説明

電子機器に通電する方法及び回路

電子機器に通電する方法と回路とが説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に通電する方法及び回路に関するとともに、前記電子機器に通電する方法及び回路を用いたシステム、移動体機器、電源デバイスに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の実施例によれば、電子機器に通電する方法が備えられる。その電子機器はスイッチを介して電源に接続される。その方法によれば、電気エネルギーが、機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより発生する。その発生した電気エネルギーはスイッチに供給されて、電子機器の電源への電気的接続を設ける。そのスイッチは半導体スイッチでも良く、例えば、サイリスタ、MOSFET、IGBTなどでも良いし、或いは、機械的スイッチ、例えば、リレーでも良い。その電子機器は、例えば、電池電源の機器のような更なる機器に充電するための充電器であると良い。その充電器と電池電源の機器は、プラグとマッチングソケットを介して、互いに着脱可能に接続可能である。この場合、スイッチを動作させる電気エネルギーはプラグをソケットへ挿入する機械的運動により発生する。さらに、その電子機器は、電源からの電気エネルギーを前記更なる機器に供給する電源ユニットであっても良い。
【0003】
コンシューマー向け電子機器、特に、例えば、移動体電話、移動体情報携帯端末、MP3プレイヤーのような移動体音響再生機器、移動体コンピュータのような電池電源の機器の分野において、移動体機器は充電器や電源ユニットを介して電源に接続される。充電器や電源ユニットは一方の側でプラグとマッチングソケットとを有するコネクタを介して電池電源の移動体機器に着脱可能に接続され、他方の側で別のコネクタを介して電源、所謂メインに接続される。そのようなコンシューマー向け電子機器の多くのユーザは、彼らが電池電源の移動体機器を充電器や電源ユニットから切り離したときに、電源に接続された充電器や電源ユニットをそのままに残しておく。しかしながら、電池電源の移動体機器と充電器や電源ユニットとの間の接続が切り離されたときでさえ、その充電器や電源ユニットは依然として、それが電源に電気的に接続されている限り、電源からの電気エネルギーを消費している。
【0004】
それ故に、本発明の実施例に従えば、充電器や電源ユニットは、その充電器や電源ユニットを電源に電気的に接続したり、或いは、その電源から電気的に切断するように適合したスイッチを介して、その電源に接続される。この切断は、電池電源の移動体機器を充電器や電源ユニットから切り離したことを検知することにより開始される。充電器や電源ユニットを電源に最初に結合することを開始することに関し、そのスイッチが起動され、従って、その電源からの電気エネルギーを充電器や電源ユニットに通電しなければならない。それ故に、本発明の実施例に従えば、電気エネルギーは機械的運動を電気エネルギーに変換することにより発生する。そして、この電気エネルギーがスイッチへと提供される。充電器や電源ユニットが通電された後に、そのスイッチは、電源と充電器や電源ユニットに由来する電気エネルギーを用いて起動された状態に保持される。従って、充電器や電源ユニットは、電池電源の移動体機器が接続された場合にのみ電気エネルギーを消費するのである。
【0005】
本発明の実施例に従えば、ピエゾ素子がピエゾ効果を利用して機械的運動から電気エネルギーを発生させるために用いられる。このピエゾ素子のために使用可能な材料には、例えば、圧電性プラスティックと圧電性セラミックを含む。それ故に、その圧電素子は、充電器や電源ユニットのような電子機器を、電池電源の移動体機器のような更なる電子機器に接続するコネクタに内蔵されると良い。従って、プラグをマッチングソケットへと動かすことにより、その電子機器を更なる電子機器に接続するときに、その圧電素子は機械的に起動されスイッチに供給される電気エネルギーを発生する。
【0006】
他の実施例に従えば、その発生した電気エネルギーはスイッチから瞬間的に絶縁される。これは、電子機器の二次側の低電圧をその電子機器の一次側の高電圧と分離し、危険な電圧からユーザを遠ざけるのに役立つ。
【0007】
他の実施例に従えば、その発生した電気エネルギーはスイッチに供給される前に蓄積される。例えば、電気エネルギーを発生する圧電素子を用いるとき、その圧電素子は短いピークのある高い電気エネルギーを発生するかもしれない。このピークは電子機器を起動させるのに十分に長く電子機器に通電するには余りにも短いかもしれない。それ故に、この電気エネルギーを、例えば、キャパシタに中間的に格納しておき、電子機器が起動されるまで、スイッチにそのキャパシタから長時間電気エネルギーを供給するのには利点があるかもしれない。さらにその上、発生した電気エネルギーは所定の範囲に制限され、その電子機器、更なる電子機器、或いは、ユーザにとって危険であるかもしれない電圧ピークを回避するようにすると良い。
【0008】
本発明の他の実施例に従えば、電子機器に通電する回路が備えられる。この回路は、スイッチとコンバータと制御回路とを含む。そのスイッチは、電子機器を電源に接続するように適合される。そのコンバータは、機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生するように適合される。その制御回路は、前記スイッチと前記コンバータとを結合し、前記コンバータから前記スイッチに前記発生した電気エネルギーを供給するように適合される。ここで、その発生した電気エネルギーを受けたときには、そのスイッチは、電子機器の電源への電気的接続を提供する。機械的運動から電気エネルギーを発生するコンバータは、機械的運動から電気エネルギーを発生するピエゾ効果を利用した圧電素子であると良い。その電子機器は、更なる機器やその更なる機器に電源からの電気エネルギーを供給する電源ユニットに充電するための充電器を有していても良い。その電子機器はプラグとマッチングソケットとを含むコネクタを介して更なる機器に着脱可能に接続可能である。そのコンバータ、例えば、圧電素子は、プラグがソケットへ挿入されるときに、電気エネルギーが機械的運動により発生するように、コネクタに内蔵されると良い。
【0009】
前記更なる機器は、直接には電源の高電圧に接続できないが、例えば、充電器や電源ユニットのような電子機器により前記電源に由来する低電圧により電力が供給される必要のある電池電源の機器を含む。その電池電源の機器は、移動体機器、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータであっても良い。
【0010】
別の実施例によれば、前記制御回路はさらに、電子機器に接続され、前記機械的に発生した電気エネルギーがスイッチに供給された後に、前記電子機器からの電気エネルギーを前記スイッチに供給するように構成される。従って、機械的運動の後に、コンバータが更なる電気エネルギーをスイッチに供給しなくなったときでさえも、前記電子機器の前記電源への電気的接続が維持される。
【0011】
別の実施例によれば、前記制御回路はさらに、前記コンバータにより発生した電気エネルギーをスイッチから瞬間的に絶縁する変圧器を有する。さらにその上、前記制御回路は、前記発生した電気エネルギーをそれがスイッチに供給される前に蓄積するキャパシタを有すると良い。最後に、前記制御回路はさらに、前記コンバータにより発生した電気エネルギーの電圧を所定の範囲に制限する、例えば、ツェナーダイオード、ブレイクダウンダイオード、ローパスフィルタ、電圧レギュレータなどのような電圧制限回路構成を有すると良い。
【0012】
本発明の別の実施例によれば、第1の電子機器と第2の電子機器とスイッチとコンバータと制御回路とを含むシステムが備えられる。例えば、充電器や電源ユニットのような第1の電子機器は、電源、所謂メインからの電気エネルギーを、例えば、移動体機器、電池電源駆動の機器、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータのような第2の電子機器の電気的要求に適合させるように構成される。そのスイッチは、前記第1の電子機器を電源に接続するよう適合され、それは、サイリスタ、MOSFET、IGBTなどを含む。そのコネクタは前記第1の電子機器を前記第2の電子機器に着脱可能に接続する。そのコネクタは、プラグとマッチングソケットとを含む。好適な実施例に従えば、そのコネクタはUSBコネクタである。そのコンバータは、機械的運動を電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生するように適合される。そのコンバータは、ソケットへと挿入されるプラグの機械的運動により、電気エネルギーが発生するように、前記コネクタに内蔵される。その制御回路は、前記スイッチと前記コンバータとに接続される。その制御回路は、前記発生した電気エネルギーを前記コンバータから前記スイッチに供給し、前記スイッチが前記第1の電子機器の前記電源への電気的接続を設けることを可能にするように適合される。
【0013】
そのシステムは、前記第1の電子機器から前記第2の電子機器にエネルギーを供給するエネルギー供給線をさらに有すると良い。そのエネルギー供給線は、マルチプル伝導線でも良いし、或いは、その線の一端が第1の電子機器に固定的に接続され、その他端では例えばプラグを備えるケーブルでも良い。ここで、そのプラグは、第2の電子機器に備えられたソケットにマッチングする。プラグをソケットへと動かすことにより発生した電気エネルギーはコンバータからそのエネルギー供給線を介して前記制御回路に送られる。
【0014】
本発明の別の実施例に従えば、移動体機器が備えられ、その移動体機器は、例えば、充電器や電源ユニットなどの電子機器を着脱可能に前記移動体機器に接続するコネクタの第1の部品を有する。その電子機器は、移動体機器に含まれる第1の部品にマッチングする前記コネクタの第2の部品を有する。その移動体機器はさらに、機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生するように適合されたコンバータを有する。そのコンバータは、前記コネクタの第1の部品に前記コネクタの第2の部品が結合されるときに、例えば、第1の部品が第2の部品に挿入されるとき、或いは、第2の部品が第1の部品に挿入されるときに生じる機械的運動により電気エネルギーが発生するように、前記コネクタの前記第1の部品に内蔵される。
【0015】
前記移動体機器は電池電源の機器であると良く、それは、例えば、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータなどである。
【0016】
本発明のさらに別の実施例に従えば、電源デバイスが備えられる。その電源デバイスは、電力コンバータとスイッチとコネクタの第1の部品とコンバータと前記スイッチと前記コンバータとに接続される制御回路とを有する。その電力コンバータは、所謂メインの電源からの電気エネルギーを変換して、前記コネクタの第1の部品に接続可能な更なる電子機器の電気的要求に適合させる。一般に、この変換は、例えば、110Vや220Vのような高電圧をもつ電気エネルギーを、通常は5〜25Vの範囲の低電圧の電気エネルギーへ変換することを含む。しかしながら、その電力コンバータは電圧のそのようなダウンスケーリングに限定されるものではなく、また、電圧のアップスケーリング、例えば、車両電源からの12Vを更なる電子機器の電気的要求へと変換することをも提供することができる。そのスイッチは、その電力コンバータを電源に接続するように適合され、そのスイッチは、例えば、サイリスタ、トリアック、MOSFET、IGBTなどの半導体スイッチを含んでも良い。コネクタの第1の部品は、電源デバイスを着脱可能に更なる電子機器に接続するプラグやソケットであると良い。ここで、更なる電子機器とは、例えば、第1の部品にマッチングするソケットやプラグのようなコネクタの第2の部品を含む。そのコンバータは、機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生するように適合される。そのコンバータは、コネクタの第1の部品とコネクタの第2の部品とが結合されるときの機械的運動により電気エネルギーが発生するようにコネクタに内蔵される。その制御回路は、コンバータからスイッチに前記発生した電気エネルギーを供給し、電力コンバータの電源への電気的接続を設けるように適合される。
【0017】
前記電源デバイスは、前記更なる電子機器に充電するための充電器であっても良い。機械的運動から電気エネルギーを発生する前記コンバータは、前記コネクタの前記第1の部品に内蔵されても良いし、或いは、その代わりに、前記コネクタの前記第2の部品に内蔵されても良い。
【0018】
上述した概要で説明した具体的な特徴と次の詳細な説明とは特定の実施例に関連して説明するものであるが、特段の説明がない限り、説明する実施例の特徴は互いに組み合わせることができることを理解されたい。
【0019】
これ以降、添付図面を参照して本発明の代表的な実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に従うシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に従うスイッチの実施例をより詳細に示す図である。
【図3】本発明の実施例に従う制御回路の実施例を示す図である。
【図4】本発明の実施例に従うシステムのさらに別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の代表的な実施例について詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の原理を例示する目的だけのために与えられたのであり、本発明を限定する意味においてとられたものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ規定されるものであり、以下の代表的な実施例によって限定されることは意図していない。
【0022】
また、代表的な実施例についての以下の詳細な説明において、添付図面に示された、或いは、ここで説明する機能ブロック、デバイス、構成要素、或いは、他の物理的或いは機能的ユニット間のいずれの直接的な接続や結合も、間接的な接続や結合によって実施可能であることを理解されたい。その説明や図面における異なるインスタンスにおいて同じ参照番号を用いることは、類似或いは同一の項目を示している。
【0023】
さらに、ここで説明する種々の代表的な実施例の特徴は、特段の指定がない限り互いに組み合わせることができることを理解されたい。
【0024】
図1は本発明に従うシステム100の実施例を示している。システム100は充電器101と、例えば、移動体電話のような移動体機器102とを有する。充電器101は、プライマリスイッチ電池充電器103と、制御回路104と、2方向半導体スイッチ106と、電流検知抵抗107と、充電コネクタ108とを有する。プライマリスイッチ電池充電器はライン109、110を介して、例えば、110Vや220Vの電圧を提供する所謂メインと言われる電源に接続可能である。
【0025】
ライン110では、半導体スイッチ106は、スイッチ106が切断状態にあるときには、プライマリスイッチ電池充電器103が電気的に完全に電源からは切り離され、電流がライン109、110を通って流れないように挿入される。半導体スイッチ106が接続状態になるときにはプライマリスイッチ電池充電器103が接続され、ライン109、110を介して電源からのエネルギーが供給される。
【0026】
プライマリスイッチ電池充電器103は電源から供給される高電圧を、移動体機器102の電池に充電するのに適した低電圧へと変換するように適合されている。プライマリスイッチ電池充電器103は、ライン109、110を介して、その一次側で電源に接続されるとき、プライマリスイッチ電池充電器103はその二次側でライン111、112を介して低電圧を提供する。ライン111、112はプライマリスイッチ電池充電器103の二次側を充電コネクタ108に接続する。充電コネクタ108は、移動体機器102の対応するソケットにフィットするプラグであると良い。
【0027】
図1に示されているように、ライン112において、抵抗R107が直列に挿入され、それは電流がライン112と抵抗107を通って流れる限り、ライン113と114での電流検知電圧を提供する電流検知抵抗として用いられる。それ故に、移動体機器102が充電コネクタ108を介してプライマリスイッチ電池充電器103に接続されるとき、そして、プライマリスイッチ電池充電器103がライン109、110を介して電源に接続されるとき、充電電圧がライン111、112に現れ、対応する充電電流がライン111、112を通って流れ、ライン113、114での電圧を保持させる。
【0028】
ライン111、112での充電電圧はさらにライン115、113を介して夫々、制御回路104に供給され、さらに、ライン113、114での保持電圧が制御回路104に供給される。その充電電圧と保持電圧とが現れる限り、制御回路104は、制御回路104と半導体スイッチ106との間の接続部116を介して半導体スイッチ106を起動して、半導体スイッチ106を接続状態に維持する。充電コネクタ108が移動体機器102から取り除かれる、即ち、充電検出器108のプラグが移動体機器102のソケットから引き抜かれたとき、ライン111、112を通る電流はストップする。従って、ライン113、114の保持電圧はゼロになり、制御回路104により、接続部116を介して半導体スイッチ106を切断状態へと変更させる。このために、電源から電池充電器103へのライン109、110を通る電流はなくなり、従って、電池充電器103はこれ以上、電源からのエネルギーを消費することはない。
【0029】
しかしながら、充電コネクタ108が移動体機器102に再接続されたとき、充電器101は再通電されて移動体機器102に対する充電電圧を提供しなければならない。このことは、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させることで達成される。その機械的エネルギーは、図1における力を示す矢Fにより示されるように、充電コネクタ108を移動体機器102のソケットに挿入することにより誘導される。これを達成するために、充電コネクタ108は圧電素子117とばねで支持されたハンマ118とを備える。圧電素子117は、例えば、圧電性セラミック、或いは、圧電性プラスティックである。圧電素子117は、圧電ガスライタと似た方法で作用するが、遥かに少ない力と遥かに低い電圧を用いている。ばねで支持されたハンマ118は、充電コネクタ108が移動体機器102にプラグインされたときに解放される。ハンマ118は圧電素子を打ち、従って、ライン119、120に開始電圧としての過渡電圧を発生させる。充電コネクタ108のプラグが移動体機器102のソケットから抜かれたとき、ばねで支持されたハンマ118のばねがその初期状態に戻る。
【0030】
従って、圧電素子117はばねで支持されたハンマ118の機構からの衝撃により励起され、過渡的な開始電圧が制御回路104に供給される。この開始電圧は制御回路104から接続部116を介して半導体スイッチ106へとフィードされる。半導体スイッチ106にトリガをかけるのに必要なエネルギーは小さく、圧電素子117により提供されるエネルギーは、プライマリスイッチ電池充電器103がスタートアップし、充電電圧を移動体機器102に提供し、従って、圧電素子117からのエネルギーがもはやないときでさえも制御回路104を介してスイッチ106を導通状態に保持するためにライン113、114の保持電圧を提供するのに長い期間、半導体スイッチ106を通電するに十分である。
【0031】
2方向半導体スイッチ106は、図1に示されるようにトリアックで構成されても良いし、或いは、図2に示されているように2つの直列接続したMOS−FETで構成されても良いし、或いは、直列接続されたIGBT(不図示)で構成されても良いし、或いは、何か別の適切なタイプの半導体スイッチで構成されても良い。
【0032】
ガルバニック電流絶縁の要求があるなら、変圧器122が図3に示されているように、圧電素子117からの過渡電圧を結合するのに用いられる。圧電素子117(図1)からの過渡電圧或いは開始電圧は変圧器122の第1の巻線123に供給される。この開始電圧は変圧器122の第2の巻線124にキャパシタ121に中間的に蓄積され、接続部116を介して半導体スイッチ106のゲート或いは制御入力に印加される電圧を誘導する。キャパシタ121はオプションである。キャパシタ121は、開始電圧の過渡電圧の期間が余りにも短くてプライマリスイッチ電池充電器103をスタートアップできないときに、半導体スイッチ106にその開始電圧が供給される時間を増加させる。図3に示されているように、ライン113、114の保持電圧もプライマリスイッチ電池充電器103の一次側から瞬間的に絶縁される。ライン113、114に与えられる保持電圧は、周波数コンバータ126への電圧により交流電流(AC)へと変換される。この交流電流が変圧器122の第3の巻線125に供給され、変圧器122の第2の巻線124に保持電圧を誘導する。この保持電圧が図1に示されているように接続部116を介して半導体スイッチ106へと提供される。
【0033】
図4は、充電器101と移動体電話102とを有するシステム100の別の実施例を示している。図1と図4における同様の参照記号は同様の構成要素を示しており、それ故に、図1に関連して既に説明した構成要素の詳細な説明は省略する。
【0034】
図4における充電器と移動体電話102との間の接続は所謂、USBコネクタ108により達成される。そして、このUSBコネクタ108は標準化された構成要素であるので、この実施例では、圧電素子117とばねで支持されたハンマ118の機構とはUSBコネクタ108には内蔵されず、移動体電話102に内蔵される。標準化されたUSBコネクタは、例えば、図1のライン119、120のような、開始電圧を送り出す付加的なポートやラインを備えていないので、圧電素子117からの過渡電圧は、移動体電話102の電池を充電するために用いられる電圧ライン111、112に重畳される。図4に示されているように、圧電素子117からの給電点には、余りにも高電圧がライン111、112も出力されないことを確認するツェナーダイオード127やローパスフィルタ(不図示)のような過渡電圧防止部が備えられる。
【0035】
上述のように、圧電素子117とばねで支持されたハンマ118の機構とは移動体電話102に内蔵される。USBコネクタ108が移動体電話102に挿入されたときに、力Fをハンマに与え、ばねで支持されたハンマが解放される。そのハンマは圧電素子117を打撃して、圧電素子117にライン111、112を介して変圧器122の第1の巻線123に供給される過渡電圧を発生させる。圧電素子117からの過度電圧は変圧器122の第2の巻線124に、図1に示されているように、接続部116を介して半導体スイッチ106に供給される開始電圧を誘導する。コネクタ108が移動体電話102から引き抜かれたとき、ばねで支持されたハンマ118の機構のばねがその初期位置に戻る。圧電素子117の圧電材料は純粋にキャパシタ的(例えば、100pF〜1nFの範囲で)であるので、これは、移動体電話102の電池を充電するライン111、112に与えられる通常の電圧に影響を与えるものではないであろう。圧電素子117の過渡電圧からプライマリスイッチ電池充電器103を保護するために、ダイオード128がライン111に直列に接続されると良い。
【0036】
要約すると、圧電素子117がハンマ118の機構からの衝撃力Fにより励起されるとき、過渡電圧が開始電圧として発生する。この開始電圧が半導体スイッチ106にフィードされる。それ故に、半導体スイッチ106にトリガをかける余分な電圧は必要ない。一度、半導体スイッチ106にトリガがかけられると、そのスイッチ106は導通し、プライマリスイッチ電池充電器103が動作を開始して、電圧を移動体機器や移動体電話102に供給するであろう。電流が移動体機器や移動体電話102に流れている限り、その保持電圧は半導体スイッチ106が導通状態にあることを保証するであろう。移動体機器や移動体電話102が充電器101から分離したときには、その保持電圧は下がってしまい、スイッチ106は非導通状態になるであろう。この状態では、電流や漏れ電流は存在せず、それ故に、充電器101はこの状態ではエネルギーを消費することはない。
【0037】
以上、代表的な実施例について説明したが、種々の変形が他の実施例において実施可能である。例えば、半導体スイッチ106には変圧器122を用いることなく圧電素子117から直接に供給されても良い。さらにその上、例えば、保持電圧はプライマリスイッチ電池充電器103から異なる方法で生成されても良い。
【0038】
さらにその上、上述の実施例は移動体電話に用いられるのみならず、コネクタを介して機器に接続される別体の電池充電器や別体の電源ユニットにより供給される、別の種類の移動体機器や電池電源の機器においても用いることができる。また、上述の全ての実施例は、添付の請求の範囲により規定されるように、本発明に含まれるものであると考えられることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチを介して電源に接続された電子機器に通電する方法であって、
機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させる工程と、
前記発生した電気エネルギーを前記スイッチに供給して前記電子機器の前記電源への電気的接続を設ける工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
ピエゾ素子が前記機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させるために用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子機器はプラグとマッチングソケットを介して更なる機器に着脱可能に接続可能であり、前記電気エネルギーは前記ソケットへと挿入される前記プラグの機械的運動により発生することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子機器は、前記更なる機器に充電するための充電器を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電子機器は、前記電源からの電気エネルギーを前記更なる機器に供給する電源ユニットを有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記更なる機器は、電池電源の機器を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記電池電源の機器は、移動体機器、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータを含むグループから選択された機器を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記発生した電気エネルギーが前記スイッチに供給された後に、前記電子機器からの電気エネルギーを前記スイッチに供給し、前記電子機器の前記電源への電気的接続を維持する工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記発生した電気エネルギーは前記スイッチから瞬間的に絶縁されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記発生した電気エネルギーは前記スイッチに供給される前に蓄積されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記発生した電気エネルギーの電圧は、所定の範囲に制限されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
電子機器に通電する回路であって、
前記電子機器を電源に接続するように適合されたスイッチと、
機械的運動を電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させるように適合されたコンバータと、
前記スイッチと前記コンバータとを結合し、前記コンバータから前記スイッチに前記発生した電気エネルギーを供給し、前記電子機器の前記電源への電気的接続を設けるように適合された制御回路とを有することを特徴とする回路。
【請求項13】
前記コンバータは、前記機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生するピエゾ素子を有することを特徴とする請求項12に記載の回路。
【請求項14】
前記電子機器はプラグとマッチングソケットとを含むコネクタを介して更なる機器に着脱可能に接続可能であり、
前記コンバータは、前記ソケットへと挿入される前記プラグの機械的運動により前記電気エネルギーを発生するように、前記コネクタに内蔵されることを特徴とする請求項12又は13に記載の回路。
【請求項15】
前記電子機器は、前記更なる機器に充電するための充電器を有することを特徴とする請求項14に記載の回路。
【請求項16】
前記電子機器は、前記電源からの電気エネルギーを前記更なる機器に供給する電源ユニットを有することを特徴とする請求項14に記載の回路。
【請求項17】
前記更なる機器は、電池電源の機器を含むことを特徴とする請求項14に記載の回路。
【請求項18】
前記電池電源の機器は、移動体機器、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータを含むグループから選択された機器を含むことを特徴とする請求項17に記載の回路。
【請求項19】
前記制御回路はさらに前記電子機器に接続され、前記発生した電気エネルギーが前記スイッチに供給された後に、前記電子機器からの電気エネルギーを前記スイッチに供給し、前記電子機器の前記電源への電気的接続を維持するように構成されることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか1項に記載の回路。
【請求項20】
前記制御回路はさらに、前記発生した電気エネルギーを前記スイッチから瞬間的に絶縁する変圧器を有することを特徴とする請求項12乃至19のいずれか1項に記載の回路。
【請求項21】
前記制御回路はさらに、前記発生した電気エネルギーをそれが前記スイッチに供給される前に蓄積するキャパシタを有することを特徴とする請求項12乃至20のいずれか1項に記載の回路。
【請求項22】
前記制御回路はさらに、前記発生した電気エネルギーの電圧を所定の範囲に制限する回路構成を有することを特徴とする請求項12乃至21のいずれか1項に記載の回路。
【請求項23】
第1の電子機器と、
第2の電子機器と、
前記第1の電子機器を電源に接続するよう適合されたスイッチと、
プラグとマッチングソケットとを含み、前記第1の電子機器を前記第2の電子機器に着脱可能に接続するコネクタと、
機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させるように適合されたコンバータと、
前記スイッチと前記コンバータとに接続され、前記発生した電気エネルギーを前記コンバータから前記スイッチに供給し、前記第1の電子機器の前記電源への電気的接続を設けるように適合された制御回路とを有し、
前記第1の電子機器は前記電源からの電気エネルギーを前記第2の電子機器の電気的要求に適合させるように構成され、
前記コンバータは、前記ソケットへと挿入される前記プラグの機械的運動により前記電気エネルギーを発生するように、前記コネクタに内蔵されることを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記第1の電子機器は、前記第2の電子機器に充電するための充電器を有することを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2の電子機器は、移動体機器、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータを含むグループから選択された電池電源の機器を含むことを特徴とする請求項23又は24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の電子機器から前記第2の電子機器にエネルギーを供給するエネルギー供給線をさらに有し、
前記発生したエネルギーは、前記コンバータから前記エネルギー供給線を介して前記制御回路に送られることを特徴とする請求項23乃至25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
移動体機器であって、
電子機器を着脱可能に前記移動体機器に接続するコネクタの第1の部品と、
機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させるように適合されたコンバータとを有し、
前記電子機器は前記コネクタの第2の部品を有し、前記第2の部品は前記第1の部品にマッチングし、
前記コンバータは、前記第1の部品と前記第2の部品とが結合されるときに生じる前記機械的運動により前記電気エネルギーを発生するように、前記コネクタの前記第1の部品に内蔵されることを特徴とする移動体機器。
【請求項28】
前記電子機器は、前記移動体機器に充電するための充電器を有することを特徴とする請求項27に記載の移動体機器。
【請求項29】
前記移動体機器は、移動体デバイス、移動体電話、情報携帯端末、移動体ナビゲーションシステム、移動体コンピュータを含むグループから選択された電池電源の機器を含むことを特徴とする請求項27に記載の移動体機器。
【請求項30】
電源デバイスであって、
電源からの電気エネルギーを電子機器の電気的要求に適合させる電力コンバータと、
前記電力コンバータを前記電源に接続するように適合されたスイッチと、
前記電源デバイスを着脱可能に前記電子機器に接続するコネクタの第1の部品と、
機械的運動のエネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気エネルギーを発生させるように適合されたコンバータと、
前記スイッチと前記コンバータとを結合し、前記コンバータから前記スイッチに前記発生した電気エネルギーを供給し、前記電力コンバータの前記電源への電気的接続を設けるように適合された制御回路とを有し、
前記電子機器は、前記第1の部品にマッチングする前記コネクタの第2の部品を有し、
前記コンバータは、前記第1の部品と前記第2の部品とが結合されるときに生じる前記機械的運動により前記電気エネルギーが発生するように、前記コネクタに内蔵されることを特徴とする電源デバイス。
【請求項31】
前記電源デバイスは、前記電子機器に充電するための充電器を有することを特徴とする請求項30に記載の電源デバイス。
【請求項32】
前記コンバータは、前記コネクタの前記第1の部品に内蔵されることを特徴とする請求項30又は31に記載の電源デバイス。
【請求項33】
前記コンバータは、前記コネクタの前記第2の部品に内蔵されることを特徴とする請求項30又は31に記載の電源デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−531877(P2012−531877A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516520(P2012−516520)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009085
【国際公開番号】WO2011/000399
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】