説明

電子機器ケース

【課題】内側素材としてのウレタンやシリコンをEVAや発泡ポリエチレン等のより軽量で安価な素材で置き換える。
【解決手段】 硬質樹脂からなる外側ケース(2)と、この外側ケースの内側に収容される緩衝材(3)からなる。緩衝材(3)はEVAを熱プレスしたもの、発泡ポリエチレン、発泡EVAの何れかからなる。この緩衝材の表面には電子機器の固定具(4)が取り付けられている。固定具(4)は表面の少なくとも一部に粘着層(43,44)を有する。固定具(4)は、その緩衝材(3)との接合部分を除き、緩衝材(3)に固定せず、浮き上がった状態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器ケースに関する。電子機器としては、ゲーム機、小型ノートパソコン、音響プレーヤー等がある。
【背景技術】
【0002】
上記するような小型電子機器は携帯されることが多く、様々な場面で衝撃を受ける。電子機器は精密機械であり、正常に機能を果たすためには衝撃から十分守られなければならない。従来この目的のために、電子機器用の保護ケースが使用されている。保護ケースは、その特定の電子機器専用の附属品である専用品と、同種機器でほぼ同じ大きさのものならほとんどすべてに使用可能とした汎用品とがある。
【0003】
専用品にせよ、汎用品にせよ、これらの保護ケースは、外側をポリプロピレン等のハードカバーで製作し、内側をウレタンやシリコン等の緩衝材で保護していることが多い(下記特許文献1参照)。
【0004】
特に汎用品としての保護ケースの場合、電子機器と緩衝材との間に隙間が発生しやすい。衝撃が大きいときには電子機器が緩衝材から外れて保護ケースから脱落することもある。これを防ぐために、電子機器が動かないよう、これらの間を再剥離可能な粘着テープで固定しているものもある。
【0005】
この従来の保護ケースは、内側素材としてのウレタンやシリコンの重量が重く価格も高価であるという問題がある。
【特許文献1】特開2001−125679
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、内側素材としてのウレタンやシリコンをEVAや発泡ポリエチレン等のより軽量で安価な素材で置き換えることを企画したが、これらの素材は粘着テープで固定しがたいので、電子機器をどのようにして固定するかという問題に直面しなければならなかった。
【0007】
本発明はこの課題を解決するために行われたもので、内側素材としてのウレタンやシリコンをEVAや発泡ポリエチレン等のより軽量で安価な素材で置き換えると共に、このような素材と収容する電子機器とを固定する新規なやり方を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器保護ケースは、硬質樹脂からなる外側ケースと、この外側ケースの内側に収容される緩衝材からなるものにおいて、前記緩衝材はEVAを熱プレスしたもの、発泡ポリエチレン、発泡EVAの何れかからなること、固定具を前記緩衝材の表面に取り付けること、及び、前記固定具は表面の少なくとも一部に粘着層を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内側素材としてのウレタンやシリコンをEVAや発泡ポリエチレン等のより軽量で安価な素材で置き換えることができる。その結果、保護ケース全体の重量が軽くなって持ち運びがそれだけ楽になる。また、メーカー側でも製作費を安く抑えることができるので、製品を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明においても、外側ケースは従来技術と同様ハードカバーであり、硬質樹脂としてはポリプロピレン等が使用可能である。
【0011】
緩衝材はEVAの熱プレス、発泡ポリエチレン、発泡EVAの何れかからなる。これらは比較的に軽量であると共に安価であり、製作も容易である。
【0012】
固定具は、緩衝材の表面を広く覆う広幅バンドの形状が好ましい。電子機器と付着させるため固定具の表面の少なくとも一部に粘着層を設ける。最も簡単なやり方は、両面粘着可能なテープを使用することである。電子機器の重量に合わせてテープの付着面積を調節することができる。その他、粘着物質を塗布することもできる。
【0013】
緩衝材と固定具を一体化させるのは、例えば、緩衝材に2個所スリットを設けて、固定具の両末端をスリットに通し、緩衝材の裏側で接着剤により留める方法や固定具の両末端を緩衝材に直接糸で縫い付ける方法がある。前者の方法では、緩衝材の裏側に段差を設けて、固定具末端は低い段に固定することにより、緩衝材底面の凹凸を無くすことができる。
【0014】
好ましくは、固定具は、その緩衝材との接合部分を除き、緩衝材に固定せず、浮き上がった状態とする。このようにすることにより、電子機器に衝撃が加わって電子機器を落下させるような力が発生しても、この固定具の方が先に浮き上がって傾き、衝撃の力を逃がすので、電子機器が固定具から剥がれて落下することを防ぐことができる。
【実施例1】
【0015】
以下、添付の図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1は、本発明の電子機器保護ケース1の全体斜視図である。外側ケース2はポリプロピレン等のハードカバーからなるケースで、開閉可能である。内側には、EVAの熱プレス、発泡ポリエチレン、発泡EVAの何れかからなる緩衝材3が挿入されている。この緩衝材3には電子機器(図示せず)と固定するための固定具4が設けられている。
【0017】
図2は、外側ケース2から緩衝材3と固定具4を取り出した状態の斜視図である。図2及び図3(図2のIII-III断面図)に示すように、緩衝材3には平行に2個所スリット31,32が入れられている。固定具4は、塩化ビニル等の素材からなる広幅バンドであって、緩衝材3の平面を広く覆うが、両末端41,42はスリット31,32を通過して緩衝材3の裏側で接着剤により留められている。緩衝材3の平面に位置する固定具4は、図3に示すように、緩衝材3に固定されておらず、わずかながら浮き上がった状態である。
【0018】
図3(a)は、単に緩衝材3の裏側でそのまま固定した例、図3(b)は、緩衝材3の裏側に段差33,34を設け、固定具の両末端41,42は低い段に固定した例である。後者の方が緩衝材3の底面に凹凸が発生しにくく、安定性の点で優れている。
【0019】
固定具4の表面に2個所取り付けられているのは、再剥離可能な両面粘着テープ43,44である。
【0020】
電子機器(図示せず)は、この両面粘着テープ43,44の表面側に付着され、その状態で使用される。
【0021】
図示しないが、固定具としての広幅バンドの幅や形状、両スリット間の間隔、両面粘着テープの個数、形状、表面積は、必要に応じて設計変更可能である。
【実施例2】
【0022】
図4は、実施例2を示し、外側ケースから緩衝材3Aと固定具4Aを取り出した状態の斜視図である。図5(図4のV-V断面図)から明らかなように、実施例1と異なるのは、緩衝材3Aにはスリットが設けられておらず、固定具4Aとしての広幅バンドが緩衝材3Aに対して直接糸45,46で縫い付けられていることである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(実施例1)本発明の電子機器保護ケースの全体斜視図である。
【図2】(実施例1)外側ケースから緩衝材と固定具を取り出した状態の斜視図である。
【図3】図2のIII-III断面図である。(a)(b)は2種類の態様があり得ることを示す。
【図4】(実施例2)外側ケースから緩衝材と固定具を取り出した状態の斜視図である。
【図5】図4のV-V断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 電子機器保護ケース
2 外側ケース
3,3A 緩衝材
4,4A 固定具
33,34 段差
31,32 スリット
41,42 両末端
43,44 両面粘着テープ
45,46 糸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質樹脂からなる外側ケース(2)と、この外側ケースの内側に収容される緩衝材(3,3A)からなるものにおいて、
前記緩衝材(3,3A)はEVAを熱プレスしたもの、発泡ポリエチレン、発泡EVAの何れかからなること、
固定具(4,4A)を前記緩衝材の表面に取り付けること、及び、
前記固定具(4,4A)は表面の少なくとも一部に粘着層(43,44;43A,44A)を有すること
を特徴とする電子機器保護ケース。
【請求項2】
前記粘着層が両面粘着可能なテープ(43,44;43A,44A)である請求項1記載の電子機器保護ケース。
【請求項3】
前記緩衝材(3)に2個所スリット(31,32)を設けて、前記固定具(4)の両末端(41,42)を前記スリット(31,32)に通し、前記緩衝材(3)の裏側で留めることにより前記緩衝材(3)と前記固定具(4)が一体化されている請求項1又は2に記載の電子機器保護ケース。
【請求項4】
前記緩衝材(3)の裏側に段差(33,34)を設けて、前記固定具末端(41,42)は低い段に固定した請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器保護ケース。
【請求項5】
前記固定具(4)は、前記緩衝材(3)との接合部分を除き、前記緩衝材(3)に固定せず、浮き上がった状態である請求項1ないし4のいずれかに記載の電子機器保護ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−301131(P2007−301131A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132220(P2006−132220)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(505101684)株式会社スリーランナー (10)
【Fターム(参考)】