説明

電子機器検査方法および電子機器検査装置

【課題】正常電子機器と検査電子機器とを正確に相対比較し、検査電子機器を精密に検査可能とする電子機器検査方法および電子機器検査装置を提供する。
【解決手段】正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの各々と電波を授受し、各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、検査電子機器Tを検査する電子機器検査方法であって、外部からの電波が遮蔽された検査箱10内に、正常電子機器Sと検査電子機器Tとを、所定の回転軸Eから等しい距離にそれぞれ配置する第1工程と、各電子機器と電波を授受しながら、各電子機器を回転軸E周りに回転させる第2工程と、有する電子機器検査方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの電子機器を検査する電子機器検査方法および電子機器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話などの電子機器は、製造後や修理後に、電子機器が正常に動作・機能するか否かについて、実際に無線電波による無線接続検査(試験)が行われる。具体的には、(1)電波暗室に正常な電子機器(以下、正常電子機器)を設置し、電波暗室内のアンテナと正常電子機器との間で電波を授受し、電波の授受状態を検出した後、(2)正常電子機器と検査対象である電子機器(以下、検査電子機器)とを置き換えた後、同様に電波を授受し、検査電子機器の電波授受状態を検出し、(3)これら電波授受状態を相対比較することで、検査電子機器が正常であるか否かの判定がされている。
なお、このような検査は、前記した電波暗室(電波無響室)と称される大型の特殊な部屋や、シールドボックス(電波遮蔽箱)と称される箱内で行われる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3097524号公報(段落番号0003、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一連の検査の過程において、正常電子機器と検査電子機器とを電波暗室に出し入れ等して置き換えると、これら電子機器を同様に設置しているにも関わらず、実際には設置条件が微妙に異なってしまう場合があった。そして、このように設置条件が異なると、正常電子機器と検査電子機器とを正確に相対比較することができず、検査電子機器が誤判定されてしまう場合もあった。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、正常電子機器と検査電子機器とを正確に相対比較し、検査電子機器を精密に検査可能とする電子機器検査方法および電子機器検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、正常な正常電子機器および検査する検査電子機器の各々と電波を授受し、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、前記検査電子機器を検査する電子機器検査方法であって、外部からの電波が遮蔽された電波遮蔽空間に、前記正常電子機器と前記検査電子機器とを、所定の回転軸から等しい距離にそれぞれ配置する第1工程と、前記各電子機器と電波を授受しながら、前記各電子機器を前記回転軸周りに回転させる第2工程と、を有することを特徴とする電子機器検査方法である。
【0006】
ここで、本明細書において、「正常電子機器および検査電子機器の各々と電波を授受する」とは、各々との双方向における送受信だけでなく、一方向、つまり、各々への送信のみ、または、各々からの受信のみを含む。
このような電子機器検査方法によれば、正常電子機器と検査電子機器とを、所定の回転軸から等しい距離にそれぞれ配置し(第1工程)、各電子機器と電波を授受しながら、適宜な回転手段を使用し、回転軸周りに回転させることによって(第2工程)、正常電子機器と検査電子機器とが同じ回転軌跡をたどり、正常電子機器と検査電子機器とを正確に入れ替える、つまり、正常電子機器(検査電子機器)があった場所に検査電子機器(正常電子機器)を配置することができる。そして、正常電子機器および検査電子機器の電波授受状態を相対比較することで、検査電子機器が正常であるか否かを精密に検査することができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記第2工程において電波の強度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器検査方法である。
【0008】
このような電子機器検査方法によれば、電波の強度を変化させることで、各電子機器の電波の授受限界点を検出しやすくなる。
【0009】
請求項3に係る発明は、正常な正常電子機器および検査する検査電子機器の各々と電波を授受し、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、前記検査電子機器を検査する電子機器検査方法であって、外部からの電波が遮蔽された電波遮蔽空間に、前記正常電子機器と前記検査電子機器とを、所定の回転軸から等しい距離にそれぞれ配置する第1工程と、前記各電子機器と電波を授受しながら電波の強度を変化させる第2工程と、前記回転軸周りに回転させて、前記正常電子機器と前記検査電子機器とを入れ替える第3工程と、前記各電子機器と電波を授受しながら電波の強度を変化させる第4工程と、を有することを特徴とする電子機器検査方法である。
【0010】
このような電子機器検査方法によれば、正常電子機器と前記検査電子機器とを、所定の回転軸から等しい距離にそれぞれ配置し(第1工程)、各電子機器と電波を授受しながら電波の強度を変化させ(第2工程)、その後、回転軸周りに回転させて、正常電子機器と検査電子機器とを入れ替え(第3工程)、各電子機器と電波を授受しながら電波の強度を変化させる(第4工程)。
そして、正常電子機器と検査電子機器とが対応する位置で、その電波授受状態を相対比較することで、検査電子機器が正常であるか否かを精密に検査することができる。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記正常電子機器と前記検査電子機器とは、前記回転軸に対して軸対称に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器検査方法である。
【0012】
このような電子機器検査方法によれば、正常電子機器と検査電子機器とが、回転軸に対して軸対称に位置することにより、180°回転させることで、正常電子機器と検査電子機器とを容易に入れ替えることができる。
【0013】
請求項5に係る発明は、正常な正常電子機器および検査する検査電子機器と電波を授受し、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、前記検査電子機器を検査するための電子機器検査装置であって、前記正常電子機器および前記検査電子機器が内部に入れられると共に、外部からの電波の遮蔽性および前記各電子機器から放射された電波を吸収する電波吸収性を有する検査装置本体と、前記各電子機器と電波を授受する電波授受手段と、前記検査装置本体の外部と内部とを連通させつつ、電波を遮蔽する電波遮蔽手段と、所定の回転軸周りに回転可能であると共に、前記各電子機器が前記回転軸から等しい距離で取り付けられる回転手段と、を備えたことを特徴とする電子機器検査装置である。
【0014】
このような電子機器検査装置によれば、検査電子機器を精密に検査することができる。そして、電波遮蔽手段によって、検査装置本体の外部と内部とは連通している。つまり、空気の流通性は確保されているため、電波遮蔽手段を介して吸気、排気や、各種ケーブルの配線などをすることができる。そして、本明細書では、後記する実施形態において、電波遮蔽手段として、各種導波管と、金属製フィルタとを例示する。
【0015】
ここで、導波管とは、所定波長より長い波長の電波を伝搬しない導波管である。「所定波長より長い波長の電波を伝搬しない」とは、「導波管は、所定波長以下の波長の電波が減衰せずに、その内部を良好に伝搬可能とする仕様で設計される」ことを言い換えた意味である。すなわち、連通路として機能する導波管の中空部を介して検査装置本体の内部と外部とは連通しているものの、導波管によって、検査装置本体内外間での電波の遮断能力は高められている。このように電波遮蔽手段として導波管を使用した場合、例えば、検査に必要となる電波の、内部から外部への伝搬度を30〜40dB程度に低下させることができる。
【0016】
また、本発明における導波管は、その外形が管状のものはもちろん、後記する図10、図11に示すように、その外形が板状等であってもよい。なお、導波管の数は特に限定されず、1本であってもよいし複数本であってもよく、さらに、複数の導波管が束状であってもよい。特に、複数の導波管を束状にすれば、各導波管を細くしても、検査装置本体の内部と外部を連通する連通路の総断面積を確保することができる。すなわち、各導波管の開口部の面積を小さくし、さらに各導波管を長くして、各導波管の電波の遮蔽能力を高めても、束状の導波管全体では、前記連通路の総断面積を確保することができ、仮に排気用導波管とした場合、その排気流量を確保しやすくなる。
さらに、このように導波管を使用する場合、その内側に電波吸収性シートなどを設けて電波吸収性を有するように構成することが好ましい。このようにすれば、導波管の中空部を伝搬しようとする前記所定波長より長い波長の電波を確実に吸収し、検査装置本体の電波の遮蔽性をさらに良好に維持することができる。
【0017】
金属製フィルタとは、電波を回折損失させることで遮蔽するフィルタであり、例えば、金属片が集合して構成されると共に、空気が流通する隙間を有するものである。
【0018】
また、検査装置本体は電波の遮蔽性を有することにより、例えば、外部からの電波は、検査装置本体の内部に到達しない。そして、電波遮蔽手段は、前記したように電波を遮蔽するため、検査装置本体の電波の遮蔽性は好適に維持される。
さらに、検査装置本体は、電波吸収性を有するため、電子機器や電波授受手段から放射された電波は検査装置本体内で吸収され、電波の反射による共振は防止される。
【0019】
さらにまた、所定の回転軸周りに回転可能な回転手段に、正常電子機器および検査電子機器を回転軸から等しい距離で取り付け、適宜に回転させることにより、正常電子機器と検査電子機器とを容易に入れ替えることができる。
したがって、正常電子機器および検査電子機器と、電波授受手段との間で電波を授受し、回転手段より正常電子機器と検査電子機器とを回転させ、各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、検査電子機器が正常であるか否かを精密に検査することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記検査装置本体は、その内側に、λ/4型の電波吸収構造または電波吸収シートを備えていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器検査装置である。
【0021】
このような電子機器検査装置によれば、検査装置本体の内面を平坦にすることができる。これにより、検査装置本体内を大きくしたり、検査装置本体の外形を小さくすることができる。
【0022】
請求項7に係る発明は、前記各電子機器と前記電波授受手段との間で授受する電波の強度を変化させる電波強度変化手段を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子機器検査装置である。
【0023】
このような電子機器検査装置によれば、電波強度変化手段により、電波の強度を変化させることで、各電子機器の電波の授受限界点を検出しやすくなる。
【0024】
請求項8に係る発明は、前記回転手段および前記電波強度変化手段を制御する制御手段と、前記各電子機器の電波授受状態を検出することで、前記検査電子機器を検査する検査手段と、を備え、前記制御手段は、前記電波強度変化手段により電波の強度を変化させながら、前記回転手段を前記回転軸周りに回転させ、前記検査手段は、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較し、前記検査電子機器が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の電子機器検査装置である。
【0025】
このような電子機器検査装置によれば、制御手段が、電波強度変化手段により電波の強度を変化させながら各電子機器と電波を授受し、回転手段により各電子機器を回転軸周りに回転させる。そして、検査手段が、各電子機器の電波授受状態を相対比較することによって、検査電子機器が正常であるか否かを精密に判定することができる。
【0026】
請求項9に係る発明は、前記回転手段および前記電波強度変化手段を制御する制御手段と、前記各電子機器の電波授受状態を検出することで、前記検査電子機器を検査する検査手段と、を備え、前記制御手段は、前記電波強度変化手段により電波の強度を変化させた後、前記回転手段を前記回転軸周りに回転させ、その後前記電波強度変化手段により電波の強度を変化させ、前記検査手段は、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較し、前記検査電子機器が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の電子機器検査装置である。
【0027】
このような電子機器検査装置によれば、制御手段が、電波強度変化手段により電波の強度を変化させながら各電子機器と電波を授受した後、回転手段により回転軸周りに回転させ正常電子機器と検査電子機器とを入れ替えた後、電波強度変化手段により電波の強度を変化させながら各電子機器と電波を授受する。そして、検査手段が、各電子機器の電波授受状態を相対比較することによって、検査電子機器が正常であるか否かを精密に判定することができる。
【0028】
請求項10に係る発明は、前記回転手段の前記各電子機器側は、当該各電子機器から放射された電波を吸収する電波吸収性を有することを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0029】
このような電子機器検査装置によれば、電子機器から放射された電波を、回転手段の電子機器側で吸収し、電波の共振を抑えることができる。これにより、電子機器を精密に検査することができる。
【0030】
請求項11に係る発明は、前記回転手段に前記各電子機器を保持固定するための保持固定手段をそれぞれ備え、前記各保持固定手段は前記回転軸に対して軸対称であることを特徴とする請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0031】
このような電子機器検査装置によれば、保持固定手段に、正常電子機器と検査電子機器とを取り付けることで、正常電子機器と検査電子機器とを回転軸に対して、軸対称に配置させることができる。
【0032】
請求項12に係る発明は、前記各電子機器と接続するケーブルと、前記回転による前記接続ケーブルのよじれを防止するスリップリングと、を備えたことを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0033】
このような電子機器検査装置によれば、スリップリングにより、各電子機器の回転によるケーブルのよじれを防止することができる。
【0034】
請求項13に係る発明は、電波妨害を防止するEMIダクトを備え、前記ケーブルは前記EMIダクトに挿通されていることを特徴とする請求項12に記載の電子機器検査装置である。
【0035】
このような電子機器検査装置によれば、電磁妨害を防止しつつ、検査装置本体の外部から内部に、EMIダクトを介してケーブルを配線することができる。
【0036】
請求項14に係る発明は、前記ケーブルを被覆し、ノイズを吸収するノイズ吸収体を備えたことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の電子機器検査装置である。
【0037】
このような電子機器検査装置によれば、ノイズ吸収体により、ケーブル内を導通するノイズを吸収することができる。
【0038】
請求項15に係る発明は、前記検査装置本体は、電波の遮蔽性を有する金属製の筐体を備えたことを特徴とする請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0039】
このような電子機器検査装置によれば、導電性を有する金属製の筐体により、電波を確実に遮蔽することができる。また、金属製であることにより、筐体の剛性は高められ、その結果として、検査装置本体の耐久性を高めることができる。
【0040】
請求項16に係る発明は、前記検査装置本体内の前記電子機器を視認可能とし、かつ、電波を反射する窓を備えたことを特徴とする請求項5から請求項15のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0041】
このような電子機器検査装置によれば、窓を介して、例えば、電子機器の検査状況を視認することができる。また、窓が電波を反射することにより、検査装置本体の電波の遮蔽性を維持することができる。
【0042】
請求項17に係る発明は、前記検査装置本体内に前記電子機器を入れるための扉を備えたことを特徴とする請求項5から請求項16のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0043】
このような電子機器検査装置によれば、扉を適宜に開閉させることで、電子機器を検査装置本体内に配置したり、検査装置本体から取り出すことができる。また、扉の縁部分であって、検査装置本体との当接部分には、扉の閉鎖時における電波の遮蔽性を高めるべく、枠状のパッキンを設けることが好ましい。
【0044】
請求項18に係る発明は、前記検査装置本体内を照らす照明を備えたことを特徴とする請求項5から請求項17のいずれか1項に記載の電子機器検査装置である。
【0045】
このような電子機器検査装置によれば、照明によって検査装置本体内を照らすことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、正常電子機器と検査電子機器とを正確に相対比較し、検査電子機器を精密に検査可能とする電子機器検査方法および電子機器検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
なお、ここでは、特許請求の範囲における電子機器を図2に示すように携帯電話とし、アンテナ20から正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに電波を送り(授け)、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの電波受信状態を相対比較することで、検査電子機器Tが正常であるか否かを判定する場合を例示する。
【0048】
≪電子機器検査装置の構成≫
図1および図2に示すように、電子機器検査装置1は、その内部(電波遮蔽空間)に正常電子機器Sおよび検査電子機器Tが入れられる検査箱10(検査装置本体)と、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの各々に電波を送るアンテナ20(電波授受手段)と、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tが取り付けられる回転ユニット30(回転手段)と、検査箱10内の熱を排気する排気ユニット40と、制御ユニット51(制御手段)と、可変電波発生ユニット52(電波強度変化手段)と、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの電波受信(授受)状態を検出し、検査電子機器Tを検査する検査ユニット60(検査手段)と、を主に備えている。
【0049】
<検査箱>
検査箱10は、その外形が略直方体の箱体であり、ラック11上に固定されている。検査箱10は、その正面に開閉自在の扉12を備えており、扉12を適宜に開/閉して、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを、検査箱10内に配置/取り出しするようになっている。また、扉12の縁部であって、扉12を閉じたときに検査箱10とで挟まれる部分には、電波遮蔽性を有する枠状のパッキン(図示しない)が設けられている。
【0050】
扉12は窓13を備えている。窓13は、検査箱10内を視認可能な透明性を有している。これにより、検査箱10の外から、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを監視し、例えば、電波を受信したことによる着信ランプの点灯の有無を観察できるようになっている。
また、窓13は、これを介しての電波の往来を防止する電波の反射性(遮断性)を有しており、検査箱10の電波遮蔽性が維持されるようになっている。このような窓13は、例えば、ガラス板の片面にITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)膜を形成したものを使用できる。
【0051】
検査箱10は、外側の筐体14と、筐体14の内面を覆うように設けられたλ/4型の電波吸収構造16とを備えている(図3参照)。
【0052】
筐体14は、金属製であり導電性を有している。これにより、筐体14は、所定の剛性を有しその耐久性が高められていると共に、外部から電波の遮蔽性を有している。このような筐体14は、骨格となるフレーム(図示しない)と、このフレームに溶接された複数のパネル(図示しない)とを備えて構成されている。フレームと各パネルとは、隙間が形成されないように溶接されており、筐体14の密閉性、つまり、電波の遮蔽性は高められている。なお、図3は、検査箱10の側壁10bを拡大しており、複数のパネルの一つである側面パネル15を記載している。
【0053】
筐体14のフレームおよび各パネルを形成する金属は、本発明では特に限定されず、純金属だけでなく合金でもよい。特に、フレーム等がアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、アルミニウム等)で形成された場合、筐体14は所望の剛性を維持しつつ、軽量化が図られる。また、アルミニウム等は独特の光沢を有するため、検査箱10は美観に優れたものとなる。
【0054】
次に、図3を参照して、電波吸収構造16について説明する。
電波吸収構造16は、電波を吸収させる公知の一方式(λ/4型)に基づく構造であり、筐体14の内面を覆うように構築されており、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tや、アンテナ20から放射された電波を、筐体14の内面で反射させず擬似的に吸収させる構造である。すなわち、電波吸収構造16は、正常電子機器Sおよび検査電子機器T、アンテナ20から放射された電波が、筐体14の内面で反射した電波と共振することを防止させる構造である。
【0055】
電波吸収構造16は、筐体14の内側に配置されたスペーサ16Aと、さらにその内側に配置され、電波の1/2を透過させる機能を有する抵抗膜シート16Bと、さらにその内側に配置され抵抗膜シート16Bを保護する保護膜16Cとを備えて構成されている。
【0056】
スペーサ16Aは、正常電子機器Sおよび検査電子機器T、アンテナ20から放射された電波の波長をλとした場合、抵抗膜シート16Bと筐体14との間隔をλ/4に設定するためものであり、λ/4の厚みT1を有している。スペーサ16Aは、電波の透過性を有しており、例えば、発泡スチロールから形成される。このように発泡スチロールから形成される場合、スペーサ16Aの厚みT1を容易に調整可能となる。
【0057】
抵抗膜シート16Bは、その表面抵抗値が自由空間のインピーダンス(376.7Ω)に略等しくなるように調整された薄いシートである。このような抵抗膜シート16Bとしては、炭素導電性塗料を適宜なベースシートに塗布したものや、ITO膜の抵抗値を調整して成膜したものなどを使用することができる。
保護膜16Cは、抵抗膜シート16Bの内側に積層されており、抵抗膜シート16Bの表面を保護するようになっている。
【0058】
そして、このような電波吸収構造16の表面は、平坦となっている。これにより、例えば、複数の凸状の電波吸収体を備える場合と比較して、検査箱10内を大きくしたり、検査箱10の外形を小さくしたりすることができる。
【0059】
ここで、電波吸収構造16による電波吸収のメカニズムについて説明する。
正常電子機器Sおよび検査電子機器T、またはアンテナ20から放射された電波W1が、保護膜16Cの垂直方向から電波が入射した場合、保護膜16Cを通過した後、その1/2が抵抗膜シート16Bを透過し、1/2が抵抗膜シート16Bで反射する。ここで、抵抗膜シート16Bを透過した電波を電波W2、反射した電波を電波W3とする。電波W2は、スペーサ16A内を進んだ後、筐体14の側面パネル15で反射し、電波W4となる。なお、抵抗膜シート16B、側面パネル15での反射の際に電波の位相はそれぞれ反転する。
【0060】
そうすると、筐体14での反射後、抵抗膜シート16Bに到達した電波W4は、抵抗膜シート16Bで反射した電波W3に対して、スペーサ16Aの厚みT1の2倍、つまり、「λ/4×2=λ/2」進んでおり、電波W3の位相と電波W4の位相が反転することになる。したがって、電波W3と電波W4とは相互に打ち消し合い、その結果として、抵抗膜シート16Bに入射した電波W1は擬似的に吸収されるようになっている。
【0061】
図2に戻って、検査箱10の説明を続ける。
検査箱10の上壁10aには、検査箱10内を照らすLED(Light Emitting Diode)ランプ17(照明)が設けられている。これにより、検査中において、検査箱10内を照らし、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを観察しやすくなっている。
【0062】
ラック11には、EMI(Electro Magnetic Interference:電磁妨害または電磁干渉)ダクト18が設けられている。EMIダクト18は、電磁妨害を防止しつつ、後記するケーブル62などをラック11の外部から内部に挿通可能とするダクトであり、ガスケット18aを介して、ラック11に固定されている。これにより、EMIダクト18を介して、ケーブル62を筐体14の外部から内部に配線可能とすると共に、ケーブル62の挿通部分からの電磁妨害は防止され、筐体14の遮蔽性は確保されている。
また、図2に示すように、ケーブル62の所定長さ(例えば100mm以上)が、EMIダクト18内を通るように、ケーブル62を配線することによって、前記電磁妨害が好適に防止される。
【0063】
<アンテナ>
アンテナ20は、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに電波を送る(授受)するためのものである。アンテナ20は、回転軸E線上であって、検査箱10に固定されたアンテナ用導波管21(電波遮蔽手段)を介して、検査箱10の上壁10aに垂設されている。
アンテナ20にはケーブル22が接続されており、このケーブル22はアンテナ用導波管21を介して外部に引き出され、可変電波発生ユニット52に接続している。そして、アンテナ20は、可変電波発生ユニット52で増幅された後、可変電波発生ユニット52から送られた信号に基づいて電波を発生し、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに送るようになっている。
【0064】
アンテナ用導波管21は筒状の導波管であり、その中空部を介して検査箱10の内部と外部とを連通させている。また、アンテナ用導波管21は、アルミニウム合金などの金属製であり、電波遮蔽性を有している。さらに、アンテナ用導波管21の仕様は、その内部を伝搬させない電波の波長に基づいて設定されている。具体的には、アンテナ用導波管21の内径および長さは、所定波長よりも長い波長の電波が、その内部を伝搬して、検査箱10の内部から外部へ漏れないように設定されている。
【0065】
したがって、アンテナ用導波管21内にケーブル22を配線しつつ、アンテナ用導波管21内の電波の伝搬を防止することで、検査箱10の電波の遮蔽性が好適に維持されるようになっている。
なお、一般に導波管は、その開口部の形状と寸法(長さ)が同一であれば、導波管が長くなる程、その内部を電波が伝播しにくくなり、遮蔽性能が高くなる。また、導波管の開口部の形状にも依存するが、開口部の面積が小さくなる程、導波管が遮蔽できる電波の限界周波数(所定の周波数)が高くなる。
【0066】
<回転ユニット>
回転ユニット30は、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを、平面視において検査箱10の中心を通る回転軸E(所定の回転軸)周りに回転させるユニットである。回転ユニット30は、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tがその上面に配置される回転テーブル31と、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを回転テーブル31に保持固定するための一対の治具32、32(保持固定手段)と、検査箱10に固定される共に検査箱10の内部と外部を連通させるテーブル用導波管35(電波遮蔽手段)と、モータ36と、モータ電源37とを主に備えている。
【0067】
回転テーブル31は、テーブル本体33と、この上面に設けられ、電波吸収性を有する電波吸収シート34とを備えている。したがって、回転テーブル31の正常電子機器Sおよび検査電子機器T側は、これら電子機器から放射された電波を吸収する電波吸収性を有している。これにより、正常電子機器Sおよび検査電子機器T、または、アンテナ20から放射された電波が、電波吸収シート34で吸収され、反射による電波の共振が抑えられるようになっている。
【0068】
このような電波吸収シート34としては、例えば、双極子型と称される電波吸収シートを使用することができる。双極子型の電波吸収シート34とは、(1)カーボン粉末、酸化チタンなどの化合物から形成され、この化合物が有する電界を利用(例えば、電子配置の変化)することで電波を吸収するシートや、(2)例えば特許第3040953号公報に記載されるように、Mn−Zn系フェライト粉やカルボニル鉄などと、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマ)系ゴムとの化合物から形成され、この化合物が有する磁界を利用(例えば、磁界が変化)することで電波を吸収するシートや、(3)樹脂(例えばポリウレタン)と磁性体とが複合化されたシートである。具体的には、電波吸収シートとして、例えば、東洋サービス社製のルミディオン(登録商標)、日立金属社製のHTD−101などを使用することができる。なお、このような電波吸収シート34は、広いバンドで電波を吸収するため、広帯域吸収体と称される場合もある。
【0069】
テーブル本体33は、スラスト軸受け(図示しない)を介してテーブル用導波管35に固定されており、回転テーブル31は検査箱10に対して回転自在となっている。テーブル本体33は、その中心軸線上に、ケーブル62が挿通される挿通孔33aを有している。
また、テーブル用導波管35は、アンテナ用導波管21と同様に、その内部を所定波長以上の電波を伝播させない導波管である。このようなテーブル用導波管35によって、検査箱10の電波遮蔽性は維持されている。
【0070】
一対の治具32、32は、回転テーブル31に固定されており、正常電子機器Sまたは検査電子機器Tを、回転テーブル31上に、着脱自在に保持固定するための手段である。治具32、32は、回転軸Eに対して軸対称(180°対向)に配置されている。そして、治具32、32に、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tが固定されると、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tが回転軸Eに対して軸対称に配置されることとなり、さらに正常電子機器SのアンテナSaの軌跡と、検査電子機器TのアンテナTaの軌跡とが、同一円周上を通るようになる。すなわち、このように各電子機器が固定されると、正常電子機器Sおよび検査電子機器T(アンテナを含む)が、回転軸Eから等しい距離に配置するようになっている。
ただし、治具32、32の位置、つまり、正常電子機器Sと検査電子機器Tの位置は、軸対称(180°対向)に限定されず、例えば、平面視において、正常電子機器Sと検査電子機器Tとでなす角度が90°となるように配置されてもよい。
また、治具32、32は、回転軸Eから正常電子機器Sおよび検査電子機器Tまでの距離を精密に同一とするため、微調整ねじ、距離センサなどによって構成される微調整機構を備えてもよい。
【0071】
モータ36は、減速機構38を介して、回転テーブル31を回転させる駆動装置である。モータ36は、モータ電源37と接続しており、モータ電源37から電力供給を受けて、所望の回転速度で回転すると共に、モータ電源37から送られる電流の向きに応じて、正方向/逆方向に回転自在となっている。モータ電源37は、制御ユニット51から送られる指令に従って、モータ36に電力を供給するようになっている。
【0072】
<排気ユニット>
図4を参照して、排気ユニット40について説明する。
排気ユニット40は、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tから放出された熱を排気し、検査箱10内の過昇温を防止するユニットである。排気ユニット40は、図4(a)に示すように、金属製ハニカムとも称されるハニカム体41(電波遮蔽手段)と、排気ファン42とを備えている。
ハニカム体41は、金属製(例えばアルミニウム合金製)の押出形材であって、検査箱10の側壁10bに固定されている。また、ハニカム体41は、図4(b)に示すように、複数の細孔41aを有しており、この複数の細孔41aを介して、検査箱10の内部と外部とが連通している。排気ファン42はハニカム体41の外側に設けられており、排気ファン42が駆動すると、検査箱10内の熱が外部に排気されるようになっている。
【0073】
ハニカム体41の各細孔41aを取り囲む周壁41bは筒状を呈しており、この筒状の周壁41bは、アンテナ用導波管21、テーブル用導波管35と同様に、その内部を所定波長以上の電波を伝播させない導波管として機能している。すなわち、ハニカム体41は、細孔41aを取り囲む筒状の周壁41bからなる導波管が、複数集合し、束状となって構成されている。
また、ハニカム体41を取り付けるため、検査箱10の側壁10bに形成する貫通孔の開口径Y1、ハニカム体41の長さY2(=筒状の周壁41bからなる各導波管の長さ)および細孔41aの開口径Y3は、アンテナ用導波管21等と同様に、ハニカム体41内を伝搬させない電波の波長に基づいて設定される(例えば、Y1=79.5mm、Y2=12.7mm、Y3=3.18mm)。なお、図4(b)に示すように、本実施形態では、ハニカム体41の細孔41aが六角形である場合を例示しているが、これに限定されず、矩形などであってもよい。
【0074】
<制御ユニット>
図2に戻って説明を続ける。
制御ユニット51は、アンテナ20から正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに送る電波と、回転ユニット30とを制御するユニットである。このような制御ユニット51は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などから構成される。制御ユニット51の具体的な動作については、後で説明する。
【0075】
<可変電波発生ユニット>
可変電波発生ユニット52は、アンテナ20で発生させる電波の強度を変化させるユニットであり、信号発生器と、アンプと、を備えている。信号発生器は、制御ユニット51からの指令を受けると、電気信号を発生するようになっている。そして、アンプは、この発生した電気信号を、制御ユニット51からの指令に応じて、増幅するようになっている。次いで、この増幅または減衰した電気信号がアンテナ20に送られるようになっている。その結果として、アンテナ20で発生し、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに送られる電波の強度が、変化するようになっている。
ここで、電波の強度を変化させるとは、例えば電波の強度を「Asin(ωt+α)、A:電波の振幅、ω:角速度、t:時間、α:位相差」とした場合、振幅Aを変化させることである。
このような可変電波発生ユニット52としては、例えば、ヒューレット・パッカード(HP)社製の8449Bなどを使用することができる。
【0076】
<検査ユニット>
検査ユニット60は、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの電波受信(授受)状態を検出し、検査電子機器Tが正常であるか否かを判定するユニットである。検査ユニット60は、検査ユニット本体61と、検査ユニット本体61と正常電子機器Sまたは検査電子機器Tとをそれぞれ接続するケーブル62、62と、スリップリング63とを主に備えている。検査ユニット本体61は、各電子機器の電波受信状態を検出し、この受信状態を相対比較して、検査電子機器Tが正常であるか否かを判定するものである。検査ユニット本体61の動作については、後で説明する。
【0077】
各ケーブル62の一端は検査ユニット本体61に接続されている。一方、各ケーブル62の他端は、EMIダクト18、テーブル本体33の挿通孔33aを介して、検査箱10内に引き出されている。さらに、各ケーブル62の他端には、正常電子機器Sまたは検査電子機器Tと着脱自在に接続するコネクタ62aが設けられている。
【0078】
ケーブル62のうち、EMIダクト18内を通る部分、および、その所定前後部分の外周面は、ケーブル62内を導通するノイズを吸収するノイズ吸収体64に被覆されている。これにより、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの電波受信状態が、ケーブル62を介し、検査ユニット本体61において高精度で検出されるようになっている。このようなノイズ吸収体64としては、例えば、東洋サービス社製のEMIテープ「ルミディオン(登録商標)ET」により、ケーブル62を所定長さ(例えば300mm以上)にて巻回することで構成される。
スリップリング63は、回転テーブル31の回転により、各ケーブル62がよじれないように、適所に設けられている。
【0079】
≪電子機器検査装置の動作、電子機器検査方法≫
次に、電子機器検査装置1の動作を説明しつつ、本実施形態に係る電子機器検査方法について、図5を主に参照して説明する。本実施形態に係る電子機器検査方法は、検査箱10内(電波遮蔽空間)に、正常電子機器S(図5では正常品と略称)と検査電子機器T(図5では検査品と略称)とを配置する第1工程と、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tで、強度が4段階で弱くなる電波を受信しながら、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを回転軸E周りに回転させる第2工程と、を有している。
なお、ここでは、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを4回転させ、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに送る電波が、1回転毎に、レベルL4、L3、L2、L1と弱める場合について説明する。
【0080】
<第1工程>
オペレータは扉12を開き、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを検査箱10内に挿入し、治具32、32に取り付け、正常電子機器Sと検査電子機器Tとを回転軸Eに対して軸対称、つまり、回転軸Eから等しい距離に配置する。そして、コネクタ62a、62aを正常電子機器Sまたは検査電子機器Tにそれぞれ接続する。
【0081】
<第2工程>
オペレータは検査開始スイッチ(図示しない)をONにする。制御ユニット51は、この検査スイッチのON信号を検知すると、可変電波発生ユニット52にアンテナ20から電波を発生するように指令を送る。そうすると、可変電波発生ユニット52に内蔵された信号発生器は、制御ユニット51からの指令に基づいて、電気信号を発生する。次いで、可変電波発生ユニット52に内蔵されたアンプが、制御ユニット51からの指令に従って、電気信号を適宜に増幅させた後、この増幅した信号がアンテナ20に送られる。その結果として、アンテナ20では、強度が変化した電波が発生し、この電波が正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの各々に送られる。
これに並行して、制御ユニット51は、モータ電源37に、モータ36に電力を供給し回転テーブル31を所定の回転速度で回転させる指令を送る。そうすると、この指令に基づいて、モータ電源37からモータ36に電力が供給され、モータ36が駆動し、減速機構38を介して、回転テーブル31、つまり、これに保持固定された正常電子機器Sおよび検査電子機器Tが、回転軸E周りに回転する。
【0082】
このようにアンテナ20から、回転する正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに電波を送りながら、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの電波の受信状態を検査ユニット本体61で検出する。
そして、検査ユニット本体61は、正常電子機器Sと検査電子機器Tとが入れ替わる検査点(例えば、図5に示す3回転目の検査点A1と検査点A3、検査点A2と検査点A4)において、正常電子機器Sと検査電子機器Tとの電波受信状態を相対比較する。次いで、検査ユニット本体61は、同一の電波の強度(図5では、レベルL2の電波強度)において、正常電子機器Sが受信したにも関わらず検査電子機器Tが受信しない場合、検査電子機器Tは正常でないと判定し、例えば、液晶パネル61aにその表示をする。一方、検査ユニット本体61は、同一の電波の強度において、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tのいずれもが受信できた場合、検査電子機器Tは正常であると判定する。
【0083】
なお、図5では、電波の強度がレベルL4の1回転目、レベルL3の2回転目では、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tのいずれもが電波を受信できたが、レベルL2の3回転目に係る検査点A1、A2、A3、A4では正常電子機器Sのみ受信し、レベルL1の4回転目に係る検査点A5、A6、A7、A8ではいずれも受信できなかったことを示している。
【0084】
このようにして、本実施形態に係る電子機器検査装置1および電子機器検査方法によれば、正常電子機器Sと検査電子機器Tとを、回転軸Eに対して軸対称に配置し、各電子機器に回転毎に強度の異なる電波を送りながら、各電子機器を回転させて入れ替えることにより、精密に相対比較することができ、検査電子機器Tが正常であるか否かを精密に検査することができる。
【0085】
さらに、検査ユニット本体61が、図5に示すグラフに基づいて、図6に示すような、正常電子機器Sの受信限界レベルL11(アンテナ20が発する電波の強度であって正常電子機器Sが受信可能な電波の最小強度)と、検査電子機器Tの受信限界レベルL12(アンテナ20が発する電波の強度であって検査電子機器Tが受信可能な電波の最小強度)とを求め、検査電子機器Tの受信限界レベルL12が、正常電子機器Sの受信限界レベルL11より高い場合(L12>L11)、検査電子機器Tが正常でないと判定するような構成としてもよい。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のような変更が可能である。
【0087】
前記した実施形態では、電子機器を携帯電話とした場合について説明したが、この他に例えば、PDA(Personal Digital Assistance)や、無線LAN機能を備えるノートパソコンなどであってもよい。
【0088】
前記した実施形態では、アンテナ20から、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに電波を送り、各電子機器の電波受信状態を相対比較することで、検査電子機器Tが正常であるか否かを判定したが、その他に例えば、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tから、アンテナ20に電波を送り、相対比較することで検査電子機器Tを検査してもよい。
【0089】
前記した実施形態では、検査装置本体として検査箱10を例示したが、その他に例えば、大型の電波暗室であってもよい。
【0090】
前記した実施形態では、検査箱10が略立方体の箱体である場合を例示したが、検査箱10の形状はこれに限定されず、適宜変更自由であり、例えば検査箱10は円筒体状であってもよい。このように検査箱10が円筒体状である場合、検査箱10の中心軸線と、回転テーブル31の回転軸Eとを一致させ、さらにアンテナ20を回転軸E線上に位置させることが好ましい。このようにすれば、検査箱10の内面と正常電子機器Sおよび検査電子機器Tとの距離が、回転中において一定となるため、電波吸収構造16で吸収されず筐体14で反射した電波があったとしても、回転中、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tに送られる電波は一定となる。これにより、検査電子機器Tを精密に検査しやすくなる。
【0091】
前記した実施形態では、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを回転させる回転手段として回転テーブル31を備える構成としたが、回転手段はこれに限定されず、例えば、回転軸Eで回転する回転アームを備える構成としてもよい。
【0092】
前記した実施形態では、可変電波発生ユニット52(電波強度変化手段)は、電気信号を増幅させるアンプを内蔵し、このアンプよって適宜に増幅された電気信号がアンテナ20に送られ、アンテナ20で発生する電波の強度が変化するとしたが、その他に例えば、可変電波発生ユニット52が減衰器を内蔵し、前記電気信号を適宜に減衰させることにより、アンテナ20で発生する電波の強度を変化させる構成としてもよい。
【0093】
前記した実施形態では、正常電子機器Sと検査電子機器Tとを回転軸Eに対して軸対称、つまり、各電子機器を平面視において180°対向させて配置し、回転テーブル31を180°回転させることで正常電子機器Sと検査電子機器Tを入れ替える場合を例示したが、各電子機器の位置はこれに限定されず、例えば、平面視において正常電子機器Sと検査電子機器Tとを周方向に90°ずらして配置してもよく、このような場合、回転テーブル31を90°回転させることで、正常電子機器Sと検査電子機器Tとを入れ替えることができる。なお、回転軸Eから、正常電子機器S、検査電子機器Tまでの距離は、前記した実施形態と同様に等しくする。
【0094】
前記した実施形態では、電波の強度を変化する方式として、電波の強度を弱くする場合について説明したが、逆に電波の強度を強くする方式であってもよい。
また、回転毎に電波を弱める(または強める)程度は、適宜に変更してよいことは言うまでもない。
さらに、例えば、図5において、2回転目のレベルL3の強度の電波を、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの両者が受信でき、3回転目のレベルL2の強度の電波を両者が受信できなかった場合、電波強度の下げ幅を小さく変更することで、さらに精密な検査をすることができる。
さらにまた、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの総回転数は4回転に、電波の強度の段階的な変化数は4段階に、それぞれ限定されず、回転数を増加させると共に、さらに多数の段階で電波強度を変化させることにより、精密に検査することができる。
【0095】
前記した実施形態では、第2工程において、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tで、4段階でその強度が弱くなる電波を受信しながら、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tを回転軸E周りに4回転させるとしたが、その他に例えば、図7に示すように、回転させず固定位置において各電子機器で、その強度が連続的に弱くなる電波を受信し(第2工程)、その後、回転軸E周りに180°回転させて、正常電子機器Sと検査電子機器Tとを入れ替え(第3工程)、再び各電子機器で、その強度が連続的に弱くなる電波を受信してもよい(第4工程)。
【0096】
このようにすれば、回転前において正常電子機器Sの電波受信限界が検査点B1であって、その電波強度がレベルL21であった場合、180°回転後の検査電子機器Tの電波受信限界が検査点B2であり、その電波強度がレベルL21より高いとき、検査電子機器Tは正常でないと判定することができる。一方、回転後の検査電子機器Tの電波受信限界が検査点B3であり、電波強度がレベルL21と同一であるとき、検査電子機器Tは正常であると判定することができる。
【0097】
その他、図8に示すように、各回転において、電波の強度を90°回転毎に、変化させる方式を採用してもよい。この場合、正常電子機器Sと検査電子機器Tとが入れ替わる検査点C1と検査点C2、検査点C3と検査点C4とにおける電波受信状態を、検査ユニット本体61で抽出し、相対比較することで、検査電子機器Tが正常であるか否かを判定することができる。
その他、電波の強度を例えば30°毎に変化させる方式を採用してもよい。
【0098】
前記した実施形態では、扉12に窓13が設けられた構成としたが、窓13の位置はこれに限定されず、例えば検査箱10に直接設けてもよい。また、窓13の数もこれに限定されず、複数の窓13を検査箱10に設けて、正常電子機器Sおよび検査電子機器Tの視認性を高める構成としてもよい。
【0099】
前記した実施形態では、λ/4の厚みT1を有するスペーサ16Aを設けたが、筐体14と抵抗膜シート16Bとの間隔をλ/4に設定可能ならば、スペーサ16Aを備えなくてもよい。ただし、筐体14と、抵抗膜シート16Bとの間は、電波が透過可能である必要がある。
【0100】
前記した実施形態では、導波管として、アンテナ用導波管21と、テーブル用導波管35と、ハニカム体41を構成する複数の導波管と、を備える構成としたが、導波管の数はこれに限定されず、例えば吸気用の導波管を検査箱10に設けてもよい。
【0101】
前記した実施形態では、検査箱10は金属製の筐体14を備え、その遮蔽性、剛性等を高める構成としたが、例えば、電波吸収性を有する板材で箱体を構成し、これを検査箱としてもよい。
【0102】
前記した実施形態では、排気ユニット40は、1つのハニカム体41を備える構成としたが、さらにハニカム体41を備え、ハニカム体41が複数段である構成であってもよい。すなわち、複数の導波管(束)をその長手方向に複数段で配置された構成としてもよい。この場合において、段違いで配置された導波管の仕様(内径や長さ)を別々に設定することにより、各導波管内を伝搬させない電波を別々に設定することができる。そして、その結果として、段違いに配置された導波管全体としての電波の遮蔽能力を高めることができる。
その他、1つの大内径の導波管内に、複数の導波管(束)であるハニカム体を備える構成、つまり、多重構造の導波管としてもよい。
【0103】
前記した実施形態では、筐体14の内面に電波吸収構造16が設けられたことにより、検査箱10が電波吸収性を有する構成としたが、電波吸収構造16に代えて、図9に示すように、筐体14の内面を、電波吸収シート34と同材質の電波吸収シート19で覆う構成としてもよい。また、電波吸収シートを、例えばアンテナ用導波管の内面に設け、電波遮蔽性を高めるようにしてもよい。
【0104】
前記した実施形態では、排気ユニット40を構成するハニカム体41の細孔41aを介して排気するとしたが、図10(a)に示すように側面パネル15に複数の排気孔15a(空気流通孔)を形成すると共に、側面パネル15の外側に排気ファン42を取り付けて(図10(b)参照)、複数の排気孔15aを介して排気するようにしてもよい。この場合、各排気孔15aが所定波長より長い波長の電波を伝搬しない導波管として機能するように、排気孔15aの内径、長さを設定する(図10(c)参照)。このように側面パネル15に複数の排気孔15aが形成された場合、排気孔15aが導波管の中空部に相当し、側面パネル15は前記導波管が束になって集合した導波管集合プレートに相当する。具体的に例えば、厚さ10mmの側面パネル15に、直径3.0mmの排気孔15aが約100個にて形成される。ただし、このような複数の空気流通孔は排気用に限らず、吸気用であってもよいことは言うまでもない。なお、図10では、電波吸収構造16を省略して記載している。
【0105】
前記した側面パネル15に複数の排気孔15aを形成した場合に代えて(図10参照)、図11(a)に示すように、側面パネル15に大きめの開口15bを形成し、この開口15bを検査箱10の内側から塞ぐように、複数の排気孔44aが形成されたプレート44を、取付枠43を介して、側面パネル15に取り付けてもよい(図11(b)参照)。この場合、排気孔44aが、排気孔15aと同様に、所定波長より長い波長の電波を伝搬しない導波管として機能するように、排気孔44aの内径、長さを設定する(図11(c)参照)。また、このように側面パネル15とは別のプレート44に排気孔44aを形成したことにより、検査箱10の内部と外部とを伝播させない電波の種類に対応して、プレート44を容易に取り替えることができる。
【0106】
その他、図12(a)に示すように、排気孔44aが形成されたプレート44に代えて、エクスパンドアルミとも称されるアルミニウム片フィルタ45(電波遮蔽手段)を使用してもよい。アルミニウム片フィルタ45は、取付枠43に設けられたメッシュ43aと、取付枠46に設けられたメッシュ46aとで挟まれつつ、開口15bに蓋をするようにして、側面パネル15に固定される(図12(b)、(c)参照)。アルミニウム片フィルタ45(金属製のフィルタ)は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金の小片(金属片)が集合して構成されたものであり、その内部に空気が流通する隙間を有している。そして、検査箱10内の空気が、アルミニウム片フィルタ45の隙間を通って、外部に排出されるようになっている。
ここで、電波もアルミニウム片フィルタ45の隙間を通過しようとするが、アルミニウム片フィルタ45を構成するアルミニウム等の小片によって電波が回折損失し、電波が遮蔽されるようになっている。なお、電波の回折損失とは、電波が複数のアルミニウム等の小片によって反射し、この小片の背面側(電波の進行方向側)に電波が伝播しにくいことである。
また、このようなアルミニウム片フィルタ45に代えて、スチールウールや、メッシュが複数重ねられてなるメッシュ積層体を、電波遮蔽手段として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施形態に係る電子機器検査装置の斜視図である。
【図2】図1に示す電子機器検査装置のX−X線断面図である。
【図3】図2に示す検査箱の側壁の拡大図である。
【図4】(a)は図2に示す排気ユニットの拡大図であり、(b)は検査箱内から排気ユニットを見た図である。
【図5】本実施形態に係る電子機器検査装置の一動作例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る電子機器検査装置の一効果を示す図である。
【図7】本実施形態に係る電子機器検査装置の別の動作例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る電子機器検査装置の別の動作例を示す図である。
【図9】変形例に係る検査箱の側壁の拡大図である。
【図10】変形例に係る排気ユニットの図であり、(a)は検査箱内から排気ユニットを見た図であり、(b)は検査箱外から排気ユニットを見た図であり、(c)は排気ユニットの側断面図である。
【図11】変形例に係る排気ユニットの図であり、(a)は検査箱内から排気ユニットを見て、排気ユニットを分解した図であり、(b)は検査箱内から排気ユニットを見た図であり、(c)は排気ユニットの側断面図である。
【図12】変形例に係る排気ユニットの図であり、(a)は検査箱内から排気ユニットを見て、排気ユニットを分解した図であり、(b)は検査箱内から排気ユニットを見た図であり、(c)は排気ユニットの側断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1 電子機器検査装置
10 検査箱(検査装置本体)
12 扉
13 窓
14 筐体
15 側面パネル
16 電波吸収構造
16A スペーサ
16B 抵抗膜シート
16C 保護膜
17 LEDランプ(照明)
18 EMIダクト
19 電波吸収シート
20 アンテナ(電波授受手段)
21 アンテナ用導波管(電波遮蔽手段)
30 回転ユニット(回転手段)
31 回転テーブル
32 治具(保持固定手段)
33 テーブル本体
34 電波吸収シート
35 テーブル用導波管(電波遮蔽手段)
36 モータ
37 モータ電源
38 減速機構
40 排気ユニット
41 ハニカム体(電波遮蔽手段)
42 排気ファン
44 プレート(電波遮蔽手段)
45 アルミニウム片フィルタ(電波遮蔽手段)
51 制御ユニット(制御手段)
52 可変電波発生ユニット(可変電波発生手段)
60 検査ユニット(検査手段)
61 検査ユニット本体
63 スリップリング
64 ノイズ吸収体
E 回転軸
S 正常電子機器
T 検査電子機器
L1〜L4 電波強度のレベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正常な正常電子機器および検査する検査電子機器の各々と電波を授受し、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、前記検査電子機器を検査する電子機器検査方法であって、
外部からの電波が遮蔽された電波遮蔽空間に、前記正常電子機器と前記検査電子機器とを、所定の回転軸から等しい距離にそれぞれ配置する第1工程と、
前記各電子機器と電波を授受しながら、前記各電子機器を前記回転軸周りに回転させる第2工程と、
を有することを特徴とする電子機器検査方法。
【請求項2】
前記第2工程において電波の強度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器検査方法。
【請求項3】
正常な正常電子機器および検査する検査電子機器の各々と電波を授受し、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、前記検査電子機器を検査する電子機器検査方法であって、
外部からの電波が遮蔽された電波遮蔽空間に、前記正常電子機器と前記検査電子機器とを、所定の回転軸から等しい距離にそれぞれ配置する第1工程と、
前記各電子機器と電波を授受しながら電波の強度を変化させる第2工程と、
前記回転軸周りに回転させて、前記正常電子機器と前記検査電子機器とを入れ替える第3工程と、
前記各電子機器と電波を授受しながら電波の強度を変化させる第4工程と、
を有することを特徴とする電子機器検査方法。
【請求項4】
前記正常電子機器と前記検査電子機器とは、前記回転軸に対して軸対称に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器検査方法。
【請求項5】
正常な正常電子機器および検査する検査電子機器の各々と電波を授受し、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較することで、前記検査電子機器を検査するための電子機器検査装置であって、
前記正常電子機器および前記検査電子機器が内部に入れられると共に、外部からの電波の遮蔽性および前記各電子機器から放射された電波を吸収する電波吸収性を有する検査装置本体と、
前記各電子機器と電波を授受する電波授受手段と、
前記検査装置本体の外部と内部とを連通させつつ、電波を遮蔽する電波遮蔽手段と、
所定の回転軸周りに回転可能であると共に、前記各電子機器が前記回転軸から等しい距離で取り付けられる回転手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器検査装置。
【請求項6】
前記検査装置本体は、その内側に、λ/4型の電波吸収構造または電波吸収シートを備えていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器検査装置。
【請求項7】
前記各電子機器と前記電波授受手段との間で授受する電波の強度を変化させる電波強度変化手段を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子機器検査装置。
【請求項8】
前記回転手段および前記電波強度発生手段を制御する制御手段と、
前記各電子機器の電波授受状態を検出することで、前記検査電子機器を検査する検査手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電波強度変化手段により電波の強度を変化させながら、前記回転手段を前記回転軸周りに回転させ、
前記検査手段は、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較し、前記検査電子機器が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の電子機器検査装置。
【請求項9】
前記回転手段および前記電波強度変化手段を制御する制御手段と、
前記各電子機器の電波授受状態を検出することで、前記検査電子機器を検査する検査手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電波強度変化手段により電波の強度を変化させた後、前記回転手段を前記回転軸周りに回転させ、その後前記電波強度変化手段により電波の強度を変化させ、
前記検査手段は、前記各電子機器の電波授受状態を相対比較し、前記検査電子機器が正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の電子機器検査装置。
【請求項10】
前記回転手段の前記各電子機器側は、当該各電子機器から放射された電波を吸収する電波吸収性を有することを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。
【請求項11】
前記回転手段に前記各電子機器を保持固定するための保持固定手段をそれぞれ備え、
前記各保持固定手段は前記回転軸に対して軸対称であることを特徴とする請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。
【請求項12】
前記各電子機器と接続するケーブルと、
前記回転による前記接続ケーブルのよじれを防止するスリップリングと、
を備えたことを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。
【請求項13】
電波妨害を防止するEMIダクトを備え、
前記ケーブルは前記EMIダクトに挿通されていることを特徴とする請求項12に記載の電子機器検査装置。
【請求項14】
前記ケーブルを被覆し、ノイズを吸収するノイズ吸収体を備えたことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の電子機器検査装置。
【請求項15】
前記検査装置本体は、電波の遮蔽性を有する金属製の筐体を備えたことを特徴とする請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。
【請求項16】
前記検査装置本体内の前記電子機器を視認可能とし、かつ、電波を反射する窓を備えたことを特徴とする請求項5から請求項15のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。
【請求項17】
前記検査装置本体内に前記電子機器を入れるための扉を備えたことを特徴とする請求項5から請求項16のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。
【請求項18】
前記検査装置本体内を照らす照明を備えたことを特徴とする請求項5から請求項17のいずれか1項に記載の電子機器検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−101445(P2007−101445A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293940(P2005−293940)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】