説明

電子機器

【課題】電子機器を構成する部品間を接合する両面テープを剥がす際に、両面テープの接着剤を残さず容易に部品に分解でき、部品の再利用を可能とする電子機器を提供する。
【解決手段】電子部品141を収容する第1部材11に、第1部材11と電子部品141を覆う第2部材15が、枠状の両面テープ20によって取り付けられる。両面テープ20は、枠状の外側にタブ21が設けられているので、タブ21を引っ張ることにより、両面テープ20を引き剥がすことができる。このとき、タブ21の近傍に設けられた切れ込み24から枠状の両面テープ20が切断されて1本になるので、容易に両面テープ20を剥がすことができ、第2部材15を容易に第1部材11から取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が両面テープを用いて電子機器本体に取り付けられた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品が両面テープを用いて電子機器本体に取り付けられた電子機器が知られている(例えば特許文献1参照)。
図6には、電子機器としての携帯電話100の上筐体101が示されている。図6(A)に示すように、上筐体101の内部には、表示部102の上の左側中央付近に2台のカメラ103,104が設けられ、右側に音響部品105が装備されている。
図6(B)には、上筐体101にスクリーン106(図6(C)参照)を取り付けるための両面テープ107が示されている。両面テープ107には、表示部102の表示用窓108、カメラ103用のカメラ用窓109、音響部品105用の音導用窓111が切り抜いて形成されている。
【0003】
次に、図6(C)に示すように、上筐体101の外側の表示部102の位置に両面テープ107の表示用窓108を合わせて両面テープ107を貼り付け、さらに、両面テープ107の上に透明なスクリーン106が貼り付けられる。これにより、表示部102はスクリーン106によって保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−229318号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来の携帯電話100においては、両面テープ107の高接着強度により高い接合信頼性を有しているが、その高い接着強度のために両面テープを剥がすのが困難であり、接合部の分離・解体を困難にしていた。また、スクリーン106を上筐体101から分離する際に、両面テープの粘着剤や基材が層間で割裂した残さがスクリーン106や上筐体101に残るため、これらの部品を再利用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、電子機器を構成する部品間を接合する両面テープを剥がす際に、粘着や基材が層間で破壊(分離)することなく被着体の界面において剥離され、かつ両面テープが切れたり被着体に糊残りが発生したりすることなく円滑に剥離させることで、容易に部品に展開でき、部品の再利用を可能とする電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、第1部材と、前記第1部材内に設けられた電子部品と、前記電子部品を覆う第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを固定する枠状の両面テープと、を備えた電子機器であって、前記両面テープは、枠状の外側に設けられたタブと、前記タブの近傍に設けられた切れ込みと、を有するものである。
【0008】
また、本発明の電子機器は、前記タブに穴が設けられているものである。
【0009】
また、本発明の電子機器は、前記切れ込みが前記両面テープの外側に設けられているものである。
【0010】
さらに、本発明の電子機器は、前記タブが矩形状であるものである。
【0011】
また、本発明の電子機器は、前記切れ込みが前記両面テープの外側に向かって拡開する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、タブを引っ張ることにより、タブの近傍に設けられた切れ込みから枠状の両面テープが切断されて1本になり、かつ両面テープは粘着や基材の層間で破壊(分離)せず被着体の界面において剥離されるので、接着剤を残さず容易に第1部材と第2部材とを分解して再利用を図れるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態の電子機器の全体を示す斜視図
【図2】両面テープの断面
【図3】(A)は両面テープの全体を示す斜視図、(B)は(A)中B部の拡大図、(C)は両面テープの変形例を示す要部拡大図
【図4】両面テープを剥がす動作を示す斜視図
【図5】(A)は両面テープでスクリーンを上筐体に取り付けた状態の断面図、(B)は両面テープを引き出すときの状態を示す断面図
【図6】従来の携帯電話であり、(A)は上筐体の平面図,(B)は両面テープの平面図、(C)はスクリーンを取り付けた上筐体の平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の電子機器としての携帯端末10は、例えば表示部14を有する上筐体11と、操作部16を有する下筐体12と、上筐体11および下筐体12を開閉可能に連結する連結部13とを有する。
第1部材である上筐体11は、上面(図1において上面)が大きく開口した矩形箱状の部材であり、上筐体11の四辺には枠部111を有する。また、枠部111の上端部には、レシーバ17およびカメラ18を有する。上筐体11の内部には、表示部14を構成する電子部品である液晶表示板141が収容されており、液晶表示板141の表面を覆う第2部材であるスクリーン15が設けられている。スクリーン15は、上筐体11の枠部111の全周に沿って貼り付けられている両面テープ20により、取り付けられる。
【0015】
図2は本発明にて使用する両面テープ20の形態を示した断面図である。図示の両面テープ20は延伸可能な基材22を有し、基材20の両面には粘着剤層23が形成されている。ここで使用する基材22は、好ましくは高伸張性ポリマーフィルムからなる。
ここで高伸張性とは、両面テープ20の基材22を長手方向に延伸させたときに、もとの長さを基準にして350%以上の伸びを生じるような性質を示す。
本実施形態において基材22として用いられるポリマーフィルムは、350〜700%の伸びを生じさせることができる。さらに、このポリマーフィルムは、40MPa以上の引張強度、延伸された後で約50%未満の弾性回復を有し、ガラス転移点が−20℃以下であることが望ましい。
【0016】
粘着剤層23を構成する粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体や、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体からなるアクリル系ポリマーをベースポリマーとし、これに架橋剤や粘着付与樹脂等の添加剤が配合されたアクリル系粘着剤が挙げられる。
アクリル重合体としてはガラス転移点を−20℃以下とするため、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸エステルとを含有し、これらを総量として50〜100重量%含有するモノマーの共重合体が好ましい。
【0017】
基材22の表面には粘着剤層23となる粘着剤との接着効果を高めるため、プラズマ処理を予め施すことが好ましい(図2中、X印参照)。
プラズマ処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、電子ビーム照射、紫外線照射等を挙げることが出来る。
【0018】
図3(A)に示すように、両面テープ20は、全体矩形枠状をしており、その一辺である上辺201の端部(ここでは、右側端部)付近にタブ21が外側(上方)に突出して設けられている。両面テープ20の上辺201を含む枠状部分202は、図5(A)に示すように、積層構造をしており、中央に基材22を有し、基材22の上下両面には粘着剤層23となる粘着剤が塗布されている。なお、タブ21は、その両面に粘着剤が塗布されていても良いが、基材22のみで構成されていることが好ましい。
【0019】
本実施形態において、携帯端末10の上筐体11は、連結部13とは反対側のスクリーン15に隣り合う位置にレシーバ17およびカメラ18を覆うレシーバパネル19が貼り付けられている。両面テープ20のタブ21は、スクリーン15の下から外部に突出するとともに、レシーバパネル19の下側に隠されている。
このため、両面テープ20は、タブ21が設けられていても、タブ21がレシーバパネル19に隠され、携帯端末10の外観性を損なうことなく、液晶表示板141とスクリーン15とを接合できる。
【0020】
図3(B)に示すように、タブ21は矩形状をしており、少なくとも上辺201よりも外側である中央部には、穴211が設けられている。また、タブ21において枠状部分202の端部側(図3(B)において右側)の外形線である縦辺212を上辺201に延長した位置には、切れ込み24が形成されている。切れ込み24は、両面テープ20の表から裏まで貫通して切断されており、上辺201におけるタブ21側の端部すなわち枠状部分202の外側縁部から、枠状部分202の幅の途中(例えば、枠状部分202の幅の中央付近)まで設けられている。通常は、両面テープ20は矩形枠状の形状を保持しているので、枠状部分202の内部の密閉を保持しているが、切れ込み24を開く方向(図3(B)中矢印A方向)に外力が作用すると、切れ込み24が開いて、枠状部分202の内側まで容易に切断されるようになっている。
【0021】
なお、図3(C)に示す両面テープ20Aは、切れ込み24が外側に向かって拡開する形状となっているため、さらに容易に枠状部分202を分断できる。
【0022】
次に、スクリーン15を上筐体11から取り外す動作について説明する。
図1に示すように、スクリーン15は矩形枠状の両面テープ20により上筐体11の枠部111に取り付けられている。この状態では、両面テープ20の枠状部分は閉じた矩形状となっているので、上筐体11内部の防水性能および防塵性能を確保して接合信頼性を保持している。
【0023】
この状態からスクリーン15を分離するには、図4に示すように、両面テープ20のタブ21を上筐体11の表面から起こし、タブ21の穴211に細い棒状の工具を挿入して引掛け、工具を介してタブ21を外向き(図4中矢印A方向)に強く引く。これにより、タブ21の近傍に設けられている切れ込み24から破断が始まり、両面テープ20は切断される。さらに、タブ21を両面テープ20の方向に沿って引き出す(図4中矢印B方向)と、両面テープ20は1本の紐状になって、スクリーン15と上筐体11との間から引き出される。
【0024】
このとき、タブ21は基材22に設けられており、タブ21を引き出すことにより基材22を引き出すことになる。基材は高伸張性ポリマーフィルムよりなるため、図5(A)に示すように、基材22を強く引き出すと、図5(B)に示すように、基材22が厚み方向に収縮するとともに、長手方向へ伸びる。この厚み方向の弾性変形により基材22が薄くなり、面で接着していた粘着剤が、接触面積の少ない線接着となるため、粘着剤層23とスクリーン15および上筐体11との界面(接着面)から剥離が進行する。そして、両面テープ20を取り出すことにより、スクリーン15を上筐体11から分離する。
【0025】
本実施形態に用いられる基材22のポリマーフィルムは350〜700%の伸びを生じさせることができる。基材22の伸び率が350%を下回ると厚み方向に収縮できず剥離効果が得られなくなり、反対に700%を上回ると程よいタイミングでスクリーン15および上筐体11から両面テープ20を剥離することが困難になる。
【0026】
また、この基材22の厚みは100〜250μmが好ましい。基材22の厚みが100μmを下回ると厚み方向の収縮量が不足し、線接触状態が形成されず粘着力の低下が不十分となるため、被着体の界面で剥離が進行する前に基材22が破断する場合がある。反対に基材22の厚みは250μmを上回ると高い引張強度のために被着体から両面テープ20を剥離する作業が実質的に困難になり、また両面テープ20を薄手とする効果も損なわれる。
【0027】
また、基材22の表面にはプラズマ処理を予め施し粘着剤との接着力を高めているため、両面テープを強く引き出しても、粘着剤が基材に引っ張られ、被着体の界面に残らず剥離させることが出来る。
さらに、本実施形態の両面テープ20は、基材22、粘着剤層23となる粘着剤共にガラス転移点の低い材料であるため、携帯端末10が寒冷地で落下等の衝撃を受けても衝撃吸収力は損なわれず、信頼性の高い接合が可能となる。
【0028】
以上、説明した本発明に係る実施形態の携帯端末10によれば、液晶表示板141を収容する上筐体11に、上筐体11と液晶表示板141を覆うスクリーン15が、枠状の両面テープ20によって取り付けられる。両面テープ20は、枠状の外側にタブ21が設けられているので、タブ21を引っ張ることにより、両面テープ20を引き剥がすことができる。このとき、タブ21の近傍に設けられた切れ込み24から枠状の両面テープ20が切断されて1本になるので、容易に両面テープ20を剥がすことができ、スクリーン15を容易に上筐体11から取り外すことができる。
【0029】
また、枠状の両面テープ20の外側に設けられているタブ21には穴211が開けられているので、穴211に工具等を引っ掛けて強く引き出すことができ、容易に両面テープ20を引き出すことができる。
【0030】
また、枠状の両面テープ20の外側に切れ込み24が設けられているので、タブ21を引っ張ることにより、両面テープ20は外側の切れ込み24から内側に向けて切断されて1本の紐状になり、容易に両面テープ20を引き出すことができる。
特に、図3(C)に示す両面テープ20Aによれば、切れ込み24が外側に向かって拡開する形状となっているため、さらに容易に枠状部分202を分断できる。
【0031】
また、矩形枠状の両面テープ20の外側に設けられているタブ21が矩形状なので、矩形の外形線の延長に切れ込み24を設けることにより、切れ込み24が効果的に作用する。
【0032】
さらに、タブ21は基材22に設けられており、タブ21を引き出すことにより基材22を引き出すことになる。このため、基材22を強く引き出して基材22が厚み方向に収縮すると、厚み方向の弾性変形により基材22が薄くなり、粘着剤層23とスクリーン15および上筐体11との界面(接着面)から剥離が進行する。このため、両面テープ20を引き出した際に、スクリーン15および上筐体11に両面テープ20の粘着剤層23が残らずにきれいに両面テープ20が取り出せるので、スクリーン15および上筐体11を部品として再利用することができる。
【0033】
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、両面テープ20を用いて上筐体11にスクリーン15を取り付ける場合を例示したが、本発明はその他の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 携帯端末(電子機器)
11 上筐体(第1部材)
141 液晶表示板(電子部品)
15 スクリーン(第2部材)
20、20A 両面テープ
21 タブ
211 穴
24、24A 切れ込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材内に設けられた電子部品と、
前記電子部品を覆う第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを固定する枠状の両面テープと、を備えた電子機器であって、
前記両面テープは、枠状の外側に設けられたタブと、前記タブの近傍に設けられた切れ込みと、を有する電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記タブに穴が設けられている電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記切れ込みが前記両面テープの外側に設けられている電子機器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記タブが矩形状である電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記切れ込みが前記両面テープの外側に向かって拡開する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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