説明

電子機器

【課題】 連結部の耐久性を向上させることができ、連結部内を通る導体の健全性や、筐体の開閉動作の良好性を長期にわたって維持することができる電子機器を提供すること。また、導体および軸体を連結部内へと組み込む作業を容易なものとすることができる電子機器を提供すること。
【解決手段】 重ね合わせ可能な2つの筐体10,20が、連結部4によって、厚さ方向Dに直交する回転軸線Lを中心として互いに開閉可能に連結された電子機器1において、前記連結部4が、前記回転軸線Lを共通の中心軸線として前記2つの筐体10,20のそれぞれに設けられた挿通孔28,29,38,39と、筒状の軸体41と、を備え、前記軸体41の周壁部に被嵌合部48,52が設けられ、挿通方向外側の筐体20には、前記挿通孔28,38より内部側に、前記被嵌合部48,52に嵌合する嵌合部61,65が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal digital Assistants )等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器として、表示部を備えた第1の筐体と、操作キーを備えた第2の筐体とが、連結部によって、それら筐体の厚さ方向に直交する回転軸線を中心として互いに開閉可能に連結された、いわゆる折り畳み式のものがある(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。これら電子機器には、連結部内に回転軸線に沿った軸体が取り付けられたものが周知となっている。そして、このような折り畳み式の電子機器では、第1の筐体および第2の筐体にそれぞれ設けられた回路基板同士を接続するために、連結部に導体を通す必要がある。また、電子機器の小型化・軽量化の要請に応じて、軸体の長さ寸法も短く設定されているのが一般的である。
【特許文献1】特開2002−314659号公報
【特許文献2】特開2004−207446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような電子機器では、第1の筐体と第2の筐体との開閉動作に伴って、軸体がズレたり外れたりしてしまい、連結部の連結強度が低下するという問題がある。そのため、軸体のズレによって連結部内の導体が損傷し、導体の健全性や電子機器の機能が損なわれるおそれがあるだけでなく、第1の筐体と第2の筐体とのスムーズな開閉動作が阻害されてしまう。さらに、軸体が短小であるため、連結部内に導体を通してさらに軸体を組み込む作業が困難になってしまう。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、連結部の耐久性を向上させることができ、連結部内を通る導体の健全性や、筐体の開閉動作の良好性を長期にわたって維持することができる電子機器を提供することを目的としている。
また、導体および軸体を連結部内へと組み込む作業を容易なものとすることができる電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、厚さ方向に互いに重ね合わせ可能な2つの筐体と、これら2つの筐体を、前記厚さ方向に交わる回転軸線を中心として互いに開閉可能に連結する連結部と、を有する電子機器において、前記連結部が、前記回転軸線を共通の中心軸線として前記2つの筐体のそれぞれに設けられた挿通孔と、これら挿通孔にわたって挿通された筒状の軸体と、を備え、前記軸体の周壁部に被嵌合部が設けられ、挿通方向外側の筐体には、前記挿通孔より内部側に、前記被嵌合部と嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記被嵌合部が、前記厚さ方向に向けられた凹部または貫通孔であって、前記嵌合部が、前記厚さ方向に突出する突起であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記被嵌合部が、前記厚さ方向に延びる同一直線上であって、互いに前記軸体の筒孔を挟んで設けられた第1の被嵌合部および第2の被嵌合部とを備えるとともに、前記嵌合部が、前記第1の被嵌合部に嵌合する第1の嵌合部と、前記第2の被嵌合部に嵌合する第2の嵌合部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記第1の嵌合部と前記第1の被嵌合部との嵌合寸法と、前記第2の嵌合部と前記第2の被嵌合部との嵌合寸法とが異なるように設定されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記軸体が、この軸体を前記挿通孔に挿通する際に、前記回転軸線を中心として回転する前記軸体の前記挿通孔に対する回転位置を決める回転位置決め手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記回転位置決め手段が、前記挿通孔の内壁または前記軸体の外壁のいずれか一方に設けられ、前記軸体の挿通する方向に延びる長溝と、いずれか他方に設けられ、前記長溝に嵌合する突出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、筐体に設けられた嵌合部と、軸体に設けられた被嵌合部とを嵌合させることによって、軸体をしっかりと固定することができ、そのため連結部の耐久性を向上させることができるだけでなく、導体の組み込み時においても、導体が不意に外れ落ちることがないため、その組み込み作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施例)
以下、本発明の実施例における電子機器について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明を携帯電話機に適用した場合の例を示す図であって、符号1は携帯電話機を示している。
この携帯電話機1は、第1の筐体10および第2の筐体20が、連結部4により回転軸線Lを中心として互いに開閉可能に連結された折り畳み式のものである。
第1の筐体10および第2の筐体20は略直方体形状とされており、その四隅はR状に面取りされている。
第1の筐体10は、表示側フロントケース10aと表示側リアケース10bとが重ね合わされて構成され、同様にして、第2の筐体20も、操作側フロントケース20aと操作側リアケース20bとが重ね合わされて構成されている。
【0013】
表示側フロントケース10aの表面には、LCD等の表示部5およびスピーカ6が設けられている。そして、第1の筐体10には、表示部5の各種制御を行う表示制御部15を有する表示側基板16が設けられている。
また、操作側フロントケース20aの表面には、テンキー等の各種操作キー8およびマイク9が設けられている。そして、第2の筐体20には、操作キー8からの操作信号が入力されて各種処理を行う操作制御部22を有する操作側基板23が設けられている。
なお、表示制御部15と操作制御部22とは、図8に示すケーブル67を介して電気的に接続されている。
【0014】
また、上記連結部4は、表示側フロントケース10aの長さ方向Hの一端に設けられ、第1の筐体10の厚さ方向Dに向けて突出する連結突出部25を備えている。連結突出部25は、表示側フロントケース10aの表面の延在する方向であって、かつ長さ方向Hに直交する幅方向Wに向けて延ばされており、その内部には、図2に示すように、空洞部26が設けられている。空洞部26の長さ方向の両端に配される側壁部14には、第1開口部28および第2開口部29が形成されている。これら第1開口部28および第2開口部29は、空洞部26内において、回転軸線L上に対向して配置されている。
【0015】
さらに、連結部4は、第2の筐体20の長さ方向の一端であって、かつ幅方向Wの両端に設けられた第1連結凸部33および第2連結凸部34を備えている。これら第1連結凸部33および第2連結凸部34の間には、回転軸線L上に延びる連結凹部31が設けられている。また、第1連結凸部33および第2連結凸部34には、それぞれ第1連結挿通孔38および第2連結挿通孔39が設けられており、これら第1連結挿通孔38および第2連結挿通孔39は、回転軸線L上に対向して配置されている。
【0016】
そして、このような第1の筐体10と第2の筐体20とが、厚さ方向Dに互いに重ね合わされ、連結突出部25が連結凹部31に嵌合して構成されている。連結突出部25を連結凹部31に嵌合させることにより、図1に示すように、第1開口部28と第1連結挿通孔38とが隣接して配置され、第2開口部29と第2連結挿通孔39とが隣接して配置されている。そして、これら第1、第2の開口部28,29および第1、第2の連結挿通孔38,39が、回転軸線Lを共通の中心軸線として同心上に配置されている。さらに、隣接して配置された第1開口部28と第1連結挿通孔38とにわたって、筒状に延びる軸体41が挿通されるようになっており、第2開口部29と第2連結挿通孔39とにわたって、柱状に延びる連結棒状部材42が挿通されるようになっている。
【0017】
さらに、本実施例における軸体41は、例えば、摺動性に優れたポリアセタール等の樹脂からなっており、図3(a)から(c)に示すように、細径の内筒部44と、この内筒部44の長さ方向の一端に配された大径の外筒部45とが一体的に設けられて構成されている。内筒部44の他端は、先端部43が漸次細くなるように周壁部47の一部が切り欠かれており、凸形状をなしている。その切り欠き部分には、略R状をなすR切欠部70が形成されている。そして、先端部43の周壁部47には、厚さ方向Dに向けられた貫通孔(被嵌合部)48が形成されており、周壁部47の外壁49には凹部(被嵌合部)52が形成されている。これら貫通孔48および凹部52は、互いに筒孔51を挟んで配され、回転軸線Lを通って厚さ方向Dに延びる同一直線上に配置されている。また、外壁49には、互いに筒孔51を挟んで配され、本実施例においては、厚さ方向Dに直交する方向に向けて外方に突出する突出部55a,55bが形成されている。これら突出部55a,55bは、軸体41の長さ方向に向けて延ばされている。
【0018】
また、外筒部45の周壁には、把持孔59が形成されており、さらに外筒部45の一端には、その全周にわたってフランジ部56が形成されている。外筒部45の端面には、その中央に筒孔開口部54が形成されており、この筒孔開口部54の近傍には、筒孔51に沿って、軸体41の長さ方向に延びる溝部46が形成されている。この溝部46は、軸体41の製造時におけるヒケ対策用の肉抜きとして設けられたものであり、軸体41の長さ方向に沿って貫通させてもよい。
また、筒孔開口部54の縁部には、面取り部58が形成されている。この面取り部58は、筒孔51にケーブル67を挿通したときに、ケーブル67に損傷を与えるのを防止するためのものであり、ケーブル67を保護するために設けられたものである。
このような構成のもと、第1の筐体10と第2の筐体20とを重ね合わせ、隣接配置された第1開口部28と第1連結挿通孔38とにわたって軸体41を挿通することにより、軸体41が回転軸線L上に配され、第1の筐体10と第2の筐体20とが回転軸線Lを中心として互いに開閉可能に連結されるようになっている。
【0019】
さらに、本実施例における第1連結挿通孔38の内壁38aには、図2に示すように、長さ方向Hに向けられて、回転軸線Lを挟んで対向配置された長溝63a,63bが形成されている。長溝63a,63bは、回転軸線Lに沿って延ばされており、軸体41に設けられた突出部55a,55bがそれぞれ嵌合するようになっている。
また、本実施における操作側フロントケース20aの裏面には、図4に示すように、操作側リアケース20b側に向けて突出するフロント突起部61が設けられている。フロント突起部61は、第1連結挿通孔38の内部側であって第1連結挿通孔38に隣接して設けられており、軸体41が第1連結挿通孔38に挿通されると、軸体41に設けられた凹部52に嵌合するようになっている。また、フロント突起部61は、第1連結挿通孔38に向けて傾斜して配されたテーパー部62と一体的に形成されている。
【0020】
さらに、図5に示すように、操作側リアケース20bの裏面には、操作側フロントケース20aに向けて突出するリア突起部65が設けられている。リア突起部65は、第1連結挿通孔38の内部側であって第1連結挿通孔38に隣接して設けられており、軸体41が第1連結挿通孔38に挿通されると、軸体41に設けられた貫通孔48に嵌合するようになっている。
そして、図4に示すフロント突起部61の突出寸法は、リア突起部65の突出寸法より短く設定されている。
【0021】
次に、このような構成のもと、連結部4内に軸体41を組み込む作業について以下に説明する。
まず、操作側フロントケース20aを把持し、図1に示す操作側基板23に接続されたケーブル67の先端を、第1連結凸部33から連結凹部31に向けて第1連結挿通孔38内に挿入する。それから、図2に示すように、操作側フロントケース20aの表面に表示側フロントケース10aを重ね合わせる。すると、連結突出部25が連結凹部31に嵌合し、そのため、第1開口部28と第1連結挿通孔38とが隣接するとともに、第2開口部29と第2連結挿通孔39とが隣接する。このとき、第1、第2の開口部28,29および第1、第2の連結挿通孔38,39が、回転軸線Lを共通の中心軸線として同心状に配される。
【0022】
そして、第1連結挿通孔38内に挿入されたケーブル67を、第1開口部28を介して外方に引っ張り出す。この引っ張り出したケーブル67の先端を、軸体41の筒孔51に先端部43側から挿通させる。そして、ケーブル67に沿って軸体41を送り込んでいく。それから、図3(b)に示すように、ピンセット68を把持孔59に挿通することによって、軸体41を把持しながら、第1開口部28に内筒部44の先端部43を挿入する。このとき、突出部55aと長溝63aとを嵌合させ、また突出部55bと長溝63bとを嵌合させる。そして、突出部55a,55bを長溝63a,63bに対してスライドさせながら、軸体41を押し込んで挿通させていく。すると、図6に示すように、先端部43が、テーパー部62によって、全体に縮径するように漸次弾性変形させられ、軸体41をさらに押し込んでいくと、フロント突起部61が凹部52に一致する位置に配されるため、弾性変形した先端部43が復元してフロント突起部61が凹部52に嵌合される。
【0023】
このとき、フロント突起部61の突出寸法は短く設定されているので、フロント突起部61が凹部52に嵌合する嵌合寸法は短くなる。つまり、フロント突起部61は、凹部52に浅く嵌合する。そのため、フロント突起部61と凹部52との嵌合は解除し易くなっており、ここでは、軸体41を再度抜き差しすることを想定した仮固定として機能する。
また、このとき、先端部43のうち、凹部52と回転軸線Lを挟んだ反対側には、貫通孔48が露出した状態となる。さらに、操作側フロントケース20aの面取りされたR状の壁部にR切欠部70が当接されるとともに、図7に示すように、フランジ部56が側壁部14に当接される。これにより、軸体41の回転軸線L上の位置が確実に位置決めされる。
なお、ここで、挿通方向とは、空洞部26から第1開口部28を経て第1連結挿通孔38内に軸体41を挿通するときの方向をいう。また、挿通方向外側の筐体とは、図8に示すように、第1開口部28を有する第1の筐体10と、第1連結挿通孔38とを有する第2の筐体20とのうち、軸体41が挿通された挿通方向の先側に配された筐体をいうものであり、ここでは、第2の筐体20を指す。
また、図6において、ケーブル67の図示を省略しているが、実際には筒孔51にケーブル67が挿通されているのは言うまでもない。
【0024】
このように軸体41を仮固定した状態で、操作側基板23などの各種部品を挟んで操作側フロントケース20aと操作側リアケース20bとを重ね合わせて固定する。これにより、第2の筐体20が形成される。このとき、操作側リアケース20bにはリア突起部65が形成されていることから、図8に示すように、露出した貫通孔48にリア突起部65が嵌合する。リア突起部65の突出寸法は、フロント突起部61の突出寸法より長く設定されていることから、リア突起部65と貫通孔48との嵌合寸法は長くなる。つまり、リア突起部65は、貫通孔48に深く嵌合する。これによって、軸体41が確実に固定され、軸体41の組み込み作業が終了する。
【0025】
なお、この後は、第2の筐体20の外方に延びるケーブル67の一端を表示側基板16に接続し、隣接した第2開口部29と第2連結挿通孔39とにわたって連結棒状部材42を挿通する。さらに、表示側基板16などの各種部品を挟んで表示側フロントケース10aと表示側リアケース10bとを重ね合わせて固定する。これにより、第1の筐体10が形成され、携帯電話機1が組み立てられる。
【0026】
次に、このように構成された本実施例に係る携帯電話機1における作用について、以下に説明する。
まず、携帯電話機1を携行する場合には、第1の筐体10と第2の筐体20とを相互に閉じた状態に配する。これにより寸法的にコンパクトとなり携行に適したサイズとなる。一方、このように第1の筐体10と第2の筐体20とが互いに閉じられた状態から、例えば電話をかける場合には、両筐体10,20を相互に開き、所定の操作キー8を押圧して表示部5に写し出される文字や画像を確認しながら、電話番号の登録された相手を選択し、または所定の電話番号を押下する。そして、スピーカ6を操作者の耳元に近づけ、マイク9を操作者の口元に近づけることにより通話を開始する。
【0027】
ここで、上記のように、第1の筐体10と第2の筐体20とを互いに開閉させると、従来は、軸体41がズレたり外れたりし易かったが、本実施例における携帯電話機1では、以下のようにして、それらズレなどが防止される。
すなわち、図8に示すように、厚さ方向Dに延びるフロント突起部61が凹部52に嵌合しており、さらに、厚さ方向Dに延びるリア突起部65が貫通孔48に嵌合していることから、軸体41の幅方向Wへの動きが規制される。さらに、第1の筐体10や第2の筐体20が捻られたりすると、上記ズレなどを生じさせる力が軸体41に作用する場合もあるが、フランジ部56と側壁部14とが当接するとともに、R切欠部70と操作側フロントケース20aのR状の壁部とが当接することによって、その力に抗して軸体41が支持され、元の姿勢が維持される。
【0028】
以上より、本実施例における携帯電話機1においては、フロント突起部61が凹部52に嵌合されるとともに、リア突起部65が貫通孔48に嵌合されるため、連結部4内において軸体41をしっかりと確実に固定することができ、連結部4の耐久性を向上させることができる。そのため、軸体41のズレによって、ケーブル67に損傷を与えるのを防止することができ、また第1の筐体10と第2の筐体20とのスムーズかつ適正な開閉動作が阻害されるのを防止することができる。つまり、連結部4内を通るケーブル67の健全性や、第1の筐体10と第2の筐体20との開閉動作の良好性を長期にわたって維持することができる。
【0029】
また、凹部52と貫通孔48とが、互いに回転軸線Lを挟んで、厚さ方向Dに延びる同一直線上に配されているため、軸体41をバランスよく均等に支持することができ、これにより軸体41のズレなどをより一層防止することができる。
また、フロント突起部61が凹部52に嵌合されることにより、筒孔51にケーブル67を挿通させた状態で、軸体41を容易に固定することができるため、ケーブル67および軸体41の組み込み作業を容易に行うことができる。
【0030】
さらに、フロント突起部61の突出寸法を短く設定し、フロント突起部61と凹部52との嵌合を解除し易くすることによって、軸体41の組み込み作業時における種々の状況に応じて、軸体41の抜き差しを簡単に行うことができ、これにより、組み込み作業をより一層容易に行うことができる。
また、突出部55a,55bおよび長溝63a,63bを嵌合させることにより、第1開口部28および第1連結挿通孔38に軸体41を挿通させるときに、第1開口部28および第1連結挿通孔38に対する軸体41の回転軸線L周りの回転位置を容易に決めることができる。そのため、軸体41を連結部4に組み込むときの利便性を向上させることができる。
【0031】
なお、本実施例においては、嵌合部および被嵌合部として、フロント突起部61やリア突起部65など2組設けているが、これに限ることはなく、その設置数や設置場所は適宜変更可能である。
また、フロント突起部61およびリア突起部65の嵌合寸法が異なるものとしたが、これに限ることはなく、同一寸法であってもよい。但し、フロント突起部61の嵌合寸法を短くした方が、軸体41の組み込み時において、軸体41の抜き差しが容易になって利便性が向上するのは上述した通りである。
【0032】
また、凹部52と貫通孔48とを設けるとしたが、これに限ることはなく、いずれも凹部であったり、いずれも貫通孔であったりしてもよい。
さらに、突出部55a,55bを軸体41に設け、長溝63a,63bを第1連結挿通孔38の内壁38aに設けるとしたが、これに限ることはなく、それぞれ反対に設けるようにしてもよい。
また、ケーブル67としたが、これに限ることはなく、フレキシブル配線基板などであってもよい。
また、本実施例では、携帯電話機1を例にとって説明したが、本発明は携帯電話機1に限定されるものではなく、PDA等のような他の電子機器にも適用可能であることは勿論である。
さらに、本発明の技術範囲は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る電子機器の実施例に係る折り畳み式の携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】同実施例における操作側フロントケースと表示側フロントケースとを重ねる様子を示す説明図である。
【図3】同実施例における軸体を示す図であって、(a)は軸体を外筒部側から見たときの様子を示す斜視図、(b)は軸体を先端部側から見たときの様子を示す斜視図、(c)は軸体の側面図である。
【図4】同実施例における操作側フロントケースを裏面側から見たときの様子を示す図であって、第1連結凸部内の様子を示す斜視図である。
【図5】同実施例における操作側リアケースを裏面側から見たときの様子を示す図であって、第1連結凸部内の様子を示す斜視図である。
【図6】同実施例における軸体を、連結部内に組み付けた様子を示す図であって、操作側フロントケースの裏面側から見たときの様子を示す斜視図である。
【図7】図6の軸体を、表示側フロントケースの裏面側から見たときの様子を示す斜視図である。
【図8】第1の筐体と第2の筐体とを相互に閉じたときの様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 携帯電話機(電子機器)
4 連結部
10 第1の筐体
20 第2の筐体
28 第1開口部(挿通孔)
29 第2開口部(挿通孔)
38 第1連結挿通孔(挿通孔)
38a 内壁
39 第2連結挿通孔(挿通孔)
41 軸体
47 周壁部
48 貫通孔(被嵌合部)
49 外壁
51 筒孔
52 凹部(被嵌合部)
55a,55b 突出部(回転位置決め手段)
63a,63b 長溝(回転位置決め手段)
61 フロント突起部(突起)
65 リア突起部(突起)
D 厚さ方向
L 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に互いに重ね合わせ可能な2つの筐体と、これら2つの筐体を、前記厚さ方向に交わる回転軸線を中心として互いに開閉可能に連結する連結部と、を有する電子機器において、
前記連結部が、前記回転軸線を共通の中心軸線として前記2つの筐体のそれぞれに設けられた挿通孔と、これら挿通孔にわたって挿通された筒状の軸体と、を備え、
前記軸体の周壁部に被嵌合部が設けられ、
挿通方向外側の筐体には、前記挿通孔より内部側に、前記被嵌合部と嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記被嵌合部が、前記厚さ方向に向けられた凹部または貫通孔であって、
前記嵌合部が、前記厚さ方向に突出する突起であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記被嵌合部が、前記厚さ方向に延びる同一直線上であって、互いに前記軸体の筒孔を挟んで設けられた第1の被嵌合部および第2の被嵌合部とを備えるとともに、
前記嵌合部が、前記第1の被嵌合部に嵌合する第1の嵌合部と、前記第2の被嵌合部に嵌合する第2の嵌合部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の嵌合部と前記第1の被嵌合部との嵌合寸法と、前記第2の嵌合部と前記第2の被嵌合部との嵌合寸法とが異なるように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記軸体が、この軸体を前記挿通孔に挿通する際に、前記回転軸線を中心として回転する前記軸体の前記挿通孔に対する回転位置を決める回転位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記回転位置決め手段が、前記挿通孔の内壁または前記軸体の外壁のいずれか一方に設けられ、前記軸体の挿通する方向に延びる長溝と、いずれか他方に設けられ、前記長溝に嵌合する突出部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−210695(P2006−210695A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21514(P2005−21514)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】