電子機器
【課題】円滑に押しボタンを作動させることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器には、押しボタン3が嵌められる孔7aが形成された外面パネル7と、外面パネル7の裏面側に配置される回路基板6とが設けられる。押しボタン3と回路基板6との間には、外面パネル7の厚さ方向での移動が規制されたストッパ41が設けられる。ストッパ41は、押しボタンが外面パネル7の厚さ方向に移動したときに当該押しボタン3の縁に設けられたフランジ部3aに当る。
【解決手段】電子機器には、押しボタン3が嵌められる孔7aが形成された外面パネル7と、外面パネル7の裏面側に配置される回路基板6とが設けられる。押しボタン3と回路基板6との間には、外面パネル7の厚さ方向での移動が規制されたストッパ41が設けられる。ストッパ41は、押しボタンが外面パネル7の厚さ方向に移動したときに当該押しボタン3の縁に設けられたフランジ部3aに当る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンが設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム装置や、オーディオ・ビジュアル機器、パーソナルコンピュータなどの電子機器には、電源ボタンや、記憶メディアの取出ボタンなど、押しボタンが設けられたものがある(例えば、特許文献1)。押しボタンには、電子機器の外面を構成するパネルに形成された孔の内側に配置され、パネルの厚さ方向に移動可能となっているものがある。押しボタンが押されて厚さ方向に移動したときに、パネルの裏側に配置された基板上の接点が、押しボタンに押されて導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−36871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器の外観を向上するなどの目的で、ボタン表面をパネル表面と概ね同一平面上に位置させ、それと同時に、パネルを薄い材料によって構成したい場合がある。しかしながら、そのように構成された電子機器では、押しボタンが押された場合に、押しボタンがパネルの厚さを超えて沈み易くなる。そして、押しボタンがパネルの厚さを越えて沈むと、パネルの孔の縁に押しボタンが引っ掛かり、押しボタンが円滑に作動しなくなる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ボタン表面をパネル表面と概ね同一平面上に位置させ、それと同時に、パネルを薄い材料によって構成したい場合であっても、円滑に押しボタンを作動させることのできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、前記電子機器の外面を構成するパネルであって、押しボタンが嵌められる孔が形成された外面パネルと、前記外面パネルの裏面側に配置される回路基板と、を備え、前記押しボタンは前記外面パネルの前記孔の内側で前記外面パネルの厚さ方向に移動可能に設けられている。前記押しボタンと前記回路基板との間には、前記厚さ方向での移動が規制され、前記押しボタンが前記厚さ方向に移動したときに当該押しボタンの縁に当るストッパが設けられている。
【0007】
本発明によれば、押しボタンが外面パネルの厚さを超えて沈むことを抑えることができるようになる。その結果、押しボタンの外面パネルに対する引っ掛かりを抑制でき、押しボタンを円滑に作動させることができる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記外面パネルと前記回路基板との間に、前記外面パネルの厚さ方向への動きが規制された中間部材が配置され、当該中間部材に前記ストッパが形成される。この態様によれば、ストッパを設けることが容易になる。また、この態様では、前記外面パネルと前記回路基板は前記中間部材に取り付けられてもよい。こうすることによって、電子機器の製造工程において、外面パネルと回路基板とを一体的に取り扱うことができる。また、この態様では、前記中間部材には、前記押しボタンの下方に位置する孔が形成され、前記ストッパは、前記孔の縁に、当該孔の周方向に伸びるように形成されている、こうすることによって、ストッパが当る部分が広くなり、押しボタンが外面パネルの厚さを超えて沈むことを適切に抑えることができる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記回路基板と前記押しボタンとの間には、前記押しボタンを前記外面パネルに押す弾性体が配置され、前記弾性体と前記押しボタンは、それらの相対位置の変化が可能となるように設けられている。この態様によれば、外面パネルにおける押しボタンの位置を、外面パネルに形成された孔によって規定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【図2】上記電子機器の正面図である。
【図3】上記電子機器の底面図である。
【図4】上記電子機器の背面図である。
【図5】上記電子機器が有する上ハウジングとフロントボードの分解斜視図である。
【図6】上記フロントボードの分解斜視図である。
【図7】図6の拡大図である。
【図8】図5のVIII−VIII線での断面図である。
【図9】上記フロントボードを斜め下方から臨む斜視図である。
【図10】上記フロントボードに設けられた押しボタン及びベースボードの底面図である。
【図11】上記電子機器が有する下ハウジングの斜視図である。
【図12】図11の拡大図であり、上記下ハウジングの前部が示されている。
【図13】上記下ハウジングの前部の平面図である。
【図14】上記下ハウジング、ハウジング本体、及びフロントボードを斜め下方から臨む分解斜視図である。
【図15】図13に示すXV−XV線での断面図である。
【図16】上記フロントボードが取り付けられた状態の下ハウジングの断面図であり、同図の切断面は図15と同様である。
【図17】上記フロントボードを斜め後方から臨む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の例である電子機器1の斜視図であり、図2は電子機器1の正面図であり、図3は電子機器1の底面図であり、図4は電子機器1の背面図である。図5は電子機器1が有する上ハウジング21が有するハウジング本体22とフロントボード10の分解斜視図である。図6はフロントボード10の分解斜視図である。図7は図6の拡大図である。図8は、図5のVIII−VIII線での断面図である。図9はフロントボード10を斜め下方から臨む斜視図である。図10は、押しボタン3及びベースボード4の底面図である。
【0012】
図1、図2、又は図5に示すように、電子機器1は、その外面を構成するハウジング2を有している。電子機器1は、例えば、ゲーム装置や、オーディオ・ビジュアル機器であり、ハウジング2の内には、可搬型の記憶媒体の読み取り装置や、回路基板などが配置されている。ハウジング2は、上方に開いた略箱状の下ハウジング20と、下方に開いた略箱状の上ハウジング21とを有している。上ハウジング21は、下ハウジング20に上方から被さるように配置され、下ハウジング20に組み付けられている。
【0013】
上ハウジング21は、その前部に、下ハウジング20と上下方向に向き合うように配置されるフロントボード10を有している。また、上ハウジング21は、下ハウジング20に被さるように配置されるハウジング本体22を有している。ハウジング本体22は、その下縁が下ハウジング20の上縁に重なるように配置されている。そして、下ハウジング20を上方から閉じている。そして、上方に開いた形状を有する下ハウジング20は、ハウジング本体22とフロントボード10とによって上方から閉じられている。ハウジング本体22は例えば樹脂によって一体的に形成されている。フロントボード10は、ハウジング本体22とは別体に構成されており(図5参照)、後述するように、螺子等の固定具によってハウジング本体22と下ハウジング20とに取り付けられている。
【0014】
ハウジング本体22は、下ハウジング20と上下方向に向き合うように設けられた上板部22aを有している。上板部22aは、その前後方向の中央が膨らむように湾曲している。また、ハウジング本体22は、その前部に、上板部22aの前縁から、下ハウジング20に向かって下がる左前壁部22bと右前壁部22cとを有している。右前壁部22cは、左前壁部22bの端部から後方(Y1方向)に伸びるとともに緩やかに湾曲し、左前壁部22bより後方に位置している。右前壁部22cには、光ディスクなど可搬型の記憶媒体を挿入するためのメディア挿入口22dが形成されている。
【0015】
フロントボード10には、左右方向(X1−X2方向)に並ぶ複数(この例では2つ)の押しボタン3が設けられている。押しボタン3は、例えば、電子機器1の電源をオン/オフするための電源ボタンや、光ディスクをメディア挿入口22dから取り出すための取出ボタンである。フロントボード10は、左右方向に長い板状を呈している。フロントボード10は、右前壁部22cの手前に配置されている。すなわち、フロントボード10は、右前壁部22cの下縁から前方(Y2方向)に伸びるように配置され、下ハウジング20の底面と平行となっている。
【0016】
図6に示すように、フロントボード10は、外面パネル7と、外面パネル7とは別体に構成されたベースボード(中間部材)4とを有している。また、フロントボード10の裏面側には回路基板6が配置されている。後述するように、この回路基板6はフロントボード10に取り付けられている。
【0017】
外面パネル7は、例えば、樹脂によって形成された薄い板状の部材である。外面パネル7は、フロントボード10の最も上に位置し、電子機器1の外面を構成している。外面パネル7は、左右方向に長い略矩形である。この例では、特に、外面パネル7は4つの角のうち1つが湾曲した形状であり、左右方向の一方側(この例では、左側の縁)の縁7dは、その前端から緩やかに湾曲しながら、外面パネル7の後縁7eまで伸びている。
【0018】
外面パネル7には押しボタン3に対応した形状の2つの孔7aが形成されている。この例では、押しボタン3は、平たい略円盤状であり、孔7aは円形である。孔7aの大きさ(ここでは孔7aの径)は押しボタン3の上部の大きさより僅かに大きくなっており、押しボタン3は孔7aの内側に配置されている。なお、押しボタン3は、二種類の材料によって成形された部材、すなわち二色成形によって成形された部材であり、ベース部3bと、ベース部3bを覆い、電子機器1の外面において露呈したカバー部3cとによって構成されている(図8参照)。
【0019】
図8に示すように、押しボタン3は、外面パネル7の孔7aに下方から嵌められている。押しボタン3が押されていない状態では、押しボタン3の表面と外面パネル7の表面は、概ね同一平面上に位置している。押しボタン3は、孔7aの内側において、外面パネル7の厚さ方向に移動可能となっている。すなわち、押しボタン3と孔7aの内縁との間には、押しボタン3の上下方向の動きを許容する僅かなクリアランスが設けられている。押しボタン3の縁は、半径方向に張り出す環状のフランジ部3aとなっている(図7参照)。フランジ部3aは、外面パネル7の孔7aの縁の下方に位置しており、押しボタン3が外面パネル7から上方への抜けることが防止されている。
【0020】
図6乃至図8に示すように、ベースボード4は外面パネル7の裏面側に配置されている。上述したようにフロントボード10の裏面側には回路基板6が配置されており、ベースボード4は外面パネル7と回路基板6との間に位置している。ベースボード4は左右方向に長い板状の部材である。この例では、ベースボード4は、外面パネル7と同様に、4つの角のうち1つが緩やかに湾曲した略矩形の部材である。また、ベースボード4は、外面パネル7より厚い材料によって構成されている。なお、ベースボード4は、外面パネル7と同様に、例えば樹脂によって成形される。外面パネル7はベースボード4の表面に取り付けられている。例えば、外面パネル7はベースボード4の表面に接着剤や両面テープによって取り付けられている。
【0021】
ベースボード4には複数(この例では2つ)の孔4aが形成されている。この孔4aは押しボタン3の位置に対応しており、孔4aの内側に押しボタン3が位置している(図8参照)。後述するように、この孔4aの内縁に、押しボタン3の動きを制限するストッパ41が形成されている。
【0022】
回路基板6は、外面パネル7の裏面側に位置し、外面パネル7に沿うように、すなわち外面パネル7と平行に配置されている。この例では、上述したように、外面パネル7と回路基板6との間にはベースボード4が配置されており、回路基板6はベースボード4の裏面側に配置されている。回路基板6の表面には、押しボタン3によって押されてオン/オフする接点部材61が実装されている。この接点部材61は、例えば、タクトスイッチによって構成される。図8又は図9に示すように、回路基板6の裏面には、コネクタ69が実装されており、接点部材61は、コネクタ69に接続される配線を介して、電子機器1が内蔵する別の回路基板に電気的に接続されている。
【0023】
回路基板6はベースボード4に取り付けられている。この例では、回路基板6は、複数(この例では3つ)の螺子17によってベースボード4に取り付けられている。すなわち、図6に示すように、回路基板6には、左右方向に並ぶ複数(ここでは3つ)の孔6aが形成されている。一方、ベースボード4の裏面には、下方に突出する複数の取付部42が形成されている(図10参照)。この取付部42には螺子孔42aが形成されており、孔6aに下方から差し込まれた螺子17は、螺子孔42aに留められ、回路基板6はベースボード4に取り付けられている。これによって、電子機器1の製造工程において、回路基板6とフロントボード10とを一体化して取り扱うことができる。
【0024】
また、螺子17が締め付けられた状態では、回路基板6の表面は取付部42に当っている。そのため、ベースボード4と回路基板6との距離は、取付部42によって規定されている。また、上述したように、外面パネル7はベースボード4の表面に取り付けられている。その結果、外面パネル7とベースボード4と回路基板6は、外面パネル7の厚さ方向への相対的な動きが規制されている。
【0025】
また、ベースボード4の裏面には、下方に突出する複数(この例では2つ)の突起43a,43bが形成されている(図9参照)。回路基板6のベースボード4に対する位置は、この突起43a,43bによって規定されている。すなわち、回路基板6には、突起43a,43bの外径に一致した内径の孔6bと、孔6bより左右方向に長い孔6cとが形成されている(図6参照)。突起43a,43bが、それぞれ孔6bと孔6cとに嵌ることによって、回路基板6はベースボード4に対して適切な位置に配置される。なお、孔6cが左右方向に長いことによって、各部材の公差に起因して孔6b,6c或いは突起43a,43bの位置が左右方向にずれている場合であっても、確実に突起43bを孔6cに嵌めることができる。また、螺子17が通される孔6aは、螺子17の径より僅かに大きくなっており、各部材の公差に起因して孔6aの位置が正規の位置からずれている場合であっても、螺子17をベースボード4の取付部42に取り付けることができる。
【0026】
なお、図9又は図10に示すように、ベースボード4の裏面には、下方に突出する突出部42b,43cが形成されている。突出部42bは取付部42から左右方向に伸び、突出部43cは突起43a,43bから前後方向に伸びている。これらの突出部42b,43cの先端は取付部42の先端と同じ高さに位置している。そのため、これら突出部42b,43cの先端が回路基板6に当ることによって、回路基板6のベースボード4に対するぐらつきが抑制されている。
【0027】
なお、図7又は図9に示すように、ベースボード4は、その外周縁に枠部45を有している。枠部45はベースボード4の外周縁から回路基板6側に下がり、回路基板6の縁を囲んでいる。すなわち、回路基板6は、枠部45の内側に配置されている。
【0028】
押しボタン3と回路基板6との間には、押しボタン3を外面パネル7側に押すゴム(弾性体)5が配置されている。図7又は図8に示すように、ゴム5は円盤状の支持部51を有している。支持部51は、押しボタン3の裏面側に位置し、押しボタン3を下方から支えている。上述した接点部材61は、支持部51の裏面側に位置している。支持部51の裏面には突起51bが形成されており、押しボタン3が下方に押されたときには、この突起51bが接点部材61を押す。
【0029】
また、ゴム5は、ベースボード4と回路基板6とによって挟まれている。詳細には、ゴム5は、支持部51の外周縁から、半径方向に広がるとともに、回路基板6側に下がる略環状の基部52を有している。この基部52は、ベースボード4の裏面に位置しており、ベースボード4と回路基板6とによって挟まれている。
【0030】
なお、ゴム5は、押しボタン3が押し下げられていない状態においても、押しボタン3を外面パネル7側に押している。すなわち、フロントボード10が組み付けられた状態では、支持部51の位置は、ゴム5に対して外力の作用していない状態での位置に比べて僅かに低くなっている。そのため、押しボタン3が押し下げられていない状態においても、ゴム5は、その弾性によって押しボタン3を外面パネル7側に押している。
【0031】
ベースボード4とゴム5とには、互いに対応する凹凸が形成されており、その凹凸によって、ベースボード4に対するゴム5の位置が規定されている。この例では、図7に示すように、ゴム5の基部52の上面には、孔52aが形成されている。一方、ベースボード4の裏面には、図10に示すように、下方に突出する複数(この例では2つ)の突起44が形成されている。この突起44が孔52aに嵌ることによって、ベースボード4に対するゴム5の位置が規定されている。
【0032】
ゴム5と押しボタン3は、それらの相対位置の変化(水平方向での位置の変化)が可能となるように設けられている。すなわち、押しボタン3の裏面はゴム5の表面に対して取り付けられておらず、押しボタン3は、ゴム5に対して水平方向にずれることができる。そのため、ゴム5の位置が、その製造誤差等に起因してずれている場合であっても、押しボタン3は外面パネル7の孔7aの内側に確実に配置され得るため、孔7aの内縁と押しボタン3との間に設けるべきクリアランスが小さくなっている。換言すると、外面パネル7の孔7aが押しボタン3の位置を規定している。そのため、孔7aの大きさ(例えば、孔7aの径)は、押しボタン3の公差と、孔7aの公差とを補償するように設定されているものの、孔7aの大きさについて、押しボタン3と孔7aの公差以外の公差(例えば、ベースボード4に対する外面パネル7の取付位置の誤差やゴム5の公差等)は考慮されていない。一方、ベースボード4に形成された孔4aの大きさ(例えば、孔4aの径)は、当該孔4aの公差や、押しボタン3の公差のみならず、ベースボード4に対する外面パネル7の取付位置を補償するように設定されている。そのため、孔4aは外面パネル7の孔7aより大きくなっている。
【0033】
上述したように、押しボタン3と回路基板6との間には、外面パネル7の厚さ方向での位置変化が規制されたストッパ41が設けられている。押しボタン3が押されて厚さ方向に移動したときに、ストッパ41は押しボタン3の縁に当り、押しボタン3が必要以上に沈むことを規制している。
【0034】
この例では、図7又は図8に示すように、ストッパ41はベースボード4の孔4aの内縁に形成されている。ストッパ41は、孔4aの内縁から中心に向かって張り出している。また、ストッパ41は、孔4aの周方向に伸びるよう形成されており、ベースボード4の平面視では、略環状を呈している。ストッパ41は外面パネル7から下方に離れた位置に設けられ、ストッパ41と外面パネル7との間にはスペースが設けられている。このスペースに、押しボタン3のフランジ部3aが配置されている。すなわち、ストッパ41は、フランジ部3aの下方に位置している。そのため、フランジ部3aはストッパ41と外面パネル7との間でのみ移動が許容されている。
【0035】
特に、この例では、ストッパ41によって許容される押しボタン3の移動距離は、外面パネル7の裏面から押しボタン3の表面までの距離L2より小さくなっている。すなわち、フランジ部3aの下面からストッパ41の上面までの距離L1は、外面パネル7の裏面(フランジ部3aの上面)から押しボタン3の表面までの距離L2より小さくなっている。そのため、押しボタン3が押し下げられて、フランジ部3aがストッパ41に当った場合であっても、押しボタン3の表面は外面パネル7の下面より高い位置にある。その結果、押しボタン3が外面パネル7の厚さを越えて沈むことが抑制されている。
【0036】
ベースボード4と押しボタン3とには、互いに対応する凹凸が形成されており、押しボタン3の回転はベースボード4によって規制されている。この例では、図7又は図10に示すように、ストッパ41に凹部41bが形成され、フランジ部3aの下面には凸部3dが形成されている。この凸部3dは、凹部41bに嵌っており、押しボタン3の回転が規制されている。
【0037】
上述したように、フロントボード10には、2つの押しボタン3が設けられている。ベースボード4と押しボタン3とには、一方の押しボタン3が、反対の孔4aに誤って装着されることを防止するための凹凸が形成されている。すなわち、図10に示すように、フランジ部3aの下面には2つの凸部3eが形成されている。右側の押しボタン3の凸部3eと、左側の押しボタン3の凸部3eは、周方向における異なる位置に形成されている。一方、ベースボード4の孔4aに設けられたストッパ41にも2つの凹部41cが形成されている。右側の孔4aの凹部41cの位置は右側の押しボタン3の凸部3eの位置に対応し、左側の孔4aの凹部41cの位置は左の押しボタンの凸部3eの位置に対応している。そのため、右側の押しボタン3を誤って左側の孔4aに嵌めようとする場合であっても、凸部3eの位置と凹部41cの位置とが合致せず、そのように誤った状態で押しボタン3が取りけられることが防止されている。
【0038】
なお、図6又は図7に示すように、回路基板6には、電子機器1の動作状態に応じて転倒する複数のLED(Light Emitting Diode)68a,68b,68cが実装されている。
【0039】
図7に示すように、LED68bは、接点部材61に隣接して設けられ、押しボタン3及びゴム5の支持部51の下方に位置している。支持部51には、当該支持部51を貫通する2つの孔51aが形成されている。押しボタン3には、当該押しボタン3が電源ボタンや、記憶媒体の取出ボタンであることを示すマーク(不図示)が形成されている。このマークは光を通す透光材料によって形成されており、LED68bの光は、孔51aを通って押しボタン3の透光材料に入射する。これによって、押しボタン3に形成されたマークが点灯する。なお、LED68bは、環状に形成された基部52によって取り囲まれるとともに、LED68bの上方に位置する支持部51の上面は、押しボタン3の下面に密着している。これによって、LED68bの光が、押しボタン3のマークとは異なる位置から漏れることが抑制されている。
【0040】
図7又は図8に示すように、LED68cは、接点部材61の後方の位置に実装されている。ベースボード4には孔4cが形成され、この孔4cに光を通す透光部材19が嵌められている。透光部材19はLED68cの上方に位置しており、LED68cの光は透光部材19に入射し、透光部材19を点灯させる。外面パネル7はハーフミラーによって構成されており、透光部材19と外面パネル7とを透過した光が電子機器1の外部に放出される。なお、ゴム5は、基部52から後方に伸びる遮蔽部53を有している。遮蔽部53には孔53aが形成されており、その孔53aの内側にLED68cが配置されている。これによって、LED68cの光が、透光部材19とは異なる部分から漏れることが抑制されている。
【0041】
図6に示すように、LED68aは回路基板6の端部に位置している。ベースボード4におけるLED68aの上方の位置には、孔4bが形成されている。フロントボード10は、外面パネル7の縁に沿って伸びる細長い導光部材8を有している。導光部材8はベースボード4の縁の上に配置され、導光部材8の端部は孔4bの上に位置している。そのため、LED68aの光は孔4bを通って導光部材8の端部に入射する。導光部材8に入射した光は、導光部材8内で反射しながら、当該導光部材8の延伸方向に進む。そして、延伸方向に進む過程で導光部材8の表面を透過した光によって、外面パネル7及び押しボタン3が照らされる。
【0042】
フロントボード10の取付構造について説明する。図11は下ハウジング20の斜視図である。図12は図11の拡大図であり、下ハウジング20の前部が示されている。図13は下ハウジング20の前部の平面図であり、図14は下ハウジング20、ハウジング本体22、及びフロントボード10を斜め下方から臨む分解斜視図である。図15は、図13に示すXV−XV線での断面図である。図16はフロントボード10が取り付けられた状態の下ハウジング20の断面図であり、同図の切断面は図15と同様である。図17は、フロントボード10を斜め後方から臨む斜視図である。
【0043】
図11に示すように、下ハウジング20は、電子機器1の底を構成する四角い板状の底部23を有している。図14又は図15に示すように、下ハウジング20は、その前部に、底部23の前縁から立ち上がる前壁部25を有している。この例の下ハウジング20の前部は、前壁部25よりさらに前に張り出しており、下ハウジング20は、前壁部25の上縁から、さらに前に伸びる前底部26を有している。また、下ハウジング20は、前底部26の前縁から上方に立ち上がる最前壁部27を有している。この最前壁部27が、ハウジング2において最も前に位置している。
【0044】
また、下ハウジング20は、電子機器1の側面を構成する横壁部24を有している。この例では、図2乃至図4に示すように、下ハウジング20は、その底部23の左右の縁から立ち上がる内横壁部20bを有している。下ハウジング20は、内横壁部20bを越えて左右に張り出しており、内横壁部20bの上縁からさらに側方に広がる横底部20cを有している。内横壁部24は、この横底部20cの縁から上方に立ち上がっている。横底部20cと前底部26とには、内横壁部20bと前壁部25とに沿って吸気口20dが形成されている。また、図4に示すように、下ハウジング20は、底部23の後縁から立ち上がる後壁部20eを有している。後壁部20eでは各種コネクタ20fが露出している。また、後壁部20eには排気口20gが設けられている。なお、この後壁部20eは、電子機器1の最も後の面を構成している。
【0045】
図16に示すように、フロントボード10はハウジング2の前部において、前底部26と上下方向に向き合うように配置されている。上述したように、ハウジング本体22の右前壁部22cは左前壁部22bより後方に位置し、右前壁部22cと下ハウジング20の上縁との間には開口が設けられている。フロントボード10は、この開口を閉じている。特に、本実施形態では、フロントボード10の前縁が下ハウジング20の上縁の内側に位置するとともに当該上縁に沿うように、フロントボード10は配置されている。この例では、外面パネル7の前縁7bは、ベースボード4の前縁4eより前に位置している。そのため、外面パネル7の前縁7bが、下ハウジング20の最前壁部27の上縁27aに内側から当っている。すなわち、前縁7bは最前壁部27の内面に当っている。そして、前縁7bは上縁27aに沿って左右方向に伸びている。
【0046】
また、この例では、フロントボード10は、下ハウジング20の上縁の隅20aの内側に配置されており(図12参照)、フロントボード10の上縁は、下ハウジング20の最前壁部27の上縁27aと、横壁部24の上縁24aの双方に沿っている(図12参照)。詳細には、外面パネル7の左右方向における一方側(ここでは右側)の縁(以下、右縁)7cは、ベースボード4の右側の縁(以下、右縁)4fより右方向に位置している(図6又は図7参照)。そのため、外面パネル7の右縁7cが、下ハウジング20の横壁部24の上縁24aに内側から当っている。そして、右縁7cは上縁24aに沿って前後方向に伸びている。
【0047】
フロントボード10は、外面パネル7の表面と下ハウジング20の上縁27a,24aとが概ね同じ高さになるように支持されている。この例では、図12又は図15に示すように、下ハウジング20の前底部26の前縁には上方に突出する複数の支持部26aが形成されている。複数の支持部26aは、左右方向に間隔を空けて並ぶように配置されるとともに、互いに同じ高さに位置している。図16に示すように、支持部26a上には、ベースボード4の前縁4eに設けられた枠部45(以下、前枠部45a)が配置されており、ベースボード4の前部は支持部26aによって支持されている。
【0048】
また、前底部26の後部にも上方に突出する複数の支持部26bが形成されている。この支持部26bも、左右方向に間隔を空けて並ぶように配置されるとともに、互いに同じ高さに位置している。支持部26b上には、ベースボード4の後縁から下がる枠部45(以下、後枠部45b)が配置されており、フロントボード10の後部は支持部26bによって支持されている。
【0049】
下ハウジング20の上縁27a,24aの、支持部26a,26bの上端からの高さは、前枠部45a及び後枠部45bの下縁から外面パネル7の表面までの距離に一致している。そのため、外面パネル7の表面と下ハウジング20の上縁27a,24aとが概ね同じ高さに位置している。
【0050】
なお、図12に示すように、前底部26には、支持部26a,26bの他に、上方に突出する支持部26fが形成されている。この支持部26fは押しボタン3の下方に位置するとともに、当該支持部26fの形状は押しボタン3に対応している。この例では、支持部26fは環状に形成されている。支持部26fは、押しボタン3が押されたときに、回路基板6を下方から支持する。
【0051】
ハウジング2には、フロントボード10を下ハウジング20の上縁27a,24aに押す複数の押圧部26cが形成されている。この例では、押圧部26cは下ハウジング20に形成されている。詳細には、図12、図13、又は図15に示すように、下ハウジング20の前底部26には、フロントボード10の後において立つ壁部26dが形成されている。この壁部26dは、フロントボード10に沿った方向に伸び、下ハウジング20の上縁27a,24aとともに、フロントボード10が納まる枠を構成している。そして、この壁部26dに、前方に突出する複数の押圧部26cが形成されている。図17に示すように、ベースボード4の後枠部45bには、下方に突出する小さな板状の被押圧部48が形成されている。被押圧部48は、押圧部26cに向き合うように配置され、当該押圧部26cによって押されている。この例では、押圧部26cには被押圧部48と向き合う前面26gが設けられている。前面26gは被押圧部48の下部に当たり、前面26gから受ける反力によって被押圧部48は前に押されている。すなわち、被押圧部48に対して反力が作用するように、押圧部26cと被押圧部48の位置が設定されている。
【0052】
また、この例では、押圧部26cは、フロントボード10を下ハウジング20の上縁27a,24aの隅20aに向けて斜めに押している。詳細には、図13又は図17に示すように、押圧部26cと被押圧部48は、それぞれ壁部26dと後枠部45bとに対して斜めに形成されている。この例では、押圧部26cは、下ハウジング20の平面視において略三角形状を呈しており、その前面26gと壁部26dとの距離は、下ハウジング20の横壁部24に近づくにしたがって小さくなっている。そして、その前面26gに垂直な方向(図13においてD1の示す方向)は、下ハウジング20の上縁27aに対して垂直な方向(ここでは前後方向(Y1−Y2方向))に対して傾斜している。また、板状の被押圧部48に垂直な方向(図13においてD1の示す方向)も、下ハウジング20の上縁27aに対して垂直な方向に対して傾斜している。そして、押圧部26cの前面26gと被押圧部48は正対し、それらが向き合う方向は、隅20a側に傾斜している。そのため、被押圧部48が押圧部26cから受ける力は、下ハウジング20の上縁27aに垂直な方向に対して斜めに作用する。
【0053】
また、フロントボード10は下ハウジング20に対して引っ掛かるように形成されている。詳細には、図16又は図17に示すように、フロントボード10の被押圧部48の下縁には、壁部26dに向かって突出する凸部48aが形成されている。凸部48aは押圧部26cの下方に位置しており、被押圧部48は押圧部26cに引っ掛かっている。また、図13乃至図16に示すように、下ハウジング20の最前壁部27の内面には複数の凸部27bが形成されている。フロントボード10の前枠部45aには、最前壁部27側に突出する凸部46が形成されている(図7参照)。この凸部46は、最前壁部27の凸部27bの下方に位置しており、フロントボード10は、凸部27bと押圧部26cとに引っ掛かっている。これによって、フロントボード10の上方への動きが規制されている。
【0054】
フロントボード10は、螺子やボルトなどピン状の固定具によってハウジング本体22と、下ハウジング20とに固定されている。詳細には、図17に示すように、フロントボード10の後枠部45bには後方に突出する複数の取付部47が形成されている。この例では、フロントボード10には、2つの取付部47が設けられ、それらは後枠部45bの端部に位置している。取付部47には孔が形成されている。図14に示すように、下ハウジング20の前底部26には、当該前底部26を上下方向に貫通する複数の孔26eが形成されている。さらに、ハウジング本体22の右前壁部22cの下縁には、複数の螺子孔22eが形成されている。この例では、前底部26と右前壁部22cとには、左右方向に並ぶ3つの孔26e,22eが形成されている。左側の孔26e,22eと、右側の孔26e,22eは、それぞれ取付部47の位置に対応しており、これらの孔に螺子16が下方から差し込まれている。これによってフロントボード10とハウジング本体22の双方が、下ハウジング20に固定されている。
【0055】
なお、取付部47に形成されている孔は、螺子16より僅かに大きくなっている。そのため、螺子16が締め付けられる前では、取付部47は孔26e,22eに対して僅かにずれることができる。これによって、各部材の公差に起因して、取付部47の孔や、孔26e,22eが正規の位置からずれている場合であっても、外面パネル7の前縁7bと右縁7cを、下ハウジング20の上縁27a,24aに正確に合わせることができる。
【0056】
また、この例では、3つの孔26e,22eのうち中央の孔26e,22eに対応する位置には、取付部47は設けられていない。そのため、これらの中央の孔26e,22eに差し込まれる螺子16は、ハウジング本体22のみを下ハウジング20に固定している。
【0057】
上述したように、フロントボード10の後縁には導光部材8が設けられている。図8又は図16に示すように、導光部材8の上面の位置は、外面パネル7の表面より高くなっており、当該導光部材8は、フロントボード10の後縁に沿って立つ壁を構成している。ハウジング本体22の右前壁部22cは、導光部材8上に配置されている。この右前壁部22cは、その下縁22fが導光部材8より前に張り出すように配置されている。これによって、導光部材8の上面と、右前壁部22cの下縁との間に隙間が生じる場合であっても、その隙間が目立ち難くなっている。
【0058】
以上説明したように、電子機器1では、押しボタン3と回路基板6との間に、外面パネル7の厚さ方向での移動が規制されたストッパ41が設けられている。そして、このストッパ41は、押しボタン3が厚さ方向に移動したときに押しボタン3の縁であるフランジ部3aに当っている。
【0059】
このような電子機器1によれば、押しボタン3が外面パネル7の厚さを超えて沈むことを抑えることができるようなる。その結果、押しボタン3が外面パネル7の孔7aの縁に引っ掛かることを抑えることができ、押しボタン3を円滑に作動させることができる。
【0060】
なお、本発明は、以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、以上の説明では、外面パネル7の裏面側に、さらに板状のベースボード4が設けられ、ベースボード4にストッパ41が形成されていた。しかしながら、外面パネル7と回路基板6との間に配置され、ストッパ41が形成される部材は、このような板状の部材でなくてもよい。また、外面パネル7と回路基板6との間に、これらとは別体の部材であるベースボード4が設けられることなく、ストッパ41は外面パネル7に一体的に形成されてもよい。
【0062】
また、以上の説明では、押しボタン3と回路基板6との間には、ゴム5が配置され、押しボタン3は、ゴム5を介して回路基板6上に設けられた接点部材61を押していた。しかしながら、押しボタン3と回路基板6との間にゴム5が配置されることなく、押しボタン3が直接的に接点部材61を押してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 電子機器、2 ハウジング、3 押しボタン、3a フランジ部(押しボタンの縁)、4 ベースボード(中間部材)、5 ゴム(弾性体)、6 回路基板、7 外面パネル、7b 前縁、8 導光部材、10 フロントボード、20 下ハウジング、20a 隅、21 上ハウジング、22 ハウジング本体、26 前底部、26c 押圧部、27 最前壁部、27a 上縁、41 ストッパ、45a 前枠部、45b 後枠部、48 被押圧部、61 接点部材、69 コネクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンが設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム装置や、オーディオ・ビジュアル機器、パーソナルコンピュータなどの電子機器には、電源ボタンや、記憶メディアの取出ボタンなど、押しボタンが設けられたものがある(例えば、特許文献1)。押しボタンには、電子機器の外面を構成するパネルに形成された孔の内側に配置され、パネルの厚さ方向に移動可能となっているものがある。押しボタンが押されて厚さ方向に移動したときに、パネルの裏側に配置された基板上の接点が、押しボタンに押されて導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−36871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器の外観を向上するなどの目的で、ボタン表面をパネル表面と概ね同一平面上に位置させ、それと同時に、パネルを薄い材料によって構成したい場合がある。しかしながら、そのように構成された電子機器では、押しボタンが押された場合に、押しボタンがパネルの厚さを超えて沈み易くなる。そして、押しボタンがパネルの厚さを越えて沈むと、パネルの孔の縁に押しボタンが引っ掛かり、押しボタンが円滑に作動しなくなる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ボタン表面をパネル表面と概ね同一平面上に位置させ、それと同時に、パネルを薄い材料によって構成したい場合であっても、円滑に押しボタンを作動させることのできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、前記電子機器の外面を構成するパネルであって、押しボタンが嵌められる孔が形成された外面パネルと、前記外面パネルの裏面側に配置される回路基板と、を備え、前記押しボタンは前記外面パネルの前記孔の内側で前記外面パネルの厚さ方向に移動可能に設けられている。前記押しボタンと前記回路基板との間には、前記厚さ方向での移動が規制され、前記押しボタンが前記厚さ方向に移動したときに当該押しボタンの縁に当るストッパが設けられている。
【0007】
本発明によれば、押しボタンが外面パネルの厚さを超えて沈むことを抑えることができるようになる。その結果、押しボタンの外面パネルに対する引っ掛かりを抑制でき、押しボタンを円滑に作動させることができる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記外面パネルと前記回路基板との間に、前記外面パネルの厚さ方向への動きが規制された中間部材が配置され、当該中間部材に前記ストッパが形成される。この態様によれば、ストッパを設けることが容易になる。また、この態様では、前記外面パネルと前記回路基板は前記中間部材に取り付けられてもよい。こうすることによって、電子機器の製造工程において、外面パネルと回路基板とを一体的に取り扱うことができる。また、この態様では、前記中間部材には、前記押しボタンの下方に位置する孔が形成され、前記ストッパは、前記孔の縁に、当該孔の周方向に伸びるように形成されている、こうすることによって、ストッパが当る部分が広くなり、押しボタンが外面パネルの厚さを超えて沈むことを適切に抑えることができる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記回路基板と前記押しボタンとの間には、前記押しボタンを前記外面パネルに押す弾性体が配置され、前記弾性体と前記押しボタンは、それらの相対位置の変化が可能となるように設けられている。この態様によれば、外面パネルにおける押しボタンの位置を、外面パネルに形成された孔によって規定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【図2】上記電子機器の正面図である。
【図3】上記電子機器の底面図である。
【図4】上記電子機器の背面図である。
【図5】上記電子機器が有する上ハウジングとフロントボードの分解斜視図である。
【図6】上記フロントボードの分解斜視図である。
【図7】図6の拡大図である。
【図8】図5のVIII−VIII線での断面図である。
【図9】上記フロントボードを斜め下方から臨む斜視図である。
【図10】上記フロントボードに設けられた押しボタン及びベースボードの底面図である。
【図11】上記電子機器が有する下ハウジングの斜視図である。
【図12】図11の拡大図であり、上記下ハウジングの前部が示されている。
【図13】上記下ハウジングの前部の平面図である。
【図14】上記下ハウジング、ハウジング本体、及びフロントボードを斜め下方から臨む分解斜視図である。
【図15】図13に示すXV−XV線での断面図である。
【図16】上記フロントボードが取り付けられた状態の下ハウジングの断面図であり、同図の切断面は図15と同様である。
【図17】上記フロントボードを斜め後方から臨む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の例である電子機器1の斜視図であり、図2は電子機器1の正面図であり、図3は電子機器1の底面図であり、図4は電子機器1の背面図である。図5は電子機器1が有する上ハウジング21が有するハウジング本体22とフロントボード10の分解斜視図である。図6はフロントボード10の分解斜視図である。図7は図6の拡大図である。図8は、図5のVIII−VIII線での断面図である。図9はフロントボード10を斜め下方から臨む斜視図である。図10は、押しボタン3及びベースボード4の底面図である。
【0012】
図1、図2、又は図5に示すように、電子機器1は、その外面を構成するハウジング2を有している。電子機器1は、例えば、ゲーム装置や、オーディオ・ビジュアル機器であり、ハウジング2の内には、可搬型の記憶媒体の読み取り装置や、回路基板などが配置されている。ハウジング2は、上方に開いた略箱状の下ハウジング20と、下方に開いた略箱状の上ハウジング21とを有している。上ハウジング21は、下ハウジング20に上方から被さるように配置され、下ハウジング20に組み付けられている。
【0013】
上ハウジング21は、その前部に、下ハウジング20と上下方向に向き合うように配置されるフロントボード10を有している。また、上ハウジング21は、下ハウジング20に被さるように配置されるハウジング本体22を有している。ハウジング本体22は、その下縁が下ハウジング20の上縁に重なるように配置されている。そして、下ハウジング20を上方から閉じている。そして、上方に開いた形状を有する下ハウジング20は、ハウジング本体22とフロントボード10とによって上方から閉じられている。ハウジング本体22は例えば樹脂によって一体的に形成されている。フロントボード10は、ハウジング本体22とは別体に構成されており(図5参照)、後述するように、螺子等の固定具によってハウジング本体22と下ハウジング20とに取り付けられている。
【0014】
ハウジング本体22は、下ハウジング20と上下方向に向き合うように設けられた上板部22aを有している。上板部22aは、その前後方向の中央が膨らむように湾曲している。また、ハウジング本体22は、その前部に、上板部22aの前縁から、下ハウジング20に向かって下がる左前壁部22bと右前壁部22cとを有している。右前壁部22cは、左前壁部22bの端部から後方(Y1方向)に伸びるとともに緩やかに湾曲し、左前壁部22bより後方に位置している。右前壁部22cには、光ディスクなど可搬型の記憶媒体を挿入するためのメディア挿入口22dが形成されている。
【0015】
フロントボード10には、左右方向(X1−X2方向)に並ぶ複数(この例では2つ)の押しボタン3が設けられている。押しボタン3は、例えば、電子機器1の電源をオン/オフするための電源ボタンや、光ディスクをメディア挿入口22dから取り出すための取出ボタンである。フロントボード10は、左右方向に長い板状を呈している。フロントボード10は、右前壁部22cの手前に配置されている。すなわち、フロントボード10は、右前壁部22cの下縁から前方(Y2方向)に伸びるように配置され、下ハウジング20の底面と平行となっている。
【0016】
図6に示すように、フロントボード10は、外面パネル7と、外面パネル7とは別体に構成されたベースボード(中間部材)4とを有している。また、フロントボード10の裏面側には回路基板6が配置されている。後述するように、この回路基板6はフロントボード10に取り付けられている。
【0017】
外面パネル7は、例えば、樹脂によって形成された薄い板状の部材である。外面パネル7は、フロントボード10の最も上に位置し、電子機器1の外面を構成している。外面パネル7は、左右方向に長い略矩形である。この例では、特に、外面パネル7は4つの角のうち1つが湾曲した形状であり、左右方向の一方側(この例では、左側の縁)の縁7dは、その前端から緩やかに湾曲しながら、外面パネル7の後縁7eまで伸びている。
【0018】
外面パネル7には押しボタン3に対応した形状の2つの孔7aが形成されている。この例では、押しボタン3は、平たい略円盤状であり、孔7aは円形である。孔7aの大きさ(ここでは孔7aの径)は押しボタン3の上部の大きさより僅かに大きくなっており、押しボタン3は孔7aの内側に配置されている。なお、押しボタン3は、二種類の材料によって成形された部材、すなわち二色成形によって成形された部材であり、ベース部3bと、ベース部3bを覆い、電子機器1の外面において露呈したカバー部3cとによって構成されている(図8参照)。
【0019】
図8に示すように、押しボタン3は、外面パネル7の孔7aに下方から嵌められている。押しボタン3が押されていない状態では、押しボタン3の表面と外面パネル7の表面は、概ね同一平面上に位置している。押しボタン3は、孔7aの内側において、外面パネル7の厚さ方向に移動可能となっている。すなわち、押しボタン3と孔7aの内縁との間には、押しボタン3の上下方向の動きを許容する僅かなクリアランスが設けられている。押しボタン3の縁は、半径方向に張り出す環状のフランジ部3aとなっている(図7参照)。フランジ部3aは、外面パネル7の孔7aの縁の下方に位置しており、押しボタン3が外面パネル7から上方への抜けることが防止されている。
【0020】
図6乃至図8に示すように、ベースボード4は外面パネル7の裏面側に配置されている。上述したようにフロントボード10の裏面側には回路基板6が配置されており、ベースボード4は外面パネル7と回路基板6との間に位置している。ベースボード4は左右方向に長い板状の部材である。この例では、ベースボード4は、外面パネル7と同様に、4つの角のうち1つが緩やかに湾曲した略矩形の部材である。また、ベースボード4は、外面パネル7より厚い材料によって構成されている。なお、ベースボード4は、外面パネル7と同様に、例えば樹脂によって成形される。外面パネル7はベースボード4の表面に取り付けられている。例えば、外面パネル7はベースボード4の表面に接着剤や両面テープによって取り付けられている。
【0021】
ベースボード4には複数(この例では2つ)の孔4aが形成されている。この孔4aは押しボタン3の位置に対応しており、孔4aの内側に押しボタン3が位置している(図8参照)。後述するように、この孔4aの内縁に、押しボタン3の動きを制限するストッパ41が形成されている。
【0022】
回路基板6は、外面パネル7の裏面側に位置し、外面パネル7に沿うように、すなわち外面パネル7と平行に配置されている。この例では、上述したように、外面パネル7と回路基板6との間にはベースボード4が配置されており、回路基板6はベースボード4の裏面側に配置されている。回路基板6の表面には、押しボタン3によって押されてオン/オフする接点部材61が実装されている。この接点部材61は、例えば、タクトスイッチによって構成される。図8又は図9に示すように、回路基板6の裏面には、コネクタ69が実装されており、接点部材61は、コネクタ69に接続される配線を介して、電子機器1が内蔵する別の回路基板に電気的に接続されている。
【0023】
回路基板6はベースボード4に取り付けられている。この例では、回路基板6は、複数(この例では3つ)の螺子17によってベースボード4に取り付けられている。すなわち、図6に示すように、回路基板6には、左右方向に並ぶ複数(ここでは3つ)の孔6aが形成されている。一方、ベースボード4の裏面には、下方に突出する複数の取付部42が形成されている(図10参照)。この取付部42には螺子孔42aが形成されており、孔6aに下方から差し込まれた螺子17は、螺子孔42aに留められ、回路基板6はベースボード4に取り付けられている。これによって、電子機器1の製造工程において、回路基板6とフロントボード10とを一体化して取り扱うことができる。
【0024】
また、螺子17が締め付けられた状態では、回路基板6の表面は取付部42に当っている。そのため、ベースボード4と回路基板6との距離は、取付部42によって規定されている。また、上述したように、外面パネル7はベースボード4の表面に取り付けられている。その結果、外面パネル7とベースボード4と回路基板6は、外面パネル7の厚さ方向への相対的な動きが規制されている。
【0025】
また、ベースボード4の裏面には、下方に突出する複数(この例では2つ)の突起43a,43bが形成されている(図9参照)。回路基板6のベースボード4に対する位置は、この突起43a,43bによって規定されている。すなわち、回路基板6には、突起43a,43bの外径に一致した内径の孔6bと、孔6bより左右方向に長い孔6cとが形成されている(図6参照)。突起43a,43bが、それぞれ孔6bと孔6cとに嵌ることによって、回路基板6はベースボード4に対して適切な位置に配置される。なお、孔6cが左右方向に長いことによって、各部材の公差に起因して孔6b,6c或いは突起43a,43bの位置が左右方向にずれている場合であっても、確実に突起43bを孔6cに嵌めることができる。また、螺子17が通される孔6aは、螺子17の径より僅かに大きくなっており、各部材の公差に起因して孔6aの位置が正規の位置からずれている場合であっても、螺子17をベースボード4の取付部42に取り付けることができる。
【0026】
なお、図9又は図10に示すように、ベースボード4の裏面には、下方に突出する突出部42b,43cが形成されている。突出部42bは取付部42から左右方向に伸び、突出部43cは突起43a,43bから前後方向に伸びている。これらの突出部42b,43cの先端は取付部42の先端と同じ高さに位置している。そのため、これら突出部42b,43cの先端が回路基板6に当ることによって、回路基板6のベースボード4に対するぐらつきが抑制されている。
【0027】
なお、図7又は図9に示すように、ベースボード4は、その外周縁に枠部45を有している。枠部45はベースボード4の外周縁から回路基板6側に下がり、回路基板6の縁を囲んでいる。すなわち、回路基板6は、枠部45の内側に配置されている。
【0028】
押しボタン3と回路基板6との間には、押しボタン3を外面パネル7側に押すゴム(弾性体)5が配置されている。図7又は図8に示すように、ゴム5は円盤状の支持部51を有している。支持部51は、押しボタン3の裏面側に位置し、押しボタン3を下方から支えている。上述した接点部材61は、支持部51の裏面側に位置している。支持部51の裏面には突起51bが形成されており、押しボタン3が下方に押されたときには、この突起51bが接点部材61を押す。
【0029】
また、ゴム5は、ベースボード4と回路基板6とによって挟まれている。詳細には、ゴム5は、支持部51の外周縁から、半径方向に広がるとともに、回路基板6側に下がる略環状の基部52を有している。この基部52は、ベースボード4の裏面に位置しており、ベースボード4と回路基板6とによって挟まれている。
【0030】
なお、ゴム5は、押しボタン3が押し下げられていない状態においても、押しボタン3を外面パネル7側に押している。すなわち、フロントボード10が組み付けられた状態では、支持部51の位置は、ゴム5に対して外力の作用していない状態での位置に比べて僅かに低くなっている。そのため、押しボタン3が押し下げられていない状態においても、ゴム5は、その弾性によって押しボタン3を外面パネル7側に押している。
【0031】
ベースボード4とゴム5とには、互いに対応する凹凸が形成されており、その凹凸によって、ベースボード4に対するゴム5の位置が規定されている。この例では、図7に示すように、ゴム5の基部52の上面には、孔52aが形成されている。一方、ベースボード4の裏面には、図10に示すように、下方に突出する複数(この例では2つ)の突起44が形成されている。この突起44が孔52aに嵌ることによって、ベースボード4に対するゴム5の位置が規定されている。
【0032】
ゴム5と押しボタン3は、それらの相対位置の変化(水平方向での位置の変化)が可能となるように設けられている。すなわち、押しボタン3の裏面はゴム5の表面に対して取り付けられておらず、押しボタン3は、ゴム5に対して水平方向にずれることができる。そのため、ゴム5の位置が、その製造誤差等に起因してずれている場合であっても、押しボタン3は外面パネル7の孔7aの内側に確実に配置され得るため、孔7aの内縁と押しボタン3との間に設けるべきクリアランスが小さくなっている。換言すると、外面パネル7の孔7aが押しボタン3の位置を規定している。そのため、孔7aの大きさ(例えば、孔7aの径)は、押しボタン3の公差と、孔7aの公差とを補償するように設定されているものの、孔7aの大きさについて、押しボタン3と孔7aの公差以外の公差(例えば、ベースボード4に対する外面パネル7の取付位置の誤差やゴム5の公差等)は考慮されていない。一方、ベースボード4に形成された孔4aの大きさ(例えば、孔4aの径)は、当該孔4aの公差や、押しボタン3の公差のみならず、ベースボード4に対する外面パネル7の取付位置を補償するように設定されている。そのため、孔4aは外面パネル7の孔7aより大きくなっている。
【0033】
上述したように、押しボタン3と回路基板6との間には、外面パネル7の厚さ方向での位置変化が規制されたストッパ41が設けられている。押しボタン3が押されて厚さ方向に移動したときに、ストッパ41は押しボタン3の縁に当り、押しボタン3が必要以上に沈むことを規制している。
【0034】
この例では、図7又は図8に示すように、ストッパ41はベースボード4の孔4aの内縁に形成されている。ストッパ41は、孔4aの内縁から中心に向かって張り出している。また、ストッパ41は、孔4aの周方向に伸びるよう形成されており、ベースボード4の平面視では、略環状を呈している。ストッパ41は外面パネル7から下方に離れた位置に設けられ、ストッパ41と外面パネル7との間にはスペースが設けられている。このスペースに、押しボタン3のフランジ部3aが配置されている。すなわち、ストッパ41は、フランジ部3aの下方に位置している。そのため、フランジ部3aはストッパ41と外面パネル7との間でのみ移動が許容されている。
【0035】
特に、この例では、ストッパ41によって許容される押しボタン3の移動距離は、外面パネル7の裏面から押しボタン3の表面までの距離L2より小さくなっている。すなわち、フランジ部3aの下面からストッパ41の上面までの距離L1は、外面パネル7の裏面(フランジ部3aの上面)から押しボタン3の表面までの距離L2より小さくなっている。そのため、押しボタン3が押し下げられて、フランジ部3aがストッパ41に当った場合であっても、押しボタン3の表面は外面パネル7の下面より高い位置にある。その結果、押しボタン3が外面パネル7の厚さを越えて沈むことが抑制されている。
【0036】
ベースボード4と押しボタン3とには、互いに対応する凹凸が形成されており、押しボタン3の回転はベースボード4によって規制されている。この例では、図7又は図10に示すように、ストッパ41に凹部41bが形成され、フランジ部3aの下面には凸部3dが形成されている。この凸部3dは、凹部41bに嵌っており、押しボタン3の回転が規制されている。
【0037】
上述したように、フロントボード10には、2つの押しボタン3が設けられている。ベースボード4と押しボタン3とには、一方の押しボタン3が、反対の孔4aに誤って装着されることを防止するための凹凸が形成されている。すなわち、図10に示すように、フランジ部3aの下面には2つの凸部3eが形成されている。右側の押しボタン3の凸部3eと、左側の押しボタン3の凸部3eは、周方向における異なる位置に形成されている。一方、ベースボード4の孔4aに設けられたストッパ41にも2つの凹部41cが形成されている。右側の孔4aの凹部41cの位置は右側の押しボタン3の凸部3eの位置に対応し、左側の孔4aの凹部41cの位置は左の押しボタンの凸部3eの位置に対応している。そのため、右側の押しボタン3を誤って左側の孔4aに嵌めようとする場合であっても、凸部3eの位置と凹部41cの位置とが合致せず、そのように誤った状態で押しボタン3が取りけられることが防止されている。
【0038】
なお、図6又は図7に示すように、回路基板6には、電子機器1の動作状態に応じて転倒する複数のLED(Light Emitting Diode)68a,68b,68cが実装されている。
【0039】
図7に示すように、LED68bは、接点部材61に隣接して設けられ、押しボタン3及びゴム5の支持部51の下方に位置している。支持部51には、当該支持部51を貫通する2つの孔51aが形成されている。押しボタン3には、当該押しボタン3が電源ボタンや、記憶媒体の取出ボタンであることを示すマーク(不図示)が形成されている。このマークは光を通す透光材料によって形成されており、LED68bの光は、孔51aを通って押しボタン3の透光材料に入射する。これによって、押しボタン3に形成されたマークが点灯する。なお、LED68bは、環状に形成された基部52によって取り囲まれるとともに、LED68bの上方に位置する支持部51の上面は、押しボタン3の下面に密着している。これによって、LED68bの光が、押しボタン3のマークとは異なる位置から漏れることが抑制されている。
【0040】
図7又は図8に示すように、LED68cは、接点部材61の後方の位置に実装されている。ベースボード4には孔4cが形成され、この孔4cに光を通す透光部材19が嵌められている。透光部材19はLED68cの上方に位置しており、LED68cの光は透光部材19に入射し、透光部材19を点灯させる。外面パネル7はハーフミラーによって構成されており、透光部材19と外面パネル7とを透過した光が電子機器1の外部に放出される。なお、ゴム5は、基部52から後方に伸びる遮蔽部53を有している。遮蔽部53には孔53aが形成されており、その孔53aの内側にLED68cが配置されている。これによって、LED68cの光が、透光部材19とは異なる部分から漏れることが抑制されている。
【0041】
図6に示すように、LED68aは回路基板6の端部に位置している。ベースボード4におけるLED68aの上方の位置には、孔4bが形成されている。フロントボード10は、外面パネル7の縁に沿って伸びる細長い導光部材8を有している。導光部材8はベースボード4の縁の上に配置され、導光部材8の端部は孔4bの上に位置している。そのため、LED68aの光は孔4bを通って導光部材8の端部に入射する。導光部材8に入射した光は、導光部材8内で反射しながら、当該導光部材8の延伸方向に進む。そして、延伸方向に進む過程で導光部材8の表面を透過した光によって、外面パネル7及び押しボタン3が照らされる。
【0042】
フロントボード10の取付構造について説明する。図11は下ハウジング20の斜視図である。図12は図11の拡大図であり、下ハウジング20の前部が示されている。図13は下ハウジング20の前部の平面図であり、図14は下ハウジング20、ハウジング本体22、及びフロントボード10を斜め下方から臨む分解斜視図である。図15は、図13に示すXV−XV線での断面図である。図16はフロントボード10が取り付けられた状態の下ハウジング20の断面図であり、同図の切断面は図15と同様である。図17は、フロントボード10を斜め後方から臨む斜視図である。
【0043】
図11に示すように、下ハウジング20は、電子機器1の底を構成する四角い板状の底部23を有している。図14又は図15に示すように、下ハウジング20は、その前部に、底部23の前縁から立ち上がる前壁部25を有している。この例の下ハウジング20の前部は、前壁部25よりさらに前に張り出しており、下ハウジング20は、前壁部25の上縁から、さらに前に伸びる前底部26を有している。また、下ハウジング20は、前底部26の前縁から上方に立ち上がる最前壁部27を有している。この最前壁部27が、ハウジング2において最も前に位置している。
【0044】
また、下ハウジング20は、電子機器1の側面を構成する横壁部24を有している。この例では、図2乃至図4に示すように、下ハウジング20は、その底部23の左右の縁から立ち上がる内横壁部20bを有している。下ハウジング20は、内横壁部20bを越えて左右に張り出しており、内横壁部20bの上縁からさらに側方に広がる横底部20cを有している。内横壁部24は、この横底部20cの縁から上方に立ち上がっている。横底部20cと前底部26とには、内横壁部20bと前壁部25とに沿って吸気口20dが形成されている。また、図4に示すように、下ハウジング20は、底部23の後縁から立ち上がる後壁部20eを有している。後壁部20eでは各種コネクタ20fが露出している。また、後壁部20eには排気口20gが設けられている。なお、この後壁部20eは、電子機器1の最も後の面を構成している。
【0045】
図16に示すように、フロントボード10はハウジング2の前部において、前底部26と上下方向に向き合うように配置されている。上述したように、ハウジング本体22の右前壁部22cは左前壁部22bより後方に位置し、右前壁部22cと下ハウジング20の上縁との間には開口が設けられている。フロントボード10は、この開口を閉じている。特に、本実施形態では、フロントボード10の前縁が下ハウジング20の上縁の内側に位置するとともに当該上縁に沿うように、フロントボード10は配置されている。この例では、外面パネル7の前縁7bは、ベースボード4の前縁4eより前に位置している。そのため、外面パネル7の前縁7bが、下ハウジング20の最前壁部27の上縁27aに内側から当っている。すなわち、前縁7bは最前壁部27の内面に当っている。そして、前縁7bは上縁27aに沿って左右方向に伸びている。
【0046】
また、この例では、フロントボード10は、下ハウジング20の上縁の隅20aの内側に配置されており(図12参照)、フロントボード10の上縁は、下ハウジング20の最前壁部27の上縁27aと、横壁部24の上縁24aの双方に沿っている(図12参照)。詳細には、外面パネル7の左右方向における一方側(ここでは右側)の縁(以下、右縁)7cは、ベースボード4の右側の縁(以下、右縁)4fより右方向に位置している(図6又は図7参照)。そのため、外面パネル7の右縁7cが、下ハウジング20の横壁部24の上縁24aに内側から当っている。そして、右縁7cは上縁24aに沿って前後方向に伸びている。
【0047】
フロントボード10は、外面パネル7の表面と下ハウジング20の上縁27a,24aとが概ね同じ高さになるように支持されている。この例では、図12又は図15に示すように、下ハウジング20の前底部26の前縁には上方に突出する複数の支持部26aが形成されている。複数の支持部26aは、左右方向に間隔を空けて並ぶように配置されるとともに、互いに同じ高さに位置している。図16に示すように、支持部26a上には、ベースボード4の前縁4eに設けられた枠部45(以下、前枠部45a)が配置されており、ベースボード4の前部は支持部26aによって支持されている。
【0048】
また、前底部26の後部にも上方に突出する複数の支持部26bが形成されている。この支持部26bも、左右方向に間隔を空けて並ぶように配置されるとともに、互いに同じ高さに位置している。支持部26b上には、ベースボード4の後縁から下がる枠部45(以下、後枠部45b)が配置されており、フロントボード10の後部は支持部26bによって支持されている。
【0049】
下ハウジング20の上縁27a,24aの、支持部26a,26bの上端からの高さは、前枠部45a及び後枠部45bの下縁から外面パネル7の表面までの距離に一致している。そのため、外面パネル7の表面と下ハウジング20の上縁27a,24aとが概ね同じ高さに位置している。
【0050】
なお、図12に示すように、前底部26には、支持部26a,26bの他に、上方に突出する支持部26fが形成されている。この支持部26fは押しボタン3の下方に位置するとともに、当該支持部26fの形状は押しボタン3に対応している。この例では、支持部26fは環状に形成されている。支持部26fは、押しボタン3が押されたときに、回路基板6を下方から支持する。
【0051】
ハウジング2には、フロントボード10を下ハウジング20の上縁27a,24aに押す複数の押圧部26cが形成されている。この例では、押圧部26cは下ハウジング20に形成されている。詳細には、図12、図13、又は図15に示すように、下ハウジング20の前底部26には、フロントボード10の後において立つ壁部26dが形成されている。この壁部26dは、フロントボード10に沿った方向に伸び、下ハウジング20の上縁27a,24aとともに、フロントボード10が納まる枠を構成している。そして、この壁部26dに、前方に突出する複数の押圧部26cが形成されている。図17に示すように、ベースボード4の後枠部45bには、下方に突出する小さな板状の被押圧部48が形成されている。被押圧部48は、押圧部26cに向き合うように配置され、当該押圧部26cによって押されている。この例では、押圧部26cには被押圧部48と向き合う前面26gが設けられている。前面26gは被押圧部48の下部に当たり、前面26gから受ける反力によって被押圧部48は前に押されている。すなわち、被押圧部48に対して反力が作用するように、押圧部26cと被押圧部48の位置が設定されている。
【0052】
また、この例では、押圧部26cは、フロントボード10を下ハウジング20の上縁27a,24aの隅20aに向けて斜めに押している。詳細には、図13又は図17に示すように、押圧部26cと被押圧部48は、それぞれ壁部26dと後枠部45bとに対して斜めに形成されている。この例では、押圧部26cは、下ハウジング20の平面視において略三角形状を呈しており、その前面26gと壁部26dとの距離は、下ハウジング20の横壁部24に近づくにしたがって小さくなっている。そして、その前面26gに垂直な方向(図13においてD1の示す方向)は、下ハウジング20の上縁27aに対して垂直な方向(ここでは前後方向(Y1−Y2方向))に対して傾斜している。また、板状の被押圧部48に垂直な方向(図13においてD1の示す方向)も、下ハウジング20の上縁27aに対して垂直な方向に対して傾斜している。そして、押圧部26cの前面26gと被押圧部48は正対し、それらが向き合う方向は、隅20a側に傾斜している。そのため、被押圧部48が押圧部26cから受ける力は、下ハウジング20の上縁27aに垂直な方向に対して斜めに作用する。
【0053】
また、フロントボード10は下ハウジング20に対して引っ掛かるように形成されている。詳細には、図16又は図17に示すように、フロントボード10の被押圧部48の下縁には、壁部26dに向かって突出する凸部48aが形成されている。凸部48aは押圧部26cの下方に位置しており、被押圧部48は押圧部26cに引っ掛かっている。また、図13乃至図16に示すように、下ハウジング20の最前壁部27の内面には複数の凸部27bが形成されている。フロントボード10の前枠部45aには、最前壁部27側に突出する凸部46が形成されている(図7参照)。この凸部46は、最前壁部27の凸部27bの下方に位置しており、フロントボード10は、凸部27bと押圧部26cとに引っ掛かっている。これによって、フロントボード10の上方への動きが規制されている。
【0054】
フロントボード10は、螺子やボルトなどピン状の固定具によってハウジング本体22と、下ハウジング20とに固定されている。詳細には、図17に示すように、フロントボード10の後枠部45bには後方に突出する複数の取付部47が形成されている。この例では、フロントボード10には、2つの取付部47が設けられ、それらは後枠部45bの端部に位置している。取付部47には孔が形成されている。図14に示すように、下ハウジング20の前底部26には、当該前底部26を上下方向に貫通する複数の孔26eが形成されている。さらに、ハウジング本体22の右前壁部22cの下縁には、複数の螺子孔22eが形成されている。この例では、前底部26と右前壁部22cとには、左右方向に並ぶ3つの孔26e,22eが形成されている。左側の孔26e,22eと、右側の孔26e,22eは、それぞれ取付部47の位置に対応しており、これらの孔に螺子16が下方から差し込まれている。これによってフロントボード10とハウジング本体22の双方が、下ハウジング20に固定されている。
【0055】
なお、取付部47に形成されている孔は、螺子16より僅かに大きくなっている。そのため、螺子16が締め付けられる前では、取付部47は孔26e,22eに対して僅かにずれることができる。これによって、各部材の公差に起因して、取付部47の孔や、孔26e,22eが正規の位置からずれている場合であっても、外面パネル7の前縁7bと右縁7cを、下ハウジング20の上縁27a,24aに正確に合わせることができる。
【0056】
また、この例では、3つの孔26e,22eのうち中央の孔26e,22eに対応する位置には、取付部47は設けられていない。そのため、これらの中央の孔26e,22eに差し込まれる螺子16は、ハウジング本体22のみを下ハウジング20に固定している。
【0057】
上述したように、フロントボード10の後縁には導光部材8が設けられている。図8又は図16に示すように、導光部材8の上面の位置は、外面パネル7の表面より高くなっており、当該導光部材8は、フロントボード10の後縁に沿って立つ壁を構成している。ハウジング本体22の右前壁部22cは、導光部材8上に配置されている。この右前壁部22cは、その下縁22fが導光部材8より前に張り出すように配置されている。これによって、導光部材8の上面と、右前壁部22cの下縁との間に隙間が生じる場合であっても、その隙間が目立ち難くなっている。
【0058】
以上説明したように、電子機器1では、押しボタン3と回路基板6との間に、外面パネル7の厚さ方向での移動が規制されたストッパ41が設けられている。そして、このストッパ41は、押しボタン3が厚さ方向に移動したときに押しボタン3の縁であるフランジ部3aに当っている。
【0059】
このような電子機器1によれば、押しボタン3が外面パネル7の厚さを超えて沈むことを抑えることができるようなる。その結果、押しボタン3が外面パネル7の孔7aの縁に引っ掛かることを抑えることができ、押しボタン3を円滑に作動させることができる。
【0060】
なお、本発明は、以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、以上の説明では、外面パネル7の裏面側に、さらに板状のベースボード4が設けられ、ベースボード4にストッパ41が形成されていた。しかしながら、外面パネル7と回路基板6との間に配置され、ストッパ41が形成される部材は、このような板状の部材でなくてもよい。また、外面パネル7と回路基板6との間に、これらとは別体の部材であるベースボード4が設けられることなく、ストッパ41は外面パネル7に一体的に形成されてもよい。
【0062】
また、以上の説明では、押しボタン3と回路基板6との間には、ゴム5が配置され、押しボタン3は、ゴム5を介して回路基板6上に設けられた接点部材61を押していた。しかしながら、押しボタン3と回路基板6との間にゴム5が配置されることなく、押しボタン3が直接的に接点部材61を押してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 電子機器、2 ハウジング、3 押しボタン、3a フランジ部(押しボタンの縁)、4 ベースボード(中間部材)、5 ゴム(弾性体)、6 回路基板、7 外面パネル、7b 前縁、8 導光部材、10 フロントボード、20 下ハウジング、20a 隅、21 上ハウジング、22 ハウジング本体、26 前底部、26c 押圧部、27 最前壁部、27a 上縁、41 ストッパ、45a 前枠部、45b 後枠部、48 被押圧部、61 接点部材、69 コネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンを有する電子機器において、
前記電子機器の外面を構成するパネルであって、前記押しボタンが嵌められる孔が形成された外面パネルと、
前記外面パネルの裏面側に配置される回路基板と、を備え、
前記押しボタンは前記外面パネルの前記孔の内側で前記外面パネルの厚さ方向に移動可能に設けられ、
前記押しボタンと前記回路基板との間に、前記厚さ方向での移動が規制され、前記押しボタンが前記厚さ方向に移動したときに当該押しボタンの縁に当るストッパが設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記外面パネルと前記回路基板との間に、前記外面パネルの厚さ方向への動きが規制された中間部材が配置され、当該中間部材に前記ストッパが形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記外面パネルと前記回路基板は前記中間部材に取り付けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器において、
前記中間部材には、前記押しボタンの下方に位置する孔が形成され、
前記ストッパは、前記孔の縁に、当該孔の周方向に伸びるように形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記回路基板と前記押しボタンとの間には、前記押しボタンを前記外面パネルに押す弾性体が配置され、
前記弾性体と前記押しボタンは、それらの相対位置の変化が可能となるように設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
押しボタンを有する電子機器において、
前記電子機器の外面を構成するパネルであって、前記押しボタンが嵌められる孔が形成された外面パネルと、
前記外面パネルの裏面側に配置される回路基板と、を備え、
前記押しボタンは前記外面パネルの前記孔の内側で前記外面パネルの厚さ方向に移動可能に設けられ、
前記押しボタンと前記回路基板との間に、前記厚さ方向での移動が規制され、前記押しボタンが前記厚さ方向に移動したときに当該押しボタンの縁に当るストッパが設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記外面パネルと前記回路基板との間に、前記外面パネルの厚さ方向への動きが規制された中間部材が配置され、当該中間部材に前記ストッパが形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記外面パネルと前記回路基板は前記中間部材に取り付けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器において、
前記中間部材には、前記押しボタンの下方に位置する孔が形成され、
前記ストッパは、前記孔の縁に、当該孔の周方向に伸びるように形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記回路基板と前記押しボタンとの間には、前記押しボタンを前記外面パネルに押す弾性体が配置され、
前記弾性体と前記押しボタンは、それらの相対位置の変化が可能となるように設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−244768(P2010−244768A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90568(P2009−90568)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
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