電子機器
【課題】デジタルカメラ等の電子機器の小型化を妨げないように、電池や記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構の小型化、省スペース化を図る。
【解決手段】ロック機構8は、施錠位置と開錠位置との間で移動自在に配設され、開閉カバー7の閉状態時に該開閉カバー7に設けられたスリット穴7Aに係合し又は離脱することが可能なロック爪10と、通電時に自己発熱によって収縮するワイヤ状の形状記憶合金12A,12Bであって、通電時の収縮によって開閉カバー10を開錠位置又は施錠位置に移動させる形状記憶合金12とを備えている。このロック爪10を駆動するためのアクチュエータとして、ワイヤ状の形状記憶合金12A,12Bを使用するようにしたため、ロック機構8の小型化、省スペース化が可能になる。
【解決手段】ロック機構8は、施錠位置と開錠位置との間で移動自在に配設され、開閉カバー7の閉状態時に該開閉カバー7に設けられたスリット穴7Aに係合し又は離脱することが可能なロック爪10と、通電時に自己発熱によって収縮するワイヤ状の形状記憶合金12A,12Bであって、通電時の収縮によって開閉カバー10を開錠位置又は施錠位置に移動させる形状記憶合金12とを備えている。このロック爪10を駆動するためのアクチュエータとして、ワイヤ状の形状記憶合金12A,12Bを使用するようにしたため、ロック機構8の小型化、省スペース化が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に係り、特に電池及び/又は記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラの正規の使用者の掌紋をデジタルカメラに予め登録しておき、メモリカードを取り出す場合には、使用者に対して掌紋の撮像を要求し、撮像された掌紋を登録されている掌紋と比較し、一致する場合に正規の使用者として判定し、メモリカードのイジェクトのロックを解除できるようにしたデジタルカメラが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、メモリカードに装着されたメモリカードの無断抜き取りを防止することを目的とし、カードスロットを覆う開閉カバーを電磁アクチュエータによってロックするデジタルカメラが提案されている(特許文献1)。そして、このデジタルカメラは、ロック解除コードを記憶したメモリと、外部からの入力コードがロック解除コードと一致したときに開閉カバーのロックを解除するロック制御手段とを備えている。
【特許文献1】特開2001−326841号公報
【特許文献2】特開2004−201128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デジタルカメラの普及に伴い、家庭やオフィス等々でデジタルカメラを共有し使用するようになってきた。しかしながら、複数の人数でデジタルカメラが共有使用されると、メモリカードやバッテリーなどがデジタルカメラから取り外され、無断で持ち出されることがあり、いざ使用したいと思った時に使用できないケースがあった。
【0005】
また、メモリカードも大容量化が進み、データの気密保持のため、無断取り出しの防止機構を設けることも重要になってきた。
【0006】
しかしながら、開閉カバーを施錠するロック機構を設けると、その分、カメラのサイズが大きくなり、ユーザの小型化ニーズと逆行するという問題があった。また、ロック機構を設けても、電池切れを起こすと、最悪ロック解除ができなくなるという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、デジタルカメラに使用者の生体情報の登録、検出手段を設け、その生体情報によりメモリカードのスロット部の施錠・開錠の設定を切り替えているが、ロック機構を設けることによりカメラの小型化を妨げるという問題があった。
【0008】
同様に、特許文献2に記載の発明も電磁アクチュエータを使用して施錠・開錠するため、スペース効率が悪く、カメラの小型化を妨げるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、デジタルカメラ等の電子機器の小型化を妨げないように、電池や記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構の小型化、省スペース化を図ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、電池及び/又は記録媒体を収納する収納部と、前記収納部を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーを施錠・開錠するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御手段とを備えた電子機器において、前記ロック機構は、前記電子機器本体に対して施錠位置と開錠位置との間で移動自在に配設され、前記開閉カバーの閉状態時に該開閉カバーに設けられた係合部に係合し又は離脱することが可能なロック爪と、通電時に自己発熱によって収縮するワイヤ状の形状記憶合金であって、通電時の収縮によって前記開閉カバーを少なくとも開錠位置に移動させる形状記憶合金と、を備え、前記制御手段は、前記形状記憶合金への通電を制御することを特徴としている。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、前記ロック爪を駆動するためのアクチュエータとして、ワイヤ状の形状記憶合金を使用するようにしたため、ワイヤ状の形状記憶合金を布設するスペースさえあればよく、また、この程度のスペースとしてはデッドスペースを利用することができるため、電子機器の小型化を妨げることがない。
【0012】
請求項2に示すように請求項1に記載の電子機器において、前記形状記憶合金は、通電時の収縮によって前記開閉カバーを開錠位置に移動させる第1の形状記憶合金と、通電時の収縮によって前記開閉カバーを施錠位置に移動させる第2の形状記憶合金とを有することを特徴としている。
【0013】
請求項3に示すように請求項2に記載の電子機器において、前記ロック機構は、前記施錠位置及び開錠位置に移動したロック爪を、通電時に生じる前記形状記憶合金の駆動力よりも弱い力で保持する保持部材を更に備えたことを特徴としている。これにより、前記形状記憶合金が通電されていないときに、ロック爪が不用意に移動しないようにすることができる。
【0014】
請求項4に示すように請求項1に記載の電子機器において、前記ロック機構は、前記ロック爪が前記施錠位置に移動するように付勢する付勢部材を更に備えたことを特徴としている。
【0015】
これによれば、前記開閉カバーを開錠するときのみ前記形状記憶合金を通電すればよく、前記形状記憶合金への通電が停止され、該形状記憶合金の温度が低下すると、前記付勢部材によって自動的に開閉カバーを施錠することができる。
【0016】
請求項5に示すように請求項1から4のいずれかに記載の電子機器において、前記収納部に収納された電池の残量を検出する電池残量検出手段を備え、前記制御手段は、前記電池の残量が前記開閉カバーを開錠位置に移動させるために必要な最低限の値に達すると、自動的に前記形状記憶合金に通電して前記開閉カバーを開錠位置に移動させることを特徴としている。
【0017】
これにより、電池切れによる開閉カバーのロック解除ができなくなるおそれがない。
【0018】
請求項6に示すように請求項1から5のいずれかに記載の電子機器において、生体情報を取得する生体情報取得手段と、予め登録された生体情報と前記生体情報取得手段によって取得された生体情報とを照合し、一致した場合のみ少なくとも前記開閉カバーの開錠を許可する生体認証手段と、を備え、前記制御手段は、前記生体認証手段によって少なくとも前記開閉カバーの開錠が許可された場合に前記形状記憶合金に通電を行うことを特徴としている。
【0019】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載の電子機器において、前記電子機器はデジタルカメラであり、前記ロック機構はカメラグリップ部に配設されることを特徴としている。カメラグリップ部には、凸部のデッドスペースがあるため、そのデッドスペースを有効利用することができる。
【0020】
請求項8に示すように請求項6又は7に記載の電子機器において、前記生体情報は、人体の一部を撮影することによって取得可能な情報であり、前記電子機器は、前記生体情報取得手段として兼用されるデジタルカメラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ロック機構のロック爪を駆動するためのアクチュエータとして、ワイヤ状の形状記憶合金を使用するようにしたため、電池や記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構の小型化、省スペース化を図ることができ、デジタルカメラ等の電子機器の小型化を妨げないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本発明に係る電子機器の好ましい実施の形態について説明する。
【0023】
図1は本発明に係る電子機器(この実施の形態では、デジタルカメラ)の外観図であり、図2はデジタルカメラの要部を内部透視した図である。
【0024】
これらの図面において、デジタルカメラ(以下、「カメラ」と称す)1のカメラ筐体2には、レンズ3が配設されるとともに、グリップ部4が設けられている。
【0025】
このグリップ部4は、レンズ3が設けられているカメラ筐体2の前面よりも前方に突出している凸部を有し、これによりカメラ1が把持しやすいようになっている。
【0026】
グリップ部4には、電池5を収納する電池収納部6が形成されている。尚、7は、電池5の着脱時に開閉される開閉カバーであり、8は、開閉カバー7を施錠・開錠するロック機構である。
【0027】
図3は図2の要部拡大図であり、図3(A)は開閉カバー7を手前に引き出した状態を示し、図3(B)は開閉カバー7を開いた状態を示している。
【0028】
即ち、開閉カバー7は、図3(A)に示すように開閉カバー7に設けられた軸9と、電池収納部6に形成された長穴とによってスライド自在に支持されるとともに、回動自在に支持されている。この開閉カバー7は、電池収納部6と嵌め合うことにより一時的にロックされ、後述するようにロック機構8によりロック(施錠)される。
【0029】
開閉カバー7を開く場合には、開閉カバー7のロックを解除(開錠)し、図3(A)に示すように矢印A方向にスライドさせ、その後、図3(B)に示すように軸9を中心にして、図3(B)上で時計周り方向に回動させる。
【0030】
[ロック機構]
次に、ロック機構8について説明する。
【0031】
図4は図3に示したロック機構の要部拡大図であり、図4(A)は開閉カバーが開錠された状態を示し、図4(B)は開閉カバーが施錠された状態を示している。
【0032】
図3及び図4に示すように、ロック機構8は、主としてロック爪10と、2本のワイヤ状の形状記憶合金12と、板ばね14とから構成されている。
【0033】
ロック爪10は、開閉カバー7が閉じている状態のときに施錠するもので、電池収納部6の前面に回動自在に配設されている。
【0034】
図4に示すように開閉カバー7には、係合用のスリット穴7Aが形成されており、図4(B)に示すように、開閉カバー7が閉じている状態のときに、ロック爪10が反時計回り方向に回動(施錠位置に回動)させられると、ロック爪10は、開閉カバー7のスリット穴7Aに係合し、開閉カバー7を施錠(スライド不能に)する。
【0035】
一方、図4(A)に示すように、ロック爪10が時計回り方向に回動(開錠位置)させられると、ロック爪10は、開閉カバー7のスリット穴7Aとの係合が外れ、開閉カバー7を開錠(スライド可能に)する。
【0036】
形状記憶合金12は、上記ロック爪10を回動させるためのアクチュエータであり、図4に示すように、一方の形状記憶合金12Aは、ロック爪10の左側の穴に通されるとともに、図3に示すように、形状記憶合金12Aの途中が電池収納部6の前面の固定部13にて固定され、同様に、他方の形状記憶合金12Bは、ロック爪10の右側の穴に通されるとともに、形状記憶合金13Aの途中が電池収納部6の前面の固定部13にて固定されている。
【0037】
ここで、ワイヤ状の形状記憶合金12としては、図5(A)に示すように常温時には柔らかく、所定の長さになっているが、図5(B)に示すように通電すると、自己発熱により強い力で収縮し、予め記憶された長さになるものが使用されている。
【0038】
従って、開閉カバー7を開錠するときには、図4(A)に示すように形状記憶合金12Aに通電し、形状記憶合金12Aを収縮させ、開閉カバー7を施錠するときには、図4(B)に示すように形状記憶合金12Bに通電し、形状記憶合金12Bを収縮させる。
【0039】
板ばね14は、形状記憶合金12が通電されていないときに、ロック爪10が不用意に回動しないようにロック爪10を保持するものである。
【0040】
図6(A)は前記ロック機構8の正面図であり、図6(B)は、図6(A)のI−I線に沿う拡大断面図である。
【0041】
図6(A)に示すようにロック爪10には、その回動中心から所定の距離に2つの係合穴10A、10Bが形成されており、板ばね14の先端部には、ロック爪10の係合穴10A、10Bに係合する、半球状の絞り14A(図6(B))が形成されている。
【0042】
そして、図6(A)に示すようにロック爪10が施錠位置に回動すると、図6(B)に示すように板ばね14の半球状の絞り14Aが、ロック爪10の係合穴10Bに弾性をもって係合し、ロック爪10を保持する。同様に、ロック爪10が開錠位置に回動すると、板ばね14の半球状の絞り14Aが、ロック爪10の他方の係合穴10Aに弾性をもって係合し、ロック爪10を保持する。
【0043】
これにより、形状記憶合金12が通電されていないときに、ロック爪10が不用意に回動しないようにすることができる。
【0044】
上記ロック機構8は、カメラ筐体2のグリップ部4と電池収納部6とのデッドスペース部に配置されているため、デッドスペース部を有効に利用できるとともに、カメラ1のサイズアップがなく、省スペース化が可能である。尚、電池収納部6には、メモリカード等の記録メディアも同時に収納する場合がある。
【0045】
[デジタルカメラの内部構成]
図7はカメラ1の内部構成を示すブロック図である。
【0046】
このカメラ1は、静止画や動画の記録及び再生機能を備えたデジタルカメラであり、カメラ全体の動作は中央処理装置(CPU)20によって統括制御される。CPU20は、所定のプログラムに従って本カメラシステムを制御する制御手段として機能するとともに、自動露出(AE)演算、自動焦点調節(AF)演算、ホワイトバランス(WB)調整演算など、各種演算を実施する演算手段として機能する。
【0047】
バス22を介してCPU20と接続されたROM24には、CPU20が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納され、EEPROM26には、CCD画素欠陥情報、カメラ動作に関する各種定数/情報、使用者の生体情報(この実施の形態では、指紋情報)等が格納されている。
【0048】
また、メモリ(SDRAM)28は、プログラムの展開領域及びCPU20の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データや音声データの一時記憶領域として利用される。VRAM30は画像データ専用の一時記憶メモリであり、A領域30AとB領域30Bが含まれている。
【0049】
カメラ1にはモード選択スイッチ32、撮影ボタン34、その他、メニュー/OKキー、十字キー、キャンセルキーなどの操作手段36が設けられている。これら各種の操作部(32〜36)からの信号はCPU20に入力され、CPU20は入力信号に基づいてカメラ1の各回路を制御し、例えば、レンズ駆動制御、撮影動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、画像表示装置38の表示制御、及び本発明に係る生体認証処理などを行う。
【0050】
モード選択スイッチ32は、撮影モードと再生モードとを切り換えるための操作手段である。モード選択スイッチ32を操作して可動接片32Aを接点aに接続させると、その信号がCPU20に入力され、カメラ1は撮影モードに設定され、可動接片32Aを接点bに接続させると、カメラ1は記録済みの画像を再生する再生モードに設定される。
【0051】
撮影ボタン34は、撮影開始の指示を入力する操作ボタンであり、半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチとを有する二段ストローク式のスイッチで構成されている。
【0052】
メニュー/OKキーは、画像表示装置38の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。十字キーは、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりするボタン(カーソル移動操作手段)として機能する。また、十字キーの上/下キーは撮影時のズームスイッチあるいは再生時の再生ズームスイッチとして機能し、左/右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。キャンセルキーは、選択項目など所望の対象の消去や指示内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻らせる時などに使用される。
【0053】
画像表示装置38は、カラー表示可能な液晶ディスプレイで構成されている。画像表示装置38は、撮影時に画角確認用の電子ファインダとして使用できるとともに、記録済み画像を再生表示する手段として利用される。また、画像表示装置38は、ユーザインターフェース用表示画面としても利用され、必要に応じてメニュー情報や選択項目、設定内容などの情報が表示される。
【0054】
カメラ1は、メディアソケット(メディア装着部)40を有し、メディアソケット40には記録メディア42を装着することができる。記録メディアの形態は特に限定されず、xD-PictureCard(商標)、スマートメディア(商標)に代表される半導体メモリカード、可搬型小型ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど、種々の媒体を用いることができる。
【0055】
メディアコントローラ44は、メディアソケット40に装着される記録メディア42に適した入出力信号の受渡しを行うために所要の信号変換を行う。
【0056】
また、カメラ1はパソコンその他の外部機器と接続するための通信手段としてUSBインターフェース部46を備えている。図示せぬUSBケーブルを用いてカメラ1と外部機器を接続することにより、外部機器との間でデータの受渡しが可能となる。もちろん、通信方式はUSBに限らず、IEEE1394やBluetooth その他の通信方式を適用してもよい。
【0057】
次に、カメラ1の撮影機能について説明する。
【0058】
モード選択スイッチ32によって撮影モードが選択されると、カラーCCD固体撮像素子(以下CCDと記載)48を含む撮像部に電源が供給され、撮影可能な状態になる。
【0059】
レンズユニット50は、フォーカスレンズを含むレンズ3と絞り兼用メカシャッター54とを含む光学ユニットである。レンズユニット50は、CPU20によって制御されるレンズ駆動部56、絞り駆動部58によって電動駆動され、ズーム制御、フォーカス制御及びアイリス制御が行われる。
【0060】
レンズユニット50を通過した光は、CCD48の受光面に結像される。CCD48の受光面には多数のフォトダイオード(受光素子)が二次元的に配列されており、各フォトダイオードに対応して赤(R)、緑(G)、青(B)の原色カラーフィルタが所定の配列構造(ハニカム、ベイヤーなど)で配置されている。また、CCD48は、各フォトダイオードの電荷蓄積時間(シャッタースピード)を制御する電子シャッター機能を有している。CPU20は、タイミングジェネレータ60を介してCCD48での電荷蓄積時間を制御する。
【0061】
CCD48の受光面に結像された被写体像は、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、CPU12の指令に従いタイミングジェネレータ60から与えられる駆動パルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出される。
【0062】
CCD48から出力された信号はアナログ処理部(CDS/AMP)62に送られ、ここで画素ごとのR,G,B信号がサンプリングホールド(相関二重サンプリング処理)され、増幅された後、A/D変換器64に加えられる。A/D変換器64によってデジタル信号に変換された点順次のR,G,B信号は、画像入力コントローラ66を介してメモリ28に記憶される。
【0063】
画像信号処理回路68は、メモリ28に記憶されたR,G,B信号をCPU20の指令に従って処理する。即ち、画像信号処理回路68は、同時化回路(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含む画像処理手段として機能し、CPU20からのコマンドに従ってメモリ28を活用しながら所定の信号処理を行う。
【0064】
画像信号処理回路68に入力されたRGBの画像データは、画像信号処理回路68において輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr,Cb 信号)に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施される。画像信号処理回路68で処理された画像データはVRAM30に格納される。
【0065】
撮影画像を画像表示装置38にモニタ出力する場合、VRAM30から画像データが読み出され、バス22を介してビデオエンコーダ70に送られる。ビデオエンコーダ70は、入力された画像データを表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換して画像表示装置38に出力する。
【0066】
CCD48から出力される画像信号によって、1コマ分の画像を表す画像データがA領域30AとB領域32Bとで交互に書き換えられる。VRAM32のA領域32A及びB領域32Bのうち、画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている画像データが読み出される。このようにしてVRAM30内の画像データが定期的に書き換えられ、その画像データから生成される映像信号が画像表示装置38に供給されることにより、撮像中の映像がリアルタイムに画像表示装置38に表示される。撮影者は、画像表示装置38に表示される映像(スルームービー画)によって撮影画角を確認できる。
【0067】
撮影ボタン34が半押しされ、S1がオンすると、カメラ1はAE及びAF処理を開始する。即ち、CCD48から出力された画像信号はA/D変換後に画像入力コントローラ66を介してAF検出回路72並びにAE/AWB検出回路74に入力される。
【0068】
AE/AWB検出回路74は、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割エリアごとにRGB信号を積算する回路を含み、その積算値をCPU20に提供する。CPU20は、AE/AWB検出回路74から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。求めた露出値と所定のプログラム線図に従い、絞り値とシャッタースピードが決定され、これに従いCPU20はCCD48の電子シャッター及びアイリスを制御して適正な露光量を得る。
【0069】
また、AE/AWB検出回路74は、自動ホワイトバランス調整時には、分割エリアごとにRGB信号の色別の平均積算値を算出し、その算出結果をCPU20に提供する。CPU20は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値を得て、各分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、これらR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等に基づいて光源種判別を行い、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、例えば、各比の値がおよそ1(つまり、1画面においてRGBの積算比率がR:G:B≒1:1:1)になるように、ホワイトバランス調整回路のR,G,B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を制御し、各色チャンネルの信号に補正をかける。前述した各比の値を1以外の値になるようにホワイトバランス調整回路のゲイン値を調整すると、ある色味が残った画像を生成することができる。尚、ホワイトバランス調整の詳細は後述する。
【0070】
本カメラ1におけるAF制御は、例えば映像信号のG信号の高周波成分が極大になるようにフォーカシングレンズ(レンズ3を構成するレンズ光学系のうちフォーカス調整に寄与する移動レンズ)を移動させるコントラストAFが適用される。即ち、AF検出回路72は、G信号の高周波成分のみを通過させるハイパスフィルタ、絶対値化処理部、画面内(例えば、画面中央部)に予め設定されているフォーカス対象エリア内の信号を切り出すAFエリア抽出部、及びAFエリア内の絶対値データを積算する積算部から構成される。
【0071】
AF検出回路72で求めた積算値のデータはCPU20に通知される。CPU20は、レンズ駆動部56を制御してフォーカシングレンズを移動させながら、複数のAF検出ポイントで焦点評価値(AF評価値)を演算し、評価値が極大となるレンズ位置を合焦位置として決定する。そして、求めた合焦位置にフォーカシングレンズを移動させるようにレンズ駆動部56を制御する。尚、AF評価値の演算はG信号を利用する態様に限らず、輝度信号(Y信号)を利用してもよい。
【0072】
撮影ボタン34が半押しされ、S1オンによってAE/AF処理が行われ、撮影ボタン34が全押しされ、S2オンによって記録用の撮影動作がスタートする。S2オンに応動して取得された画像データは画像信号処理回路68において輝度/色差信号(Y/C信号)に変換され、ガンマ補正等の所定の処理が施された後、メモリ28に格納される。
【0073】
メモリ28に格納されたY/C信号は、圧縮伸張回路76によって所定のフォーマットに従って圧縮された後、メディアコントローラ44を介して記録メディア42に記録される。例えば、静止画についてはJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式で記録される。
【0074】
モード選択スイッチ32により再生モードが選択されると、記録メディア42に記録されている最終の画像ファイル(最後に記録されたファイル)の圧縮データが読み出される。最後の記録に係るファイルが静止画ファイルの場合、この読み出された画像圧縮データは、圧縮伸張回路76を介して非圧縮のYC信号に伸張され、画像信号処理回路68及びビデオエンコーダ70を介して表示用の信号に変換された後、画像表示装置38に出力される。これにより、当該ファイルの画像内容が画像表示装置38の画面上に表示される。
【0075】
静止画の一コマ再生中(動画の先頭フレーム再生中も含む)に、十字キーの右キー又は左キーを操作することによって、再生対象のファイルを切り換えること(順コマ送り/逆コマ送り)ができる。コマ送りされた位置の画像ファイルが記録メディア42から読み出され、上記と同様にして静止画像や動画が画像表示装置38に再生表示される。
【0076】
また、このカメラ1は、生体認証機能を有している。
【0077】
即ち、予め所定の手続きにしたがって正規の使用者の生体情報(この実施の形態では、指紋情報)を取得し、この取得した指紋情報をテンプレートとしてEEPROM26に登録する。尚、指紋情報の取得は、カメラ1で使用者の指を撮影することによって行うことができる。
【0078】
生体認証(指紋認証)時には、使用者の指紋情報を取得し、CPU20は、この取得した指紋情報が、EEPROM26に登録されたテンプレートと一致するか否かを照合する。一致する場合には正規の使用者として認証し、開閉カバー7の施錠・開錠の設定の変更実施を許可し、その設定に応じてロック機構駆動部80を介して形状記憶合金12A、又は12Bへの通電を制御する。
【0079】
次に、電池収納部6の開閉カバー7を施錠・開錠するための処理動作について説明する。
【0080】
[第1の実施の形態]
図8に示すように、予め指紋情報が登録されている指を撮影し(ステップS10)、撮影した指画像に対して2値化処理等の指紋情報処理を行い、指紋情報を抽出する(ステップS12)。
【0081】
この抽出した指紋情報をメモリ28に格納し(ステップS14)、この指紋情報とEEPROM26に登録されたテンプレートとを照合し(ステップS16)、指紋情報が一致するか否かを判別する(ステップS18)。
【0082】
一致する場合には、開閉カバー7の施錠・開錠の設定の変更が許可される(ステップS20)。その後、使用者により施錠・開錠の設定が行われ、その設定に応じて形状記憶合金12A、又は12Bへの通電が制御され、開閉カバー7が施錠又は開錠される(ステップS22)。
【0083】
一方、一致しない場合には、開閉カバー7の施錠・開錠の設定の変更が不許可となり(ステップS24)、施錠の通電(形状記憶合金12Bへの通電)が行われる(ステップS26)。
【0084】
ここで、一致しない場合には、カメラ1の使用そのものを不可としてもよい。また、生体認証は、指紋に限らず、掌紋、網膜等の情報でもよく、更に音声を録音する機能を有する機器では、声紋の情報でもよい。尚、カメラ1は動画撮影等に音声を録音することができ、音声を録音する機能を有する機器の一つである。
【0085】
このような構成を有するカメラ1は、生体認証された正規の使用者のみが、電池、記録メディア等の着脱が可能となり、無断取り外しを制限することができ、第三者による盗難防止、記録メディアの場合は更にデータ機密の保持が可能となる。
【0086】
[第2の実施の形態]
図9は電池収納部6の開閉カバー7を施錠・開錠するための他の処理動作について説明する。尚、図9において、図8に示したフローチャートと共通する部分には同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0087】
図9に示す第2の実施の形態は、図8に示したものと比較して、一点鎖線で囲んだ範囲の処理が追加されている点で相違する。
【0088】
まず、カメラ1の電源をONされると(ステップS30)、電池残量の検出が行われる(ステップS32)。この検出された電池残量が少ないか否かを判別し(ステップS32)、残量少と判別されると、ステップS36に遷移し、残量少でないと判別されると、ステップS10に遷移し、図8のフローチャートで示した処理と同様な処理が実施される。
【0089】
ステップS36では、開閉カバー7を無条件で開錠させる。
【0090】
これにより、電池の残量少の場合には、必ず開錠されるため、電池切れにより開閉カバー7を開錠することができなくなるという問題がない。尚、ステップS34での電池の残量少の判断基準は、開閉カバー7を開錠位置に移動させるために必要な電圧値(通電により形状記憶合金12を自己加熱させて収縮させることができる電圧値)のうちの最低限の電圧値とする。
【0091】
次に、ロック機構の変形例について説明する。
【0092】
[第1の変形例]
図10は本発明に係るロック機構の第1の変形例を示す図である。
【0093】
このロック機構100は、主としてロック爪102と、1本のワイヤ状の形状記憶合金12と、螺旋ばね104とから構成されている。尚、形状記憶合金12としては、図2〜図6に示したものと同様なものが使用される。
【0094】
ロック爪102は、開閉カバー7が閉じている状態のときに開閉カバー7のスリット穴7Aに係合し、開閉カバー7をロック(施錠)するもので、電池収納部の前面に回動自在に配設されている。
【0095】
螺旋ばね104は、ロック爪102が、図10上で反時計回り方向に常時付勢されるように設けられている。
【0096】
従って、形状記憶合金12が通電されずに常温の状態(柔らかく伸びている状態)では、ロック爪102は、螺旋ばね104の付勢力によって反時計回り方向に回動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aに係合して開閉カバー7を施錠する。
【0097】
一方、開閉カバー7を開錠するときには、形状記憶合金12に通電し、形状記憶合金12を収縮させる。これにより、ロック爪102は、形状記憶合金12の収縮力によって螺旋ばね104の付勢力に抗して時計回り方向に回動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aから外れて開閉カバー7を開錠する。
【0098】
[第2の変形例]
図11は本発明に係るロック機構の第2の変形例を示す図である。
【0099】
このロック機構110は、主としてロック爪112と、1本のワイヤ状の形状記憶合金12と、トーションばね114とから構成されている。尚、形状記憶合金12としては、図2〜図6に示したものと同様なものが使用される。
【0100】
ロック爪112は、開閉カバー7が閉じている状態のときに開閉カバー7のスリット穴
7Aに係合し、開閉カバー7をロック(施錠)するもので、電池収納部の前面に上下方向に移動自在に配設されている。
【0101】
トーションばね114は、ロック爪112が、図11上で下方向に常時付勢されるように設けられている。
【0102】
従って、形状記憶合金12が通電されずに常温の状態(柔らかく伸びている状態)では、ロック爪112は、トーションばね114の付勢力によって下方向に移動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aに係合して開閉カバー7を施錠する。
【0103】
一方、開閉カバー7を開錠するときには、形状記憶合金12に通電し、形状記憶合金12を収縮させる。これにより、ロック爪112は、形状記憶合金12の収縮力によってトーションばね114の付勢力に抗して上方向に移動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aから外れて開閉カバー7を開錠する。
【0104】
尚、この実施の形態では、デジタルカメラの電池収納部の開閉カバーを施錠・開錠する場合について説明したが、これに限らず、本発明は、記録メディアの収納部、あるいは電池及び記録メディアの収納部の開閉カバーを施錠・開錠する場合にも適用できる。また、この種の開閉カバーを有する電子機器であれば、デジタルカメラに限らず、本発明は他の電子機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は本発明に係る電子機器(デジタルカメラ)の外観図である。
【図2】図2は図1に示したデジタルカメラの要部を内部透視した図である。
【図3】図3は図2の要部拡大図である。
【図4】図4は図3に示したロック機構の要部拡大図である。
【図5】図5はワイヤ状の形状記憶合金を説明するために用いた図である。
【図6】図6(A)はロック機構の正面図であり、図6(B)は図6(A)のI−I線に沿う拡大断面図である。
【図7】図7はカメラ1の内部構成を示すブロック図である。
【図8】図8は電池収納部の開閉カバーを施錠・開錠するための第1の実施の形態の処理動作を説明するために用いたフローチャートフローチャートである。
【図9】図9は電池収納部の開閉カバーを施錠・開錠するための第2の実施の形態の処理動作を説明するために用いたフローチャートである。
【図10】図10は本発明に係るロック機構の第1の変形例を示す図である。
【図11】図11は本発明に係るロック機構の第2の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1…デジタルカメラ(カメラ)、2…カメラ筐体、3…レンズ、4…グリップ部、5…電池、6…電池収納部、7…開閉カバー、8、100、110…ロック機構、10、102、112…ロック爪、12、12A、12B…形状記憶合金、14…板ばね、20…CPU、42…記録メディア、48…CCD、50…レンズユニット、80…ロック機構駆動部、104…螺旋ばね、114…トーションばね
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に係り、特に電池及び/又は記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラの正規の使用者の掌紋をデジタルカメラに予め登録しておき、メモリカードを取り出す場合には、使用者に対して掌紋の撮像を要求し、撮像された掌紋を登録されている掌紋と比較し、一致する場合に正規の使用者として判定し、メモリカードのイジェクトのロックを解除できるようにしたデジタルカメラが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、メモリカードに装着されたメモリカードの無断抜き取りを防止することを目的とし、カードスロットを覆う開閉カバーを電磁アクチュエータによってロックするデジタルカメラが提案されている(特許文献1)。そして、このデジタルカメラは、ロック解除コードを記憶したメモリと、外部からの入力コードがロック解除コードと一致したときに開閉カバーのロックを解除するロック制御手段とを備えている。
【特許文献1】特開2001−326841号公報
【特許文献2】特開2004−201128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デジタルカメラの普及に伴い、家庭やオフィス等々でデジタルカメラを共有し使用するようになってきた。しかしながら、複数の人数でデジタルカメラが共有使用されると、メモリカードやバッテリーなどがデジタルカメラから取り外され、無断で持ち出されることがあり、いざ使用したいと思った時に使用できないケースがあった。
【0005】
また、メモリカードも大容量化が進み、データの気密保持のため、無断取り出しの防止機構を設けることも重要になってきた。
【0006】
しかしながら、開閉カバーを施錠するロック機構を設けると、その分、カメラのサイズが大きくなり、ユーザの小型化ニーズと逆行するという問題があった。また、ロック機構を設けても、電池切れを起こすと、最悪ロック解除ができなくなるという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、デジタルカメラに使用者の生体情報の登録、検出手段を設け、その生体情報によりメモリカードのスロット部の施錠・開錠の設定を切り替えているが、ロック機構を設けることによりカメラの小型化を妨げるという問題があった。
【0008】
同様に、特許文献2に記載の発明も電磁アクチュエータを使用して施錠・開錠するため、スペース効率が悪く、カメラの小型化を妨げるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、デジタルカメラ等の電子機器の小型化を妨げないように、電池や記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構の小型化、省スペース化を図ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、電池及び/又は記録媒体を収納する収納部と、前記収納部を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーを施錠・開錠するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御手段とを備えた電子機器において、前記ロック機構は、前記電子機器本体に対して施錠位置と開錠位置との間で移動自在に配設され、前記開閉カバーの閉状態時に該開閉カバーに設けられた係合部に係合し又は離脱することが可能なロック爪と、通電時に自己発熱によって収縮するワイヤ状の形状記憶合金であって、通電時の収縮によって前記開閉カバーを少なくとも開錠位置に移動させる形状記憶合金と、を備え、前記制御手段は、前記形状記憶合金への通電を制御することを特徴としている。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、前記ロック爪を駆動するためのアクチュエータとして、ワイヤ状の形状記憶合金を使用するようにしたため、ワイヤ状の形状記憶合金を布設するスペースさえあればよく、また、この程度のスペースとしてはデッドスペースを利用することができるため、電子機器の小型化を妨げることがない。
【0012】
請求項2に示すように請求項1に記載の電子機器において、前記形状記憶合金は、通電時の収縮によって前記開閉カバーを開錠位置に移動させる第1の形状記憶合金と、通電時の収縮によって前記開閉カバーを施錠位置に移動させる第2の形状記憶合金とを有することを特徴としている。
【0013】
請求項3に示すように請求項2に記載の電子機器において、前記ロック機構は、前記施錠位置及び開錠位置に移動したロック爪を、通電時に生じる前記形状記憶合金の駆動力よりも弱い力で保持する保持部材を更に備えたことを特徴としている。これにより、前記形状記憶合金が通電されていないときに、ロック爪が不用意に移動しないようにすることができる。
【0014】
請求項4に示すように請求項1に記載の電子機器において、前記ロック機構は、前記ロック爪が前記施錠位置に移動するように付勢する付勢部材を更に備えたことを特徴としている。
【0015】
これによれば、前記開閉カバーを開錠するときのみ前記形状記憶合金を通電すればよく、前記形状記憶合金への通電が停止され、該形状記憶合金の温度が低下すると、前記付勢部材によって自動的に開閉カバーを施錠することができる。
【0016】
請求項5に示すように請求項1から4のいずれかに記載の電子機器において、前記収納部に収納された電池の残量を検出する電池残量検出手段を備え、前記制御手段は、前記電池の残量が前記開閉カバーを開錠位置に移動させるために必要な最低限の値に達すると、自動的に前記形状記憶合金に通電して前記開閉カバーを開錠位置に移動させることを特徴としている。
【0017】
これにより、電池切れによる開閉カバーのロック解除ができなくなるおそれがない。
【0018】
請求項6に示すように請求項1から5のいずれかに記載の電子機器において、生体情報を取得する生体情報取得手段と、予め登録された生体情報と前記生体情報取得手段によって取得された生体情報とを照合し、一致した場合のみ少なくとも前記開閉カバーの開錠を許可する生体認証手段と、を備え、前記制御手段は、前記生体認証手段によって少なくとも前記開閉カバーの開錠が許可された場合に前記形状記憶合金に通電を行うことを特徴としている。
【0019】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載の電子機器において、前記電子機器はデジタルカメラであり、前記ロック機構はカメラグリップ部に配設されることを特徴としている。カメラグリップ部には、凸部のデッドスペースがあるため、そのデッドスペースを有効利用することができる。
【0020】
請求項8に示すように請求項6又は7に記載の電子機器において、前記生体情報は、人体の一部を撮影することによって取得可能な情報であり、前記電子機器は、前記生体情報取得手段として兼用されるデジタルカメラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ロック機構のロック爪を駆動するためのアクチュエータとして、ワイヤ状の形状記憶合金を使用するようにしたため、電池や記録媒体を収納する収納部の開閉カバーを施錠・開錠するロック機構の小型化、省スペース化を図ることができ、デジタルカメラ等の電子機器の小型化を妨げないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本発明に係る電子機器の好ましい実施の形態について説明する。
【0023】
図1は本発明に係る電子機器(この実施の形態では、デジタルカメラ)の外観図であり、図2はデジタルカメラの要部を内部透視した図である。
【0024】
これらの図面において、デジタルカメラ(以下、「カメラ」と称す)1のカメラ筐体2には、レンズ3が配設されるとともに、グリップ部4が設けられている。
【0025】
このグリップ部4は、レンズ3が設けられているカメラ筐体2の前面よりも前方に突出している凸部を有し、これによりカメラ1が把持しやすいようになっている。
【0026】
グリップ部4には、電池5を収納する電池収納部6が形成されている。尚、7は、電池5の着脱時に開閉される開閉カバーであり、8は、開閉カバー7を施錠・開錠するロック機構である。
【0027】
図3は図2の要部拡大図であり、図3(A)は開閉カバー7を手前に引き出した状態を示し、図3(B)は開閉カバー7を開いた状態を示している。
【0028】
即ち、開閉カバー7は、図3(A)に示すように開閉カバー7に設けられた軸9と、電池収納部6に形成された長穴とによってスライド自在に支持されるとともに、回動自在に支持されている。この開閉カバー7は、電池収納部6と嵌め合うことにより一時的にロックされ、後述するようにロック機構8によりロック(施錠)される。
【0029】
開閉カバー7を開く場合には、開閉カバー7のロックを解除(開錠)し、図3(A)に示すように矢印A方向にスライドさせ、その後、図3(B)に示すように軸9を中心にして、図3(B)上で時計周り方向に回動させる。
【0030】
[ロック機構]
次に、ロック機構8について説明する。
【0031】
図4は図3に示したロック機構の要部拡大図であり、図4(A)は開閉カバーが開錠された状態を示し、図4(B)は開閉カバーが施錠された状態を示している。
【0032】
図3及び図4に示すように、ロック機構8は、主としてロック爪10と、2本のワイヤ状の形状記憶合金12と、板ばね14とから構成されている。
【0033】
ロック爪10は、開閉カバー7が閉じている状態のときに施錠するもので、電池収納部6の前面に回動自在に配設されている。
【0034】
図4に示すように開閉カバー7には、係合用のスリット穴7Aが形成されており、図4(B)に示すように、開閉カバー7が閉じている状態のときに、ロック爪10が反時計回り方向に回動(施錠位置に回動)させられると、ロック爪10は、開閉カバー7のスリット穴7Aに係合し、開閉カバー7を施錠(スライド不能に)する。
【0035】
一方、図4(A)に示すように、ロック爪10が時計回り方向に回動(開錠位置)させられると、ロック爪10は、開閉カバー7のスリット穴7Aとの係合が外れ、開閉カバー7を開錠(スライド可能に)する。
【0036】
形状記憶合金12は、上記ロック爪10を回動させるためのアクチュエータであり、図4に示すように、一方の形状記憶合金12Aは、ロック爪10の左側の穴に通されるとともに、図3に示すように、形状記憶合金12Aの途中が電池収納部6の前面の固定部13にて固定され、同様に、他方の形状記憶合金12Bは、ロック爪10の右側の穴に通されるとともに、形状記憶合金13Aの途中が電池収納部6の前面の固定部13にて固定されている。
【0037】
ここで、ワイヤ状の形状記憶合金12としては、図5(A)に示すように常温時には柔らかく、所定の長さになっているが、図5(B)に示すように通電すると、自己発熱により強い力で収縮し、予め記憶された長さになるものが使用されている。
【0038】
従って、開閉カバー7を開錠するときには、図4(A)に示すように形状記憶合金12Aに通電し、形状記憶合金12Aを収縮させ、開閉カバー7を施錠するときには、図4(B)に示すように形状記憶合金12Bに通電し、形状記憶合金12Bを収縮させる。
【0039】
板ばね14は、形状記憶合金12が通電されていないときに、ロック爪10が不用意に回動しないようにロック爪10を保持するものである。
【0040】
図6(A)は前記ロック機構8の正面図であり、図6(B)は、図6(A)のI−I線に沿う拡大断面図である。
【0041】
図6(A)に示すようにロック爪10には、その回動中心から所定の距離に2つの係合穴10A、10Bが形成されており、板ばね14の先端部には、ロック爪10の係合穴10A、10Bに係合する、半球状の絞り14A(図6(B))が形成されている。
【0042】
そして、図6(A)に示すようにロック爪10が施錠位置に回動すると、図6(B)に示すように板ばね14の半球状の絞り14Aが、ロック爪10の係合穴10Bに弾性をもって係合し、ロック爪10を保持する。同様に、ロック爪10が開錠位置に回動すると、板ばね14の半球状の絞り14Aが、ロック爪10の他方の係合穴10Aに弾性をもって係合し、ロック爪10を保持する。
【0043】
これにより、形状記憶合金12が通電されていないときに、ロック爪10が不用意に回動しないようにすることができる。
【0044】
上記ロック機構8は、カメラ筐体2のグリップ部4と電池収納部6とのデッドスペース部に配置されているため、デッドスペース部を有効に利用できるとともに、カメラ1のサイズアップがなく、省スペース化が可能である。尚、電池収納部6には、メモリカード等の記録メディアも同時に収納する場合がある。
【0045】
[デジタルカメラの内部構成]
図7はカメラ1の内部構成を示すブロック図である。
【0046】
このカメラ1は、静止画や動画の記録及び再生機能を備えたデジタルカメラであり、カメラ全体の動作は中央処理装置(CPU)20によって統括制御される。CPU20は、所定のプログラムに従って本カメラシステムを制御する制御手段として機能するとともに、自動露出(AE)演算、自動焦点調節(AF)演算、ホワイトバランス(WB)調整演算など、各種演算を実施する演算手段として機能する。
【0047】
バス22を介してCPU20と接続されたROM24には、CPU20が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納され、EEPROM26には、CCD画素欠陥情報、カメラ動作に関する各種定数/情報、使用者の生体情報(この実施の形態では、指紋情報)等が格納されている。
【0048】
また、メモリ(SDRAM)28は、プログラムの展開領域及びCPU20の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データや音声データの一時記憶領域として利用される。VRAM30は画像データ専用の一時記憶メモリであり、A領域30AとB領域30Bが含まれている。
【0049】
カメラ1にはモード選択スイッチ32、撮影ボタン34、その他、メニュー/OKキー、十字キー、キャンセルキーなどの操作手段36が設けられている。これら各種の操作部(32〜36)からの信号はCPU20に入力され、CPU20は入力信号に基づいてカメラ1の各回路を制御し、例えば、レンズ駆動制御、撮影動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、画像表示装置38の表示制御、及び本発明に係る生体認証処理などを行う。
【0050】
モード選択スイッチ32は、撮影モードと再生モードとを切り換えるための操作手段である。モード選択スイッチ32を操作して可動接片32Aを接点aに接続させると、その信号がCPU20に入力され、カメラ1は撮影モードに設定され、可動接片32Aを接点bに接続させると、カメラ1は記録済みの画像を再生する再生モードに設定される。
【0051】
撮影ボタン34は、撮影開始の指示を入力する操作ボタンであり、半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチとを有する二段ストローク式のスイッチで構成されている。
【0052】
メニュー/OKキーは、画像表示装置38の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。十字キーは、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりするボタン(カーソル移動操作手段)として機能する。また、十字キーの上/下キーは撮影時のズームスイッチあるいは再生時の再生ズームスイッチとして機能し、左/右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。キャンセルキーは、選択項目など所望の対象の消去や指示内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻らせる時などに使用される。
【0053】
画像表示装置38は、カラー表示可能な液晶ディスプレイで構成されている。画像表示装置38は、撮影時に画角確認用の電子ファインダとして使用できるとともに、記録済み画像を再生表示する手段として利用される。また、画像表示装置38は、ユーザインターフェース用表示画面としても利用され、必要に応じてメニュー情報や選択項目、設定内容などの情報が表示される。
【0054】
カメラ1は、メディアソケット(メディア装着部)40を有し、メディアソケット40には記録メディア42を装着することができる。記録メディアの形態は特に限定されず、xD-PictureCard(商標)、スマートメディア(商標)に代表される半導体メモリカード、可搬型小型ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど、種々の媒体を用いることができる。
【0055】
メディアコントローラ44は、メディアソケット40に装着される記録メディア42に適した入出力信号の受渡しを行うために所要の信号変換を行う。
【0056】
また、カメラ1はパソコンその他の外部機器と接続するための通信手段としてUSBインターフェース部46を備えている。図示せぬUSBケーブルを用いてカメラ1と外部機器を接続することにより、外部機器との間でデータの受渡しが可能となる。もちろん、通信方式はUSBに限らず、IEEE1394やBluetooth その他の通信方式を適用してもよい。
【0057】
次に、カメラ1の撮影機能について説明する。
【0058】
モード選択スイッチ32によって撮影モードが選択されると、カラーCCD固体撮像素子(以下CCDと記載)48を含む撮像部に電源が供給され、撮影可能な状態になる。
【0059】
レンズユニット50は、フォーカスレンズを含むレンズ3と絞り兼用メカシャッター54とを含む光学ユニットである。レンズユニット50は、CPU20によって制御されるレンズ駆動部56、絞り駆動部58によって電動駆動され、ズーム制御、フォーカス制御及びアイリス制御が行われる。
【0060】
レンズユニット50を通過した光は、CCD48の受光面に結像される。CCD48の受光面には多数のフォトダイオード(受光素子)が二次元的に配列されており、各フォトダイオードに対応して赤(R)、緑(G)、青(B)の原色カラーフィルタが所定の配列構造(ハニカム、ベイヤーなど)で配置されている。また、CCD48は、各フォトダイオードの電荷蓄積時間(シャッタースピード)を制御する電子シャッター機能を有している。CPU20は、タイミングジェネレータ60を介してCCD48での電荷蓄積時間を制御する。
【0061】
CCD48の受光面に結像された被写体像は、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、CPU12の指令に従いタイミングジェネレータ60から与えられる駆動パルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出される。
【0062】
CCD48から出力された信号はアナログ処理部(CDS/AMP)62に送られ、ここで画素ごとのR,G,B信号がサンプリングホールド(相関二重サンプリング処理)され、増幅された後、A/D変換器64に加えられる。A/D変換器64によってデジタル信号に変換された点順次のR,G,B信号は、画像入力コントローラ66を介してメモリ28に記憶される。
【0063】
画像信号処理回路68は、メモリ28に記憶されたR,G,B信号をCPU20の指令に従って処理する。即ち、画像信号処理回路68は、同時化回路(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含む画像処理手段として機能し、CPU20からのコマンドに従ってメモリ28を活用しながら所定の信号処理を行う。
【0064】
画像信号処理回路68に入力されたRGBの画像データは、画像信号処理回路68において輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr,Cb 信号)に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施される。画像信号処理回路68で処理された画像データはVRAM30に格納される。
【0065】
撮影画像を画像表示装置38にモニタ出力する場合、VRAM30から画像データが読み出され、バス22を介してビデオエンコーダ70に送られる。ビデオエンコーダ70は、入力された画像データを表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換して画像表示装置38に出力する。
【0066】
CCD48から出力される画像信号によって、1コマ分の画像を表す画像データがA領域30AとB領域32Bとで交互に書き換えられる。VRAM32のA領域32A及びB領域32Bのうち、画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている画像データが読み出される。このようにしてVRAM30内の画像データが定期的に書き換えられ、その画像データから生成される映像信号が画像表示装置38に供給されることにより、撮像中の映像がリアルタイムに画像表示装置38に表示される。撮影者は、画像表示装置38に表示される映像(スルームービー画)によって撮影画角を確認できる。
【0067】
撮影ボタン34が半押しされ、S1がオンすると、カメラ1はAE及びAF処理を開始する。即ち、CCD48から出力された画像信号はA/D変換後に画像入力コントローラ66を介してAF検出回路72並びにAE/AWB検出回路74に入力される。
【0068】
AE/AWB検出回路74は、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割エリアごとにRGB信号を積算する回路を含み、その積算値をCPU20に提供する。CPU20は、AE/AWB検出回路74から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。求めた露出値と所定のプログラム線図に従い、絞り値とシャッタースピードが決定され、これに従いCPU20はCCD48の電子シャッター及びアイリスを制御して適正な露光量を得る。
【0069】
また、AE/AWB検出回路74は、自動ホワイトバランス調整時には、分割エリアごとにRGB信号の色別の平均積算値を算出し、その算出結果をCPU20に提供する。CPU20は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値を得て、各分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、これらR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等に基づいて光源種判別を行い、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、例えば、各比の値がおよそ1(つまり、1画面においてRGBの積算比率がR:G:B≒1:1:1)になるように、ホワイトバランス調整回路のR,G,B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を制御し、各色チャンネルの信号に補正をかける。前述した各比の値を1以外の値になるようにホワイトバランス調整回路のゲイン値を調整すると、ある色味が残った画像を生成することができる。尚、ホワイトバランス調整の詳細は後述する。
【0070】
本カメラ1におけるAF制御は、例えば映像信号のG信号の高周波成分が極大になるようにフォーカシングレンズ(レンズ3を構成するレンズ光学系のうちフォーカス調整に寄与する移動レンズ)を移動させるコントラストAFが適用される。即ち、AF検出回路72は、G信号の高周波成分のみを通過させるハイパスフィルタ、絶対値化処理部、画面内(例えば、画面中央部)に予め設定されているフォーカス対象エリア内の信号を切り出すAFエリア抽出部、及びAFエリア内の絶対値データを積算する積算部から構成される。
【0071】
AF検出回路72で求めた積算値のデータはCPU20に通知される。CPU20は、レンズ駆動部56を制御してフォーカシングレンズを移動させながら、複数のAF検出ポイントで焦点評価値(AF評価値)を演算し、評価値が極大となるレンズ位置を合焦位置として決定する。そして、求めた合焦位置にフォーカシングレンズを移動させるようにレンズ駆動部56を制御する。尚、AF評価値の演算はG信号を利用する態様に限らず、輝度信号(Y信号)を利用してもよい。
【0072】
撮影ボタン34が半押しされ、S1オンによってAE/AF処理が行われ、撮影ボタン34が全押しされ、S2オンによって記録用の撮影動作がスタートする。S2オンに応動して取得された画像データは画像信号処理回路68において輝度/色差信号(Y/C信号)に変換され、ガンマ補正等の所定の処理が施された後、メモリ28に格納される。
【0073】
メモリ28に格納されたY/C信号は、圧縮伸張回路76によって所定のフォーマットに従って圧縮された後、メディアコントローラ44を介して記録メディア42に記録される。例えば、静止画についてはJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式で記録される。
【0074】
モード選択スイッチ32により再生モードが選択されると、記録メディア42に記録されている最終の画像ファイル(最後に記録されたファイル)の圧縮データが読み出される。最後の記録に係るファイルが静止画ファイルの場合、この読み出された画像圧縮データは、圧縮伸張回路76を介して非圧縮のYC信号に伸張され、画像信号処理回路68及びビデオエンコーダ70を介して表示用の信号に変換された後、画像表示装置38に出力される。これにより、当該ファイルの画像内容が画像表示装置38の画面上に表示される。
【0075】
静止画の一コマ再生中(動画の先頭フレーム再生中も含む)に、十字キーの右キー又は左キーを操作することによって、再生対象のファイルを切り換えること(順コマ送り/逆コマ送り)ができる。コマ送りされた位置の画像ファイルが記録メディア42から読み出され、上記と同様にして静止画像や動画が画像表示装置38に再生表示される。
【0076】
また、このカメラ1は、生体認証機能を有している。
【0077】
即ち、予め所定の手続きにしたがって正規の使用者の生体情報(この実施の形態では、指紋情報)を取得し、この取得した指紋情報をテンプレートとしてEEPROM26に登録する。尚、指紋情報の取得は、カメラ1で使用者の指を撮影することによって行うことができる。
【0078】
生体認証(指紋認証)時には、使用者の指紋情報を取得し、CPU20は、この取得した指紋情報が、EEPROM26に登録されたテンプレートと一致するか否かを照合する。一致する場合には正規の使用者として認証し、開閉カバー7の施錠・開錠の設定の変更実施を許可し、その設定に応じてロック機構駆動部80を介して形状記憶合金12A、又は12Bへの通電を制御する。
【0079】
次に、電池収納部6の開閉カバー7を施錠・開錠するための処理動作について説明する。
【0080】
[第1の実施の形態]
図8に示すように、予め指紋情報が登録されている指を撮影し(ステップS10)、撮影した指画像に対して2値化処理等の指紋情報処理を行い、指紋情報を抽出する(ステップS12)。
【0081】
この抽出した指紋情報をメモリ28に格納し(ステップS14)、この指紋情報とEEPROM26に登録されたテンプレートとを照合し(ステップS16)、指紋情報が一致するか否かを判別する(ステップS18)。
【0082】
一致する場合には、開閉カバー7の施錠・開錠の設定の変更が許可される(ステップS20)。その後、使用者により施錠・開錠の設定が行われ、その設定に応じて形状記憶合金12A、又は12Bへの通電が制御され、開閉カバー7が施錠又は開錠される(ステップS22)。
【0083】
一方、一致しない場合には、開閉カバー7の施錠・開錠の設定の変更が不許可となり(ステップS24)、施錠の通電(形状記憶合金12Bへの通電)が行われる(ステップS26)。
【0084】
ここで、一致しない場合には、カメラ1の使用そのものを不可としてもよい。また、生体認証は、指紋に限らず、掌紋、網膜等の情報でもよく、更に音声を録音する機能を有する機器では、声紋の情報でもよい。尚、カメラ1は動画撮影等に音声を録音することができ、音声を録音する機能を有する機器の一つである。
【0085】
このような構成を有するカメラ1は、生体認証された正規の使用者のみが、電池、記録メディア等の着脱が可能となり、無断取り外しを制限することができ、第三者による盗難防止、記録メディアの場合は更にデータ機密の保持が可能となる。
【0086】
[第2の実施の形態]
図9は電池収納部6の開閉カバー7を施錠・開錠するための他の処理動作について説明する。尚、図9において、図8に示したフローチャートと共通する部分には同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0087】
図9に示す第2の実施の形態は、図8に示したものと比較して、一点鎖線で囲んだ範囲の処理が追加されている点で相違する。
【0088】
まず、カメラ1の電源をONされると(ステップS30)、電池残量の検出が行われる(ステップS32)。この検出された電池残量が少ないか否かを判別し(ステップS32)、残量少と判別されると、ステップS36に遷移し、残量少でないと判別されると、ステップS10に遷移し、図8のフローチャートで示した処理と同様な処理が実施される。
【0089】
ステップS36では、開閉カバー7を無条件で開錠させる。
【0090】
これにより、電池の残量少の場合には、必ず開錠されるため、電池切れにより開閉カバー7を開錠することができなくなるという問題がない。尚、ステップS34での電池の残量少の判断基準は、開閉カバー7を開錠位置に移動させるために必要な電圧値(通電により形状記憶合金12を自己加熱させて収縮させることができる電圧値)のうちの最低限の電圧値とする。
【0091】
次に、ロック機構の変形例について説明する。
【0092】
[第1の変形例]
図10は本発明に係るロック機構の第1の変形例を示す図である。
【0093】
このロック機構100は、主としてロック爪102と、1本のワイヤ状の形状記憶合金12と、螺旋ばね104とから構成されている。尚、形状記憶合金12としては、図2〜図6に示したものと同様なものが使用される。
【0094】
ロック爪102は、開閉カバー7が閉じている状態のときに開閉カバー7のスリット穴7Aに係合し、開閉カバー7をロック(施錠)するもので、電池収納部の前面に回動自在に配設されている。
【0095】
螺旋ばね104は、ロック爪102が、図10上で反時計回り方向に常時付勢されるように設けられている。
【0096】
従って、形状記憶合金12が通電されずに常温の状態(柔らかく伸びている状態)では、ロック爪102は、螺旋ばね104の付勢力によって反時計回り方向に回動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aに係合して開閉カバー7を施錠する。
【0097】
一方、開閉カバー7を開錠するときには、形状記憶合金12に通電し、形状記憶合金12を収縮させる。これにより、ロック爪102は、形状記憶合金12の収縮力によって螺旋ばね104の付勢力に抗して時計回り方向に回動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aから外れて開閉カバー7を開錠する。
【0098】
[第2の変形例]
図11は本発明に係るロック機構の第2の変形例を示す図である。
【0099】
このロック機構110は、主としてロック爪112と、1本のワイヤ状の形状記憶合金12と、トーションばね114とから構成されている。尚、形状記憶合金12としては、図2〜図6に示したものと同様なものが使用される。
【0100】
ロック爪112は、開閉カバー7が閉じている状態のときに開閉カバー7のスリット穴
7Aに係合し、開閉カバー7をロック(施錠)するもので、電池収納部の前面に上下方向に移動自在に配設されている。
【0101】
トーションばね114は、ロック爪112が、図11上で下方向に常時付勢されるように設けられている。
【0102】
従って、形状記憶合金12が通電されずに常温の状態(柔らかく伸びている状態)では、ロック爪112は、トーションばね114の付勢力によって下方向に移動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aに係合して開閉カバー7を施錠する。
【0103】
一方、開閉カバー7を開錠するときには、形状記憶合金12に通電し、形状記憶合金12を収縮させる。これにより、ロック爪112は、形状記憶合金12の収縮力によってトーションばね114の付勢力に抗して上方向に移動させられ、開閉カバー7のスリット穴7Aから外れて開閉カバー7を開錠する。
【0104】
尚、この実施の形態では、デジタルカメラの電池収納部の開閉カバーを施錠・開錠する場合について説明したが、これに限らず、本発明は、記録メディアの収納部、あるいは電池及び記録メディアの収納部の開閉カバーを施錠・開錠する場合にも適用できる。また、この種の開閉カバーを有する電子機器であれば、デジタルカメラに限らず、本発明は他の電子機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は本発明に係る電子機器(デジタルカメラ)の外観図である。
【図2】図2は図1に示したデジタルカメラの要部を内部透視した図である。
【図3】図3は図2の要部拡大図である。
【図4】図4は図3に示したロック機構の要部拡大図である。
【図5】図5はワイヤ状の形状記憶合金を説明するために用いた図である。
【図6】図6(A)はロック機構の正面図であり、図6(B)は図6(A)のI−I線に沿う拡大断面図である。
【図7】図7はカメラ1の内部構成を示すブロック図である。
【図8】図8は電池収納部の開閉カバーを施錠・開錠するための第1の実施の形態の処理動作を説明するために用いたフローチャートフローチャートである。
【図9】図9は電池収納部の開閉カバーを施錠・開錠するための第2の実施の形態の処理動作を説明するために用いたフローチャートである。
【図10】図10は本発明に係るロック機構の第1の変形例を示す図である。
【図11】図11は本発明に係るロック機構の第2の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1…デジタルカメラ(カメラ)、2…カメラ筐体、3…レンズ、4…グリップ部、5…電池、6…電池収納部、7…開閉カバー、8、100、110…ロック機構、10、102、112…ロック爪、12、12A、12B…形状記憶合金、14…板ばね、20…CPU、42…記録メディア、48…CCD、50…レンズユニット、80…ロック機構駆動部、104…螺旋ばね、114…トーションばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池及び/又は記録媒体を収納する収納部と、前記収納部を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーを施錠・開錠するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御手段とを備えた電子機器において、
前記ロック機構は、
前記電子機器本体に対して施錠位置と開錠位置との間で移動自在に配設され、前記開閉カバーの閉状態時に該開閉カバーに設けられた係合部に係合し又は離脱することが可能なロック爪と、
通電時に自己発熱によって収縮するワイヤ状の形状記憶合金であって、通電時の収縮によって前記開閉カバーを少なくとも開錠位置に移動させる形状記憶合金と、を備え、
前記制御手段は、前記形状記憶合金への通電を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記形状記憶合金は、通電時の収縮によって前記開閉カバーを開錠位置に移動させる第1の形状記憶合金と、通電時の収縮によって前記開閉カバーを施錠位置に移動させる第2の形状記憶合金とを有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記施錠位置及び開錠位置に移動したロック爪を、通電時に生じる前記形状記憶合金の駆動力よりも弱い力で保持する保持部材を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記ロック爪が前記施錠位置に移動するように付勢する付勢部材を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記収納部に収納された電池の残量を検出する電池残量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電池の残量が前記開閉カバーを開錠位置に移動させるために必要な最低限の値に達すると、自動的に前記形状記憶合金に通電して前記開閉カバーを開錠位置に移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
生体情報を取得する生体情報取得手段と、予め登録された生体情報と前記生体情報取得手段によって取得された生体情報とを照合し、一致した場合のみ少なくとも前記開閉カバーの開錠を許可する生体認証手段と、を備え、
前記制御手段は、前記生体認証手段によって少なくとも前記開閉カバーの開錠が許可された場合に前記形状記憶合金に通電を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器はデジタルカメラであり、前記ロック機構はカメラグリップ部に配設されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記生体情報は、人体の一部を撮影することによって取得可能な情報であり、
前記電子機器は、前記生体情報取得手段として兼用されるデジタルカメラであることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子機器。
【請求項1】
電池及び/又は記録媒体を収納する収納部と、前記収納部を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーを施錠・開錠するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御手段とを備えた電子機器において、
前記ロック機構は、
前記電子機器本体に対して施錠位置と開錠位置との間で移動自在に配設され、前記開閉カバーの閉状態時に該開閉カバーに設けられた係合部に係合し又は離脱することが可能なロック爪と、
通電時に自己発熱によって収縮するワイヤ状の形状記憶合金であって、通電時の収縮によって前記開閉カバーを少なくとも開錠位置に移動させる形状記憶合金と、を備え、
前記制御手段は、前記形状記憶合金への通電を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記形状記憶合金は、通電時の収縮によって前記開閉カバーを開錠位置に移動させる第1の形状記憶合金と、通電時の収縮によって前記開閉カバーを施錠位置に移動させる第2の形状記憶合金とを有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記施錠位置及び開錠位置に移動したロック爪を、通電時に生じる前記形状記憶合金の駆動力よりも弱い力で保持する保持部材を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記ロック爪が前記施錠位置に移動するように付勢する付勢部材を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記収納部に収納された電池の残量を検出する電池残量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電池の残量が前記開閉カバーを開錠位置に移動させるために必要な最低限の値に達すると、自動的に前記形状記憶合金に通電して前記開閉カバーを開錠位置に移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
生体情報を取得する生体情報取得手段と、予め登録された生体情報と前記生体情報取得手段によって取得された生体情報とを照合し、一致した場合のみ少なくとも前記開閉カバーの開錠を許可する生体認証手段と、を備え、
前記制御手段は、前記生体認証手段によって少なくとも前記開閉カバーの開錠が許可された場合に前記形状記憶合金に通電を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器はデジタルカメラであり、前記ロック機構はカメラグリップ部に配設されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記生体情報は、人体の一部を撮影することによって取得可能な情報であり、
前記電子機器は、前記生体情報取得手段として兼用されるデジタルカメラであることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−245143(P2008−245143A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85828(P2007−85828)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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