電子機器に対する放射線防護を備える直接変換X線検出器
【課題】X線を電荷キャリアに直接変換する少なくとも一つのX線センサーを有する、X線検出器を提供する。
【解決手段】本発明のX線検出器は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換するX線センサー(第一のX線センサー)を有し、X線センサーに電気的に接続され好ましくは集積回路として形成される信号評価電子回路を有し、信号評価電子回路を防護するために形成されるX線吸収体を有し、及びX線吸収体に対してX線センサーを位置調整するために形成され配置されるセンサーキャリア(第一のセンサーキャリア)を有し、X線放射線の入射方向で見た場合に、信号評価電子回路がX線吸収体の後方でそのX線放射線の影の中に配置され、X線センサーが、X線吸収体と信号評価電子回路との間に好ましくは配置されるセンサーキャリアにより、少なくとも部分的にX線吸収体の後方で、そのX線放射線の影の外側に配置される。
【解決手段】本発明のX線検出器は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換するX線センサー(第一のX線センサー)を有し、X線センサーに電気的に接続され好ましくは集積回路として形成される信号評価電子回路を有し、信号評価電子回路を防護するために形成されるX線吸収体を有し、及びX線吸収体に対してX線センサーを位置調整するために形成され配置されるセンサーキャリア(第一のセンサーキャリア)を有し、X線放射線の入射方向で見た場合に、信号評価電子回路がX線吸収体の後方でそのX線放射線の影の中に配置され、X線センサーが、X線吸収体と信号評価電子回路との間に好ましくは配置されるセンサーキャリアにより、少なくとも部分的にX線吸収体の後方で、そのX線放射線の影の外側に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換する、少なくとも一つのX線センサーを有する、X線検出器と、複数のそのようなX線検出器の配列とに関する。
【背景技術】
【0002】
入射するX線放射線を可視光及び/または紫外光に変換するシンチレーターを一般的に含むX線放射線の画像検出器が、従来技術で知られている。そして、この光は、光電子倍増管または半導体検出器(例えば、CCD光検出器)により検出され、例えば、接続されたコンピュータシステムにおける、さらなる処理に利用可能である。この解決策は、一方では、専門的であり、従って、市場において、様々なバリエーションがある。これに関しては、例えば特許文献1を参照されたい。
【0003】
シンチレーター原理の欠点は、一方では、限られた空間解像度であるが、これは、無機シンチレーター(例えば、硫化亜鉛基またはヨウ化ナトリウム基)が、いわゆる活性化中心で可視光または紫外光のみを放射し、この光が、続いて、シンチレーターで散乱し、これが、例えば、CCDセンサーの一ピクセルとその隣のピクセルとの間に高いクロストークをもたらす。また、シンチレーターは、残光の特性を有し、従って、そのようなセンサーの動的特性及びイメージシーケンス速度は、悪影響を受ける。さらなる欠点が、シンチレーターの特有の特性及び化学的組成から生じる。従って、単結晶としての複雑な製造が、例えば十分な光の透過率を保証するために要求される。概して、環境影響(例えば湿度)に対して感度が高く、耐用年数が限られる。これらの特有な特性は、シンチレーターに基づくX線検出器の非常に高い価格にも反映されている。
【0004】
さらに、直接変換X線検出器が、従来技術で知られている(例えば、特許文献2参照)。これらにおいては、電子とホールの対が、X線光子により、X線検出器のX線センサーの半導体材料において直接生じ、続いて、該電子とホールの対が、適用される電界(例えば50から40ボルトの例えば適用電圧に相当)により、分離され、運搬され得る。これにより、強度がエネルギーと入射するX線放射線の強度とに比例する、小さい電流が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような直接変換X線検出器に関する。
【0006】
そのような直接変換X線センサーでは、もともと非常に小さい信号電圧または信号電流しか発生しないため、X線センサー(直接変換を行う半導体材料を含むX線検出器の構成要素)の下流に接続される信号処理電子回路(以下の本発明の枠内では、信号評価電子回路とも呼ばれる)は、混信及び/または雑音電圧の結合を最小にするために、X線センサーにできるだけ近く配置される必要がある。このような電子回路は、しばしば、例えば、必要に応じて本発明の枠内においても、シリコンベースの専用設計された固有の集積回路(以下、ASICとも呼ばれる)として実現される。しかしながら、このような電子回路は、一般に、X線放射線またはガンマ線放射線等の高エネルギー放射線による直接放射に対して、放射線に非常に敏感であり、これは、短い放射時間後に、不可逆なパラメータ変化、または、集積回路のアクティブ構造の破壊をもたらし得る。
【0007】
信号評価電子回路の破壊を含むそのような問題を回避するために、放射線に敏感な電子回路をX線検出器の画像コンポーネントのハウジング形状の外側に配置することが知られている(特許文献3)。しかしながら、この解決策は、直接変換X線センサーでは、非常に困難であるか、または実用的ではない。これは、上述したように、電子回路は、直接変換検出器のX線センサーの近くに配置されるべきであるからである。
【0008】
従って、従来技術を発端として、本発明の目的は、X線を電荷キャリアに直接変換する、少なくとも一つのX線センサーを有する、X線検出器を提供することであり、X線センサーに接続される信号評価電子回路が、X線センサーにできるだけ近く配置され、にもかかわらず、高エネルギーのX線放射線から十分に防護される。さらに、本発明の目的は、特に上述した目的と併せて、エネルギー選択的な直接変換X線検出器を提供することである。併せて(単独でも)、さらに、本発明の目的は、検出器の設計に用いられる異なる材料の温度適応の改善が実現される、直接変換X線検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1から6に記載のX線検出器と、請求項13に記載の配置とにより、達成される。ここで、本発明によるX線検出器の有利な実施形態または配置は、各従属請求項から生じる。
【0010】
本発明は、まず、以下に概要が説明され、続いて、個々の実施形態を参照して詳細が説明される。ここで、個々の実施形態において、互いに組み合わされて示される個々の特徴及び/または個々のアセンブリは、本発明の枠内の実施形態で特に示される構造において実現される必要はなく、むしろ他の構造で実現されてもよい。示される構成要素及び/または特徴のそれぞれは、特に、他の構成要素及び/または特徴と異なる方法で組み合わされてもよく、省略されてもよい。一実施形態において示される個々の特徴それぞれは、特に、単独の特徴として、すなわち、示される対応実施形態の他の個々の特徴を備えることなく、実現されてもよく、それ自体が既知の従来技術に亘る利点をもたらしてもよい。
【0011】
以下において、本発明の枠内で、構成要素(例えばX線センサー)が他の構成要素(例えばセンサーキャリア)上に配置される、または、他の二つの構成要素の間に配置される(例えばX線センサーと基質との間のX線センサー)と記載されている場合、これは、他に記載がなければ、複数の構成要素が互いに強固に接続されていることを示している。しかしながら、このことは、この接続が、例えば、互いに並ぶ二つの構成要素が互いに直接隣接する必要がないように、二つの構成要素の間の薄い導電性接着層によって実現されることを排除するものではない。
【0012】
本発明による(第一の)X線検出器は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換するX線センサーを含む(以降において、複数のX線センサーが存在する場合は、これらのX線センサーも第一のX線センサーと呼ぶ)。信号評価電子回路が、X線センサーから信号を得て、得られた信号を処理するために、この(第一の)X線センサーに、電気的に接続される。この信号評価電子回路は、特に、一つ以上の集積回路を含んでもよい(回路は、例えばASICとして形成可能である)。信号評価電子回路を防護するために、用いるX線スペクトルのX線光子(40から300keVの間の最大エネルギー)を容易に吸収するX線スペクトル材料が、さらに備えられる。この吸収体は、例えば、ZrO2セラミック材料から(例えば、鉛からも)形成可能である。さらに、X線吸収体に対してX線センサーを配置可能なように形成され配置される、(少なくとも)一つのセンサーキャリアが、備えられる。
【0013】
本発明によれば、X線放射線の入射方向で見た場合、信号評価電子回路は、一方では、X線吸収体の後方で、このX線吸収体のX線放射線の影の中に配置される(ここで、X線放射線の影は、X線放射線の入射方向に垂直な平面におけるX線吸収体の最大断面積の平行投影により、X線放射線の入射方向において生じる空間領域である)。他方では、X線センサーは、X線センサーが、(X線放射線の入射方向で見た場合)少なくとも部分的にX線吸収体の後方に配置されるように、センサーキャリアにより、(例えばその上への配置により)配置される。しかしながら、信号評価電子回路とは異なり、X線センサーは、センサーキャリアを用いた適切な位置調整により、X線吸収体のX線放射線の影の外側に配置される。
【0014】
このX線検出器の有利な第一の実施形態(これは、以降に紹介される本発明のX線検出器のバリエーションにも適用される)では、(第一の)センサーキャリアは、X線放射線の入射方向で観て、X線吸収体と信号評価電子回路との間に配置可能である。しかしながら、この入射方向で見た場合、まずX線吸収体、続いて評価電子回路、最後にセンサーキャリア(X線センサーがこれにより支持される)を配置することも、一般に同様に考えられる。これは、この構成が、上述した一例のように、X線センサーを、信号評価電子回路に非常に近く配置可能とするためである。
【0015】
さらなる有利な実施形態のバリエーションでは、本発明の(第一の)X線検出器は、特に回路基板として形成される基板を有する。X線吸収体、(少なくとも一つの)センサーキャリア及び信号評価電子回路は、この基板の上に共に配置される。X線放射線の入射方向で見た場合、この配置は、X線吸収体、(一つ以上の)センサーキャリア、及び信号評価装置の順で行われることが好ましい。しかしながら、上述したように、信号評価装置、X線吸収体、少なくとも一つのセンサーキャリアの順で隣接してもよい。
【0016】
さらに、X線放射線の入射方向に垂直に、及び、基板平面に垂直に見た場合に、基板とX線センサーとの間に配置されるセンサーキャリアの材料は、一方では、基板の材料の熱膨張係数と、他方では、X線センサーの熱膨張係数との間にある熱膨張係数を有する(熱膨張係数は、基板の熱膨張係数と、X線センサーの熱膨張係数との丁度中間にあることが好ましい)。このようにして、X線センサーの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数に適応可能であり、これは、特に、基板としてのセラミックキャリア上に配置されるX線センサーとしてのGaAs等の脆性材料に(その結果、異なる熱膨張係数を有する双方の材料に)有利である。これは、GaAsが、上述した熱適応のない説明構成おいて、X線検出器の動作で生じる温度変化により、ストレスクラックが生じ得る脆性材料であるためである。
【0017】
(第一の)センサーキャリアは、センサーキャリアがX線吸収体のX線放射線の影の中に適合する、すなわち、この影の中に完全に配置されるように、X線放射線の入射方向に垂直に、及び、基板平面に垂直に見た場合、X線吸収体と同じ熱膨張係数を有することが有利である。
【0018】
さらなる特に好ましいバリエーションでは、本発明による(第一の)X線検出器は、エネルギー選択的直接変換X線検出器(あるいは、以降において、X線直列センサーと呼ばれる)として形成される。この目的のために、検出器は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換するとともに、信号取得及び信号評価のために、信号評価電子回路に電気的に接続される、さらなる、第二のX線センサーを含む。また、この第二のX線センサーを上述したX線吸収体に対して位置調整するために形成され配置される、さらなるセンサーキャリア(第二のセンサーキャリア)が備えられる。この第二のセンサーキャリアは、第一のセンサーキャリアに対して上述したように、その材料に熱膨張係数に関して、第二のX線センサーの熱膨張係数が基板の熱膨張係数に適応されるように、設けられることが好ましい。
【0019】
第二のX線センサーは、X線放射線の入射方向で観て、第一のX線センサーの後方に配置され、第二のセンサーキャリアにより(例えば、第二のセンサーキャリアが第二のX線センサーの下に配置される)、X線吸収体の後方で、そのX線放射線の影の外側に配置される。第一のセンサー及び第一のセンサーキャリアに対する完全に類似する方法で、第二のセンサーキャリアは、第二のセンサーキャリアが完全にX線吸収体のX線放射線の影の中に配置され、第二のセンサーキャリアにより支持される第二のX線センサーを完全にX線吸収体のX線放射線の影の外側に持ち上げるように、X線放射線の入射方向に垂直に、及び、基板平面に垂直に見た場合に、X線吸収体(及び随意で第一のX線センサー)と同じ熱膨張係数を有してもよい。
【0020】
さらなる有利なバリエーションでは、第一及び/または第二のセンサーキャリア(好ましくは双方のセンサーキャリア)は、導電性で、及び、第一の及び/または第二のX線センサーの選択的な電圧供給のために設けられる。例えば、セラミックの基板とGaAsのX線センサーとの間に配置されるセンサーキャリアは、導電性の構成要素を含むAl2O3を含んでもよい(しかしながら、電圧供給は、これに代わり、または、これと組み合わせて、センサーキャリアとX線センサーとの間に導入される、薄い導電性接着層を用いて実現されてもよい)。
【0021】
本発明による(第二の)X線検出器は、以下の構造を有する。このX線検出器は、基板、特に、回路基板と、基板の第一の面に配置される、第一及び第二のX線センサー(双方が、それぞれ、X線放射線を、電荷キャリアに直接変換する)と、(信号取得と信号評価のために)二つのX線センサーに電気的に接続され、好ましくは集積回路として設けられる、(基板の第一の面とは反対側に位置する第二の面に配置され、好ましくは二つのX線センサーの反対側に位置する領域に配置される)信号評価電子回路と、信号評価電子回路の防護のために形成され、X線放射線の入射方向で見た場合に、信号評価電子回路の前方において、基板の第二の面に配置される、X線吸収体と、を含む。このX線吸収体は、信号評価装置がこのX線吸収体のX線放射線の影の中に配置されるように、配置される。
【0022】
この(第二の)X線センサーの有利な実施形態のバリエーションは、少なくとも一つのX線センサーと、信号評価電子回路との間に、基板を通じて繋がる導電性経路に基づく、(センサー信号を信号評価電子回路に伝達するための)電気的接続を有する。
【0023】
本発明による第一または第二のX線検出器の有利な実施形態のバリエーションは、以下のように実現される。
【0024】
検出器の二つのX線センサーは、入射するX線放射線の異なるスペクトル部位を吸収するために設けることができる。ここで、(入射する放射線に対向する)第一のX線センサーは、低エネルギーの放射線部位を吸収するために設けられることが好ましい。このX線センサーは、この目的のために、シリコンから形成されてもよく、または、シリコンを含んでもよい。そして、(入射するX線放射線から離れ、随意でX線放射線の影の中に配置される)第二のX線センサーは、第一のX線センサーに比べてより高いエネルギーの入射X線放射線部位を吸収するために設けられることが好ましい。第二のX線センサーは、この目的のために、GaAsを含んでもよく、またはGaAsから成ってもよい。従って、二つのX線センサーの二つの半導体材料の原子数または平均原子数は、異なることが有利である。
【0025】
本発明による第一または第二のX線検出器のさらなる有利なバリエーションでは、好ましくはスリット形状の開口部が備えられる、さらなるビーム停止部が備えられる。このビーム停止部は、本発明によるX線検出器の構成要素を収容するために設けられる、ハウジングのハウジング部位であってもよい。ここで、このビーム停止部(または対応するハウジング部位)は、X線センサーがビーム停止部またはハウジングの(ビームを吸収する)壁のX線放射線の影の中には配置されずに、開口部の後方に配置されるように、X線放射線の入射方向において、第一の(または二つの)X線センサーの前方に、また好ましくはX線吸収体の前方に、配置および配向される。
【0026】
さらなる有利なバリエーションでは、上述した本発明によるX線検出器は、一次元ライン検出器として形成される。この目的のために、X線センサーは、X線放射線の入射方向に垂直な方向及び基板平面で見た場合に、X線放射線の空間分解検出のために設けられる、複数の個別のピクセルを有する。そして、個別のピクセルは、それらにより生じるセンサー信号の伝達及び評価のために、例えばボンドワイヤー及び/またはフリップフロップ接点を介して、それぞれ信号評価電子回路に接続される。
【0027】
そのようなラインセンサー構造の二つのX線センサーを備える(エネルギー選択的な)場合、X線放射線の入射方向で見た場合に、一方では、第一のX線センサーのピクセルと、他方では、第二のX線センサーのピクセルとが、以下のように配置されることが有利である。この入射方向に平行に投影される第一のX線センサーのピクセルの断面が、第二のX線センサーのピクセルの断面に正確に投影される。この場合、同一の空間情報が、二つのラインセンサーで取得可能である。そして、上述したこれらのラインセンサー構造は、二次元で空間解像を行うX線検出器の配置の形成に用いられてもよい。個々のラインセンサーは、基板平面が互いに平行となるように積み重ねられ、第一の、または、第一及び第二のX線センサーの個々のラインセンサー構造が、X線放射線の入射方向に垂直で見た場合の平面において、一つまたは二つの二次元エリアセンサー構造を形成する。
【0028】
(エネルギー選択的な)二つのX線センサーが実現される、さらなる有利な実施形態では、二つのX線センサーは、互いに完全に独立して、それぞれ必要な電圧が供給されてもよい。特に、センサー双方に異なる高電圧が必要な場合、電荷分離のための高電圧源を、各X線センサーに対して別々に設けることが有利である。さらに、単一の高電圧源、または二つの高電圧源は、生じ得る半導体の高電圧アバランシェ降伏をいち早く認識し、この場合、高電圧をいち早く切るために、精度の高い電流モニター機能を備えてもよい。
【0029】
本発明によれば、従って、X線センサーの下流に配置され、X線に敏感な電子回路の放射線防護が、直線形状のX線センサーで確実に成され得る。このことは、特に、信号評価電子回路に関係するが、X線吸収体の放射線の影に配置される、多数の他の受動的な(より放射線に敏感な)構成要素にも関連する。(一般にハウジングの一部を形成する、スリット形状の開口部を備える上述した開口部は、この目的には不十分である。ハウジングの最大重量等の設計制約に因り、開口部は、敏感な電子回路の放射線防護を単独で確実に成すように厚く設けることはできない。)
【0030】
X線センサーの後方のX線放射線が、熱膨張係数に関して適合された形状のセンサーキャリアと併せた、付加的なX線吸収体の有利な実現により、特に最小に低減可能である(従って、X線放射線からの敏感な構成要素の十分な防護が確実になされる)だけでなく、X線検出器の個々の構成要素、特に、X線センサーの、支持基板への最適な温度適応も、実現可能である。
【0031】
本発明によれば、X線光子がまず低吸収半導体を通過し、続いて高吸収半導体を通過するように、同じ厚みの、低吸収半導体X線センサー(例えば、Siから作られる)と、高吸収半導体X線センサー(例えば、GaAsから作られる)とが、基板または相互接続デバイス上に、互いに並べられる。
【0032】
ここで、二つのX線センサーは、ライン検出器または面検出器のどちらかを作ることができるように、ピクセル電極として機能する、幾何学的に同じ電極構造が備えられてもよい。ここで、隣り合って配置される二つのエネルギー選択的X線センサーのピクセル構造は、(例えば、信号評価電子回路の下流に接続されるコンピュータシステムでの画像処理に対して)同じ空間情報を取得するために、互いに平行に配置されてもよい。
【0033】
二つのエネルギー選択的X線センサーは、別々の構成要素として実現されてもよく、(例えば対応する成形材料により)同一の構成要素に一体化されてもよい。それらには、それぞれ、それ自体の高電圧源が備えられ、個々の半導体タイプに最適な電荷分離を達成する。X線センサー双方は、例えば相互接続デバイスに取り付けられる、ワイヤーボンディング、または、フリップフロップボンディング等の、電子回路の構造及び接続技術の従来のプロセスで、(別々の構成要素として、または、一つの構成要素に一体化されて)作られてもよい。
【0034】
X線センサー(または、二つのエネルギー選択的X線センサーそれぞれ)が、ラインセンサーまたはエリアセンサーとして設けられる場合、幾何学的配置は、複数の個々のピクセルが、最小の位置的誤差で、互いに隣り合って配置されるように行われてもよい。こうして、ピクセル数が多い、例えば、1ライン1024ピクセル、または、1エリア1024×1024ピクセルのラインまたはエリアセンサーが可能である。
【0035】
本発明は、複数の実施形態を参照して、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明で用いられる、直接変換の基本原理を示す。
【図2】本発明による異なる二つのX線センサーを備えたエネルギー選択的X線検出器の基本原理を示す。
【図3】単一のX線センサーを備える本発明による第一のX線検出器を示す。
【図4a】二つの異なるX線センサーを備える本発明による第二のX線検出器を示す。
【図4b】二つの異なるX線センサーを備える本発明による第二のX線検出器を示す。
【図4c】二つの異なるX線センサーを備える本発明による第二のX線検出器を示す。
【図5a】二つの異なるX線センサーを備える本発明によるさらなるX線検出器を示す。
【図5b】二つの異なるX線センサーを備える本発明によるさらなるX線検出器を示す。
【図5c】二つの異なるX線センサーを備える本発明によるさらなるX線検出器を示す。
【図6】本発明によるX線検出器のライン構造の図を示す。
【図7】本発明によるX線検出器のプロトタイプのデザインの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明によるX線検出器またはX線センサーで用いられる直接変換の基本原理を示す。X線光子は、X線センサー材料において、適用されるDC電圧Vbiasの電界により分離され、電極に運搬され得る、電子−正孔の対を生じる。ここで、X線光子の空間分解検出を可能とする、複数の個別ピクセル電極の形態の電極の構造を、図の右側で確認することができる。電荷の運搬により、(小さい)電流(従って、60keVのX線光子は、GaAsにおいて、例えば平均で略105の電子−正孔対を生じる)が生じ、その強度は、入射するX線放射線のエネルギーおよび強度に比例する。干渉する電気的効果(個々のピクセルの個々のボンドワイヤー間の容量結合等)を防ぐため、上述したように、X線センサーと、下流の、増幅および評価を行う、信号評価電子回路との間に、できるだけ短いライン経路の存在が必要である。
【0038】
X線光子の吸収で、X線センサーの半導体の原子の数に因り、主たる効果として異なる効果が生じる。原子の数が少ない半導体(例えばシリコン)ではその結果、X線光子の散乱とコンプトン電子の発生とをもたらす、コンプトン効果が中心となる。原子の数が多い半導体(例えばGaAs)では、これに対して、フォト効果が中心となる。X線光子の吸収の結果として、半導体の電子殻の殻からの電子の放出がもたらされる。
【0039】
図2は、二つの異なる(エネルギー選択的)X線センサーを備える本発明によるX線検出器の基本原理を示す。低吸収半導体検出器(例えばシリコン)が、高吸収半導体検出器(例えばガリウムヒ素)と組み合わされる場合、この直列検出器または直列センサーは、X線放射線の検出に対して、コンプトン効果とフォト効果の双方を利用し、したがって、実質的に、より高い総合強度を達成する。
【0040】
X線検出器の二つの部品(すなわち二つのX線センサー)が、電荷キャリアの排出のために、それら自体の高電圧源がそれらにそれぞれ割り当てられるように設けられる場合、二つのX線サンサーのそれぞれに対して、最適な動作点を設定することができる。
(図2における参照番号の意味は、以降の実施形態を参照。)
【0041】
図3は、単一のX線センサーを備える本発明の第一のX線検出器を、X線放射線Rの入射方向Eと基板表面に垂直な方向とにおける平面での断面で示す。ここで(及び以下の図または実施形態においても)、y方向は、デカルト座標系x、y、zにおけるX線放射線Rの入射方向Eを規定する。基板表面は、y−z平面に相当する。X線センサー1、6(以下を参照)の個別のピクセルは、ここでは(図4aから4cまたは5aから5cにも)示されていないが、図6を参照してわかるように、z方向に延びる。従って、図3(図4及び図5の実施形態と、図6及び図7のプロトタイプも同様)は、一次元空間分解ライン構造としての、本発明によるX線検出器またはそのX線センサーの一実施形態を示す。図3に示すライン構造を、各基板表面が互いに平行となるように、基板表面に垂直な方向(x方向)に複数積み重ねることにより、対応する二次元空間分解エリアセンサーを作ることができる。
【0042】
図3に示す実施形態及び図4及び図5に示すさらなる実施形態では、特に明記しない限りは、同一の参照番号は、同一の構成要素または発明の特徴を指す。
【0043】
図3に示す一次元ライン検出器は、回路基板として、セラミックのキャリア5を有する。ここでは信号評価電子回路2を形成する、複数の各ASICが、ここでは上側に配される基板表面に接着されている。非導電性ZrO2セラミックから作られ、その長手方向の軸がz方向に配向される、平行六面体形状のX線吸収体3が、基板5の上面に同様に接着されている。さらに、Al2O3から作られ、同様にその長手方向の軸がz方向に配向される、同様の平行六面体形状のセンサーキャリア4が、基板5の上面に接着されている。
【0044】
X線吸収体3、センサーキャリア4、及び信号評価電子回路2は、X線放射線Rの入射方向E、すなわちy方向に並んでいる。一方ではX線吸収体3の大きさまたは高さと、他方ではセンサーキャリア4の大きさまたは高さとは、基板平面に垂直な方向(すなわちx方向)で見た場合に同じであり、ここでは、例えば、信号評価電子回路2の対応する大きさまたは高さの2倍の大きさである。従って、信号処理電子回路2は、z方向において、完全に、または全長に亘って、X線吸収体3の後方(及びセンサーキャリア4の後方)で、X線吸収体3のX線放射線の影Sの中に配置され、従って、X線放射線から完全に防護される。ここで、X線吸収体3(ビーム停止部13の後方、以下参照)は、y方向において、X線吸収体に未だ入射するX線放射線エネルギーの少なくとも70%を吸収する大きさを有し、高エネルギーX線放射線Rから評価電子回路2を防護する。放射方向Eで見た場合に、さらなる電子コンポーネント20が、評価電子回路2の後方に配置され、同様に吸収体3の放射線の影Sの中に配置される(従って、同様にX線放射線Rから防護される)。帯状のZrO2吸収体3の寸法は、ここでは、例えば(x、y及びz方向において)、1.4mm×3.0mm×102.8mmになる。
【0045】
ここでは吸収体3のすぐ後ろに直接形成される、すなわち、放射方向Eにおいて中間スペースがない、センサーキャリア4は、その上面に、GaAsから作られる接着されたX線センサー1を備える。X線センサー1のy方向及びz方向における大きさは、ここでは、それぞれセンサーキャリア4の対応する大きさに一致する。エレメント3及び4のxの大きさが同じであるため、X線センサー1は、X線吸収体3の放射線の影Sの上方に直接配置され、すなわち、入射するX線放射線Rに対して見た場合に、X線吸収体により遮られない。
【0046】
X線検出器の構成要素を囲み、基板平面と入射方向Eとに垂直に配置される、ハウジング(ここでは完全には示されない)のハウジング部位13が、放射方向Eにおいて、X線吸収体3の前方(従って、さらなるエレメント1、4、2、5、及び20の前方)に備えられる。ハウジング部位13は、ここでは、同様の放射線吸収材料の薄い壁15(例えば、薄い鉛でコーティングされたステンレス鋼)から形成されている。x方向で見た場合、X線センサー1の高さにおいて、ハウジング部位13は、(x方向においてX線センサーと同じ大きさまたはスリット幅を備える)z方向に延びるスリット形状の壁15の途切れ(開口部14)を有する。従って、X線放射線Rは、x−z平面におけるX線センサーの全断面表面に亘り、y方向において障害なくX線センサーに入射可能である。その一方、X線センサー1の外側のxの高さ位置に配置される、図示されるX線検出器の全構成要素は、ビーム停止部13の壁15のX線放射線の影SBの中に配置され、例えば、エレメント2及び20も、この壁15により、ある種の(たとえ十分でなくても)放射線防護を既に受けている。
【0047】
図3に示すように、X線センサー1とその信号評価電子回路2との間には、ボンドワイヤー17により形成される、信号取得用の電気的接続がある。入射方向Eで見た場合に、信号評価電子回路2は、上述した構造様態に因り、X線センサー1またはセンサーキャリア4の後方に直接、実際には、センサーキャリアの隣に配置されてもよいので(ここでは不図示)、有利な、非常に短い、電気的接続17用の配線経路が、本発明によりもたらされる。入射するX線放射線Rは、開口部13により、空間的に制限される。評価電子回路2及び下流の電子コンポーネント20をX線光子の入射から防護するため、ボンドワイヤー17により評価電子回路2に接続されるX線センサー1は、センサーキャリア4の上に配置される。
【0048】
ここで、センサーキャリア4の材料(ここではAl2O3)は、X線センサー1(ここではGaAs)の材料の熱膨張係数と、基板5の材料(ここでは基板セラミック材料)の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する。これにより、温度変化による(エレメント1と5との間の)歪み及び変形が、最小となる。セラミックのキャリア4は、X線吸収体3に比べて同じ高さを有するので、一方では、X線光子が制限なくセンサー1に到達し、他方では、センサーの後方に到達するX線光子の数は、低減されて最小になる。
【0049】
図4は、二つの異なるX線センサー1、6(直列ラインセンサー)を有する、本発明によるX線検出器の、本発明によるさらなる実施形態を、図3に対応する断面図(図4a)、下方からの基板5の平面図(図4b)、及び上方からの基板の平面図、すなわち、X線センサー1、6及び信号評価電子回路2の平面図を(図4c)示す。ここで、この構造は、概して図3に示す本発明によるX線検出器に従い、以下には、差異のみが説明される(従って、図4aと図3とにおける同一の参照番号は、同一の構成要素を指す)。
【0050】
図4のX線検出器は、さらなる第二のセンサーキャリア7を、上述した(第一の)センサーキャリア4と信号評価電子回路2との間の基板の上面に有する。該第二のセンサーキャリアは、エレメント3、4と平行に並び、第一のセンサーキャリア4と同じ寸法で形成されている。従って、エレメント3、4及び7は、x方向において、同じ高さを有し、第一のセンサーキャリア4、第二のセンサーキャリア7、及び信号評価電子回路2は、放射方向Eで見た場合、狭い空隙によってわずかに分離された状態で、それぞれ隣り合って、X線吸収体3のX線放射線の影Sの中に配置されている。(ここでは参照番号20aを有する、評価電子回路2の後方のさらなる電子コンポーネントが、放射方向Eで見た場合、放射線の影Sの中に配置されている。)
【0051】
少なくとも1mmの大きさを有する空隙25は、高電圧分離のために、一方では、エレメント1と6との間に、他方では、エレメント4と7との間に、(二つのセンサー1及び6が、それぞれの半導体タイプSi及びGaAsに対する最適な電荷分離に達するために、異なる高電圧で動作可能であるように、以下参照)備えられている。
【0052】
第二のX線センサーキャリア6は、第二のセンサーキャリア7の上面に(x方向で見た場合に、第一のX線センサー1と同じ高さで、同一の幾何学的構造及び配向で)形成されている。従って、第一のX線センサー1で吸収されず、スリット14を通じて入射するX線光子は、第二のセンサー6で吸収可能である。本ケースでは、第一のX線センサー1は、シリコンから作られ、第二のX線センサー6は、GaAsから作られている。
【0053】
第一のセンサーキャリア4は、ここでは、例えば導電性の構造化ガラスから作られている。この第一のセンサーキャリア4と、信号評価電子回路2との間に配置される第二のキャリアセンサー7は、導電性の構造化Al2O3から作られている。
【0054】
従って、センサーキャリア4、7双方は、それぞれのセンサー1、6の熱膨張係数を、基板5の熱膨張係数に適応させる。
【0055】
二つのX線センサー1、6は、それぞれセンサーキャリア4、7の上面に、導電性接着剤により、それぞれ固定されている。従って、X線センサー1、6への高電圧の供給は、ここでは(図3においても)、基板5の上面に導かれ、二つのセンサーキャリア4、7及び対応する接着剤層を介してセンサー1、6に接続される、高電圧電極(不図示)を用いて行われる。
【0056】
図4a及び図4cに示すように、センサー1及び6の各ピクセル16a及び16b(図1、2及び6参照)は、ボンドワイヤー17により、信号評価電子回路2(または各ASIC2a、2b、...)に、導電的に接続される。ボンドワイヤー23は、ASIC2a、2b、...を、検出器のさらなる電子モジュールに接続する。さらなる電子コンポーネント20bが、基板5の下面において、ここではこの下面に同様に配置されるさらなるX線吸収体22の後方に配置され、吸収体3の高さで入射方向Eで見た場合に、さらなるX線吸収体22(吸収体3と同様に、ZrO2から形成される)のX線放射線の影の中に配置される。さらなるコンポーネント20b、コンポーネント20a、及び評価電子回路2は、上面から基板5を通じてその下面に繋がる導電性経路(不図示)により、互いに接続される。
【0057】
参照番号21は、ここでは、スリット14を通じたX線放射線Rの入射平面を指す(従って、基板平面に平行に配置される)。図4に示すX線センサー1、6は、電気的接続技術に関しては、ボンドワイヤー17のみにより設けられる。
【0058】
図4に示すX線検出器は、特に二つのX線センサー1と6(またはそれぞれのピクセル16aと16b)との間の空間が小さいことに因り、二つのX線センサー1及び6が、事実上同じ空間情報を検出する、という利点を有する。
【0059】
半導体SiまたはGaAsの安定化のために必要な安定化層(例えばSiNから作られる)は、図3及び図4には示されていない(続く図5にも不図示)。
【0060】
従って、図4は、本発明による直列ラインセンサーの第一の実現バリエーションを示す。X線放射線Rは、放射平面21を規定する、センサーヘッドハウジング(壁15)におけるスリット開口部14を通過する。センサーヘッドハウジングは、収容する電子回路2、20a及び20bに、ある種の放射線防護を既に提供しているが、設計上の理由(ハウジングの寸法、厚み及び重量)により、特に信号評価電子回路2のより長い耐用年数を保証するには、不十分である。従って、高吸収材料(ここでは、非導電性として酸化ジルコニウム、設計が導電性材料を許容する場合、タングステンまたは鉛が用いられてもよい)の二つの吸収体3、22が、電子エレメント2、20a、20bの防護のために、X線源とビーム径路における電子回路との間にあるように、相互接続デバイス5の上に配置される。
【0061】
しかしながら、X線放射線が実際のセンサーエレメント1及び6に到達可能とするために、これらのエレメント1、6は、特有のセンサーキャリア4、7上に取り付けられ、このことは、センサー1及び6が、吸収体3の放射線の影の中にないことを保証する。従って、センサーキャリア4及び7は、本検出器において、三つの機能を有する。一方では、それらは、センサー材料の熱膨張係数を、基板(例えば、有機回路基板材料または無機酸化アルミニウム)の熱膨張係数に適合させる機能を果たす。他方では、これらは、高電圧供給のために、基板とセンサーとの間の導電性接続の機能を果たす。さらに、吸収体3及びスリット14に対するセンサー1、6の正確な位置調整の機能を果たす。
【0062】
X線センサー1、6の各ピクセル電極16a、16bの増幅電子回路2への接続は、ワイヤーボンド17を通じて行われる。
【0063】
図5aから図5cは、二つの異なるエネルギー選択的X線センサー1及び6を有する、本発明によるさらなる直列X線検出器を示す。ここでも、同一の参照番号(図3および図4と比較した場合)は、異なる位置にある場合でも、同一の構成要素を指す。
【0064】
二つのX線センサー1及び6は、図5に示すX線検出器において、(x方向で見た場合)ハウジング壁15における空隙14の高さで、X線放射平面21に配置されている(また、以下に示す差異を除いて、図4に示すケースと同様に形成され、配置される)。X線検出器の他の全ての構成要素は、少なくとも部分的に、壁15のX線放射線の影SBの中に配置され、電子部品8、20bは、基板5の下面10に配置されるX線吸収体3のX線放射線の影Sの中にも配置され、または、電子部品20aは、基板5の上面9で、放射方向Eで見た場合に二つのX線センサー1及び6の後方に配置され、その他の点ではX線吸収体3と同様に形成される、さらなるX線吸収体24の放射線の影の中にある。
【0065】
従って、放射方向Eで見た場合、第一のX線センサー1、第二のX線センサー6、電子部品20aを防護するX線吸収体24、及び電子部品20aは、基板5の上面9に並んで固定されている。放射方向Eで見た場合、X線吸収体3が、まず、放射方向Eで見た場合、ハウジング開口部13に対向する側の基板5の下面10に配置され、X線放射線の影Sの中で見た場合、信号評価電子回路8及びさらなる電子部品20bが、その後方で、この順に配置されている。ここで、信号評価電子回路8は、yまたはE方向で見た場合、二つのX線センサー1及び6の高さで下面10に、すなわち、これら二つのセンサーの反対側の下面10の領域11に配置されている。
【0066】
図3及び図4に示す実施形態とは対照的に、本ケースでは、電子的接続は、以下のように構成されている。二つのセンサー1及び6には、フリップフロップ接点18により、基板5の上面9に形成される対応する導電性トラック(不図示)が直接備えられている。これらの導電性トラックは、基板5を適切に貫通し、基板5の上面9と下面10との間に形成される、導電性モールド加工貫通孔(経路12)を介して、基板5の下面10に接続される。そして、下面10に存在する経路12は、X線放射線の影S内において、ボンドワイヤー17を介して、信号評価電子回路8に通じる。
【0067】
図5bに示すように、評価電子回路8は、ここでは、複数の各ASIC8aから8hを含み、各ASICは、(図5aの)対応するセンサー1、6の32ピクセル16a、16bに接続される。
【0068】
従って、エネルギー選択的で、放射線防護機能が一体化された、本発明による直列X線検出器を実現した図5に示すバリエーションは、ASIC8a、8b...とは反対側の基板表面に取り付けられる二つのセンサー1及び6を示す。従って、これらの集積回路8a...は、スリット14を通じた直接のビーム径路から既に移動されている。また、放射線吸収体3が、増幅電子回路8の前方に配置されている。上面では、放射方向Eで見た場合に、後方のセンサー6とさらなる電子部品20aとの間に配置される、X線吸収体24が、さらなる電子部品を防護する。
【0069】
センサー1、6のピクセル電極16a、16bの、回路8a、8b...の対応する入力への接続は、センサー側のフリップフロップ接点18と、下面または回路側の対応するワイヤーボンド接続17により(経路12を介した接続によって)行われる。従って、基板5を通じたセンサー信号の増幅電子回路8への伝達は、基板を通じた対応する孔による導電性経路12により、行われる。この場合、高電圧の供給は、センサー1、6と、基板5の上面9に印刷された対応する供給ライン(不図示)との間のワイヤーボンド接続25により、行われる。
【0070】
さらに、図6は、本発明によるX線検出器の第一のX線センサー1のピクセル構造16aの(詳細)写真を示す。32個の各ピクセル16aが、信号評価電子回路2(または8)のASICと関連している。
【0071】
図7は、対応するX線検出器の平面図を示し、それぞれが32チャネルを有する各ASIC2、(第一の)X線センサー1及びX線吸収体3が観察可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】DE 197 11 927 A1
【特許文献2】DE 10 2009 008 702 A1
【特許文献3】DE 10 2007 010 639 A1
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換する、少なくとも一つのX線センサーを有する、X線検出器と、複数のそのようなX線検出器の配列とに関する。
【背景技術】
【0002】
入射するX線放射線を可視光及び/または紫外光に変換するシンチレーターを一般的に含むX線放射線の画像検出器が、従来技術で知られている。そして、この光は、光電子倍増管または半導体検出器(例えば、CCD光検出器)により検出され、例えば、接続されたコンピュータシステムにおける、さらなる処理に利用可能である。この解決策は、一方では、専門的であり、従って、市場において、様々なバリエーションがある。これに関しては、例えば特許文献1を参照されたい。
【0003】
シンチレーター原理の欠点は、一方では、限られた空間解像度であるが、これは、無機シンチレーター(例えば、硫化亜鉛基またはヨウ化ナトリウム基)が、いわゆる活性化中心で可視光または紫外光のみを放射し、この光が、続いて、シンチレーターで散乱し、これが、例えば、CCDセンサーの一ピクセルとその隣のピクセルとの間に高いクロストークをもたらす。また、シンチレーターは、残光の特性を有し、従って、そのようなセンサーの動的特性及びイメージシーケンス速度は、悪影響を受ける。さらなる欠点が、シンチレーターの特有の特性及び化学的組成から生じる。従って、単結晶としての複雑な製造が、例えば十分な光の透過率を保証するために要求される。概して、環境影響(例えば湿度)に対して感度が高く、耐用年数が限られる。これらの特有な特性は、シンチレーターに基づくX線検出器の非常に高い価格にも反映されている。
【0004】
さらに、直接変換X線検出器が、従来技術で知られている(例えば、特許文献2参照)。これらにおいては、電子とホールの対が、X線光子により、X線検出器のX線センサーの半導体材料において直接生じ、続いて、該電子とホールの対が、適用される電界(例えば50から40ボルトの例えば適用電圧に相当)により、分離され、運搬され得る。これにより、強度がエネルギーと入射するX線放射線の強度とに比例する、小さい電流が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような直接変換X線検出器に関する。
【0006】
そのような直接変換X線センサーでは、もともと非常に小さい信号電圧または信号電流しか発生しないため、X線センサー(直接変換を行う半導体材料を含むX線検出器の構成要素)の下流に接続される信号処理電子回路(以下の本発明の枠内では、信号評価電子回路とも呼ばれる)は、混信及び/または雑音電圧の結合を最小にするために、X線センサーにできるだけ近く配置される必要がある。このような電子回路は、しばしば、例えば、必要に応じて本発明の枠内においても、シリコンベースの専用設計された固有の集積回路(以下、ASICとも呼ばれる)として実現される。しかしながら、このような電子回路は、一般に、X線放射線またはガンマ線放射線等の高エネルギー放射線による直接放射に対して、放射線に非常に敏感であり、これは、短い放射時間後に、不可逆なパラメータ変化、または、集積回路のアクティブ構造の破壊をもたらし得る。
【0007】
信号評価電子回路の破壊を含むそのような問題を回避するために、放射線に敏感な電子回路をX線検出器の画像コンポーネントのハウジング形状の外側に配置することが知られている(特許文献3)。しかしながら、この解決策は、直接変換X線センサーでは、非常に困難であるか、または実用的ではない。これは、上述したように、電子回路は、直接変換検出器のX線センサーの近くに配置されるべきであるからである。
【0008】
従って、従来技術を発端として、本発明の目的は、X線を電荷キャリアに直接変換する、少なくとも一つのX線センサーを有する、X線検出器を提供することであり、X線センサーに接続される信号評価電子回路が、X線センサーにできるだけ近く配置され、にもかかわらず、高エネルギーのX線放射線から十分に防護される。さらに、本発明の目的は、特に上述した目的と併せて、エネルギー選択的な直接変換X線検出器を提供することである。併せて(単独でも)、さらに、本発明の目的は、検出器の設計に用いられる異なる材料の温度適応の改善が実現される、直接変換X線検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1から6に記載のX線検出器と、請求項13に記載の配置とにより、達成される。ここで、本発明によるX線検出器の有利な実施形態または配置は、各従属請求項から生じる。
【0010】
本発明は、まず、以下に概要が説明され、続いて、個々の実施形態を参照して詳細が説明される。ここで、個々の実施形態において、互いに組み合わされて示される個々の特徴及び/または個々のアセンブリは、本発明の枠内の実施形態で特に示される構造において実現される必要はなく、むしろ他の構造で実現されてもよい。示される構成要素及び/または特徴のそれぞれは、特に、他の構成要素及び/または特徴と異なる方法で組み合わされてもよく、省略されてもよい。一実施形態において示される個々の特徴それぞれは、特に、単独の特徴として、すなわち、示される対応実施形態の他の個々の特徴を備えることなく、実現されてもよく、それ自体が既知の従来技術に亘る利点をもたらしてもよい。
【0011】
以下において、本発明の枠内で、構成要素(例えばX線センサー)が他の構成要素(例えばセンサーキャリア)上に配置される、または、他の二つの構成要素の間に配置される(例えばX線センサーと基質との間のX線センサー)と記載されている場合、これは、他に記載がなければ、複数の構成要素が互いに強固に接続されていることを示している。しかしながら、このことは、この接続が、例えば、互いに並ぶ二つの構成要素が互いに直接隣接する必要がないように、二つの構成要素の間の薄い導電性接着層によって実現されることを排除するものではない。
【0012】
本発明による(第一の)X線検出器は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換するX線センサーを含む(以降において、複数のX線センサーが存在する場合は、これらのX線センサーも第一のX線センサーと呼ぶ)。信号評価電子回路が、X線センサーから信号を得て、得られた信号を処理するために、この(第一の)X線センサーに、電気的に接続される。この信号評価電子回路は、特に、一つ以上の集積回路を含んでもよい(回路は、例えばASICとして形成可能である)。信号評価電子回路を防護するために、用いるX線スペクトルのX線光子(40から300keVの間の最大エネルギー)を容易に吸収するX線スペクトル材料が、さらに備えられる。この吸収体は、例えば、ZrO2セラミック材料から(例えば、鉛からも)形成可能である。さらに、X線吸収体に対してX線センサーを配置可能なように形成され配置される、(少なくとも)一つのセンサーキャリアが、備えられる。
【0013】
本発明によれば、X線放射線の入射方向で見た場合、信号評価電子回路は、一方では、X線吸収体の後方で、このX線吸収体のX線放射線の影の中に配置される(ここで、X線放射線の影は、X線放射線の入射方向に垂直な平面におけるX線吸収体の最大断面積の平行投影により、X線放射線の入射方向において生じる空間領域である)。他方では、X線センサーは、X線センサーが、(X線放射線の入射方向で見た場合)少なくとも部分的にX線吸収体の後方に配置されるように、センサーキャリアにより、(例えばその上への配置により)配置される。しかしながら、信号評価電子回路とは異なり、X線センサーは、センサーキャリアを用いた適切な位置調整により、X線吸収体のX線放射線の影の外側に配置される。
【0014】
このX線検出器の有利な第一の実施形態(これは、以降に紹介される本発明のX線検出器のバリエーションにも適用される)では、(第一の)センサーキャリアは、X線放射線の入射方向で観て、X線吸収体と信号評価電子回路との間に配置可能である。しかしながら、この入射方向で見た場合、まずX線吸収体、続いて評価電子回路、最後にセンサーキャリア(X線センサーがこれにより支持される)を配置することも、一般に同様に考えられる。これは、この構成が、上述した一例のように、X線センサーを、信号評価電子回路に非常に近く配置可能とするためである。
【0015】
さらなる有利な実施形態のバリエーションでは、本発明の(第一の)X線検出器は、特に回路基板として形成される基板を有する。X線吸収体、(少なくとも一つの)センサーキャリア及び信号評価電子回路は、この基板の上に共に配置される。X線放射線の入射方向で見た場合、この配置は、X線吸収体、(一つ以上の)センサーキャリア、及び信号評価装置の順で行われることが好ましい。しかしながら、上述したように、信号評価装置、X線吸収体、少なくとも一つのセンサーキャリアの順で隣接してもよい。
【0016】
さらに、X線放射線の入射方向に垂直に、及び、基板平面に垂直に見た場合に、基板とX線センサーとの間に配置されるセンサーキャリアの材料は、一方では、基板の材料の熱膨張係数と、他方では、X線センサーの熱膨張係数との間にある熱膨張係数を有する(熱膨張係数は、基板の熱膨張係数と、X線センサーの熱膨張係数との丁度中間にあることが好ましい)。このようにして、X線センサーの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数に適応可能であり、これは、特に、基板としてのセラミックキャリア上に配置されるX線センサーとしてのGaAs等の脆性材料に(その結果、異なる熱膨張係数を有する双方の材料に)有利である。これは、GaAsが、上述した熱適応のない説明構成おいて、X線検出器の動作で生じる温度変化により、ストレスクラックが生じ得る脆性材料であるためである。
【0017】
(第一の)センサーキャリアは、センサーキャリアがX線吸収体のX線放射線の影の中に適合する、すなわち、この影の中に完全に配置されるように、X線放射線の入射方向に垂直に、及び、基板平面に垂直に見た場合、X線吸収体と同じ熱膨張係数を有することが有利である。
【0018】
さらなる特に好ましいバリエーションでは、本発明による(第一の)X線検出器は、エネルギー選択的直接変換X線検出器(あるいは、以降において、X線直列センサーと呼ばれる)として形成される。この目的のために、検出器は、X線放射線を電荷キャリアに直接変換するとともに、信号取得及び信号評価のために、信号評価電子回路に電気的に接続される、さらなる、第二のX線センサーを含む。また、この第二のX線センサーを上述したX線吸収体に対して位置調整するために形成され配置される、さらなるセンサーキャリア(第二のセンサーキャリア)が備えられる。この第二のセンサーキャリアは、第一のセンサーキャリアに対して上述したように、その材料に熱膨張係数に関して、第二のX線センサーの熱膨張係数が基板の熱膨張係数に適応されるように、設けられることが好ましい。
【0019】
第二のX線センサーは、X線放射線の入射方向で観て、第一のX線センサーの後方に配置され、第二のセンサーキャリアにより(例えば、第二のセンサーキャリアが第二のX線センサーの下に配置される)、X線吸収体の後方で、そのX線放射線の影の外側に配置される。第一のセンサー及び第一のセンサーキャリアに対する完全に類似する方法で、第二のセンサーキャリアは、第二のセンサーキャリアが完全にX線吸収体のX線放射線の影の中に配置され、第二のセンサーキャリアにより支持される第二のX線センサーを完全にX線吸収体のX線放射線の影の外側に持ち上げるように、X線放射線の入射方向に垂直に、及び、基板平面に垂直に見た場合に、X線吸収体(及び随意で第一のX線センサー)と同じ熱膨張係数を有してもよい。
【0020】
さらなる有利なバリエーションでは、第一及び/または第二のセンサーキャリア(好ましくは双方のセンサーキャリア)は、導電性で、及び、第一の及び/または第二のX線センサーの選択的な電圧供給のために設けられる。例えば、セラミックの基板とGaAsのX線センサーとの間に配置されるセンサーキャリアは、導電性の構成要素を含むAl2O3を含んでもよい(しかしながら、電圧供給は、これに代わり、または、これと組み合わせて、センサーキャリアとX線センサーとの間に導入される、薄い導電性接着層を用いて実現されてもよい)。
【0021】
本発明による(第二の)X線検出器は、以下の構造を有する。このX線検出器は、基板、特に、回路基板と、基板の第一の面に配置される、第一及び第二のX線センサー(双方が、それぞれ、X線放射線を、電荷キャリアに直接変換する)と、(信号取得と信号評価のために)二つのX線センサーに電気的に接続され、好ましくは集積回路として設けられる、(基板の第一の面とは反対側に位置する第二の面に配置され、好ましくは二つのX線センサーの反対側に位置する領域に配置される)信号評価電子回路と、信号評価電子回路の防護のために形成され、X線放射線の入射方向で見た場合に、信号評価電子回路の前方において、基板の第二の面に配置される、X線吸収体と、を含む。このX線吸収体は、信号評価装置がこのX線吸収体のX線放射線の影の中に配置されるように、配置される。
【0022】
この(第二の)X線センサーの有利な実施形態のバリエーションは、少なくとも一つのX線センサーと、信号評価電子回路との間に、基板を通じて繋がる導電性経路に基づく、(センサー信号を信号評価電子回路に伝達するための)電気的接続を有する。
【0023】
本発明による第一または第二のX線検出器の有利な実施形態のバリエーションは、以下のように実現される。
【0024】
検出器の二つのX線センサーは、入射するX線放射線の異なるスペクトル部位を吸収するために設けることができる。ここで、(入射する放射線に対向する)第一のX線センサーは、低エネルギーの放射線部位を吸収するために設けられることが好ましい。このX線センサーは、この目的のために、シリコンから形成されてもよく、または、シリコンを含んでもよい。そして、(入射するX線放射線から離れ、随意でX線放射線の影の中に配置される)第二のX線センサーは、第一のX線センサーに比べてより高いエネルギーの入射X線放射線部位を吸収するために設けられることが好ましい。第二のX線センサーは、この目的のために、GaAsを含んでもよく、またはGaAsから成ってもよい。従って、二つのX線センサーの二つの半導体材料の原子数または平均原子数は、異なることが有利である。
【0025】
本発明による第一または第二のX線検出器のさらなる有利なバリエーションでは、好ましくはスリット形状の開口部が備えられる、さらなるビーム停止部が備えられる。このビーム停止部は、本発明によるX線検出器の構成要素を収容するために設けられる、ハウジングのハウジング部位であってもよい。ここで、このビーム停止部(または対応するハウジング部位)は、X線センサーがビーム停止部またはハウジングの(ビームを吸収する)壁のX線放射線の影の中には配置されずに、開口部の後方に配置されるように、X線放射線の入射方向において、第一の(または二つの)X線センサーの前方に、また好ましくはX線吸収体の前方に、配置および配向される。
【0026】
さらなる有利なバリエーションでは、上述した本発明によるX線検出器は、一次元ライン検出器として形成される。この目的のために、X線センサーは、X線放射線の入射方向に垂直な方向及び基板平面で見た場合に、X線放射線の空間分解検出のために設けられる、複数の個別のピクセルを有する。そして、個別のピクセルは、それらにより生じるセンサー信号の伝達及び評価のために、例えばボンドワイヤー及び/またはフリップフロップ接点を介して、それぞれ信号評価電子回路に接続される。
【0027】
そのようなラインセンサー構造の二つのX線センサーを備える(エネルギー選択的な)場合、X線放射線の入射方向で見た場合に、一方では、第一のX線センサーのピクセルと、他方では、第二のX線センサーのピクセルとが、以下のように配置されることが有利である。この入射方向に平行に投影される第一のX線センサーのピクセルの断面が、第二のX線センサーのピクセルの断面に正確に投影される。この場合、同一の空間情報が、二つのラインセンサーで取得可能である。そして、上述したこれらのラインセンサー構造は、二次元で空間解像を行うX線検出器の配置の形成に用いられてもよい。個々のラインセンサーは、基板平面が互いに平行となるように積み重ねられ、第一の、または、第一及び第二のX線センサーの個々のラインセンサー構造が、X線放射線の入射方向に垂直で見た場合の平面において、一つまたは二つの二次元エリアセンサー構造を形成する。
【0028】
(エネルギー選択的な)二つのX線センサーが実現される、さらなる有利な実施形態では、二つのX線センサーは、互いに完全に独立して、それぞれ必要な電圧が供給されてもよい。特に、センサー双方に異なる高電圧が必要な場合、電荷分離のための高電圧源を、各X線センサーに対して別々に設けることが有利である。さらに、単一の高電圧源、または二つの高電圧源は、生じ得る半導体の高電圧アバランシェ降伏をいち早く認識し、この場合、高電圧をいち早く切るために、精度の高い電流モニター機能を備えてもよい。
【0029】
本発明によれば、従って、X線センサーの下流に配置され、X線に敏感な電子回路の放射線防護が、直線形状のX線センサーで確実に成され得る。このことは、特に、信号評価電子回路に関係するが、X線吸収体の放射線の影に配置される、多数の他の受動的な(より放射線に敏感な)構成要素にも関連する。(一般にハウジングの一部を形成する、スリット形状の開口部を備える上述した開口部は、この目的には不十分である。ハウジングの最大重量等の設計制約に因り、開口部は、敏感な電子回路の放射線防護を単独で確実に成すように厚く設けることはできない。)
【0030】
X線センサーの後方のX線放射線が、熱膨張係数に関して適合された形状のセンサーキャリアと併せた、付加的なX線吸収体の有利な実現により、特に最小に低減可能である(従って、X線放射線からの敏感な構成要素の十分な防護が確実になされる)だけでなく、X線検出器の個々の構成要素、特に、X線センサーの、支持基板への最適な温度適応も、実現可能である。
【0031】
本発明によれば、X線光子がまず低吸収半導体を通過し、続いて高吸収半導体を通過するように、同じ厚みの、低吸収半導体X線センサー(例えば、Siから作られる)と、高吸収半導体X線センサー(例えば、GaAsから作られる)とが、基板または相互接続デバイス上に、互いに並べられる。
【0032】
ここで、二つのX線センサーは、ライン検出器または面検出器のどちらかを作ることができるように、ピクセル電極として機能する、幾何学的に同じ電極構造が備えられてもよい。ここで、隣り合って配置される二つのエネルギー選択的X線センサーのピクセル構造は、(例えば、信号評価電子回路の下流に接続されるコンピュータシステムでの画像処理に対して)同じ空間情報を取得するために、互いに平行に配置されてもよい。
【0033】
二つのエネルギー選択的X線センサーは、別々の構成要素として実現されてもよく、(例えば対応する成形材料により)同一の構成要素に一体化されてもよい。それらには、それぞれ、それ自体の高電圧源が備えられ、個々の半導体タイプに最適な電荷分離を達成する。X線センサー双方は、例えば相互接続デバイスに取り付けられる、ワイヤーボンディング、または、フリップフロップボンディング等の、電子回路の構造及び接続技術の従来のプロセスで、(別々の構成要素として、または、一つの構成要素に一体化されて)作られてもよい。
【0034】
X線センサー(または、二つのエネルギー選択的X線センサーそれぞれ)が、ラインセンサーまたはエリアセンサーとして設けられる場合、幾何学的配置は、複数の個々のピクセルが、最小の位置的誤差で、互いに隣り合って配置されるように行われてもよい。こうして、ピクセル数が多い、例えば、1ライン1024ピクセル、または、1エリア1024×1024ピクセルのラインまたはエリアセンサーが可能である。
【0035】
本発明は、複数の実施形態を参照して、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明で用いられる、直接変換の基本原理を示す。
【図2】本発明による異なる二つのX線センサーを備えたエネルギー選択的X線検出器の基本原理を示す。
【図3】単一のX線センサーを備える本発明による第一のX線検出器を示す。
【図4a】二つの異なるX線センサーを備える本発明による第二のX線検出器を示す。
【図4b】二つの異なるX線センサーを備える本発明による第二のX線検出器を示す。
【図4c】二つの異なるX線センサーを備える本発明による第二のX線検出器を示す。
【図5a】二つの異なるX線センサーを備える本発明によるさらなるX線検出器を示す。
【図5b】二つの異なるX線センサーを備える本発明によるさらなるX線検出器を示す。
【図5c】二つの異なるX線センサーを備える本発明によるさらなるX線検出器を示す。
【図6】本発明によるX線検出器のライン構造の図を示す。
【図7】本発明によるX線検出器のプロトタイプのデザインの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明によるX線検出器またはX線センサーで用いられる直接変換の基本原理を示す。X線光子は、X線センサー材料において、適用されるDC電圧Vbiasの電界により分離され、電極に運搬され得る、電子−正孔の対を生じる。ここで、X線光子の空間分解検出を可能とする、複数の個別ピクセル電極の形態の電極の構造を、図の右側で確認することができる。電荷の運搬により、(小さい)電流(従って、60keVのX線光子は、GaAsにおいて、例えば平均で略105の電子−正孔対を生じる)が生じ、その強度は、入射するX線放射線のエネルギーおよび強度に比例する。干渉する電気的効果(個々のピクセルの個々のボンドワイヤー間の容量結合等)を防ぐため、上述したように、X線センサーと、下流の、増幅および評価を行う、信号評価電子回路との間に、できるだけ短いライン経路の存在が必要である。
【0038】
X線光子の吸収で、X線センサーの半導体の原子の数に因り、主たる効果として異なる効果が生じる。原子の数が少ない半導体(例えばシリコン)ではその結果、X線光子の散乱とコンプトン電子の発生とをもたらす、コンプトン効果が中心となる。原子の数が多い半導体(例えばGaAs)では、これに対して、フォト効果が中心となる。X線光子の吸収の結果として、半導体の電子殻の殻からの電子の放出がもたらされる。
【0039】
図2は、二つの異なる(エネルギー選択的)X線センサーを備える本発明によるX線検出器の基本原理を示す。低吸収半導体検出器(例えばシリコン)が、高吸収半導体検出器(例えばガリウムヒ素)と組み合わされる場合、この直列検出器または直列センサーは、X線放射線の検出に対して、コンプトン効果とフォト効果の双方を利用し、したがって、実質的に、より高い総合強度を達成する。
【0040】
X線検出器の二つの部品(すなわち二つのX線センサー)が、電荷キャリアの排出のために、それら自体の高電圧源がそれらにそれぞれ割り当てられるように設けられる場合、二つのX線サンサーのそれぞれに対して、最適な動作点を設定することができる。
(図2における参照番号の意味は、以降の実施形態を参照。)
【0041】
図3は、単一のX線センサーを備える本発明の第一のX線検出器を、X線放射線Rの入射方向Eと基板表面に垂直な方向とにおける平面での断面で示す。ここで(及び以下の図または実施形態においても)、y方向は、デカルト座標系x、y、zにおけるX線放射線Rの入射方向Eを規定する。基板表面は、y−z平面に相当する。X線センサー1、6(以下を参照)の個別のピクセルは、ここでは(図4aから4cまたは5aから5cにも)示されていないが、図6を参照してわかるように、z方向に延びる。従って、図3(図4及び図5の実施形態と、図6及び図7のプロトタイプも同様)は、一次元空間分解ライン構造としての、本発明によるX線検出器またはそのX線センサーの一実施形態を示す。図3に示すライン構造を、各基板表面が互いに平行となるように、基板表面に垂直な方向(x方向)に複数積み重ねることにより、対応する二次元空間分解エリアセンサーを作ることができる。
【0042】
図3に示す実施形態及び図4及び図5に示すさらなる実施形態では、特に明記しない限りは、同一の参照番号は、同一の構成要素または発明の特徴を指す。
【0043】
図3に示す一次元ライン検出器は、回路基板として、セラミックのキャリア5を有する。ここでは信号評価電子回路2を形成する、複数の各ASICが、ここでは上側に配される基板表面に接着されている。非導電性ZrO2セラミックから作られ、その長手方向の軸がz方向に配向される、平行六面体形状のX線吸収体3が、基板5の上面に同様に接着されている。さらに、Al2O3から作られ、同様にその長手方向の軸がz方向に配向される、同様の平行六面体形状のセンサーキャリア4が、基板5の上面に接着されている。
【0044】
X線吸収体3、センサーキャリア4、及び信号評価電子回路2は、X線放射線Rの入射方向E、すなわちy方向に並んでいる。一方ではX線吸収体3の大きさまたは高さと、他方ではセンサーキャリア4の大きさまたは高さとは、基板平面に垂直な方向(すなわちx方向)で見た場合に同じであり、ここでは、例えば、信号評価電子回路2の対応する大きさまたは高さの2倍の大きさである。従って、信号処理電子回路2は、z方向において、完全に、または全長に亘って、X線吸収体3の後方(及びセンサーキャリア4の後方)で、X線吸収体3のX線放射線の影Sの中に配置され、従って、X線放射線から完全に防護される。ここで、X線吸収体3(ビーム停止部13の後方、以下参照)は、y方向において、X線吸収体に未だ入射するX線放射線エネルギーの少なくとも70%を吸収する大きさを有し、高エネルギーX線放射線Rから評価電子回路2を防護する。放射方向Eで見た場合に、さらなる電子コンポーネント20が、評価電子回路2の後方に配置され、同様に吸収体3の放射線の影Sの中に配置される(従って、同様にX線放射線Rから防護される)。帯状のZrO2吸収体3の寸法は、ここでは、例えば(x、y及びz方向において)、1.4mm×3.0mm×102.8mmになる。
【0045】
ここでは吸収体3のすぐ後ろに直接形成される、すなわち、放射方向Eにおいて中間スペースがない、センサーキャリア4は、その上面に、GaAsから作られる接着されたX線センサー1を備える。X線センサー1のy方向及びz方向における大きさは、ここでは、それぞれセンサーキャリア4の対応する大きさに一致する。エレメント3及び4のxの大きさが同じであるため、X線センサー1は、X線吸収体3の放射線の影Sの上方に直接配置され、すなわち、入射するX線放射線Rに対して見た場合に、X線吸収体により遮られない。
【0046】
X線検出器の構成要素を囲み、基板平面と入射方向Eとに垂直に配置される、ハウジング(ここでは完全には示されない)のハウジング部位13が、放射方向Eにおいて、X線吸収体3の前方(従って、さらなるエレメント1、4、2、5、及び20の前方)に備えられる。ハウジング部位13は、ここでは、同様の放射線吸収材料の薄い壁15(例えば、薄い鉛でコーティングされたステンレス鋼)から形成されている。x方向で見た場合、X線センサー1の高さにおいて、ハウジング部位13は、(x方向においてX線センサーと同じ大きさまたはスリット幅を備える)z方向に延びるスリット形状の壁15の途切れ(開口部14)を有する。従って、X線放射線Rは、x−z平面におけるX線センサーの全断面表面に亘り、y方向において障害なくX線センサーに入射可能である。その一方、X線センサー1の外側のxの高さ位置に配置される、図示されるX線検出器の全構成要素は、ビーム停止部13の壁15のX線放射線の影SBの中に配置され、例えば、エレメント2及び20も、この壁15により、ある種の(たとえ十分でなくても)放射線防護を既に受けている。
【0047】
図3に示すように、X線センサー1とその信号評価電子回路2との間には、ボンドワイヤー17により形成される、信号取得用の電気的接続がある。入射方向Eで見た場合に、信号評価電子回路2は、上述した構造様態に因り、X線センサー1またはセンサーキャリア4の後方に直接、実際には、センサーキャリアの隣に配置されてもよいので(ここでは不図示)、有利な、非常に短い、電気的接続17用の配線経路が、本発明によりもたらされる。入射するX線放射線Rは、開口部13により、空間的に制限される。評価電子回路2及び下流の電子コンポーネント20をX線光子の入射から防護するため、ボンドワイヤー17により評価電子回路2に接続されるX線センサー1は、センサーキャリア4の上に配置される。
【0048】
ここで、センサーキャリア4の材料(ここではAl2O3)は、X線センサー1(ここではGaAs)の材料の熱膨張係数と、基板5の材料(ここでは基板セラミック材料)の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する。これにより、温度変化による(エレメント1と5との間の)歪み及び変形が、最小となる。セラミックのキャリア4は、X線吸収体3に比べて同じ高さを有するので、一方では、X線光子が制限なくセンサー1に到達し、他方では、センサーの後方に到達するX線光子の数は、低減されて最小になる。
【0049】
図4は、二つの異なるX線センサー1、6(直列ラインセンサー)を有する、本発明によるX線検出器の、本発明によるさらなる実施形態を、図3に対応する断面図(図4a)、下方からの基板5の平面図(図4b)、及び上方からの基板の平面図、すなわち、X線センサー1、6及び信号評価電子回路2の平面図を(図4c)示す。ここで、この構造は、概して図3に示す本発明によるX線検出器に従い、以下には、差異のみが説明される(従って、図4aと図3とにおける同一の参照番号は、同一の構成要素を指す)。
【0050】
図4のX線検出器は、さらなる第二のセンサーキャリア7を、上述した(第一の)センサーキャリア4と信号評価電子回路2との間の基板の上面に有する。該第二のセンサーキャリアは、エレメント3、4と平行に並び、第一のセンサーキャリア4と同じ寸法で形成されている。従って、エレメント3、4及び7は、x方向において、同じ高さを有し、第一のセンサーキャリア4、第二のセンサーキャリア7、及び信号評価電子回路2は、放射方向Eで見た場合、狭い空隙によってわずかに分離された状態で、それぞれ隣り合って、X線吸収体3のX線放射線の影Sの中に配置されている。(ここでは参照番号20aを有する、評価電子回路2の後方のさらなる電子コンポーネントが、放射方向Eで見た場合、放射線の影Sの中に配置されている。)
【0051】
少なくとも1mmの大きさを有する空隙25は、高電圧分離のために、一方では、エレメント1と6との間に、他方では、エレメント4と7との間に、(二つのセンサー1及び6が、それぞれの半導体タイプSi及びGaAsに対する最適な電荷分離に達するために、異なる高電圧で動作可能であるように、以下参照)備えられている。
【0052】
第二のX線センサーキャリア6は、第二のセンサーキャリア7の上面に(x方向で見た場合に、第一のX線センサー1と同じ高さで、同一の幾何学的構造及び配向で)形成されている。従って、第一のX線センサー1で吸収されず、スリット14を通じて入射するX線光子は、第二のセンサー6で吸収可能である。本ケースでは、第一のX線センサー1は、シリコンから作られ、第二のX線センサー6は、GaAsから作られている。
【0053】
第一のセンサーキャリア4は、ここでは、例えば導電性の構造化ガラスから作られている。この第一のセンサーキャリア4と、信号評価電子回路2との間に配置される第二のキャリアセンサー7は、導電性の構造化Al2O3から作られている。
【0054】
従って、センサーキャリア4、7双方は、それぞれのセンサー1、6の熱膨張係数を、基板5の熱膨張係数に適応させる。
【0055】
二つのX線センサー1、6は、それぞれセンサーキャリア4、7の上面に、導電性接着剤により、それぞれ固定されている。従って、X線センサー1、6への高電圧の供給は、ここでは(図3においても)、基板5の上面に導かれ、二つのセンサーキャリア4、7及び対応する接着剤層を介してセンサー1、6に接続される、高電圧電極(不図示)を用いて行われる。
【0056】
図4a及び図4cに示すように、センサー1及び6の各ピクセル16a及び16b(図1、2及び6参照)は、ボンドワイヤー17により、信号評価電子回路2(または各ASIC2a、2b、...)に、導電的に接続される。ボンドワイヤー23は、ASIC2a、2b、...を、検出器のさらなる電子モジュールに接続する。さらなる電子コンポーネント20bが、基板5の下面において、ここではこの下面に同様に配置されるさらなるX線吸収体22の後方に配置され、吸収体3の高さで入射方向Eで見た場合に、さらなるX線吸収体22(吸収体3と同様に、ZrO2から形成される)のX線放射線の影の中に配置される。さらなるコンポーネント20b、コンポーネント20a、及び評価電子回路2は、上面から基板5を通じてその下面に繋がる導電性経路(不図示)により、互いに接続される。
【0057】
参照番号21は、ここでは、スリット14を通じたX線放射線Rの入射平面を指す(従って、基板平面に平行に配置される)。図4に示すX線センサー1、6は、電気的接続技術に関しては、ボンドワイヤー17のみにより設けられる。
【0058】
図4に示すX線検出器は、特に二つのX線センサー1と6(またはそれぞれのピクセル16aと16b)との間の空間が小さいことに因り、二つのX線センサー1及び6が、事実上同じ空間情報を検出する、という利点を有する。
【0059】
半導体SiまたはGaAsの安定化のために必要な安定化層(例えばSiNから作られる)は、図3及び図4には示されていない(続く図5にも不図示)。
【0060】
従って、図4は、本発明による直列ラインセンサーの第一の実現バリエーションを示す。X線放射線Rは、放射平面21を規定する、センサーヘッドハウジング(壁15)におけるスリット開口部14を通過する。センサーヘッドハウジングは、収容する電子回路2、20a及び20bに、ある種の放射線防護を既に提供しているが、設計上の理由(ハウジングの寸法、厚み及び重量)により、特に信号評価電子回路2のより長い耐用年数を保証するには、不十分である。従って、高吸収材料(ここでは、非導電性として酸化ジルコニウム、設計が導電性材料を許容する場合、タングステンまたは鉛が用いられてもよい)の二つの吸収体3、22が、電子エレメント2、20a、20bの防護のために、X線源とビーム径路における電子回路との間にあるように、相互接続デバイス5の上に配置される。
【0061】
しかしながら、X線放射線が実際のセンサーエレメント1及び6に到達可能とするために、これらのエレメント1、6は、特有のセンサーキャリア4、7上に取り付けられ、このことは、センサー1及び6が、吸収体3の放射線の影の中にないことを保証する。従って、センサーキャリア4及び7は、本検出器において、三つの機能を有する。一方では、それらは、センサー材料の熱膨張係数を、基板(例えば、有機回路基板材料または無機酸化アルミニウム)の熱膨張係数に適合させる機能を果たす。他方では、これらは、高電圧供給のために、基板とセンサーとの間の導電性接続の機能を果たす。さらに、吸収体3及びスリット14に対するセンサー1、6の正確な位置調整の機能を果たす。
【0062】
X線センサー1、6の各ピクセル電極16a、16bの増幅電子回路2への接続は、ワイヤーボンド17を通じて行われる。
【0063】
図5aから図5cは、二つの異なるエネルギー選択的X線センサー1及び6を有する、本発明によるさらなる直列X線検出器を示す。ここでも、同一の参照番号(図3および図4と比較した場合)は、異なる位置にある場合でも、同一の構成要素を指す。
【0064】
二つのX線センサー1及び6は、図5に示すX線検出器において、(x方向で見た場合)ハウジング壁15における空隙14の高さで、X線放射平面21に配置されている(また、以下に示す差異を除いて、図4に示すケースと同様に形成され、配置される)。X線検出器の他の全ての構成要素は、少なくとも部分的に、壁15のX線放射線の影SBの中に配置され、電子部品8、20bは、基板5の下面10に配置されるX線吸収体3のX線放射線の影Sの中にも配置され、または、電子部品20aは、基板5の上面9で、放射方向Eで見た場合に二つのX線センサー1及び6の後方に配置され、その他の点ではX線吸収体3と同様に形成される、さらなるX線吸収体24の放射線の影の中にある。
【0065】
従って、放射方向Eで見た場合、第一のX線センサー1、第二のX線センサー6、電子部品20aを防護するX線吸収体24、及び電子部品20aは、基板5の上面9に並んで固定されている。放射方向Eで見た場合、X線吸収体3が、まず、放射方向Eで見た場合、ハウジング開口部13に対向する側の基板5の下面10に配置され、X線放射線の影Sの中で見た場合、信号評価電子回路8及びさらなる電子部品20bが、その後方で、この順に配置されている。ここで、信号評価電子回路8は、yまたはE方向で見た場合、二つのX線センサー1及び6の高さで下面10に、すなわち、これら二つのセンサーの反対側の下面10の領域11に配置されている。
【0066】
図3及び図4に示す実施形態とは対照的に、本ケースでは、電子的接続は、以下のように構成されている。二つのセンサー1及び6には、フリップフロップ接点18により、基板5の上面9に形成される対応する導電性トラック(不図示)が直接備えられている。これらの導電性トラックは、基板5を適切に貫通し、基板5の上面9と下面10との間に形成される、導電性モールド加工貫通孔(経路12)を介して、基板5の下面10に接続される。そして、下面10に存在する経路12は、X線放射線の影S内において、ボンドワイヤー17を介して、信号評価電子回路8に通じる。
【0067】
図5bに示すように、評価電子回路8は、ここでは、複数の各ASIC8aから8hを含み、各ASICは、(図5aの)対応するセンサー1、6の32ピクセル16a、16bに接続される。
【0068】
従って、エネルギー選択的で、放射線防護機能が一体化された、本発明による直列X線検出器を実現した図5に示すバリエーションは、ASIC8a、8b...とは反対側の基板表面に取り付けられる二つのセンサー1及び6を示す。従って、これらの集積回路8a...は、スリット14を通じた直接のビーム径路から既に移動されている。また、放射線吸収体3が、増幅電子回路8の前方に配置されている。上面では、放射方向Eで見た場合に、後方のセンサー6とさらなる電子部品20aとの間に配置される、X線吸収体24が、さらなる電子部品を防護する。
【0069】
センサー1、6のピクセル電極16a、16bの、回路8a、8b...の対応する入力への接続は、センサー側のフリップフロップ接点18と、下面または回路側の対応するワイヤーボンド接続17により(経路12を介した接続によって)行われる。従って、基板5を通じたセンサー信号の増幅電子回路8への伝達は、基板を通じた対応する孔による導電性経路12により、行われる。この場合、高電圧の供給は、センサー1、6と、基板5の上面9に印刷された対応する供給ライン(不図示)との間のワイヤーボンド接続25により、行われる。
【0070】
さらに、図6は、本発明によるX線検出器の第一のX線センサー1のピクセル構造16aの(詳細)写真を示す。32個の各ピクセル16aが、信号評価電子回路2(または8)のASICと関連している。
【0071】
図7は、対応するX線検出器の平面図を示し、それぞれが32チャネルを有する各ASIC2、(第一の)X線センサー1及びX線吸収体3が観察可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】DE 197 11 927 A1
【特許文献2】DE 10 2009 008 702 A1
【特許文献3】DE 10 2007 010 639 A1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線放射線(R)を電荷キャリアに直接変換するX線センサー(第一のX線センサー(1))と、
前記X線センサー(1)に電気的に接続(17)され、好ましくは集積回路として設計される、信号評価電子回路(2)と、
前記信号評価電子回路(2)を防護するために設けられるX線吸収体(3)と、
前記X線吸収体(3)に対して前記X線センサー(1)を位置調整するために設けられ配置される、センサーキャリア(第一のセンサーキャリア(4))と
を含むX線検出器であって、
前記X線放射線(R)の入射方向(E)で見た場合に、前記信号評価電子回路(2)が、前記X線吸収体(3)の後方で、そのX線放射線の影(S)の中に配置されるとともに、
前記X線センサー(1)が、
前記X線吸収体(3)と前記信号評価電子回路(2)との間に好ましくは配置される前記センサーキャリア(4)により、
少なくとも部分的に前記X線吸収体(3)の後方で、その前記X線放射線の影(S)の外側に配置される、X線検出器。
【請求項2】
前記X線吸収体(3)と、前記センサーキャリア(4)と、前記信号評価電子回路(2)とが、基板(5)、特に回路基板に共に配置され、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、好ましくはその順番で配置され、
前記入射方向(E)に垂直な、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直な方向(x)で見た場合に、前記基板(5)と前記X線センサー(1)との間に配置される、前記センサーキャリア(4)の材料が、前記基板(5)の材料の熱膨張係数と、前記X線センサー(1)の材料の熱膨張係数の間、好ましくは間の中心にある熱膨張係数を有し、及び/または、前記X線センサー(1)の熱膨張係数を前記基板(5)の熱膨張係数に適合させ、
及び/または、
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直に、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直に見た場合に、前記センサーキャリア(4)が前記X線吸収体(3)と同一の寸法を有し、及び/または、完全に前記X線吸収体(3)の前記X線放射線の影(S)の中に位置すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記X線放射線(R)を電荷キャリアに直接変換するとともに、前記信号評価電子回路(2)に同様に電気的に接続される(17)、さらなるX線センサー(第二のX線センサー(6))と、
前記X線吸収体(3)に対して前記第二のX線センサー(6)を位置調整するために設けられ配置される、さらなるセンサーキャリア(第二のセンサーキャリア(7))と、を特徴とし、
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、前記第二のX線センサー(6)が、前記第一のX線センサー(1)の後方に配置されるとともに、前記第一のセンサーキャリア(4)と前記信号評価電子回路(2)との間に好ましくは配置される前記第二のセンサーキャリア(7)により、前記X線吸収体(3)の後方で、その前記X線放射線の影(S)の外側に配置される、
請求項1または2に記載のX線検出器。
【請求項4】
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直に、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直に見た場合に、前記第二のセンサーキャリア(7)が前記X線吸収体(3)と同一の寸法を有し、及び/または、前記第一のセンサーキャリア(4)及び/または前記第二のセンサーキャリア(7)が、完全に前記X線吸収体(3)の前記X線放射線の影(S)の中に配置され、
及び/または、
前記入射方向(E)に垂直な、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直な方向(x)で見た場合に、前記基板(5)と前記第二のX線センサー(6)との間に配置される、前記第二のセンサーキャリア(7)の材料が、前記基板(5)の材料の熱膨張係数と、前記第二のX線センサー(6)の材料の熱膨張係数の間、好ましくは間の中心にある熱膨張係数を有し、及び/または、前記第二のX線センサー(6)の熱膨張係数を前記基板(5)の熱膨張係数に適合させること、
を特徴とする請求項3に記載のX線検出器。
【請求項5】
前記第一のセンサーキャリア(4)及び/または前記第二のセンサーキャリア(7)が、導電性で、及び、前記第一のX線センサー(1)及び/または前記第二のX線センサー(6)の電圧供給のために設けられること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項6】
基板(5)、特に回路基板と、
それぞれX線放射線(R)を電荷キャリアに直接変換するとともに、前記基板(5)の第一の面(9)に配置される、第一のX線センサー(1)及び第二のX線センサー(6)と、
X線センサー(1、6)双方に電気的に接続(17、18)されるとともに、好ましくは集積回路として形成され、前記基板の前記第一の面(9)とは反対側に位置する第二の面(10)に配置され、好ましくは前記二つのX線センサー(1、6)の反対側に位置する領域(11)に配置される、信号評価電子回路(8)と、
前記信号評価電子回路(8)の防護のために形成され、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、前記信号評価電子回路(8)の前方において、前記基板(5)の前記第二の面(10)に配置されるX線吸収体(3)であって、前記信号評価電子回路(8)が、該X線吸収体(3)の前記X線放射線の影(S)の中に配置されるように配置されるX線吸収体、
を含む、X線検出器。
【請求項7】
前記センサーの信号を前記信号評価電子回路(8)に伝達する、前記第一のセンサー(1)及び/または前記第二のセンサー(6)に対する前記信号評価電子回路(8)の電気的接続(17、18)が、前記基板(5)を通じて繋がる導電性経路(12)により実現されること、
を特徴とする請求項6に記載のX線検出器。
【請求項8】
前記二つのX線センサー(1、6)が、前記X線放射線(R)の異なるスペクトル部分を吸収するように構成され、前記第一のX線センサー(1)が、好ましくは前記X線放射線(R)の低エネルギー部分を吸収し、前記第二のX線センサー(6)が、前記X線放射線の高エネルギー部分を吸収するように設けられ、及び/または、異なる原子数の半導体材料を含み、
及び/または、
前記二つのX線センサー(1、6)の一方、好ましくは前記第一のX線センサー(1)が、Siを含み、前記二つのX線センサー(1、6)の他方、好ましくは前記第二のX線センサー(6)が、GaAsを含むこと、
を特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項9】
好ましくはスリット形状の開口部(14)を備えるビーム停止部(13)であって、
好ましくは、前述したエレメント(1)から(12)を収容するために形成され、
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、
前記第一のX線センサー(1)の前方、または、前記第一のX線センサー(1)及び前記第二のX線センサー(6)の前方に配置され、好ましくは前記X線吸収体(3)の前方に配置され、
前記第一のX線センサー(1)、または、前記第一のX線センサー(1)及び前記第二のX線センサー(6)が、前記ビーム停止部(13)の前記壁(15)の前記X線放射線の影(SB)の中には配置されずに、前記開口部(14)の後方に配置されるように、位置合わせされるビーム停止部(13)として設けられるハウジングの一部であるビーム停止部、
を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項10】
前記第一のX線センサー(1)、及び/または、前記第二のX線センサー(6)、好ましくは、X線センサー(1、6)双方が、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直な方向(z)、及び、前記基板(5)の平面(y、z)で見た場合に、前記X線放射線(R)の空間分解検出のための、複数の個々のピクセル(ラインセンサー構造16a、16b)を有し、
該個々のピクセルは、センサー信号を前記信号評価電子回路(2、8)に伝達するために、ボンドワイヤー(17)及び/またはフリップフロップ接点(18)を介して前記信号評価電子回路(2、8)に電気的に接続されること、
を特徴とする請求項2または請求項6に従属する請求項1から9のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項11】
X線センサー(1、6)双方が、ラインセンサー構造(16a、16b)を有し、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、前記入射方向(E)に平行に投影される前記第一のX線センサー(1)のピクセル(16a)が、前記第二のX線センサー(6)のピクセル(16b)にちょうど重なるように、並んで配置され、同じ空間情報が、前記二つのX線センサー(1、6)で得られること
を特徴とする請求項10に記載のX線検出器。
【請求項12】
前記第一のX線センサー(1)及び前記第二のX線センサー(6)が、別々に、及び互いに独立して、電圧を供給可能であること、
を特徴とする請求項4、5、7から13のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項13】
複数のX線検出器が、それらの基板面が平行であるように互いに積み重ねられ、平面(x、z)におけるそれらの第一のX線センサー(1)、または、第一のX線センサー(1)及び第二のX線センサー(6)の前記ラインセンサー構造(16a、16b)が、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直で見た場合に、二次元ピクセル配列の形態の二次元エリアセンサー構造を形成すること、
を特徴とする、請求項11または12により形成される複数のX線検出器の配置。
【請求項1】
X線放射線(R)を電荷キャリアに直接変換するX線センサー(第一のX線センサー(1))と、
前記X線センサー(1)に電気的に接続(17)され、好ましくは集積回路として設計される、信号評価電子回路(2)と、
前記信号評価電子回路(2)を防護するために設けられるX線吸収体(3)と、
前記X線吸収体(3)に対して前記X線センサー(1)を位置調整するために設けられ配置される、センサーキャリア(第一のセンサーキャリア(4))と
を含むX線検出器であって、
前記X線放射線(R)の入射方向(E)で見た場合に、前記信号評価電子回路(2)が、前記X線吸収体(3)の後方で、そのX線放射線の影(S)の中に配置されるとともに、
前記X線センサー(1)が、
前記X線吸収体(3)と前記信号評価電子回路(2)との間に好ましくは配置される前記センサーキャリア(4)により、
少なくとも部分的に前記X線吸収体(3)の後方で、その前記X線放射線の影(S)の外側に配置される、X線検出器。
【請求項2】
前記X線吸収体(3)と、前記センサーキャリア(4)と、前記信号評価電子回路(2)とが、基板(5)、特に回路基板に共に配置され、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、好ましくはその順番で配置され、
前記入射方向(E)に垂直な、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直な方向(x)で見た場合に、前記基板(5)と前記X線センサー(1)との間に配置される、前記センサーキャリア(4)の材料が、前記基板(5)の材料の熱膨張係数と、前記X線センサー(1)の材料の熱膨張係数の間、好ましくは間の中心にある熱膨張係数を有し、及び/または、前記X線センサー(1)の熱膨張係数を前記基板(5)の熱膨張係数に適合させ、
及び/または、
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直に、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直に見た場合に、前記センサーキャリア(4)が前記X線吸収体(3)と同一の寸法を有し、及び/または、完全に前記X線吸収体(3)の前記X線放射線の影(S)の中に位置すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記X線放射線(R)を電荷キャリアに直接変換するとともに、前記信号評価電子回路(2)に同様に電気的に接続される(17)、さらなるX線センサー(第二のX線センサー(6))と、
前記X線吸収体(3)に対して前記第二のX線センサー(6)を位置調整するために設けられ配置される、さらなるセンサーキャリア(第二のセンサーキャリア(7))と、を特徴とし、
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、前記第二のX線センサー(6)が、前記第一のX線センサー(1)の後方に配置されるとともに、前記第一のセンサーキャリア(4)と前記信号評価電子回路(2)との間に好ましくは配置される前記第二のセンサーキャリア(7)により、前記X線吸収体(3)の後方で、その前記X線放射線の影(S)の外側に配置される、
請求項1または2に記載のX線検出器。
【請求項4】
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直に、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直に見た場合に、前記第二のセンサーキャリア(7)が前記X線吸収体(3)と同一の寸法を有し、及び/または、前記第一のセンサーキャリア(4)及び/または前記第二のセンサーキャリア(7)が、完全に前記X線吸収体(3)の前記X線放射線の影(S)の中に配置され、
及び/または、
前記入射方向(E)に垂直な、及び前記基板(5)の平面(y、z)に垂直な方向(x)で見た場合に、前記基板(5)と前記第二のX線センサー(6)との間に配置される、前記第二のセンサーキャリア(7)の材料が、前記基板(5)の材料の熱膨張係数と、前記第二のX線センサー(6)の材料の熱膨張係数の間、好ましくは間の中心にある熱膨張係数を有し、及び/または、前記第二のX線センサー(6)の熱膨張係数を前記基板(5)の熱膨張係数に適合させること、
を特徴とする請求項3に記載のX線検出器。
【請求項5】
前記第一のセンサーキャリア(4)及び/または前記第二のセンサーキャリア(7)が、導電性で、及び、前記第一のX線センサー(1)及び/または前記第二のX線センサー(6)の電圧供給のために設けられること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項6】
基板(5)、特に回路基板と、
それぞれX線放射線(R)を電荷キャリアに直接変換するとともに、前記基板(5)の第一の面(9)に配置される、第一のX線センサー(1)及び第二のX線センサー(6)と、
X線センサー(1、6)双方に電気的に接続(17、18)されるとともに、好ましくは集積回路として形成され、前記基板の前記第一の面(9)とは反対側に位置する第二の面(10)に配置され、好ましくは前記二つのX線センサー(1、6)の反対側に位置する領域(11)に配置される、信号評価電子回路(8)と、
前記信号評価電子回路(8)の防護のために形成され、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、前記信号評価電子回路(8)の前方において、前記基板(5)の前記第二の面(10)に配置されるX線吸収体(3)であって、前記信号評価電子回路(8)が、該X線吸収体(3)の前記X線放射線の影(S)の中に配置されるように配置されるX線吸収体、
を含む、X線検出器。
【請求項7】
前記センサーの信号を前記信号評価電子回路(8)に伝達する、前記第一のセンサー(1)及び/または前記第二のセンサー(6)に対する前記信号評価電子回路(8)の電気的接続(17、18)が、前記基板(5)を通じて繋がる導電性経路(12)により実現されること、
を特徴とする請求項6に記載のX線検出器。
【請求項8】
前記二つのX線センサー(1、6)が、前記X線放射線(R)の異なるスペクトル部分を吸収するように構成され、前記第一のX線センサー(1)が、好ましくは前記X線放射線(R)の低エネルギー部分を吸収し、前記第二のX線センサー(6)が、前記X線放射線の高エネルギー部分を吸収するように設けられ、及び/または、異なる原子数の半導体材料を含み、
及び/または、
前記二つのX線センサー(1、6)の一方、好ましくは前記第一のX線センサー(1)が、Siを含み、前記二つのX線センサー(1、6)の他方、好ましくは前記第二のX線センサー(6)が、GaAsを含むこと、
を特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項9】
好ましくはスリット形状の開口部(14)を備えるビーム停止部(13)であって、
好ましくは、前述したエレメント(1)から(12)を収容するために形成され、
前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、
前記第一のX線センサー(1)の前方、または、前記第一のX線センサー(1)及び前記第二のX線センサー(6)の前方に配置され、好ましくは前記X線吸収体(3)の前方に配置され、
前記第一のX線センサー(1)、または、前記第一のX線センサー(1)及び前記第二のX線センサー(6)が、前記ビーム停止部(13)の前記壁(15)の前記X線放射線の影(SB)の中には配置されずに、前記開口部(14)の後方に配置されるように、位置合わせされるビーム停止部(13)として設けられるハウジングの一部であるビーム停止部、
を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項10】
前記第一のX線センサー(1)、及び/または、前記第二のX線センサー(6)、好ましくは、X線センサー(1、6)双方が、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直な方向(z)、及び、前記基板(5)の平面(y、z)で見た場合に、前記X線放射線(R)の空間分解検出のための、複数の個々のピクセル(ラインセンサー構造16a、16b)を有し、
該個々のピクセルは、センサー信号を前記信号評価電子回路(2、8)に伝達するために、ボンドワイヤー(17)及び/またはフリップフロップ接点(18)を介して前記信号評価電子回路(2、8)に電気的に接続されること、
を特徴とする請求項2または請求項6に従属する請求項1から9のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項11】
X線センサー(1、6)双方が、ラインセンサー構造(16a、16b)を有し、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)で見た場合に、前記入射方向(E)に平行に投影される前記第一のX線センサー(1)のピクセル(16a)が、前記第二のX線センサー(6)のピクセル(16b)にちょうど重なるように、並んで配置され、同じ空間情報が、前記二つのX線センサー(1、6)で得られること
を特徴とする請求項10に記載のX線検出器。
【請求項12】
前記第一のX線センサー(1)及び前記第二のX線センサー(6)が、別々に、及び互いに独立して、電圧を供給可能であること、
を特徴とする請求項4、5、7から13のいずれか1項に記載のX線検出器。
【請求項13】
複数のX線検出器が、それらの基板面が平行であるように互いに積み重ねられ、平面(x、z)におけるそれらの第一のX線センサー(1)、または、第一のX線センサー(1)及び第二のX線センサー(6)の前記ラインセンサー構造(16a、16b)が、前記X線放射線(R)の前記入射方向(E)に垂直で見た場合に、二次元ピクセル配列の形態の二次元エリアセンサー構造を形成すること、
を特徴とする、請求項11または12により形成される複数のX線検出器の配置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−29510(P2013−29510A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−166523(P2012−166523)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(504174917)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ. (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166523(P2012−166523)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(504174917)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ. (26)
【Fターム(参考)】
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