説明

電子機器

【課題】電池から部品への電力の供給を適切に行うことが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電池110に電力を供給するための端子を2つ(111、112)設け、基板150上では、第1電力受給端子群153と第2電力受給端子群157とを備える。そして通信機器において、第1電力供給端子群111と第1電力受給端子群153とが接続し、第2電力供給端子群112と第2電力受給端子群157とが接続されるように構成する。パワーアンプ151には第1電力受給端子群153から電力を供給し、その他の部品には、第2電力受給端子群157から電力を供給するように配線する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、特に、電子機器に配される部品への電池からの電力の供給に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの小型の電子機器は基板上における部品の設置スペースが限られていることから、その部品のレイアウトは制限されてくる。図5は、その限られたレイアウトの一例であり、図5(a)に示すように、基板150上には、パワーアンプ151と、送受信回路152と、周波数シンセサイザ154と、充電回路155と、CPU156と、第2電力受給端子群157(第2受給正極端子157aと、情報端子157bと、第2受給負極端子157cとを含む)とが配される。図5(a)に示すようにパワーアンプ151と、送受信回路152と、周波数シンセサイザ154とは、信号の送信時に互いに関連しあう部品であるため配線の短縮等を鑑みて近接する位置に配される。
【0003】
また、充電回路155と第2電力受給端子群157とも近接する位置に配され、充電回路155から第2電力受給端子群157までの配線の短縮が図られており、電池電圧の管理や計測を容易にしている。なお、第2電力受給端子群157は、電池からの電力の供給を受けて基板150上の各部品に電力を供給する端子であるとともに、充電回路から電池150に対して充電を行う端子でもある。
【0004】
そして、図5(b)に示すように、基板150上の各回路には、第2電力受給端子群157を介して、第2電力受給端子群157に接続された電池から電力が供給される。なお、各部品の負極は、共通のグランド層に接地されており、第2受給負極端子157cも当該グランド層に接地されている。
特許文献1には、携帯電話装置のプリント基板におけるパワーアンプの配置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−127857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の配置が一般的な携帯電話機における部品配置となるが、この場合、以下のような問題がある。
まず、第2電力受給端子群157から、信号の送信時にパワーアンプ151に対して大電流が流れることになる。このとき、グランド層のわずかな抵抗値(一般に共通インピーダンスという)により、グランド層の電位が変動するという事態が発生しうる。すると、グランド層の電位の変動の影響を受けやすい周波数シンセサイザ154や送受信回路152が正常に動作しなくなるという問題が発生する。
【0007】
また、単純に第2電力受給端子群157からパワーアンプ151に向けて大電流が流れるだけで、その経路上の部品に対して、発熱や周波数変動などの影響を与えるという問題もある。
上述の共通インピーダンスの変動は、図5(b)に示すように配線することで、パワーアンプ151までの経路上で周波数シンセサイザ154を接続することを原因として発生するので、第2電力受給端子群157をパワーアンプ151に近接する位置に配するようなレイアウト、例えば、図6に示すようなレイアウトが考えられる。しかしながら、このような配置にすると、高熱を発する部品が基板150の一点に集中することになる。これは、送受信回路152と、パワーアンプ151と、充電回路155は高熱を発する部品であり、信号の送信時に充電を行っていると基板150の一部分が発熱することになる。
【0008】
そこで、電池から部品への電力の供給を適切に行うことが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、部品が配された基板と、前記部品に電力を供給する電池とを備える電子機器であって、前記電池は、少なくとも、それぞれ1対の正負端子を含む第1給電部及び第2給電部とを備え、前記部品は、少なくとも、第1の部品及び第2の部品とを含み、前記第1給電部から前記第1の部品に電力が供給され、前記第2給電部から前記第2の部品に電力が供給されることを特徴としている。
【0010】
また、前記第1の部品に近接する位置に配され当該第1の部品と接続される第1給電路配線と、前記第2の部品に近接する位置に配されると共に前記第1の部品から離間した位置に配され前記第2の部品と接続される第2給電路配線とを備え、前記第1給電路配線には前記第1給電部が電気的に接続され、前記第2給電路配線には前記第2給電部が電気的に接続されることとしてもよい。
【0011】
また、前記第1の部品及び前記第2部品の少なくとも一方は、発熱する部品であることとしてもよい。
また、前記第1の部品はパワーアンプであることとしてもよい。
また、前記第2の部品は充電回路であることとしてもよい。
また、前記基板上において、前記第1の部品と前記第2の部品との間には、周波数シンセサイザが配されていることとしてもよい。
【0012】
また、前記電池は、二次電池であることとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上述のような構成によって、電池から部品への電力の供給を適切に行うことが可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯電話機100の外観図である。
【図2】(a)は、図1に示した携帯電話機100の外観の裏側を示す概観図である。(b)は、携帯電話機100の電池部分の展開図である。
【図3】電池110の透過斜視図である。
【図4】(a)は、本発明に係る基板150における各部品のレイアウトを示す図である。(b)は、本発明に係る基板150及び電池の側面図である。
【図5】(a)は、従来の基板150における各部品のレイアウトを示す図である。(b)は、従来の基板150及び電池の側面図である。
【図6】基板150におけるレイアウト例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話機について図面を用いて説明する。
<実施の形態>
<構成>
図1は、携帯電話機100の外観図であり、図2(a)は、図1に示す状態の裏面を示す概観図である。
【0016】
図2(a)に示すように携帯電話機100は、下部筐体に電池カバー130を備えている。図2(b)は、電池カバー130を取り外した展開図を示している。
図2(b)に示すように電池110は着脱可能になっており、電池カバー130をはずすことで取り外し可能となる。
携帯電話機100は、電池110を設置するための収容部(図2(b)の凹み部分)がある。収容部120は、第1端子群121に該当する第1正極端子121aと、第1負極端子121cとを備え、更に、第2端子群122に該当する第2正極端子122aと、第2負極端子122cと、情報受信端子122bとを備える。当該収容部120に電池110を設置すると、収容部120の各端子が電池110の各端子が接触し、電池110から携帯電話機100に電力が供給されたり、逆に携帯電話機100内部の充電回路から電力を供給されて電池110の充電が実行される。
【0017】
電池110は、図3に示すようにその内部に発電要素である電池セル140を含み、その樹脂製の電池ケース141表面に、5つの端子を露出させている。当該5つの端子は、第1電力供給端子群111である第1供給正極端子111aと、第1供給負極端子111cと、第2電力供給端子群112である第2供給正極端子112aと、情報送信端子112bと、第2供給負極端子112cとからなる。なお、情報送信端子112bは、携帯電話機100のCPUに電池110の型番等の電池情報を伝達するための端子であり、電池ケース141内の電池情報を保持しているメモリ160に接続されている。当該情報が携帯電話機100のCPU156(図4参照)に伝達されることにより、携帯電話機100のCPU156は、正規の電池が使用されているかなどの判断を行うことができる。
【0018】
電池セル140は、配線130aを介して、第1正極端子111aと第2正極端子112aとに接続されている。また、電池セル140は、配線130cを介して、第1負極端子111cと第2正極端子112cとに接続されている。電池110内の配線130a、130c、第1供給正極端子111a、第1供給負極端子111cを介して、パワーアンプ151(図4参照)に電流が流れる構成になっており、電池110の電池ケース141や、携帯電話機100の筐体が基板150と配線130a、130cとの間に介在することになるので、基板150上に配される部品に対する高周波信号の回り込みや共通インピーダンス等の影響を、基板150でパワーアンプ151に対しての電力を供給するための配線を配する場合よりも、抑制できる。
【0019】
一方、携帯電話機100の筐体内に設けられる基板150においては、図4(a)に示すように、各部品が配置される。図4(a)に示すように、基板150上には、パワーアンプ151と、送受信回路152と、第1電力受給端子群153と、周波数シンセサイザ154と、充電回路155と、CPU156と、第2電力受給端子群157とが配される。
【0020】
本実施の形態においては、図5(a)に示す従来例とは異なり、基板150は、電池110から電力を受給するための2つの受給端子、第1電力受給端子群153と第2電力受給端子群157とを備える。第1電力受給端子群153は、第1受給正極端子153aと、第1受給負極端子153cとを含み、第2電力受給端子群157は、第2受給正極端子157aと、情報端子157bと、第2受給負極端子157cとを含む。
【0021】
図4(a)には示していないが、第1電力受給端子群153は、直接パワーアンプ151に接続して電力を供給するように配線しており、その他の送受信回路152、周波数シンセサイザ154、CPU156には、第2電力受給端子群157から電力が供給されるように配線されている。なお、情報端子157bは、CPU156のみに接続されている。
【0022】
なお、充電回路155は、第2電力受給端子群157の近傍に配され、携帯電話機100の外部の商用電源などに接続されて電力を供給され、第2電力受給端子群157を介して、電池110に電力を充電する。充電回路155を、第2電力受給端子群157の近傍に配することで、充電回路155−第2電力受給端子群157間の配線の短縮を図るとともに、電池電圧の管理や計測を容易にしている。
【0023】
このように基板150上に各部品を配し、配線を施すことで、パワーアンプ151に大電流を流すことで発生しうる共通インピーダンスを抵抗値として発生するグランド電位の変動による他部品への影響を抑制し、また、パワーアンプ151や充電回路155のような発熱部品が基板150上の一箇所に集中することも回避できる。
上述のような構成によって、従来から備えられていたパワーアンプから遠い位置に配された電力の供給を受けるための端子の他に、パワーアンプに近接する位置に電力の供給を受けるための新たな端子を設け、電池においても、電力を供給するための新たな端子を設けることで、基板上の電力受給端子からパワーアンプまでの経路を短縮し、その経路上の部品を少なくすることができるとともに、パワーアンプとその他の部品でグランドを共有しない構成にすることができるので共通インピーダンスの変動も発生しなくなる。
<補足>
上記実施の形態において、本発明の実施の手法について説明してきたが、本発明の実施形態がこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明として含まれる各種の変形例について説明する。
(1)上記実施の形態においては、電池ケース141の下面に第1電力供給端子群111を露出させ、側面に第2電力供給端子群112を露出させる構成をとった。しかしながら、電池ケース141は、第1電力供給端子群111と第2供給端子112との2組の供給端子が露出されていればよく、その露出させる箇所は、下面と側面の組である必要はなく、例えば、電池ケース141の上面、即ち第2電力供給端子群112が設けられている面に対向する面に第1電力供給端子群111を設けることとしてもよいし、第1電力供給端子群111が設けられている面と同一の面に第2電力供給端子群112を設けることとしてもよい。但し、第1電力供給端子群111は、パワーアンプ151になるべく近い位置に配するのが望ましく、第2電力供給端子群112は、パワーアンプ151から遠く充電回路155に近い位置に配するのが望ましい。
(2)上記実施の形態においては、本発明に係る電子機器として携帯電話機を例に説明したが、本発明に係る電子機器は、パワーアンプ等の部品に電流が流れ、グランド電位の変動により動作上不都合が発生し得る電子機器であればよく、例えば、メールの送受信機能を備えるPDA(Personal Digital Assistants)などであってもよい。
【0024】
その他にも本発明に係る電子機器は、ヘッドフォンやスピーカを駆動するオーディアオパワーアンプを搭載する音楽再生機器などであってもよい。また、地デジチューナやFMチューナなどに搭載されている周波数シンセサイザに対する影響も、本発明に示すような電池と配線構成を備えることで抑制することができるので、本発明の電子機器として、地デジチューナやFMチューナに適用することができる。
(3)上記実施の形態においては、電池110は、携帯電話機100から着脱可能であるとして記載したが、電池110は、電子機器から着脱不可能な埋め込み型の電池であってもよく、この場合上記実施の形態において示したような電池カバー130は必要なくなる。
(4)上記実施の形態においては、基板150上ではパワーアンプ151と充電回路155との間には周波数シンセサイザ154を配する構成とした。しかし、本発明はこのような配置に限定されるものではなく、パワーアンプと充電回路155との間に、周波数シンセサイザ154に代えて、又は、周波数シンセサイザ154と共に、送受信回路152を配してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る電子機器は、携帯電話機として活用することができる。
【符号の説明】
【0026】
100 携帯電話機
110 電池
111 第1電力供給端子群(第1給電部)
111a 第1供給正極端子
111c 第1供給負極端子
112 第2電力供給端子群(第2給電部)
112a 第2供給正極端子
112b 情報送信端子
112c 第2供給負極端子
120 収容部
121 第1端子群
121a 第1正極端子
121c 第1負極端子
122 第2端子群
122a 第2正極端子
122b 情報受信端子
122c 第2負極端子
130a、130b、130c 配線
140 電池セル
141 電池ケース
150 基板
151 パワーアンプ(第1の部品)
152 送受信回路
153 第1電力受給端子群(第1給電路配線)
153a 第1受給正極端子(第1給電路配線)
153c 第1受給負極端子(第1給電路配線)
154 周波数シンセサイザ(第2の部品)
155 充電回路(第2の部品)
156 CPU
157 第2電力受給端子群(第2給電路配線)
157a 第2受給正極端子(第2給電路配線)
157b 情報端子
157c 第2受給負極端子(第2給電路配線)
160 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が配された基板と、前記部品に電力を供給する電池とを備える電子機器であって、
前記電池は、少なくとも、それぞれ1対の正負端子を含む第1給電部及び第2給電部とを備え、
前記部品は、少なくとも、第1の部品及び第2の部品とを含み、
前記第1給電部から前記第1の部品に電力が供給され、
前記第2給電部から前記第2の部品に電力が供給される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電子機器は、
前記第1の部品に近接する位置に配され当該第1の部品と接続される第1給電路配線と、
前記第2の部品に近接する位置に配されると共に前記第1の部品から離間した位置に配され前記第2の部品と接続される第2給電路配線とを備え、
前記第1給電路配線には前記第1給電部が電気的に接続され、
前記第2給電路配線には前記第2給電部が電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の部品及び前記第2部品の少なくとも一方は、発熱する部品である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の部品はパワーアンプである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の部品は充電回路である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記基板上において、前記第1の部品と前記第2の部品との間には、周波数シンセサイザが配されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電池は、二次電池である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−199956(P2010−199956A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42137(P2009−42137)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】