説明

電子機器取付構造及び機器取付用アダプタ

【課題】DINレールにスライド係合可能な電子機器を、機器取付部材の所定の位置に動かないように固定可能な電子機器取付構造及び機器取付用アダプタを提供する。
【解決手段】電子機器取付構造及び機器取付用アダプタ10は、機器取付用アダプタから電子機器に向かって突出した溝突入部30の先端から両側方に張り出した爪係止突壁38を備え、爪係止突壁の両端部38T,38Tが電子機器の固定係止爪及び可動係止爪と係止することで、電子機器を機器取付部材に取り付けることができる。機器取付アダプタに取り付けた場合には、電子機器に備えたスライド規制凹部と、機器取付用アダプタに備えたスライド規制突部37,37とが凹凸係合して、レール受容溝内での溝突入部のスライドが規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DINレールに電子機器を取り付け可能な電子機器取付構造及び機器取付用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機器取付部材に電子機器を取り付けるための取付具としてDINレールが知られている。DINレールに取り付けた電子機器は、DINレール上でスライドさせて任意の位置まで移動させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−16382号公報(段落[0008]、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電子機器を取り付ける向きやDINレールの取り付け向きによっては、電子機器をスライド不能に固定する必要が生じる。このため従来は、スライド可能な機器取付構造を有した電子機器の他に、スライド不能な機器取付構造を有した電子機器を別途用意しておく必要があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、DINレールにスライド係合可能な電子機器を、機器取付部材の所定の位置に動かないように固定可能な電子機器取付構造及び機器取付用アダプタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る電子機器取付構造は、電子機器を機器取付部材に着脱可能に取り付けるための電子機器取付構造において、電子機器に所定サイズのDINレールを受容可能なレール受容溝を形成し、そのレール受容溝の溝底面との間でDINレールの両側縁部を挟持する第1と第2の係止爪を備えてDINレールをスライド係合可能とすると共に、第1の係止爪の外面先端に傾斜面を設け、DINレールの一方の側縁部を第2の係止爪と溝底面との間に挟持させた状態で他方の側縁部を傾斜面に押し付けると、第1の係止爪の支持部分の弾性変形を乗り越えて第1の係止爪と溝底面との間にDINレールの他方の側縁部が挟持される構造とし、機器取付部材に、レール受容溝に受容可能な溝突入部を形成し、溝突入部の先端から両側方に所定サイズのDINレールと同じ板厚及び同じ幅の爪係止突壁を張り出してなるDINレール代用突部を設け、爪係止突壁に形成されて、レール受容溝の内面に向かって突出したスライド規制突部と、レール受容溝に形成されて、爪係止突壁が第1及び第2の係止爪と溝底面との間に挟持された状態で、スライド規制突部と凹凸係合し、レール受容溝内における溝突入部のスライドを規制するスライド規制凹部とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子機器取付構造において、爪係止突壁全体の外縁部を複数組の平行線を備えた多角形に形成し、電子機器を機器取付部材に対して90度ずつ位相をずらした、又は、45度ずつ位相をずらした任意の位置で、第1及び第2の係止爪と溝底面との間に爪係止突壁が挟持されるように構成したところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電子機器取付構造において、機器取付部材の外面に機器取付用アダプタが固定され、機器取付用アダプタには、機器取付部材の外面に宛がわれるベース盤と、ベース盤を機器取付部材に固定するためのベース固定手段とが備えられると共に、溝突入部は、ベース盤に突出形成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の電子機器取付構造において、ベース盤には、溝突入部に対して爪係止突壁より大きく側方に張り出した螺子止め部が備えられ、螺子止め部には、ベース固定手段としての螺子を挿通させるための螺子挿通孔が貫通形成されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の電子機器取付構造において、機器取付部材はパイプであり、ベース盤には、パイプに当接してパイプの軸方向と平行に位置決めされるV字溝が形成され、ベース盤及び溝突入部には、パイプに巻き付けるベース固定手段としてのベルトを爪係止突壁よりパイプ側に挿通させるためのベルト挿通部が形成されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3乃至5の何れか1項に記載の電子機器取付構造において、スライド規制突部とスライド規制凹部とが凹凸係合した状態で、機器取付用アダプタと電子機器の双方に備えた位置合わせ用目印が一致するようにしたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の電子機器取付構造において、電子機器は、パイプの途中に接続されて、パイプを流れる流体の流量を検出するための流量計本体にケーブルを介して接続された信号処理部であり、機器取付部材は、流量計本体又はパイプであるところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明に係る機器取付用アダプタは、レール受容溝とその両内側面から突出した1対の係止爪とを備え、係止爪の支持部分の弾性変形を乗り越えて、所定サイズのDINレールの側縁部を、係止爪とレール受容溝の溝底面との間に挟持可能な電子機器を、機器取付部材に着脱可能に取り付けるために機器取付部材に固定される機器取付用アダプタにおいて、機器取付部材に宛がわれるベース盤と、ベース盤を機器取付部材に固定するためのベース固定手段と、ベース盤から突出してレール受容溝に受容可能な溝突入部と、溝突入部の先端から両側方に張り出し、所定サイズのDINレールと同じ板厚及び同じ幅の爪係止突壁と、爪係止突壁に突出形成され、爪係止突壁が係止爪と溝底面との間に挟持された状態で、レール受容溝の内面に係止されたスライド規制凹部に凹凸係合してレール受容溝内における溝突入部のスライドを規制するスライド規制突部とを備えたところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8に記載の機器取付用アダプタにおいて、爪係止突壁全体の外縁部を複数組の平行線を備えた多角形に形成し、電子機器を機器取付部材に対して90度ずつ位相をずらした、又は、45度ずつ位相をずらした任意の位置で、第1及び第2の係止爪と溝底面との間に爪係止突壁が挟持されるように構成したところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項8又は9に記載の機器取付用アダプタにおいて、ベース盤には、溝突入部に対して爪係止突壁より大きく側方に張り出した螺子止め部が備えられ、螺子止め部には、ベース固定手段としての螺子を挿通させるための螺子挿通孔が貫通形成されているところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項9乃至10に記載の機器取付用アダプタにおいて、機器取付部材はパイプであり、ベース盤には、パイプに当接してパイプの軸方向と平行に位置決めされるV字溝が形成され、ベース盤及び溝突入部には、パイプに巻き付けるベース固定手段としてのベルトを爪係止突壁よりパイプ側に挿通させるためのベルト挿通部が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
[請求項1及び8の発明]
請求項1及び8の発明によれば、電子機器は、第1と第2の係止爪と溝底面との間にDINレールの両側縁部を挟持することで、DINレールとスライド係合可能となっている。また、DINレール代用突部は、機器取付部材から電子機器に向かって突出した溝突入部の先端から両側方に張り出した爪係止突壁を備え、その爪係止突壁が電子機器における第1と第2の係止爪と溝底面との間に挟持される。そして、DINレール代用突部に備えたスライド規制突部とレール受容溝に形成されたスライド規制凹部とが凹凸係合して、レール受容溝内での溝突入部のスライドが規制される。つまり、本発明によれば、電子機器をDINレール及びDINレール代用突部の両方に取付可能であり、DINレールに取り付けた場合には、これまで通りDINレール上で任意の位置に移動させることが可能である一方、DINレール代用突部に取り付けた場合には、機器取付部材の所定の位置に動かないように固定することが可能になる。
【0018】
[請求項2及び9の発明]
請求項2及び9の発明によれば、電子機器を90度ずつ位相をずらした異なる4つの取付姿勢又は、45度ずつ位相をずらした異なる8つの取付姿勢の中から、任意の取付姿勢を選択して取り付けることが可能になる。つまり、本発明によれば、DINレールに取り付ける場合に比べて、電子機器の取付姿勢の自由度が向上する。
【0019】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、溝突入部を備えていない機器取付部材に対して機器取付用アダプタを固定することで、電子機器の取り付けが可能になる。
【0020】
[請求項4及び10の発明]
請求項4及び10の発明によれば、DINレールの様に、螺子によって機器取付用アダプタを機器取付部材に固定することができる。
【0021】
[請求項5及び11の発明]
請求項5及び11の発明によれば、DINレールの取り付けが困難なパイプに対して機器取付用アダプタを固定することができ、DINレールに対応した電子機器をパイプに取り付けることが可能になる。また、ベース盤をパイプに宛がったときにV字溝がパイプの外面に当接することで、パイプに対する機器取付用アダプタの取付状態を安定させることができる。
【0022】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、電子機器を機器取付用アダプタに取り付ける際に、電子機器と機器取付用アダプタの双方に備えた位置合わせ用目印が一致するように接近させることで、溝突入部とレール受容溝との間におけるスライド規制部の凹凸係合をスムーズに行うことができる。
【0023】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、電子機器としての信号処理ユニットを流量計本体又はパイプに対して着脱可能に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る電子機器をDINレールに取り付けた状態の斜視図
【図2】電子機器の背面図
【図3】電子機器の側面図
【図4】(A)固定係止爪及びスライド規制凹部の正面図、(B)可動係止爪及びスライド規制凹部の正面図
【図5】機器取付用アダプタの斜視図
【図6】機器取付用アダプタの平面図
【図7】(A)図5におけるX矢視図、(B)図5におけるY矢視図
【図8】(A)機器取付用アダプタを螺子止めする場合の斜視図、(B)その変形例に係る斜視図
【図9】機器取付用アダプタを結束バンドにてパイプに固定した状態の斜視図
【図10】機器取付用アダプタをホースバンドにてパイプに固定した状態の斜視図
【図11】(A)電子機器を機器取付用アダプタに取り付ける過程の斜視図、(B)電子機器を機器取付用アダプタに取り付けた状態の斜視図
【図12】(A)電子機器を機器取付用アダプタに取り付ける過程の斜視図、(B)電子機器を機器取付用アダプタに取り付けた状態の斜視図
【図13】(A)電子機器を機器取付用アダプタに取り付けた状態の斜視図、(B)90度位相をずらして機器取付用アダプタに取り付けた状態の斜視図
【図14】本発明を適用した流量計の分解斜視図
【図15】変形例に係る機器取付用アダプタの平面図
【図16】変形例に係る機器取付用アダプタの平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。まずは、電子機器100について説明すると、電子機器100は、図1に示すように、所定サイズのDINレール200に取付可能な構造となっている。なお、DINレール200の構造は公知であるので説明は省略する。
【0026】
電子機器100は、例えば、扁平直方体形状の筐体101の内部に図示しない電子部品を収容してなる。筐体101は、その扁平方向で2分割可能となっており、扁平方向の一方側の面に表示部105を備えると共に、その反対側の面(以下、「後面101R」という)には、レール受容溝110が陥没形成されている。このレール受容溝110は、図1に示すように所定サイズのDINレール200を幅方向から挟んで受容可能となっている。
【0027】
図2に示すように、レール受容溝110は、電子機器100(筐体101)の長手方向に延びており、図3に示すように、長手方向の両側面101S,101Sに開放している。換言すれば、電子機器100の短手方向で対向しかつ長手方向に延びた1対の側部対向壁102,102で挟まれた部分が相対的に陥没してレール受容溝110になっている。
【0028】
図3に示すように、レール受容溝110の溝底面111のうち、幅方向の中央部は両側縁部に対して段付き状に陥没している。即ち、レール受容溝110の溝底面111のうち幅方向の両側縁部には、レール受容溝110と平行に延びかつレール受容溝110の内側に突出した段差突部111T,111Tが形成されている。なお、レール受容溝110の幅方向で対向した1対の溝側面110S,110Sと電子機器100の後面101Rとが交差した角部は、テーパー面となっている。
【0029】
レール受容溝110の両溝側面110S,110Sのうち、一方の溝側面110Sには固定係止爪120(本発明の「第2の係止爪」に相当する)が設けられ、他方の溝側面110Sには可動係止爪130(本発明の「第1の係止爪」に相当する)が設けられている。以下、固定係止爪120が設けられた溝側面110Sを「第1の溝側面110S」といい、可動係止爪130が設けられた溝側面110Sを「第2の溝側面110S」という。
【0030】
固定係止爪120は、筐体101に一体形成されており、図2に示すように、レール受容溝110の長手方向のちょうど中央位置からレール受容溝110の内側に突出している。図3に示すように、固定係止爪120は、断面三角形になっており、第1の溝側面110Sから垂直に立ち上がった係止面120Kをレール受容溝110の溝底面111(詳細には、段差突部111T)側に備える一方、第1の溝側面110Sから斜めに立ち上がった傾斜面120Sを、筐体101の後面101R側に備えている。固定係止爪120の係止面120Kとレール受容溝110の段差突部111Tとの間には隙間が形成され、その隙間に、DINレール200の幅方向の両側縁部201(図1参照)を挟持可能となっている。
【0031】
図2に示すように、可動係止爪130は、対をなしてレール受容溝110の長手方向の中央寄り位置からレール受容溝110の内側に突出している。これら可動係止爪130は、固定係止爪120と同様に断面三角形になっており、第2の溝側面110Sに対して垂直な係止面130Kをレール受容溝110の溝底面111側に備える一方、第2の溝側面110Sに対して傾斜した傾斜面130Sを、筐体101の後面101R側に備えている。そして、可動係止爪130の係止面130Kとレール受容溝110の段差突部111Tとの間で、DINレール200の両側縁部201(図1参照)を挟持可能となっている。
【0032】
可動係止爪130は、筐体101とは別部品のスライド片131に一体形成されており、スライド片131は筐体101に対してスライド可能に組み付けられている。筐体101のうち第2の溝側面110Sを有する側部対向壁102には、第2の溝側面110Sと直交した方向に貫通したガイド孔103が形成されており、ガイド孔103にスライド片131が直動可能に収容されている。スライド片131は可動係止爪130が第2の溝側面110Sから突出するように付勢されている。なお、スライド片131は本発明に係る「第1の係止爪の支持部分」に相当する。
【0033】
詳細には、図2に示すように、スライド片131のうちガイド孔103に収容された部分には、弾性変形可能な片持ちアーム132が一体に備えられており、その片持ちアーム132の先端が筐体101に係止されている。そして、DINレール200の一方の側縁部201を固定係止爪120とレール受容溝110の段差突部111Tとの間に挟持させた状態で、他方の側縁部201を可動係止爪130の傾斜面130Sに押し付けると、片持ちアーム132が弾性変形してスライド片131がレール受容溝110から後退し、可動係止爪130がガイド孔103の内側に退避する。そして、DINレール200における他方の側縁部201が可動係止爪130を乗り越えると、片持ちアーム132の弾発力によってスライド片131がレール受容溝110に向かって前進し、可動係止爪130がガイド孔103(第2の溝側面110S)から突出して、可動係止爪130とレール受容溝110の段差突部111Tとの間に、他方の側縁部201が挟持される。このようにして、電子機器100はDINレール200に取り付けられる。
【0034】
ここで、図2及び図3に示すように、スライド片131のうち可動係止爪130とは反対側の端部は、ガイド孔103から筐体101の外面側に突出しており、この突出部分を摘んでスライド片131を外側に引っ張ることで、可動係止爪130とDINレール200の一方の側縁部201との係止を解除して、電子機器100をDINレール200から取り外すことが可能となっている。つまり、電子機器100は、DINレール200に対して着脱可能となっている。
【0035】
なお、図2に示すように、電子機器100におけるレール受容溝110の溝底面111のうち、長手方向の両端部寄り位置には、電子機器100と他の電気部品との間をケーブル接続するための複数のコネクタ部104が設けられている。
【0036】
次に、本発明の電子機器取付構造及び機器取付用アダプタ10について説明する。機器取付用アダプタ10は、例えば、樹脂成形品であって、電子機器100を取り付ける所定の機器取付部材に宛がって固定されるベース盤11と、ベース盤11から段付き状に突出して電子機器100と結合する溝突入部30とを備えている。
【0037】
図6に示すように、ベース盤11は平面形状が正方形の板状部材の中央に、平面形状が八角形のベース開口部12が貫通形成されて枠形構造をなしている。ベース開口部12の外縁部を構成する8つの側辺のうち4つの側辺は、ベース盤11の外縁部を構成する4つの側辺11Sと平行に延びている。また、ベース盤11の四隅には、溝突入部30から側方に張り出したコーナー鍔部13が形成されている。
【0038】
図5に示すように、溝突入部30はベース開口部12の内側に配置されている。溝突入部30はベース盤11の板厚方向で扁平な八角柱構造となっており、先端面31がベース盤11の板厚方向と直交した平坦面となっている。溝突入部30のうちベース盤11から垂直に起立した外側面は、8つの矩形側面で構成されており、そのうち4つの矩形側面32A(以下、「第1の矩形側面32A」という)が、ベース盤11の外縁部を構成する4つの側辺11Sと平行に延び、残り4つの矩形側面32B(以下、「第2の矩形側面32B」という)が、ベース盤11の四隅に設けられたコーナー鍔部13側を向いている。溝突入部30の外側面のうち、第2の矩形側面32Bとベース開口部12の開口縁との間は連結しており、第1の矩形側面32Aとベース開口部12の開口縁との間は離間している(図6参照)。なお、溝突入部30の先端面31の中央部には、四辺がベース盤11の四辺と平行な矩形陥没部35が形成されている。
【0039】
以下、説明の便宜のため、矩形陥没部35の短手方向と平行な方向(図6における紙面左右方向)を「横方向X」、矩形陥没部35の長手方向と平行な方向(図6における紙面上下方向)を「縦方向Y」、ベース盤11の板厚方向(図6における紙面と直交する方向)を「前後方向Z」と呼ぶ。
【0040】
機器取付用アダプタ10は、図8に示すように、機器取付部材の平坦な壁面に対して複数の螺子80(本発明の「ベース固定手段」に相当する)で固定することができる。即ち、機器取付用アダプタ10の中心(溝突入部30の中心)には、第1の螺子挿通孔51が貫通形成されている。また、ベース盤11のうち、機器取付用アダプタ10の中心に対して点対称となる複数位置には第2の螺子挿通孔52が貫通形成されている。
【0041】
第2の螺子挿通孔52は、ベース盤11のコーナー鍔部13にそれぞれ形成されている。第2の螺子挿通孔52は、例えば、第1の螺子挿通孔51より小径な2つの円孔同士をを連絡して1つの孔とした形状になっている。また、第1の螺子挿通孔51には、第2の螺子挿通孔52より太い螺子80を挿通することが可能となっている。なお、コーナー鍔部13は、本発明の「螺子止め部」に相当する。
【0042】
機器取付用アダプタ10を螺子80で固定する場合には、機器取付用アダプタ10の後面を機器取付部材の平坦な壁面に宛がった状態で、例えば、図8(A)に示すように全ての第2の螺子挿通孔52に螺子80を挿通したり、図8(B)に示すように第1の螺子挿通孔51と4つの第2の螺子挿通孔52のうちの何れか1つに螺子80を挿通し、それら複数の螺子80を機器取付部材の壁面に螺合する。
【0043】
機器取付用アダプタ10は、DINレール200の固定が困難なパイプPに対しては、ベルト状の拘束部材、具体的には、図9及び図10に示すように、結束バンド82又はホースバンド81(本発明の「ベース固定手段」、「ベルト」に相当する)を使用して固定することが可能となっている。即ち、ベース盤11には、結束バンド82を挿通可能な複数の側部バンド挿通孔14が形成され、溝突入部30とベース盤11との間には、結束バンド82及びホースバンド81を挿通可能な中間バンド挿通孔17,17が形成されている。
【0044】
側部バンド挿通孔14は、機器取付用アダプタ10の中心(第1の螺子挿通孔51)に対して点対称となる4つの位置、具体的には、ベース盤11の四隅のコーナー鍔部13に貫通形成されている。各側部バンド挿通孔14は、結束バンド82の断面形状に対応して横方向Xの長さが縦方向Yの長さより長くなった長方形となっている。
【0045】
そして、図9に示すように、ベース盤11の後面をパイプPに当接させた状態で、縦方向Yで並んだ2つの側部バンド挿通孔14,14に挿通された結束バンド82をパイプPに巻き付け、その結束バンド82の一端を他端に備えたバックル部に通して締め付けることで、機器取付用アダプタ10をパイプPに固定することができる。
【0046】
中間バンド挿通孔17,17は、横方向Xで並んだ2つの側部バンド挿通孔14,14の中間に設けられ、前後方向Zに貫通している。中間バンド挿通孔17は、横方向Xが縦方向Yより長い横長形状をなしており、側部バンド挿通孔14より幅広となっている。
【0047】
溝突入部30のうち、中間バンド挿通孔17,17の間に挟まれた部分は、ホースバンド81とパイプPとの間で挟持される拘束壁36となっている。拘束壁36は矩形陥没部35内に設けられており、溝突入部30の先端面31側を向いた面が、縦方向Yの中央部から両端部、即ち、中間バンド挿通孔17,17に向かって下るように傾斜した湾曲面となっている。
【0048】
なお、溝突入部30のうち、矩形陥没部35の長手方向(縦方向Y)の両端部側に位置する第1の矩形側面32A,32Aには、それぞれ門形開口部32A1,32A1が形成されており、これら門形開口部32A1,32A1が中間バンド挿通孔17,17と連絡している。
【0049】
そして、図10に示すように、ベース盤11の後面をパイプPに当接させた状態で、中間バンド挿通孔17,17に通されたホースバンド81をパイプPに巻き付け、そのホースバンド81の一端を他端に備えたバックル部に通してバックル部の螺子を締め付けることで、機器取付用アダプタ10をパイプPに固定することが可能となっている。
【0050】
さらに拘束壁36には、結束バンド82を挿通可能なバンド挿通溝34が形成されている。バンド挿通溝34は、拘束壁36の湾曲面を陥没させて形成されている。詳細には、バンド挿通溝34は、矩形陥没部35の短手方向(横方向X)の中央部で、矩形陥没部35の長手方向(縦方向Y)に延びており、第1の螺子挿通孔51と直交している。また、第1の螺子挿通孔51を挟んだ両側には、バンド挿通溝34に挿通された結束バンド82を押さえて結束バンド82の離脱を防止するバンド押さえ壁34H,34Hが差し渡されている。
【0051】
そして、図9に示すように、ベース盤11の後面をパイプPに当接させた状態で、バンド挿通溝34及び中間バンド挿通孔17,17に挿通させた結束バンド82をパイプPに巻き付け、その結束バンド82の一端に備えたバックルに他端部を通して結束バンド82を締め付けることで、機器取付用アダプタ10をパイプPに固定することが可能となっている。ここで、本実施形態では、上述した側部バンド挿通孔14、中間バンド挿通孔17及びバンド挿通溝34が、本発明の「ベルト挿通部」に相当する。
【0052】
なお、図9及び図10には、結束バンド82又はホースバンド81の何れか一方のみを用いてパイプPに固定した状態が示されているが、側部バンド挿通孔14に挿通させた2つの結束バンド82,82と、中間バンド挿通孔17,17に挿通させたホースバンド81とを併用してもよい。また、図9には、3本の結束バンド82を使用してパイプPに固定した状態が示されているが、側部バンド挿通孔14に挿通させた2本の結束バンド82だけ、或いは、バンド挿通溝34及び中間バンド挿通孔17,17に挿通させた1本の結束バンド82だけでパイプPに固定してもよい。
【0053】
ベース盤11及び溝突入部30の後面にはV字溝40が形成されている(図7(A)参照)。V字溝40は横方向X、つまり、側部バンド挿通孔14,14に挿通された結束バンド82又は、中間バンド挿通孔17,17に挿通されたホースバンド81と直交する方向に延びており、ベース盤11において縦方向Yに延びた両側辺11S,11Sと直交している。また、V字溝40の幅方向の中心で延びた底辺は、前記両側辺11S,11Sの中点とベース盤11の中心とを通っている。
【0054】
機器取付用アダプタ10をパイプPに固定する場合に、パイプPの円筒外面がV字溝40を構成する2つの傾斜面41,41に当接することで、図9及び図10に示すように、V字溝40とパイプPの軸方向とが平行になるように機器取付用アダプタ10をパイプPに対して位置決めすることができかつ、パイプPに対する機器取付用アダプタ10の取付状態を安定させることができる。
【0055】
さて、機器取付用アダプタ10のうち、溝突入部30の先端には、電子機器100に備えた固定係止爪120及び可動係止爪130と係止可能な爪係止突壁38が備えられている。爪係止突壁38は、溝突入部30の先端から相反する両側方に張り出しており、電子機器100が取付可能な所定サイズのDINレール200と同じ板厚及び同じ幅となっている。本実施形態では、爪係止突壁38全体の外縁部が4組の平行線を備えた八角形となっており、90度ずつ位相をずらした任意の位置で、固定係止爪120及び可動係止爪130と溝底面111(段差突部111T)との間に爪係止突壁38が挟持されるように構成されている。詳細には、爪係止突壁38は、溝突入部30に備えた4つの第1の矩形側面32Aから四方に向かって直角に突出している。
【0056】
即ち、DINレール200では、電子機器100の取付姿勢の自由度が「2」であるのに対し、本実施形態の機器取付用アダプタ10では、取付姿勢の自由度が「4」となっており、DINレール200に比べて電子機器100の取付姿勢の自由度が高くなっている。なお、溝突入部30とその先端に備えた爪係止突壁38とで、本発明の「DINレール代用突部」が構成されている。
【0057】
電子機器100に備えた固定係止爪120と可動係止爪130は、図13に示すように、DINレール200と結合した場合と同様に、レール受容溝110の段差突部111Tとの間で、溝突入部30から四方に張り出した爪係止突壁38を挟持するように構成されている。具体的には、爪係止突壁38のうち、溝突入部30から張り出した一端部38Tを固定係止爪120と段差突部111Tとの間に挟持させた状態で、その一端部38Tとは反対側に張り出した他端部38Tを可動係止爪130の傾斜面130Sに押し付けると、片持ちアーム132が弾性変形してスライド片131がレール受容溝110から後退し、可動係止爪130がガイド孔103の内側に退避する。そして、爪係止突壁38の他端部38Tが可動係止爪130を乗り越えると、片持ちアーム132の弾発力でスライド片131がレール受容溝110に向かって前進し、可動係止爪130がガイド孔103(第2の溝側面110S)から突出して、可動係止爪130とレール受容溝110の段差突部111Tとの間に、爪係止突壁38の他端部38Tが挟持される構成となっている。このように、DINレール200に対して取り付ける場合と同じ取付操作で、電子機器100を機器取付用アダプタ10に取り付けることができる(図11及び図12参照)。
【0058】
さて、機器取付用アダプタ10のうち、溝突入部30の先端面31からは、スライド規制突部37が突出している。スライド規制突部37は、爪係止突壁38に一体形成されており、爪係止突壁38のうち、溝突入部30から張り出した各端部38Tに、例えば、2つずつ対をなして備えられている。これらスライド規制突部37は、機器取付用アダプタ10の中心(第1の螺子挿通孔51)に対して点対称となる位置に配設されている。なお、スライド規制突部37は、矩形陥没部35の開口縁から離れるに従って徐々に迫り上がるように突出している。
【0059】
これに対し、電子機器100におけるレール受容溝110の溝底面111には、スライド規制凹部115A,115Bが形成されている。図2に示すように、スライド規制凹部115A,115Bは、レール受容溝110の幅方向の両測辺に沿って形成された段差突部111T,111Tの一部を陥没させた構造となっている。具体的には、図4(A)に示すように、第1の溝側面110S側に形成された段差突部111Tのうち、固定係止爪120の両側方には、スライド規制凹部115Aが対をなして形成されている。一方、図4(B)に示すように、第2の溝側面110S側に形成された段差突部111Tのうち、レール受容溝110の長手方向の中央部分には、スライド規制凹部115Aよりも長いスライド規制凹部115Bが1つ形成されている。
【0060】
そして、上述した取付操作により、爪係止突壁38のうち溝突入部30から両側方に張り出した端部38T,38Tが固定係止爪120及び可動係止爪130とレール受容溝110の段差突部111Tとの間に挟持される過程で、それら両端部38T,38Tから突出したスライド規制突部37,37が、スライド規制凹部115A,115A,115Bと凹凸係合する。これにより、レール受容溝110内における溝突入部30のスライドが規制され、スライド移動による電子機器100の脱落を防止するようになっている。
【0061】
ここで、図11に示すように、電子機器100の外面の長手方向の中心位置には、位置決め用目印100Mが付されており、ベース盤11のうち、横方向Xに延びた両側辺11S,11Sの中点にも、位置決め用目印11Mが付されている。そして、爪係止突壁38の両端部38T,38Tが固定係止爪120及び可動係止爪130とレール受容溝110の段差突部111Tとの間に挟持され、スライド規制突部37,37とスライド規制凹部115A,115Bとが凹凸係合した状態(図13(A)の状態)で、図11(B)に示すように、位置決め用目印100M,11M同士が一致するようになっている。従って、電子機器100を機器取付用アダプタ10に取り付ける際は、位置決め用目印100M,11M同士が一致するように電子機器100と機器取付用アダプタ10とを接近させることで、スライド規制突部37,37とスライド規制凹部115A,115Bとをスムーズに凹凸係合させることができる。
【0062】
また、図11(B)及び図13(A)に示した取付姿勢から90度位相ずらして、図12(B)及び図13(B)に示す取付姿勢で電子機器100を取り付けた場合には、電子機器100に付された位置決め用目印100Mと、機器取付用アダプタ10のV字溝40の底辺とが一致する。従って、この取付姿勢で電子機器100を機器取付用アダプタ10に取り付ける場合には、位置決め用目印100MとV字溝40の底辺とが一致するように電子機器100と機器取付用アダプタ10とを接近させることで、スライド規制突部37,37とスライド規制凹部115A,115Bとをスムーズに凹凸係合させることができる。
【0063】
図14には、本発明を適用した流量計90が示されている。流量計90はパイプPの途中に接続されて、パイプPを流れる流体の流量を検出するための流量計本体91と、流量計本体91にケーブル150を介して接続された信号処理ユニットとしての電子機器100を備えている。そして、流量計本体91の上端平面には、上述した機器取付用アダプタ10が複数の螺子80によって固定され、この機器取付用アダプタ10に、電子機器100が着脱可能に取り付けられている。ここで、電子機器100のうち、レール受容溝110とは反対側の前面には、流量の計測値を表示するための表示部105が設けられており、表示部105の向きを90度ずつ位相をずらした任意の見易い位置に取り付けることができる。また、図9又は図10に示すように、機器取付用アダプタ10をパイプPに固定すれば、電子機器100を流量計本体91ではなくパイプPに取り付けることも可能である。
【0064】
このように、本実施形態の電子機器取付構造及び機器取付用アダプタ10によれば、機器取付用アダプタ10から電子機器100に向かって突出した溝突入部30の先端から両側方に張り出した爪係止突壁38を備え、爪係止突壁38の両端部38T,38TがDINレール200にスライド係合可能な電子機器100の固定係止爪120及び可動係止爪130と係止することで、電子機器100を機器取付部材に取り付けることができる。また、電子機器100に備えたスライド規制凹部115A,115Bと、機器取付用アダプタ10に備えたスライド規制突部37,37とが凹凸係合して、レール受容溝110内での溝突入部30のスライドが規制される。つまり、本発明によれば、電子機器100をDINレール200及び機器取付用アダプタ10の両方に取付可能であり、DINレール200に取り付けた場合には、これまで通りDINレール200上で任意の位置に移動させることが可能である一方、機器取付用アダプタ10に取り付けた場合には、機器取付部材の所定の位置に動かないように固定することが可能になる。よって、従来のように、DINレール200上でスライド可能な電子機器の他に別途、スライド不能な電子機器を用意する必要がなくなる。
【0065】
また、機器取付用アダプタ10に取り付ける場合には、電子機器100を90度ずつ位相をずらした異なる4つの取付姿勢の中から、任意の取付姿勢を選択して取り付けることが可能になるので、DINレール200に取り付ける場合と比べて、電子機器100の取付姿勢の自由度が向上する。
【0066】
さらに、機器取付用アダプタ10は、結束バンド82やホースバンド81等、ベルト状の拘束部材を用いることで、DINレール200の固定が困難なパイプPにも固定することができ、DINレール200に対応した電子機器100をパイプPに取り付けることが可能となる。
【0067】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0068】
(1)上記実施形態では、爪係止突壁38の各端部38T,38Tにスライド規制突部37が2つずつ備えられていたが、機器取付用アダプタ10の中心(第1の螺子挿通孔51)に対して点対称となるように配置されていれば、図15に示すように爪係止突壁38の各端部38T,38Tに1つずつでもよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、爪係止突壁38の端部38Tが90度ずつ位相をずらして四方に張り出していたが、第1及び第2の矩形側面32A,32Bから異なる8方向に爪係止突壁38の端部38Tを突出させて、45度ずつ位相をずらした任意の位置で、固定係止爪120と可動係止爪130と溝底面111との間に爪係止突壁38が挟持されるように構成してもよい。即ち、45度ずつ位相をずらした異なる8つの取付姿勢の中から、任意の取付姿勢を選択して取り付け可能な構成にしてもよい。
【0070】
このとき、図16(A)に示すように、スライド規制突部37は、爪係止突壁38の全ての端部38Tに設けてもよいし、同図(B)に示すように、第1の矩形側面32Aから突出した端部38T,38Tだけに設けてもよいし、同図(C)に示すように、第2の矩形側面32Bから突出した端部38T,38Tだけに設けてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態の流量計90では、機器取付用アダプタ10を流量計本体91とは別部品で構成して螺子止めしていたが、爪係止突壁38とスライド規制突部37とを備えた溝突入部30を流量計本体91に一体形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 機器取付用アダプタ
11 ベース盤
11M 位置決め用目印
13 コーナー鍔部(螺子止め部)
14 側部バンド挿通孔(ベルト挿通部)
17 中間バンド挿通孔(ベルト挿通部)
30 溝突入部
34 バンド挿通溝(ベルト挿通部)
37 スライド規制突部
38 爪係止突壁
40 V字溝
51 第1の螺子挿通孔
52 第2の螺子挿通孔
80 螺子(ベース固定手段)
81 ホースバンド(ベース固定手段、ベルト)
82 結束バンド(ベース固定手段、ベルト)
90 流量計
91 流量計本体
100 電子機器
100M 位置決め用目印
101 筐体
110 レール受容溝
111 溝底面
111T,111T 段差突部
115A スライド規制凹部
115B スライド規制凹部
120 固定係止爪(第2の係止爪)
120K 係止面
130 可動係止爪(第1の係止爪)
130K 係止面
130S 傾斜面
150 ケーブル
200 DINレール
201 係止鍔部
P パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を機器取付部材に着脱可能に取り付けるための電子機器取付構造において、
前記電子機器に所定サイズのDINレールを受容可能なレール受容溝を形成し、そのレール受容溝の溝底面との間で前記DINレールの両側縁部を挟持する第1と第2の係止爪を備えて前記DINレールをスライド係合可能とすると共に、前記第1の係止爪の外面先端に傾斜面を設け、前記DINレールの一方の側縁部を前記第2の係止爪と前記溝底面との間に挟持させた状態で他方の側縁部を前記傾斜面に押し付けると、前記第1の係止爪の支持部分の弾性変形を乗り越えて前記第1の係止爪と前記溝底面との間に前記DINレールの他方の側縁部が挟持される構造とし、
前記機器取付部材に、前記レール受容溝に受容可能な溝突入部を形成し、前記溝突入部の先端から両側方に前記所定サイズのDINレールと同じ板厚及び同じ幅の爪係止突壁を張り出してなるDINレール代用突部を設け、
前記爪係止突壁に形成されて、前記レール受容溝の内面に向かって突出したスライド規制突部と、前記レール受容溝に形成されて、前記爪係止突壁が前記第1及び第2の係止爪と前記溝底面との間に挟持された状態で、前記スライド規制突部と凹凸係合し、前記レール受容溝内における前記溝突入部のスライドを規制するスライド規制凹部とを備えたことを特徴とする電子機器取付構造。
【請求項2】
前記爪係止突壁全体の外縁部を複数組の平行線を備えた多角形に形成し、前記電子機器を前記機器取付部材に対して90度ずつ位相をずらした、又は、45度ずつ位相をずらした任意の位置で、前記第1及び第2の係止爪と前記溝底面との間に前記爪係止突壁が挟持されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の電子機器取付構造。
【請求項3】
前記機器取付部材の外面に機器取付用アダプタが固定され、前記機器取付用アダプタには、前記機器取付部材の外面に宛がわれるベース盤と、前記ベース盤を前記機器取付部材に固定するためのベース固定手段とが備えられると共に、前記溝突入部は、前記ベース盤に突出形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器取付構造。
【請求項4】
前記ベース盤には、前記溝突入部に対して前記爪係止突壁より大きく側方に張り出した螺子止め部が備えられ、前記螺子止め部には、前記ベース固定手段としての螺子を挿通させるための螺子挿通孔が貫通形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器取付構造。
【請求項5】
前記機器取付部材はパイプであり、前記ベース盤には、前記パイプに当接して前記パイプの軸方向と平行に位置決めされるV字溝が形成され、前記ベース盤及び前記溝突入部には、前記パイプに巻き付ける前記ベース固定手段としてのベルトを前記爪係止突壁より前記パイプ側に挿通させるためのベルト挿通部が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子機器取付構造。
【請求項6】
前記スライド規制突部と前記スライド規制凹部とが凹凸係合した状態で、前記機器取付用アダプタと前記電子機器の双方に備えた位置合わせ用目印が一致するようにしたことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の電子機器取付構造。
【請求項7】
前記電子機器は、パイプの途中に接続されて、前記パイプを流れる流体の流量を検出するための流量計本体にケーブルを介して接続された信号処理部であり、前記機器取付部材は、前記流量計本体又はパイプであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の電子機器取付構造。
【請求項8】
レール受容溝とその両内側面から突出した1対の係止爪とを備え、前記係止爪の支持部分の弾性変形を乗り越えて、所定サイズのDINレールの側縁部を、前記係止爪と前記レール受容溝の溝底面との間に挟持可能な電子機器を、機器取付部材に着脱可能に取り付けるために前記機器取付部材に固定される機器取付用アダプタにおいて、
前記機器取付部材に宛がわれるベース盤と、
前記ベース盤を前記機器取付部材に固定するためのベース固定手段と、
前記ベース盤から突出して前記レール受容溝に受容可能な溝突入部と、
前記溝突入部の先端から両側方に張り出し、前記所定サイズのDINレールと同じ板厚及び同じ幅の爪係止突壁と、
前記爪係止突壁に突出形成され、前記爪係止突壁が前記係止爪と前記溝底面との間に挟持された状態で、前記レール受容溝の内面に係止されたスライド規制凹部に凹凸係合して前記レール受容溝内における前記溝突入部のスライドを規制するスライド規制突部とを備えたことを特徴とする機器取付用アダプタ。
【請求項9】
前記爪係止突壁全体の外縁部を複数組の平行線を備えた多角形に形成し、前記電子機器を前記機器取付部材に対して90度ずつ位相をずらした、又は、45度ずつ位相をずらした任意の位置で、前記第1及び第2の係止爪と前記溝底面との間に前記爪係止突壁が挟持されるように構成したことを特徴とする請求項8に記載の機器取付用アダプタ。
【請求項10】
前記ベース盤には、前記溝突入部に対して前記爪係止突壁より大きく側方に張り出した螺子止め部が備えられ、前記螺子止め部には、前記ベース固定手段としての螺子を挿通させるための螺子挿通孔が貫通形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の機器取付用アダプタ。
【請求項11】
前記機器取付部材はパイプであり、前記ベース盤には、前記パイプに当接して前記パイプの軸方向と平行に位置決めされるV字溝が形成され、前記ベース盤及び前記溝突入部には、前記パイプに巻き付ける前記ベース固定手段としてのベルトを前記爪係止突壁より前記パイプ側に挿通させるためのベルト挿通部が形成されていることを特徴とする請求項9乃至10に記載の機器取付用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−278292(P2010−278292A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130239(P2009−130239)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000116633)愛知時計電機株式会社 (126)
【Fターム(参考)】