境に凸部または凹部が設けられていることを特徴とする請求項1、2または3記載の電子機器。
【請求項5】
前記操作領域の表面には、前記弧形状の弧に沿って、高さ寸法が0.02mm以上0.1mm以下の凸が線状またはドット状に複数形成されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の電子機器。
【請求項6】
接触動作または押圧動作の履歴から操作信号を生成する操作部を備える電子機器の制御法において、
上記履歴のデータを出力し上記電子機器を操作する領域となる操作領域が弧形状とされ、
上記操作領域における接触または押圧の位置が上記操作領域を移動し、その直後に上記接触または押圧の位置が上記操作領域の移動方向の端部に留まると、その留まっている期間は上記移動の際に生成する操作信号によって上記電子機器が発揮する機能と同じ機能を発揮させる操作信号を生成することを特徴とする電子機器の制御法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−134451(P2009−134451A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309090(P2007−309090)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】