説明

電子機器

【課題】 例えばノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器に関し、ケーブルの導電被覆を部品の追加なく良好に接地する。
【解決手段】 第1コネクタ141を含む電子部品が搭載された回路基板140と、導電材で被覆され第1コネクタに組み合う第2コネクタ133が先端に接続されたケーブル132と、回路基板に対面して広がり、その表裏面に通じる第1開口が形成された金属部品150と、回路基板140との間に金属部品150を挟んでその金属部品に対面して広がり、上記ケーブル131の、金属部品150を覗かせた配線路を区画してケーブル131を上記第1開口に導く、その表裏面に通じる第2開口161が形成された樹脂部品160とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、例えばノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータ(以下、「ノートPC」と称する)は、CPU(Central Processing Unit)が搭載された本体装置に表示画面を有する表示装置が開閉自在に接続された構造を有する。このノートPCには、本体装置と表示装置とを結ぶケーブルが配線されている。このケーブルは、表示画面上に表示する画像を表わす信号を伝達する。この信号は高周波信号であり、電波ノイズ対策が施されたケーブルが使用される。電波ノイズ対策のため、このケーブルには、導電布が巻かれる。ノートPC内にグランドに接続されたガスケット等の接触部品を配置し、導電布をその接触部品に接触させてケーブルをグランドに接続する構造が採用されている。この構造を採用すると、ケーブルに巻かれた導電布をグランドに接続する目的のみのためにガスケット等の部品が追加されることになる。また、そのノートPCの開発段階において、当初設置したガスケット等の接触部品のみではケーブルがグランドへ不安定な接続となる場合にはそのような接触部品の設置部の形状変更等の設計変更が必要となることがある。ノートPCの開発において、このような設計変更は、コスト上極めて非効率である。
【0003】
先行技術として、ケーブルが挿通されるガイド溝にゴム状弾性体からなるケーブル押えを嵌め込むことで、ケーブルをガイド溝に抜け止め保持する構造が知られている。また、他の先行技術として、ロッカーの金属製の側柱に電源ケーブルを集約的に収容する長溝部を設ける構造が知られている。しかしながらこれら先行技術は、いずれもケーブルの接地とは無関係である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−116276号公報
【特許文献2】特開平5−315775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件開示の電子機器は、ケーブルの導電被覆を部品の追加なく良好に接地することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の電子機器は、回路基板と、ケーブルと、金属部品と、樹脂部品とを有する。
【0007】
回路基板は、第1コネクタを含む電子部品が搭載されている。
【0008】
ケーブルは、導電材で被覆され第1コネクタに組み合う第2コネクタが先端に接続されている。
【0009】
また、金属部品は、回路基板に対面して広がり、その表裏面に通じる第1開口が形成されている。
【0010】
さらに、樹脂部品は、回路基板との間に金属部品を挟んでその金属部品に対面して広がる。この樹脂部品には、上記ケーブルの配線路を区画してそのケーブルを上記第1開口に導く、その表裏面に通じ配線路に上記金属部品を覗かせた第2開口が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本件開示の電子機器によれば、部品の追加なく、ケーブルの導電被覆が良好に接地される。これにより、このような電子機器はコスト観点で効率的に開発される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】閉状態にあるノートPCの斜視図である。
【図2】開状態にあるノートPCの斜視図である。
【図3】本体装置上面の、キーボードの奥側の部分を覆うカバーユニットを取り外して示した分解斜視図である。
【図4】カバーユニットを取り外した後の本体装置の一部を示した部分拡大斜視図である。
【図5】本体装置の層構造を示した分解斜視図である。
【図6】比較例としてのノートPCの、実施形態のノートPCの配線路と同様の部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を説明する。
【0014】
図1は、閉状態にあるノートPCの斜視図である。また、図2は、開状態にあるノートPCの斜視図である。このノートPCは、本件にいう電子機器の一例である。
【0015】
ノートPC100は、本体装置110と表示装置120とを有する。表示装置120は、ヒンジ部130により本体装置110に接続されている。このノートPC100は、このヒンジ部130を中心に、表示装置120が図1に示す閉状態と図2に示す開状態との間で開閉自在である。
【0016】
本体装置110は、その上面に各種インジケータ111や各種ファンクションボタン112、キーボード113、トラックパッド114等を備える。この本体装置110の内部には、演算処理の中核となる、図示しないCPU(Central Processing Unit)などの電子部品が搭載された回路基板が広がっている。
【0017】
また、表示装置120は表示画面121を有する。この表示画面121には、本体装置110からの指示(信号)に応じた各種画像が表示される。
【0018】
図3は、本体装置上面の、キーボードの奥側の部分を覆うカバーユニットを取り外して示した分解斜視図である。また、図4は、カバーユニットを取り外した後の本体装置の一部を示した部分拡大斜視図である。さらに図5は、本体装置の層構造を示した分解斜視図である。
【0019】
ヒンジ部130は円筒形のケーブル通路131を有し、そのケーブル通路131には、ケーブル132が挿通されている。このケーブル132は、表示装置120の表示画面121に表示する画像を表わす画像信号を伝送する。ケーブル132の外周は、その画像信号の伝送に伴う放射ノイズを抑えるために導電布で被覆されている。
【0020】
本体装置110は、図5に示すように、下層側から順に回路基板140、金属板150、樹脂板160が配置され、さらにその上にキーボード113やカバーユニット170(図3参照)が配置されている。なお、本体装置110は、図5に示される回路基板140のさらに下層側に不図示の樹脂製ロアカバーも備え、樹脂板160とロアカバーにより形成される内部空間に、回路基板140および金属板150を収容している。
【0021】
回路基板140には、コネクタ141を含む多数の電子部品が搭載されている。図5は、回路基板140上にコネクタ141と組み合うコネクタ133を示す。この図5は分解斜視図であり、コネクタ133は、図5においてケーブル132と分断して示されているが、物理的にケーブル132の先端に接続されている。
【0022】
金属板150は、回路基板140に対面して広がり、回路基板140のシールド部材としての役割りを担う金属部品である。この金属板150には、その表裏面に通じるいくつかの開口が設けられている。それら開口のうちの1つは、ケーブル132およびコネクタ133を回路基板140上のコネクタ141につなげるための通路となっている。
【0023】
樹脂板160は、回路基板140との間に金属板150を挟んでその金属板150に対面して広がる樹脂部品である。この樹脂板160には、ケーブル132の配線路を区画する開口161が形成されている。この開口161による配線路は、金属板150に形成された開口につながっている。この金属板150に形成された開口は、ケーブル132の先端のコネクタ133(図5参照)を回路基板140上のコネクタ141に導くためのものである。開口161は、樹脂板160の表裏面に通じている。したがってその開口161には、樹脂板160の下に広がる金属板150があらわれている。
【0024】
表示装置120内にも配置されケーブル通路131から本体装置110側に出たケーブル132は、樹脂板160の開口161で区画された配線路を通り、金属板150の開口を通る。そしてそのケーブル132の先端のコネクタ133が、回路基板140上のコネクタ141と結合している。
【0025】
この配線路には、金属板150が覗いているため、金属板150の色と樹脂板160の色との相違により配線路が明確に視認される。このため、組立作業が効率化され、ミスが低減する。
【0026】
また樹脂板160は、その配線路を区画する開口161の縁に、金属板150に対し立設し、その立設した先端部が配線路に向かって鉤状に曲がったフック162を有する。このフック162には、配線路に通すためにケーブル132が引っ掛けられる。
【0027】
そのフック162の、鉤状に曲がった部分と金属板150との間の隙間は、ケーブル132の径よりも若干狭めに作られている。このため、そのフック162に引っ掛けられたケーブル132は金属板150に押し当てられる。これにより、ケーブル132を被覆している導電布が確実に金属板150に接触し、ケーブル132の導電布は接地される。
【0028】
また、この配線路の上には、図3に示すカバーユニット170が被せられる。配線路を通過するケーブル132は、そのカバーユニット170によって、その配線路のほぼ全長にわたって金属板150に押し当てられる。ケーブル132を被覆している導電布は、このカバーユニット170による金属板150への押し当てによっても、接地がさらに確実となっている。
【0029】
図6は、比較例としてのノートPCの、上述の実施形態のノートPCの配線路と同様の部分の拡大斜視図である。
【0030】
この図6に示す比較例としてのノートPCの場合、ケーブル132’は、円筒形のケーブル通路131’から出た箇所で導電性のガスケット181に押し当てられている。このガスケット181は、接地電位にある金属部品182との間がアルミニウムテープ183で接続されている。従来は、一例として、この図6に示す構造によってケーブルの導電被覆が接地されている。
【0031】
この図6に示す構造の場合、ケーブル被覆の接地のためだけにガスケット181やアルミニウムテープ183などの部品が必要である。また、それらの部品の組立工数も必要となり、それら部品がノートPCのコストに影響を及ぼしている。
【0032】
これに対し、上述の実施形態は、本来必要となる金属板や樹脂板の形状を工夫し、接地のためだけの部品を必要とすることなくケーブル132の導電布を確実に接地している。これにより、ノートPCのコストが抑止される。
【符号の説明】
【0033】
100 ノートPC
110 本体装置
113 キーボード
120 表示装置
121 表示画面
130 ヒンジ部
131,131’ ケーブル通路
132,132’ ケーブル
133,141 コネクタ
140 回路基板
150 金属板
160 樹脂板
161 開口
162 フック
170 カバーユニット
181 ガスケット
182 金属部品
183 アルミニウムテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタを含む電子部品が搭載された回路基板と、
導電材で被覆され前記第1コネクタに組み合う第2コネクタが先端に接続されたケーブルと、
前記回路基板に対面して広がり、その表裏面に通じる第1開口が形成された金属部品と、
前記回路基板との間に前記金属部品を挟んで該金属部品に対面して広がり、前記ケーブルの配線路を区画して該ケーブルを前記第1開口に導く、その表裏面に通じ該配線路に前記金属部品を覗かせた第2開口が形成された樹脂部品とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記樹脂部品が、前記第2開口を区画する縁に、前記金属部品に対し立設し、立設した先端部が鉤状に曲がって、前記ケーブルを該金属部品との間に挟み込むフックを有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記金属部品との間に前記樹脂部品および前記ケーブルを挟んで該樹脂部品に対面して広がり、該ケーブルを、前記配線路に覗いた前記金属部品に押し当てるカバー部材を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記回路基板、前記金属部品、および前記樹脂部品を含む本体装置と、
表示画面を有し前記本体装置に開閉自在にヒンジ接続された表示装置とを有し、
前記ケーブルが、前記表示装置と前記本体装置との間を電気的に接続するケーブルであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141935(P2012−141935A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1308(P2011−1308)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】