説明

電子機器及び電子機器システム

【課題】起動指示を受けてから映像データを送信または受信するまでの時間を短縮すると
ともに、待機電力の抑制を図ることができる電子機器及び電子機器システムを提供する。
【解決手段】電子機器は、リモートコントローラ100から通信部起動信号を受信した場
合、通信部へ電力を供給するとともに、暗号情報の認証処理を含む通信部の接続確立処理
を開始する。そして、リモートコントローラ100から起動信号を受信した場合、映像処
理部へ電力を供給するとともに映像データを送信または受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルインターフェースを介して映像データを送信または受信する電子機
器及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ等の映像表示装置と、テレビチューナ等の映像供給装置とをWirele
ssHDの無線通信やHDMIケーブル等の通信インターフェースを介して接続し、暗号
化した映像データを送受信する技術がある。これらの装置はリモートコントローラ(リモ
コン)から起動/終了信号を受信して起動/終了処理を行い、終了処理後の待機状態にお
いては待機電力を削減するために、リモコンからの信号を受信するセンサ等の一部の部品
以外に対する電力供給を停止する。しかしこの場合、動作可能となるまでに長い時間を必
要とする構成が装置に含まれると、リモコン信号受信後、該装置の起動完了までに長い時
間を要する恐れがある。
【0003】
これに対し、起動に時間がかかる構成部品を予め起動して待機し、装置の起動後の待ち
時間を短縮する技術がある(例えば、特許文献1)。特許文献1には、人感センサとサブ
CPUにより人間の近接を検出し、メインスイッチやリモコンからの装置の起動に先立っ
て、OSを搭載したCPUやディジタルLSI等の画像処理部を予め起動する放送受信装
置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−54085
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、映像供給装置が送信した暗号化映像データを映像表示装置が受信して表示する
ためには、これらの装置の構成部品を起動するだけでなく、WirelessHD無線通
信やHDMIケーブル等の通信インターフェースの接続確立処理として、映像データの暗
号化情報の認証処理や映像データフォーマットの確認処理等を行う必要がある。これらの
接続確立処理には長い時間を要する場合があるが、特許文献1記載の技術は、接続確立処
理に関して考慮されていないため、装置を起動して映像データを送受信するまでに時間を
要する。通信インターフェースを常時起動させ、装置起動時に迅速に映像データを送受信
できるようすることも考えられるが、この場合には装置の待機電力が大きくなるという問
題がある。
【0006】
そこで本発明は、起動指示を受けてから映像データを送信または受信するまでの時間を
短縮するとともに、待機電力の抑制を図ることができる電子機器及び電子機器システムの
提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の電子機器は暗号化された映像データを送信また
は受信する通信手段と、前記映像データを処理する映像処理手段と、リモートコントロー
ラから第1の信号及び第2の信号を受信する受信手段と、前記受信手段が前記リモートコ
ントローラから第1の信号を受信した場合に前記通信手段に対して電力を供給する第1の
電力供給手段と、前記受信手段が前記リモートコントローラから第2の信号を受信した場
合に前記映像処理手段および前記通信手段に対して電力を供給する第2の電力供給手段と
、前記第1の電力供給手段から前記通信手段への電力供給が開始した後、外部機器に対し
て、前記映像データの暗号情報の認証処理を含む前記通信手段の接続確立処理を行う通信
制御手段とを備え、前記通信手段は、前記第1の電力供給手段が前記通信手段に対して電
力を供給して前記通信制御手段が前記通信手段の接続を確立した後、前記第2の電力供給
手段が前記映像処理手段に対して電力を供給している場合に、前記映像データを送信また
は受信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電子機器システムは、信号を送信するリモートコントローラと、暗号化
された映像データを送信または受信する電子機器とを備えたシステムであって、前記リモ
ートコントローラは、前記リモートコントローラの振動を検出する振動検出手段と、前記
振動検出手段が振動を検出した場合、前記電子機器及び外部機器に対して第1の信号を送
信する第1の送信手段と、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段と、前記操作入力
手段が前記電子機器に対する起動操作入力を受け付けた場合、前記電子機器に対して第2
の信号を送信する第2の送信手段とを備え、前記電子機器は、暗号化された映像データを
送信または受信する通信手段と、前記映像データを処理する映像処理手段と、前記リモー
トコントローラから送信される信号を受信する受信手段と、前記受信手段が前記第1の信
号を受信した場合に前記通信手段に対して電力を供給する第1の電力供給手段と、前記受
信手段が前記第2の信号を受信した場合に前記映像処理手段および前記通信手段に対して
電力を供給する第2の電力供給手段と、前記第1の電力供給手段から前記通信手段への電
力供給が開始した後、前記外部機器に対して、前記映像データの暗号情報の認証処理を含
む前記通信手段の接続確立処理を行う通信制御手段とを備え、前記通信手段は、前記第1
の電力供給手段が前記通信手段に対する電力供給を開始して前記通信制御手段が前記通信
手段の接続を確立した後、前記第2の電力供給手段が前記映像処理手段に対して電力を供
給している場合に、前記映像データを送信または受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、起動指示を受けてから映像データを送信または受信するまでの時間を
短縮するとともに、待機電力の抑制を図ることができる電子機器及び電子機器システムを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る電子機器システムの動作及び構成を示す概略図。
【図2】本発明に係る電子機器システムの構成を示す図。
【図3】本発明に係る電子機器システムの動作順序を示すシーケンス図。
【図4】本発明に係るリモートコントローラの動作順序を示すフロー図。
【図5】本発明に係る電子機器の起動処理に関する動作手順を示すフロー図。
【図6】本発明に係る電子機器の終了処理に関する動作手順を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明を行う。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る電子機器の構成を説明する。図1は、本発明
の第1の実施形態に係る電子機器システムを示す概略図である。
本システムは、例えばリモートコントローラ100、チューナ装置200、表示装置3
00等を備えている。そしてリモートコントローラ100は操作入力部103等を備え、
チューナ装置200や表示装置300に対して信号を送信する。チューナ装置200はリ
モコン信号受信処理部210、通信部230及び映像処理部240等を備え、テレビ放送
波を受信したのち該テレビ放送波に基づく映像データを表示装置300に送信する。表示
装置300はリモコン信号受信処理部310、通信部330及び映像処理部340等を備
え、チューナ装置200から送信された映像データに基づく映像を表示する。
【0012】
ここでチューナ装置200と表示装置300とは、例えばWirelessHD規格の
無線通信あるいはHDMIケーブル(非図示)といったHDMI規格の通信インターフェ
ースによって接続されている。そしてチューナ装置200は、該通信インターフェースの
接続を確立したのち、HDMI規格に準拠した映像データを表示装置300に送信し、表
示装置300は受信した該映像データに基づく映像を表示する。当該接続確立処理に関し
ては図3を参照して後述する。
【0013】
さらにチューナ装置200と表示装置300は、互いの装置に対してHDMI−CEC
規格に準拠した制御コマンドを送受信する。HDMI−CEC規格とは、HDMI規格の
通信インターフェースを介して制御コマンドを送受信し、装置間の連携動作を実現するた
めの規格である。これにより、例えば一方の装置から送信された制御コマンドによっても
う一方の装置を起動あるいは終了する等の動作が可能である。
【0014】
図1(A)および図1(B)を参照して、本電子機器システムの動作を説明する。なお本
電子機器システムにおけるチューナ装置200及び表示装置300は、これら装置が終了
処理を行った後の待機状態において、リモコン信号受信処理部210及び310以外の構
成に対して電力を供給しないものである。これら装置の終了処理については、図6を参照
して後述する。
【0015】
ここで図1(A)に示すように、リモートコントローラ100は、該リモートコントロ
ーラが振動した場合、通信部起動信号をチューナ装置200及び表示装置300に送信す
る。そしてチューナ装置200及び表示装置300は、該通信部起動信号を受信すると、
通信部230および330に対して電力供給を開始するとともに、通信部230と通信部
330との間の接続を確立させる。
【0016】
続いて操作入力部103がチューナ装置200を起動する旨の操作入力を受け付けた場
合、図1(B)に示すようにリモートコントローラ100はチューナ装置200に対して
装置起動信号を送信する。チューナ装置200は当該装置起動信号を受信すると、映像処
理部240を含むチューナ装置200全体に電力を供給する。またチューナ装置200は
、装置起動信号を受信するとHDMI−CEC規格に準じた起動コマンドを表示装置30
0に送信する。表示装置300は、チューナ装置200から当該起動コマンドを受信する
と、映像処理部340を含む表示装置全体に電力を供給する。
【0017】
そしてチューナ装置200は、映像処理部240を含むチューナ装置200全体が起動
すると、テレビ放送波を受信して該放送波に基づく映像データを通信部230から表示装
置300に対して送信する。そして表示装置300は受信した映像データに基づく映像を
表示する。
【0018】
つまり本電子機器システムは、当該電子機器に係るチューナ装置200及び表示装置3
00が使用されていない待機状態において、これら装置のリモコン信号受信に係る構成以
外に対して電力を供給しないことにより待機電力を抑制するとともに、チューナ装置20
0を起動するためにユーザがリモートコントローラ100を持った際の振動を検出してチ
ューナ装置200と表示装置300との通信インターフェースの接続を確立させることで
、チューナ装置200及び表示装置300の起動後に迅速に映像データを送受信すること
ができる。
【0019】
次に図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電子機器システムを説明する。
リモートコントローラ100は、振動検出部101、蓄電部102、操作入力部103
、送信制御部104、通信部起動信号送信部105、信号送信部106等を備えている。
【0020】
振動検出部101は、リモートコントローラ装置100の振動を検出する。そして振動
検出部101は、振動を検出すると信号制御部104に対して振動検出通知を出力する。
また振動検出部101は、リモートコントローラ100の振動エネルギーを元に発電する
機能を有しており、発電した電力を蓄電部102に送電する。なお、ここで振動検出部1
01として圧電素子やエレクトリック等の振動発電MEMSを用いることが考えられるが、発
電する機能を有さない加速度センサ等の振動検出MEMSを用いることも可能である。
【0021】
蓄電部102は、リモートコントローラ100の各構成に供給する電力を蓄電する一時
電池である。また蓄電部102は、振動検出部101が発電した電力の蓄電も行う。
【0022】
操作入力部103は、チューナ装置200に対するユーザ操作入力を受け付ける。操作
入力部103が受け付けるユーザ操作入力としては、映像処理部240を含むチューナ装
置200全体に対する起動指示入力や終了指示入力等が挙げられる。そして操作入力部1
03は、起動指示入力や終了指示入力を受け付けると、起動指示入力通知や終了指示入力
通知を送信制御部104に出力する。なお操作入力部103は、表示装置300に対する
ユーザ操作入力を受け付けるものであっても良い。
【0023】
送信制御部104は、振動検出部101や操作入力部103から入力された通知に基づ
いて、通信部起動信号送信部105及び信号送信部106に対して信号を送信する旨の指
示を行う。ここで送信制御部104は、振動検出部101から振動検出信号が入力された
場合、通信部起動信号送信部105に対して通信部起動信号を送信する旨の指示を行う。
また送信制御部104は、操作入力部103から起動指示入力通知あるいは終了指示入力
通知が入力されると、信号送信部106に対して起動信号あるいは終了信号を送信する旨
の指示を行う。
【0024】
通信部起動信号送信部105は、送信制御部104から通信部起動信号を送信する旨の
指示が入力されると、通信部起動信号受信部211及び311に対して通信部起動信号を
送信する。このとき通信部起動信号送信部105は、例えば無指向性の電波等に信号を重
畳させることで、複数の機器に対して同時に信号を送信することができる。尚、ここで通
信部起動信号送信部105が送通信部起動信号を重畳させる電波は、必ずしも無指向性で
なくとも良いが、信号送信部106が送信する電波や赤外線よりも指向性が低い方が好ま
しい。
【0025】
信号送信部106は、送信制御部104から起動信号や終了信号を送信する旨の指示が
入力されると、当該指示に基づいて起動信号あるいは終了信号を信号受信部212に送信
する。なお信号送信部106は、表示装置300に対して起動信号あるいは終了信号を送
るものであっても良い。
【0026】
続いてチューナ装置200について説明する。チューナ装置200は、リモコン信号受
信処理部210、電源制御部220、通信部230、映像処理部240等を備えている。
【0027】
リモコン信号受信処理部210は、通信部起動信号受信部211、信号受信部212、
リモコン信号処理部213等を備えている。
通信部起動信号受信部211は、リモートコントローラ200から送信された通信部起
動信号を受信する。そして通信部起動信号受信部211は、通信部起動信号を受信すると
リモコン信号処理部に対して通信部起動信号を受信した旨の通知を出力する。
【0028】
信号受信部212は、リモートコントローラ100から起動信号や終了信号等を受信す
る。そしてこれらの信号を受信すると、起動信号や終了信号を受信した旨の通知をリモコ
ン信号処理部213に出力する。
【0029】
リモコン信号処理部213は、通信部起動信号受信部211から通信部起動信号を受信
した旨の通知を受けると、電源制御部220に対して通信部起動信号通知を出力する。ま
た、信号受信部212から起動信号や終了信号を受信した旨の通知を受けた場合には、電
源制御部220およびHDMI通信制御部231に起動信号受信通知や終了信号受信通知
を出力する。
【0030】
電源制御部220は、チューナ装置200の各機能部に駆動電力を供給する。電源制御
部220は、通信部起動信号受信通知を受け取った場合に通信部230に対して電力を供
給し、起動信号受信通知を受け取った場合に通信部230及び映像処理部240を含むチ
ューナ装置全体に対して電力を供給する。そして終了信号受信通知を受信した場合、電源
制御部220は映像処理部240および通信部230に対する電力供給を停止する。
【0031】
また電源制御部220は、HDMI通信制御部231から起動コマンド受信通知を受け
取った場合、映像処理部240を含むチューナ装置全体に電力を供給する。また電源制御
部220は、HDMI通信制御部231から終了コマンド受信通知を受け取った場合、通
信部230及び映像処理部240への電力供給を停止する。
【0032】
なお電源制御部220は、終了信号受信通知や終了コマンド受信通知を受け取った場合
であっても、リモコン信号受信処理部210に対しては駆動電力を供給する(非図示)。
これは、リモコン信号受信処理部210は、チューナ装置200の終了後であってもリモ
ートコントローラ100からの信号を受信する必要があるためである。
【0033】
通信部230は、HDMI通信制御部231、メモリ部232、HDMIポート部23
3、WVAN通信部234等を備えており、表示装置300に対するHDMI接続を確立
したのち、HDMI規格に準拠した映像データの送信やHDMI−CEC規格に準拠した
制御コマンドの送受信を行う。
【0034】
HDMI通信制御部231は、HDMI通信接続の確立や、映像データ及びHDMI−
CECに準拠した制御コマンド等の処理機能を有する。そしてHDMI通信制御部231
は、電源制御部220から電力が供給されると、HDMI接続確立処理を行う。HDMI
接続確立処理の際には、HDMIポート部233を介して、表示装置300のメモリ部3
32に格納されたHDCP(High−Bandwidth Digital Cont
ents Protection)鍵情報及び映像形式情報等を取得する。ここでHDC
P鍵情報とは、チューナ装置200が表示装置300に映像データ送信する際に、該映像
データにかける暗号の鍵情報である。また映像形式情報とは、表示装置300が表示可能
である映像形式の情報である。
【0035】
HDMI通信制御部231は、HDMI接続が確立した後、デスクランブラ部242か
ら映像データが入力されると、メモリ部232に格納された暗号鍵と表示装置300から
取得した暗号鍵とに基づいて映像データを暗号化して、HDMIポート部233を介して
表示装置300に該映像データを送信する。またこのときHDMI通信制御部231は、
表示装置300のメモリ部332から読み込んだ映像形式情報に対応する形式で映像デー
タを送信する。
【0036】
さらにHDMI通信制御部231は、リモコン信号処理部から起動信号受信通知を受け
付けると、HDMIポート部233を介して表示装置300にHDMI−CECに準拠し
た起動コマンドを送信する。またHDMI通信制御部231は、表示装置300から送信
された起動コマンドを受信した場合、電源制御部220に対して起動コマンド受信通知を
出力する。
【0037】
メモリ部232は、HDCP鍵情報を格納する。なお、表示装置300の説明において
後述するように、表示装置300のメモリ部332は、HDCP鍵情報だけでなく映像形
式情報を格納する。
【0038】
HDMIポート部233は、WVAN通信部234やHDMIケーブル(非図示)を介
して表示装置300に映像データを送信しHDMI−CEC制御コマンドを送受信するH
DMI端子である。ここでHDMIポート部233は、HDMI通信制御部231から入
力された映像データを、WVAN通信部234あるいはHDMIケーブル(非図示)に送
信する。またHDMIポート部233は、HDMI接続確立処理において、HDCP鍵情
報や映像形式情報をやり取りする。
【0039】
WVAN通信部234は、WirelessHD規格に準拠した無線通信接続を確立し
たのち、該無線通信によって映像データやHDMI−CEC動作コマンドの送受信を行う

【0040】
WVAN通信部234は、電源制御部220から電源が供給されると、表示装置300
のWVAN通信部334との無線通信接続を確立させる。該無線通信接続の確立処理にお
いて、WVAN通信部234及び334は、例えば各々の通信部の識別子をやり取りして
当該識別子を相互認証することで、無線通信接続を確立させる。
【0041】
そして無線通信接続が確立すると、WVAN通信部234は、HDMIポート部233
から入力された映像データやHDMI−CEC制御コマンド等を表示装置300に送信し
、表示装置300から受信したHDMI−CEC制御コマンドをHDMIポート部233
に出力する。
【0042】
なおWVAN通信部234は、HDMIポート部233を経由せずHDMI通信制御部
231に直接接続されるものであってもよく、また、チューナ装置200のHDMIポー
ト部233に対してHDMIケーブルを介して接続される外部装置であってもよい。
【0043】
映像処理部240は、チューナ部241及びデスクランブラ部242等の、映像データ
を処理する機能部を備えている。チューナ部241は、テレビ放送波を受信し、受信した
テレビ放送波を復調する。そして復調したテレビ放送波の映像データをデスクランブラ部
242に出力する。そしてデスクランブラ部242は、チューナ部241から入力された
映像データのスクランブル処理を解除し、HDMI通信制御部231に出力する。
【0044】
続いて表示装置300を説明する。表示装置300は、リモコン信号受信処理部310
、電源制御部320、通信部330、映像処理部340等を備えている。これらの構成の
うち、通信部330および映像処理部340を除く構成の機能はチューナ装置200にお
ける機能と同様である。即ち、リモコン信号受信処理部310はリモコン信号受信処理部
210と、電源制御部320は電源制御部220と同様の機能を備える。また、通信部3
30は一部機能を除いて通信部220と同様の機能を備える。ここでは、チューナ装置2
00と異なる構成や機能を中心に説明する。
【0045】
通信部330と通信部230との相違点は、メモリ部332にHDCP鍵情報だけでな
く映像形式情報が格納されている点、HDMIポート部333及びWVAN通信部334
が映像データを送信するのではなく受信する点、及びHDMI通信制御部331がHDM
I通信制御部231と異なる動作をする点等である。
【0046】
HDMI通信制御部331の動作について説明する。HDMI通信制御部331は、H
DMI接続確立処理において、チューナ装置200のメモリ部232に格納されたHDC
P鍵情報等を取得する。そしてHDMI通信制御部331は、HDMI接続確立処理のの
ち映像データを受信すると、メモリ部332に格納された暗号鍵とチューナ装置200か
ら取得した暗号鍵とに基づいて映像データの暗号化を解除する。そしてHDMI通信制御
部331は、暗号化を解除した映像データを表示処理部341に出力する。
【0047】
続いて映像処理部340を説明する。映像処理部340は、表示処理部341及び表示
部342等を備えている。表示処理部341は、HDMI通信制御部331から入力され
た映像データを処理し、表示部342で表示可能な形式にして表示部342に出力する。
そして表示部342は、表示処理部から入力された映像データに基づいた映像を表示する

【0048】
次に図3を参照して、リモートコントローラ100、チューナ装置200、表示装置3
00の動作処理順序を説明する。
まずリモートコントローラ100は、振動を検出すると(S401)、チューナ装置2
00及び表示装置300に対して通信部起動信号を送信する(S402)。そしてチュー
ナ装置200及び表示装置300は、該通信部起動信号を受信すると、各々の通信部23
0および330に電力を供給する(S403、S404)。そして通信部230及び33
0に電力が供給されると、WVAN通信部234および334は無線通信確立処理を開始
する(S405)。なお、HDMIポート233と333との間がHDMIケーブルにて
接続されている場合、当該無線通信確立処理は省略することができる。
【0049】
そしてWVAN通信部234と334との間の無線通信が確立すると、続いてHDMI
通信制御部231及び331は、HDMI接続確立処理を開始する。この接続確立処理で
は、HDCP認証処理や映像形式情報確認処理等が行われる。HDCP認証処理では、チ
ューナ装置200と表示装置300との間で暗号化されて送られる映像データのHDCP
鍵情報をやりとりする(S406)。ここで、当該HDCP鍵情報はメモリ232及び3
32に格納されている。
【0050】
映像形式情報確認処理では、HDMI通信制御部231は表示装置300のメモリ33
2に格納されている映像形式情報等を読み込む(S407)。尚、HDCP認証処理(S
406)及び映像形式情報確認処理(S407)は、どちらの処理が先であっても良い。
【0051】
HDCP認証処理及び映像形式情報確認処理等が完了すると、HDMI接続は確立し、
チューナ装置200及び表示装置300は映像データの送受信が可能な状態となる。
【0052】
そしてリモートコントローラ100は、チューナ装置200に対する起動指示入力を受
け付けると(S408)、起動信号をチューナ装置200に送信する(S409)。チュ
ーナ装置200は、当該起動信号を受信すると、映像処理部240を含むチューナ装置2
00全体に電力を供給するとともに(S410)、表示装置300に対してHDMI−C
EC規格に準拠した起動コマンドを送信する(S411)。そして表示装置300は、該
起動コマンドを受信すると、映像処理部340を含む表示装置300全体に電力を供給す
る(S412)。なお、ここではチューナ装置200が起動信号を受信して表示装置30
0にHDMI−CECの起動コマンドを送信するとして説明したが、表示装置300が起
動信号を受信してチューナ装置200に起動コマンドを送信しても良い。
【0053】
チューナ装置200は、映像処理部240が起動すると表示装置300に映像データを
送信する(S413)。そして表示装置300は、チューナ装置200から受信した映像
データに基づく映像を表示する。尚、S413における映像データの送信は、S410に
おいて映像処理部240を含むチューナ装置200全体に電力が供給された後であれば良
く、S411における起動コマンド送信の前であっても構わない。
【0054】
次に図4を参照して、リモートコントローラ100の動作処理を説明する。図4は、チ
ューナ装置200および表示装置300を備える本電子機器システムの起動に係る、リモ
ートコントローラ100の動作処理を示すフローチャートである。
【0055】
この処理では、まずリモートコントローラ100が振動した場合(S501のYes)
、振動検出部101は送信制御部104に対して振動検出通知を出力する(S502)。
このとき振動検出部101は、振動を検出するとともに該振動による発電を行い、蓄電部
102は振動検出部101にて発電された電力を蓄電する。このようにリモートコントロ
ーラ100は、当該リモートコントローラの振動による発電を行うことにより一時電池の
電力消費を減らすことができる。
【0056】
送信制御部104は、該振動検出通知が入力されると通信部起動信号送信部105に対
して通信部起動信号を送信する指示を行い、通信部起動信号送信部105は、通信部起動
信号をチューナ装置200及び表示装置300に対して送信する(S503)。
【0057】
通信部起動信号を送信した後、チューナ装置200に対する起動指示入力を操作入力部
103が受け付け、送信制御部104が起動指示入力通知を受け取ると(S504のYe
s)、信号送信部106はチューナ装置200に対して起動信号を送信する(S505)

【0058】
一方、S504において、送信制御部104が起動指示入力通知を受けなかった場合(
S504のNo)、信号処理部104は、振動検出通知を受けてから所定時間が経過した
か否かを判別する(S506)。そして所定時間が経過していない場合(S506のNo
)、送信制御部104は再びS504の処理を行う。一方、信号制御部104が振動検出
通知を受けてから所定時間以内に起動指示入力通知を受けなかった場合(S506のYe
s)、本電子機器システムの起動に係るリモートコントローラ100の動作処理は終了す
る。
【0059】
上記処理フローのS501〜S503の処理動作により、リモートコントローラ100
は、チューナ装置200や表示装置300を起動するためにユーザが当該リモートコント
ローラを持った際の振動を検出して、チューナ装置200や表示装置300の通信部を起
動させることができる。即ちリモートコントローラ100は、ユーザからの起動指示入力
に先立ってチューナ装置200及び表示装置300の通信部を起動させることができる。
【0060】
尚、この処理フローでは、S505において信号送信部106は起動信号をチューナ装
置200に対して送信するとして説明したが、表示装置300に対して起動信号を送るも
のであっても良い。
【0061】
次に図5を参照して、チューナ装置200及び表示装置300の起動処理に係る動作手
順を説明する。尚、ここではチューナ装置200の構成に基づいた説明を行うが、表示装
置300は起動処理においてチューナ装置200と同様の動作を行う。
【0062】
この処理フローでは、通信部起動信号受信部211が通信部起動信号を受信して電源制
御部220が通信部起動信号受信通知を受け取った際に(S601)、電源制御部220
が通信部230に電力を供給している場合(S602のYes)、電源制御部220はS
606の判別処理を行う。S606については後述する。ここで、通信部220の電力が
供給されている場合とは、例えば電源制御部220が通信部起動信号受信通知を受け取っ
て通信部220へ電力を供給した後、起動信号の受信前に再度通信部起動信号を受信した
場合等である。
【0063】
一方、電源制御部220から通信部230に電力が供給されていない場合(S602の
No)、電源制御部220は通信部230に電力を供給する(S603)。そしてWVA
N通信部234はWVAN通信部334との無線接続確立処理を開始し(S604)、H
DMI通信制御部231はHDMI接続確立処理を開始する(S605)。そしてHDM
I通信制御部231およびWVAN通信部234が通信接続確立処理を行うと、続いて電
源制御部220は、通信部起動信号受信通知を受け取ったのち所定時間が経過したか否か
を判別する(S606)。
【0064】
通信部起動信号受信通知を受け取ったのち所定時間が経過していない場合(S606の
No)、電源制御部220はリモコン信号処理部213から起動信号受信通知を受け取っ
たか否かを判別する(S607)。リモコン信号処理部213から起動信号受信通知を受
け取った場合(S607のYes)、電源制御部220は映像処理部240を含むチュー
ナ装置200全体に対して電力を供給する(S608)。そしてHDMI通信制御部23
1はHDMI−CECに準拠した起動コマンドを表示装置300に送信し(S609)、
チューナ装置200は表示装置300に映像データを送信し、表示装置300はチューナ
装置から映像データを受信する(S610)。
【0065】
一方、S607においてリモコン信号処理部213から映像処理部起動信号が入力され
なかった場合(S607のNo)、続いて電源制御部220は、HDMI通信制御部23
1から起動コマンド受信通知が入力されたか否かを判別する(S611)。ここで、HD
MI通信制御部231から起動コマンド受信通知が入力されている場合(S611のYe
s)、電源制御部220は映像処理部240を含むチューナ装置200全体に対して電力
を供給し(S612)、チューナ装置200は映像データを送信する(S610)。
【0066】
しかしS611においてHDMI通信制御部231から起動コマンド受信通知が入力さ
れなかった場合(S611のNo)、電源制御部220はリモコン信号処理部213から
通信部起動信号受信通知が入力されたのち所定時間が経過したか否かを再度判定する(S
606)。電源制御部220は、通信部起動信号受信通知が入力されたのち所定時間が経
過したと判別するまでS606、S607及びS611の処理を繰り返す。そして、所定
時間が経過した場合(S606のYes)、電源制御部220は、通信部220への電力
供給を停止し(S613)、チューナ装置200の起動処理に係る処理は完了する。
【0067】
上記の処理フローに拠れば、チューナ装置200及び表示装置300は、リモートコン
トローラ100からの起動信号を受信する前に通信部起動信号を受信できれば、通信部2
30および330の接続確立処理を開始することができる。そのためチューナ装置200
及び表示装置300は、リモートコントローラ100から起動信号を受信してから映像デ
ータを送受信するまでの時間を短縮することができる。またチューナ装置200及び表示
装置300は、通信部への電力供給を開始したのち起動信号や起動コマンドを受信しなか
った場合、当該通信部に対する電力供給を停止することができるため、電力消費を抑制す
ることができる。
【0068】
続いて図6を参照して、チューナ装置200及び表示装置300の終了処理に係る動作
手順を説明する。なおチューナ装置200及び表示装置300は終了処理において同様の
動作を行うため、ここではチューナ装置200の構成に基づいた説明を行う。
【0069】
この処理では、まず信号受信部212がリモートコントローラ100から終了信号を受
信すると(S701のYes)、HDMI通信制御部231は表示装置300に対してH
DMI−CECに準拠した終了コマンドを送信し(S702)、電源制御部220は通信
部230及び映像処理部240に対する電力供給を停止する(S705)。また、リモー
トコントローラ100から終了信号を受信しない場合であっても(S701のNo)、表
示装置300から送信されたHDMI−CECに準拠した終了コマンドをHDMI通信制
御部231が受信した場合(S703のYes)、電源制御部220は通信部230及び
映像処理部240に対する電力供給を停止し(S705)、終了処理に係る動作は完了す
る。なお、電源制御部220は、S705にて通信部230及び映像処理部240に対す
る電力供給を停止した後も、リモコン信号受信処理部210に対しては電力を供給する。
【0070】
上記の処理フローに拠れば、チューナ装置200及び表示装置300は、終了信号ある
いはHDMI−CECの終了コマンドを受信した場合に、リモートコントローラ100か
らの信号を受信する構成以外に対する電力供給を停止することができるため、消費電力を
抑制することができる。
【0071】
本実施例に拠れば、チューナ装置200及び表示装置300は、リモートコントローラ
からの起動指示を受ける前に予め通信部を起動して装置同士の接続確立処理を開始するこ
とができ、リモートコントローラからの起動指示を受けてから映像データを送信あるいは
受信するまでの時間を短縮することができる。またチューナ装置200及び表示装置30
0は、これら装置の終了処理後において、リモートコントローラ100からの信号受信に
係る構成以外に対する電力供給を停止することにより、これら装置の電力消費を抑制する
ことができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい
【符号の説明】
【0073】
100…リモートコントローラ、101…振動検出部、102…蓄電部、103…操作
入力部、104…送信制御部、105…通信部起動信号送信部、106…信号送信部、2
00…チューナ装置、210…リモコン信号受信処理部、211…通信部起動信号受信部
、212…信号受信部、213…リモコン信号処理部、220…電源制御部、230…通
信部、231…HDMI通信制御部、232…メモリ部、233…HDMIポート部、2
34…WVAN通信部、240…映像処理部、241…チューナ部、242…デスクラン
ブラ部、300…表示装置、310…リモコン信号受信処理部、311…通信部起動信号
受信部、312…信号受信部、313…リモコン信号処理部、320…電源制御部、33
0…通信部、331…HDMI通信制御部、332…メモリ部、333…HDMIポート
部、334…WVAN通信部、340…映像処理部、341…表示処理部、342…表示


【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化された映像データを送信または受信する通信手段と、
前記映像データを処理する映像処理手段と、
リモートコントローラから第1の信号及び第2の信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記リモートコントローラから第1の信号を受信した場合に前記通信手
段に対して電力を供給する第1の電力供給手段と、
前記受信手段が前記リモートコントローラから第2の信号を受信した場合に前記映像処
理手段および前記通信手段に対して電力を供給する第2の電力供給手段と、
前記第1の電力供給手段から前記通信手段への電力供給が開始した後、外部機器に対し
て、前記映像データの暗号情報の認証処理を含む前記通信手段の接続確立処理を行う通信
制御手段と
を備え、
前記通信手段は、前記第1の電力供給手段が前記通信手段に対して電力を供給して前記
通信制御手段が前記通信手段の接続を確立した後、前記第2の電力供給手段が前記映像処
理手段に対して電力を供給している場合に、前記映像データを送信または受信する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記通信制御手段は、前記第1の電力供給手段から前記通信手段に対する電力供給が開
始した後、前記外部機器に対して、前記映像データの映像形式情報の確認処理を含む前記
接続確立処理を行う
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記受信手段が前記リモートコントローラから第3の信号を受信した場合、前記映像処
理手段および前記通信手段に対する電力供給を停止する電力停止手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記通信手段は、前記受信手段が前記第2の信号を受信した場合に前記外部機器に対し
て第1のコマンドを送信し、前記受信手段が前記第3の信号を受信した場合に前記外部機
器に対して第2のコマンドを送信する
ことを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記通信手段は、前記外部機器からの制御コマンドを受信し、
前記第2の電力供給手段は、前記通信手段が前記外部機器から前記第1のコマンドを受
信した場合、前記映像処理手段に対する電力供給を開始し、
前記電力停止手段は、前記通信手段が前記外部機器から前記第2のコマンドを受信した
場合、前記映像処理手段及び前記通信手段に対する電力供給を停止する
ことを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
信号を送信するリモートコントローラと、
暗号化された映像データを送信または受信する電子機器と
を備えたシステムであって、
前記リモートコントローラは、
前記リモートコントローラの振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段が振動を検出した場合、前記電子機器及び外部機器に対して第1の信
号を送信する第1の送信手段と、
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段と、
前記操作入力手段が前記電子機器に対する起動操作入力を受け付けた場合、前記電子機
器に対して第2の信号を送信する第2の送信手段と
を備え、
前記電子機器は、
暗号化された映像データを送信または受信する通信手段と、
前記映像データを処理する映像処理手段と、
前記リモートコントローラから送信される信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記第1の信号を受信した場合に前記通信手段に対して電力を供給する
第1の電力供給手段と、
前記受信手段が前記第2の信号を受信した場合に前記映像処理手段および前記通信手段
に対して電力を供給する第2の電力供給手段と、
前記第1の電力供給手段から前記通信手段への電力供給が開始した後、前記外部機器に
対して、前記映像データの暗号情報の認証処理を含む前記通信手段の接続確立処理を行う
通信制御手段と
を備え、
前記通信手段は、前記第1の電力供給手段が前記通信手段に対する電力供給を開始して
前記通信制御手段が前記通信手段の接続を確立した後、前記第2の電力供給手段が前記映
像処理手段に対して電力を供給している場合に、前記映像データを送信または受信する
ことを特徴とする電子機器システム。
【請求項7】
前記リモートコントローラは、当該リモートコントローラに供給する電力を蓄電する蓄
電手段を更に備え、
前記振動検出手段は、前記リモートコントローラが振動した場合に、該振動を検出する
とともに該振動による発電を行い、該発電により発生した電力を前記蓄電手段に蓄電する
ことを特徴とする請求項6記載の電子機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−101320(P2011−101320A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256481(P2009−256481)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】