説明

電子機器

【課題】電子機器の使用場所に応じてその機器の機能を制限する。
【解決手段】画像を投影面に向けて投影するプロジェクタユニット120と、使用者の現在の位置情報を取得するGPSユニット110と、GPSユニットで取得された位置情報に基づいてプロジェクタユニット120による画像の投影の可否を判断する制御手段101とを備える。さらに、位置情報の変化に対応する投影のパラメータの値が記憶されたテーブルを備え、制御手段101は、プロジェクタユニット120で投影する際、位置情報の変化に応じて前記投影のパラメータの値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影手段及び投影手段を備えるとともに、複数のGPS信号を受信して現在位置や現在時刻等を算出可能なGPSレシーバを備える携帯電話機(電子機器)が知られている(下記公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−203953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記携帯電話機を用いれば様々な場所で撮影や投影を行うことができる。しかし、上記携帯電話機を映画館、美術館、病院等にように撮影や投影を禁止される場所に持ち込んだとき、誤操作等によってフラッシュ撮影機能や投影機能が働くおそれがあった。
【0005】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は電子機器の使用場所に応じてその機器の機能を制限することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、画像を投影面に向けて投影するプロジェクタユニットと、使用者の現在の位置情報を取得するGPSユニットと、前記GPSユニットで取得された前記位置情報に基づいて前記プロジェクタユニットによる投影の可否を判断する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、前記位置情報の変化に対応する投影のパラメータの値が記憶されたテーブルを備え、前記制御手段は、前記プロジェクタユニットで投影する際、前記位置情報の変化に応じて前記投影のパラメータの値を変更することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の電子機器において、前記パラメータの種類として、少なくとも光量、音量が含まれていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の電子機器において、被写体像を取得する撮像ユニットを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、被写体像を取得する撮像ユニットと、使用者の現在の位置情報を取得するGPSユニットと、前記GPSユニットで取得される前記位置情報の変化に応じて前記撮像ユニットによる撮影のパラメータの値を変更する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、電子機器の使用場所に応じてその機器の機能を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はカメラの斜視図である。
【図2】図2はカメラの背面図である。
【図3】図3はこの発明の第1実施形態に係るカメラのブロック図である。
【図4】図4は投影の可否の処理を説明するフローチャートである。
【図5】図5は投影条件を変更する処理を説明するフローチャートである。
【図6】図6は場所とパラメータとの関係を示すテーブルの図である。
【図7】図7はこの発明の第2実施形態に係るカメラのブロック図である。
【図8】図8はCPUによって行われる撮影の可否及び撮影条件を変更する処理を説明するフローチャートである。
【図9】図9は場所と撮影のパラメータとの関係を示すテーブルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図3はこの発明の第1実施形態に係るカメラ2のブロック図である。
【0015】
カメラ(電子機器)2は制御部100と撮像ユニット130とプロジェクタユニット120とを備えている。
【0016】
制御部100は、CPU(制御手段)101とメモリ102と操作部材103と液晶表示器22とスピーカ25と外部インタフェース106と電源回路107とマイク109とGPSユニット110とメモリカード200とを備えている。電源回路107には電池108が接続されている。
【0017】
GPSユニット110はGPSレシーバ111とGPSアンテナ112とで構成される。GPSレシーバ111は、GPSアンテナ112が受信する複数のGPS衛星からの測位情報により使用者が現在いる位置の緯度、経度、及び高度と正確な現在時刻とを算出し、算出結果をCPU101へ出力する。
【0018】
プロジェクタユニット120は投影光学系121と液晶パネル122とLED光源123と投影制御回路124とレンズ駆動回路125とを備えている。
【0019】
撮像ユニット130は撮像光学系131とCCDやCMOS等の撮像素子132と撮像制御回路133とレンズ駆動回路134とを備えている。
【0020】
CPU101は、制御プログラムに基づいて、プロジェクタユニット120からの信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づいてプロジェクタユニット120に制御信号を出力してプロジェクタユニット120の投影動作を制御する。
【0021】
また、CPU101はGPSユニット110の出力に基づいて現在位置が屋内であるか屋外であるかを判断する。更に、CPU101は、プロジェクタユニット120で投影する際、GPSユニット110によって得られた位置情報の変化に応じて投影のパラメータ(光量及び音量)の値を変更する。なお、位置情報の変化に対応する投影のパラメータの値はテーブルとしてメモリカード200に記憶されている。
【0022】
また、CPU101は、制御プログラムに基づいて、撮像ユニット130からの信号を入力して所定の演算を行い、撮像ユニット130に制御信号を出力して撮像ユニット130の撮影動作を制御する。
【0023】
なお、制御プログラムはCPU101内の不揮発性メモリ(図示せず)に記憶されている。
【0024】
メモリ102はCPU101の作業領域として使用される。操作部材103は操作に対応する信号をCPU101に出力する。
【0025】
メモリカード200は不揮発性メモリによって構成され、制御部100のカードスロット(図示せず)に装着可能な記憶媒体である。なお、メモリカード200には、撮像した画像データや、他の機器から取り込んだ画像その他のデータが記憶されている。
【0026】
外部インタフェース106は、CPU101からの指令によりケーブル(図示せず)を介して外部機器(図示せず)との間でデータの送受信を行う。データは映像・音声データである。
【0027】
スピーカ25はCPU101からの音声信号を入力して音声を再生する。マイク109はCPU101からの指令に基づいて外部の音を取得する。液晶表示器22はCPU101からの指令により画像(スルー画含む)、メニュー画面等を表示する。
【0028】
電池108はプロジェクタユニット120、撮像ユニット130に電力を供給する。電源回路107は、DC/DC変換回路、充電回路及び電圧検出回路を有する。
【0029】
投影制御回路124は、CPU101からの指令により液晶パネル122、LED光源123及びレンズ駆動回路125をそれぞれ制御する。投影制御回路124は、CPU101からの指令により電池108からLED光源123に電流を供給する。LED光源123は供給電流に応じた明るさで液晶パネル122を照明する。
【0030】
投影制御回路124は、CPU101から送られる画像データに応じて液晶パネル駆動電流を生成し、生成した駆動電流で液晶パネル122を駆動する。
【0031】
レンズ駆動回路125は、投影制御回路124からの指令に基づいて、投影光学系121を光軸方向へ移動させる。投影光学系121は液晶パネル122から射出される画像をプロジェクタ投影窓10(図1参照)を介して拡大投影する。
【0032】
撮像制御回路133は、CPU101からの指令により撮像素子132及びレンズ駆動回路134をそれぞれ制御するとともに、撮像素子132から出力される撮像信号に対して所定の画像処理を行う。画像処理は例えばホワイトバランス処理である。撮像光学系131は撮像素子131の受光面上に被写体像を結像させる。撮像制御回路133は、CPU101からの指令により応じて撮像素子132による撮像を開始させ、撮像終了後に撮像素子132から撮像信号を入力して画像処理を施し、画像データとして制御部100に出力する。
【0033】
レンズ駆動回路134は撮像制御回路133から出力されるズーム調節信号に基づいて撮像光学系131を光軸方向へ駆動する。
【0034】
図1は図3に示すカメラ2の斜視図である。
【0035】
カメラ2の筐体3は、アルミニウム板等からなる前カバー4及び後カバー6と、側面カバー7で構成されている。
【0036】
前カバー4には、撮影窓8とプロジェクタ投影窓10とフラッシュ光が射出されるフラッシュ窓12とが設けられている。
【0037】
また、筐体3の上面には、電源スイッチ14と、レリーズ動作を指示するシャッタボタン16と、カメラ撮影を行う撮影モードとプロジェクタ投影を行うプロジェクタモードとを切り替えるモード切替ボタン18と、プロジェクタ投影時の投影画像のピント調整を行うための操作レバーであるプロジェクタフォーカスレバー20とが設けられている。電源スイッチ14、シャッタボタン16、モード切替ボタン18、プロジェクタフォーカスレバー20及び操作ボタン24で図3に示す操作部材103が構成される。
【0038】
図2はカメラ2の背面図である。
【0039】
後カバー6には、液晶表示器22と、液晶表示器22に表示された操作メニュー等を選択するマルチセレクタ等を備える操作ボタン24と、再生モード又はプロジェクタモード時に音声を出力するスピーカ25とが設けられている。
【0040】
また、筐体3内には、GPSユニット110を構成するGPSレシーバ111とGPSアンテナ112とが収容されている。GPSユニット110は筐体3に支持部材(図示せず)により支持されている。
【0041】
次に、プロジェクタユニット120による投影の可否の処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
図4は投影の可否の処理を説明するフローチャートである。図4においてS1〜S6は処理の各ステップを示す。
【0043】
まず、モード切替ボタン18を操作してプロジェクタモード(PJモード)にする(S1)。
【0044】
プロジェクタモード(PJモード)が選択されると、CPU101はGPSユニット110を起動する(S2)。
【0045】
GPSレシーバ111は、GPSアンテナ112が受信する複数のGPS衛星からの測位情報により現在位置を算出し、算出結果をCPU101へ出力する(S3)。
【0046】
CPU101は、算出された現在位置に応じてプロジェクタユニット120による投影の可否を判断する(S4)。
【0047】
現在位置がプロジェクタユニット120による投影を許される場所であると判断されたとき(YES)、CPU101は投影を許容する制御信号を投影制御回路124に出力し、 プロジェクタ投影窓10(図1参照)を介して投影画像がスクリーン(図示せず)等に拡大投影される(S5)。
【0048】
これに対し、現在位置が病院や映画館等のようにプロジェクタユニット120による投影を許されない場所であると判断されたとき(NO)、CPU101は投影を禁止する制御信号を投影制御回路124に出力し、投影可否の処理が終了し、投影は行われない(S6)。
【0049】
次に、プロジェクタユニット120の投影が行われることになったときの投影条件変更の処理を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
図5は投影条件を変更する処理を説明するフローチャート、図6は場所(現在位置)とパラメータとの関係を示すテーブルである。図5においてS11〜S18は処理の各ステップを示す。図6において、光量及び音量がパラメータである。
【0051】
なお、S11〜S14までのステップは図4に示したS1〜S4と同じであるのでその説明を省略する。
【0052】
現在位置がプロジェクタユニット120による投影を許される場所であるとき(YES)、投影のパラメータを変更するか否かを判断する(S15)。
【0053】
投影のパラメータを変更するとき(YES)、GPSユニット110で得られた位置情報をもとにパラメータをテーブルに書き込まれた値に設定する(S16)。例えば、屋外の場合には、光量、音量ともに大きくする(図6参照)。
【0054】
その後、液晶パネル122から射出された画像がスクリーン等に拡大投影される(S17)。
【0055】
現在位置がプロジェクタユニット120による投影を禁止する場所であるとき(NO)、投影条件を変更する処理が終了する(S18)。
【0056】
なお、図6のテーブルでは場所の違いによって光量、音量が変わるが、場所だけでなく時間(昼間であるか夜であるか等)の違いによって光量、音量を変えるようにしてもよい。また、パラメータとしては光量、音量以外にコントラスト等がある。
【0057】
また、例えばカメラ2を一定の場所だけで使用する場合には、GPSユニット110が起動しない設定としてもよいし、GPSユニット110で算出された位置情報に基づいてパラメータの変更の判断をしてもよい。
【0058】
この実施形態によれば、GPSユニット110で算出された現在位置がプロジェクタユニット120による投影を禁止する場所であるときには、投影が行われずに処理が終了するので、投影を禁止する場所では確実に投影を行われないようにすることができる。
【0059】
図7はこの発明の第2実施形態に係るカメラ202のブロック図、図8はCPU101によって行われる撮影の可否及び撮影条件を変更する処理を説明するフローチャートであり、第1実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この実施形態はプロジェクタユニット120がない点で第1実施形態と相違する。
【0061】
以下、CPU101によって行われる撮影ユニット130の撮影の可否の処理を説明する。S21〜S28は処理の各ステップを示す。
【0062】
例えばシャッタボタン16が押されたとき、自動的に撮影モードが選択される(S21)。
【0063】
撮影モードが選択されると、CPU101はGPSユニット110を起動する(S22)。
【0064】
GPSレシーバ111は、GPSアンテナ112が受信する複数のGPS衛星からの測位情報により現在位置を算出し、算出結果をCPU101へ出力する(S23)。
【0065】
CPU101は、算出された現在位置に応じて撮像ユニット130による撮影の可否を判断する(S24)。
【0066】
現在位置が撮像ユニット130による撮影を許される場所であると判断されたとき、撮影のパラメータを変更するか否かを判断する(S25)。
【0067】
現在位置が撮影を禁止する場所であると判断されたとき(NO)、撮影の可否及び撮影条件を変更する処理が終了する(S28)。
【0068】
撮影のパラメータを変更するとき(YES)、GPSユニット110で得られた位置情報をもとにパラメータをテーブルに書き込まれた値に設定する(S26)。撮影のパラメータを変更しないとき(NO)、ステップS27へ進む。
【0069】
図9は場所(現在位置)と撮影のパラメータとの関係を示すテーブルである。
【0070】
図9には音量、フラッシュ、ホワイトバランス、ISO感度がパラメータとして表示されている。音量、フラッシュ、ホワイトバランス、ISO感度は、屋外の昼、屋外の夜、屋内に合わせて予め用意された設定から選択されることがわかる。なお、太陽、フラッシュ及び蛍光灯のマークは、屋外の昼、屋外の夜、屋内において被写体を照らす光源をそれぞれ示す。
【0071】
ステップS27では、フラッシュ窓12を介してフラッシュ光を射出し、撮影窓(図示せず)を介して被写体像を撮像素子132の受光面上に結像させる。
【0072】
この実施形態によれば、GPSユニット110で算出された現在位置が撮影ユニット130による撮影を禁止する場所であるときには、撮影が行われないので、フラッシュ撮影を禁止する場所では確実に撮影を行われないようにすることができる。
【符号の説明】
【0073】
2: カメラ(電子機器)、101:CPU(制御手段)、110:GPSユニット、120:プロジェクタユニット、130:撮像ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投影面に向けて投影するプロジェクタユニットと、
使用者の現在の位置情報を取得するGPSユニットと、
前記GPSユニットで取得された前記位置情報に基づいて前記プロジェクタユニットによる投影の可否を判断する制御手段と
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記位置情報の変化に対応する投影のパラメータの値が記憶されたテーブルを備え、
前記制御手段は、前記プロジェクタユニットで投影する際、前記位置情報の変化に応じて前記投影のパラメータの値を変更することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記パラメータの種類として、少なくとも光量、音量が含まれていることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
被写体像を取得する撮像ユニットを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項5】
被写体像を取得する撮像ユニットと、
使用者の現在の位置情報を取得するGPSユニットと、
前記GPSユニットで取得される前記位置情報の変化に応じて前記撮像ユニットによる撮影のパラメータの値を変更する制御手段と
を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−181509(P2010−181509A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23208(P2009−23208)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】