説明

電子機器及び画像形成装置

【課題】特定異常が発生したときに、ユーザの手を煩わせたり、違和感を低減したりすることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電子機器1の特定異常を検出する異常検出部12と、電子機器1内の各部を制御する制御部10と、電子機器10内の各部に駆動電力を供給する通常モードと、少なくとも制御部10への駆動電力の供給を遮断するスリープモードとを有し、通常モードで異常検出部12によって電子機器1の特定異常が検出されたとき、通常モードからスリープモードに移行するスリープ制御部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置、複写機、複合機などの電子機器が広く使用されている。特許文献1〜4には、電子機器に何らかの異常が発生したとき、異常が発生したことを通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−95084号公報
【特許文献2】特開2003−198789号公報
【特許文献3】特開2008−12868号公報
【特許文献4】特開平8−292363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器は、サービスマンを呼ぶことが必要な異常である特定異常が発生したとき、電子機器の動作を停止させ、電子機器を復旧させるための再起動を指示する操作をユーザに促すための表示を行う場合がある。この場合、ユーザに、電子機器の再起動を指示する操作を強いることとなり、結果として、ユーザの手を煩わせることとなる。
【0005】
また、電子機器は、特定異常が発生したとき、自動的に再起動する場合がある。再起動の際には、キャリブレーション等の処理が行われるため、電子機器で機械音が発生する。この場合、ユーザは、何ら電子機器を操作していないのに勝手に機械音が発生するため、違和感を持つ場合がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、特定異常が発生したときに、ユーザの手を煩わせたり、違和感を低減したりすることが可能な電子機器及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る電子機器は、電子機器であって、前記電子機器の異常のうち、予め設定された特定の異常である特定異常を検出する異常検出部と、前記電子機器内の各部を制御する制御部と、前記電子機器内の各部に駆動電力を供給する通常モードと、少なくとも前記制御部への駆動電力の供給を遮断するスリープモードとを有し、前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき、前記通常モードから前記スリープモードに移行するスリープ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここにおいて、特定異常とは、装置の再起動やユーザの操作では解消できないために、サービスマンを呼んで対処することを依頼すべきような異常を意味する。
【0009】
この構成によれば、スリープ制御部は、通常モードで、異常検出部によって電子機器の特定異常が検出されたとき、少なくとも、電子機器の各部を制御する制御部への駆動電力の供給を遮断するスリープモードに移行する。
【0010】
これにより、ユーザが電子機器を何も操作しなくても、制御部への駆動電力の供給が停止して、当該制御部により制御される電子機器の各部の動作が停止する。
【0011】
結果として、従来のように特定異常が発生したときに再起動を促す場合とは異なり、ユーザの手を煩わせない。
【0012】
また、制御部への駆動電力の供給が遮断されることで制御部が初期化される。これにより、制御部に関する一時的な異常を解消させることが可能となる。
【0013】
さらにまた、従来のように特定異常の発生時に自動的に再起動を行う場合と異なり、スリープモードになった後は自動的に通常モードに移行することがない。そのため、自動的に起動動作が行われることがなく、起動の際の機械音が発生しないため、ユーザが違和感を抱くおそれが低減される。
【0014】
上記構成において、前記スリープ制御部を、前記スリープモードから前記通常モードに復帰させることを指示する復帰指示を受け付ける復帰指示受付部と、前記特定異常に関する表示である特定表示を行う表示部と、をさらに備え、前記スリープ制御部は、前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき前記スリープモードに移行し、移行後のスリープモードで前記復帰指示受付部が前記復帰指示を受け付けたとき前記通常モードに移行し、移行後の通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されることを含む異常再検出条件が満たされたとき前記表示部によって前記特定表示を行うことが好ましい。
【0015】
ここにおいて、特定異常に関する特定表示とは、ユーザにサービスマンを呼ぶことを促す表示である。
【0016】
この構成によれば、通常モードで特定異常が検出されたときスリープモードに移行し、その後、スリープモードで復帰指示がされたとき通常モードに移行し、その通常モードで異常検出部によって特定異常が検出されたことを含む異常再検出条件が満たされたとき、当該検出された特定異常に関する特定表示が行われる。
【0017】
これにより、2度特定異常が検出されたときに特定表示が行われるため、ユーザは、当該特定異常が誤検出されたものではないとみなして、サービスマンに連絡することができる。
【0018】
上記構成において、前記特定異常として複数種類の異常が予め設定されており、情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記スリープ制御部は、前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき、当該検出された特定異常の種類を表す情報を前記記憶部に記憶させ、前記異常再検出条件は、前記移行後の通常モードで前記特定異常が検出され、且つ当該検出された特定異常の種類が前記記憶部に記憶されていることであることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、通常モードで特定異常が検出されたときスリープモードに移行し、その後、スリープモードで復帰指示がされたとき通常モードに移行し、その通常モードで再度同じ特定異常が検出されたときに、当該特定異常に関する特定表示が行われる。
【0020】
これにより、2度同じ種類の特定異常が検出されたときに特定表示が行われるため、ユーザは、当該特定異常が誤検出されたものではないとみなして、サービスマンに連絡することができる。
【0021】
上記構成において、前記スリープ制御部は、前記異常再検出条件が満たされたとき、さらに所定の装置停止処理を行うことが好ましい。
【0022】
ここにおいて、所定の装置停止処理は、例えば、電子機器の各部への駆動電力の供給を遮断することが挙げられる。また、スリープモードに移行することも挙げられる。
【0023】
この構成によれば、異常再検出条件が満たされたときには、所定の装置停止処理が行われる。
【0024】
これにより、2度特定異常が検出されたときに、所定の装置停止処理が行われて電子機器の動作が停止するため、電子機器の安全性を確保することが可能となる。
【0025】
上記構成において、前記複数の特定異常のうちいずれかが、前記電子機器にとって危険度の高い異常である危険異常として予め設定されており、前記スリープ制御部は、前記通常モードで前記異常検出部によって前記危険異常である特定異常が検出されたときには、前記スリープモードに移行するとともにその後の通常モードへの移行を禁止することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、電子機器にとって危険性の高い異常である危険異常が検出されたとき、スリープモードに移行するとともにその後の通常モードへの移行を禁止する。
【0027】
これにより、例えば、通常モードで、定着ローラを加熱するヒータが過熱したときのように、これ以上ヒータに駆動電力を供給すれば危険性が高い場合にスリープモードに移行してヒータへの駆動電力の供給が停止され、その後は、通常モードへの移行が禁止される。その結果、電子機器の安全性が保たれる。
【0028】
上記構成において、前記スリープ制御部は、前記通常モードで前記異常検出部によって前記危険異常である特定異常が検出されたときには、前記表示部によって、前記危険異常が生じたことを通知させることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、ユーザに、サービスマンに連絡することを促すほか、警告を与えることができる。
【0030】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上述の電子機器と、原稿の画像データを取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された画像データを記録紙に形成する画像形成部と、を備え、前記制御部は、さらに前記画像取得部及び前記画像形成部の動作を制御することを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、上述の電子機器を備えているため、特定異常が発生したときに、ユーザの手を煩わせたり、違和感を低減したりすることが可能となる。
【0032】
上記構成において、前記画像取得部によって取得された画像データを記憶するための画像記憶部をさらに備え、前記スリープ制御部は、前記スリープモードでは、前記画像取得部及び前記画像形成部への駆動電力の供給を遮断し、前記通常モードでは、前記画像取得部及び前記画像形成部に駆動電力を供給し、前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき、前記画像取得部によって前記画像データがすでに取得されていれば、取得された画像データを前記画像記憶部に記憶させることが好ましい。
【0033】
この構成によれば、通常モードで特定異常が検出されたとき、画像取得部によって画像データがすでに取得されていれば、取得された画像データを画像記憶部に記憶させた後、スリープモードを実行する。その後、スリープモードから通常モードに移行する。
【0034】
これにより、特定異常が検出されたとき、画像取得部によって画像データがすでに取得されていれば、取得された画像データを画像記憶部に記憶させ、その状態で、スリープモードを実行して画像取得部及び画像形成部への駆動電力の供給を停止させる。
【0035】
その後、通常モードに移行して画像取得部及び画像形成部への駆動電力の供給を再開させる。
【0036】
そのため、印字ジョブの実行中に、特定異常として、例えば、画像メモリへのアクセスができないといったアクセス異常や、印字ジョブの実行に用いられるモータが回転しないといった回転異常が発生したときに、画像取得部によって取得された画像データを消去させずに、画像メモリやモータをリセットすることが可能となる。
【0037】
その結果、スリープモードから通常モードに移行したときに、画像データの再取得を行うことなく、当該画像データの印字を再開させることが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、電子機器で特定異常が発生したとき、ユーザの手を煩わせたり、違和感を抱かせたりするおそれを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【図2】ユーザインタフェース部の構成の一例を示した正面図である。
【図3】画像形成装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
【図4】画像形成装置の動作の第1例を示したフローチャートである。
【図5】画像形成装置の動作の第2例を示したフローチャートである。
【図6】画像形成装置の動作の第2例を示したフローチャートである。
【図7】画像形成装置の動作の第2例を示したフローチャートである。
【図8】画像形成装置の動作の第2例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を模式的に示した縦断面図である。尚、本実施形態では、電子機器として、画像形成装置1を例示しているが、この例には限られず、少なくとも制御部への駆動電力の供給を遮断するスリープモードと、画像形成装置1の各部に駆動電力を供給する通常モードとを備える装置であればよい。
【0041】
画像形成装置1は、画像読取部200と画像形成本体部3とを備える。画像読取部200は、原稿給紙部210と、スキャナ本体220と、CIS231と、スキャナ本体220の前面に露出するように配置されたユーザインタフェース部Iと、後述する反転機構を備えてなる。
【0042】
原稿給紙部210は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。
【0043】
原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
【0044】
前記プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、用紙を検出する図略のタイミングセンサが設置されており、該タイミングセンサの出力要求に基づき、前記読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。前記タイミングセンサは、例えばフォトインタラプタにより構成される。
【0045】
スキャナ本体220は、原稿の画像データを光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ本体220は、ガラス(原稿台)221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、ラインセンサ229を備える。
【0046】
スキャナ本体220では、光源222から照射された光が、ガラス221上の原稿に反射して反射光となり、この反射光が、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、ラインセンサ229に導かれる。
【0047】
そして、ラインセンサ229に導かれた光は、ラインセンサ229により、画像データを表す電荷に変換される。
【0048】
ガラス221には、前記原稿給紙部210によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0049】
画像読取部200の原稿読取方式として、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ本体220が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部210(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0050】
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はラインセンサ229の受光面で結像される。
【0051】
ラインセンサ229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを重複して処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向Y)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
【0052】
ADF読取モードでは、原稿給紙部210が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置Pに配置される。
【0053】
原稿給紙部210による原稿搬送で、原稿がプラテン213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はラインセンサ229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部210によって搬送され、次のラインが読み取られる。
【0054】
更に、原稿給紙部210は、切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218を備えた反転機構を有する。この反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度ラインセンサ229によって裏面の読み取りが行われる。
【0055】
この反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。
【0056】
両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
【0057】
更に、本実施形態の画像読取部200は、ADF読取モード時において、前述したように原稿の搬送途中でラインセンサ229(スキャナ本体220)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略重複して(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部210により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにラインセンサ229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
【0058】
このようにラインセンサ229とCIS231を用いることで、原稿給紙部210による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。
【0059】
画像形成装置1は、画像形成本体部3と、画像形成本体部3の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。画像形成本体部3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像データを形成する画像形成部40とを備える。また、画像形成本体部3は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された原稿を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
【0060】
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ本体220で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像データが転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
【0061】
なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の供給は、図略のトナーカートリッジから行われる。また、画像形成部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。
【0062】
記録紙の両面に画像データを形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像データを形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像データを形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
【0063】
図2は、ユーザインタフェース部Iの構成の一例を示した正面図である。
【0064】
ユーザインタフェース部Iは、液晶パネル50や発光ダイオード51で構成された表示部5、及び、操作部18を備える。液晶パネル50は、画像形成装置1に、画像形成装置1で発生する異常のうち、ユーザにサービスマンを呼んで対処させることを促すべき異常である特定異常が発生したとき、特定異常に関する表示である特定表示、つまり、ユーザにサービスマンを呼ぶことを促すような表示を行う。
【0065】
発光ダイオード51は、画像形成装置1に、画像形成装置1で発生する特定異常のうち、画像形成装置1にとって危険度の高い異常である危険異常が発生したとき、点灯或いは点滅する。
【0066】
ユーザインタフェース部Iは、操作部18として、操作ボタン18A〜18Jを備える。操作ボタン18A〜18Dは、まとまった状態で機能選択ボタン群180を構成している。操作ボタン18Aから18Dの各々は、コピー、プリンタ、スキャナ、及びFAXのいずれか1つの機能を画像形成装置1に実行させるためにユーザが操作する操作ボタンである。
【0067】
操作ボタン18Hは、複数まとまった状態で数字キー群を構成している。この数字キー群は、例えば、画像形成装置1にコピー機能を動作させる際はコピー枚数を、ファクシミリ機能を動作させる際は送信先の電話番号等を入力するためのものである。
【0068】
操作ボタン18Eは、リセットボタンを構成しており、表示部5の表示や各種設定を初期状態又は標準動作状態にするボタンである。
【0069】
操作ボタン18Fは、ストップ/クリアボタンを構成しており、コピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取り消しを行うボタンである。操作ボタン18Gは、スタートボタンを構成しており、コピー動作やスキャナ動作等を開始させるボタンである。
【0070】
操作ボタン18Iは、スリープ制御部16をスリープモードから通常モードに移行させるためのボタンである。この操作ボタン18Iが操作されたとき、ユーザインタフェースIは、スリープ制御部16をスリープモードから通常モードに移行させることを指示する復帰指示を受け付ける。
【0071】
ユーザインタフェース部Iでは、操作キー18Aが操作されたとき、コピー機能が選択される。コピー機能は、画像読取部200によって原稿の画像データを読み取り、画像形成部40によって原稿の画像データを記録紙に形成する機能である。ユーザインタフェース部Iは、コピー機能が選択され、スタートキー18Gが操作されたとき、コピー機能の実行指示を、印字ジョブの実行指示として受け付ける。
【0072】
また、操作キー18Bが操作されたとき、プリンタ機能の実行指示を受け付ける。プリンタ機能は、外部インタフェース19(図3参照)によって原稿の画像データを受信し、画像形成部40によって画像データを形成する機能である。
【0073】
さらに、操作キー18Cが操作され、スタートキー18Gが操作されたとき、画像読取部200によって原稿の画像データを読み取り、画像データを画像メモリ11(図3参照)に記憶させるスキャナ機能の実行指示を受け付ける。
【0074】
さらに、操作キー18Dが操作され、スタートキー18Gが操作されたとき、画像読取部200によって原稿の画像データを読み取り、画像データをファクシミリ送信するファクシミリ機能の実行指示を受け付ける。
【0075】
図3は、画像形成装置1の機能モジュールの一例を示したブロック図である。尚、画像読取部200、画像形成部40、及びユーザインタフェースIについては、先述した通りであるため、これらについての説明を省略する。また、通常電源部15及びスリープ電源部20による電源供給ラインを実線で、制御部10の制御ラインを破線で、スリープ制御部16の制御ラインを2点鎖線で、それぞれ示している。
【0076】
画像形成装置1は、制御部10、画像読取部200、画像メモリ(画像取得部)11、定着ローラなどの各種ローラやベルトを回転させるためのモータMが配置された画像形成部40、異常種類記憶部(記憶部)13、ハードディスク(画像記憶部)14、通常電源部15、スリープ制御部16、復帰指示受付部17、外部インタフェース19、スリープ電源部20、ユーザインタフェースI、トライアック21、定着ヒータ22、リレー回路23、及び、電源リレー24、を備える。
【0077】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されている。そして、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、異常検出部12が実現されている。
【0078】
異常検出部12は、画像形成装置1で発生した異常を検出する。例えば、異常検出部12は、異常として、定着ヒータ22の過熱を、温度センサにより検出された定着ヒータ22の温度に基づいて検出する。
【0079】
或いは、異常検出部12は、異常として、画像メモリ11にアクセスできないアクセス異常や、モータMが回転しない回転異常を検出する。
【0080】
制御部10は、通常モードにおいて、定着ヒータ22、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、異常種類記憶部13、及びスリープ制御部16を制御する。
【0081】
制御部10は、ユーザインタフェース部Iによって、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のいずれかの実行指示が受け付けられたとき、実行指示されたいずれかの機能を実行する。
【0082】
例えば、制御部10は、ユーザインタフェース部Iによってコピー機能の実行指示が印字ジョブの実行指示として受け付けられたとき、印字ジョブを実行して、画像読取部200により原稿の画像データを読み取り、当該画像データを画像メモリ11に記憶させ、画像メモリ11内の画像データを画像形成部40により記録紙に形成させる。
【0083】
或いは、制御部10は、ユーザインタフェース部Iによってプリンタ機能の実行指示が受け付けられ、且つ外部インタフェース19によって印字ジョブの実行指示が受け付けられたとき、印字ジョブを実行して、外部インタフェース19によって取得された画像データを画像メモリ11に記憶させ、画像メモリ11内の画像データを画像形成部40により記録紙に形成させる。
【0084】
或いは、制御部10は、ユーザインタフェース部Iによってプリンタ機能の実行指示が受け付けられていないときでも、外部インタフェース19によって印字ジョブの実行指示が受け付けられたとき、印字ジョブを実行して、外部インタフェース19によって取得された画像データを画像メモリ11に記憶させ、画像メモリ11内の画像データを画像形成部40により記録紙に形成させる。
【0085】
このような構成の制御部10には、複数種類の特定異常が予め設定されており、異常検出部12によって異常が検出されたとき、検出された異常が特定異常であるか否かを判定する。
【0086】
尚、特定異常とは、画像形成装置1で発生する異常のうち、画像形成装置1の再起動やユーザの操作では解消できないために、サービスマンを呼んで対処することを依頼すべきような異常を意味する。例えば、特定異常としては、定着ヒータ22の過熱、画像メモリ11へのアクセス不良、モータMの回転不良などの種類がある。
【0087】
また、制御部10には、特定異常の一部が危険異常として予め設定されており、制御部10は、異常検出部12によって検出された異常が特定異常であると判定したとき、当該特定異常が危険異常であるか否かを判定する。ここにおいて、危険異常とは、特定異常の中でも、例えば、定着ヒータ22の過熱など、画像形成装置1にとって危険度の高い異常である。
【0088】
そして、検出された異常が特定異常であり且つ危険異常ではないときには、制御部10は、第1の特定異常通知信号をスリープ制御部16に出力し、検出された異常が特定異常であり且つ危険異常であるときには、制御部10は、第2の特定異常通知信号をスリープ制御部16に出力する。
【0089】
画像メモリ11は、画像読取部200によって読み取られた画像データ、或いは、外部インタフェース19によって取得された画像データを記憶する。
【0090】
異常種類記憶部13は、EEPROMなどの不揮発性のメモリで構成されており、異常検出部12によって検出された特定異常の種類を表す情報を記憶する。ハードディスク14は、画像メモリ11に記憶された画像データを受け付けて当該画像データを記憶する。
【0091】
通常電源部15は、商用交流電力を変圧及び整流することにより、制御部10、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、及びハードディスク14の駆動電力を生成し、当該駆動電力をこれら各部へ供給する。
【0092】
スリープ制御部16は、制御部10と同様に、CPU、RAM、ROMなどで構成されている。
【0093】
スリープ制御部16は、スリープモードと通常モードとを備えており、通常モードで、制御部10から、第1の特定異常通知信号及び第2の特定異常通知信号のいずれかを受け付けたとき、後述する各種の処理を行う。
【0094】
そしてまた、スリープ制御部16は、スリープモードで、後述する復帰指示受付部17が復帰指示を受け付けたとき、通常モードに移行する。
【0095】
スリープ制御部16では、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、復帰指示受付部17が実現されている。
【0096】
スリープ制御部16は、リレー回路23、ユーザインタフェースI、及び外部インタフェース19を制御する。
【0097】
スリープ制御部16は、通常モードにおいて、所定のスリープ移行時間以上の期間、操作部18が操作されなかったり、外部インタフェース19が印字ジョブを受け付けなかったときには、通常モードからスリープモードに移行する。
【0098】
スリープ制御部16は、通常モードでは、リレー回路23を閉状態にして、定着ヒータ22、制御部10、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、及びハードディスク14へ駆動電力を供給する。
【0099】
一方、スリープモードでは、リレー回路23を開状態にして、定着ヒータ22、制御部10、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、及びハードディスク14への駆動電力の供給を遮断する。このように、スリープモードでは、通常モードとは異なり、定着ヒータ22、制御部10、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、及びハードディスク14への駆動電力の供給を遮断するため、通常モードよりも消費電力を低減することができる。
【0100】
復帰指示受付部17は、ユーザインタフェース部Iによって、印字ジョブ、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のいずれかの実行指示が受け付けられたとき、スリープ制御部16をスリープモードから通常モードに移行させるための復帰指示を受け付ける。
【0101】
また、復帰指示受付部17は、ユーザインタフェースIにおいて、スリープ制御部16を通常モードに復帰させるための操作ボタン18Iが操作されたとき、前記復帰指示を受け付ける。
【0102】
或いは、復帰指示受付部17は、ユーザインタフェース部Iによって、印字ジョブ、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のいずれの機能の実行指示が受け付けられていない状態でも、スリープモードにおいて、外部インタフェース19によって印字ジョブの実行指示が受け付けられたとき、前記復帰指示を受け付ける。
【0103】
或いは、復帰指示受付部17は、図示しない電源スイッチがオフからオンされたときにも、前記復帰指示を受け付ける。
【0104】
尚、復帰指示受付部17が復帰指示を受け付けた際には、スリープ制御部16は、スリープモードから通常モードに移行する。
【0105】
外部インタフェース19は、LANなどの通信ネットワークを通じて、外部のパーソナルコンピュータなどの端末装置から印字ジョブの実行指示を受け付けるインタフェース回路である。
【0106】
スリープ電源部20は、通常電源部15と同様に、商用交流電力を変圧及び整流して、スリープ制御部16、異常種類記憶部13、ユーザインタフェースI、及び外部インタフェース19の駆動電力を生成し、当該駆動電力をこれら各部に供給する。
【0107】
トライアック21は、商用交流電力の大きさを、定着ヒータ22に合わせて調整し、調整された電力を定着ヒータ22に供給する。定着ヒータ22は、定着装置45の定着ローラ(図示せず)を加熱させるために配置されている。
【0108】
定着ヒータ22は、定着装置45の定着ローラ(図示せず)の温度が記録紙に画像を形成するのに適した温度となるように、制御部10によりオンオフ制御される。
【0109】
リレー回路23は、例えば、2組の電磁リレーで構成されており、これら2組の電磁リレーが同時にオンオフする。リレー回路23は、スリープ制御部16により制御され、閉状態及び開状態のいずれか一方の状態となる。
【0110】
電源リレー24は、商用交流電力の画像形成装置1への供給をオンオフするための回路であり、例えば、電磁リレーで構成されている。電源リレー24は、スリープ制御部16により制御されて、閉状態及び開状態のいずれか一方の状態となる。
【0111】
以上の構成の画像形成装置1の動作の第1例について、以下に説明する。
【0112】
図4は、画像形成装置1の動作の第1例を示したフローチャートである。尚、以下の動作を実行するには、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、異常種類記憶部13、及びハードディスク14は必要とはされない。
【0113】
また、以下の処理では、電源リレー24は閉状態とされて、商用交流電力が画像形成装置1に供給されているものとする。
【0114】
制御部10は、異常検出部12によって画像形成装置1の異常が検出されたとき(ステップS1のYES)、検出された異常が予め設定された特定異常であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0115】
異常検出部12によって検出された異常が特定異常であるとき(ステップS2のYES)、制御部10からは、第1の特定異常通知信号か第2の特定異常通知信号(いずれも先述)がスリープ制御部16に出力されるので、スリープ制御部16は、スリープモードに移行する(ステップS3)。
【0116】
これにより、定着ヒータ22、制御部10、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、異常種類記憶部40、及びハードディスク14への駆動電力の供給が遮断される。
【0117】
一方、特定異常ではないとき(ステップS2のNO)、制御部10は、所定の異常表示を行い(ステップS6)、例えば、液晶パネル50に異常の種類を表示させる。
【0118】
そして、スリープモードにおいて、復帰指示受付部17によって、スリープ制御部16を通常モードに移行させることを指示する復帰指示が受け付けられたとき(ステップS4のYES)、スリープ制御部16は、スリープモードから通常モードに移行する(ステップS5)。
【0119】
これにより、定着ヒータ22、制御部10、画像読取部200、画像メモリ11、画像形成部40、異常種類記憶部40、及びハードディスク14への駆動電力の供給が再開される。そうすると、これら各部が一度電源オフされて再起動される結果、再起動により解消可能な一時的な異常が解消する。
【0120】
このように、通常モードで、画像形成装置1の特定異常が検出されたとき、少なくとも、画像形成装置1の各部を制御する制御部10への駆動電力の供給を遮断するスリープモードに移行する。
【0121】
これにより、通常モードで画像形成装置1に特定異常が発生したとき、ユーザが画像形成装置1を何も操作しなくても、制御部10への駆動電力の供給が停止して、当該制御部10により制御される画像形成装置1の各部の動作が停止する。
【0122】
その結果、従来のように特定異常が発生したときに再起動を促す場合とは異なり、ユーザの手を煩わせない。
【0123】
また、従来のように特定異常の発生時に自動的に再起動を行う場合と異なり、スリープモードになった後は自動的に通常モードに移行することがない。そのため、自動的に起動動作が行われることがなく、起動の際の機械音が発生しないため、ユーザが違和感を抱くおそれが低減される。
【0124】
(第2例)
以下、画像形成装置1の動作の第2例について、図5〜図8を用いて説明する。尚、以下の処理では、電源リレー24は閉状態とされて、商用交流電力が画像形成装置1に供給されているものとする。
【0125】
図5は、画像形成装置1の動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【0126】
通常モードにおいて、異常検出部12によって画像形成装置1の異常が検出されたとき(ステップS10のYES)、制御部10は、検出された異常が特定異常であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0127】
異常検出部12によって検出された異常が特定異常であるとき(ステップS11のYES)、制御部10は、ステップS12の処理に進み、特定異常ではないとき(ステップS11のNO)、検出された異常はユーザの操作により解消可能であるので、制御部10は、表示部5によって、異常を解消させるためのガイド表示を行う(ステップS15)。
【0128】
ステップS12では、制御部10は、異常検出部12によって検出された異常が予め設定された危険異常であるか否かを判定する。危険異常であるときには(ステップS12のYES)、制御部10は、ステップS40(図8参照)に進み、危険異常でないときには(ステップS12のNO)、制御部10は、スリープ制御部16に第1の特定異常通知信号を出力する(ステップS13)。
【0129】
スリープ制御部16は、ステップS13において制御部10から第1の特定異常通知信号が出力されると、異常種類記憶部13に何らかの特定異常の種類を表す情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS14)。
【0130】
何らかの特定異常の種類を表す情報が記憶されていないときには(ステップS14のNO)、初めて特定異常が発生したことを意味するから、スリープ制御部16は、ステップS20(図6参照)に進み、記憶されているときには(ステップS14のYES)、特定異常が繰り返し発生したことになるから、スリープ制御部16は、ステップS30(図7参照)に進む。
【0131】
図6は、異常種類記憶部13に特定異常の種類を表す情報が記憶されていないときの動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【0132】
スリープ制御部16は、異常種類記憶部13に特定異常の種類を表す情報が記憶されていないときには(ステップS14のNO)、異常検出部12によって検出された特定異常の種類を表す情報を、異常種類記憶部13に記憶させる(ステップ20)。
【0133】
そして、スリープ制御部16は、画像メモリ11に画像データが記憶されているか否かを判定する(ステップS21)。画像メモリ11に画像データが記憶されていなければ(ステップS21のNO)、スリープ制御部16は、ステップS23の処理に進み、画像データが記憶されていれば(ステップS21のYES)、スリープ制御部16は、画像メモリ11内の画像データをハードディスク14に記憶させてから(ステップS22)、ステップS23に進む。
【0134】
尚、ステップS22において、画像メモリ11内の画像データについて、ハードディスク14に記憶させるのではなく、通常電源部15により駆動電力の供給を受ける、不揮発性メモリに記憶させてもよい。
【0135】
ステップS23では、スリープ制御部16はスリープモードに移行する。そして、復帰指示受付部17が復帰指示を受け付けたとき(ステップS24のYES)、スリープ制御部16は、スリープモードから通常モードに移行する(ステップS25)。
【0136】
その後、制御部10及びスリープ制御部16は、図5のステップS10に戻る。尚、スリープ制御部16は、移行後のスリープモードにおいて復帰指示を受け付けてから通常モードに移行しているが、スリープモードに移行後、復帰指示を受け付けずに即座に通常モードに移行してもよい。
【0137】
図7は、図5のステップS14において、特定異常の種類を表す情報が異常種類記憶部13に記憶されていると判定されたときの動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【0138】
図5のステップS14において、特定異常の種類を表す情報が異常種類記憶部13に記憶されていると判定されたとき(ステップS14のYES)、スリープ制御部16は、異常検出部12によって検出された特定異常が、異常種類記憶部13に記憶された特定異常の種類と同じであるか否かを判定する(ステップS30)。
【0139】
同じ種類の異常ではないとき(ステップS30のNO)、スリープ制御部16は、スリープモードに移行する一方で(ステップS33)、同じ種類の異常であるとき(ステップS30のYES)、異常再検出条件が満たされるので、スリープ制御部16は、異常検出部12によって検出された特定異常に関する特定表示を行う(ステップS31)、例えば、スリープ制御部16は、特定表示として、液晶パネル50に、ユーザにサービスマンを呼ぶことを促す表示を行う。
【0140】
尚、特定表示としては、例えば、特定異常の種類の1つである、定着ヒータ22の過熱が発生したときには、「C6010:定着ヒータ異常」といった表示を行わせる。
【0141】
そして、スリープ制御部16は、装置停止処理を行い(ステップS32)、例えば、電源リレー24を閉状態から開状態として、商用交流電力の画像形成装置1への電源供給を遮断させる。なお、装置停止処理は、電源リレー24を閉状態から開状態とするのではなく、リレー回路23を閉状態から開状態として、スリープ制御部16、ユーザインタフェースI、及び、外部インタフェース19以外の各部への駆動電力の供給を遮断するスリープモードに移行する処理であってもよい。
【0142】
以上のように、通常モードで特定異常が検出されたときスリープモードに移行し、その後、スリープモードで復帰指示がされたとき通常モードに移行し、その通常モードで再度同じ特定異常が検出されたときに、特定表示が行われる。
【0143】
これにより、2度同じ種類の特定異常が検出されたときに特定表示が行われるため、ユーザは、特定異常が誤検出されたものではないとみなして、サービスマンに連絡することができる。
【0144】
また、2度同じ種類の特定異常が検出されたときに装置停止処理が行われて電子機器の動作が停止するため、電子機器の安全性を確保することが可能となる。
【0145】
さらに、特定異常が検出されたとき、画像メモリ11に画像データが存在すれば、画像メモリ11内の画像データをハードディスク14に記憶させてからスリープモードに移行し、その後、通常モードに移行する。
【0146】
そのため、印字ジョブの実行中に、特定異常として、例えば、画像メモリ11へのアクセスができないといったアクセス異常や、印字ジョブの実行に用いられるモータMが回転しないといった回転異常が発生したときに、画像メモリ11内の画像データを消去させずに、画像メモリ11やモータMをリセットすることが可能となる。
【0147】
その結果、スリープモードから通常モードに移行したときに、画像データの再取得を行うことなく、当該画像データの印字を再開させることが可能となる。
【0148】
図5に戻り、異常検出部12によって検出された特定異常が予め設定された危険異常であると判定されたときには(ステップS12のYES)、画像形成装置1は図8の処理を行う。図8は、図5のステップS12において危険異常であると判定されたときの動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【0149】
異常検出部12によって検出された特定異常が予め設定された危険異常であるときには(ステップS12のYES)、制御部10は、スリープ制御部16に、第2の特定異常通知信号を出力する(ステップS40)。すると、スリープ制御部16は、スリープモードに移行するとともに(ステップS41)、発光ダイオード51を点灯或いは点滅させることにより危険異常が生じたことを通知する(ステップS42)。
【0150】
そして、スリープ制御部16は、通常モードへの移行を禁止する(ステップS43)。この場合、復帰指示受付部17が復帰指示を受け付けても、スリープ制御部16は通常モードには復帰しない。
【0151】
以上のように、画像形成装置1にとって危険性の高い異常である危険異常が検出されたとき、スリープモードに移行するとともに通常モードへの移行を禁止する。
【0152】
これにより、例えば、通常モードで、定着ローラを加熱するヒータが過熱したときのように、これ以上ヒータに駆動電力を供給すれば危険性が高い場合にスリープモードに移行してヒータへの駆動電力の供給が停止され、その後は、通常モードへの移行が禁止される。その結果、画像形成装置1の安全性が保たれる。
【0153】
また、危険異常が検出されたときには、発光ダイオード51を点灯或いは点滅させるので、ユーザは、危険性の高い異常が発生したことを容易に確認できる。
【符号の説明】
【0154】
1 画像形成装置
5 表示部
10 制御部
11 画像メモリ
12 異常検出部
13 異常種類記憶部
14 ハードディスク
16 スリープ制御部
17 復帰指示受付部
40 画像形成部
50 液晶パネル
51 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
前記電子機器の異常のうち、予め設定された特定の異常である特定異常を検出する異常検出部と、
前記電子機器内の各部を制御する制御部と、
前記電子機器内の各部に駆動電力を供給する通常モードと、少なくとも前記制御部への駆動電力の供給を遮断するスリープモードとを有し、前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき、前記通常モードから前記スリープモードに移行するスリープ制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記スリープ制御部を、前記スリープモードから前記通常モードに復帰させることを指示する復帰指示を受け付ける復帰指示受付部と、
前記特定異常に関する表示である特定表示を行う表示部と、をさらに備え、
前記スリープ制御部は、
前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき前記スリープモードに移行し、移行後のスリープモードで前記復帰指示受付部が前記復帰指示を受け付けたとき前記通常モードに移行し、移行後の通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されることを含む異常再検出条件が満たされたとき前記表示部によって前記特定表示を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記特定異常として複数種類の異常が予め設定されており、
情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記スリープ制御部は、
前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき、当該検出された特定異常の種類を表す情報を前記記憶部に記憶させ、
前記異常再検出条件は、前記移行後の通常モードで前記特定異常が検出され、且つ当該検出された特定異常の種類が前記記憶部に記憶されていることである
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スリープ制御部は、
前記異常再検出条件が満たされたとき、さらに所定の装置停止処理を行う
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記複数の特定異常のうちいずれかが、前記電子機器にとって危険度の高い異常である危険異常として予め設定されており、
前記スリープ制御部は、
前記通常モードで前記異常検出部によって前記危険異常である特定異常が検出されたときには、前記スリープモードに移行するとともにその後の通常モードへの移行を禁止する
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記スリープ制御部は、
前記通常モードで前記異常検出部によって前記危険異常である特定異常が検出されたときには、前記表示部によって、前記危険異常が生じたことを通知させる
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子機器と、
原稿の画像データを取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された画像データを記録紙に形成する画像形成部と、を備え、
前記制御部は、さらに前記画像取得部及び前記画像形成部の動作を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記画像取得部によって取得された画像データを記憶するための画像記憶部をさらに備え、
前記スリープ制御部は、
前記スリープモードでは、前記画像取得部及び前記画像形成部への駆動電力の供給を遮断し、前記通常モードでは、前記画像取得部及び前記画像形成部に駆動電力を供給し、
前記通常モードで前記異常検出部によって前記特定異常が検出されたとき、前記画像取得部によって前記画像データがすでに取得されていれば、取得された画像データを前記画像記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−138737(P2012−138737A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289314(P2010−289314)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】