説明

電子機器

【課題】 表示装置に伝わる衝撃を弱めることで表示装置の破損を防止することの可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】 下部筐体7の内面7aに梁30が設けられる。梁30は、例えば電子機器1が落下したことにより表示装置5に振動や衝撃が加わった時に、表示装置5の角部40と梁30の面30aとが接触する位置に設けられる。表示装置5の角部40は、表示装置5の他の部位に比べて剛性が高いため、落下等の衝撃が加わった時に、表示装置5の角部40が最初に梁30に接触することで、表示装置5に加わる衝撃を軽減することができる。梁30は表示装置5の4つの角部40に対応してそれぞれ設けることができるが、例えば一方の辺部50にある2つの角部40に対応して2つだけ設けるようにしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に表示装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA、ノート型パーソナルコンピュータ等のように持ち運ぶことの可能な電子機器が広く使用されている。これらの電子機器は持ち運んで使用するため、外的な振動や落下等の衝撃に耐えられる構造や強度が必要とされる。電子機器の中でも、LCD等の表示装置は壊れやすい部品の一つであり、破損を抑えるために表示装置の周辺に梁や緩衝材を配置する等の対策がなされている。
【0003】
特許文献1には、表示ユニットを、緩衝材を介して取付部材に固定する構造が記載されている。緩衝材には曲面形状の凹部が設けられ、この凹部に表示ユニットの角部が当接するように固定される。このような構造を採用することで、耐衝撃性と位置決め精度の向上を図っている。
【特許文献1】特開2004−258461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の方式の場合、表示ユニットの角部を緩衝材で押さえるとともに、位置決めも緩衝材で行っているため、過度の衝撃に対しては、緩衝材を介して表示装置に衝撃が伝播して、衝撃を逃がしきれず表示装置の破損を防ぐことができないという問題がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、表示装置に伝わる衝撃を弱めることで表示装置の破損を防止することの可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る電子機器は、本体と、前記本体に取り付けられる表示筐体と、前記表示筐体内に設けられる表示装置と、前記表示装置を前記表示筐体に固定する固定部材と、前記表示装置の角部と間隔を介して、前記表示筐体に少なくとも一つ設けられる梁部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置に伝わる衝撃を弱めることで表示装置の破損を防止することの可能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。電子機器1は本体2を備え、本体2には表示筐体3がヒンジ部4を介して回動可能に取り付けられている。表示筐体3には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置5が組み込まれ、表示装置5は上部筐体(マスク筐体)6と下部筐体(カバー筐体)7とにより覆われる。
【0009】
本体2の上面2aにはタッチパッド8およびキーボード9が取り付けられている。本体2は樹脂製あるいはマグネシウム合金等の金属製の上ケース10及び下ケース11を有し、本体2内には複数の電子部品を搭載した図示しない回路基板が収容されている。
【0010】
図2は本実施形態に係る電子機器の表示装置の分解斜視図である。表示装置5は上部筐体6と下部筐体7とに挟まれるようにして表示筐体3に組み込まれる。表示装置5には、インバータ回路20が設けられる。インバータ回路20は、表示装置5に並行して配置される図示しないバックライトに電力を供給する。
【0011】
表示装置5は固定部材21とネジ止めされ、固定部材21に設けられたネジ穴を介して下部筐体7にネジ止めされる。固定部材21を用いて表示装置21が下部筐体7にネジ止めされた上で、上部筐体6が被せられ、上部筐体6と下部筐体7で構成される表示筐体3に表示装置5が収容される。
【0012】
ネジ固定などによって板金などの固定部材21で取り付られた表示装置5に対して外的な振動や衝撃が加わった場合,固定部材21の弾性変形もしくは塑性変形によって表示装置5が移動し、上部筐体6や下部筐体7などの周囲の構造物が強く接触して、ガラス等でできた表示装置5が破損する恐れがある。
【0013】
本実施形態に係る電子機器1は、下部筐体7の内面7aに梁30が設けられる。図3に示す平面図のように、この梁30は、表示装置5が組み込まれた状態では、表示装置5とは接触しない。梁30は、例えば電子機器1が落下したことにより表示装置5に振動や衝撃が加わった時に、表示装置5の角部40と梁30の面30aとが接触する位置に設けられる。
【0014】
表示装置5の角部40は、表示装置5の他の部位に比べて剛性が高いため、落下等の衝撃が加わった時に、表示装置5の角部40が最初に梁30に接触することで、表示装置5に加わる衝撃を軽減することができる。
【0015】
図3は本実施形態に係る電子機器の筐体内面に設けられた梁部を拡大して示す図である。図3に示す拡大図のように、表示装置5の角部40と梁30との距離aと、表示装置5の辺部50と梁との距離bとは、距離bよりも距離aが小さくなるように梁30が設けられ、表示装置5に振動や衝撃が加わる等して表示装置5が動いた時に、辺部50よりも角部40が先に梁30と接触するような構造としている。表示装置5が梁30に接触しても、最初に接触する箇所は剛性が高い表示装置5の角部40となり,表示装置5の破損を防ぐ事が出来る。
【0016】
下部筐体7に梁30を設けることで、例えば電子機器1の落下により表示装置5に衝撃が加わった時にも、衝撃が軽減され、表示装置5を割れにくくすることができる。
【0017】
梁30は表示装置5の4つの角部40に対応してそれぞれ設けることができるが、例えば一方の辺部50にある2つの角部40に対応して2つだけ設けるようにしても良い。表示装置5の辺部50と梁30との角度は、図2、3に示した以外の角度とすることも可能である。
【0018】
図4は第2の実施形態に係る表示装置の梁部を拡大して示す図である。第2の実施形態では、第1の実施形態に示したものと形状の異なる梁が用いられる。図2および図3に示した梁以外に、図4に示す梁60のように曲面60aを有するものを採用しても良い。表示装置5に衝撃が加わった時に、曲面60aと表示装置5の角部が接触するようにしても良い。梁60と表示装置5の角部40が接触する面を曲面60aとすると、梁60と表示装置5の角部40とが接触した際に曲面60a上で応力が拡散され、より衝撃を逃がしやすい構造とすることができ、表示装置5の破壊を防ぐことができる。
【0019】
図5は他の実施形態に係る表示装置の梁部を拡大して示す図である。第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態に示したものと形状の異なる梁が用いられる。図5に示す梁70のように、梁70には梁70の前面70aに緩衝材71を設けてもよい。梁70と緩衝材71とは、接着剤などを用いて接着される。本体2が落下するなどして、表示装置5に衝撃が加わった際に、緩衝材71が角部40に接触し落下などによる衝撃を吸収することができる。梁70の前面70aに緩衝材71を設けることで、下部筐体7の内面7aに梁のみを設ける場合と比較して表示装置5に加わる衝撃を低減することができる。
【0020】
上記の説明のように、本発明の実施形態によれば、表示装置に伝わる衝撃を弱めることで表示装置の破損を防止することの可能な電子機器を提供することができる。
【0021】
本発明ではその主旨を逸脱しない範囲であれば、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る電子機器の表示装置の分解斜視図。
【図3】本実施形態に係る電子機器の筐体内面に設けられた梁部を拡大して示す図。
【図4】第2の実施形態に係る表示装置の梁部を拡大して示す図。
【図5】他の実施形態に係る表示装置の梁部を拡大して示す図。
【符号の説明】
【0023】
1…電子機器、2…本体、3…表示筐体、4…ヒンジ部、5…表示装置、6…上部筐体、7…下部筐体、10…上ケース、11…下ケース、21…固定部材、30…梁、40…角部、50…辺部、60…梁、70…梁、71…緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に取り付けられる表示筐体と、
前記表示筐体内に設けられる表示装置と、
前記表示装置を前記表示筐体に固定する固定部材と、
前記表示装置の角部と間隔を介して、前記表示筐体に少なくとも一つ設けられる梁部材と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示装置に設けられる前記梁部材は、前記表示装置の各角部と間隔を介してそれぞれ一つずつ設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記梁部材は、前記表示装置の前記角部を構成する第1の辺部及び第2の辺部と角度を有して設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記梁部材は、前記表示装置の前記辺部よりも前記角部との距離が近くなるように設けられることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記梁部材は、前記表示装置の前記角部と対向する面が曲面形状を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記梁部材は、前記表示装置の前記角部と対向する面に緩衝材が設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−233336(P2008−233336A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70345(P2007−70345)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】