説明

電子機器及び基板

【課題】基板上の部品を回転対称に配置する場合の基板の製作や設計にかかる費用を抑えることができる電子機器及び基板を提供する。
【解決手段】所定の点を中心として所定の角度だけ回転すると元の配置と重なり、また、所定の点を中心として所定の角度だけ整数回回転したときに元の位置に戻る回転対称の関係となるように、基板に実装された部品が配置される電子機器であって、基板は、それぞれ同一のレイアウトで部品を配置できるように構成された複数の単位基板からなり、所定の点を中心として、整数の整数倍の枚数の単位基板が並べて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の部品を回転対称に配置可能な電子機器及び基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、所定の点を中心として所定の角度だけ回転すると元の配置と重なり、また、上記所定の点を中心として上記所定の角度だけ整数回回転したときに元の位置に戻る回転対称の関係となるように、基板上に実装される部品が配置されるレイアウトがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−76568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように部品を回転対称に電子機器に配置する場合、従来は、形状や部品のレイアウトが異なる複数の基板を組み合わせて実現していた。なお特許文献1には、部品のレイアウトが異なる複数の基板を組み合わせる例が開示されている。よって、基板を製作する際に、元となる部材(ワークシート)から基板を効率よく採取することができず、部材に無駄が生じてしまい、結果的に費用がかかるという問題がある。また、基板の形状や部品のレイアウト毎にパターン設計が必要であるため、基板設計の初期費用が増加するという問題も生じる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板上の部品を回転対称に配置する場合の基板の製作や設計の費用を抑えることができる電子機器及び基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明の電子機器は、所定の点を中心として所定の角度だけ回転すると元の配置と重なり、また、所定の点を中心として所定の角度だけ整数回回転したときに元の位置に戻る回転対称の関係となるように、基板に実装された部品が配置される電子機器であって、基板は、それぞれ同一のレイアウトで部品を配置できるように構成された複数の単位基板からなり、所定の点を中心として、整数の整数倍の枚数の単位基板が並べて配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の基板は、上記本発明の電子機器に単位基板として配置されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板上の部品を回転対称に配置する場合の基板の製作や設計の費用を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板の表面と裏面の外観の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板を複数組み合わせたときの表面の外観の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る基板を複数組み合わせたときの裏面の外観の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基板を複数組み合わせたときの表面の外観の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明の一実施形態である基板は、弾球遊技機に備えられる遊技盤である。遊技盤の表面は、遊技の際に、遊技者に対向し視認される面であり、弾かれた球が移動する面である。すなわち、遊技盤の表面には、障害釘、役物、装飾部材などが配置される。
【0012】
図1に、本実施形態の基板の外観を示す。図1(a)は基板の表面を示しており、図1(b)は基板の裏面を示している。図1に示すように、本実施形態の基板の形状は正方形となっている。なお、図1に示す基板は、同一のものを複数組み合わせて遊技機に配置できるものである(詳細は後述)ことから、「単位基板」と呼ぶことができる。
【0013】
図1(a)を参照して基板の表面を説明する。基板1の表面には、基板1の右上の角を中心角(90°)とした扇形が複数形成(描画)されている。これら中心角90°の扇形の弧を、以下「1/4リング」と呼ぶ。図1(a)では、1/4リング5、6、7、8がそれぞれ形成されている。1/4リング6、8上にはそれぞれ、6つの部品配置位置34、36が形成されている。また、1/4リング7の外側にも、リングに沿って6つの部品配置位置35が形成されている。また、1/4リング6の内側には、部品配置位置10、部品配置位置9がそれぞれ形成されている。また、1/4リング5の内側にも、3つの部品配置位置33が形成されている。これらの部品配置位置9、10、33、34、35、36に対して、部品(例えば装飾部材)の配置が行われる。なお、部品配置位置は、部品を配置する位置を特定できるものであればよく、その形状等は図1(a)に示すものに限定されない。
【0014】
図1(b)を参照して基板の裏面を説明する。基板1の裏面には、部品配置位置17、18、19、20、21、22、37がそれぞれ形成されている。部品配置位置17は、2つある。これらの部品配置位置17、18、19、20、21、22、37に対して、部品(例えば回路やコネクタ)の配置が行われる。なお、部品配置位置は、部品を配置する位置を特定できるものであればよく、その形状等は図1(b)に示すものに限定されない。
【0015】
このように、本実施形態の基板1は、図1(a)、(b)に示す各部品配置位置に応じて各種部品をレイアウトできる構成となっている。
【0016】
次に、本実施形態の基板1を複数組み合わせる例について説明する。以下では、例として、基板1を4つ組み合わせる場合とする。
【0017】
図2は、基板1を4つ組み合わせたときの基板表面を示す図である。この組み合わせは次の通りとなっている。まず1枚目の基板1を図1(a)に示す状態で配置する。これが図2に示す1aとなる。次に、2枚目の基板1を図1(a)に示す状態から、基板1の右上の角(部品配置位置33がある角)を中心として、反時計回りに90°回転させて、基板1aの右隣に配置する。これが図2に示す1bとなる。次に、3枚目の基板1を図1(a)に示す状態から、上記と同様に、基板1の右上の角を中心として、反時計回りに180°回転させて、基板1bの上に配置する。これが図2に示す1cとなる。次に、4枚目の基板1を図1(a)に示す状態から、上記と同様に、基板1の右上の角を中心として、反時計回りに270°回転させて、基板1aの上(基板1cの左隣)に配置する。これが図2に示す1dとなる。このように本実施形態の基板1は、基板1に配置される各部品が、所定の点を中心として所定の角度だけ回転すると元の配置と重なり、また、上記所定の点を中心として上記所定の角度だけ整数回回転したときに元の位置に戻る回転対称の関係となるように配置されるレイアウトとなっている。
【0018】
図2に示すように、1/4リング5、6、7、8が組み合わさることにより、組み合わさった4つの基板表面において、4つの同心円が形成される。つまり、基板1が1つのときは、部品のレイアウトは中心角90°の扇形状であったが、基板1が図2に示すように組み合わさることで、部品のレイアウトは円状になる。
【0019】
図2の例では、以下のように、部品が配置される。1/4リング5の内側にある複数の部品配置位置33には、LEDランプ16がそれぞれ配置される。1/4リング6上にある複数の部品配置位置34には、LEDランプ13がそれぞれ配置される。1/4リング7の外側にある複数の部品配置位置35には、LEDランプ12がそれぞれ配置される。1/4リング8上にある複数の部品配置位置36には、LEDランプ11がそれぞれ配置される。また、部品配置位置10には、バックライト14が配置される。また、基板1aと基板1bの部品配置位置9には、複数のLEDランプが搭載された円状部材がそれぞれ配置される。
【0020】
なお、部品の配置は図2に示す例に限定されず、所望の部品を所望の部品配置位置に配置することができる。
【0021】
図3は、基板1を4つ組み合わせたときの基板裏面を示す図である。すなわち、図2に示す面の裏側の状態を示す。図3の例では、以下のように、部品が配置される。2つずつある部品配置位置17には、コネクタ24がそれぞれ配置される。部品配置位置19には、電源回路25が配置される。部品配置位置37には、基板ID回路30が配置される。部品配置位置21には、LEDドライバ回路27が配置される。基板1aの部品配置位置18、22、23には、コネクタ23、その他回路28、CPU I/F回路26がそれぞれ配置される。
【0022】
各基板毎に2つずつ配置されるコネクタ24は、隣り合う基板と電気的に接続するためのものである。例えば基板1aの場合、基板1b及び1dと接続される。接続には、基板間ケーブル29が用いられる。この基板間ケーブル29は、隣り合う基板とのみ接続するためのものであるので、長さが短くなっている。
【0023】
LEDドライバ回路27は、基板表面に配置された各LEDランプのドライバ回路である。
【0024】
コネクタ23は、装置本体のCPU(Central Processing Unit)基板31と電気的に接続するためのものである。図3の例では、コネクタ23は、基板1aのみに配置されている。接続には、I/Fケーブル32が用いられる。コネクタ23は、I/Fケーブル32を介してCPU基板31から受け取った信号を、CPU I/F回路26に送出する。
【0025】
CPU I/F回路26は、コネクタ23を介して受け取ったCPU基板31からの信号に基づいて制御を行う回路である。制御の例としては、各LEDランプ16の制御が挙げられる。CPU基板31からの信号(コマンド)は、各基板間ケーブル29を介して各基板のLEDドライバ回路27に伝達される。信号の伝達は、例えば、基板1a→基板1b→基板1c→基板1dの順となる。なお、各基板を識別可能な基板ID(基板の識別情報の一例)を予め設定しておき、CPU基板31からの信号に基板IDを含めるようにする。この基板IDは、各基板に配置された基板ID回路30によって認識される。すなわち、基板ID回路30には、当該基板ID回路30自身が配置されている基板(自基板という)の基板IDが予め設定(保持)されており、これに基づいて、基板ID回路30はCPU基板31からの信号に自基板の基板IDが含まれているかどうかを判別できる。この判別の結果、自基板の基板IDが含まれている場合、基板ID回路30はその旨をCPU I/F回路26に通知する。この通知を受けたCPU I/F回路26は、CPU基板31からの信号に基づいた制御を行う。つまり、CPU基板31からの信号に基板IDを含めるようにし、かつ、各基板に基板ID回路30を配置するようにすることで、特定の基板に対してのみコマンドに対応した動作を行わせることができる。すなわち、各基板を個別に動作させることが可能となる。
【0026】
なお、部品の配置は図3に示す例に限定されず、所望の部品を所望の部品配置位置に配置することができる。
【0027】
このように、図2、図3に示すように構成された4つの基板は、弾球遊技機の筐体に実装される。
【0028】
上述した例において、基板1の表面及び裏面に各部品を配置するタイミングは、基板同士を組み合わせる前に行うのが好ましい。但し、基板間ケーブル29とI/Fケーブル32は、組み合わさった基板が装置に実装されてから、取り付けられることが好ましい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の基板及びその実装方法によれば、予め定められた形状(正方形)であり、かつ、予め定められた部品のレイアウト(扇形状)を可能とする基板1を、図2、図3に示すように複数組み合わせて、装置(遊技機)に実装する。そして組み合わさった基板の表面上において、予め定められた部品のレイアウト(扇形状)の組み合わせにより、別形態の部品のレイアウト(円状)が可能となる。
【0030】
つまり、本実施形態では、形状と部品のレイアウトが共通した同一の基板を複数作成、設計すればよいので、基板上の部品を回転対称に配置する場合の基板の製作や設計の費用を抑えることができる。
【0031】
また、従来における遊技機では、LEDランプを実装した小型の異形基板(形状が異なる基板)を複数用い、CPUとLED基板間及びLED基板とLED基板間をケーブルで引き回していた。よって、ケーブルの引き回しを考慮した筐体設計が必要となり、装置組立の際、複数の異形基板の取り付けとケーブルの引き回しのため、組立工数が増加するという問題があった。しかし、本実施形態によれば、同一の基板のみを使用するので組立が簡単に行え、かつ、基板間のケーブルを短くしてケーブルの引き回しを抑えることができるので、組立工数を減少させることができる。また、基板間のケーブルを短くすることで、ノイズを低減させることもできる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、組み合わせる基板の数は、4つに限定されない。また、基板表面の扇形は、中心角が90°に限定されない。
【0033】
また、図2に示す基板の組み合わせ方では、12時の方向、3時の方向、6時の方向、9時の方向にそれぞれ分割ラインが存在することになり、電飾に不都合が生じる場合がある。そこで、4つの基板を、遊技機の外形に対して傾けて配置することが好ましい。例えば図4に示すように、4つの基板の組み合わせで形成される円の中心を基準として時計回りに7°回転させたように4つの基板を配置するようにする。なお、傾ける角度は、7°に限定されず、適用するアプリケーションに応じて最適な角度を採用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 基板(単位基板の一例)
5、6、7、8 1/4リング
9、10、17、18、19、20、21、22、33、34、35、36、37 部品配置位置
11、12、13、16 LEDランプ
14 バックライト
15 円状部材
23、24 コネクタ
25 電源回路
26 CPU I/F回路
27 LEDドライバ回路
28 その他回路
29 基板間ケーブル
30 基板ID回路
31 CPU基板
32 I/Fケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の点を中心として所定の角度だけ回転すると元の配置と重なり、また、前記所定の点を中心として前記所定の角度だけ整数回回転したときに元の位置に戻る回転対称の関係となるように、基板に実装された部品が配置される電子機器であって、
前記基板は、それぞれ同一のレイアウトで部品を配置できるように構成された複数の単位基板からなり、
前記所定の点を中心として、前記整数の整数倍の枚数の前記単位基板が並べて配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記単位基板は、並べて配置されたときに隣り合う前記単位基板と電気的に接続するためのコネクタを配置可能とすることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記単位基板は、複数のLEDランプを配置可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記単位基板は、CPUと接続するためのインターフェースを配置可能とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記単位基板は、CPUからのコマンドに含まれる基板の識別情報を認識するための回路を配置可能とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記単位基板の形状は、正方形であり、
前記単位基板を4枚正方形状に組み合わせた場合、組み合わせた基板上において、前記部品が円状に配置可能となることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器に単位基板として配置されるものであることを特徴とする基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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