説明

電子機器

【課題】大型化を抑制しつつ振動に強い電子機器を提供すること。
【解決手段】回路基板1と、回路基板1の主面1aに対向して配置される放熱器2と、回路基板1と放熱器2との間に設けられて放熱器2を支持する第1放熱部材3と、回路基板1と放熱器2との間に設けられて放熱器2を支持する第2放熱部材13と、回路基板1に実装されると共に第1放熱部材3及び第2放熱部材13にそれぞれ固定される複数の電子部品4とを備え、第1放熱部材3が、回路基板1から放熱器2まで延びる板状の本体部3aを有し、第2放熱部材13が、回路基板1から放熱器2まで延びる板状の第2本体部13aを有し、本体部3aの回路基板1の主面1aに沿った延び方向と、本体部13aの回路基板1の主面1aに沿った延び方向とが直角状に交差している電子機器100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータなどの電子機器においては、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)等のスイッチング素子や整流用ダイオードなどの電子部品がプリント基板の表面上に実装されている。これらの電子部品は動作時に発熱し、その熱によりダメージを受けるおそれがある。
【0003】
このため、このような発熱性の電子部品を備えた電子機器においては、電子部品に発生する熱を逃がすために、各種電子部品の熱を放出する放熱板がプリント基板に略垂直に設けられ、この放熱板にさらに放熱器がプリント基板に対向して設置されることがある(例えば特許文献1及び2)。特許文献1では、プリント基板の主面に対向する放熱器としての板状対向片が、プリント基板に略垂直に設けられて対向片の一端部と接続された板状当接片と、当接片に平行に設けられて対向片の他端部と接続される板状の対向片支持脚とにより支持されている。ここで、電子部品はプリント基板に実装されるとともに当接片に固定されている。特許文献2では、プリント基板の主面に対向する放熱器が1つの板状の放熱金具により支持されている。ここで、電子部品はプリント基板に実装されるとともに放熱金具に固定されている。
【特許文献1】特開平10−75080号公報
【特許文献2】実公平7−37357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1及び特許文献2に記載の電子機器は以下に示す問題点を有していた。
【0005】
即ち特許文献1に記載の電子機器では、対向片を支持する当接片及び対向片支持脚が互いに平行に配置されている。このため、当接片及び対向片支持脚の厚さ方向では放熱板の強度が小さく、当接片及び対向片支持脚の厚さ方向に直交する方向であってプリント基板の主面に沿った方向では放熱板の強度が大きい。従って、電子機器が外部から振動を受けた場合には、放熱板が当接片及び対向片支持脚の厚さ方向に激しく揺らされ、それに伴って電子部品の持つ端子がストレスがかかるおそれがある。つまり、特許文献1に記載の電子機器は振動に弱いものとなっている。
【0006】
また、特許文献2に記載の電子機器では、放熱器が1つの板状の放熱金具により支持されているため、放熱金具の厚さ方向で共振が起こった場合には、特許文献1の場合よりもなおさら、電子部品の端子にストレスがかかるおそれがある。
【0007】
そして、上記のような現象は、特に、電子機器が、外部から振動を受けやすい自動車等に用いられる場合には無視できないものとなる。この様な振動の影響を抑えることとして、前記の当接片や対向片支持脚を肉厚化、大型化することも考えられるが、これでは電子機器の大型化を招いてしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大型化を抑制しつつ振動に強い電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、回路基板と、前記回路基板の主面に対向して配置される放熱器と、前記回路基板と前記放熱器との間に設けられて前記放熱器を支持する第1放熱部材と、前記回路基板と前記放熱器との間に設けられて前記放熱器を支持する第2放熱部材と、前記回路基板に実装されると共に前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材にそれぞれ固定される少なくとも1つの電子部品とを備えており、前記第1放熱部材が、前記回路基板から前記放熱器まで延びる板状の第1本体部を有し、前記第2放熱部材が、前記回路基板から前記放熱器まで延びる板状の第2本体部を有しており、前記第1本体部における前記回路基板の前記主面に沿った延び方向と、前記第2本体部における前記回路基板の前記主面に沿った延び方向とが直角状に交差している電子機器である。
【0010】
本発明の電子機器によれば、当該電子機器が、第1本体部における回路基板の主面に沿った延び方向の振動を受けた場合、第1本体部の方が第2本体部よりもその方向の強度が大きく、第2本体部における回路基板の主面に沿った延び方向の振動を受けた場合、第2本体部の方が第1本体部よりもその方向の強度が大きくなっている。即ち第1放熱部材において強度の弱い方向の振動に対しては第2放熱部材がその強度の弱さを補完し、第2放熱部材において強度の弱い方向の振動に対しては第1放熱部材がその強度の弱さを補完している。このため、電子機器に対し、任意の方向から振動が加えられても、第1放熱部材及び第2放熱部材の揺れが十分に抑制される。従って、第1放熱部材及び第2放熱部材に固定される電子部品は安定に支持されることになる。
【0011】
上記電子機器において、前記第1放熱部材が、前記第2本体部における前記回路基板の前記主面に沿った方向の両端部間に対向して配置されていることが好ましい。この場合、電子機器が振動を受けても、第1放熱部材が、第2放熱部材の第2本体部における回路基板の主面に沿った方向の両端部に対向して配置される場合に比べて、放熱器をより安定に支持することが可能となる。このため、電子機器が振動を受け続けている間でも、放熱器の揺れがより抑制され、電子部品が発熱しても第1及び第2放熱部材から放熱器を経てその熱が放出される。
【0012】
上記電子機器が、前記回路基板および前記放熱器を包囲する金属製の筺体をさらに備えており、前記放熱器が金属で構成され、前記放熱器と前記筺体とが離間して配置されていることが好ましい。
【0013】
この場合、放熱器と筺体との絶縁が確保される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、振動に強い電子機器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明を明確に説明する関係上、図面の各スケールは誇張して書いている場合がある。
【0016】
図1は、本発明に係る電子機器の好適な実施形態を示す分解斜視図、図2は、本実施形態の電子機器を示す断面図である。本実施形態の電子機器はDC−DCコンバータである。図1及び図2に示すように、本実施形態のDC−DCコンバータ100は、回路基板1と、回路基板1の主面1aに対向して配置される放熱器2と、回路基板1と放熱器2との間に設けられて放熱器2を支持する第1放熱部材3と、回路基板1と放熱器2との間に設けられて放熱器2を支持する第2放熱部材13と、回路基板1に実装される複数の発熱性の電子部品4と、回路基板1及び放熱器2を包囲する筺体5とを備えている。その他の電子部品に関しては、省略してある。
【0017】
電子部品4は、動作時に発熱するものであり、このような電子部品4としては、例えばFET(Field Effect Transistor)等のスイッチング素子や整流用ダイオードなどが挙げられる。図2に示すように、電子部品4は、第1放熱部材3又は第2放熱部材13に固定される部品本体部4aと、部品本体部4aから延びる複数本の端子4bとで構成されている。具体的には、部品本体部4aは、第1放熱部材3又は第2放熱部材13に取り付けられる取付面4cを有している。この取付面4cで電子部品4が第1放熱部材3及び第2放熱部材13に取り付けられている。そして、取付面4cに隣接し且つ回路基板1の主面1aに対向する基板対向面4dからは3本の端子4bが延びており、この端子4bが回路基板1に固定されることによって電子部品4が回路基板1に実装されている。
【0018】
放熱器2は、第1放熱部材3及び第2放熱部材13からの熱を大気中に逃がすためのものである。従って、放熱器2は、放熱性を高めるために、例えば金属で構成されている。放熱器2は、平板状の本体部2aを有し、本体部2aのうち回路基板1と反対側の主面2bには、大気との接触面積を増大させるために、複数の板状のフィン2cが互いに平行に設けられている。そして、本実施形態のDC−DCコンバータ100では、フィン2cの延び方向(図1のX方向)に沿って送風するファン(図示せず)が設けられている。
【0019】
筺体5は金属製であり、放熱器2と離間して配置されている(図2参照)。これにより、筺体5は、放熱器2との絶縁を確保している。
【0020】
第1放熱部材3は、回路基板1の主面1aから放熱器2まで延びる平板状の本体部3aと、本体部3aの回路基板1側の端部から回路基板1の主面1aに沿って延びる板状の固定部3bとを有している。ここで、固定部3bにねじ(図示せず)を通して回路基板1に係合させることにより、第1放熱部材3が回路基板1に固定される。また本体部3aは、固定部3bと反対側に、電子部品4が固定される電子部品固定面3cを有し、この電子部品固定面3cに複数の電子部品4が固定されている。具体的には、電子部品固定面3cに熱伝導性の良好な接着剤や、第1放熱部材3に設けられた板バネなどの支持具で電子部品4の取付面4cが接触されることにより、電子部品4が第1放熱部材3の本体部3aに固定されている。
【0021】
一方、第2放熱部材13は、回路基板1の主面1aから放熱器2まで延びる平板状の本体部13aと、本体部13aの回路基板1側の端部から回路基板1の主面1aに沿って延びる板状の固定部13bとを有している。ここで、固定部13bにねじ(図示せず)を通して回路基板1に係合させることにより、第2放熱部材13が回路基板1に固定される。本体部13aは、固定部13bと反対側に、電子部品4が固定される電子部品固定面13cを有し、この電子部品固定面13cに複数の電子部品4が固定されている。具体的には、電子部品固定面13cに熱伝導性の良好な接着剤や、第1放熱部材3に設けられた板バネなどの支持具で電子部品4の取付面4cが接触されることにより、電子部品4が第2放熱部材13の本体部13aに固定されている。
【0022】
また、第1放熱部材3のうち放熱器2に対向する先端面3dにはねじ孔3eが形成され、第2放熱部材13のうち放熱器2に対向する先端面13dにはねじ孔13eが形成されている。ここで、第1放熱部材3のねじ孔3e及び第2放熱部材13のねじ孔13eは、放熱器2に形成された貫通孔2dに対応する位置に形成されている。そして、貫通孔2dを通してねじ6がねじ孔3e,13eに係合されることにより、放熱器2が第1放熱部材3及び第2放熱部材13に固定されている。
【0023】
さらに、第1放熱部材3と第2放熱部材13とは互いに離間して配置されている。これは、第1放熱部材3と第2放熱部材13とにより放熱器2をバランスよく支持するためである。ここで、第2放熱部材13の本体部13aは、第1放熱部材3の本体部3aの主面1aに沿った方向の両端部間に対向して配置されている。即ち、第1放熱部材3と第2放熱部材13とがT字状に配置されている。この場合、DC−DCコンバータ100が外部から振動を受けても、第1放熱部材3が、第2放熱部材13の本体部13aにおける回路基板1の主面1aに沿った方向の端部に対向して配置される場合、即ち第1放熱部材3及び第2放熱部材13がL字状に配置されている場合に比べて、放熱器2をより安定に支持することが可能となる。このため、DC−DCコンバータ100が外部から振動を受け続けている間でも、放熱器2の揺れが十分に抑制され、電子部品4が発熱しても第1放熱部材3及び第2放熱部材13から放熱器2を経てその熱が十分に放出される。
【0024】
そして、本体部3aにおける回路基板1の主面1aに沿った延び方向(図1のX方向)と、本体部13aにおける回路基板1の主面1aに沿った延び方向(図1のY方向)とが直角状に交差している。
【0025】
従って、DC−DCコンバータ100によれば、当該DC−DCコンバータ100が、本体部3aにおける回路基板1の主面1aに沿った延び方向の振動を外部から受けた場合、本体部3aの方が本体部13aよりもその方向の強度が大きく、本体部13aにおける回路基板1の主面1aに沿った延び方向の振動を外部から受けた場合、本体部13aの方が本体部3aよりもその方向の強度が大きくなっている。即ち第1放熱部材3において強度の弱い方向の振動に対しては放熱部材13がその強度の弱さを補完し、第2放熱部材13の強度の弱い方向の振動に対しては第1放熱部材3がその強度の弱さを補完している。このように各放熱部材の大型化をすることなく、第1放熱部材3及び第2放熱部材13の配置により強度を確保している。このため、DC−DCコンバータ100に対し、任意の方向から振動が加えられても、放熱器2の揺れが十分に抑制される。従って、第1放熱部材3及び第2放熱部材13に固定される電子部品4は安定に支持されることになる。
【0026】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、第1放熱部材3及び第2放熱部材13の端部からそれぞれ、固定部3b及び固定部13bが延びているが、これらは必ずしも設ける必要はない。即ち第1放熱部材及び第2放熱部材はそれぞれ本体部のみで構成されていてもよい。この場合、第1放熱部材3及び第2放熱部材13を回路基板1に固定するには、第1放熱部材3及び第2放熱部材13に貫通孔を形成し、その貫通孔及び放熱器2の貫通孔2dにねじを通して回路基板1と係合させればよい。
【0027】
また上記実施形態では、第1放熱部材3と第2放熱部材13とが離間して配置されているが、第1放熱部材3と第2放熱部材13とは接触していてもよい。
【0028】
また上記実施形態では、第1放熱部材と第2放熱部材とがT字状に配置されているが、これらは互いに交差することによって十字状に配置されていてもよい。
【0029】
さらに上記実施形態のDC−DCコンバータ100は、放熱部材として第1放熱部材3及び第2放熱部材13のみを有しているが、さらに1つ以上の放熱部材を有してもよい。この場合、この放熱部材にも、回路基板1に実装される電子部品4が固定される。
【0030】
また、上記実施形態では、電子部品4は、部品本体部4aおよび固定部4bとで構成されているが、図4に示すように、電子部品は、部品本体部4aおよび固定部4bのほか、部品本体部4aに固定される補助放熱具7をさらに有してもよい。この場合、ねじ8を、補助放熱具7に通して第1放熱部材3又は第2放熱部材13に係合させることにより、電子部品が第1放熱部材3又は第2放熱部材13に固定される。
【0031】
さらに、上記実施形態では、放熱器2と筐体5とが互いに離間して配置されているが、放熱器2と筐体5とは互いに接触していてもよい。
【0032】
さらにまた、上記実施形態では、電子機器としてDC−DCコンバータ100が用いられているが、本発明は、発熱性を有する電子部品を備えた電子機器であれば、DC−DCコンバータ以外の電子機器(例えばインバータ、アンプ)であっても適用可能である。本発明は、特に小型化が求められ振動を受ける製品用の電子機器に有用であり、例えばノートパソコンなどのポータブル電子製品に使用される電子機器に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る電子機器の好適な実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の電子機器を示す断面図である。
【図3】図1の電子機器の一部を概略的に示す平面図である。
【図4】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…回路基板、1a…主面、2…放熱器、3…第1放熱部材、3a…本体部(第1本体部)、4…電子部品、5…筺体、13…第2放熱部材、13a…本体部(第2本体部)、100…DC−DCコンバータ(電子機器)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板の主面に対向して配置される放熱器と、
前記回路基板と前記放熱器との間に設けられて前記放熱器を支持する第1放熱部材と、
前記回路基板と前記放熱器との間に設けられて前記放熱器を支持する第2放熱部材と、
前記回路基板に実装されると共に前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材にそれぞれ固定される少なくとも1つの電子部品とを備えており、
前記第1放熱部材が、前記回路基板から前記放熱器まで延びる板状の第1本体部を有し、前記第2放熱部材が、前記回路基板から前記放熱器まで延びる板状の第2本体部を有しており、
前記第1本体部における前記回路基板の前記主面に沿った延び方向と、前記第2本体部における前記回路基板の前記主面に沿った延び方向とが直角状に交差している、電子機器。
【請求項2】
前記第1放熱部材が、前記第2本体部における前記回路基板の前記主面に沿った方向の両端部間に対向して配置されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記回路基板及び前記放熱器を包囲する金属製の筺体をさらに備えており、前記放熱器が金属で構成され、前記放熱器と前記筺体とが離間して配置されている、請求項1又は2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−192657(P2008−192657A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22453(P2007−22453)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】