電子機器の取付け構造
【課題】本発明は電子機器を車載する際に用いて好適な電子機器の取付け構造に関し、確実に電子機器を筐体内に保持することを課題とする。
【解決手段】機器取付筐体1に形成された開口部4にECU2(電子機器)を装着すると共に機器取付筐体1に形成された保持用爪部9により開口部4に装着されたECU2を保持する電子機器の取付け構造において、機器取付筐体1に、保持用爪部9と並列にECU2が機器取付筐体1からの抜けを防止するストッパ部10を設ける。
【解決手段】機器取付筐体1に形成された開口部4にECU2(電子機器)を装着すると共に機器取付筐体1に形成された保持用爪部9により開口部4に装着されたECU2を保持する電子機器の取付け構造において、機器取付筐体1に、保持用爪部9と並列にECU2が機器取付筐体1からの抜けを防止するストッパ部10を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の取付け構造に係り、電子機器を車載する際に用いて好適な電子機器の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用の電子機器は、車両に固定された機器取付筐体に電子機器を装着することにより取り付けられる構成とされている(例えば、特許文献1参照)。これは、取付け時においては電子機器を容易に車載することができ、またメンテナンス時等においては、電子機器を直接車両に固定する構造に比べ、容易に取り外しが行えるためである。
【0003】
図10は、従来の一例である電子機器の取付け構造を示している。同図では、電子機器として車載されるECU(エンジンコントロールユニット)132を取り付ける構造を示している。ECU132は、機器取付筐体130を用いて車両に取り付けられる。
【0004】
機器取付筐体130は筐体上面部135に固定部137が形成されると共に、筐体下面部136に固定部138が形成されている。固定部137,138が車体にボルト固定等されることにより、機器取付筐体130は車両に固定される。
【0005】
また、機器取付筐体130は、ECU132を嵌入する開口部134が形成されている。ECU132は、開口部134に対し図中矢印X1方向に挿入される。また、筐体上面部135及び筐体下面部136には、押圧部材139形成されている。この保持用爪部139は片持ち梁構造を有し、その先端部は開口部134の内部に突出するよう形成されている。
【0006】
更に、開口部134の矢印X1方向の端縁部には、ストッパ片140が形成されている。このストッパ片140が形成されることにより、開口部134のX1方向端部の面積は、ECU132の側面部145の面積よりも小さくなっている。
【0007】
一方、ECU132は、そのECU上面141及びECU下面142に、それぞれ第1の突起部143と第2の突起部144が形成されている。この第1及び第2の突起部143,144は、ECU上面141及びECU下面142の略中央位置に形成されている。
【0008】
続いて、ECU132を機器取付筐体130に装着する処理について説明する。ECU132を機器取付筐体130に装着するには、ECU132を機器取付筐体130の開口部134に矢印X1方向に挿入する。これにより、第1の突起部143が開口部134に突出するよう形成された保持用爪部139乗り越え第1の突起部143と第2の突起部144との間の位置に至り、これ同時に、図11に示すようにECU132の側面部145はストッパ片140に当接する。
【0009】
このように、側面部145がストッパ片140に当接することにより、ECU132が機器取付筐体130から矢印X1方向に抜け落ちることを防止することができる。また、押圧部材139ECU132のECU上面141と当接することにより、保持用爪部139は弾性変形し、これにより発生する弾性力によりECU132を押圧する。これにより、ECU132は機器取付筐体130内に保持された構成となる。
【特許文献1】特開2000−247188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の電子機器の取付け構造では、ストッパ片140がECU132の側面部145と当接することにより機器取付筐体130からECU132が抜け出すのを防止する構成であったため、必然的に保持用爪部139の形成位置からストッパ片140の形成位置までの長さが長くなってしまう。
【0011】
これに伴い、機器取付筐体130の側面部146の矢印X1,X2方向の長さ(図10に矢印L3で示す長さ)が長くなってしまい、機器取付筐体130が大型化してしまうという問題点があった。このように、機器取付筐体130が大型化すると、車載上好ましくない上に、製品コストが上昇してしまうという問題点があった。
【0012】
また、押圧部材139とストッパ片140が離間した構成であったため、ECU132に外力が印加され、これによりECU132が押圧部材139がECU上面141を押圧する位置を中心として変位したときには、ストッパ片140の位置においてはECU132の側面部145は大きく変位するため、ストッパ片140が側面部145から離脱するおそれがあるという問題点もあった。
【0013】
更に、ECU132を機器取付筐体130から取り出す場合には、保持用爪部139と第1及び第2の突起部143,144との係合を解除する必要があるが、従来では係合状態において保持用爪部139は機器取付筐体130の筐体上面部135及び筐体下面部136から大きく内部に入り込んだ状態となっている。このため、図12に示すように、ECU132のECU上面141及びECU下面142と、機器取付筐体130の内壁146との間の隙間を形成しておき、この隙間よりマイナスドライバー147を挿入して保持用爪部139を起こし、これにより保持用爪部139と第1及び第2の突起部143,144との係合を解除する構成とされていた。
【0014】
しかしながら、このような従来の係合解除の構造では操作性が悪く、また機器取付筐体130の内壁146とECU132との間にマイナスドライバー147を挿入するための隙間を形成する必要があるため、機器取付筐体130が大型化してしまうという問題点があった。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、筐体(機器取付筐体)の小型化を図ると共に確実に電子機器を筐体内に保持しうる電子機器の取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項1記載の発明は、
筐体に形成された開口部に電子機器を装着すると共に、該筐体に形成された爪部により前記開口部に装着された前記電子機器を保持する電子機器の取付け構造において、
前記筐体に、前記爪部と並列に前記電子機器が前記筐体からの抜けを防止するストッパ部を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
上記発明によれば、電子機器の筐体からの抜けを防止するストッパ部を筐体に爪部と並列に設けたことにより、爪部とストッパ部の位置が近接するため、電子機器の装着方向に対する筐体の長さを短くすることができ、筐体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の電子機器の取付け構造において、
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記ストッパ部が該突起部と係合する構成としたことを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、電子機器はストッパ部が突起部と係合することにより抜けが防止されるため、より確実に電子部品の筐体からの抜けを防止できる。
【0021】
請求項3記載の発明は、
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着し保持する電子機器の取付け構造において、
アーム部に前記電子機器と係合する爪部が形成された保持部材を、前記筐体に複数並列するよう設けると共に、
該複数の保持部材の内、少なくともひとつの保持部材のアーム部を両端支持梁構造とし、他の保持部材のアーム部を片持ち梁構造としたことを特徴とするものである。
【0022】
上記発明によれば、両端支持梁構造とされたアーム部を有する保持部材は、片持ち梁構造とされたアーム部を有する保持部材に比べて剛性が高いため、アーム部の塑性変形を防止でき、よって電子部品をより確実に保持することが可能となる。また、全ての保持部材のアーム部を両端支持梁構造とはしておらず、片持ち梁構造の保持部材も併用しているため、電子部品を筐体の開口部に装着する際の装着性を維持することができる。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、
請求項3記載の電子機器の取付け構造において、
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記保持部材が該突起部と係合する構成としたことを特徴とするものである。
【0024】
上記発明によれば、電子機器は保持部材が突起部と係合することにより抜けが防止されるため、より確実に電子部品の筐体からの抜けを防止できる。
【0025】
また、請求項5記載の発明は、
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着した際、前記筐体に形成されている保持部材を前記電子機器に係合させることにより、前記電子機器を前記筐体内に保持する電子機器の取付け構造において、
前記保持部材を、前記電子機器と係合する爪部と、該爪部を前記電子機器に向け弾性付勢する片持ち梁状のアーム部と、前記筐体の外側から操作することにより前記爪部と前記電子機器との係合を解除可能とした解除操作部とを有する構成としたことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、保持部材に筐体の外側から操作することにより爪部と電子機器との係合を解除可能とした解除操作部を設けたことにより、治具を用いることなく保持部材に形成された爪部と筐体との係合を解除できるため、電子機器の取り出し時における操作性の向上を図れると共に、治具を挿入する領域を筐体内に設ける必要がなくなるため筐体の小型化を図ることができる。
【0027】
また、請求項6記載の発明は、
請求項5記載の電子機器の取付け構造において、
前記解除操作部は、前記アーム部の前記爪部の形成位置よりも先端側に形成されており、前記爪部が前記電子機器と係合した状態で、前記解除操作部が前記筐体の外面と面一か、それよりも突出した構成とされていることを特徴とするものである。
【0028】
上記発明によれば、解除操作部を把持しやすくなり、電子機器の取り出し時における操作性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電子機器の装着方向に対する筐体の長さを短くすることができ、筐体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、本発明によれば、保持部材の一部を両端支持梁構造とされたアーム部を有する構成としたことによりアーム部の剛性を高めることができ、よってアーム部の塑性変形が防止され、筐体内に電子部品をより確実に保持することが可能となる。
【0031】
更に、本発明によれば、治具を用いることなく保持部材に形成された爪部と筐体との係合を解除できるため、電子機器の取り出し時における操作性の向上を図れると共に、治具を挿入する領域を筐体内に設ける必要がなくなるため筐体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施例である電子機器の取付け構造を示している。本実施例及び以下説明する各実施例では、電子機器として車載されるECU(エンジンコントロールユニット)2を車両に取り付ける構造を例に挙げて説明する。
【0034】
ECU2は、機器取付筐体1Bを用いて車両に取り付けられる。このECU2は、そのECU上面11及びECU下面12に、それぞれ第1の突起部13と第2の突起部14が形成されている。この第1及び第2の突起部13,14は、ECU上面11及びECU下面12の矢印X1,X2方向に対する略中央位置に形成されている。
【0035】
機器取付筐体1Aは樹脂形成されており、その筐体上面部5に固定部7が形成されると共に筐体下面部6に固定部8が形成されている。機器取付筐体1Bは、固定部7,8が例えば車体にボルト固定等されることにより車両(図示せず)に固定される。
【0036】
また、機器取付筐体1Aには、ECU2を装着する開口部4が形成されている。ECU2は、この開口部4に図中矢印X1方向に挿入される。また、機器取付筐体1Bの筐体上面部5及び筐体下面部6には、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材10が形成されている。
【0037】
押圧部材9は、押圧用アーム部15と押圧爪21とにより構成されている。押圧用アーム部15は片持ち梁構造を有し、その先端部に形成された押圧爪21は開口部4の内部に突出するよう構成されている。前記のように機器取付筐体1Aは樹脂形成されており、押圧用アーム部15は片持ち梁構造とされているため、押圧部材9は図中矢印Z1,Z2方向に弾性変形可能な構成となっている。
【0038】
押圧部材9は、ECU2が機器取付筐体1Aに装着された際、押圧爪21の弾性変形に伴う弾性力により押圧爪21がECU2のECU上面11を押圧する。これにより、ECU2は機器取付筐体1Aに保持される。
【0039】
一方、ストッパ部材10は、ECU2が機器取付筐体1Aから抜けるのを防止する機能を奏するものである。このストッパ部材10は、ストッパ用アーム部16とストッパ爪22とにより構成されている。本実施例では、ストッパ用アーム部16は片持ち梁構造を有し、その先端部に形成されたストッパ爪22は開口部4の内部に突出するよう構成されている。
【0040】
また、ストッパ部材10は、押圧部材9と並列した状態(Y1,Y2方向に並んだ状態)で筐体上面部5及び筐体下面部6に形成されている。この際、ストッパ部材10のストッパ爪22は、押圧部材9の押圧爪21に対し、図中矢印X1方向にずれた位置に配設されている。具体的には、図2に示されるように、ECU2の機器取付筐体1Aへの装着に伴い、押圧部材9(押圧爪21)が第1の突起部13と第2の突起部14との間位置に移動したとき、ストッパ部材10(ストッパ爪22)は第1の突起部13の図中矢印X1方向側と係合するよう構成されている。
【0041】
続いて、ECU2を機器取付筐体1Aに装着する処理について説明する。
【0042】
ECU2を機器取付筐体1Aに装着するには、ECU2を機器取付筐体1Aの開口部4内に矢印X1方向に挿入する。これにより、ECU2は機器取付筐体1A内に挿入されてゆき、これに伴い先ずECU2に形成された第1の突起部13がストッパ部材10に対してX2方向に位置する押圧部材9の押圧爪21に当接する。
【0043】
更にECU2を矢印X1方向に進行させると、前記のように押圧部材9は矢印Z1,Z2方向に弾性変形可能であるため矢印Z1方向に弾性変形し、これにより第1の突起部13は押圧爪21の下部を通過する。そして、更にECU2を矢印X1方向に進行させると、第1の突起部13は続いてストッパ部材10のストッパ爪22に当接する。この状態において、第1の突起部13は押圧爪21とストッパ爪22との間で挟持される。
【0044】
これにより、ECU2の矢印X1方向の進行は、第1の突起部13がストッパ部材10(ストッパ爪22)に当接することにより停止される。また、第1の突起部13がストッパ部材10と当接することにより、ECU2の機器取付筐体1Aからの抜け落ちることも防止される。
【0045】
また、第1の突起部13がストッパ部材10に当接した状態において、押圧部材9は第1の突起部13と第2の突起部14との間の位置にあり、弾性力によりECU上面11を矢印Z2方向に押圧している。これにより、ECU2は開口部4内において機器取付筐体1Aに保持された構成となる。
【0046】
このように、本参考例に係る取付け構造では、押圧部材9がECU2のECU上面11を押圧することにより機器取付筐体1A内にECU2を保持すると共に、第1の突起部13がストッパ部材10と当接することにより、ECU2が機器取付筐体1Aから抜け落ちることを防止している。更に、前記したように、押圧部材9とストッパ部材10とは並列した位置に配設されている。
【0047】
これにより、押圧部材9とストッパ部材10との位置を近接させることができ、従来の構成(図10参照)に比べ、機器取付筐体1Aの矢印X1,X2方向に対する長さ(図1に矢印L1で示す)を短くすることができる。
【0048】
即ち、従来ではストッパ片40をECU2の側面部15に当接させる構成であるため、筐体上面部5を矢印X1方向に長く(図2に矢印L2で示す距離だけ長く)する必要があったが、本実施例によればこの機器取付筐体1Aにおいてこの長さL2に相当する部分をなくすることができる。よって、本実施例に係る取付け構造によれば、機器取付筐体1Aの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0049】
また、本実施例では、ECU2に予め形成されている第1の突起部13を用いてECU2の機器取付筐体1A内への保持および抜け止めを行っているため、この保持および抜け止めを確実に行うことができる。
【0050】
更に、ストッパ部材10は第1の突起部13と係合することにより、ECU2をZ2方向に押圧する機能も奏している。このため、ストッパ部材10はECU2の抜け防止と共に、ECU2を機器取付筐体1A内に保持する機能をも奏する。このため従来の取付け構造に比べ、ECU2を機器取付筐体1A内により確実に保持することが可能となる。
【0051】
尚、上記した参考例では、押圧部材9とストッパ部材10とを図中Y1,Y2方向に若干離間させて配設した構成とした。しかしながら、図3に示すように、押圧部材9とストッパ部材10とを近接して形成することも可能である。
【0052】
続いて、本発明の第2実施例について説明する。
【0053】
上記した第1実施例では、押圧部材9を構成する押圧用アーム部15、及びストッパ部材10を構成するストッパ用アーム部16をいずれも片持ち梁構造としていた。ここで、ECU2の抜けを防止する機能を奏するストッパ部材10に注目すると、ECU2が機器取付筐体1Aから抜け出ようとする方向は図中矢印X1方向である。このため、ECU2が機器取付筐体1Aから抜け出ようとする場合には、ストッパ部材10を上方に押し上げる力が発生する。これについて、図4を用いて説明する。
【0054】
図4は、ECU2が機器取付筐体1Bに装着されたとき、押圧部材9及びストッパ部材10に作用する力を示したものである。押圧部材9は、前記したようにECU2を力FBで図中矢印Z2方向に向け押圧する。これにより、ECU2は主に図中矢印Z1,Z2方向の移動が規制され、よってECU2は機器取付筐体1Aに保持される。
【0055】
また、ストッパ部材10は、ストッパ爪22が第1の突起部13と係合すると共に、この第1の突起部13を図中矢印Z2方向に力FAで押圧する。また、第1の突起部13は押圧爪21とストッパ爪22との間で挟持される。これにより、ECU2に対して機器取付筐体1Aから抜け出す方向(図中矢印X1方向)に外力が作用したとしても、第1の突起部13(ECU2)の矢印X1方向の移動はストッパ爪22により規制され、ECU2が機器取付筐体1Aから離脱することを防止できる。
【0056】
しかしながら、近年車載用のECU2の大型化に伴い、ECU2の重量も増大する傾向にある。また、車両は走行中の操舵に伴い走行姿勢を頻繁に変化させるものであり、よってECU2に対しても頻繁に外力が印加される。このため、参考例で示したストッパ部材10のストッパ用アーム部16が片持ち梁構造であった場合には、ストッパ用アーム部16の剛性が後述する両端支持梁構造に比べて低いため、ストッパ爪22に口開きが発生してしまうという問題点が生じる可能性がある。
【0057】
ここで「口開き」とは、ストッパ爪22が頻繁に矢印X1方向の力を受けることにより、ストッパ用アーム部16(及びストッパ爪22)が開いた状態に塑性変形してしまうことをいう。図4に二点差線で示すのが、口開きが発生したストッパ部材10である。
【0058】
このように口開きが発生すると、ストッパ爪22により第1の突起部13の係止が十分でなくなり、また押圧爪21とストッパ爪22との距離(図4に矢印L4で示す)が長くなるため、押圧爪21とストッパ爪22による第1の突起部13の挟持力も低減する。このように、押圧部材9の押圧用アーム部15と、ストッパ部材10のストッパ用アーム部16を、いずれも片持ち梁構造とすると、ECU2の保持を確実に行うことができない可能性が生じる。
【0059】
本実施例では上記の点に鑑み、ストッパ部材に「口開き」が発生しないよう構成することにより、ECU2の保持をより確実に行いうる電子機器の取付け構造を実現したものである。以下、図5乃至図7を参照し、本発明の第2実施例である電子機器の取付け構造について説明する。尚、図5乃至図7において、図1乃至図4を用いて説明した第1実施例に示した構成と同一構成については、同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0060】
本実施例に係る取付け構造に用いる機器取付筐体1Bは、上記した第1実施例で示した機器取付筐体1Aと略等しい構成とされている。即ち、機器取付筐体1BにはECU2を装着する開口部4が形成されており、ECU2は開口部4に図中矢印X1方向に挿入される。また、機器取付筐体1Bの筐体上面部5には、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材20が一体的に形成されている(第1実施例で示したように、筐体下面部6に押圧部材9及びストッパ部材20を設けることも可能である)。
【0061】
押圧部材9は、第1実施例で示した構成と同一の構成であり、押圧用アーム部15は片持ち梁構造とされている。これに対してストッパ用アーム部20は、図6に拡大して示すようにストッパ用アーム部17が両端支持梁構造とされており、その開口部4側にストッパ爪22が形成された構成とされている。このストッパ用アーム部20は、第1実施例で示したストッパ部材10と同様に、ECU2が機器取付筐体1Bから抜けるのを防止する機能を奏するものである。このストッパ用アーム部20は、押圧部材9と並列した状態で筐体上面部5に形成されている。
【0062】
この際、ストッパ部材20のストッパ爪22は、押圧部材9の押圧爪21に対し、図中矢印X1方向にずれた位置にあるよう構成されている。具体的には、図7に示されるように、ECU2の機器取付筐体1Bへの装着に伴い、押圧部材9(押圧爪21)が第1の突起部13と第2の突起部14との間に位置したとき、ストッパ部材20(ストッパ爪22)は第1の突起部13の図中矢印X1方向側と係合するよう構成されている。
【0063】
上記のようにストッパ用アーム部20を構成するストッパ用アーム部17は、その両端部が筐体上面部5に支持された両端支持梁構造とされているため、片持ち梁構造とされた押圧用アーム部15を有する押圧部材9に対して高い剛性を有している。即ち、ストッパ用アーム部20に形成されたストッパ爪22は、押圧部材9に形成された押圧爪21に比べて上下方向(図中Z1,Z2方向)に対して変位し難い構成となっている。
【0064】
続いて、ECU2を機器取付筐体1Bに装着する処理について説明する。
【0065】
ECU2を機器取付筐体1Bに装着するには、ECU2を機器取付筐体1Bの開口部4に矢印X1方向に挿入する。これによりECU2は機器取付筐体1B内に挿入されてゆき、先ずECU2に形成された第1の突起部13は、ストッパ部材10に対してX2方向に位置する押圧部材9の押圧爪21と当接する。
【0066】
更にECU2を矢印X1方向に進行させると、前記のように押圧部材9は矢印Z1,Z2方向に弾性変形可能であるため矢印Z1方向に弾性変形し、これにより第1の突起部13は押圧爪21の下部を通過する。この際、押圧用アーム部15は片持ち梁構造であるため弾性変形し易く、よって装着性よくECU2を開口部4内に装着することができる。
【0067】
そして、更にECU2を矢印X1方向に進行させると、第1の突起部13は続いてストッパ用アーム部20のストッパ爪22に当接する。また、この状態において、第1の突起部13は押圧爪21とストッパ爪22との間で挟持される。これにより、ECU2の矢印X1方向の進行は、第1の突起部13がストッパ部材20(ストッパ爪22)に当接することにより停止される。また、第1の突起部13がストッパ部材20と当接することにより、ECU2の機器取付筐体1Bからの抜け落ちが防止される。
【0068】
更に、第1の突起部13がストッパ部材20に当接した状態において、押圧部材9は第1の突起部13と第2の突起部14との間の位置にあり、弾性力によりECU上面11を矢印Z2方向に押圧している。これにより、ECU2は開口部4内において機器取付筐体1Bに保持された構成となる。また、本実施例では、ECU2に予め形成されている第1の突起部13を用いてECU2の機器取付筐体1内への保持および抜け止めを行っているため、この保持および抜け止めを確実に行うことができる。
【0069】
更に、ストッパ部材20は第1の突起部13と係合することにより、ECU2をZ2方向に押圧する機能も奏している。このため、ストッパ部材20はECU2の抜け防止と共に、ECU2を機器取付筐体1B内に保持する機能をも奏し、よってECU2を機器取付筐体1B内により確実に保持することができる。
【0070】
次に、本実施において、ECU2に対し機器取付筐体1Bから離脱する方向(図中矢印X1方向)に外力が印加されたときの、ストッパ用アーム部20の動作について説明する。
【0071】
ECU2が矢印X1方向に移動しようとすると、図7に示すように、第1の突起部13はストッパ用アーム部20のストッパ爪22をX1方向に押圧し、これによりストッパ用アーム部20には図中矢印Mで示す方向に曲げモーメントが発生する。また、この曲げモーメントMが発生することにより、ストッパ爪22には矢印X2方向に作用する力FCが発生すると共に、押圧爪21には押圧用アーム部15に沿って力FDが発生する。
【0072】
また、押圧用アーム部15に沿って発生する力FDは、矢印Z2方向に向かう垂直分力FEを発生する。この垂直分力FEは、曲げモーメントMの発生により新たに押圧部材9に発生する力であり、これはECU2を機器取付筐体1Bに保持する力として作用する。よって、ストッパ用アーム部17を両端支持梁とすることにより、押圧部材9に通常作用する保持力FB(図4参照)に加え、曲げモーメントMによる垂直分力FEが保持力として追加的に作用するため、ECU2が重量物であっても確実にこれを保持することが可能となる。
【0073】
尚、上記した実施例では、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材10を各々ひとつのみ配設した構成を例に挙げて説明した。しかしながら、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材10を複数配設することも可能である。この場合、複数の保持部材の内、少なくともひとつの保持部材のアーム部を両端支持梁構造とし、他の保持部材のアーム部を片持ち梁構造とすることにより、上記した本願発明の効果を実現することができる。
【0074】
続いて、本発明の第3実施例について説明する。
【0075】
本実施例においては、操作部材50の操作性を向上した構成としたことを特徴とするものである。尚、本実施例に係る操作部材50は、上記した各実施例における押圧部材9及びストッパ部材10,20の双方に適用可能であるため、以下の説明では押圧部材9或いはストッパ部材10,20に特性せずに、操作部材50として説明するものとする。
【0076】
以下、図8及び図9を参照し、本発明の第3実施例である電子機器の取付け構造について説明する。尚、図8及び図9において、図1乃至図7を用いて説明した第1及び第2実施例に示した構成と同一構成については、同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0077】
本実施例では機器取付筐体1Cに形成され、開口部4内に装着されたECU2を保持する操作部材50をアーム部51と爪部52とにより構成すると共に、更に解除操作部52を設けたことを特徴とするものである。
【0078】
アーム部51は片持ち梁構造を有し、機器取付筐体1Cの筐体上面部5より斜め下方に延出した構成とされている。また、アーム部51の先端部にはECU2と係合する爪部52が形成されている。このアーム部51及び爪部52のみを有した操作部材は、第1及び第2実施例における押圧部材9と同一の構成である。
【0079】
本実施例では、片持ち梁構造とされたアーム部51の先端部、即ち爪部52の形成位置よりも先端部に、解除操作部52を形成した構成としている。この爪部52は、図中矢印X1方向に若干量(把持し易い長さ)だけ延出した鍔形状とされている。
【0080】
本実施例では、解除操作部52は筐体上面部5及び筐体下面部6と略面一な構成としているが、図9に一点鎖線で示すように、筐体上面部5及び筐体下面部6から外側に突出した構成としてもよい。
【0081】
ここで、上記構成とされた電子機器の取付け構造において、ECU2を機器取付筐体1Cから取り外す処理について説明する。図9は、操作部材50がECU2と係合し、よってECU2が機器取付筐体1C内に保持された状態を示している。ECU2はメンテナンス等により車両から取り出す場合があり、この時にはECU2を機器取付筐体1Cから取り出す処理が行われる。
【0082】
前記した第1及び第2実施例における押圧用アーム部15及び押圧爪21のみを有した押圧部材9では、押圧部材9とECU2との係合を解除するには、図12を用いて説明した方法と同様にマイナスドライバーを用いて行う必要があった。
【0083】
これに対して本実施例のように操作部材50に解除操作部52を設けたことにより、治具(マイナスドライバー)を用いることなく操作部材50に形成された爪部52と第1及び第2の突起部13,14との係合を解除することができる。よって、機器取付筐体1CからECU2を取り出す取り出し操作の操作性を向上することができ、また治具(マイナスドライバー)を挿入する領域を機器取付筐体1C内に設ける必要がなくなるため、機器取付筐体1Cの小型化を図ることができる。
【0084】
更に本実施例では、爪部52がECU2と係合した状態で、解除操作部52が筐体上面部5或いは筐体下面部6の外面と面一か、それよりも突出した構成とされている。このため、解除操作部53を把持しやすくなり、ECU2の取り出し時における操作性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の第1実施例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は、第1実施例における押圧部材及びストッパ部材の近傍を拡大して示す図である。
【図4】図4は、第1実施例における押圧部材及びストッパ部材の動作を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、第6実施例における押圧部材及びストッパ部材の近傍を拡大して示す図である。
【図7】図7は、第2実施例におけるストッパ部材の動作を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、第3実施例における押圧部材及びストッパ部材の動作を説明するための図である。
【図10】図10は、従来の一例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図11】図11は、図10におけるB−B線に沿う断面図である。
【図12】図12は、従来におけるECUの取り外し作業を説明するための図である。
【符号の説明】
【0086】
1A,1B,1C 機器取付筐体
2 ECU
4 開口部
5 筐体上面部
6 筐体下面部
9 押圧部材
10,20 ストッパ部材
13 第1の突起部
14 第2の突起部
15 押圧用アーム部
16,17 ストッパ用アーム部
21 押圧爪
22 ストッパ爪
50 操作部材
51 アーム部
52 爪部
53 解除操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の取付け構造に係り、電子機器を車載する際に用いて好適な電子機器の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用の電子機器は、車両に固定された機器取付筐体に電子機器を装着することにより取り付けられる構成とされている(例えば、特許文献1参照)。これは、取付け時においては電子機器を容易に車載することができ、またメンテナンス時等においては、電子機器を直接車両に固定する構造に比べ、容易に取り外しが行えるためである。
【0003】
図10は、従来の一例である電子機器の取付け構造を示している。同図では、電子機器として車載されるECU(エンジンコントロールユニット)132を取り付ける構造を示している。ECU132は、機器取付筐体130を用いて車両に取り付けられる。
【0004】
機器取付筐体130は筐体上面部135に固定部137が形成されると共に、筐体下面部136に固定部138が形成されている。固定部137,138が車体にボルト固定等されることにより、機器取付筐体130は車両に固定される。
【0005】
また、機器取付筐体130は、ECU132を嵌入する開口部134が形成されている。ECU132は、開口部134に対し図中矢印X1方向に挿入される。また、筐体上面部135及び筐体下面部136には、押圧部材139形成されている。この保持用爪部139は片持ち梁構造を有し、その先端部は開口部134の内部に突出するよう形成されている。
【0006】
更に、開口部134の矢印X1方向の端縁部には、ストッパ片140が形成されている。このストッパ片140が形成されることにより、開口部134のX1方向端部の面積は、ECU132の側面部145の面積よりも小さくなっている。
【0007】
一方、ECU132は、そのECU上面141及びECU下面142に、それぞれ第1の突起部143と第2の突起部144が形成されている。この第1及び第2の突起部143,144は、ECU上面141及びECU下面142の略中央位置に形成されている。
【0008】
続いて、ECU132を機器取付筐体130に装着する処理について説明する。ECU132を機器取付筐体130に装着するには、ECU132を機器取付筐体130の開口部134に矢印X1方向に挿入する。これにより、第1の突起部143が開口部134に突出するよう形成された保持用爪部139乗り越え第1の突起部143と第2の突起部144との間の位置に至り、これ同時に、図11に示すようにECU132の側面部145はストッパ片140に当接する。
【0009】
このように、側面部145がストッパ片140に当接することにより、ECU132が機器取付筐体130から矢印X1方向に抜け落ちることを防止することができる。また、押圧部材139ECU132のECU上面141と当接することにより、保持用爪部139は弾性変形し、これにより発生する弾性力によりECU132を押圧する。これにより、ECU132は機器取付筐体130内に保持された構成となる。
【特許文献1】特開2000−247188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の電子機器の取付け構造では、ストッパ片140がECU132の側面部145と当接することにより機器取付筐体130からECU132が抜け出すのを防止する構成であったため、必然的に保持用爪部139の形成位置からストッパ片140の形成位置までの長さが長くなってしまう。
【0011】
これに伴い、機器取付筐体130の側面部146の矢印X1,X2方向の長さ(図10に矢印L3で示す長さ)が長くなってしまい、機器取付筐体130が大型化してしまうという問題点があった。このように、機器取付筐体130が大型化すると、車載上好ましくない上に、製品コストが上昇してしまうという問題点があった。
【0012】
また、押圧部材139とストッパ片140が離間した構成であったため、ECU132に外力が印加され、これによりECU132が押圧部材139がECU上面141を押圧する位置を中心として変位したときには、ストッパ片140の位置においてはECU132の側面部145は大きく変位するため、ストッパ片140が側面部145から離脱するおそれがあるという問題点もあった。
【0013】
更に、ECU132を機器取付筐体130から取り出す場合には、保持用爪部139と第1及び第2の突起部143,144との係合を解除する必要があるが、従来では係合状態において保持用爪部139は機器取付筐体130の筐体上面部135及び筐体下面部136から大きく内部に入り込んだ状態となっている。このため、図12に示すように、ECU132のECU上面141及びECU下面142と、機器取付筐体130の内壁146との間の隙間を形成しておき、この隙間よりマイナスドライバー147を挿入して保持用爪部139を起こし、これにより保持用爪部139と第1及び第2の突起部143,144との係合を解除する構成とされていた。
【0014】
しかしながら、このような従来の係合解除の構造では操作性が悪く、また機器取付筐体130の内壁146とECU132との間にマイナスドライバー147を挿入するための隙間を形成する必要があるため、機器取付筐体130が大型化してしまうという問題点があった。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、筐体(機器取付筐体)の小型化を図ると共に確実に電子機器を筐体内に保持しうる電子機器の取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項1記載の発明は、
筐体に形成された開口部に電子機器を装着すると共に、該筐体に形成された爪部により前記開口部に装着された前記電子機器を保持する電子機器の取付け構造において、
前記筐体に、前記爪部と並列に前記電子機器が前記筐体からの抜けを防止するストッパ部を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
上記発明によれば、電子機器の筐体からの抜けを防止するストッパ部を筐体に爪部と並列に設けたことにより、爪部とストッパ部の位置が近接するため、電子機器の装着方向に対する筐体の長さを短くすることができ、筐体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の電子機器の取付け構造において、
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記ストッパ部が該突起部と係合する構成としたことを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、電子機器はストッパ部が突起部と係合することにより抜けが防止されるため、より確実に電子部品の筐体からの抜けを防止できる。
【0021】
請求項3記載の発明は、
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着し保持する電子機器の取付け構造において、
アーム部に前記電子機器と係合する爪部が形成された保持部材を、前記筐体に複数並列するよう設けると共に、
該複数の保持部材の内、少なくともひとつの保持部材のアーム部を両端支持梁構造とし、他の保持部材のアーム部を片持ち梁構造としたことを特徴とするものである。
【0022】
上記発明によれば、両端支持梁構造とされたアーム部を有する保持部材は、片持ち梁構造とされたアーム部を有する保持部材に比べて剛性が高いため、アーム部の塑性変形を防止でき、よって電子部品をより確実に保持することが可能となる。また、全ての保持部材のアーム部を両端支持梁構造とはしておらず、片持ち梁構造の保持部材も併用しているため、電子部品を筐体の開口部に装着する際の装着性を維持することができる。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、
請求項3記載の電子機器の取付け構造において、
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記保持部材が該突起部と係合する構成としたことを特徴とするものである。
【0024】
上記発明によれば、電子機器は保持部材が突起部と係合することにより抜けが防止されるため、より確実に電子部品の筐体からの抜けを防止できる。
【0025】
また、請求項5記載の発明は、
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着した際、前記筐体に形成されている保持部材を前記電子機器に係合させることにより、前記電子機器を前記筐体内に保持する電子機器の取付け構造において、
前記保持部材を、前記電子機器と係合する爪部と、該爪部を前記電子機器に向け弾性付勢する片持ち梁状のアーム部と、前記筐体の外側から操作することにより前記爪部と前記電子機器との係合を解除可能とした解除操作部とを有する構成としたことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、保持部材に筐体の外側から操作することにより爪部と電子機器との係合を解除可能とした解除操作部を設けたことにより、治具を用いることなく保持部材に形成された爪部と筐体との係合を解除できるため、電子機器の取り出し時における操作性の向上を図れると共に、治具を挿入する領域を筐体内に設ける必要がなくなるため筐体の小型化を図ることができる。
【0027】
また、請求項6記載の発明は、
請求項5記載の電子機器の取付け構造において、
前記解除操作部は、前記アーム部の前記爪部の形成位置よりも先端側に形成されており、前記爪部が前記電子機器と係合した状態で、前記解除操作部が前記筐体の外面と面一か、それよりも突出した構成とされていることを特徴とするものである。
【0028】
上記発明によれば、解除操作部を把持しやすくなり、電子機器の取り出し時における操作性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電子機器の装着方向に対する筐体の長さを短くすることができ、筐体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、本発明によれば、保持部材の一部を両端支持梁構造とされたアーム部を有する構成としたことによりアーム部の剛性を高めることができ、よってアーム部の塑性変形が防止され、筐体内に電子部品をより確実に保持することが可能となる。
【0031】
更に、本発明によれば、治具を用いることなく保持部材に形成された爪部と筐体との係合を解除できるため、電子機器の取り出し時における操作性の向上を図れると共に、治具を挿入する領域を筐体内に設ける必要がなくなるため筐体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施例である電子機器の取付け構造を示している。本実施例及び以下説明する各実施例では、電子機器として車載されるECU(エンジンコントロールユニット)2を車両に取り付ける構造を例に挙げて説明する。
【0034】
ECU2は、機器取付筐体1Bを用いて車両に取り付けられる。このECU2は、そのECU上面11及びECU下面12に、それぞれ第1の突起部13と第2の突起部14が形成されている。この第1及び第2の突起部13,14は、ECU上面11及びECU下面12の矢印X1,X2方向に対する略中央位置に形成されている。
【0035】
機器取付筐体1Aは樹脂形成されており、その筐体上面部5に固定部7が形成されると共に筐体下面部6に固定部8が形成されている。機器取付筐体1Bは、固定部7,8が例えば車体にボルト固定等されることにより車両(図示せず)に固定される。
【0036】
また、機器取付筐体1Aには、ECU2を装着する開口部4が形成されている。ECU2は、この開口部4に図中矢印X1方向に挿入される。また、機器取付筐体1Bの筐体上面部5及び筐体下面部6には、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材10が形成されている。
【0037】
押圧部材9は、押圧用アーム部15と押圧爪21とにより構成されている。押圧用アーム部15は片持ち梁構造を有し、その先端部に形成された押圧爪21は開口部4の内部に突出するよう構成されている。前記のように機器取付筐体1Aは樹脂形成されており、押圧用アーム部15は片持ち梁構造とされているため、押圧部材9は図中矢印Z1,Z2方向に弾性変形可能な構成となっている。
【0038】
押圧部材9は、ECU2が機器取付筐体1Aに装着された際、押圧爪21の弾性変形に伴う弾性力により押圧爪21がECU2のECU上面11を押圧する。これにより、ECU2は機器取付筐体1Aに保持される。
【0039】
一方、ストッパ部材10は、ECU2が機器取付筐体1Aから抜けるのを防止する機能を奏するものである。このストッパ部材10は、ストッパ用アーム部16とストッパ爪22とにより構成されている。本実施例では、ストッパ用アーム部16は片持ち梁構造を有し、その先端部に形成されたストッパ爪22は開口部4の内部に突出するよう構成されている。
【0040】
また、ストッパ部材10は、押圧部材9と並列した状態(Y1,Y2方向に並んだ状態)で筐体上面部5及び筐体下面部6に形成されている。この際、ストッパ部材10のストッパ爪22は、押圧部材9の押圧爪21に対し、図中矢印X1方向にずれた位置に配設されている。具体的には、図2に示されるように、ECU2の機器取付筐体1Aへの装着に伴い、押圧部材9(押圧爪21)が第1の突起部13と第2の突起部14との間位置に移動したとき、ストッパ部材10(ストッパ爪22)は第1の突起部13の図中矢印X1方向側と係合するよう構成されている。
【0041】
続いて、ECU2を機器取付筐体1Aに装着する処理について説明する。
【0042】
ECU2を機器取付筐体1Aに装着するには、ECU2を機器取付筐体1Aの開口部4内に矢印X1方向に挿入する。これにより、ECU2は機器取付筐体1A内に挿入されてゆき、これに伴い先ずECU2に形成された第1の突起部13がストッパ部材10に対してX2方向に位置する押圧部材9の押圧爪21に当接する。
【0043】
更にECU2を矢印X1方向に進行させると、前記のように押圧部材9は矢印Z1,Z2方向に弾性変形可能であるため矢印Z1方向に弾性変形し、これにより第1の突起部13は押圧爪21の下部を通過する。そして、更にECU2を矢印X1方向に進行させると、第1の突起部13は続いてストッパ部材10のストッパ爪22に当接する。この状態において、第1の突起部13は押圧爪21とストッパ爪22との間で挟持される。
【0044】
これにより、ECU2の矢印X1方向の進行は、第1の突起部13がストッパ部材10(ストッパ爪22)に当接することにより停止される。また、第1の突起部13がストッパ部材10と当接することにより、ECU2の機器取付筐体1Aからの抜け落ちることも防止される。
【0045】
また、第1の突起部13がストッパ部材10に当接した状態において、押圧部材9は第1の突起部13と第2の突起部14との間の位置にあり、弾性力によりECU上面11を矢印Z2方向に押圧している。これにより、ECU2は開口部4内において機器取付筐体1Aに保持された構成となる。
【0046】
このように、本参考例に係る取付け構造では、押圧部材9がECU2のECU上面11を押圧することにより機器取付筐体1A内にECU2を保持すると共に、第1の突起部13がストッパ部材10と当接することにより、ECU2が機器取付筐体1Aから抜け落ちることを防止している。更に、前記したように、押圧部材9とストッパ部材10とは並列した位置に配設されている。
【0047】
これにより、押圧部材9とストッパ部材10との位置を近接させることができ、従来の構成(図10参照)に比べ、機器取付筐体1Aの矢印X1,X2方向に対する長さ(図1に矢印L1で示す)を短くすることができる。
【0048】
即ち、従来ではストッパ片40をECU2の側面部15に当接させる構成であるため、筐体上面部5を矢印X1方向に長く(図2に矢印L2で示す距離だけ長く)する必要があったが、本実施例によればこの機器取付筐体1Aにおいてこの長さL2に相当する部分をなくすることができる。よって、本実施例に係る取付け構造によれば、機器取付筐体1Aの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0049】
また、本実施例では、ECU2に予め形成されている第1の突起部13を用いてECU2の機器取付筐体1A内への保持および抜け止めを行っているため、この保持および抜け止めを確実に行うことができる。
【0050】
更に、ストッパ部材10は第1の突起部13と係合することにより、ECU2をZ2方向に押圧する機能も奏している。このため、ストッパ部材10はECU2の抜け防止と共に、ECU2を機器取付筐体1A内に保持する機能をも奏する。このため従来の取付け構造に比べ、ECU2を機器取付筐体1A内により確実に保持することが可能となる。
【0051】
尚、上記した参考例では、押圧部材9とストッパ部材10とを図中Y1,Y2方向に若干離間させて配設した構成とした。しかしながら、図3に示すように、押圧部材9とストッパ部材10とを近接して形成することも可能である。
【0052】
続いて、本発明の第2実施例について説明する。
【0053】
上記した第1実施例では、押圧部材9を構成する押圧用アーム部15、及びストッパ部材10を構成するストッパ用アーム部16をいずれも片持ち梁構造としていた。ここで、ECU2の抜けを防止する機能を奏するストッパ部材10に注目すると、ECU2が機器取付筐体1Aから抜け出ようとする方向は図中矢印X1方向である。このため、ECU2が機器取付筐体1Aから抜け出ようとする場合には、ストッパ部材10を上方に押し上げる力が発生する。これについて、図4を用いて説明する。
【0054】
図4は、ECU2が機器取付筐体1Bに装着されたとき、押圧部材9及びストッパ部材10に作用する力を示したものである。押圧部材9は、前記したようにECU2を力FBで図中矢印Z2方向に向け押圧する。これにより、ECU2は主に図中矢印Z1,Z2方向の移動が規制され、よってECU2は機器取付筐体1Aに保持される。
【0055】
また、ストッパ部材10は、ストッパ爪22が第1の突起部13と係合すると共に、この第1の突起部13を図中矢印Z2方向に力FAで押圧する。また、第1の突起部13は押圧爪21とストッパ爪22との間で挟持される。これにより、ECU2に対して機器取付筐体1Aから抜け出す方向(図中矢印X1方向)に外力が作用したとしても、第1の突起部13(ECU2)の矢印X1方向の移動はストッパ爪22により規制され、ECU2が機器取付筐体1Aから離脱することを防止できる。
【0056】
しかしながら、近年車載用のECU2の大型化に伴い、ECU2の重量も増大する傾向にある。また、車両は走行中の操舵に伴い走行姿勢を頻繁に変化させるものであり、よってECU2に対しても頻繁に外力が印加される。このため、参考例で示したストッパ部材10のストッパ用アーム部16が片持ち梁構造であった場合には、ストッパ用アーム部16の剛性が後述する両端支持梁構造に比べて低いため、ストッパ爪22に口開きが発生してしまうという問題点が生じる可能性がある。
【0057】
ここで「口開き」とは、ストッパ爪22が頻繁に矢印X1方向の力を受けることにより、ストッパ用アーム部16(及びストッパ爪22)が開いた状態に塑性変形してしまうことをいう。図4に二点差線で示すのが、口開きが発生したストッパ部材10である。
【0058】
このように口開きが発生すると、ストッパ爪22により第1の突起部13の係止が十分でなくなり、また押圧爪21とストッパ爪22との距離(図4に矢印L4で示す)が長くなるため、押圧爪21とストッパ爪22による第1の突起部13の挟持力も低減する。このように、押圧部材9の押圧用アーム部15と、ストッパ部材10のストッパ用アーム部16を、いずれも片持ち梁構造とすると、ECU2の保持を確実に行うことができない可能性が生じる。
【0059】
本実施例では上記の点に鑑み、ストッパ部材に「口開き」が発生しないよう構成することにより、ECU2の保持をより確実に行いうる電子機器の取付け構造を実現したものである。以下、図5乃至図7を参照し、本発明の第2実施例である電子機器の取付け構造について説明する。尚、図5乃至図7において、図1乃至図4を用いて説明した第1実施例に示した構成と同一構成については、同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0060】
本実施例に係る取付け構造に用いる機器取付筐体1Bは、上記した第1実施例で示した機器取付筐体1Aと略等しい構成とされている。即ち、機器取付筐体1BにはECU2を装着する開口部4が形成されており、ECU2は開口部4に図中矢印X1方向に挿入される。また、機器取付筐体1Bの筐体上面部5には、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材20が一体的に形成されている(第1実施例で示したように、筐体下面部6に押圧部材9及びストッパ部材20を設けることも可能である)。
【0061】
押圧部材9は、第1実施例で示した構成と同一の構成であり、押圧用アーム部15は片持ち梁構造とされている。これに対してストッパ用アーム部20は、図6に拡大して示すようにストッパ用アーム部17が両端支持梁構造とされており、その開口部4側にストッパ爪22が形成された構成とされている。このストッパ用アーム部20は、第1実施例で示したストッパ部材10と同様に、ECU2が機器取付筐体1Bから抜けるのを防止する機能を奏するものである。このストッパ用アーム部20は、押圧部材9と並列した状態で筐体上面部5に形成されている。
【0062】
この際、ストッパ部材20のストッパ爪22は、押圧部材9の押圧爪21に対し、図中矢印X1方向にずれた位置にあるよう構成されている。具体的には、図7に示されるように、ECU2の機器取付筐体1Bへの装着に伴い、押圧部材9(押圧爪21)が第1の突起部13と第2の突起部14との間に位置したとき、ストッパ部材20(ストッパ爪22)は第1の突起部13の図中矢印X1方向側と係合するよう構成されている。
【0063】
上記のようにストッパ用アーム部20を構成するストッパ用アーム部17は、その両端部が筐体上面部5に支持された両端支持梁構造とされているため、片持ち梁構造とされた押圧用アーム部15を有する押圧部材9に対して高い剛性を有している。即ち、ストッパ用アーム部20に形成されたストッパ爪22は、押圧部材9に形成された押圧爪21に比べて上下方向(図中Z1,Z2方向)に対して変位し難い構成となっている。
【0064】
続いて、ECU2を機器取付筐体1Bに装着する処理について説明する。
【0065】
ECU2を機器取付筐体1Bに装着するには、ECU2を機器取付筐体1Bの開口部4に矢印X1方向に挿入する。これによりECU2は機器取付筐体1B内に挿入されてゆき、先ずECU2に形成された第1の突起部13は、ストッパ部材10に対してX2方向に位置する押圧部材9の押圧爪21と当接する。
【0066】
更にECU2を矢印X1方向に進行させると、前記のように押圧部材9は矢印Z1,Z2方向に弾性変形可能であるため矢印Z1方向に弾性変形し、これにより第1の突起部13は押圧爪21の下部を通過する。この際、押圧用アーム部15は片持ち梁構造であるため弾性変形し易く、よって装着性よくECU2を開口部4内に装着することができる。
【0067】
そして、更にECU2を矢印X1方向に進行させると、第1の突起部13は続いてストッパ用アーム部20のストッパ爪22に当接する。また、この状態において、第1の突起部13は押圧爪21とストッパ爪22との間で挟持される。これにより、ECU2の矢印X1方向の進行は、第1の突起部13がストッパ部材20(ストッパ爪22)に当接することにより停止される。また、第1の突起部13がストッパ部材20と当接することにより、ECU2の機器取付筐体1Bからの抜け落ちが防止される。
【0068】
更に、第1の突起部13がストッパ部材20に当接した状態において、押圧部材9は第1の突起部13と第2の突起部14との間の位置にあり、弾性力によりECU上面11を矢印Z2方向に押圧している。これにより、ECU2は開口部4内において機器取付筐体1Bに保持された構成となる。また、本実施例では、ECU2に予め形成されている第1の突起部13を用いてECU2の機器取付筐体1内への保持および抜け止めを行っているため、この保持および抜け止めを確実に行うことができる。
【0069】
更に、ストッパ部材20は第1の突起部13と係合することにより、ECU2をZ2方向に押圧する機能も奏している。このため、ストッパ部材20はECU2の抜け防止と共に、ECU2を機器取付筐体1B内に保持する機能をも奏し、よってECU2を機器取付筐体1B内により確実に保持することができる。
【0070】
次に、本実施において、ECU2に対し機器取付筐体1Bから離脱する方向(図中矢印X1方向)に外力が印加されたときの、ストッパ用アーム部20の動作について説明する。
【0071】
ECU2が矢印X1方向に移動しようとすると、図7に示すように、第1の突起部13はストッパ用アーム部20のストッパ爪22をX1方向に押圧し、これによりストッパ用アーム部20には図中矢印Mで示す方向に曲げモーメントが発生する。また、この曲げモーメントMが発生することにより、ストッパ爪22には矢印X2方向に作用する力FCが発生すると共に、押圧爪21には押圧用アーム部15に沿って力FDが発生する。
【0072】
また、押圧用アーム部15に沿って発生する力FDは、矢印Z2方向に向かう垂直分力FEを発生する。この垂直分力FEは、曲げモーメントMの発生により新たに押圧部材9に発生する力であり、これはECU2を機器取付筐体1Bに保持する力として作用する。よって、ストッパ用アーム部17を両端支持梁とすることにより、押圧部材9に通常作用する保持力FB(図4参照)に加え、曲げモーメントMによる垂直分力FEが保持力として追加的に作用するため、ECU2が重量物であっても確実にこれを保持することが可能となる。
【0073】
尚、上記した実施例では、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材10を各々ひとつのみ配設した構成を例に挙げて説明した。しかしながら、保持部材となる押圧部材9及びストッパ部材10を複数配設することも可能である。この場合、複数の保持部材の内、少なくともひとつの保持部材のアーム部を両端支持梁構造とし、他の保持部材のアーム部を片持ち梁構造とすることにより、上記した本願発明の効果を実現することができる。
【0074】
続いて、本発明の第3実施例について説明する。
【0075】
本実施例においては、操作部材50の操作性を向上した構成としたことを特徴とするものである。尚、本実施例に係る操作部材50は、上記した各実施例における押圧部材9及びストッパ部材10,20の双方に適用可能であるため、以下の説明では押圧部材9或いはストッパ部材10,20に特性せずに、操作部材50として説明するものとする。
【0076】
以下、図8及び図9を参照し、本発明の第3実施例である電子機器の取付け構造について説明する。尚、図8及び図9において、図1乃至図7を用いて説明した第1及び第2実施例に示した構成と同一構成については、同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0077】
本実施例では機器取付筐体1Cに形成され、開口部4内に装着されたECU2を保持する操作部材50をアーム部51と爪部52とにより構成すると共に、更に解除操作部52を設けたことを特徴とするものである。
【0078】
アーム部51は片持ち梁構造を有し、機器取付筐体1Cの筐体上面部5より斜め下方に延出した構成とされている。また、アーム部51の先端部にはECU2と係合する爪部52が形成されている。このアーム部51及び爪部52のみを有した操作部材は、第1及び第2実施例における押圧部材9と同一の構成である。
【0079】
本実施例では、片持ち梁構造とされたアーム部51の先端部、即ち爪部52の形成位置よりも先端部に、解除操作部52を形成した構成としている。この爪部52は、図中矢印X1方向に若干量(把持し易い長さ)だけ延出した鍔形状とされている。
【0080】
本実施例では、解除操作部52は筐体上面部5及び筐体下面部6と略面一な構成としているが、図9に一点鎖線で示すように、筐体上面部5及び筐体下面部6から外側に突出した構成としてもよい。
【0081】
ここで、上記構成とされた電子機器の取付け構造において、ECU2を機器取付筐体1Cから取り外す処理について説明する。図9は、操作部材50がECU2と係合し、よってECU2が機器取付筐体1C内に保持された状態を示している。ECU2はメンテナンス等により車両から取り出す場合があり、この時にはECU2を機器取付筐体1Cから取り出す処理が行われる。
【0082】
前記した第1及び第2実施例における押圧用アーム部15及び押圧爪21のみを有した押圧部材9では、押圧部材9とECU2との係合を解除するには、図12を用いて説明した方法と同様にマイナスドライバーを用いて行う必要があった。
【0083】
これに対して本実施例のように操作部材50に解除操作部52を設けたことにより、治具(マイナスドライバー)を用いることなく操作部材50に形成された爪部52と第1及び第2の突起部13,14との係合を解除することができる。よって、機器取付筐体1CからECU2を取り出す取り出し操作の操作性を向上することができ、また治具(マイナスドライバー)を挿入する領域を機器取付筐体1C内に設ける必要がなくなるため、機器取付筐体1Cの小型化を図ることができる。
【0084】
更に本実施例では、爪部52がECU2と係合した状態で、解除操作部52が筐体上面部5或いは筐体下面部6の外面と面一か、それよりも突出した構成とされている。このため、解除操作部53を把持しやすくなり、ECU2の取り出し時における操作性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の第1実施例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は、第1実施例における押圧部材及びストッパ部材の近傍を拡大して示す図である。
【図4】図4は、第1実施例における押圧部材及びストッパ部材の動作を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、第6実施例における押圧部材及びストッパ部材の近傍を拡大して示す図である。
【図7】図7は、第2実施例におけるストッパ部材の動作を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、第3実施例における押圧部材及びストッパ部材の動作を説明するための図である。
【図10】図10は、従来の一例である電子機器の取付け構造を示す斜視図である。
【図11】図11は、図10におけるB−B線に沿う断面図である。
【図12】図12は、従来におけるECUの取り外し作業を説明するための図である。
【符号の説明】
【0086】
1A,1B,1C 機器取付筐体
2 ECU
4 開口部
5 筐体上面部
6 筐体下面部
9 押圧部材
10,20 ストッパ部材
13 第1の突起部
14 第2の突起部
15 押圧用アーム部
16,17 ストッパ用アーム部
21 押圧爪
22 ストッパ爪
50 操作部材
51 アーム部
52 爪部
53 解除操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に形成された開口部に電子機器を装着すると共に、該筐体に形成された爪部により前記開口部内に装着された前記電子機器を保持する電子機器の取付け構造において、
前記筐体に、前記爪部と並列に前記電子機器が前記筐体からの抜けを防止するストッパ部を設けたことを特徴とする電子機器の取付け構造。
【請求項2】
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記ストッパ部が該突起部と係合する構成としたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の取付け構造。
【請求項3】
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着し保持する電子機器の取付け構造において、
アーム部に前記電子機器と係合する爪部が形成された保持部材を、前記筐体に複数並列するよう設けると共に、
該複数の保持部材の内、少なくともひとつの保持部材のアーム部を両端支持梁構造とし、他の保持部材のアーム部を片持ち梁構造としたことを特徴とする電子機器の取付け構造。
【請求項4】
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記保持部材が該突起部と係合する構成としたことを特徴とする請求項3記載の電子機器の取付け構造。
【請求項5】
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着した際、前記筐体に形成されている保持部材を前記電子機器に係合させることにより、前記電子機器を前記筐体内に保持する電子機器の取付け構造において、
前記保持部材を、前記電子機器と係合する爪部と、該爪部を前記電子機器に向け弾性付勢する片持ち梁状のアーム部と、前記筐体の外側から操作することにより前記爪部と前記電子機器との係合を解除可能とした解除操作部とを有する構成としたことを特徴とする電子機器の取付け構造。
【請求項6】
前記解除操作部は、前記アーム部の前記爪部の形成位置よりも先端側に形成されており、前記爪部が前記電子機器と係合した状態で、前記解除操作部が前記筐体の外面と面一か、それよりも突出した構成とされていることを特徴とする請求項5記載の電子機器の取付け構造。
【請求項1】
筐体に形成された開口部に電子機器を装着すると共に、該筐体に形成された爪部により前記開口部内に装着された前記電子機器を保持する電子機器の取付け構造において、
前記筐体に、前記爪部と並列に前記電子機器が前記筐体からの抜けを防止するストッパ部を設けたことを特徴とする電子機器の取付け構造。
【請求項2】
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記ストッパ部が該突起部と係合する構成としたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の取付け構造。
【請求項3】
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着し保持する電子機器の取付け構造において、
アーム部に前記電子機器と係合する爪部が形成された保持部材を、前記筐体に複数並列するよう設けると共に、
該複数の保持部材の内、少なくともひとつの保持部材のアーム部を両端支持梁構造とし、他の保持部材のアーム部を片持ち梁構造としたことを特徴とする電子機器の取付け構造。
【請求項4】
前記電子機器の前記爪部と対向する面に突起部を形成し、前記保持部材が該突起部と係合する構成としたことを特徴とする請求項3記載の電子機器の取付け構造。
【請求項5】
筐体に形成された開口部内に電子機器を装着した際、前記筐体に形成されている保持部材を前記電子機器に係合させることにより、前記電子機器を前記筐体内に保持する電子機器の取付け構造において、
前記保持部材を、前記電子機器と係合する爪部と、該爪部を前記電子機器に向け弾性付勢する片持ち梁状のアーム部と、前記筐体の外側から操作することにより前記爪部と前記電子機器との係合を解除可能とした解除操作部とを有する構成としたことを特徴とする電子機器の取付け構造。
【請求項6】
前記解除操作部は、前記アーム部の前記爪部の形成位置よりも先端側に形成されており、前記爪部が前記電子機器と係合した状態で、前記解除操作部が前記筐体の外面と面一か、それよりも突出した構成とされていることを特徴とする請求項5記載の電子機器の取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−176253(P2007−176253A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375073(P2005−375073)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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