説明

電子機器およびデータ生成方法

【課題】識別名称の定義付けがされたコンテンツを検索可能なデータであって、かつ、より柔軟に階層構造化されたデータを生成することが可能な電子機器等を提供すること。
【解決手段】プリンタ100が、コンテンツごとに少なくとも1つの識別名称の定義付けがされたコンテンツデータ124を入力する入力部110と、前記識別名称と階層名との対応付けを示し、かつ、前記階層名ごとに当該階層の上位階層および下位階層を示す階層構築用辞書データ122等を記憶する記憶部120と、コンテンツデータ124と、階層構築用辞書データ122とに基づき、前記識別名称が前記階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データ126を生成するデータ生成部130とを含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層構造を有するデータを生成することが可能な電子機器およびデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の急速なデジタル技術とネットワーク技術の発展により、音楽、写真、動画等のコンテンツがデジタル化されてインターネット等のネットワーク上で検索、閲覧されることが一般的になりつつある。例えば、インターネットのサイトであるFlickerでは、大量の画像データが格納されており、多数の利用者によって画像データの検索、閲覧が行われている。
【0003】
一方、ホームネットワーク技術の進展に伴って、家庭内でのデジタルコンテンツ配信技術も一般的になりつつある。例えば、DLNA(Digital Living Network Alliance)による標準仕様に準拠したデジタルTV、DMS(Digital Media Server)、プリンタ等を用いて、家庭内で蓄積したデジタル写真をデジタルTVで閲覧してプリンタで印刷すること等が提案されている。
【0004】
ここで問題となるのは、上記双方のコンテンツ管理手法には大きな隔たりがあるため、双方の接続が難しいことである。具体的には、前者は、不特定大量のコンテンツを取り扱うため、コンテンツに対する識別名称(例えば、花、趣味、サボテン等のユーザーが任意に付与した文字列)を用いてコンテンツを管理する傾向がある。後者は、木構造を持つ階層化したディレクトリーを用いてコンテンツを管理することが仕様で定められている。
【0005】
このような問題を解決する手法として検索の際に用いられる識別名称を自動的に階層化することが考えられる。例えば、特開2002−189740号公報では、HTML文書を一定の階層化ルールに基づいて階層構造化し、変換ルールに基づいて意味づけされたデータに組み替えるデータ変換システムが記載されている。
【0006】
また、特開平9−284571号公報では、入力される記事を階層構造化し、相互関連のあるものに関連記号を付加する電子新聞システムが記載されている。
【特許文献1】特開2002−189740号公報
【特許文献2】特開平9−284571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特開2002−189740号公報の手法は、文章中に記述されたタグ名による階層化であって、識別名称の意味内容に応じて階層化する手法ではない。また、特開平9−284571号公報の手法では、木構造に階層化することが記載されているが、階層化するための具体的な手法は記載されていない上、階層構造が分野、大分類、中分類、小分類のように固定化されており柔軟に階層化することができない。
【0008】
本発明の目的は、識別名称の定義付けがされたコンテンツを検索可能なデータであって、かつ、より柔軟に階層構造化されたデータを生成することが可能な電子機器およびデータ生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、
コンテンツごとに少なくとも1つの識別名称の定義付けがされたコンテンツデータを入力する入力部と、
前記識別名称と階層名との対応付けを示し、かつ、前記階層名ごとに当該階層の上位階層および下位階層を示す階層構築用辞書データを記憶する記憶部と、
前記コンテンツデータと、前記階層構築用辞書データとに基づき、前記識別名称が前記階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データを生成するデータ生成部と、
を含み、
前記データ生成部は、前記コンテンツデータの前記識別名称が前記階層構築用辞書データの前記階層名と一致しない場合には当該識別名称を前記階層名として定義することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るデータ生成方法は、
入力部と、階層構築用辞書データを記憶する記憶部と、データ生成部とを有する電子機器におけるデータ生成方法において、
前記階層構築用辞書データは、識別名称と階層名との対応付けを示し、かつ、前記階層名ごとに当該階層の上位階層および下位階層を示し、
前記入力部は、コンテンツごとに少なくとも1つの前記識別名称の定義付けがされたコンテンツデータを入力し、
前記データ生成部は、前記コンテンツデータと、前記階層構築用辞書データとに基づき、前記コンテンツデータの前記識別名称が前記階層構築用辞書データの前記階層名と一致しない場合には当該識別名称を前記階層名として定義することにより、前記識別名称が前記階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データを生成することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、電子機器は、識別名称の定義付けがされたデータを入力し、階層化された階層構築用辞書データを用いることにより、識別名称が階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データを生成することができる。
【0012】
また、本発明によれば、電子機器は、識別名称が階層構築用辞書データの階層名と一致しない場合であっても新たな階層として定義することにより、当該識別名称も階層の1つとして取り扱うことができる。
【0013】
これにより、電子機器は、識別名称が階層化された状態の階層化データをより柔軟に生成することができ、識別名称の定義付けがされたコンテンツを検索することも可能になる。
【0014】
また、前記データ生成部は、前記階層化データを生成する際に、前記コンテンツデータの前記識別名称が前記階層構築用辞書データの前記階層名と部分一致する場合、当該階層および当該階層を上位階層とする当該識別名称を前記階層名として定義した階層を前記階層化データに追加してもよい。
【0015】
これによれば、電子機器は、識別名称が下位概念の用語または非標準的な用語で表されている場合であっても、上位概念の用語または標準的な用語で上位の階層を階層化データに設けることができる。これにより、ユーザーは、上位概念の用語または標準的な用語の階層から識別名称を有する階層を見つけることができ、電子機器は、検索し易さを向上させることができる。
【0016】
また、前記データ生成部は、前記階層化データを生成する際に、前記コンテンツの所在を示すデータを前記識別名称と一致する前記階層名の階層と関連付けてもよい。
【0017】
これによれば、電子機器は、識別名称を有する階層からコンテンツの所在を把握することができ、外部機器に対してコンテンツの所在を示す情報を提供することができる。
【0018】
また、前記コンテンツデータは、インターネットに接続されたサーバーに記憶されたデータであって、
前記入力部は、前記インターネットを介して前記コンテンツデータを受信することによって前記コンテンツデータを入力してもよい。
【0019】
これによれば、電子機器は、インターネットを介してコンテンツデータを取得して階層化データを生成することができる。特に、インターネットに存在するデータは種々のユーザーによって任意の識別名称が付与されるが、電子機器は、任意の識別名称が付与されたコンテンツであっても検索可能な階層化データを生成することができる。
【0020】
また、前記電子機器は、
外部機器からの所望のコンテンツの取得要求を示し、かつ、前記階層名の指定された要求情報を受信する受信部と、
前記要求情報に基づき、前記階層化データから前記所望のコンテンツを検索する検索部と、
当該検索部によって検索された前記所望のコンテンツを前記外部機器へ向け送信する送信部と、
を含んでもよい。
【0021】
これによれば、電子機器は、外部機器からの要求に応じて階層化データから所望のコンテンツを検索して提供することができる。
【0022】
また、前記要求情報は、前記階層化データにおける階層間の移動操作または階層からコンテンツへの移動操作を示す情報であって、
前記検索部は、当該移動操作に応じて検索対象を示す情報を変更することによって前記所望のコンテンツを検索してもよい。
【0023】
これによれば、電子機器は、移動操作に応じてコンテンツを検索することができる。これにより、ユーザーは、キーボード等を用いて識別名称を入力することなく、電子機器本体のカーソルキー(矢印キー)や、リモコン(リモートコントローラ)を用いた移動操作だけで所望のコンテンツを検索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を、通信機能を有するプリンタに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成の全てが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0025】
(システム全体の説明)
図1は、本実施例におけるコンテンツデータ210の模式図である。また、図2は、本実施例における階層化データ126の模式図である。
【0026】
コンテンツデータ210は、インターネットに接続されたサーバーに記憶されており、ユーザーは、PC(Personal Computer)等を用いてインターネットにアクセスし、識別名称(「タグ」と呼ばれる場合もある。)を指定した検索を行い、当該識別名称と一致したコンテンツから所望のコンテンツを再生する。
【0027】
このように、インターネットのコンテンツでは、階層的な分類は行われず、ユーザーによって自由な識別名称が付けられていることが多い。これは、ユーザーは、PCのキーボードを用いて比較的容易に文字入力が行えるからである。
【0028】
これに対し、プリンタやTV等の電子機器には、キーボードは備えられておらず、ユーザーは電子機器本体のカーソルキー(矢印キー)やリモコン(リモートコントローラ)を用いて目的とするコンテンツを選択する必要がある。
【0029】
本実施例では、コンテンツデータ210を入力して階層化データ126を生成することにより、リモコンを用いた場合であっても目的とするコンテンツを検索しやすいプリンタを実現している。次に、このような機能を有するプリンタの機能ブロックについて説明する。
【0030】
図3は、本実施例におけるプリンタ100の機能ブロックの一例を示す図である。
【0031】
電子機器の一種であるプリンタ100は、インターネット300を介してサーバー200からコンテンツデータ210を入力する入力部110と、種々のデータを記憶する記憶部120と、階層化データ126の生成を行うデータ生成部130と、検索画像等を生成する画像生成部140と、種々の画像を出力する出力部150と、外部機器の一種であるTV400から要求情報等を受信する受信部160と、TV400へ向け画像情報等を送信する送信部170と、検索部180とを含んで構成されている。
【0032】
また、出力部150は、画像生成部140によって生成される画像を印刷する印刷部152を含んで構成されている。
【0033】
また、記憶部120は、入力部110によって入力されるコンテンツデータ124、データ生成部130によって生成される階層化データ126、階層化データ126を生成するために用いられる階層構築用辞書データ122等を記憶している。
【0034】
ここで、階層構築用辞書データ122についてより詳細に説明する。図4は、本実施例における階層構築用辞書データ122の一例を示す図である。
【0035】
階層構築用辞書データ122の項目としては、例えば、階層の上下方向における位置を示す「段数」、対象階層を示す「階層名」、対象階層のすぐ上にある階層を示す「上位階層名」、対象階層のすぐ下にある階層を示す「下位階層名」、対象階層に該当する識別名称を示す「識別名称」等が該当する。このように、階層構築用辞書データ122では、識別名称と階層名との対応付けが行われ、かつ、階層名ごとに当該階層の上位階層および下位階層が定義されている。
【0036】
なお、「識別名称」における*は、0文字以上の文字列を示す。すなわち、例えば、「*旅行」としては、例えば、「アフリカ旅行」、「修学旅行」等が該当する。また、「NULL」は値がないことを示す。
【0037】
具体的には、例えば、階層「ルート」は、「段数」が「0」、「階層名」が「ルート」、「上位階層名」が「NULL」、「下位階層名」が「お気に入り、旅行等」、「識別名称」が「NULL」である。また、例えば、階層「旅行」は、「段数」が「1」、「階層名」が「旅行」、「上位階層名」が「ルート」、「下位階層名」が「温泉、アフリカ旅行等」、「識別名称」が「*旅行等」である。
【0038】
次に、階層化データ126についてより詳細に説明する。図5は、本実施例における階層化データ126の一例を示す図である。
【0039】
階層化データ126の項目としては、例えば、階層の上下方向における位置を示す「段数」、対象階層を示す「階層名」、対象階層のすぐ上にある階層を示す「上位階層名」、対象階層のすぐ下にある階層を示す「下位階層名」、対象階層に関連付けられたコンテンツのリンクを示す「リンク」等が該当する。このように、階層化データ126では、識別名称が階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層が定義されている。
【0040】
なお、「リンク」としては、例えば、コンテンツの識別情報、コンテンツの記憶場所を示すアドレス等が該当する。また、「リンク」は、コンテンツそのものであってもよい。説明をわかりやすくするため、本実施例では、「リンク」としてコンテンツの識別名を用いるものとする。
【0041】
例えば、階層化データ126が図2に示す階層構造になっている場合、階層「旅行」は、「段数」が「1」、「階層名」が「旅行」、「上位階層名」が「ルート」、「下位階層名」が「温泉、アフリカ旅行」、「リンク」が「NULL」である。また、この場合、階層「アフリカ旅行」は、「段数」が「2」、「階層名」が「アフリカ旅行」、「上位階層名」が「旅行」、「下位階層名」が「NULL」、「リンク」が「DSC10406.JPG、DSC10407.JPG、DSC10408.JPG」である。
【0042】
なお、入力部110等の各部の機能は、例えば、以下のハードウェアを用いてプリンタ100に実装してもよい。例えば、入力部110、受信部160、送信部170としては、LANカード等、記憶部120としてはRAM、HDD等、データ生成部130、検索部180としてはCPU等、画像生成部140としては画像処理回路等、印刷部152としてはインク、インクヘッド等を用いてもよい。
【0043】
また、入力部110、受信部160、送信部170のハードウェアとしては、適用されるネットワーク、通信方式、プロトコル等に応じて任意のものを採用可能であり、入力部110、受信部160、送信部170は一体化されたハードウェアであってもよいし、それぞれが別体のハードウェアであってもよい。
【0044】
(階層構造化処理の流れの説明)
次に、プリンタ100が、コンテンツデータ210を入力して階層化データ126を生成するまでの階層構造化処理の流れについて説明する。図6は、本実施例における階層構造化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0045】
ここでは、図1に示すように、コンテンツデータ210のうち、4つの静止画データ(図1に示すすべてのデータ)をプリンタ100が入力するものとする。まず、入力部110は、サーバー200からコンテンツデータ210をコンテンツごとに入力し、コンテンツデータ124として記憶部120に記憶する(ステップS1)。
【0046】
データ生成部130は、新たに記憶されたコンテンツデータ124に未処理の識別名称があるかどうかを判定する(ステップS2)。そして、データ生成部130は、未処理の識別名称がある場合、当該識別名称が階層化データ126の階層にないかどうかを判定する(ステップS3)。
【0047】
そして、データ生成部130は、当該識別名称が階層化データ126の階層にない場合、当該識別名称が階層構築用辞書データ122の階層名と一致(完全一致)するかどうかを判定する(ステップS4)。例えば、識別名称が「お気に入り」である場合、階層構築用辞書データ122の階層名と一致し、識別名称が「友人A」である場合、階層構築用辞書データ122の階層名と一致しない。
【0048】
そして、データ生成部130は、識別名称が階層構築用辞書データ122の階層名と一致した場合、階層構築用辞書データ122に基づき、当該階層および当該階層の上位階層のうち、階層化データ126にない階層を階層化データ126に追加する(ステップS5)。例えば、識別名称が「お気に入り」であって、初回の処理である場合、データ生成部130は、階層「ルート」および階層「お気に入り」を階層化データ126に追加する。なお、データ生成部130は、階層「お気に入り」を追加する際には「リンク」として「DSC00001.JPG」も追加する。
【0049】
また、データ生成部130は、対象の識別名称が階層構築用辞書データ122の階層名と一致しない場合、当該識別名称が階層構築用辞書データ122の識別名称と一致するかどうかを判定する(ステップS6)。なお、階層構築用辞書データ122の識別名称に*が含まれる場合は部分一致(前方一致、一部一致および後方一致)の場合も一致として判定される。
【0050】
そして、データ生成部130は、識別名称が階層構築用辞書データ122の識別名称と一致した場合、階層構築用辞書データ122に基づき、一致した階層、当該階層の上位階層のうち階層化データ126にない階層を階層化データ126に追加するとともに、対象の識別名称を階層名とする階層を階層化データ126に追加する(ステップS7)。例えば、識別名称が「友人A」であって、階層「ルート」が階層化データ126にあり、階層「人物」が階層化データ126にない場合、データ生成部130は、階層「人物」および階層「友人A」を階層化データ126に追加する。なお、データ生成部130は、階層「友人A」を追加する際には「リンク」として「DSC10407.JPG、DSC10408.JPG」も追加する。
【0051】
また、データ生成部130は、対象の識別名称が階層構築用辞書データ122の階層名と一致せず、階層構築用辞書データ122の識別名称とも一致しない場合、階層構築用辞書データ122に基づき、階層「その他」が階層化データ126にない場合は階層「その他」を階層化データ126に追加するとともに、対象の識別名称を階層名とする階層を階層「その他」の下に配置する形で階層化データ126に追加する(ステップS8)。
【0052】
また、データ生成部130は、上述したステップS3の判定において、対象の識別名称が階層化データ126の階層にある場合、当該識別名称で識別されるコンテンツが階層化データ126のリンクにないかどうかを判定する(ステップS9)。
【0053】
そして、データ生成部130は、当該コンテンツが階層化データ126のリンクにない場合、階層化データ126の当該階層のリンクを更新する(ステップS10)。
【0054】
具体的には、例えば、図1に示すコンテンツデータ210を順番に処理する場合、2つ目のコンテンツにある識別名称「お気に入り」は階層化データ126に階層として追加済みであるが、階層化データ126の階層「お気に入り」の「リンク」は「DSC00001.JPG」のみである。この場合、データ生成部130は、階層「お気に入り」の「リンク」に「DSC10406.JPG」を追加する。
【0055】
プリンタ100は、以上の処理(ステップS1〜S10)を未入力のコンテンツデータ210がなくなるまで(ステップS11)、繰り返し実行する。
【0056】
以上の手順により、プリンタ100は、コンテンツデータ210を入力して図5に示す階層化データ126を生成することができる。
【0057】
(検索処理の流れの説明)
次に、ユーザーが、TV400のリモコンを操作してプリンタ100に記憶された所望のコンテンツを再生する場合について説明する。図7は、本実施例における検索処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
データ生成部130は、受信部160からの情報に基づき、TV400から検索要求があったかどうかを判定する(ステップS21)。
【0059】
データ生成部130によって検索要求があったと判定された場合、画像生成部140は、階層化データ126に基づき、検索画像を表示するための画像情報を生成し、送信部170は、当該画像情報をTV400へ向け送信する(ステップS22)。
【0060】
図8は、本実施例における検索画像500〜504の遷移の一例を示す図である。例えば、画像生成部140は、最初の検索画像として、階層化データ126の段数が1である階層の階層名を示す検索画像500を表示するための画像情報を生成する。なお、各検索画像500〜504は、リモコンの上下キーによって同一段にある別の階層に移動でき、リモコンの左キーによって1つ上の階層に移動でき、リモコンの右キーによって1つ下の階層またはコンテンツに移動できるようになっている。
【0061】
検索部180は、受信部160からの情報に基づき、階層間の移動を示す階層指定操作があったかどうかを判定する(ステップS23)。階層指定操作があった場合、画像生成部140は、操作に応じて階層を移動した検索画像を表示するための画像情報を生成し、送信部170は、当該画像情報をTV400へ向け送信する(ステップS24)。
【0062】
例えば、検索画像500が表示されてカーソルが「旅行」にある状態で、ユーザーがリモコンの右キーを押した場合、「アフリカ旅行」が選択された状態の検索画像502が表示される。なお、検索画像500、502における「*」はコンテンツがあることを意味する。例えば、「お気に入り*」と表示されていれば、「お気に入り*」を選択した状態でリモコンの右キーが押されればコンテンツの概要が表示される。
【0063】
そして、データ生成部130は、受信部160からの情報に基づき、コンテンツ決定かどうかを判定する(ステップS25)。例えば、コンテンツの概要を示す検索画像504が表示された状態で、カーソルが「DSC10407.JPG」の位置にあり、決定キーが押されればコンテンツが「DSC10407.JPG」に決定されたことになる。なお、説明をわかりやすくするため、検索画像504におけるコンテンツを名称で示しているが、画像生成部140は、当該コンテンツをサムネイル画像で示してもよい。
【0064】
コンテンツ決定の場合、画像生成部140は、決定されたコンテンツ(静止画像)を表示するための画像情報を生成し、送信部170は、当該画像情報をTV400へ向け送信する(ステップS26)。これにより、TV400は、当該画像情報に基づいて静止画像を表示することができる。
【0065】
プリンタ100は、以上の処理(ステップS21〜S26)を操作が終了するまで(ステップS27)繰り返し実行する。
【0066】
以上のように、本実施例によれば、プリンタ100は、識別名称の定義付けがされたデータを入力し、階層化された階層構築用辞書データ122を用いることにより、識別名称が階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データ126を生成することができる。特に、本実施例によれば、プリンタ100は、階層化データ126を動的に生成することにより、あらかじめ分類を定めることなく、上位と下位の階層を接続でき、新規の識別名称も新たな階層として追加できる上、コンテンツとのリンクも保つことができる。
【0067】
したがって、本実施例によれば、プリンタ100は、インターネット300に接続されるサーバー200に記憶されたコンテンツデータ210のように階層構造を有していないデータであっても、柔軟に階層化データ126に変換することができ、識別名称の定義付けがされたコンテンツを検索することも可能になる。
【0068】
また、本実施例によれば、プリンタ100は、階層構築用辞書データ122の識別名称に*を用いて部分一致を判定することができ、部分一致した階層を上位階層とする階層を定義することができるため、識別名称が下位概念の用語または非標準的な用語で表されている場合であっても、上位概念の用語または標準的な用語で上位の階層を階層化データ126に設けることができる。これにより、ユーザーは、上位概念の用語または標準的な用語の階層から識別名称を有する階層を見つけることができ、プリンタ100は、検索し易さを向上させることができる。
【0069】
さらに、本実施例によれば、プリンタ100は、TV400等からコンテンツの検索要求があった場合であっても、識別名称を特定することなく、カーソルキーやリモコンの上下左右のキー操作のみで階層間の移動を行うことによって階層化データ126を検索し、階層からコンテンツへの移動も行えるため、検索元に所望のコンテンツを提供することができる。これにより、プリンタ100は、TV400等のDLNA環境にのみ対応した機器に対して識別名称の定義づけがされたコンテンツを提供することが可能となり、ユーザーにとって利便性の高い検索を行える。
【0070】
(その他の実施例の説明)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0071】
例えば、コンテンツは記憶部120に記憶されなくてもよい。すなわち、階層化データ126の「リンク」は、サーバー200にあるコンテンツデータ210内のコンテンツの記憶場所を示すものであってもよい。また、コンテンツデータ210を入力して階層化データ126に変換する処理時点は、例えば、コンテンツの検索要求があった時点等であってもよい。
【0072】
また、上述した実施例ではTV400のリモコンを用いた操作であったが、プリンタ100は、TV400本体に設けられたカーソルキーや、プリンタ100本体に設けられたカーソルキーの操作に応じて検索画像500〜504を表示するための画像情報の生成等を行ってもよい。
【0073】
また、入力部110、受信部160、送信部170が情報を入出力するネットワークはインターネット300や家庭内ネットワークには限定されない。例えば、入力部110は、ブルートゥースを用いた無線通信によって携帯電話に記憶されたコンテンツデータを入力してもよい。
【0074】
また、プリンタ100は、階層構築用辞書データ122をユーザーに編集させてもよい。これによれば、ユーザーは、自分の使用環境に応じて階層名や識別名称の追加、変更、上下階層との関連付け等を行うことができる。
【0075】
また、画像生成部140は、階層名の使用頻度、優先度、人気度、類似度等に応じて階層を並べ替えて検索画像等を生成してもよい。これによれば、例えば、検索部180が、下位階層への移動操作、コンテンツへの移動操作が行われた回数を階層ごとにカウントし、画像生成部140が、当該回数に基づいて使用頻度の高い階層名から階層を配置した検索画像を生成することにより、プリンタ100は、ユーザーの検索効率を向上させることができる。
【0076】
また、プリンタ100は、プリンタ100の操作ボタンに応じてコンテンツを決定し、決定したコンテンツを、印刷部152を用いて印刷してもよい。また、コンテンツは、静止画データには限定されず、例えば、動画データ、音声データ、プログラム、文字データ、数値データ等であってもよい。
【0077】
また、電子機器としては、プリンタ100だけではなく、TV400、フォトストレージ機器、プロジェクタ、DVDレコーダー、携帯音楽プレーヤー、ゲーム装置、携帯電話等の画像や音を用いる種々の機器を採用可能である。また、外部機器もTV400には限定されず、プリンタ、フォトストレージ機器、プロジェクタ、DVDレコーダー、携帯音楽プレーヤー、ゲーム装置、携帯電話等の画像や音を用いる種々の機器を採用可能である。
【0078】
また、入力部110等の機能は複数の電子機器に分散して実装されてもよい。例えば、入力部110、記憶部120、データ生成部130、画像生成部140、受信部160、送信部170をDVDレコーダーに設け、表示機能を有する出力部150をTVに設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施例におけるコンテンツデータの模式図である。
【図2】本実施例における階層化データの模式図である。
【図3】本実施例におけるプリンタの機能ブロックの一例を示す図である。
【図4】本実施例における階層構築用辞書データの一例を示す図である。
【図5】本実施例における階層化データの一例を示す図である。
【図6】本実施例における階層構造化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施例における検索処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施例における検索画像の遷移の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
100 プリンタ(電子機器)、110 入力部、120 記憶部、122 階層構築用辞書データ、124 コンテンツデータ、126 階層化データ、130 データ生成部、140 画像生成部、150 出力部、152 印刷部、160 受信部、170 送信部、180 検索部、200 サーバー、300 インターネット、400 TV(外部機器)、500〜504 検索画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツごとに少なくとも1つの識別名称の定義付けがされたコンテンツデータを入力する入力部と、
前記識別名称と階層名との対応付けを示し、かつ、前記階層名ごとに当該階層の上位階層および下位階層を示す階層構築用辞書データを記憶する記憶部と、
前記コンテンツデータと、前記階層構築用辞書データとに基づき、前記識別名称が前記階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データを生成するデータ生成部と、
を含み、
前記データ生成部は、前記コンテンツデータの前記識別名称が前記階層構築用辞書データの前記階層名と一致しない場合には当該識別名称を前記階層名として定義することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記データ生成部は、前記階層化データを生成する際に、前記コンテンツデータの前記識別名称が前記階層構築用辞書データの前記階層名と部分一致する場合、当該階層および当該階層を上位階層とする当該識別名称を前記階層名として定義した階層を前記階層化データに追加することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載の電子機器において、
前記データ生成部は、前記階層化データを生成する際に、前記コンテンツの所在を示すデータを前記識別名称と一致する前記階層名の階層と関連付けることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器において、
前記コンテンツデータは、インターネットに接続されたサーバーに記憶されたデータであって、
前記入力部は、前記インターネットを介して前記コンテンツデータを受信することによって前記コンテンツデータを入力することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器において、
外部機器からの所望のコンテンツの取得要求を示し、かつ、前記階層名の指定された要求情報を受信する受信部と、
前記要求情報に基づき、前記階層化データから前記所望のコンテンツを検索する検索部と、
当該検索部によって検索された前記所望のコンテンツまたは当該コンテンツの所在を示す情報を前記外部機器へ向け送信する送信部と、
を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、
前記要求情報は、前記階層化データにおける階層間の移動操作または階層からコンテンツへの移動操作を示す情報であって、
前記検索部は、当該移動操作に応じて検索対象を示す情報を変更することによって前記所望のコンテンツを検索することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
入力部と、階層構築用辞書データを記憶する記憶部と、データ生成部とを有する電子機器におけるデータ生成方法において、
前記階層構築用辞書データは、識別名称と階層名との対応付けを示し、かつ、前記階層名ごとに当該階層の上位階層および下位階層を示し、
前記入力部は、コンテンツごとに少なくとも1つの前記識別名称の定義付けがされたコンテンツデータを入力し、
前記データ生成部は、前記コンテンツデータと、前記階層構築用辞書データとに基づき、前記コンテンツデータの前記識別名称が前記階層構築用辞書データの前記階層名と一致しない場合には当該識別名称を前記階層名として定義することにより、前記識別名称が前記階層名として定義付けられ、かつ、当該階層名の階層の上位階層および下位階層を示す階層化データを生成することを特徴とするデータ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−129985(P2008−129985A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316719(P2006−316719)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】