説明

電子機器

【課題】空気流路に配置されるヒートシンクなどの部品だけでなく、ヒートシンクが取り付けられていない回路基板上の電子部品を簡単な構造で冷却できる電子機器を提供する。
【解決手段】ハウジング20内に形成された空気流路S2にはヒートシンク61,62が配置され、空気流路S2を規定する上フレーム30の下側に位置する回路基板10には電子部品13が配置されている。上フレーム30には電子部品13に向かって開いた通気孔31aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の冷却性能を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に実装された電子部品を冷却ファンによって冷却する電子機器が従来利用されている。下記特許文献1の電子機器では、冷却ファンから、ハウジングの外側に向かって開く排気開口まで続く空気流路は、ハウジング内の他の空間と、壁部材によって区画されている。空気流路には、CPUやGPUなどの集積回路から熱を受けるヒートシンクが配置されている。この構造によれば、ヒートシンクに集中して空気を送ることができ、効率的にヒートシンクを冷却できる。同文献の電子機器は、空気流路を区画するための壁部材として、空気流路の底壁として機能するベースプレートと、空気流路を覆うカバーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0254086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板にはCPUやGPU以外にも、トランジスタやコイルなど熱を発しやすい電子部品がある。従来は、このような電子部品には伝熱性を有する部材を取り付け、当該部材を通して電子部品の熱をベースプレートに伝えていた。ところが、この構造は、伝熱性を有する部材を用いるので、コストや製造工程が増すという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、空気流路に配置される、ヒートシンクなどの部品を効率的に冷却しながら、回路基板上の電子部品を簡単な構造で冷却できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、冷却ファンと、前記冷却ファンを収容するハウジングと、前記冷却ファンから、前記ハウジングの外側に向かって開いた通気開口まで続く空気流路と、前記空気流路を前記ハウジング内の他の空間から区画する壁部材と、前記空気流路に配置される第1の冷却対象部品と、前記壁部材の外側に位置し前記壁部材に沿って配置される回路基板と、前記回路基板に第2の冷却対象部品として配置される電子部品と、を備える。前記壁部材には前記電子部品に向かって開いた通気孔が形成されている。
【0007】
本発明によれば、空気流路に配置される第1の冷却対象部品を効率的に冷却しながら、第2の冷却対象部品である電子部品をも冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明の一実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【図1B】上記電子機器1の底面図である。
【図2】上記電子機器が内蔵する装置の斜視図である。
【図3】図2に示すカバー、冷却ファン、及び上フレームの分解斜視図である。
【図4】図2に示す装置の平面図であり、同図ではカバーの内側が示されている。
【図5】図4に示すV−V線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器1を示す図である。図1Aは斜視図であり、図1Bは底面図である。図2は電子機器1が内蔵する装置の斜視図である。図3は図2に示すカバー50、冷却ファン40、及び上フレーム30の分解斜視図である。図4は図2に示す装置の平面図であり、同図ではカバー50の内側が示されている。図5は図4に示すV−V線を切断面とする電子機器1の断面図である。
【0010】
なお、以下の説明において、図1乃至図5においてX1が示す方向が左方向であり、X2の示す方向が右方向である。また、Y1の示す方向が前方であり、Y2の示す方向が後方である。
【0011】
図1に示すように電子機器1はハウジング20を有している。この例のハウジング20は、その下部にハウジング下部21を有し、その上部にハウジング上部22を有している。この例の電子機器1はゲーム装置や動画像の再生装置として機能する電子機器である。図1Aに示すように、ハウジング上部22の前壁22aには、光ディスクなどの記録媒体を挿入するための挿入口22cが形成されている。また、挿入口22cの前側には、電子機器1の電源ボタンや記録媒体の取り出しボタンとして機能するボタン2が配置されている。
【0012】
図1Bに示すように、ハウジング20には外部の空気をハウジング20内に導入するための吸気開口22dが形成されている。この例では、ハウジング上部22はハウジング下部21よりも大きなサイズを有しており、ハウジング上部22の外周部22bはハウジング下部21の上縁よりも外側に位置している。吸気開口22dはハウジング上部22の外周部22bに形成されている。特にこの例では、吸気開口22dは外周部22bの下面に形成されている。後述する冷却ファン40の駆動により吸気開口22dを通してハウジング20内に空気が導入される。
【0013】
図4及び図5に示すように、電子機器1は、ハウジング20に収容される回路基板10を有している。回路基板10には複数の電子部品が実装されている。この例では、回路基板10にはCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)として機能するICチップ11,12が実装されている。また、この例の回路基板10には電子部品13,14(請求項における第2の冷却対象部品)が実装されている。電子部品13,14は例えばトランジスタやコイルなど、その動作時に熱を発する部品である。
【0014】
図2及び図5に示すように、電子機器1は、回路基板10の一方の面(この例では上面)を覆う板状の上フレーム30を有している。この例の上フレーム30は回路基板10と概ね等しいサイズを有している。回路基板10と上フレーム30は螺子やボルトなどの締結部材によって固定されている。上フレーム30は金属の板材から形成された部材である。この例では、図5に示すように、電子機器1は回路基板10の下面を覆う板状の下フレーム9をも有している。
【0015】
電子機器1は回路基板10の上面側に配置される冷却ファン40を有している。この例の冷却ファン40は、その回転中心線C1が回路基板10に垂直となる姿勢で、上フレーム30上に配置されている。冷却ファン40は周方向に間隔を空けて配置される複数のフィン42を有している。なお、この例の冷却ファン40は、図3に示すように、フィン42の外周部の上縁を連結する環状プレート部42aを有している。この構造によれば、後述するカバー50の吸気開口52a(図2参照)の縁とフィン42との隙間を空気が通ることを、抑えることができる。また、この例の冷却ファン40は、フィン42の外周部の下縁を連結する環状プレート部42bを有している。この構造によれば、後述する底プレート部41とフィン42との隙間を空気が通ることを、抑えることができる。
【0016】
電子機器1は、図2に示すように、ケース70を有している。この例のケース70は電源回路79を収容している(図5参照)。後において詳説するように、ケース70は冷却ファン40によって形成される空気流が流れる第3空気流路S3の壁部材として機能する。この例のケース70は左右方向に細長い略直方体状に形成されている。
【0017】
図5に示すように、電子機器1はハウジング20の外側に向かって開いた排気開口(請求項における通気開口)71aを有している。この例では、ハウジング20の後壁20aには開口が形成されている。ケース70はハウジング20の後部に配置され、ケース70の後壁71はハウジング20の後壁20aの開口に嵌っている。排気開口71aはケース70の後壁71に形成されている。なお、排気開口71aには、外部からケース70内を遮蔽するルーバーが形成されている。排気開口71aの構造は、以上説明したものに限られない。例えば、ハウジング20の後壁20a自体に排気開口が形成されてもよい。
【0018】
図4及び図5に示すように、ハウジング20内には、冷却ファン40によって形成される空気流が流れる空気流路(図においてS1,S2,S3で示される流路)が規定されている。空気流路は冷却ファン40から排気開口71aまで続く排気流路である。すなわち、吸気開口22dを通してハウジング20に導入された空気は、冷却ファン40に流れ込み、その後、S1,S2,S3で示す空気流路に流れ出る。上述した排気開口71aは空気流路の下流端に位置しており、空気流路を通った空気は排気開口71aから外部に放出される。
【0019】
電子機器1は、空気流路の外壁として機能する壁部材として、カバー50とケース70と上フレーム30とを備えている。空気流路は、上フレーム30とカバー50とケース70とによって、ハウジング20内の他の空間から区画されている。すなわち、後述する通気孔31a,31bからの流出を除いて、空気流路の空気が排気開口71aに達するまでに当該空気流路から流出することがないように、上フレーム30とカバー50とケース70とが形成されている。空気流路にはヒートシンク61,62(請求項における第1の冷却対象部品)と電源回路79とが配置されている。空気流路がハウジング20内の他の空間から区画されることにより、ヒートシンク61,62と電源回路79とを効率的に冷却できる。
【0020】
この例の空気流路は、図4及び図5に示すように、第1空気流路S1と、第1空気流路S1に続く第2空気流路S2とを含んでいる。空気流路S1,S2は上フレーム30上に形成される流路であり、空気流路S1,S2の空気は上フレーム30に沿った方向に流れる。カバー50は冷却ファン40と空気流路S1,S2とを覆う形状を有し、上フレーム30とともに空気流路S1,S2をハウジング20内の他の空間から区画している。なお、回路基板10は空気流路S1,S2を規定する壁部材の外側、この例では上フレーム30の下側に位置し、上フレーム30に沿って配置されている。
【0021】
この例の上フレーム30は、冷却ファン40とカバー50が配置される設置プレート部31を有している(図3参照)。図4及び図5に示すように、空気流路S1,S2は設置プレート部31とカバー50とによって規定されている。設置プレート部31は、上フレーム30の他の部分よりも高い位置に位置し、回路基板10との間にクリアランスを有している。上述した電子部品13,14やICチップ11,12は設置プレート部31によって覆われている。
【0022】
この例のカバー50は次の構造を有している。図3及び図5に示すように、カバー50は設置プレート部31と向き合う上壁部52を有している。上壁部52には、冷却ファン40の上側に位置する吸気開口52aが形成されている。吸気開口52aは冷却ファン40の径に対応した内径を有している。
【0023】
また、カバー50は、図3及び図4に示すように、上壁部52の外縁から設置プレート部31に向かって下がる側壁部51を有している。側壁部51の下縁は設置プレート部31上に位置している。この例の側壁部51は冷却ファン40の外周に沿って湾曲した湾曲壁部51aを有している。上述した第1空気流路S1は湾曲壁部51aと冷却ファン40との間の流路であり、冷却ファン40の外周に沿って形成されている。図4に示すように、湾曲壁部51aは、第1空気流路S1の流路断面積が下流に向かって徐々に大きくなるように湾曲している。すなわち、冷却ファン40の回転中心線C1から湾曲壁部51aまでの距離は、冷却ファン40の周方向に徐々に大きくなっている。そのため、回転中心線C1から湾曲壁部51aの一方の端部51b(以下、終端部とする)までの距離は、湾曲壁部51aの他方の端部(以下、開始部)51dまでの距離よりも大きい。
【0024】
なお、この例の湾曲壁部51aの下縁は部分的に設置プレート部31の外縁よりも外側に位置している。湾曲壁部51aの下縁と設置プレート部31との隙間は、上フレーム30とは別の部材によって閉じられている。この例では、図3及び図4に示すように、冷却ファン40は、その底部に、環状の底プレート部41を含んでいる。底プレート部41は設置プレート部31の外縁よりも外側に、この例では外縁よりも左側に張り出す部分41aを含み、当該部分41aによって、湾曲壁部51aの左側部分の下縁と設置プレート部31との隙間が閉じられている。また、湾曲壁部51aの下縁には、図4及び図5に示すように、湾曲壁部51aの内側に向かって張り出した底プレート部51jが形成されている。湾曲壁部51aの前側部分の下縁と設置プレート部31との隙間は、この底プレート部51jによって閉じられている。したがって、第1空気流路S1の底面は、設置プレート部31と底プレート部41,51jとによって密閉されている。
【0025】
図4に示すように、側壁部51は、湾曲壁部51aに加えて、終端部51bから伸びる第1側壁部51cを有している。また、側壁部51は第1側壁部51cと向き合う第2側壁部51eを有し、それらの間に第2空気流路S2が形成されている。この例では、第1側壁部51cは、終端部51bから、第2空気流路S2における空気の流れ方向(以下、空気流方向D)に伸びている。ここで、空気流方向Dは第2空気流路S2における空気の巨視的な流れの方向である。この例では、空気流方向Dは第1空気流路S1の下流端からケース70に向かう方向(この例では、後方)である。なお、第1側壁部51cの下流部分は、第2空気流路S2の流路断面積が下流に向かって徐々に大きくなるように、空気流方向Dに対して直交する方向に傾斜している。図4に示すように、第2側壁部51eは、冷却ファン40の回転中心線C1を通り空気流方向Dに沿った直線L1を挟んで、第1側壁部51cとは反対側に位置している。そのため、第2空気流路S2の流路断面積は、第1空気流路S1の下流端の流路断面積より大きくなっている。この例の第2側壁部51eは湾曲壁部51aの開始部51dに繋がっている。以上がこの例のカバー50の説明である。
【0026】
上フレーム30は、図3に示すように、設置プレート部31を取り囲む段差部32を有している。この例では、段差部32はカバー50の側壁部51の下縁の外側に位置している。段差部32には複数の通気孔32aが形成されている。また、設置プレート部31には、冷却ファン40の下側に位置する、複数の吸気孔31cが形成されている。複数の吸気孔31cはいずれも冷却ファン40の外周部よりも内側に位置している。
【0027】
空気はハウジング20内を次のように流れる。吸気開口22d(図1B参照)を通してハウジング20に導入された空気は、冷却ファン40の上側と下側の双方から冷却ファン40に流れ込む。すなわち、導入された空気の一部は、カバー50の上壁部52に形成された吸気開口52aを通して冷却ファン40に流れ込む(図3参照)。また、導入された空気の他の一部は、段差部32に形成された通気孔32aを通して、回路基板10と設置プレート部31との間に流れる。そして、その空気は、冷却ファン40の下側の吸気孔31cを通して冷却ファン40に流れ込む(図3及び図5参照)。冷却ファン40に流れ込んだ空気は、冷却ファン40の半径方向にはき出される。冷却ファン40から湾曲壁部51aに向かって、すなわち前側に流れ出た空気は第1空気流路S1を通って第2空気流路S2に至る(図4参照)。また、冷却ファン40から流れ出るその他の空気、すなわち冷却ファン40から後側に流れ出た空気は、直接第2空気流路S2に流れる。空気は冷却ファン40の駆動により強制的に排出されるため、空気流路S1,S2の空気圧はハウジング20内の他の空間に比べると高くなる。そのため、後述する通気孔31a,31bを通して回路基板10側に空気を円滑に送ることができる。なお、第1空気流路S1の流路断面積は第2空気流路S2の流路断面積よりも小さいため、第1空気流路S1の空気圧は、特に高くなる。第2空気流路S2には、ケース70によって規定される第3空気流路S3が続いている。第2空気流路S2から第3空気流路S3に至った空気は、上述したケース70の排気開口71aからハウジング20の外部に排出される。
【0028】
図4に示すように、第2空気流路S2には複数(この例では2つ)のヒートシンク61,62が配置されている。第2ヒートシンク62は、第1ヒートシンク61の下流、すなわち、第1ヒートシンク61に対して空気流方向Dに位置している。ヒートシンク61、62はICチップ11,12からの熱を受ける。この例のヒートシンク61,62は、その底部に受熱ブロック61a,62aを有している(図5参照)。受熱ブロック61a,62aはICチップ11,12にそれぞれ押し付けられている。ヒートシンク61,62は、受熱ブロック61a,62a上で立ち且つ間隔を空けて並ぶ複数のフィン61b,62bをそれぞれ有している。フィン61b,62bは第2空気流路S2に位置し、第2空気流路S2を流れる空気によって冷却される。各フィン61b,62bは空気流方向Dと平行に配置されている。第1ヒートシンク61の一部(この例では右側部分)は第1空気流路S1の下流端に対して、当該下流端から空気が流れ出る方向(ここでは空気流方向D)に位置している。また、第1ヒートシンク61の他部(この例では左側部分)は冷却ファン40に対して空気流方向Dに位置し、当該他部の複数のフィン61bは冷却ファン40の外周に沿って並んでいる。
【0029】
なお、設置プレート部31には、図3に示すように、ヒートシンク61,ヒートシンク62に対応したサイズの開口31d,31eが形成されている。ヒートシンク61,62はこれらの開口31d,31eに嵌められ、当該開口31d,31eを閉じている。この例の開口31d,31eは受熱ブロック61a,62aに対応した形状を有し、受熱ブロック61a,61aによって閉じられている。そのため、開口31d,31eからの空気の流出は抑えられている。
【0030】
回路基板10は上フレーム30とカバー50とケース70とによって規定される空気流路の外側に位置している。この例では上述したように回路基板10は上フレーム30の下側に位置し、当該上フレーム30に沿って配置されている。図4及び図5に示すように、上フレーム30に設けられた設置プレート部31には回路基板10上の電子部品13,14に向かって開いた通気孔31a,31bが形成されている。空気流路を流れる空気の一部はこの通気孔31a,31bを通して回路基板10側に流れ出る。この空気によって電子部品13,14を冷却することができる。なお、設置プレート部31と回路基板10との間では、冷却ファン40の下側に形成された吸気孔31cに向けた空気流が形成されている。通気孔31a,31bを通して回路基板10側に流れ出た空気は、電子部品13,14を冷却した後に吸気孔31cを通して冷却ファン40に戻る。
【0031】
この例では、設置プレート部31に複数(具体的には2つ)の通気孔31a,31bが形成され、これらは第2空気流路S2に位置している。2つの通気孔31a,31bの位置は、図4に示すように、第2空気流路S2における空気流方向Dに対して直交する方向においてずれている。すなわち、一方の通気孔31bは、他方の通気孔31aを通る、空気流方向Dの直線から離れて位置している。2つの通気孔31a,31bのこのレイアウトによれば、下流側の通気孔(この例では通気孔31b)を通して電子部品14に供給される空気量に、上流側の通気孔(この例では通気孔31a)から流れ出る空気が影響しにくくなり、電子部品14に供給される空気量の減少を抑えることができる。
【0032】
図4及び図5に示すように、通気孔31a,31bは、設置プレート部31と回路基板10とが向き合う方向(この例では上下方向)において、電子部品13,14とオーバーラップしている。すなわち、電子部品13のいずれかの部分を通る鉛直線(回路基板10に対して垂直な直線)が通気孔31aの内側を通るように、通気孔31aの位置が規定されている。同様に、電子部品14のいずれかの部分を通る鉛直線が通気孔31bの内側を通るように、通気孔31bの位置が規定されている。このレイアウトによれば、通気孔31a,31bを通して電子部品13,14のそれぞれに効率的に空気を送ることができる。この例では、通気孔31a,31bはそれぞれ電子部品13,14の直上に位置している。すなわち、通気孔31a,31bの中心は、電子部品13,14の中心を通る鉛直線上に位置している。上述したように、上フレーム30と回路基板10は螺子などによって互いに固定されている。そのため、電子部品13,14と通気孔31a,31bの位置ずれが抑えられている。
【0033】
空気の温度は空気のヒートシンク61,62の通過によって上昇する。そこで、この例の通気孔31a,31bは、図4に示すように、空気流路におけるヒートシンク61,62の下流側の領域を避けた位置に形成されている。こうすることで、電子部品13,14に温度の低い空気を送ることができる。
【0034】
この例では、通気孔31a,31bの位置は空気流方向Dに対して直交する方向においてヒートシンク61,62の位置からずれている。通気孔31a,31bのこの配置によれば、例えば第1空気流路S1に通気孔31a,31bが位置する構造に比べて、ヒートシンク61,62を通過する空気量の減少を抑えることができる。なお、通気孔31a,31bは冷却ファン40に対しては空気流方向Dに位置している。この例では、通気孔31a,31bは、冷却ファン40の後側に位置している。そのため、冷却ファン40から第2空気流路S2に直接流れ出る空気が通気孔31a,31bを通して電子部品13,14に送られる。
【0035】
第2空気流路S2は、上述したように、第1空気流路S1よりも大きな流路断面積を有している。この例では第1空気流路S1において最も大きな流路断面積を有する第1空気流路S1の下流端よりも、さらに大きな流路断面積を第2空気流路S2は有している。ヒートシンク61,62と通気孔31a,31bは、このような大きな流路断面積を有する第2空気流路S2に位置しているので、それらのレイアウトが容易になる。
【0036】
第1ヒートシンク61は、図4に示すように、第2側壁部51eから第1側壁部51cに寄せて配置されている。この例では、第1ヒートシンク61は第1側壁部51cに沿って配置され、第2側壁部51eと第1ヒートシンク61のフィン61bとの間にはスペースSaが形成されている。通気孔31a,31bはこのスペースSaに位置している。このようなヒートシンク61と通気孔31a,31bの配置によれば、第1空気流路S1を流れ出た速度の速い空気をヒートシンク61に送りながら、電子部品13,14にも通気孔31a,31bを通して十分な空気量を送ることができる。なお、第2側壁部51eとヒートシンク61のフィン61bとの距離、すなわちスペースSaの幅は、第1側壁部51cとヒートシンク61のフィン61bとの隙間よりも大きい。
【0037】
図4に示すように、ヒートシンク62のフィン62bも第2側壁部51eから離れて位置しているため、スペースSaはカバー50の下流端、換言すると第2空気流路S2の下流端まで続いている。そのため、スペースSaにはより円滑な空気流が形成され得る。この例では、回転中心線C1を通る直線L1に対して第2側壁部51eは一方側(この例では左側)に位置している。これに対し、ヒートシンク61,62は直線L1に対して他方側(この例では右側)にオフセットしている。このレイアウトによれば、スペースSaの幅を確保し易くなる。
【0038】
この例の冷却ファン40は、その駆動時には、左方向に回転する。そのため、図4に示すように、冷却ファン40に対して真後ろの位置、すなわち冷却ファン40に対して空気流方向Dの位置では、後方且つ左方向に斜めに向いた空気流Fが形成される。第2側壁部51eは後方且つ左方向に斜めに伸びるように形成されている。そのため、空気流Fは、第2側壁部51eに当った後においても、第2側壁部51eに沿ってスペースSaを円滑に流れる。通気孔31a,31bは、このスペースSaに位置しており、電子部品13,14に向かう円滑な空気流が形成され易くなる。
【0039】
ハウジング20内の空気流路は第2空気流路S2に続く第3空気流路S3をさらに含んでいる。第3空気流路S3は、カバー50に接続されるケース70によって規定される流路である。図4及び図5に示すように、この例のケース70は、そのカバー50側に、前壁72を有している。前壁72には第2空気流路S2に向かって開く複数の通気孔72aが形成されている。また、ケース70の後壁71には上述したように排気開口71aが形成されている。ケース70は通気孔72aと排気開口71aとを通して外部と連通し、それ以外の部分を通しての外部との連通は規制されている。なお、ケース70は箱形状を有しており、前壁72と後壁71の他に、底壁73、上壁74、及び側壁75を有している。
【0040】
ケース70は、カバー50とケース70との間から空気が漏れ出ないように、カバー50と接続されている。この例では、前壁72にはカバー50に向かって突出するフランジ76が形成されている。フランジ76はカバー50の下流端に沿って形成されている。すなわち、フランジ76は第1側壁部51cの下流端に沿って形成される第1側部76aと、第2側壁部51eの下流端に沿って形成される第2側部76bと、上壁部52の下流端を覆う庇部76cとを有している。庇部76cと上壁部52との間にはシール部材(不図示)が配置されている。また、前壁72の下縁は設置プレート部31上に位置している。前壁72の下縁と設置プレート部31との間にもシール部材39が配置されている。通気孔72aはフランジ76の内側に形成されている。この例では、カバー50とケース70のこのような接続構造により、第2空気流路S2の空気が第3空気流路S3以外に流れ出ることが抑えられている。
【0041】
以上説明したように、ハウジング20内に形成された空気流路にはヒートシンク61,62が配置され、空気流路の外側に位置する回路基板10には電子部品13,14が配置されている。そして、空気流路の壁部材として機能する上フレーム30には電子部品13,14に向かって開いた通気孔31a,31bが形成されている。このような電子機器1によれば、ヒートシンク61,62を冷却するだけでなく、簡単な構造で電子部品13,14をも冷却できる。
【0042】
また、上フレーム30は回路基板10と向き合う設置プレート部31を含み、通気孔31a,31bは設置プレート部31と回路基板10とが向き合う方向において電子部品13,14とそれぞれオーバーラップしている。この構造によれば、通気孔31a,31bを通して電子部品13,14のそれぞれに効率的に空気を送ることができる。
【0043】
特に、電子機器1では、通気孔31a,31bは電子部品13,14の直上に位置している。これにより、空気を電子部品13,14にさらに効率的に送ることができる。
【0044】
また、上フレーム30は回路基板10と互いに固定されている。この構造によれば、通気孔31a,31bと電子部品13,14との位置ずれを抑えることができる。
【0045】
また、通気孔31a,31bは空気流路におけるヒートシンク61,62の下流側の領域を避けた位置に形成されている。このようなレイアウトによれば、電子部品13,14に温度の低い空気を供給できる。
【0046】
通気孔31a,31bの位置は、空気流路における空気の流れ方向に対して直交する方向に、ヒートシンク61,62からずれている。この配置によれば、ヒートシンク61,62を流れる空気量が減少することを抑えることができる。
【0047】
また、冷却ファン40はその回転中心線C1が回路基板10に対して垂直になるように配置され、空気流路は冷却ファン40の外周に形成される第1空気流路S1と、第1空気流路S1に続く第1空気流路S1よりも大きな流路断面積を有する第2空気流路S2とを有している。そして、ヒートシンク61,62と通気孔31a,31bは第2空気流路S2に位置している。この構造によれば、ヒートシンク61,62と通気孔31a,31bとを流路断面積の大きな第2空気流路S2に配置するので、それらのレイアウトが容易になる。
【0048】
通気孔31a,31bの位置は、第2空気流路S2における空気流方向Dに対して直交する方向において、ヒートシンク61,62からずれている。この配置によれば、ヒートシンク61,62を流れる空気量が減少することを抑えることができる。
【0049】
上フレーム30には複数の通気孔31a,31bが形成されている。この構造によれば、電子部品13,14に対する冷却性能を増すことができる。
【0050】
通気孔31a,31bの位置は第2空気流路S2における空気流方向Dに対して直交する方向においてずれている。このレイアウトによれば、下流側の通気孔(この例では通気孔31b)を通して電子部品14に供給される空気量に、上流側の通気孔(この例では通気孔31a)から流れ出る空気が影響しにくくなり、電子部品14に供給される空気量の減少を抑えることができる。
【0051】
なお、本発明は以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、電子機器1には、請求項の第1の冷却対象部品としてヒートシンク61,62が設けられていた。しかしながら、冷却対象部品はこれに限られず、例えば、回路基板10とは別の回路基板が、第1の冷却対象部品として、壁部材で規定される空気流路に配置されてもよい。
【0053】
また、電子機器1は、空気流路を規定する壁部材として、上フレーム30とカバー50とケース70とを有していた。しかしながら、壁部材は、これに限定されない。例えば、電子機器には必ずしもケース70が設けられていなくてもよい。この場合、カバー50の下流端がハウジング20の外側に向かって開く排気開口71aに接続される。
【0054】
また、S1,S2,S3で示される空気流路は冷却ファン40よりも下流側の流路である排気流路として機能していた。しかしながら、本発明は、冷却ファンよりも上流側の流路として、壁部材によってハウジング内の他の空間から区画される吸気流路を備える電子機器に適用されてもよい。
【0055】
また、電子機器1は、2つの電子部品13,14に空気を送るための通気孔として2つの通気孔31a,31bを有していた。しかしながら、電子機器1は、2つの電子部品13,14に空気を送るための1つの通気孔を有してもよい。この場合、当該1つの通気孔は電子部品13,14の中間の位置に形成されてもよい。
【0056】
また、通気孔31a,31bの縁には、電子部品13,14に向かって伸びるフランジが形成されてもよい。この構造によれば、通気孔31a,31bから電子部品13,14の向かう空気流をフランジによってガイドできる。
【符号の説明】
【0057】
1 電子機器、10 回路基板、13,14 電子部品、20 ハウジング、30 上フレーム、31 設置プレート部、31a,31b 電子部品のための通気孔、31c 冷却ファンのための吸気孔、32 段差部、40 冷却ファン、41 底プレート部、42 フィン、50 カバー、51 側壁部、51a 湾曲壁部、51b 終端部、51c 第1側壁部、51e 第2側壁部、52 上壁部、61,62 ヒートシンク、70 ケース、71 後壁、71a 排気開口、72 前壁、72a 通気孔、79 電源回路、S1,S2,S3 空気流路、Sa スペース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ファンと、
前記冷却ファンを収容するハウジングと、
前記冷却ファンから、前記ハウジングの外側に向かって開いた通気開口まで続く空気流路と、
前記空気流路を前記ハウジング内の他の空間から区画する壁部材と、
前記空気流路に配置される第1の冷却対象部品と、
前記壁部材の外側に位置し前記壁部材に沿って配置される回路基板と、
前記回路基板に第2の冷却対象部品として配置される電子部品と、を備え、
前記壁部材には前記電子部品に向かって開いた通気孔が形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記壁部材は、前記回路基板と向き合い且つ前記通気孔が形成されたプレートを含み、
前記通気孔は前記プレートと前記回路基板とが向き合う方向において前記電子部品とオーバーラップしている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記通気孔は前記電子部品の直上に位置している、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器において、
前記通気孔は前記空気流路における前記第1の冷却対象部品の下流側の領域を避けた位置に形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、
前記通気孔の位置は、前記空気流路における空気の流れ方向に対して直交する方向に、前記第1の冷却対象部品からずれている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子機器において、
前記冷却ファンはその回転中心線が前記回路基板に対して垂直になるように配置され、
前記空気流路は前記冷却ファンの外周に形成される第1の空気流路と、前記第1の空気流路に続く前記第1の空気流路よりも大きな流路断面積を有する第2の空気流路とを有し、
前記第1の冷却対象部品と前記通気孔は前記第2の空気流路に位置している、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記通気孔の位置は、前記第2の空気流路における空気の流れ方向に対して直交する方向において、前記第1の冷却対象部品からずれている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電子機器において、
前記壁部材には、それぞれ前記通気孔として機能する複数の通気孔が形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器において、
前記複数の通気孔の位置は前記空気流路における空気の流れ方向に対して直交する方向において互いにずれている、
ことを特徴とする電子機器。



【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243961(P2012−243961A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112905(P2011−112905)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】