説明

電子機器

【課題】本発明は、操作キーを装置の上面に配置しても、溜まった埃やゴミを簡単に清掃することができると共に、経持使用によってキートップに印刷されたキー表記が消えたり、汚れたりして見えにくくなることを防止することができる電子機器を提供することを課題とする。
【解決手段】操作キー3を、キースイッチ基板5に実装されているキースイッチ51と、キースイッチ基板5上に積層されたキーパッド6の、キースイッチに対向する位置に配設されたキートップ61とで構成し、キートップ61の上部を装置の上面と略同一の高さに設定すると共に、キートップ61の上部に、キー表記7を印刷して、さらに、キー表記7上にポッティング加工8を施し、ポッティング加工8のみを装置の上面から突出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上で使用される電子機器に関し、上面に複数の操作キーが配置されている電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の卓上で使用される電子機器において、各種入力を行うための操作キーは、その操作性や視認性を考慮して装置の上面に配置されているのが一般的であり(例えば、特許文献1参照)、操作キーとしては、操作感を得るために、上面から突出して設けられ、キートップの所定のストロークによって入力を受け付けるキースイッチ(メカニカルスイッチ等)が採用されることが多く、キートップには、機能を示すキー表記が印刷されている。
【0003】
しかしながら、従来技術では、操作キーが装置の上面に配置されているため、埃やゴミが溜まりやすいが、キートップが上面から突出しているので、キートップが邪魔になって清掃しづらいと共に、経時使用によってキートップに印刷されたキー表記が消えたり、汚れたりして見えにくくなってしまうという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−36605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作キーを装置の上面に配置しても、溜まった埃やゴミを簡単に清掃することができると共に、経時使用によってキートップに印刷されたキー表記が消えたり、汚れたりして見えにくくなることを防止することができる電子機器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、上面に複数の操作キーが配置されている電子機器であって、前記操作キーは、キースイッチ基板に実装されているキースイッチと、前記キースイッチ基板上に積層されたキーパッドの、前記キースイッチに対向する位置に配設されたキートップとからなり、前記キートップの上部は、前記上面と略同一の高さに設定され、前記キートップの上部には、キー表記が印刷されていると共に、前記キー表記上にポッティング加工が施され、前記ポッティング加工のみが前記上面から突出していることを特徴とする電子機器に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記キーパッドは、周囲に沿って形成されたリブ部によって受け皿形状になっており、前記リブ部は、前記上面を構成する上板の裏面に当接していることを特徴とする請求項1記載の電子機器に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記キーパッドおよび前記キースイッチ基板には、対向する位置に排出穴がそれぞれ形成されており、前記キーパッドの前記排出穴には、前記キースイッチ基板の前記排出穴を貫通して装置外に通じる排出経路が接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器に存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子機器は、操作キーを、キースイッチ基板に実装されているキースイッチと、キースイッチ基板上に積層されたキーパッドの、キースイッチに対向する位置に配設されたキートップとで構成し、キートップの上部を装置の上面と略同一の高さに設定すると共に、キートップの上部に、キー表記を印刷して、さらに、キー表記上にポッティング加工を施し、ポッティング加工のみを装置の上面から突出させることにより、清掃に際して、キートップが引っかかることがないため、操作キーを装置の上面に配置しても、溜まった埃やゴミを簡単に清掃することができると共に、ポッティング加工によって、キートップに印刷されたキー表記が保護されているため、経時使用によってキートップに印刷されたキー表記が消えたり、汚れたりして見えにくくなることを防止することができるという効果を奏する。
【0008】
さらに、本発明の電子機器は、キーパッドを、周囲に沿って形成されたリブ部によって受け皿形状に構成し、装置の上面を構成する上板の裏面にリブ部を当接させることにより、操作キーと上板との間隙から浸入した水分や油分が装置内に漏れることを防止することができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明の電子機器は、キーパッドおよびキースイッチ基板のそれぞれ対向する位置に排出を形成し、キーパッドの排出穴に、キースイッチ基板の排出穴を貫通して装置外に通じる排出経路を接続することにより、操作キーと上板との間隙から浸入した水分や油分を、装置内に漏らすことなく、装置外に排出させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る電子機器の実施の形態の構成を示す図であり、(a)は、上面図であり、(b)は、(a)に示す矢印Aの方向から見た側面図である。図2は、図1(a)に示すX−X'断面図であり、図3は、図2に示すキーパッドおよびキースイッチ基板の構成を示す斜視図であり、図4は、図2に示す領域Bの拡大図であり、図5は、図1(a)に示すY−Y'断面図である。
【0012】
本実施の形態の電子機器1は、卓上に載置して使用されるプリンタ等の機器であり、図1を参照すると、上面を構成する上板2には、複数の操作キー3と、液晶ディスプレイ等の表示部4とが配置されている。なお、本実施の形態では、上板2を水平方向に配設した例について説明するが、上板2は、水平方向にして斜めに配設するようにしても良い。
【0013】
操作キー3の上部は、図1(b)を参照すると、なだらかな曲面で形成されており、操作キー3のエッジ、すなわち操作キー3の上部に形成されている曲面の周囲と、上板2の上面とが略同一の高さになるように設定され、上面において操作キー3の引っかかりをなくすように構成されている。
【0014】
図2は、操作キー3が配置されている箇所の断面図であり、複数のキースイッチ51が実装されているキースイッチ基板5が上板2の下方に、図示しないシャーシ等に取り付けられて所定の間隔で配設されていると共に、キースイッチ基板5の上に、複数のキースイッチ51と対向する位置に複数のキートップ61がそれぞれ形成されているキーパッド6が載置されており、複数のキートップ61が、上板2に形成されている開口にそれぞれ挿通され、1つの操作キー3は、1つのキースイッチ51と、1つのキートップ61とで構成される。
【0015】
キーパッド6としては、シリコンゴム等の弾性材が用いられ、図3(a)を参照すると、
平板状のシート部材60に、複数の円柱形状のキートップ61が配設されていると共に、図示しないねじ等を用いてキースイッチ基板5およびキースイッチ51を取り付けるためのねじ穴62と、シート部材60上に溜まった水分や油分を排出するための排出穴63とが形成されている。また、キーパッド6は、シート部材60の周囲に沿って形成されたリブ部64と、ねじ穴62に沿って形成されたリブ部65とによって、受け皿形状となっており、シート部材60上に溜まった水分や油分がシート部材60の周囲やねじ穴62から漏れないように構成されている。
【0016】
キースイッチ基板5には、図3(b)を参照すると、複数のキースイッチ51が、キーパッド6の複数のキートップ61と対向する位置にそれぞれ実装されていると共に、キーパッド6に形成されているねじ穴62と対向する位置には、ねじ穴52が、キーパッド6に形成されている排出穴63と対向する位置には、排出穴53がそれぞれ形成されている。
【0017】
図4を参照すると、キーパッド6がキースイッチ基板5上に載置されて取り付けられた状態では、シート部材60の周囲に沿って形成されたリブ部64は、上板2の裏面に当接した状態となり、上板2に形成されている開口とキートップ61との間隙から浸入し、シート部材60上に溜まった水分や油分がシート部材60の周囲から装置内に漏れないようになっている。なお、図5に示すように、ねじ穴62に沿って形成されたリブ部65も上板2の裏面に当接した状態となり、シート部材60上に溜まった水分や油分がねじ穴62から装置内に漏れないようになっている。
【0018】
また、キートップ61の上部は、上板2の上面と略同一の高さに設定されていると共に、キートップ61の上部には、それぞれの機能を示すキー表記7が印刷され、さらに、透明ウレタン樹脂によるコーティングであるポッティング(樹脂盛り)加工8が施され、ポッティング加工8のみが上板2の上面から突出している。これにより、操作キー3の上部がなだらかな曲面となり、操作キー3のエッジと、上板2の上面とが略同一の高さになる。
【0019】
図5は、排出穴63が形成されている箇所の断面図であり、排出穴63の裏面側には、キースイッチ基板5の排出穴53と、底板9とを貫通するチューブ等の排出経路10が接続されており、シート部材60上に溜まった水分や油分は、装置内に漏れることなく、排出経路10を通って装置外に排出されるようになっている。
【0020】
以上説明したように、本実施の形態によれば、操作キー3を、キースイッチ基板5に実装されているキースイッチ51と、キースイッチ基板5上に積層されたキーパッド6の、キースイッチに対向する位置に配設されたキートップ61とで構成し、キートップ61の上部を装置の上面と略同一の高さに設定すると共に、キートップ61の上部に、キー表記7を印刷して、さらに、キー表記7上にポッティング加工8を施し、ポッティング加工8のみを装置の上面から突出させることにより、清掃に際して、キートップ61が引っかかることがないため、操作キー3を装置の上面に配置しても、溜まった埃やゴミを簡単に清掃することができると共に、ポッティング加工8によって、キートップ61に印刷されたキー表記7が保護されているため、経時使用によってキートップ61に印刷されたキー表記7が消えたり、汚れたりして見えにくくなることを防止することができるという効果を奏する。
【0021】
さらに、本実施の形態によれば、キーパッド6を、周囲に沿って形成されたリブ部64によって受け皿形状に構成し、装置の上面を構成する上板2の裏面にリブ部64を当接させることにより、操作キー3と上板2との間隙から浸入した水分や油分が装置内に漏れることを防止することができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、本実施の形態によれば、キーパッド6およびキースイッチ基板5のそれぞれ対向する位置に排出穴63、53を形成し、キーパッド6の排出穴63に、キースイッチ基板5の排出穴53を貫通して装置外に通じる排出経路10を接続することにより、操作キー3と上板2との間隙から浸入した水分や油分を、装置内に漏らすことなく、装置外に排出させることができるという効果を奏する。
【0023】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電子機器の実施の形態の構成を示す図であり、(a)は、上面図であり、(b)は、(a)に示す矢印Aの方向から見た側面図である。
【図2】図1(a)に示すX−X'断面図である。
【図3】図2に示すキーパッドおよびキースイッチ基板の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す領域Bの拡大図である。
【図5】図1(a)に示すY−Y'断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 電子機器
2 上板
3 操作キー
4 表示部
5 キースイッチ基板
6 キーパッド
7 キー表記
8 ポッティング加工
9 底板
10 排出経路
51 キースイッチ
52 ねじ穴
53 排出穴
61 キートップ
62 ねじ穴
63 排出穴
64 リブ部
65 リブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の操作キーが配置されている電子機器であって、
前記操作キーは、キースイッチ基板に実装されているキースイッチと、
前記キースイッチ基板上に積層されたキーパッドの、前記キースイッチに対向する位置に配設されたキートップとからなり、
前記キートップの上部は、前記上面と略同一の高さに設定され、前記キートップの上部には、キー表記が印刷されていると共に、前記キー表記上にポッティング加工が施され、前記ポッティング加工のみが前記上面から突出していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記キーパッドは、周囲に沿って形成されたリブ部によって受け皿形状になっており、
前記リブ部は、前記上面を構成する上板の裏面に当接していることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記キーパッドおよび前記キースイッチ基板には、対向する位置に排出穴がそれぞれ形成されており、
前記キーパッドの前記排出穴には、前記キースイッチ基板の前記排出穴を貫通して装置外に通じる排出経路が接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−67395(P2010−67395A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230936(P2008−230936)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】