説明

電子機器の入力装置及び入力制御方法

【課題】静電容量方式のタッチセンサが採用された電子機器用の入力装置において、入力操作の誤認識を回避し、その信頼性を向上させることにある。
【解決手段】入力装置10は、制御回路部2における、入力操作の有無の判定が未確定の時点において、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態をトリガとして、タッチセンサ7の検知感度を切り替えることで、タッチセンサ7を、入力操作が行われているか否かの判定に最適の検知感度に調整する。以後は、切り替え後の検知感度に基づき、検知情報に係る入力値から入力操作の有無を判別し、電子機器6に対して出力する。又、先の所定値よりも小さい所定値に減少している状態をトリガとして、タッチセンサ7の検知感度を、切り替え前の状態へと戻すことで、随時、入力操作が行われているか否かの判定に最適の検知感度に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のための入力装置、及び、その入力装置の入力制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LCD(液晶表示装置)やCRT等の表示装置を備えた電子機器のための入力装置として、その表示装置の画面上に配置され、画面に表示される文字、数字及びその他の記号(図形、像等からなるアイコンと称される絵記号等を含む。複数の記号で1つの記号をなすものも含む。)を、その表面側から透かして見ながら所望の文字、数字及びその他の記号(以下、本説明において「所定の記号」という。)の位置を指等でタッチし、その記号位置に応じた情報を生成して出力する装置(以下、このような入力装置をタッチパネルともいう)が広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
例えば、銀行等の現金自動預け払い機やカーナビゲータ等の電子機器においては、タッチパネル式ディスプレーが以前から普及しており、又携帯情報端末、電子辞書等の小型の電子機器でも盛んに使われるようになっている。
【0003】
一方、タッチパネルを用いて、必ずしもLCDやCRT等の表示装置が併設されていない入力装置を実現する提案も種々なされており、例えば、本出願人は、先に、表示装置としての機能が要求されないキーボード装置であって、かつ、タッチパネル式ディスプレーと同様に、最上面に位置する入力操作面が平坦面とされたキーボード装置を提案している(特許文献2参照)。
又、タッチパネルを用いた入力装置は、キーボード装置のような非常に多様な操作部を有するもののみならず、例えば、家電製品や住宅用機器等の操作部等にも、従来のキーキャップを備える形式の入力装置を置き換えるようにして、広く用いられている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−317041号公報
【特許文献2】特願2009−253938号明細書
【特許文献3】特開2007−208682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献2記載のキーボード装置や、特許文献3記載の家電製品ないし住宅用機器等の操作部のような入力装置は、平坦な入力操作面を実現するにあたり、静電容量方式のタッチセンサを採用することで、高感度の入力検知を可能とするものであり、いずれも、入力操作面が平坦面とされたことから、清掃がし易くなって汚れが固着し難くなり、見栄えが向上する上に、清潔な状態を保つことができ、機能性と美観とを高度に兼ね備えたものとなる。
ところが、静電容量方式のタッチセンサは、検知される静電容量の変化を拠り所として、操作の有無の判断をするものであることから、従来の、キーキャップを備える形式の入力装置のごとく、キーキャップを打鍵することによる変位を受けて、入力を検知する入力装置には無い、特有の課題を抱えるものとなっている。
【0006】
例えば、静電容量方式のタッチセンサを備える入力装置では、操作者の癖等に起因する微少振動や、タッチセンサの検出値の揺れ等により変動すること等により、図6に示されるように、検知情報に係る入力値、ここでは静電容量に関する検出量が安定せず、その変化量曲線が、操作の有無の判断基準となる閾値を跨ぐようにして振動を繰り返すことがある。このようなケースでは、操作者の意図する入力操作と異なり、ON/OFF入力が頻繁に繰り返されているものとして、入力装置から電子機器への出力がなされてしまう。
又、入力装置の置かれた環境の変化の影響、例えば、温度や湿度の変化による部品の変形等が生じることを受けて、意図的な入力操作を実行していない状態でも、検知される静電容量が変化して、静電容量方式のタッチセンサに入力操作があったものと誤認され、或いは、静電容量の変化が不足して入力操作が受け付けられず、意図した操作をすることが出来なくなるおそれがある。更に、ユーザーが意図的に入力操作を実行する場合以外にも、ユーザーの指等が入力操作面に近接又は接触することにより、検知される静電容量が変化しさえすれば、それが入力操作として誤認されるおそれがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、静電容量方式のタッチセンサが採用された電子機器用の入力装置において、入力操作の誤認識や、操作不能となるような事態に陥ることを回避し、その信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0009】
(1)電子機器の入力装置であって、平坦な入力操作面及び該入力操作面に対する入力操作を検知する静電容量方式のタッチセンサを備える操作部と、該操作部から入力される前記入力操作の検知情報に対応する出力情報を、入力操作が行われているとの判定の下で、前記電子機器に対して出力する制御回路部とを備え、該制御回路部は、入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、前記検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替え、切り替え後の検知感度に基づき、前記検知情報に係る入力値から前記入力操作の有無を判別する入力装置(請求項1)。
【0010】
本項に記載の入力装置は、制御回路部における、入力操作が行われているとの判定が未確定の時点において、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態をトリガとして、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えることで、静電容量方式のタッチセンサを、随時、入力操作が行われているか否かの判定に最適の検知感度に調整するものである。そして、以後は、切り替え後の検知感度に基づき、検知情報に係る入力値から入力操作の有無を判別し、電子機器に対して出力することで、入力装置から電子機器へと、入力操作の検知情報に対応する出力情報を正確に伝えるものである。
なお、本説明において「検知感度を切り替える」とは、例えば、「静電容量方式のタッチセンサ」により得られる検出量のゲインを変更する手法や、検知情報に係る入力値に基づき入力操作の有無の判定を行なう際の閾値を変更する手法等が含まれる。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記制御回路部は、前記検知情報に係る入力値が増加して前記所定値に到達している状態から、減少に転じて前記所定値よりも小さい所定値に減少している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻す入力装置(請求項2)。
本項に記載の入力装置は、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態から、減少に転じて前記所定値よりも小さい所定値に減少している状態をトリガとして、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すことで、随時、入力操作が行われているか否かの判定に最適の検知感度に調整するものである。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)項において、前記制御回路部は、前記静電容量方式のタッチセンサの感度設定に係る情報を定義するテーブルを有する記憶部と、前記検知情報に係る入力値が所定値に達した時点で、前記検知感度を予め設定された他の検知感度に切り替えるデータ処理部とを備える入力装置(請求項3)。
本項に記載の入力装置は、記憶部のテーブルにて静電容量方式のタッチセンサの感度設定に係る情報を定義し、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替える際の具体的な検知感度を、記憶部のテーブルに基づき選択、決定するものである。かかる選択、決定は、データ処理部により、検知情報に係る入力値が所定値に達している状態をトリガとして実行され、検知感度を記憶部のテーブルに定義された他の検知感度に切り替えるものである。
【0013】
(4)上記(3)項において、前記データ処理部は、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値に達した時点で、前記入力情報に対応する出力情報を前記電子機器に対して出力すると共に、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された前記第1入力値よりも小さな予め設定された第2入力値に低下するまでの間、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも高い第2の検知感度に切り替え、前記検知情報に係る入力値が、前記第2入力値以下となった時点で、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第2の検知感度から前記第1の検知感度に切り替える入力装置(請求項4)。
【0014】
本項に記載の入力装置は、データ処理部において、検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値に達した時点で、入力情報に対応する出力情報を電子機器に対して出力する、すなわち、入力操作が行われているとの判断の下で、電子機器に対して出力を行なうものである。これと共に、記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも高い第2の検知感度に切り替え、入力操作を終了したことを明確に判断可能な状態(入力値)となるまでの間は、それを維持する。これによって、検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値近辺で安定しないような場合であっても、その振動が、入力操作が行われているか否かの判定に影響を及ぼすことを防ぐものである。換言すれば、一旦、入力操作が行われているとの判断がされた後は、その判断を強制的に確定することで、実際に検知されている検知情報に係る入力値の変動の影響を排除するものである。
一方、検知情報に係る入力値が、第2入力値以下となった時点で、電子機器に対する出力を止める。そして、記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、第2の検知感度から第1の検知感度に切り替える(切り替え前の状態へと戻す)ことで、新たに、入力操作が行われているか否かの判定を行なう際に、検知感度が変動することを予め防ぐものである。
【0015】
(5)上記(3)(4)項において、前記データ処理部は、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値を下回る一定範囲の値に所定時間維持された場合に、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも低い第3の検知感度に切り替え、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された、前記第1入力値を下回る一定範囲の値を、更に下回る値以下に所定時間維持された場合に、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第3の検知感度から前記第1の検知感度に切り替える置入力装置(請求項5)。
【0016】
本項に記載の入力装置は、データ処理部において、検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値を下回る一定範囲の値に所定時間維持された場合に、記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも低い第3の検知感度に切り替え、それを維持することで、入力装置の置かれた環境の変化の影響を受けて、意図的な入力操作を実行していない状態であるにもかかわらず、検知される静電容量が変化して、静電容量方式のタッチセンサに入力操作があったものと誤認されることを防ぐものである。換言すれば、予め設定された第1入力値と、実際に検知されている検知情報に係る入力値とを常時比較しておき、入力装置の置かれた環境の変化に起因する、検知情報に係る入力値変動の影響を折り込んだ上で、入力操作が行われているか否かの判定を行なうものである。
一方、検知情報に係る入力値が、第1入力値を下回る一定範囲の値を、更に下回る値以下に所定時間維持された場合には、記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、第3の検知感度から第1の検知感度に切り替える(切り替え前の状態へと戻す)ことで、入力装置の置かれた環境の変化に起因する、検知情報に係る入力値変動の影響が解消した場合には、それも折り込んだ上で、入力操作が行われているか否かの判定を行なうものである。
【0017】
(6)平坦な入力操作面及び該入力操作面に対する入力操作を検知する静電容量方式のタッチセンサを備える操作部と、該操作部から入力される前記入力操作の検知情報に対応する出力情報を、入力操作が行われているとの判定の下で、電子機器に対して出力する制御回路部とを備える、前記電子機器の入力装置の入力制御方法であって、入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、前記検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えるステップと、切り替え後の検知感度に基づき、前記検知情報に係る入力値から前記入力操作の有無を判別するステップとを含む入力制御方法(請求項6)。
【0018】
(7)上記(6)項において、前記検知情報に係る入力値が増加して前記所定値に到達している状態から、減少に転じて前記所定値よりも小さい所定値に減少している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すステップを含むことを特徴とする入力制御方法(請求項7)。
【0019】
(8)上記(7)項の、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えるステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値に達した時点で、前記入力情報に対応する出力情報を前記電子機器に対して出力すると共に、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された前記第1入力値よりも小さな予め設定された第2入力値に低下するまでの間、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも高い第2の検知感度に切り替え、
前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、前記第2入力値以下となった時点で、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第2の検知感度から前記第1の検知感度に切り替える入力制御方法(請求項8)。
【0020】
(9)上記(7)(8)項の、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えるステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値を下回る一定範囲の値に所定時間維持された場合に、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも低い第3の検知感度に切り替え、
前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された、前記第1入力値を下回る一定範囲の値を、更に下回る値以下に所定時間維持された場合に、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第3の検知感度から前記第1の検知感度に切り替える入力制御方法(請求項9)。
そして、上記(6)から(9)項に記載の入力制御方法は、上記ステップを実行することにより、各々、上記(1)から(5)項の入力装置に対応する作用効果を奏するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明はこのように構成したので、静電容量方式のタッチセンサが採用された電子機器用の入力装置において、入力操作の誤認識や、操作不能となるような事態に陥ることを回避し、その信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る入力装置の要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示される入力装置において、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を変更する一実施形態を、タッチセンサの検出量の変化量曲線と共に示した図である。
【図3】図1に示される入力装置において、静電容量方式のタッチセンサの検知感度を変更する別の実施形態を、タッチセンサの検出量の変化量曲線と共に示した図である。
【図4】図2に示される実施形態における、電子機器の入力装置の入力制御方法を示すフローチャートである。
【図5】図3に示される実施形態における、電子機器の入力装置の入力制御方法を示すフローチャートである。
【図6】従来の静電容量方式のタッチセンサを備える入力装置において、タッチセンサの検出量の変化に起因する問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明において、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。又、以下の説明における「上」、「下」の方向は、本説明における入力装置を平置きした状態での、上下方向を意味する。
図1に示すように、本発明の実施の形態における入力装置10は、電子機器6用の入力装置であって、平坦な入力操作面(図示は省略する)及び入力操作面に対する入力操作を検知する静電容量方式のタッチセンサ7を備える操作部1と、操作部1からの入力操作の検知情報が入力される制御回路部2とを備えている。
【0024】
ここで、本実施形態における入力装置10では、入力操作面上に、それぞれ、従来の入力装置のキーキャップに対応する複数の区画が設けられており、タッチセンサ7は、各々の区画毎に設けられることで、各区画がキースイッチとして機能するものとなっている。従って、本入力装置10の操作者は、入力操作面上の各キースイッチ(区画)を指等により触れることで、入力操作を実行するものである。なお、各タッチセンサ7は、例えば、各々の区画の直下に配置されるように、入力操作面の下部に配置される基板上に設けられるものであれば良い。
【0025】
又、操作部1は、対応するタッチセンサ7に生じる静電容量の変化を検出して、その検知情報を制御回路部2に出力する入力情報検出回路3を備えている。更に、入力装置10において、制御回路部2は、その機能ブロックとして、記憶部5及びデータ処理部4を含んでいる。尚、入力情報検出回路3は、必ずしも操作部1に備える必要はなく、操作部1の外部に構成されてもよい。
ここで、記憶部5は、タッチセンサ7の感度設定に係る情報を定義するテーブルを有するものである。記憶部5のテーブルに定義された情報とは、具体的には、タッチセンサ7毎に静電容量の検出値に対応付けて予め設定された、入力操作の有無の判断に最適の検知感度である。例えば、タッチセンサ7毎に、操作者によって確実に入力操作された場合に得られる静電容量の検出値を100%とした場合に、それから何%減の範囲内の検出値については入力操作が有ると扱われるように、予め設定されるものである。
【0026】
データ処理部4は、検知情報に係る入力値が所定値に達した時点で、タッチセンサ7の検知感度を、記憶部5のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、予め設定された他の検知感度に切り替えるものである。そして、データ処理部4は、切り替え後の検知感度に基づき、検知情報に係る入力値から入力操作の有無を判別する。
又、データ処理部4において、入力操作が行われているとの判定が行なわれる場合にのみ、制御回路部2は、操作部1から入力される入力操作の検知情報に対応する出力情報を、電子機器6に対して出力するものである。
なお、入力装置10において、制御回路部2は、中央演算処理装置、メモリ、入出力回路等を備えた周知のマイクロコンピュータシステムとして構成されるものであっても良い。その際、制御回路部2がその構成要素として備える記憶部5及びデータ処理部4は、本説明における機能を果たす限り、任意のハードウェア又はソフトウェア、更にはその組み合わせにより実装することが出来る。
【0027】
次に、図2〜図5を参照しながら、これら各機能ブロックの機能と共に、本実施形態における入力装置10の入力制御方法について説明する。
以下の説明において、「検知感度を切り替える」ための手法として、操作部1から入力される入力操作の検知情報に係る入力値に基づき、入力操作の有無の判定を行なう際に、データ処理部4において、判断基準となる「閾値」を変更する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
本実施形態における入力装置10の入力制御方法は、概略的には、データ処理部4において、入力操作が行われているか否かの判定が未確定の時点で、タッチセンサ7に生じる静電容量の変化を検出して、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態、すなわち、図2の例では、(検出量である静電容量の)変化量曲線が、基本閾値THを越えた時点P1をトリガとして、タッチセンサ7の検知感度を第1の検知感度(=基本閾値THに相当する感度)から第2の検知感度(=可変閾値Lowに相当する感度)へと切り替えるステップを含んでいる。
又、図3の例では、(検出量である静電容量の)変化量曲線が、基本閾値THを下回る一定範囲の値、すなわち、基本閾値THよりも小さな値である補正閾値Cを越えてかつ基本閾値THを越えない範囲の値に、所定時間維持された状態A1をトリガとして、タッチセンサ7の検知感度を第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)へと切り替えるステップを含んでいる。なお、補正閾値Cの値は、入力装置10が使用される環境等を考慮して、適宜設定されるものである。
【0029】
更に、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態から、減少に転じて所定値よりも小さい所定値に減少している状態、すなわち、図2の例では、変化量曲線が可変閾値Lowを下回った時点P2を、図3の例では、補正閾値Cを更に下回る値に所定時間維持された状態A2を、各々トリガとして、タッチセンサ7の検知感度を切り替え前の状態へと戻すステップを含んでいる。
【0030】
以下、図2の例について、図1及び図4のフローチャートも参照しながら、詳細に説明する。
S100:基本閾値THに該当する補正フラグを0と、可変閾値Lowに該当する補正フラグを1と規定した場合に、データ処理部4において、補正フラグ=1であるか否かを監視する。
S110:上記S100のデータ処理部4の判断において、補正フラグ=1ではないと判断された場合(No)、すなわち、タッチセンサ7の検知感度が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)にある(=第1の検知感度である)場合には、データ処理部4は、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)を上回っているか否かを監視する。
ここで、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)を上回っていないと判断された場合には(No)、上記S100へと復帰する。
S120:上記S110のデータ処理部4の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)を上回っていると判断された時点で(Yes)、制御回路部2は、入力情報に対応する出力情報(キー入力ON)を電子機器6に対して出力する。
S130:データ処理部4は、記憶部5のテーブルに定義された、タッチセンサ7の感度設定に係る情報、具体的には、タッチセンサ7毎に静電容量の検出値に対応付けて予め設定された、入力操作の有無の判断に最適の閾値に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、予め設定された第1の検知感度(=基本閾値THに相当する感度)から、それよりも高い(閾値の値としては減少する)第2の検知感度(=可変閾値Lowに相当する感度)へ変更する。
又、データ処理部4において、補正フラグを、可変閾値Lowに該当する1へと変更し、上記S100へと復帰する。
S140:上記S100の判断において、補正フラグ=1であると判断された場合には(Yes)、データ処理部4において、タッチセンサ7の検知情報に係る入力値が、変更された第2の検知感度(=可変閾値Lowに相当する感度)を上回っているか否かを監視する。
S150:上記S140のデータ処理部4の判断において、タッチセンサ7の検知情報に係る入力値が変更された第2の検知感度(=可変閾値Lowに相当する感度)を越えていると判定されている間は(Yes)、制御回路部2から電子機器6に対して出力された出力情報(キー入力ON)を継続して出力し、上記S100へと復帰する。
S160:上記S140のデータ処理部4の判断において、タッチセンサ7の検知情報に係る入力値が変更された第2の検知感度(=可変閾値Lowに相当する感度)を下回ると判断された時点で(No)、制御回路部2から電子機器6に対して出力された出力情報を停止する(キー入力OFF)。
S170:データ処理部4は、記憶部5のテーブルに定義された、タッチセンサ7の感度設定に係る情報、具体的には、タッチセンサ7毎に静電容量の検出値に対応付けて予め設定された、入力操作の有無の判断に最適の閾値に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、第2の検知感度(=可変閾値Lowに相当する感度)から、第1の検知感度(=基本閾値THに相当する感度)へ変更する。
又、データ処理部4において、補正フラグを、基本閾値THに該当する0へと変更し、上記S100へと復帰する。
【0031】
次に、図3の例について、図1及び図5のフローチャートも参照しながら、詳細に説明する。
S200:基本閾値THに該当する補正フラグを0と、可変閾値Hiに該当する補正フラグを2と規定した場合に、データ処理部4において、補正フラグ=2であるか否かを監視する。
S210:上記S200のデータ処理部4の判断において、補正フラグ=2ではないと判断された場合(No)、すなわち、タッチセンサ7の検知感度が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)にある(=第1の検知感度である)場合には、データ処理部4は、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)を上回っているか否かを監視する。
S220:上記S210のデータ処理部4の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)に達していると判断される場合には(Yes)、制御回路部2は、入力情報に対応する出力情報(キー入力ON)を電子機器6に対して出力する。
S230:データ処理部4において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウントをリセットし、上記S200へと復帰する。
【0032】
S240:上記S210の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第1入力値(=基本閾値THの値)を上回っていないと判断される場合には(No)、データ処理部4は、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が補正閾値Cを上回っているか否かを監視する。
ここで、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が補正閾値Cを上回っていないと判断される場合には(No)、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウントをリセットし(S280)、上記S200へと復帰する。
S250:上記S240の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が補正閾値Cを上回っていると判断される場合には(Yes)、データ処理部4は、その判断時点から補正閾値Cを上回る時間をカウントアップする。
S260:データ処理部4により、カウント条件を満たすか否か、すなわちカウント数がタッチセンサ7の検知感度を切り替えるための所定時間を超えるものであるか否かを監視する。所定時間としては、入力装置10が使用される環境等を考慮して適宜設定されるものであるが、例えば、1〜2時間程度が設定される。
なお、カウント数がカウント条件を満たさないと判断される場合には(No)、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウント数を保持したまま、上記S200へと復帰する。
S270:上記S260の判断において、カウント条件を満たすと判断する場合には(Yes)、データ処理部4は、記憶部5のテーブルに定義された、タッチセンサ7の感度設定に係る情報に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、予め設定された第1の検知感度(=基本閾値THの値)から、それよりも低い(閾値の値としては増加する)第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)へと変更する。又、データ処理部4において、補正フラグを、可変閾値Hiに該当する2へと変更する。
S280:タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウントをリセットして、上記S200へと復帰する。
【0033】
S290:上記S200の判断において、補正フラグ=2であると判断された場合(Yes)、すなわち、タッチセンサ7の検知感度が第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)へと既に変更されていると判断される場合には、データ処理部4は、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、予め設定された第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)を上回っているか否かを監視する。
S300:上記S290のデータ処理部4の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)に達していると判断される場合には(Yes)、制御回路部2は、入力情報に対応する出力情報(キー入力ON)を電子機器6に対して出力する。
S310:データ処理部4において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウントをリセットし、上記S200へと復帰する。
【0034】
S320:上記S290の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)を上回っていないと判断される場合には(No)、データ処理部4は、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、補正閾値Cを下回っているか否かを監視する。
ここで、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が、補正閾値Cを下回っていないと判断される場合には(No)、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウントをリセットし(S360)、上記S200へと復帰する。
S330:上記S320の判断において、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)が補正閾値Cを下回っていると判断される場合には(Yes)、データ処理部4は、その判断時点から補正閾値Cを下回る時間をカウントアップする。
S340:データ処理部4により、カウント条件を満たすか否か、すなわちカウント数がタッチセンサ7の検知感度を切り替えるための所定時間を超えるものであるか否かを監視する。所定時間としては、入力装置10が使用される環境等を考慮して適宜設定されるものであるが、例えば、1〜2時間程度が設定される。
なお、カウント数がカウント条件を満たさないと判断される場合には(No)、タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウント数を保持したまま、上記S200へと復帰する。
S350:上記S340の判断において、カウント条件を満たすと判断する場合には(Yes)、データ処理部4は、記憶部5のテーブルに定義された、タッチセンサ7の感度設定に係る情報に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、第3の検知感度(=可変閾値Hiに相当する感度)から第1の検知感度(=基本閾値THに相当する感度)へと変更する。又、データ処理部4において、補正フラグを、基本閾値THに該当する0へと変更する。
S360:タッチセンサ7に生じる静電容量の検出値(検出量)の検出時間のカウントをリセットして、上記S200へと復帰する。
【0035】
なお、図3の例においても、基本閾値TH又は可変閾値Hiを上回っていると判断された時点で、図2の例におけるS100〜S170の各ステップを適宜準用し、制御回路部2から電子機器6に対して一旦出力された出力情報(キー入力ON)を、所定の条件を満たす間、継続して出力するように制御することも可能である。
【0036】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本実施形態に係る入力装置10は、制御回路部2における、入力操作の有無の判定が未確定の時点において、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態(図2のP1、図3のA1)をトリガとして、タッチセンサ7の検知感度を切り替えることで、タッチセンサ7を、随時、入力操作が行われているか否かの判定に最適の検知感度に調整するものである。そして、以後は、切り替え後の検知感度(図2の可変閾値Low、図3の可変閾値Hiに相当する感度)に基づき、検知情報に係る入力値から入力操作の有無を判別し、電子機器6に対して出力することで(図4のS120:キー入力ON)、入力装置10から電子機器6へと、入力操作の検知情報に対応する出力情報を正確に伝えることが可能となる。
【0037】
又、検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態から、減少に転じて前記所定値よりも小さい所定値に減少している状態(図2のP2、図3のA2)をトリガとして、タッチセンサ7の検知感度を、切り替え前の状態(図2、図3の基本閾値THに相当する感度)へと戻すことで、随時、入力操作が行われているか否かの判定に最適の検知感度に調整するものである。
【0038】
又、本実施形態に係る入力装置10は、記憶部5のテーブルにタッチセンサ7の感度設定に係る情報を定義し、タッチセンサ7の検知感度を切り替える際の、具体的な検知感度を、記憶部5のテーブルに基づき選択、決定するものである。かかる選択、決定は、データ処理部4により、検知情報に係る入力値が所定値に達した時点で行われ、タッチセンサ7の検知感度を、記憶部5のテーブルに定義された他の検知感度に切り替えるものである。
【0039】
又、本実施形態に係る入力装置10は、データ処理部4において、検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値(図2の基本閾値THの値)に達した時点(図2のP1)で、入力情報に対応する出力情報を電子機器6に対して出力する(図4のS120)。すなわち、入力操作が行われているとの判断の下で、電子機器6に対して出力を行なうものである。
これと共に、記憶部5のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、予め設定された第1の検知感度(図2の基本閾値THに相当する感度)から、それよりも高い第2の検知感度(図2の可変閾値Lowに相当する感度)に切り替え(図4のS130)、入力操作を終了したことを明確に判断可能な状態(検出値)となるまでの間は、それを維持する(図4のS140、S150)。
【0040】
これによって、検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値(図2の基本閾値THの値)近辺で安定しないような場合であっても、その振動が、入力操作が行われているか否かの判定に影響を及ぼすことを防ぐものである。換言すれば、一旦、入力操作が行われているとの判断がされた後は(図4のS110)、その判断を強制的に確定することで、実際に検知されている検知情報に係る入力値の変動の影響を排除することが出来るものである。
一方、検知情報に係る入力値が、第2入力値(図2の可変閾値Lowの値)以下となった時点で(図4のS140)、電子機器6に対する出力を止める(図4のS160:キー入力OFF)。そして、記憶部5のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、第2の検知感度(図2の可変閾値Lowに相当する感度)から第1の検知感度(図2の基本閾値THに相当する感度)に切り替える(切り替え前の状態へと戻す)ことで(図4のS170)、新たに、入力操作が行われているか否かの判定を行なう際に、検知感度が変動することを予め防ぐことが可能となる。
【0041】
又、本実施の形態に係る入力装置10は、データ処理部4において、検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値(図3の基本閾値THの値)を下回る一定範囲の値に所定時間維持された場合に(図3のA1、図5のS260、S270)、記憶部5のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、予め設定された第1の検知感度(図3の基本閾値THに相当する感度)から、それよりも低い第3の検知感度(図3の可変閾値Hiに相当する感度)に切り替え(図5のS270)、それを維持する。これにより、入力装置10の置かれた環境の変化の影響を受けて、意図的な入力操作を実行していない状態であるにもかかわらず、検知される静電容量が変化して、タッチセンサ7に入力操作があったものと誤認されることを防ぐものである。
換言すれば、予め設定された第1入力値(図3の基本閾値THの値)と、実際に検知されている検知情報に係る入力値とを常時比較しておき、入力装置10の置かれた環境の変化に起因する、検知情報に係る入力値変動の影響を折り込んだ上で、入力操作が行われているか否かの判定(図5のS210、S290)を行なうことが可能となる。
【0042】
一方、検知情報に係る入力値が、第1入力値(図3の基本閾値THの値)を下回る一定範囲の値を更に下回る値以下に所定時間維持された場合には(図3のA2、図5のS340、S350)、記憶部5のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、タッチセンサ7の検知感度を、第3の検知感度(図3の可変閾値Hiに相当する感度)から第1の検知感度(図3の基本閾値THに相当する感度)に切り替える(切り替え前の状態へと戻す)ことで(図5のS350)、入力装置10の置かれた環境の変化に起因する、検知情報に係る入力値変動の影響が解消した場合には、それも折り込んだ上で、入力操作が行われているか否かの判定(図5のS210)を行なうことが可能となる。
なお、検知情報に係る入力値が、第1入力値(図3の基本閾値THの値)を下回る一定範囲の値を更に下回る値以下に低下しても、それが所定時間維持されない場合(図3のA0)には、タッチセンサ7の検知感度は、第3の検知感度(図3の可変閾値Hiに相当する感度)に維持される(図5のS340、S360)。
【0043】
以上の説明において、「検知感度を切り替える」ための手法として、操作部1から入力される入力操作の検知情報に係る入力値に基づき、入力操作の有無の判定を行なう際に、データ処理部4において判断基準となる「閾値」を変更する場合を例に挙げて説明したが、これに代えて、タッチセンサ7により得られる「検出量のゲイン」を変更することにより、「検知感度を切り替える」こととしてよい。この場合には、「検知感度を切り替える」際に、図1に示された入力装置10の、制御回路部2に含まれる記憶部5のテーブルに定義されたゲイン調整を行なうための情報に基づき、入力情報検出回路3に対しゲイン調整を行なうための指令が出力されることで、上記と同様の作用効果を得ることが出来ることは、理解されるであろう。
更に、図2〜図5の例では、「検知感度を切り替える」際の切り替え段数は、増減方向に一段であるが、必要に応じ切り替え段数を更に多段にすることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:操作部、2:制御回路部、3:入力情報検出回路、4:データ処理部、5:記憶部、6:電子機器、7:タッチセンサ、10:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の入力装置であって、平坦な入力操作面及び該入力操作面に対する入力操作を検知する静電容量方式のタッチセンサを備える操作部と、該操作部から入力される前記入力操作の検知情報に対応する出力情報を、入力操作が行われているとの判定の下で、前記電子機器に対して出力する制御回路部とを備え、
該制御回路部は、入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、前記検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替え、切り替え後の検知感度に基づき、前記検知情報に係る入力値から前記入力操作の有無を判別することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記制御回路部は、前記検知情報に係る入力値が増加して前記所定値に到達している状態から、減少に転じて前記所定値よりも小さい所定値に減少している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すことを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御回路部は、前記静電容量方式のタッチセンサの感度設定に係る情報を定義するテーブルを有する記憶部と、前記検知情報に係る入力値が所定値に達した時点で、前記検知感度を予め設定された他の検知感度に切り替えるデータ処理部とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の入力装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値に達した時点で、前記入力情報に対応する出力情報を前記電子機器に対して出力すると共に、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された前記第1入力値よりも小さな予め設定された第2入力値に低下するまでの間、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも高い第2の検知感度に切り替え、
前記検知情報に係る入力値が、前記第2入力値以下となった時点で、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第2の検知感度から前記第1の検知感度に切り替えることを特徴とする請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値を下回る一定範囲の値に所定時間維持された場合に、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも低い第3の検知感度に切り替え、
前記検知情報に係る入力値が、予め設定された、前記第1入力値を下回る一定範囲の値を、更に下回る値以下に所定時間維持された場合に、前記記憶部のテーブルに定義された感度設定に係る情報に基づき、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第3の検知感度から前記第1の検知感度に切り替えることを特徴とする請求項3又は4記載の入力装置。
【請求項6】
平坦な入力操作面及び該入力操作面に対する入力操作を検知する静電容量方式のタッチセンサを備える操作部と、該操作部から入力される前記入力操作の検知情報に対応する出力情報を、入力操作が行われているとの判定の下で、電子機器に対して出力する制御回路部とを備える、前記電子機器の入力装置の入力制御方法であって、
入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、前記検知情報に係る入力値が増加して所定値に到達している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えるステップと、
切り替え後の検知感度に基づき、前記検知情報に係る入力値から前記入力操作の有無を判別するステップとを含むことを特徴とする入力制御方法。
【請求項7】
前記検知情報に係る入力値が増加して前記所定値に到達している状態から、減少に転じて前記所定値よりも小さい所定値に減少している状態をトリガとして、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すステップを含むことを特徴とする請求項6記載の入力制御方法。
【請求項8】
前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えるステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値に達した時点で、前記入力情報に対応する出力情報を前記電子機器に対して出力すると共に、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された前記第1入力値よりも高い予め設定された第2入力値に低下するまでの間、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも小さな第2の検知感度に切り替え、
前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、前記第2入力値以下となった時点で、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第2の検知感度から前記第1の検知感度に切り替えることを特徴とする請求項7記載の入力制御方法。
【請求項9】
前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を切り替えるステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された第1入力値を下回る一定範囲の値に所定時間維持された場合に、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、予め設定された第1の検知感度から、それよりも低い第3の検知感度に切り替え、
前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、切り替え前の状態へと戻すステップにおいて、前記検知情報に係る入力値が、予め設定された、前記第1入力値を下回る一定範囲の値を、更に下回る値以下に所定時間維持された場合に、前記静電容量方式のタッチセンサの検知感度を、前記第3の検知感度から前記第1の検知感度に切り替えることを特徴とする請求項7又は8記載の入力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98827(P2012−98827A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244563(P2010−244563)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】