電子機器
【課題】この発明は、アンテナ特性を安定させることができる電子機器を提供することを課題とする。
【解決手段】ノートPCの表示筐体の上端周縁部に配置されたアンテナ装置10aは、隣接する他の電子部品の給電線24をコア部材42から一定距離だけ離して位置決めする突出部40を有する。突出部40は、アンテナ線44に干渉しない位置でコア部材42から突設され、給電線24を収容する段部40aを有する。
【解決手段】ノートPCの表示筐体の上端周縁部に配置されたアンテナ装置10aは、隣接する他の電子部品の給電線24をコア部材42から一定距離だけ離して位置決めする突出部40を有する。突出部40は、アンテナ線44に干渉しない位置でコア部材42から突設され、給電線24を収容する段部40aを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筐体の周縁部に電子部品とアンテナ装置を配置した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示筐体の周縁部にアンテナ装置を配置した電子機器として、例えば、下記の特許文献1に開示されたノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPCと称する)が知られている。
【0003】
この公報に開示されたノートPCは、表示筐体の両側側面それぞれにアンテナユニットを備えている。このアンテナユニットは、表示部筐体の側面に沿って配線した給電線から電波共振部までの距離を遠ざけるように、接続部と電波共振部との間にアンテナグランド部を介在させた構造を有する。
【0004】
特に、このアンテナユニットは、給電線の配線位置のばらつきによるアンテナ特性の変化を防止するため、電波共振部に対してアンテナグランド部の背面側で電波共振部から離れた位置に給電線を配線している。
【0005】
しかし、この公報に開示されたアンテナユニットは、1枚の板金をプレス加工して形成されているため、アンテナグランドに沿って給電線を配線すると、電波共振部のアンテナ特性に影響を与えることになる。
【特許文献1】特開2004−266681号公報([0032]段落、図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、アンテナ特性を安定させることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の電子機器は、矩形板状の表示筐体と、この表示筐体の下端にヒンジ部を介して接続された機器本体と、上記表示筐体の上端周縁部に配置された電子部品と、この電子部品より上記表示筐体の角部に近い位置で上記上端周縁部に配置されたアンテナ装置と、上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記表示筐体の周縁部に沿って配線され上記ヒンジ部を介して上記機器本体に接続されたケーブルと、このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、を有する。
【0008】
また、本発明の電子機器は、矩形板状の筐体と、この筐体の周縁部に配置された電子部品と、この電子部品より上記筐体の角部に近い位置で上記周縁部に配置されたアンテナ装置と、上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記周縁部に沿って配線されたケーブルと、このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、を有する。
【0009】
上記発明によると、アンテナ装置の近くを通るケーブルの配線位置をアンテナ装置から一定距離を隔てた位置に位置決めしたため、アンテナ装置に並設された電子部品のケーブルがアンテナ装置に干渉してアンテナ特性に影響を与える不具合を防止でき、アンテナ特性を安定させることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の電子機器は、上記のような構成および作用を有しているので、アンテナ特性を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る電子機器として、ノート型のパーソナルコンピュータ1(以下、単にノートPC1と称する)の外観斜視図を示してある。また、図2には、このノートPC1の表示筐体2の上端周縁部の内部構造を示してある。本発明の電子機器は、ここで説明するノートPC1に限らず表示部を機器本体に一体に有する無線通信機能を有する他の電子機器であっても良い。
【0012】
図1に示すように、ノートPC1は、大きく分類して矩形板状の表示筐体2と矩形板状の機器本体4を有する。表示筐体2の下端は、2つのヒンジ部6を介して機器本体4に対して回動自在に接続され、表示筐体2が機器本体4の上面を閉じる閉じ位置と図示のように上面を開放する開き位置との間で開閉自在とされている。なお、タブレット型のノートPCの場合は、表示筐体2と機器本体4が1つのヒンジで接続される。
【0013】
図2に示すように、表示筐体2は、矩形板状の液晶パネル8を内蔵し、この液晶パネル8の上端より外側、すなわち表示筐体2の上端周縁部に無線通信用の5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12c、およびカメラ14を収容配置している。これら液晶パネル8の上端より外側に並設された5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12c、およびカメラ14は、液晶パネル8の周縁部をカバーする矩形枠状のマスク部材2aによって覆われる。
【0014】
2つのアンテナ装置10a、10bは、3Gアンテナであり、3つのアンテナ装置12a、12b、12cは、例えば、Bluetooth(登録商標)など無線LAN用のアンテナ装置を含む。これら5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12cは、カメラ14を間に挟んで、2つのアンテナ装置10a、10bと3つのアンテナ装置12a、12b、12cを図示の順に交互に並べて、液晶パネル8の上端縁部に沿って配置されている。
【0015】
図3には、5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12c、およびカメラ14の配線構造を模式的に示してある。機器本体4は、無線電波を送受信するために送信信号に応じた高周波信号を発生する給電回路として、アンテナ装置10a、10bに接続された3G用の無線通信モジュール20a、およびアンテナ装置12a、12b、12cに接続された無線LAN用の無線通信モジュール20bを有する。
【0016】
無線通信モジュール20a、20bは、それぞれ、ヒンジ部6を通る給電線21、22、23、24、25を介して、5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12cと接続されている。給電線21〜25は、例えば、直径1[mm]程度の同軸ケーブルである。また、カメラ14に接続されたケーブル26も、ヒンジ部6を介して機器本体4まで配線されている。
【0017】
無線通信用モジュール20a、20bは、それぞれ、CPUバス30を介して、CPU32およびメモリ34と接続されている。この無線通信用モジュール20a、20bは、図示しないRF(Radio Frequency)部、水晶発振部、およびベースバンド処理部を有する。
【0018】
図4には、この発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置10aの正面図を示してある。また、図5には、このアンテナ装置10aを図4の線V-Vで切断した断面図を示してある。なお、図4では、液晶パネル8の周縁部を覆ったマスク部材2aの図示を省略してあり、図5では、マスク部材2aを図示してある。このアンテナ装置10aは、他の電子部品としてのアンテナ装置12bより表示筐体2の角部に近い側に隣接して配置されている。
【0019】
図4に示すように、当該アンテナ装置10aの図中右側に隣接して表示筐体2の上端周縁部に配置されたアンテナ装置12b(電子部品)の給電線24(ケーブル)は、アンテナ装置10aの近くを通って図中左方向に延びて配線されている。このため、給電線24の配線位置が上下にずれてアンテナ装置10aとの間の距離が変化すると、アンテナ装置10aのアンテナ特性に影響が及ぼされてしまう。言い換えると、アンテナ装置10aのアンテナ特性を安定させるためには、このアンテナ装置10aの近くを通る給電線24の配線位置をアンテナ装置10aから一定距離を隔てた位置に位置決めすることが重要である。
【0020】
さらに、もう一方のアンテナ装置10bの近くを通るカメラ14(電子部品)のケーブル26にも同じことが言える。つまり、ケーブル26の配線位置を、アンテナ装置10bに対して一定距離を隔てた位置に位置決めすることが、アンテナ装置10bのアンテナ特性を安定させるために重要である。以下の説明では、先に説明したアンテナ装置10aの近くを通る給電線24の配線位置の位置決めのための構造について代表して説明する。
【0021】
ところで、上述したノートPC1のように表示筐体2の上端周縁部に複数のアンテナ装置やカメラなどの電子部品を並設する場合、各電子部品を機器本体4に接続するためのケーブルが別の電子部品の近くを通って配線されることは構造上避けられない。なお、本実施の形態では、アンテナ装置10aの近くを通るケーブルはアンテナ装置12bの給電線24のみであるが、ケーブルの引き回し方によっては、複数本のケーブルがアンテナ装置10aの近くを通って配線される場合もある。
【0022】
このため、本願発明者等は、アンテナ装置10aのアンテナ特性に影響を及ぼすことのない給電線24の位置決め構造を見出した。図4および図5に示すように、本発明の第1の実施の形態のアンテナ装置10aは、他の電子部品(アンテナ装置12b)のケーブル(給電線24)を位置決めするための位置決め部材として、樹脂製の突出部40を備えている。
【0023】
上述したアンテナ装置10aは、細長い矩形ブロック状の樹脂により形成されたコア部材42、およびコア部材42の外面に巻装されたアンテナ線44(詳細な形状の図示は省略)を有する。アンテナ線44は、矩形のフレキシブルプリント基板46(以下、FPC基板46と称する)に印刷され、FPC基板46をコア部材42に巻きつけることでコア部材42に巻装される。なお、FPC基板46をコア部材42に巻き付けた図4に示す状態で、コア部材42の長手方向両端は、FPC基板46の端辺から僅かに突出する。
【0024】
FPC基板46には、アンテナ線44を接地するグランドパターンGが印刷されているとともに、アンテナ線44の図示しない給電ポイントに給電線21が接続されている。グランドパターンGが印刷された側のFPC基板46の端部46aは、液晶パネル8と表示筐体2の背面カバー2bとの間に挟まれる。この際、アンテナ装置10aは、補強板48を介して両面テープで表示筐体2の背面カバー2bに取り付けられる。一方、アンテナ線44が印刷された側のFPC基板46の端部46bは、コア部材42の前面側下端近くで終わっている。
【0025】
つまり、コア部材42の前面、上面、および背面にFPC基板46が巻装され、液晶パネル8の上端に対向する下面側にはFPC基板46は巻き付けられていない。そして、このアンテナ線44に干渉しないコア部材42の下面に突出部40が取り付けられている。コア部材42が樹脂製であるため、突出部40をコア部材42と一体成形しても良い。突出部40の長さは、コア部材42の長さより僅かに短くされている。なお、本実施の形態では、突出部40は、コア部材42に沿って連続した細長い形状を有するが、コア部材42の長手方向に沿って断続的に設けても良い。
【0026】
図5に断面を示すように、突出部40は、近くを通る給電線24とコア部材42の下面との間に一定距離を保つため、すなわち、アンテナ装置10aと給電線24との間の距離を一定に保つため、長手方向に延びた段部40aを有する。言い換えると、給電線24は、この段部40aに収容配置されるだけで、アンテナ装置10aとの間に一定距離を形成できる。また、見方を変えると、突出部40に段部40aを設けることで、段部40aに収容配置した給電線24の前面側を覆う庇部40bが形成される。
【0027】
実際に給電線24を段部40aに収容配置する際には、まず、アンテナ装置10aを表示筐体2の背面カバー2b内に取り付け、隣接するアンテナ装置12bを背面カバー2bに取り付け、最後に、給電線24を突出部40の庇部40bの下から段部40aに押し込んで給電線24を段部40aに収容配置する。このとき、給電線24が段部40aから外れることを防止するため、図示しないテープで給電線24を数箇所仮留めしても良い。このように、給電線24を段部40aに収容配置することで、アンテナ装置10aを背面カバー2bに取り付ける際に、給電線24を挟む不具合をも防止できる。
【0028】
以上のように、本実施の形態によると、段部40aを有する突出部40をコア部材42に取り付けるだけの簡単な構成の追加によって、アンテナ装置10aに隣接する他の電子部品12bのケーブル24とアンテナ装置10aとの間の距離を一定に保つことができ、アンテナ特性が変化することを防止でき、アンテナ特性を安定させることができる。
【0029】
図6には、上述した第1の実施の形態の変形例を示してある。この変形例によると、突出部40の庇部40bの内側に少なくとも1つの爪部40cを備えている。これにより、段部40aに収容配置した給電線24の脱落を押えるようにしている。この爪部40cを備えた段部40aに給電線24を収容配置する場合には、爪部40cを乗り越えるように給電線24を段部40aに押し込んで、給電線24が段部40aにラッチ留めされる。
【0030】
この変形例によると、上述した第1の実施の形態の爪部40cを持たない段部40aに給電線24を収容する場合と比較して、段部40aから給電線24が脱落する心配がないため、段部40aに収容した給電線24を仮留めするためのテープが不要となり、その分、材料コストを低減できるとともに、組み立て工程を簡略化できる。
【0031】
図7には、この発明の第2の実施の形態に係る位置決め部材としての突出部50を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。第2の実施の形態のアンテナ装置10aは、突出部50の断面形状が異なる以外上述した第1の実施の形態と同じ構造を有する。よって、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
突出部50は、液晶パネル8の上端に向けて開口した断面U字形状に形成されている。この場合、段部52は、U字の底に形成され、上述した第1の実施の形態と同様に、給電線24とコア部材42との間に一定距離を保つよう機能する。従って、この突出部50を採用した場合においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。その上、上述した第1の実施の形態と比較して、給電線24の配線位置をより確実に位置決めできる。
【0033】
つまり、この突出部50の段部52に給電線24を収容配置した状態では、段部52の両側にある立壁部54によって給電線24が挟まれることになり、表示筐体2の厚さ方向への給電線24の移動も規制される。これにより、第1の実施の形態の突出部40を用いた場合と比較して、より給電線24の移動の自由度を少なくでき、アンテナ装置10aのアンテナ特性をより安定させることができる。
【0034】
図8には、上述した第2の実施の形態の変形例を示してある。この変形例の構造は、断面U字形状の突出部56の開口部が表示筐体2の前面側に向かっていることを特徴としている。つまり、この突出部56の段部58は、U字状部内に給電線24を収容したとき、給電線24とコア部材42との間に介在される部位となる。
【0035】
この場合、給電線24をU字状部内に収容配置する際、給電線24を突出部56の前方から押し込むことができ、第2の実施の形態のように液晶パネル8の上端との間の隙間から上方に押し込む場合と比較して、給電線24の引き回し作業を容易にできる。また、この場合、段部58の内側に図示しない爪部を設けることで、仮留めのテープも不要になる。つまり、この変形例によると、上述した第2の実施の形態の突出部50を用いた場合と同様の効果を奏し得るとともに、給電線24の取り付け作業を容易にでき、作業性を向上させることができる。
【0036】
図9には、この発明の第3の実施の形態に係る位置決め部材としての突出部60を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。この突出部60は、2本のケーブル24、62を収容可能な段部64を有する以外、上述した第1の実施の形態と同じ構造を有する。よって、第1の実施の形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0037】
つまり、この突出部60の段部64は、第1の実施の形態の突出部40の段部40aと比較して、表示筐体2の厚さ方向の幅が広げられており、上述したアンテナ装置12bの給電線24に加えてここでは図示しない他の電子部品のケーブル62を収容可能となっている。
【0038】
また、図10には、2本のケーブル24、62を収容配置した上で、一方のケーブル62の移動をより確実に規制した第1の変形例を示してあり、図11には、2本のケーブル24、62を双方とも確実に拘束した第2の変形例を示してある。いずれの変形例も、ケーブル24、62が表示筐体2の厚さ方向に移動することの自由度を少なくすることで、ケーブルの配線位置を位置決めしており、アンテナ装置10aのアンテナ特性を安定させることができる。
【0039】
図12には、この発明の第4の実施の形態に係る位置決め部材として、突出部40と協働して給電線24を位置決めするリブ70を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。突出部40の構造は、上述した第1の実施の形態と同じである。つまり、本実施の形態の位置決め部材は、突出部40に加えてリブ70を有する点で第1の実施の形態と異なる。よって、第1の実施の形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
リブ70は、突出部40の立壁部40bと液晶パネル8の上端との間で、表示筐体2の背面カバー2bの内面から前方に向けて突設されている。リブ70は、背面カバー2bと一体に成形されても良い。また、このリブ70は、アンテナ装置10aの全長にわたって連続して設けられても良いが、本実施の形態では、図13に示すように、アンテナ装置10aの長手方向に離間した2箇所に設けた。
【0041】
リブ70は、補強板48およびFPC基板46の対応する位置に形成された矩形の孔72を通って突出部40の立壁部40bの先端に接触するよう延設されている。しかして、このリブ70を利用して給電線24を位置決めする際には、アンテナ装置12bを背面カバー2bに取り付けた後、給電線24を2本のリブ70の上に乗せ、突出部40を備えたアンテナ装置10aを取り付ける。これにより、突出部40の段部40aとリブ70の間に給電線24が囲まれる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によると、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができ、さらに、給電線24の引き回し作業を容易にできる。つまり、給電線24を段部40a内に収容配置するため給電線24を段部40aに押し込んだり給電線24を仮留めする必要が無くなり、作業性を向上させることができる。
【0043】
図14には、この発明の第5の実施の形態に係る位置決め部材としてのリブ80を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。本実施の形態の位置決め部材は、コア部材42に取り付けた突出部を持たない点で、上述した各実施の形態と異なる。これ以外に、上述した実施の形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
リブ80は、表示筐体2の背面カバー2bの内面側から一体に突設されている。本実施の形態では、リブ80を背面カバー2bと一体成形した。アンテナ装置10aのFPC基板46および補強板48の対応する位置には、リブ80を挿通するため貫通した孔82が形成されている。このリブ80は、アンテナ装置10a(コア部材42)と給電線24との間に配置され、両者の間の距離を一定に保つよう機能する。
【0045】
このリブ80を有する位置決め部材によって給電線24を位置決めする場合、まず、アンテナ装置10a、12bをこの順番で背面カバー2bに取り付けて、給電線24をリブ80の下側に沿わせる。そして、このリブ80に対して給電線24を数箇所でテープ84を用いて仮留めする。
【0046】
以上のように、本実施の形態によると、アンテナ装置10aに対しては、FPC基板46に予め孔82を設けるだけの簡単な構造の変更だけで済み、より簡単な構造によって給電線24を確実に位置決めでき、アンテナ装置10aのアンテナ特性を安定させることができる。
【0047】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態に係るノートPCを示す外観斜視図。
【図2】図1のノートPCの表示筐体の上端周縁部における内部構造を示す外観図。
【図3】図2の上端周縁部に配置した電子部品の配線構造を説明するための模式図。
【図4】この発明の第1の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す正面図。
【図5】図4のアンテナ装置の要部断面図。
【図6】図5のアンテナ装置の変形例を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【図8】図7のアンテナ装置の変形例を示す断面図。
【図9】この発明の第3の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【図10】図9のアンテナ装置の第1の変形例を示す断面図。
【図11】図9のアンテナ装置の第2の変形例を示す断面図。
【図12】この発明の第4の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【図13】図12のアンテナ装置の正面図。
【図14】この発明の第5の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0049】
1…ノートPC、2…表示筐体、2b…背面カバー、4…機器本体、6…ヒンジ部、8…液晶パネル、10a、10b…アンテナ装置、12a、12b、12c…アンテナ装置、14…カメラ、24…給電線、40…突出部、40a…段部、42…コア部材、44…アンテナ線、46…FPC基板、G…グランドパターン。
【技術分野】
【0001】
この発明は、筐体の周縁部に電子部品とアンテナ装置を配置した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示筐体の周縁部にアンテナ装置を配置した電子機器として、例えば、下記の特許文献1に開示されたノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPCと称する)が知られている。
【0003】
この公報に開示されたノートPCは、表示筐体の両側側面それぞれにアンテナユニットを備えている。このアンテナユニットは、表示部筐体の側面に沿って配線した給電線から電波共振部までの距離を遠ざけるように、接続部と電波共振部との間にアンテナグランド部を介在させた構造を有する。
【0004】
特に、このアンテナユニットは、給電線の配線位置のばらつきによるアンテナ特性の変化を防止するため、電波共振部に対してアンテナグランド部の背面側で電波共振部から離れた位置に給電線を配線している。
【0005】
しかし、この公報に開示されたアンテナユニットは、1枚の板金をプレス加工して形成されているため、アンテナグランドに沿って給電線を配線すると、電波共振部のアンテナ特性に影響を与えることになる。
【特許文献1】特開2004−266681号公報([0032]段落、図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、アンテナ特性を安定させることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の電子機器は、矩形板状の表示筐体と、この表示筐体の下端にヒンジ部を介して接続された機器本体と、上記表示筐体の上端周縁部に配置された電子部品と、この電子部品より上記表示筐体の角部に近い位置で上記上端周縁部に配置されたアンテナ装置と、上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記表示筐体の周縁部に沿って配線され上記ヒンジ部を介して上記機器本体に接続されたケーブルと、このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、を有する。
【0008】
また、本発明の電子機器は、矩形板状の筐体と、この筐体の周縁部に配置された電子部品と、この電子部品より上記筐体の角部に近い位置で上記周縁部に配置されたアンテナ装置と、上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記周縁部に沿って配線されたケーブルと、このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、を有する。
【0009】
上記発明によると、アンテナ装置の近くを通るケーブルの配線位置をアンテナ装置から一定距離を隔てた位置に位置決めしたため、アンテナ装置に並設された電子部品のケーブルがアンテナ装置に干渉してアンテナ特性に影響を与える不具合を防止でき、アンテナ特性を安定させることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の電子機器は、上記のような構成および作用を有しているので、アンテナ特性を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る電子機器として、ノート型のパーソナルコンピュータ1(以下、単にノートPC1と称する)の外観斜視図を示してある。また、図2には、このノートPC1の表示筐体2の上端周縁部の内部構造を示してある。本発明の電子機器は、ここで説明するノートPC1に限らず表示部を機器本体に一体に有する無線通信機能を有する他の電子機器であっても良い。
【0012】
図1に示すように、ノートPC1は、大きく分類して矩形板状の表示筐体2と矩形板状の機器本体4を有する。表示筐体2の下端は、2つのヒンジ部6を介して機器本体4に対して回動自在に接続され、表示筐体2が機器本体4の上面を閉じる閉じ位置と図示のように上面を開放する開き位置との間で開閉自在とされている。なお、タブレット型のノートPCの場合は、表示筐体2と機器本体4が1つのヒンジで接続される。
【0013】
図2に示すように、表示筐体2は、矩形板状の液晶パネル8を内蔵し、この液晶パネル8の上端より外側、すなわち表示筐体2の上端周縁部に無線通信用の5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12c、およびカメラ14を収容配置している。これら液晶パネル8の上端より外側に並設された5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12c、およびカメラ14は、液晶パネル8の周縁部をカバーする矩形枠状のマスク部材2aによって覆われる。
【0014】
2つのアンテナ装置10a、10bは、3Gアンテナであり、3つのアンテナ装置12a、12b、12cは、例えば、Bluetooth(登録商標)など無線LAN用のアンテナ装置を含む。これら5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12cは、カメラ14を間に挟んで、2つのアンテナ装置10a、10bと3つのアンテナ装置12a、12b、12cを図示の順に交互に並べて、液晶パネル8の上端縁部に沿って配置されている。
【0015】
図3には、5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12c、およびカメラ14の配線構造を模式的に示してある。機器本体4は、無線電波を送受信するために送信信号に応じた高周波信号を発生する給電回路として、アンテナ装置10a、10bに接続された3G用の無線通信モジュール20a、およびアンテナ装置12a、12b、12cに接続された無線LAN用の無線通信モジュール20bを有する。
【0016】
無線通信モジュール20a、20bは、それぞれ、ヒンジ部6を通る給電線21、22、23、24、25を介して、5つのアンテナ装置10a、10b、12a、12b、12cと接続されている。給電線21〜25は、例えば、直径1[mm]程度の同軸ケーブルである。また、カメラ14に接続されたケーブル26も、ヒンジ部6を介して機器本体4まで配線されている。
【0017】
無線通信用モジュール20a、20bは、それぞれ、CPUバス30を介して、CPU32およびメモリ34と接続されている。この無線通信用モジュール20a、20bは、図示しないRF(Radio Frequency)部、水晶発振部、およびベースバンド処理部を有する。
【0018】
図4には、この発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置10aの正面図を示してある。また、図5には、このアンテナ装置10aを図4の線V-Vで切断した断面図を示してある。なお、図4では、液晶パネル8の周縁部を覆ったマスク部材2aの図示を省略してあり、図5では、マスク部材2aを図示してある。このアンテナ装置10aは、他の電子部品としてのアンテナ装置12bより表示筐体2の角部に近い側に隣接して配置されている。
【0019】
図4に示すように、当該アンテナ装置10aの図中右側に隣接して表示筐体2の上端周縁部に配置されたアンテナ装置12b(電子部品)の給電線24(ケーブル)は、アンテナ装置10aの近くを通って図中左方向に延びて配線されている。このため、給電線24の配線位置が上下にずれてアンテナ装置10aとの間の距離が変化すると、アンテナ装置10aのアンテナ特性に影響が及ぼされてしまう。言い換えると、アンテナ装置10aのアンテナ特性を安定させるためには、このアンテナ装置10aの近くを通る給電線24の配線位置をアンテナ装置10aから一定距離を隔てた位置に位置決めすることが重要である。
【0020】
さらに、もう一方のアンテナ装置10bの近くを通るカメラ14(電子部品)のケーブル26にも同じことが言える。つまり、ケーブル26の配線位置を、アンテナ装置10bに対して一定距離を隔てた位置に位置決めすることが、アンテナ装置10bのアンテナ特性を安定させるために重要である。以下の説明では、先に説明したアンテナ装置10aの近くを通る給電線24の配線位置の位置決めのための構造について代表して説明する。
【0021】
ところで、上述したノートPC1のように表示筐体2の上端周縁部に複数のアンテナ装置やカメラなどの電子部品を並設する場合、各電子部品を機器本体4に接続するためのケーブルが別の電子部品の近くを通って配線されることは構造上避けられない。なお、本実施の形態では、アンテナ装置10aの近くを通るケーブルはアンテナ装置12bの給電線24のみであるが、ケーブルの引き回し方によっては、複数本のケーブルがアンテナ装置10aの近くを通って配線される場合もある。
【0022】
このため、本願発明者等は、アンテナ装置10aのアンテナ特性に影響を及ぼすことのない給電線24の位置決め構造を見出した。図4および図5に示すように、本発明の第1の実施の形態のアンテナ装置10aは、他の電子部品(アンテナ装置12b)のケーブル(給電線24)を位置決めするための位置決め部材として、樹脂製の突出部40を備えている。
【0023】
上述したアンテナ装置10aは、細長い矩形ブロック状の樹脂により形成されたコア部材42、およびコア部材42の外面に巻装されたアンテナ線44(詳細な形状の図示は省略)を有する。アンテナ線44は、矩形のフレキシブルプリント基板46(以下、FPC基板46と称する)に印刷され、FPC基板46をコア部材42に巻きつけることでコア部材42に巻装される。なお、FPC基板46をコア部材42に巻き付けた図4に示す状態で、コア部材42の長手方向両端は、FPC基板46の端辺から僅かに突出する。
【0024】
FPC基板46には、アンテナ線44を接地するグランドパターンGが印刷されているとともに、アンテナ線44の図示しない給電ポイントに給電線21が接続されている。グランドパターンGが印刷された側のFPC基板46の端部46aは、液晶パネル8と表示筐体2の背面カバー2bとの間に挟まれる。この際、アンテナ装置10aは、補強板48を介して両面テープで表示筐体2の背面カバー2bに取り付けられる。一方、アンテナ線44が印刷された側のFPC基板46の端部46bは、コア部材42の前面側下端近くで終わっている。
【0025】
つまり、コア部材42の前面、上面、および背面にFPC基板46が巻装され、液晶パネル8の上端に対向する下面側にはFPC基板46は巻き付けられていない。そして、このアンテナ線44に干渉しないコア部材42の下面に突出部40が取り付けられている。コア部材42が樹脂製であるため、突出部40をコア部材42と一体成形しても良い。突出部40の長さは、コア部材42の長さより僅かに短くされている。なお、本実施の形態では、突出部40は、コア部材42に沿って連続した細長い形状を有するが、コア部材42の長手方向に沿って断続的に設けても良い。
【0026】
図5に断面を示すように、突出部40は、近くを通る給電線24とコア部材42の下面との間に一定距離を保つため、すなわち、アンテナ装置10aと給電線24との間の距離を一定に保つため、長手方向に延びた段部40aを有する。言い換えると、給電線24は、この段部40aに収容配置されるだけで、アンテナ装置10aとの間に一定距離を形成できる。また、見方を変えると、突出部40に段部40aを設けることで、段部40aに収容配置した給電線24の前面側を覆う庇部40bが形成される。
【0027】
実際に給電線24を段部40aに収容配置する際には、まず、アンテナ装置10aを表示筐体2の背面カバー2b内に取り付け、隣接するアンテナ装置12bを背面カバー2bに取り付け、最後に、給電線24を突出部40の庇部40bの下から段部40aに押し込んで給電線24を段部40aに収容配置する。このとき、給電線24が段部40aから外れることを防止するため、図示しないテープで給電線24を数箇所仮留めしても良い。このように、給電線24を段部40aに収容配置することで、アンテナ装置10aを背面カバー2bに取り付ける際に、給電線24を挟む不具合をも防止できる。
【0028】
以上のように、本実施の形態によると、段部40aを有する突出部40をコア部材42に取り付けるだけの簡単な構成の追加によって、アンテナ装置10aに隣接する他の電子部品12bのケーブル24とアンテナ装置10aとの間の距離を一定に保つことができ、アンテナ特性が変化することを防止でき、アンテナ特性を安定させることができる。
【0029】
図6には、上述した第1の実施の形態の変形例を示してある。この変形例によると、突出部40の庇部40bの内側に少なくとも1つの爪部40cを備えている。これにより、段部40aに収容配置した給電線24の脱落を押えるようにしている。この爪部40cを備えた段部40aに給電線24を収容配置する場合には、爪部40cを乗り越えるように給電線24を段部40aに押し込んで、給電線24が段部40aにラッチ留めされる。
【0030】
この変形例によると、上述した第1の実施の形態の爪部40cを持たない段部40aに給電線24を収容する場合と比較して、段部40aから給電線24が脱落する心配がないため、段部40aに収容した給電線24を仮留めするためのテープが不要となり、その分、材料コストを低減できるとともに、組み立て工程を簡略化できる。
【0031】
図7には、この発明の第2の実施の形態に係る位置決め部材としての突出部50を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。第2の実施の形態のアンテナ装置10aは、突出部50の断面形状が異なる以外上述した第1の実施の形態と同じ構造を有する。よって、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
突出部50は、液晶パネル8の上端に向けて開口した断面U字形状に形成されている。この場合、段部52は、U字の底に形成され、上述した第1の実施の形態と同様に、給電線24とコア部材42との間に一定距離を保つよう機能する。従って、この突出部50を採用した場合においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。その上、上述した第1の実施の形態と比較して、給電線24の配線位置をより確実に位置決めできる。
【0033】
つまり、この突出部50の段部52に給電線24を収容配置した状態では、段部52の両側にある立壁部54によって給電線24が挟まれることになり、表示筐体2の厚さ方向への給電線24の移動も規制される。これにより、第1の実施の形態の突出部40を用いた場合と比較して、より給電線24の移動の自由度を少なくでき、アンテナ装置10aのアンテナ特性をより安定させることができる。
【0034】
図8には、上述した第2の実施の形態の変形例を示してある。この変形例の構造は、断面U字形状の突出部56の開口部が表示筐体2の前面側に向かっていることを特徴としている。つまり、この突出部56の段部58は、U字状部内に給電線24を収容したとき、給電線24とコア部材42との間に介在される部位となる。
【0035】
この場合、給電線24をU字状部内に収容配置する際、給電線24を突出部56の前方から押し込むことができ、第2の実施の形態のように液晶パネル8の上端との間の隙間から上方に押し込む場合と比較して、給電線24の引き回し作業を容易にできる。また、この場合、段部58の内側に図示しない爪部を設けることで、仮留めのテープも不要になる。つまり、この変形例によると、上述した第2の実施の形態の突出部50を用いた場合と同様の効果を奏し得るとともに、給電線24の取り付け作業を容易にでき、作業性を向上させることができる。
【0036】
図9には、この発明の第3の実施の形態に係る位置決め部材としての突出部60を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。この突出部60は、2本のケーブル24、62を収容可能な段部64を有する以外、上述した第1の実施の形態と同じ構造を有する。よって、第1の実施の形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0037】
つまり、この突出部60の段部64は、第1の実施の形態の突出部40の段部40aと比較して、表示筐体2の厚さ方向の幅が広げられており、上述したアンテナ装置12bの給電線24に加えてここでは図示しない他の電子部品のケーブル62を収容可能となっている。
【0038】
また、図10には、2本のケーブル24、62を収容配置した上で、一方のケーブル62の移動をより確実に規制した第1の変形例を示してあり、図11には、2本のケーブル24、62を双方とも確実に拘束した第2の変形例を示してある。いずれの変形例も、ケーブル24、62が表示筐体2の厚さ方向に移動することの自由度を少なくすることで、ケーブルの配線位置を位置決めしており、アンテナ装置10aのアンテナ特性を安定させることができる。
【0039】
図12には、この発明の第4の実施の形態に係る位置決め部材として、突出部40と協働して給電線24を位置決めするリブ70を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。突出部40の構造は、上述した第1の実施の形態と同じである。つまり、本実施の形態の位置決め部材は、突出部40に加えてリブ70を有する点で第1の実施の形態と異なる。よって、第1の実施の形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
リブ70は、突出部40の立壁部40bと液晶パネル8の上端との間で、表示筐体2の背面カバー2bの内面から前方に向けて突設されている。リブ70は、背面カバー2bと一体に成形されても良い。また、このリブ70は、アンテナ装置10aの全長にわたって連続して設けられても良いが、本実施の形態では、図13に示すように、アンテナ装置10aの長手方向に離間した2箇所に設けた。
【0041】
リブ70は、補強板48およびFPC基板46の対応する位置に形成された矩形の孔72を通って突出部40の立壁部40bの先端に接触するよう延設されている。しかして、このリブ70を利用して給電線24を位置決めする際には、アンテナ装置12bを背面カバー2bに取り付けた後、給電線24を2本のリブ70の上に乗せ、突出部40を備えたアンテナ装置10aを取り付ける。これにより、突出部40の段部40aとリブ70の間に給電線24が囲まれる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によると、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができ、さらに、給電線24の引き回し作業を容易にできる。つまり、給電線24を段部40a内に収容配置するため給電線24を段部40aに押し込んだり給電線24を仮留めする必要が無くなり、作業性を向上させることができる。
【0043】
図14には、この発明の第5の実施の形態に係る位置決め部材としてのリブ80を備えたアンテナ装置10aの断面図を示してある。本実施の形態の位置決め部材は、コア部材42に取り付けた突出部を持たない点で、上述した各実施の形態と異なる。これ以外に、上述した実施の形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
リブ80は、表示筐体2の背面カバー2bの内面側から一体に突設されている。本実施の形態では、リブ80を背面カバー2bと一体成形した。アンテナ装置10aのFPC基板46および補強板48の対応する位置には、リブ80を挿通するため貫通した孔82が形成されている。このリブ80は、アンテナ装置10a(コア部材42)と給電線24との間に配置され、両者の間の距離を一定に保つよう機能する。
【0045】
このリブ80を有する位置決め部材によって給電線24を位置決めする場合、まず、アンテナ装置10a、12bをこの順番で背面カバー2bに取り付けて、給電線24をリブ80の下側に沿わせる。そして、このリブ80に対して給電線24を数箇所でテープ84を用いて仮留めする。
【0046】
以上のように、本実施の形態によると、アンテナ装置10aに対しては、FPC基板46に予め孔82を設けるだけの簡単な構造の変更だけで済み、より簡単な構造によって給電線24を確実に位置決めでき、アンテナ装置10aのアンテナ特性を安定させることができる。
【0047】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態に係るノートPCを示す外観斜視図。
【図2】図1のノートPCの表示筐体の上端周縁部における内部構造を示す外観図。
【図3】図2の上端周縁部に配置した電子部品の配線構造を説明するための模式図。
【図4】この発明の第1の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す正面図。
【図5】図4のアンテナ装置の要部断面図。
【図6】図5のアンテナ装置の変形例を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【図8】図7のアンテナ装置の変形例を示す断面図。
【図9】この発明の第3の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【図10】図9のアンテナ装置の第1の変形例を示す断面図。
【図11】図9のアンテナ装置の第2の変形例を示す断面図。
【図12】この発明の第4の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【図13】図12のアンテナ装置の正面図。
【図14】この発明の第5の実施の形態に係る位置決め部材を備えたアンテナ装置を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0049】
1…ノートPC、2…表示筐体、2b…背面カバー、4…機器本体、6…ヒンジ部、8…液晶パネル、10a、10b…アンテナ装置、12a、12b、12c…アンテナ装置、14…カメラ、24…給電線、40…突出部、40a…段部、42…コア部材、44…アンテナ線、46…FPC基板、G…グランドパターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形板状の表示筐体と、
この表示筐体の下端にヒンジ部を介して接続された機器本体と、
上記表示筐体の上端周縁部に配置された電子部品と、
この電子部品より上記表示筐体の角部に近い位置で上記上端周縁部に配置されたアンテナ装置と、
上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記表示筐体の周縁部に沿って配線され上記ヒンジ部を介して上記機器本体に接続されたケーブルと、
このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記アンテナ装置は、絶縁材料によって形成されたコア部材と、このコア部材に巻装されたアンテナ線と、を有し、
上記位置決め部材は、上記アンテナ線に干渉しない位置で上記コア部材から突設されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
上記位置決め部材は、上記コア部材と上記ケーブルとの間に上記一定距離を形成するように上記ケーブルを収容配置する段部を有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
上記段部には、上記ケーブルの抜けを防止するための爪が突設されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
上記電子部品は複数あり、
上記段部は、上記複数の電子部品それぞれと上記機器本体を接続した複数本のケーブルを収容することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
上記位置決め部材は、上記段部と協働して上記ケーブルを拘束するように上記表示筐体から突設されたリブを有することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
上記位置決め部材は、上記アンテナ装置と上記ケーブルとの間で上記表示筐体から突設されたリブを有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
矩形板状の筐体と、
この筐体の周縁部に配置された電子部品と、
この電子部品より上記筐体の角部に近い位置で上記周縁部に配置されたアンテナ装置と、
上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記周縁部に沿って配線されたケーブルと、
このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
矩形板状の表示筐体と、
この表示筐体の下端にヒンジ部を介して接続された機器本体と、
上記表示筐体の上端周縁部に配置された電子部品と、
この電子部品より上記表示筐体の角部に近い位置で上記上端周縁部に配置されたアンテナ装置と、
上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記表示筐体の周縁部に沿って配線され上記ヒンジ部を介して上記機器本体に接続されたケーブルと、
このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記アンテナ装置は、絶縁材料によって形成されたコア部材と、このコア部材に巻装されたアンテナ線と、を有し、
上記位置決め部材は、上記アンテナ線に干渉しない位置で上記コア部材から突設されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
上記位置決め部材は、上記コア部材と上記ケーブルとの間に上記一定距離を形成するように上記ケーブルを収容配置する段部を有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
上記段部には、上記ケーブルの抜けを防止するための爪が突設されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
上記電子部品は複数あり、
上記段部は、上記複数の電子部品それぞれと上記機器本体を接続した複数本のケーブルを収容することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
上記位置決め部材は、上記段部と協働して上記ケーブルを拘束するように上記表示筐体から突設されたリブを有することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
上記位置決め部材は、上記アンテナ装置と上記ケーブルとの間で上記表示筐体から突設されたリブを有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
矩形板状の筐体と、
この筐体の周縁部に配置された電子部品と、
この電子部品より上記筐体の角部に近い位置で上記周縁部に配置されたアンテナ装置と、
上記電子部品から上記アンテナ装置の近くを通って上記周縁部に沿って配線されたケーブルと、
このケーブルが上記アンテナ装置から一定距離を隔てた位置を通って配線されるように当該ケーブルの配線位置を位置決めする位置決め部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−296377(P2009−296377A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148439(P2008−148439)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]