電子機器
【課題】 ヒンジ機構により開閉可能に支持された第1の筐体及び第2の筐体の開閉を磁場を用いて検出する電子機器において、磁場発生手段と磁場検出手段とを対向する位置に配置しなくても正確に開閉を検出できるようにする。
【解決手段】 カメラ本体と可動部とを閉じた状態において、可動部に設けられた磁石とカメラ本体に設けられたホール素子とが対向しない位置に、磁石の着磁方向とホール素子の磁場検出方向とが略直交するように磁石とホール素子を配置する。
【解決手段】 カメラ本体と可動部とを閉じた状態において、可動部に設けられた磁石とカメラ本体に設けられたホール素子とが対向しない位置に、磁石の着磁方向とホール素子の磁場検出方向とが略直交するように磁石とホール素子を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器に関し、特に磁場を用いて第1の筐体及び第2の筐体の開閉を検出する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来デジタルカメラなどの電子機器において、液晶表示パネルを用いた画像表示部を機器本体から開いた位置に回動可能に支持する構成が知られている。このような構成を有する電子機器では、画像表示部が開状態か閉状態かに応じて画像表示部の表示形態を切替えるために、画像表示部の機器本体に対する開閉を検出する構成を有しているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、画像表示部のヒンジ機構近傍に磁場発生手段を設けるとともに機器本体のヒンジ機構近傍に磁気検出手段を設け、磁気検出手段の検出結果により画像表示部の機器本体に対する開閉を検出している。特許文献1のように、ヒンジ機構近傍に磁場発生手段及び磁気検出手段を設けることで、液晶表示パネルのサイズを小さくすることなく画像表示部及び機器本体を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−10461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、画像表示部の機器本体に対する開閉を正確に検出するために、画像表示部が機器本体に対して閉じた状態(閉状態)において、磁場発生手段と磁気検出手段とを互いに対向するようにヒンジ機構近傍の位置に配置する必要がある。そのため、ヒンジ機構近傍に配置できるその他の部材が制限されてしまい、例えば、ヒンジ機構の取り付け強度を向上させるための補強部材などを配置できず、十分な取り付け強度が得られない。すなわち、開閉の検出に用いる磁場発生手段及び磁場検出手段は、一方の配置により他方の配置が制限されるため、機器本体側の部材の配置により画像表示部側の部材の配置の自由度を制限してしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明は、ヒンジ機構により開閉可能に支持された第1の筐体及び第2の筐体の開閉を磁場を用いて検出する電子機器において、磁場発生手段と磁場検出手段とを対向する位置に配置しなくても正確に開閉を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ機構と、前記第2の筐体に設けられた磁場発生手段と、前記第1の筐体に設けられ、前記磁場発生手段により発生した磁場を検出する磁場検出手段と、前記磁場検出手段による検出結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉状態を判別する判別手段を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記磁場発生手段と前記磁場検出手段とが対向しない位置に、前記磁場発生手段の着磁方向と前記磁場検出手段の磁場検出方向とが略直交するように前記磁場発生手段および前記磁場検出手段が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒンジ機構により開閉可能に支持された第1の筐体及び第2の筐体の開閉を磁場を用いて検出する電子機器において、磁場発生手段と磁場検出手段とを対向する位置に配置しなくても正確に開閉を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるカメラの外観図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるカメラのヒンジ機構の分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるカメラの背面分解図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるカメラの背面カバーユニットの分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるカメラの可動部の開閉角度及び回転角度と、画面表示の消灯領域との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるカメラの開閉検出を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるカメラの外観図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるカメラのヒンジ機構の分解斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるカメラの背面分解図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるカメラの可動部の開閉角度および回転角度と、画面表示の消灯領域との関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるカメラの開閉検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における電子機器としてのカメラの外観図であり、図1(a)は、カメラ本体1を前面側(被写体側)からみた斜視図であり、図1(b)は、カメラ本体1を背面側(撮影者側)からみた斜視図である。カメラ本体1(第1の筐体)には、撮影画像等を確認可能な画像表示部を有する可動部2(第2の筐体)が設けられている。
【0012】
可動部2は、例えば3.0インチ程度のTFT液晶パネルなどから構成され、撮影画像等が表示される表示面2aと表示面2aの反対側の面である背面2bとを有している。なお、可動部2は、ヒンジ機構3によって、カメラ本体1に対して開閉可能に支持されている。
【0013】
図1(c)はカメラ本体1に対して可動部2を開いた状態(開状態)をカメラ本体1の背面側(撮影者側)から見た斜視図である。ヒンジ機構3は2軸ヒンジ機構であって、第1の回転中心軸Aと第2の回転中心軸Bとを有していて、第1の回転中心軸Aを中心に可動部2を回動させることで、可動部2をカメラ本体1に対して開閉することができる。以下では、可動部2がカメラ本体1に収納された状態を閉状態とし、可動部2を第1の回転中心軸Aを中心に回動させて可動部2とカメラ本体1の角度を変化させることを開閉動作とする。
【0014】
また、第2の回転中心軸Bを中心に可動部2を回動させることで、可動部2の表示面2aをカメラ本体1の前面側に向けることも背面側に向けることもできる。なお、図1(c)では、可動部2が開状態であって、表示面2aがカメラ本体1の背面側に向いている状態を示している。以下では、前述した開閉動作と区別するため、可動部2を第2の回転中心軸Bを中心に回動させることを回転動作とする。
【0015】
21及び46は、可動部2の開閉検出に用いる磁石及びホール素子であり、可動部2に磁石21が設けられ、カメラ本体1にホール素子46が設けられている。磁石21及びホール素子46についての詳しい説明は後述する。
【0016】
図2は、本実施形態におけるヒンジ機構3の分解斜視図である。301aおよび301bは後述する背面カバー40への取り付け部で、ここで背面カバー40に不図示のビスで取り付けられる。開閉ストッパ302aは、開閉支軸302と一体に形成され、ベース板金312に形成された突起(不図示)に当接させることで、可動部2の最大開き角度を180度に規制する。可動カム304は、開閉支軸303の軸方向に移動自在に挿入されていて、コイルバネ307により開閉支軸303の方向に付勢される。308は、可動部2への可動部取り付け部で、可動部2に不図示のビスで取り付けられる。回動軸308aは、可動部取り付け部308と一体に成形され、可動部2をカメラ本体1に対して回転中心軸Bを回転中心として回動させる際の回転軸となる。板バネ310が、回動軸308aに所定のトルクを与える。
【0017】
回動ストッパ311を、ベース板金312に形成された突起(不図示)に当接させることで、回動軸308aを回転中心とする可動部2の回転角度を所定範囲に規制する。開閉支軸302、303はそれぞれの一端でベース板金312に固定される。ベース板金312は、回動軸309を回動自在に支持する。外装カバー313、314は、ビス315によりベース板金312に固定され、ヒンジ機構3を覆う。
【0018】
図3は、本実施形態におけるカメラの背面分解図である。サイドカバー5は、樹脂モールドで成形されている。端子カバー6は、弾力性のあるゴム部材で成形し、サイドカバー5に圧入され、外部インターフェース端子部15、周辺機器用端子部16を保護している。
【0019】
外部インターフェース端子部15は、カメラを外部機器と接続するための端子部であり、基板12に実装されていて、例えば、USB MiNi−B端子やHDMI TypeA端子である。周辺機器用端子部16は、カメラの周辺機器を接続するための端子部であり、不図示の基板に実装されていて、例えば、マイク用の端子やリモートコントローラー用の端子である。これらは主に、カメラ使用状態において使用される。そのため、ヒンジ機構3による可動部2の回動軌跡から外れた位置に配置したことで、周辺機器を接続した状態において、可動部2の回動を妨げることなくカメラおよび周辺機器の使用を可能とした。外装ラバー7は、弾力性のあるゴム部材で成形されており、意匠性を高めつつ、撮影時に滑り止めの役割を持つ。
【0020】
4は、可動部2及びヒンジ機構3を含む背面カバーユニットであり、後述するヒンジ補強部材41の腕部とカメラ本体1内にある金属製シャーシ10とがビス締め固定される。
【0021】
図4は、背面カバーユニット4の分解斜視図であり、図4(a)は、背面カバーユニット4を前面側(被写体側)から見た斜視図である。
【0022】
背面カバー40は樹脂モールドで成形されていて、可動部2が開状態においてはカメラ本体1の外観の一部となる。ヒンジ補強部材41は金属板をプレス加工して成形されており、カメラ本体1の金属製シャーシ10とビス締めするための腕部を有している。また、ヒンジ補強部材41は、背面カバー40を挟み込むようにしてヒンジ機構3と不図示のビスで共締めされる。さらに、ヒンジ補強部材41の腕部が、サイドカバー5を挟み込むようにして、カメラ本体1の金属製シャーシ10とビス11で共締めされる。このような構成により、ヒンジ機構3の開閉動作時及び回転動作時に掛かる応力を、ヒンジ補強部材41、金属製シャーシ10、サイドカバー5、背面カバー40の4部材に分散させることができ、取り付け強度を向上させることができる。
【0023】
加えて、背面カバー40のヒンジ補強部材41を取り付け部分の近傍に補強リブ42を形成することで、ヒンジ機構3の取り付け強度をさらに向上させている。なお、補強リブ42は、可動部2の閉状態において磁石21と対向する位置に配置されている。
【0024】
図4(b)は、背面カバーユニット4から可動部2を取り除いた状態の分解斜視図である。フレキシブル基板43は、金属製のホルダー44によりビス45で背面カバー40に固定されている。フレキシブル基板43には背面カバーユニット4の操作用ボタン(不図示)、スピーカ(不図示)、ディテクタスイッチ(不図示)と、これらに付随する抵抗(不図示)、コンデンサ(不図示)等の実装部品が搭載されている。
【0025】
フレキシブル基板43は、コネクタ13によって、カメラ本体1に固定された基板12に対して接続され、上述したような実装部品に対して電気信号の処理が行われる。ホルダー44は、フレキシブル基板43に実装されたホール素子46の実装面を覆うように成形され、ビス45を用いて背面カバー40に固定することで、ホール素子46を保持している。
【0026】
ホール素子46は、可動部2の開閉検出に用いられる磁場検出手段であり、本実施の形態では片極検知(S極検知)タイプを用いることとする。ホール素子は一般的に、片極検知か両極検知かといった検出タイプに拘わらず、磁束密度に対して、素子固有の感度特性を持ち、その感度閾値を超える磁束密度を感知した場合に出力電圧が切り替わる。本実施の形態では、ホール素子の出力電圧の切り替わりを、基板1に実装された不図示の集積回路によって検出する。
【0027】
図4(c)は、可動部2の分解斜視図である。磁石21は、樹脂モールドで成形されたケース20に圧入され、磁場発生手段として可動部2の開閉検出に用いられる。本実施の形態では、磁石21は着磁方向が回転中心軸Aと略直交する方向となるように、かつ、可動部2が閉状態においてホール素子46に近い磁極がS極となるように配置される。なお、本実施の形態では、ホール素子46に近い磁極がS極となるように磁石21を配置しているが、ホール素子46の検出タイプが、N極検知タイプである場合は、ホール素子46に近い磁極がN極となるように磁石21を配置すればよい。画像表示パネル22は、保持部材24により保持され、保持部材24を不図示のビスによりケース20にビス締めすることで固定され、可動部2の表示面2aとして機能する。ケース20には、ヒンジ機構3の可動部取り付け部308と、表示部カバー25がビスにより共締めされる。
【0028】
図5は、可動部2の第1の回転中心軸Aを回転中心とした第1の回転角度(開閉角度)及び第2の回転中心軸Bを回転中心とした第2の回転角度(以下では、開閉角度に対して単に回転角度とも呼ぶ)と、表示面2aの消灯領域との関係を示す図である。なお、図5における消灯領域は、ホール素子46の位置における磁束密度(mT)に基づいて決定されている。
【0029】
図5の縦軸は、可動部2の開閉角度(開閉状態)を表しており、図1(b)で示したような、可動部2が閉状態であるときの角度を0度とする。図5の横軸は、可動部2の回転角度を表しており、図1(b)で示したような、可動部2を閉状態にすると表示面2aがカメラ本体1の方向を向き、かつ、表示面2aが第1の回転中心軸と平行となる角度を0度とする。
【0030】
図5において灰色で示した領域は、可動部2が背面カバー40と接触するために回動することのできない開閉角度と回転角度の組み合わせである。図5で示した数値は、可動部2の開閉角度及び回転角度に対する、ホール素子46の位置における磁石21による磁束密度の強さ(mT)、すなわち、ホール素子46で検出した磁場の検出結果を表す。
【0031】
可動部2は、ヒンジ機構3によって開閉動作及び回転動作が可能であるが、このとき、開閉角度に応じて表示面2aの点灯、消灯動作を行う。磁束密度の強さに基づいて消灯動作が行われる消灯領域は、図5の領域A、Bに示す領域内となる。
【0032】
表示面2aがカメラ本体1に対向するように可動部2が閉じられるとき、可動部2の開閉角度が所定の角度以下の位相では、ユーザーは表示面2aを確認しないことが想定される。このときに、表示面2aに用いられているTFT液晶パネル等を消灯することで、消費電力を削減することができる。本実施の形態では、開閉角度が20度以下になるとカメラ本体1に設けられた不図示のCPUが閉状態であると判別し、表示面200aの表示状態を変化させ消灯動作を行うように表示制御する。
【0033】
図5に示した可動部2の開閉角度と回転角度の各組み合わせにおける磁束密度の強さは、以下のパラメータにより決まる。第1の回転中心軸Aから磁石21およびホール素子46までのそれぞれの距離(X、Z方向)、第2の回転中心軸Bから磁石21およびホール素子46までのそれぞれの距離(Y方向)、磁石21の残留磁束密度、ホール素子46の検出感度である。すなわち、これらのパラメータに応じてどの領域が消灯領域となるかが決定される。
【0034】
ここで、本実施の形態における、X方向とは第1の回転中心軸A及び光軸と直交する方向、Y方向とは第1の回転中心軸Aの軸方向、Z方向とは光軸方向である。上述したパラメータを利用し、有限要素法を用いて、一般的なシミュレーションにて可動部2の開閉角度と回転角度の各組み合わせの磁束密度を得ることが可能である。シミュレーションで得た磁束密度の絶対値が、ホール素子46の検出感度である所定値を超えている領域が、消灯領域となる。本実施の形態において、シミュレーションで得た磁束密度の数値が、負の領域(領域A)がS極側、正の領域(領域B)がN極側の磁束である。
【0035】
以下に、可動部2の開閉角度が20度以下の領域が消灯領域となるように設定されたパラメータの値を例示する。第1の回転中心軸Aから磁石21までの距離X:9.35(mm)、Z:3.30(mm)、第1の回転中心軸Aからホール素子46までの距離X:13.85(mm)、Z:7.05(mm)とした。また、第2の回転中心軸Bから磁石21およびホール素子46までの距離はどちらもY:21.35(mm)とした。また、磁石21とホール素子46の位置(X、Y、Z方向)の差をオフセット量とすると、オフセット量X:4.5(mm)、Y:0.0(mm)、Z:3.2(mm)となる。磁石21の残留磁束密度は1360(mT)、ホール素子46は検出感度1.9(mT)である。
【0036】
以上のようなパラメータの値を設定することで、図5に示したように、可動部2の開閉角度が20度以下の領域は消灯領域となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、開閉角度が20度以下の領域は消灯領域となるように設定したが、適応する電子機器の用途に応じて、パラメータの値を好適に設定することで、消灯領域を調整することが可能である。
【0038】
ここで、本実施の形態のような2軸ヒンジ機構で、かつ、後述するようなホール素子46と磁石21の位置関係及び磁石21の向きの場合、意図する極性と逆極性の磁場を検出して消灯動作を行ってしまう誤検出領域が存在する。本実施の形態では、図5に示す領域Bが誤検出領域に相当し、開閉角度35〜85度、回転角度15〜45度の領域である。
【0039】
磁束密度の強さのみに基づいて消灯領域を設定すると、領域Bのような可動部2が比較的開いた状態であっても消灯動作を行ってしまい、ユーザーが画像表示を見たい状態であっても消灯動作を行ってしまう。そこで、本実施の形態では、ホール素子46を片極検知(S極検知)タイプとして意図する極性とは逆極性(N極)の磁場を検出しないようにすることで、誤検出による消灯動作防止することができる。
【0040】
図6は、本実施の形態における可動部2の開閉検出を説明する図であり、図4(a)における背面カバーユニット4の、前面側(被写体側)が図中の下方となるP−P断面をカメラ本体1の上面方向から見た図である。図6では、第2の回転中心軸Bを回転中心とした回転角度が0度である状態における開閉検出の状態を説明する。
【0041】
図6(a)は、可動部2がカメラ本体1に対して閉状態のときを示している。このときの開閉角度を0度とし、矢印a方向に可動部2を回動させることで開閉角度が増加する。このとき、可動部2は図5に示した領域A内におり、表示面2aは消灯状態である。図6(a)中の符号uは、磁石21とホール素子46とのX方向のオフセット量を示している。すなわち、磁石21とホール素子46はヒンジ機構近傍に配置され、さらに、磁石21がホール素子46よりも回転中心軸Aと直交する方向においてヒンジ機構側に符号uの大きさ分だけずらして配置されている。
【0042】
なお、ホール素子46は、素子表面に垂直な方向の磁場を検出するため、図6(a)のように磁石21とホール素子46が対向しない位置に配置された場合、ホール素子46の磁場検出方向と磁石21の着磁方向とが平行であれば磁場を十分に検出できない。そのため、開閉角度が0度のときに検出する磁束密度が最も強くなるとは限らず、開閉検出に利用することができない。そこで、本実施の形態では、図6(a)のように、ホール素子46と磁石21とが対向しない位置に配置された場合であっても磁石21の磁場を正確に検出するように、磁石21の着磁方向をホール素子46の磁場検出方向と略直交する方向とした。磁石21をこのような向きに配置することで、ホール素子46は矢印gのような向きの磁場を検出することになり、開閉角度が0度のときに検出する磁束密度が最も強くなる。このようにして、ホール素子46と磁石21とが対向しない位置に配置された場合であっても磁場を用いた開閉検出が可能となる。
【0043】
図6(b)は、開閉角度が20度の状態を示している。可動部2を閉状態から開くことでホール素子46と磁石21の位置関係が変化し、それに伴い、ホール素子46の位置における磁束密度が変化する。すなわち、図6(a)に示した閉状態よりも検出する磁束密度は弱くなる。
【0044】
図6(c)は、開閉角度が最大の状態を示している。本実施の形態では、このとき可動部2は消灯領域におらず、表示面2aは点灯している。
【0045】
なお、表示面2aが外側を向いた状態で閉じられた場合においては、可動部2が閉状態であっても表示面2aの使用が可能なため消灯させない。本実施の形態では、表示面2aが外側を向いた状態で可動部2を閉じた状態では、磁石21の磁場を検出できないほど磁石21の位置とホール素子46の位置とが離れるため、表示面2aが外側を向いた状態で可動部2を閉じても消灯領域にはならない。
【0046】
以上のように、可動部2を閉状態としたときに磁石21と対向しない位置にホール素子46を配置したとしても、磁石21の着磁方向(2つの磁極が並ぶ方向)をホール素子46の素子表面に略平行な方向とすることで磁石21の磁場を正確に検出することができる。
【0047】
また、可動部2を閉状態としたときに磁石21と対向しない位置にホール素子46を配置することで、ヒンジ機構3近傍に磁石21及びホール素子46以外の部材を配置するスペースを確保することができる。それにより、ヒンジ補強部材41および補強リブ42などによるヒンジ機構3の補強が可能となり、ヒンジ機構3の取り付け強度を向上させることができる。
【0048】
また、ホール素子46で一方の極の磁場のみを検出するようにしたので、誤検出により意図しない開閉角度及び回転角度で消灯動作を行うことを防止することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
図7は本発明の第2の実施形態における電子機器としてのカメラの外観図であり、図7(a)は、カメラ本体100を前面側(被写体側)からみた斜視図であり、図7(b)は、カメラ本体100を背面側(撮影者側)からみた斜視図である。
【0050】
図7(b)のように、カメラ本体100には撮影画像等を確認可能な画像表示部を有する可動部200が設けられている。可動部200は、例えば3.0インチ程度のTFT液晶パネルなどから構成され、撮影画像等が表示される表示面200aと表示面200aの反対側の面である背面200bとを有している。
【0051】
なお、可動部200は、ヒンジ機構300によって、カメラ本体100に対して開閉可能に支持されている。また、可動部200は、ヒンジ機構300によって表示面200aを後方(撮影者方向)や前方(被写体方向)へ回転させることが可能である。
【0052】
また、可動部200は、表示面200aがカメラ本体100側(被写体方向)を向いて閉じられた場合にのみ消灯動作が行われる。その開閉検出手法、効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0053】
図7(c)は、カメラ本体100に対して可動部200を180度開いた状態をカメラ本体100の背面側(撮影者側)から見た斜視図である。
【0054】
図8は、本実施形態におけるヒンジ機構300の分解斜視図である。3001は本体取り付け部で、ここでカメラ本体100と取り付けられる。開閉ストッパ3004は、本体取り付け部3001を折り曲げて形成され、開閉支軸3002、3003による可動部200の最大開き角度を180度に規制する。固定カム3005は開閉支軸3003に固定され、可動カム3006は、開閉支軸3003の軸方向に移動自在に挿入される。コイルバネ3007が可動カム3006を固定カム3005の方向に付勢する。可動部取り付け部3008に可動部200が取り付けられる。
【0055】
回動軸3009は、可動部200をカメラ本体100に対して、図7(c)の回転中心軸Bを回転中心として回動させる際の回転軸となる。板バネ3010が、回動軸3009に所定のトルクを与える。回動ストッパ3011は、回動軸3009を中心とする可動部200の回転角度を所定範囲に規制する。開閉支軸3002、3003はそれぞれの一端でベース板金3012に固定される。ベース板金3012は、回動軸3009を回動自在に支持する。外装カバー3013、3014が、ヒンジ機構300を覆う。
【0056】
図9は、本実施形態におけるカメラの背面分解図である。サイドカバー500は、樹脂モールドで成形されている。端子カバー600は、弾力性のあるゴム部材で成形し、サイドカバー500に圧入され、外部インターフェースおよび周辺機器用端子部170を保護している。
【0057】
外部インターフェースおよび周辺機器用端子部170は、カメラを外部機器と接続する機器および周辺機器を接続する為の端子部であり、端子の種類は第1の実施形態と同様である。ヒンジ機構300による可動部200の回動軌跡から外れた位置に配置したことで、周辺機器を接続した状態において、可動部200の回動を妨げることなくカメラおよび周辺機器の使用が可能となる。
【0058】
外装ラバー700は、弾力性のあるゴム部材で成形されており、意匠性を高めつつ、撮影時に滑り止めの役割を持つ。ヒンジ補強部材160はヒンジ機構300に隣接するように配置され、ヒンジ機構300と、モールド成形された本体シャーシ130に不図示のビスで共締めされることで、ヒンジ機構300の取り付け強度を向上させることができる。このとき、ホール素子460は、ヒンジ補強部材160の形状および配置を阻害しない位置に配置されるとともに、ヒンジ補強部材160は、可動部200が閉状態において磁石210と対向する位置に配置される。
【0059】
さらに、本体シャーシ130および、ヒンジ補強部材160に対して、サイドカバー500をビス110で締結する。そうすることで、特にヒンジ機構300の開閉動作及び回転動作時に掛かる応力を、本体シャーシ130、ヒンジ補強部材160、サイドカバー500、の3部材に分散させることができ、取り付け強度を向上させることができる。
【0060】
図10は、可動部200の第1の回転中心軸Aを回転中心とした第1の回転角度(開閉角度)及び第2の回転中心軸Bを回転中心とした第2の回転角度(回転角度)と、表示面200aの消灯領域との関係を示す図である。なお、図10における消灯領域は、ホール素子460の位置における磁束密度(mT)に基づいて決定されている。
【0061】
本実施形態では、第1の回転中心軸Aから磁石210までの距離X:9.35(mm)、Z:3.275(mm)、第1の回転中心軸Aからホール素子460までの距離X:13.85(mm)Z:6.725(mm)とした。また、第2の回転中心軸Bから磁石210およびホール素子460までの距離はどちらもY:23.275(mm)とした。
【0062】
また、本実施形態では、磁石210とホール素子460の位置のオフセット量は、オフセット量X:4.5(mm)、Y:0.0(mm)、Z:3.45(mm)となる。
【0063】
磁石210の残留磁束密度は1360(mT)、ホール素子460は検出感度1.4(mT)であり、以上の構成から、可動部200の開閉角度が23度以下の領域は消灯領域となる。
【0064】
図11は、本実施の形態における、磁石210とホール素子460の配置構成を表す断面図であり、図7(b)におけるカメラ本体100の前面側(被写体側)が図中の下方となるQ−Q断面を、カメラ本体100の底面方向から見た図である。なお、図7(b)では、カメラ本体100に対する可動部200の回転中心軸Aを中心とした開閉角度及び回転中心軸Bを中心とした回転角度がそれぞれ0度のときを示しており、矢印b方向に可動部200を開閉可能である。図中のvは、磁石210とホール素子460のX方向のオフセット量X:4.5(mm)を示す。
【0065】
磁石210は、樹脂モールドで成形されたケース211に圧入され、着磁方向は、回転中心軸Aと略直交する方向であり、第1の実施形態と同様である。ホール素子460はフレキシブル基板430に実装され、不図示のビスにより、樹脂モールド製の本体シャーシ130に固定される。
【0066】
本実施の形態においても、図11のように、ホール素子460と磁石210とが対向しない位置に配置された場合であっても磁石210の磁場を正確に検出するように、磁石210の着磁方向をホール素子460の素子表面に略平行な方向とした。磁石210をこのような向きに配置することで、ホール素子460は矢印hのような向きの磁場を検出することになり、開閉角度が0度のときに検出する磁束密度が最も強くなる。このようにして、ホール素子460と磁石210とが対向しない位置に配置された場合であっても磁場を用いた開閉検出が可能となる。
【0067】
また、可動部200を閉状態としたときに磁石210と対向しない位置にホール素子460を配置することで、ヒンジ機構300近傍に磁石210及びホール素子460以外の部材を配置するスペースを確保することができる。それにより、ヒンジ補強部材160などによるヒンジ機構300の補強が可能となり、ヒンジ機構300の取り付け強度を向上させることができる。
【0068】
また、ホール素子460で片極のみを検出するようにしたので、誤検出により意図しない開閉角度及び回転角度で消灯動作を行うことを防止することができる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0070】
例えば、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器にであって、磁場を用いて第1の筐体及び第2の筐体の開閉検出を行う電子機器であれば、上述した撮像装置以外の電子機器でも適用できる。
【0071】
また、上述した2つの実施の形態では、カメラ本体側にホール素子を配置し可動部側に磁石を配置する構成を説明したが、カメラ本体側に磁石を配置し可動部側にホール素子を配置する構成であってもよい。
【0072】
また、上述した2つの実施の形態では、磁気検出手段としてホール素子を用いた場合を説明したが、その他の磁気検出手段、例えば、GMRセンサなどを用いてもよい。なお、GMRセンサは素子表面に平行な方向の磁場を検出するため、GMRセンサを用いる場合、磁石の着磁方向をGMRセンサの素子表面に略垂直な方向とすることで、ホール素子を用いる場合と同様の効果を得ることができる。また、GMRセンサで片極のみを検出するようにすることで、誤検出を防止することもできる。
【0073】
また、上述した2つの実施の形態では、カメラ本体に対して可動部が開閉動作及び回転動作可能な2軸ヒンジ機構を用いた場合を説明したが、開閉動作のみが可能な1軸ヒンジ機構を用いた場合であって適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 デジタルカメラ本体
2 可動部
3 ヒンジ機構
21 磁石
41 ヒンジ補強部材
46 ホール素子
100 カメラ本体
160 ヒンジ補強部材
200 可動部
210 磁石
300 ヒンジ機構
460 ホール素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器に関し、特に磁場を用いて第1の筐体及び第2の筐体の開閉を検出する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来デジタルカメラなどの電子機器において、液晶表示パネルを用いた画像表示部を機器本体から開いた位置に回動可能に支持する構成が知られている。このような構成を有する電子機器では、画像表示部が開状態か閉状態かに応じて画像表示部の表示形態を切替えるために、画像表示部の機器本体に対する開閉を検出する構成を有しているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、画像表示部のヒンジ機構近傍に磁場発生手段を設けるとともに機器本体のヒンジ機構近傍に磁気検出手段を設け、磁気検出手段の検出結果により画像表示部の機器本体に対する開閉を検出している。特許文献1のように、ヒンジ機構近傍に磁場発生手段及び磁気検出手段を設けることで、液晶表示パネルのサイズを小さくすることなく画像表示部及び機器本体を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−10461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、画像表示部の機器本体に対する開閉を正確に検出するために、画像表示部が機器本体に対して閉じた状態(閉状態)において、磁場発生手段と磁気検出手段とを互いに対向するようにヒンジ機構近傍の位置に配置する必要がある。そのため、ヒンジ機構近傍に配置できるその他の部材が制限されてしまい、例えば、ヒンジ機構の取り付け強度を向上させるための補強部材などを配置できず、十分な取り付け強度が得られない。すなわち、開閉の検出に用いる磁場発生手段及び磁場検出手段は、一方の配置により他方の配置が制限されるため、機器本体側の部材の配置により画像表示部側の部材の配置の自由度を制限してしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明は、ヒンジ機構により開閉可能に支持された第1の筐体及び第2の筐体の開閉を磁場を用いて検出する電子機器において、磁場発生手段と磁場検出手段とを対向する位置に配置しなくても正確に開閉を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ機構と、前記第2の筐体に設けられた磁場発生手段と、前記第1の筐体に設けられ、前記磁場発生手段により発生した磁場を検出する磁場検出手段と、前記磁場検出手段による検出結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉状態を判別する判別手段を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記磁場発生手段と前記磁場検出手段とが対向しない位置に、前記磁場発生手段の着磁方向と前記磁場検出手段の磁場検出方向とが略直交するように前記磁場発生手段および前記磁場検出手段が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒンジ機構により開閉可能に支持された第1の筐体及び第2の筐体の開閉を磁場を用いて検出する電子機器において、磁場発生手段と磁場検出手段とを対向する位置に配置しなくても正確に開閉を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるカメラの外観図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるカメラのヒンジ機構の分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるカメラの背面分解図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるカメラの背面カバーユニットの分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるカメラの可動部の開閉角度及び回転角度と、画面表示の消灯領域との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるカメラの開閉検出を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるカメラの外観図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるカメラのヒンジ機構の分解斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるカメラの背面分解図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるカメラの可動部の開閉角度および回転角度と、画面表示の消灯領域との関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるカメラの開閉検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における電子機器としてのカメラの外観図であり、図1(a)は、カメラ本体1を前面側(被写体側)からみた斜視図であり、図1(b)は、カメラ本体1を背面側(撮影者側)からみた斜視図である。カメラ本体1(第1の筐体)には、撮影画像等を確認可能な画像表示部を有する可動部2(第2の筐体)が設けられている。
【0012】
可動部2は、例えば3.0インチ程度のTFT液晶パネルなどから構成され、撮影画像等が表示される表示面2aと表示面2aの反対側の面である背面2bとを有している。なお、可動部2は、ヒンジ機構3によって、カメラ本体1に対して開閉可能に支持されている。
【0013】
図1(c)はカメラ本体1に対して可動部2を開いた状態(開状態)をカメラ本体1の背面側(撮影者側)から見た斜視図である。ヒンジ機構3は2軸ヒンジ機構であって、第1の回転中心軸Aと第2の回転中心軸Bとを有していて、第1の回転中心軸Aを中心に可動部2を回動させることで、可動部2をカメラ本体1に対して開閉することができる。以下では、可動部2がカメラ本体1に収納された状態を閉状態とし、可動部2を第1の回転中心軸Aを中心に回動させて可動部2とカメラ本体1の角度を変化させることを開閉動作とする。
【0014】
また、第2の回転中心軸Bを中心に可動部2を回動させることで、可動部2の表示面2aをカメラ本体1の前面側に向けることも背面側に向けることもできる。なお、図1(c)では、可動部2が開状態であって、表示面2aがカメラ本体1の背面側に向いている状態を示している。以下では、前述した開閉動作と区別するため、可動部2を第2の回転中心軸Bを中心に回動させることを回転動作とする。
【0015】
21及び46は、可動部2の開閉検出に用いる磁石及びホール素子であり、可動部2に磁石21が設けられ、カメラ本体1にホール素子46が設けられている。磁石21及びホール素子46についての詳しい説明は後述する。
【0016】
図2は、本実施形態におけるヒンジ機構3の分解斜視図である。301aおよび301bは後述する背面カバー40への取り付け部で、ここで背面カバー40に不図示のビスで取り付けられる。開閉ストッパ302aは、開閉支軸302と一体に形成され、ベース板金312に形成された突起(不図示)に当接させることで、可動部2の最大開き角度を180度に規制する。可動カム304は、開閉支軸303の軸方向に移動自在に挿入されていて、コイルバネ307により開閉支軸303の方向に付勢される。308は、可動部2への可動部取り付け部で、可動部2に不図示のビスで取り付けられる。回動軸308aは、可動部取り付け部308と一体に成形され、可動部2をカメラ本体1に対して回転中心軸Bを回転中心として回動させる際の回転軸となる。板バネ310が、回動軸308aに所定のトルクを与える。
【0017】
回動ストッパ311を、ベース板金312に形成された突起(不図示)に当接させることで、回動軸308aを回転中心とする可動部2の回転角度を所定範囲に規制する。開閉支軸302、303はそれぞれの一端でベース板金312に固定される。ベース板金312は、回動軸309を回動自在に支持する。外装カバー313、314は、ビス315によりベース板金312に固定され、ヒンジ機構3を覆う。
【0018】
図3は、本実施形態におけるカメラの背面分解図である。サイドカバー5は、樹脂モールドで成形されている。端子カバー6は、弾力性のあるゴム部材で成形し、サイドカバー5に圧入され、外部インターフェース端子部15、周辺機器用端子部16を保護している。
【0019】
外部インターフェース端子部15は、カメラを外部機器と接続するための端子部であり、基板12に実装されていて、例えば、USB MiNi−B端子やHDMI TypeA端子である。周辺機器用端子部16は、カメラの周辺機器を接続するための端子部であり、不図示の基板に実装されていて、例えば、マイク用の端子やリモートコントローラー用の端子である。これらは主に、カメラ使用状態において使用される。そのため、ヒンジ機構3による可動部2の回動軌跡から外れた位置に配置したことで、周辺機器を接続した状態において、可動部2の回動を妨げることなくカメラおよび周辺機器の使用を可能とした。外装ラバー7は、弾力性のあるゴム部材で成形されており、意匠性を高めつつ、撮影時に滑り止めの役割を持つ。
【0020】
4は、可動部2及びヒンジ機構3を含む背面カバーユニットであり、後述するヒンジ補強部材41の腕部とカメラ本体1内にある金属製シャーシ10とがビス締め固定される。
【0021】
図4は、背面カバーユニット4の分解斜視図であり、図4(a)は、背面カバーユニット4を前面側(被写体側)から見た斜視図である。
【0022】
背面カバー40は樹脂モールドで成形されていて、可動部2が開状態においてはカメラ本体1の外観の一部となる。ヒンジ補強部材41は金属板をプレス加工して成形されており、カメラ本体1の金属製シャーシ10とビス締めするための腕部を有している。また、ヒンジ補強部材41は、背面カバー40を挟み込むようにしてヒンジ機構3と不図示のビスで共締めされる。さらに、ヒンジ補強部材41の腕部が、サイドカバー5を挟み込むようにして、カメラ本体1の金属製シャーシ10とビス11で共締めされる。このような構成により、ヒンジ機構3の開閉動作時及び回転動作時に掛かる応力を、ヒンジ補強部材41、金属製シャーシ10、サイドカバー5、背面カバー40の4部材に分散させることができ、取り付け強度を向上させることができる。
【0023】
加えて、背面カバー40のヒンジ補強部材41を取り付け部分の近傍に補強リブ42を形成することで、ヒンジ機構3の取り付け強度をさらに向上させている。なお、補強リブ42は、可動部2の閉状態において磁石21と対向する位置に配置されている。
【0024】
図4(b)は、背面カバーユニット4から可動部2を取り除いた状態の分解斜視図である。フレキシブル基板43は、金属製のホルダー44によりビス45で背面カバー40に固定されている。フレキシブル基板43には背面カバーユニット4の操作用ボタン(不図示)、スピーカ(不図示)、ディテクタスイッチ(不図示)と、これらに付随する抵抗(不図示)、コンデンサ(不図示)等の実装部品が搭載されている。
【0025】
フレキシブル基板43は、コネクタ13によって、カメラ本体1に固定された基板12に対して接続され、上述したような実装部品に対して電気信号の処理が行われる。ホルダー44は、フレキシブル基板43に実装されたホール素子46の実装面を覆うように成形され、ビス45を用いて背面カバー40に固定することで、ホール素子46を保持している。
【0026】
ホール素子46は、可動部2の開閉検出に用いられる磁場検出手段であり、本実施の形態では片極検知(S極検知)タイプを用いることとする。ホール素子は一般的に、片極検知か両極検知かといった検出タイプに拘わらず、磁束密度に対して、素子固有の感度特性を持ち、その感度閾値を超える磁束密度を感知した場合に出力電圧が切り替わる。本実施の形態では、ホール素子の出力電圧の切り替わりを、基板1に実装された不図示の集積回路によって検出する。
【0027】
図4(c)は、可動部2の分解斜視図である。磁石21は、樹脂モールドで成形されたケース20に圧入され、磁場発生手段として可動部2の開閉検出に用いられる。本実施の形態では、磁石21は着磁方向が回転中心軸Aと略直交する方向となるように、かつ、可動部2が閉状態においてホール素子46に近い磁極がS極となるように配置される。なお、本実施の形態では、ホール素子46に近い磁極がS極となるように磁石21を配置しているが、ホール素子46の検出タイプが、N極検知タイプである場合は、ホール素子46に近い磁極がN極となるように磁石21を配置すればよい。画像表示パネル22は、保持部材24により保持され、保持部材24を不図示のビスによりケース20にビス締めすることで固定され、可動部2の表示面2aとして機能する。ケース20には、ヒンジ機構3の可動部取り付け部308と、表示部カバー25がビスにより共締めされる。
【0028】
図5は、可動部2の第1の回転中心軸Aを回転中心とした第1の回転角度(開閉角度)及び第2の回転中心軸Bを回転中心とした第2の回転角度(以下では、開閉角度に対して単に回転角度とも呼ぶ)と、表示面2aの消灯領域との関係を示す図である。なお、図5における消灯領域は、ホール素子46の位置における磁束密度(mT)に基づいて決定されている。
【0029】
図5の縦軸は、可動部2の開閉角度(開閉状態)を表しており、図1(b)で示したような、可動部2が閉状態であるときの角度を0度とする。図5の横軸は、可動部2の回転角度を表しており、図1(b)で示したような、可動部2を閉状態にすると表示面2aがカメラ本体1の方向を向き、かつ、表示面2aが第1の回転中心軸と平行となる角度を0度とする。
【0030】
図5において灰色で示した領域は、可動部2が背面カバー40と接触するために回動することのできない開閉角度と回転角度の組み合わせである。図5で示した数値は、可動部2の開閉角度及び回転角度に対する、ホール素子46の位置における磁石21による磁束密度の強さ(mT)、すなわち、ホール素子46で検出した磁場の検出結果を表す。
【0031】
可動部2は、ヒンジ機構3によって開閉動作及び回転動作が可能であるが、このとき、開閉角度に応じて表示面2aの点灯、消灯動作を行う。磁束密度の強さに基づいて消灯動作が行われる消灯領域は、図5の領域A、Bに示す領域内となる。
【0032】
表示面2aがカメラ本体1に対向するように可動部2が閉じられるとき、可動部2の開閉角度が所定の角度以下の位相では、ユーザーは表示面2aを確認しないことが想定される。このときに、表示面2aに用いられているTFT液晶パネル等を消灯することで、消費電力を削減することができる。本実施の形態では、開閉角度が20度以下になるとカメラ本体1に設けられた不図示のCPUが閉状態であると判別し、表示面200aの表示状態を変化させ消灯動作を行うように表示制御する。
【0033】
図5に示した可動部2の開閉角度と回転角度の各組み合わせにおける磁束密度の強さは、以下のパラメータにより決まる。第1の回転中心軸Aから磁石21およびホール素子46までのそれぞれの距離(X、Z方向)、第2の回転中心軸Bから磁石21およびホール素子46までのそれぞれの距離(Y方向)、磁石21の残留磁束密度、ホール素子46の検出感度である。すなわち、これらのパラメータに応じてどの領域が消灯領域となるかが決定される。
【0034】
ここで、本実施の形態における、X方向とは第1の回転中心軸A及び光軸と直交する方向、Y方向とは第1の回転中心軸Aの軸方向、Z方向とは光軸方向である。上述したパラメータを利用し、有限要素法を用いて、一般的なシミュレーションにて可動部2の開閉角度と回転角度の各組み合わせの磁束密度を得ることが可能である。シミュレーションで得た磁束密度の絶対値が、ホール素子46の検出感度である所定値を超えている領域が、消灯領域となる。本実施の形態において、シミュレーションで得た磁束密度の数値が、負の領域(領域A)がS極側、正の領域(領域B)がN極側の磁束である。
【0035】
以下に、可動部2の開閉角度が20度以下の領域が消灯領域となるように設定されたパラメータの値を例示する。第1の回転中心軸Aから磁石21までの距離X:9.35(mm)、Z:3.30(mm)、第1の回転中心軸Aからホール素子46までの距離X:13.85(mm)、Z:7.05(mm)とした。また、第2の回転中心軸Bから磁石21およびホール素子46までの距離はどちらもY:21.35(mm)とした。また、磁石21とホール素子46の位置(X、Y、Z方向)の差をオフセット量とすると、オフセット量X:4.5(mm)、Y:0.0(mm)、Z:3.2(mm)となる。磁石21の残留磁束密度は1360(mT)、ホール素子46は検出感度1.9(mT)である。
【0036】
以上のようなパラメータの値を設定することで、図5に示したように、可動部2の開閉角度が20度以下の領域は消灯領域となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、開閉角度が20度以下の領域は消灯領域となるように設定したが、適応する電子機器の用途に応じて、パラメータの値を好適に設定することで、消灯領域を調整することが可能である。
【0038】
ここで、本実施の形態のような2軸ヒンジ機構で、かつ、後述するようなホール素子46と磁石21の位置関係及び磁石21の向きの場合、意図する極性と逆極性の磁場を検出して消灯動作を行ってしまう誤検出領域が存在する。本実施の形態では、図5に示す領域Bが誤検出領域に相当し、開閉角度35〜85度、回転角度15〜45度の領域である。
【0039】
磁束密度の強さのみに基づいて消灯領域を設定すると、領域Bのような可動部2が比較的開いた状態であっても消灯動作を行ってしまい、ユーザーが画像表示を見たい状態であっても消灯動作を行ってしまう。そこで、本実施の形態では、ホール素子46を片極検知(S極検知)タイプとして意図する極性とは逆極性(N極)の磁場を検出しないようにすることで、誤検出による消灯動作防止することができる。
【0040】
図6は、本実施の形態における可動部2の開閉検出を説明する図であり、図4(a)における背面カバーユニット4の、前面側(被写体側)が図中の下方となるP−P断面をカメラ本体1の上面方向から見た図である。図6では、第2の回転中心軸Bを回転中心とした回転角度が0度である状態における開閉検出の状態を説明する。
【0041】
図6(a)は、可動部2がカメラ本体1に対して閉状態のときを示している。このときの開閉角度を0度とし、矢印a方向に可動部2を回動させることで開閉角度が増加する。このとき、可動部2は図5に示した領域A内におり、表示面2aは消灯状態である。図6(a)中の符号uは、磁石21とホール素子46とのX方向のオフセット量を示している。すなわち、磁石21とホール素子46はヒンジ機構近傍に配置され、さらに、磁石21がホール素子46よりも回転中心軸Aと直交する方向においてヒンジ機構側に符号uの大きさ分だけずらして配置されている。
【0042】
なお、ホール素子46は、素子表面に垂直な方向の磁場を検出するため、図6(a)のように磁石21とホール素子46が対向しない位置に配置された場合、ホール素子46の磁場検出方向と磁石21の着磁方向とが平行であれば磁場を十分に検出できない。そのため、開閉角度が0度のときに検出する磁束密度が最も強くなるとは限らず、開閉検出に利用することができない。そこで、本実施の形態では、図6(a)のように、ホール素子46と磁石21とが対向しない位置に配置された場合であっても磁石21の磁場を正確に検出するように、磁石21の着磁方向をホール素子46の磁場検出方向と略直交する方向とした。磁石21をこのような向きに配置することで、ホール素子46は矢印gのような向きの磁場を検出することになり、開閉角度が0度のときに検出する磁束密度が最も強くなる。このようにして、ホール素子46と磁石21とが対向しない位置に配置された場合であっても磁場を用いた開閉検出が可能となる。
【0043】
図6(b)は、開閉角度が20度の状態を示している。可動部2を閉状態から開くことでホール素子46と磁石21の位置関係が変化し、それに伴い、ホール素子46の位置における磁束密度が変化する。すなわち、図6(a)に示した閉状態よりも検出する磁束密度は弱くなる。
【0044】
図6(c)は、開閉角度が最大の状態を示している。本実施の形態では、このとき可動部2は消灯領域におらず、表示面2aは点灯している。
【0045】
なお、表示面2aが外側を向いた状態で閉じられた場合においては、可動部2が閉状態であっても表示面2aの使用が可能なため消灯させない。本実施の形態では、表示面2aが外側を向いた状態で可動部2を閉じた状態では、磁石21の磁場を検出できないほど磁石21の位置とホール素子46の位置とが離れるため、表示面2aが外側を向いた状態で可動部2を閉じても消灯領域にはならない。
【0046】
以上のように、可動部2を閉状態としたときに磁石21と対向しない位置にホール素子46を配置したとしても、磁石21の着磁方向(2つの磁極が並ぶ方向)をホール素子46の素子表面に略平行な方向とすることで磁石21の磁場を正確に検出することができる。
【0047】
また、可動部2を閉状態としたときに磁石21と対向しない位置にホール素子46を配置することで、ヒンジ機構3近傍に磁石21及びホール素子46以外の部材を配置するスペースを確保することができる。それにより、ヒンジ補強部材41および補強リブ42などによるヒンジ機構3の補強が可能となり、ヒンジ機構3の取り付け強度を向上させることができる。
【0048】
また、ホール素子46で一方の極の磁場のみを検出するようにしたので、誤検出により意図しない開閉角度及び回転角度で消灯動作を行うことを防止することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
図7は本発明の第2の実施形態における電子機器としてのカメラの外観図であり、図7(a)は、カメラ本体100を前面側(被写体側)からみた斜視図であり、図7(b)は、カメラ本体100を背面側(撮影者側)からみた斜視図である。
【0050】
図7(b)のように、カメラ本体100には撮影画像等を確認可能な画像表示部を有する可動部200が設けられている。可動部200は、例えば3.0インチ程度のTFT液晶パネルなどから構成され、撮影画像等が表示される表示面200aと表示面200aの反対側の面である背面200bとを有している。
【0051】
なお、可動部200は、ヒンジ機構300によって、カメラ本体100に対して開閉可能に支持されている。また、可動部200は、ヒンジ機構300によって表示面200aを後方(撮影者方向)や前方(被写体方向)へ回転させることが可能である。
【0052】
また、可動部200は、表示面200aがカメラ本体100側(被写体方向)を向いて閉じられた場合にのみ消灯動作が行われる。その開閉検出手法、効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0053】
図7(c)は、カメラ本体100に対して可動部200を180度開いた状態をカメラ本体100の背面側(撮影者側)から見た斜視図である。
【0054】
図8は、本実施形態におけるヒンジ機構300の分解斜視図である。3001は本体取り付け部で、ここでカメラ本体100と取り付けられる。開閉ストッパ3004は、本体取り付け部3001を折り曲げて形成され、開閉支軸3002、3003による可動部200の最大開き角度を180度に規制する。固定カム3005は開閉支軸3003に固定され、可動カム3006は、開閉支軸3003の軸方向に移動自在に挿入される。コイルバネ3007が可動カム3006を固定カム3005の方向に付勢する。可動部取り付け部3008に可動部200が取り付けられる。
【0055】
回動軸3009は、可動部200をカメラ本体100に対して、図7(c)の回転中心軸Bを回転中心として回動させる際の回転軸となる。板バネ3010が、回動軸3009に所定のトルクを与える。回動ストッパ3011は、回動軸3009を中心とする可動部200の回転角度を所定範囲に規制する。開閉支軸3002、3003はそれぞれの一端でベース板金3012に固定される。ベース板金3012は、回動軸3009を回動自在に支持する。外装カバー3013、3014が、ヒンジ機構300を覆う。
【0056】
図9は、本実施形態におけるカメラの背面分解図である。サイドカバー500は、樹脂モールドで成形されている。端子カバー600は、弾力性のあるゴム部材で成形し、サイドカバー500に圧入され、外部インターフェースおよび周辺機器用端子部170を保護している。
【0057】
外部インターフェースおよび周辺機器用端子部170は、カメラを外部機器と接続する機器および周辺機器を接続する為の端子部であり、端子の種類は第1の実施形態と同様である。ヒンジ機構300による可動部200の回動軌跡から外れた位置に配置したことで、周辺機器を接続した状態において、可動部200の回動を妨げることなくカメラおよび周辺機器の使用が可能となる。
【0058】
外装ラバー700は、弾力性のあるゴム部材で成形されており、意匠性を高めつつ、撮影時に滑り止めの役割を持つ。ヒンジ補強部材160はヒンジ機構300に隣接するように配置され、ヒンジ機構300と、モールド成形された本体シャーシ130に不図示のビスで共締めされることで、ヒンジ機構300の取り付け強度を向上させることができる。このとき、ホール素子460は、ヒンジ補強部材160の形状および配置を阻害しない位置に配置されるとともに、ヒンジ補強部材160は、可動部200が閉状態において磁石210と対向する位置に配置される。
【0059】
さらに、本体シャーシ130および、ヒンジ補強部材160に対して、サイドカバー500をビス110で締結する。そうすることで、特にヒンジ機構300の開閉動作及び回転動作時に掛かる応力を、本体シャーシ130、ヒンジ補強部材160、サイドカバー500、の3部材に分散させることができ、取り付け強度を向上させることができる。
【0060】
図10は、可動部200の第1の回転中心軸Aを回転中心とした第1の回転角度(開閉角度)及び第2の回転中心軸Bを回転中心とした第2の回転角度(回転角度)と、表示面200aの消灯領域との関係を示す図である。なお、図10における消灯領域は、ホール素子460の位置における磁束密度(mT)に基づいて決定されている。
【0061】
本実施形態では、第1の回転中心軸Aから磁石210までの距離X:9.35(mm)、Z:3.275(mm)、第1の回転中心軸Aからホール素子460までの距離X:13.85(mm)Z:6.725(mm)とした。また、第2の回転中心軸Bから磁石210およびホール素子460までの距離はどちらもY:23.275(mm)とした。
【0062】
また、本実施形態では、磁石210とホール素子460の位置のオフセット量は、オフセット量X:4.5(mm)、Y:0.0(mm)、Z:3.45(mm)となる。
【0063】
磁石210の残留磁束密度は1360(mT)、ホール素子460は検出感度1.4(mT)であり、以上の構成から、可動部200の開閉角度が23度以下の領域は消灯領域となる。
【0064】
図11は、本実施の形態における、磁石210とホール素子460の配置構成を表す断面図であり、図7(b)におけるカメラ本体100の前面側(被写体側)が図中の下方となるQ−Q断面を、カメラ本体100の底面方向から見た図である。なお、図7(b)では、カメラ本体100に対する可動部200の回転中心軸Aを中心とした開閉角度及び回転中心軸Bを中心とした回転角度がそれぞれ0度のときを示しており、矢印b方向に可動部200を開閉可能である。図中のvは、磁石210とホール素子460のX方向のオフセット量X:4.5(mm)を示す。
【0065】
磁石210は、樹脂モールドで成形されたケース211に圧入され、着磁方向は、回転中心軸Aと略直交する方向であり、第1の実施形態と同様である。ホール素子460はフレキシブル基板430に実装され、不図示のビスにより、樹脂モールド製の本体シャーシ130に固定される。
【0066】
本実施の形態においても、図11のように、ホール素子460と磁石210とが対向しない位置に配置された場合であっても磁石210の磁場を正確に検出するように、磁石210の着磁方向をホール素子460の素子表面に略平行な方向とした。磁石210をこのような向きに配置することで、ホール素子460は矢印hのような向きの磁場を検出することになり、開閉角度が0度のときに検出する磁束密度が最も強くなる。このようにして、ホール素子460と磁石210とが対向しない位置に配置された場合であっても磁場を用いた開閉検出が可能となる。
【0067】
また、可動部200を閉状態としたときに磁石210と対向しない位置にホール素子460を配置することで、ヒンジ機構300近傍に磁石210及びホール素子460以外の部材を配置するスペースを確保することができる。それにより、ヒンジ補強部材160などによるヒンジ機構300の補強が可能となり、ヒンジ機構300の取り付け強度を向上させることができる。
【0068】
また、ホール素子460で片極のみを検出するようにしたので、誤検出により意図しない開閉角度及び回転角度で消灯動作を行うことを防止することができる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0070】
例えば、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器にであって、磁場を用いて第1の筐体及び第2の筐体の開閉検出を行う電子機器であれば、上述した撮像装置以外の電子機器でも適用できる。
【0071】
また、上述した2つの実施の形態では、カメラ本体側にホール素子を配置し可動部側に磁石を配置する構成を説明したが、カメラ本体側に磁石を配置し可動部側にホール素子を配置する構成であってもよい。
【0072】
また、上述した2つの実施の形態では、磁気検出手段としてホール素子を用いた場合を説明したが、その他の磁気検出手段、例えば、GMRセンサなどを用いてもよい。なお、GMRセンサは素子表面に平行な方向の磁場を検出するため、GMRセンサを用いる場合、磁石の着磁方向をGMRセンサの素子表面に略垂直な方向とすることで、ホール素子を用いる場合と同様の効果を得ることができる。また、GMRセンサで片極のみを検出するようにすることで、誤検出を防止することもできる。
【0073】
また、上述した2つの実施の形態では、カメラ本体に対して可動部が開閉動作及び回転動作可能な2軸ヒンジ機構を用いた場合を説明したが、開閉動作のみが可能な1軸ヒンジ機構を用いた場合であって適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 デジタルカメラ本体
2 可動部
3 ヒンジ機構
21 磁石
41 ヒンジ補強部材
46 ホール素子
100 カメラ本体
160 ヒンジ補強部材
200 可動部
210 磁石
300 ヒンジ機構
460 ホール素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ機構と、
前記第2の筐体に設けられた磁場発生手段と、
前記第1の筐体に設けられ、前記磁場発生手段により発生した磁場を検出する磁場検出手段と、
前記磁場検出手段による検出結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉状態を判別する判別手段を有し、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記磁場発生手段と前記磁場検出手段とが対向しない位置に、前記磁場発生手段の着磁方向と前記磁場検出手段の磁場検出方向とが略直交するように前記磁場発生手段および前記磁場検出手段が配置されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記磁場検出手段及び前記磁場発生手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉動作の回転中心軸と直交する方向にずらして配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記磁場発生手段は、前記着磁方向が前記回転中心軸と略直交する方向となるように配置されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記磁場発生手段及び前記磁場検出手段は、前記ヒンジ機構近傍に設けられることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記磁場発生手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記回転中心軸と直交する方向の前記磁場検出手段よりも前記ヒンジ機構側に配置され、前記第1の筐体における前記磁場発生手段と対向する位置には、前記第1の筐体と前記ヒンジ機構との取り付け部を補強する補強部材が配置されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
画像を表示する表示手段と、
前記判別手段により判別された前記開閉状態に基づいて、前記表示手段の表示状態を変化させる表示制御手段と、を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記判別手段は、前記磁場検出手段により検出された磁束密度が所定値よりも大きい場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉状態だと判別することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記磁場検出手段は、片極の磁場のみを検出することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ機構と、
前記第2の筐体に設けられた磁場発生手段と、
前記第1の筐体に設けられ、前記磁場発生手段により発生した磁場を検出する磁場検出手段と、
前記磁場検出手段による検出結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉状態を判別する判別手段を有し、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記磁場発生手段と前記磁場検出手段とが対向しない位置に、前記磁場発生手段の着磁方向と前記磁場検出手段の磁場検出方向とが略直交するように前記磁場発生手段および前記磁場検出手段が配置されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記磁場検出手段及び前記磁場発生手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉動作の回転中心軸と直交する方向にずらして配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記磁場発生手段は、前記着磁方向が前記回転中心軸と略直交する方向となるように配置されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記磁場発生手段及び前記磁場検出手段は、前記ヒンジ機構近傍に設けられることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記磁場発生手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを閉じた状態において、前記回転中心軸と直交する方向の前記磁場検出手段よりも前記ヒンジ機構側に配置され、前記第1の筐体における前記磁場発生手段と対向する位置には、前記第1の筐体と前記ヒンジ機構との取り付け部を補強する補強部材が配置されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
画像を表示する表示手段と、
前記判別手段により判別された前記開閉状態に基づいて、前記表示手段の表示状態を変化させる表示制御手段と、を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記判別手段は、前記磁場検出手段により検出された磁束密度が所定値よりも大きい場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉状態だと判別することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記磁場検出手段は、片極の磁場のみを検出することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−19279(P2012−19279A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153988(P2010−153988)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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