説明

電子機器

【課題】樹脂製のカバーから板金部材を容易に分別できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、カバー15およびケース16を有する第2筐体12と、カバー15に支持手段35により支持される板金部材21とを備えている。支持手段35は、カバー15に向かって突出する第1突出部36と、第1突出部36を収容するとともに第1突出部36の第1立上面36Aが接触する第1凹部37と、ケース16に向かって突出する第2突出部38と、第2突出部38の第2立上面38Aが接触する第2凹部39と、ケース16の内面16Aから突出して板金部材21に接触する押さえリブ41とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材および第2部材を厚み方向に組み合わせて筐体を形成し、この筐体に板金部材を組み込むとともに、組み込んだ板金部材で表示装置を支持する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末等の電子機器は樹脂製の筐体に表示装置が設けられ、この表示装置の表示画面が筐体の開口部から外部に露出されている。
ところで、近年、電子機器は筐体の薄型化が求められているが、筐体の薄型化にともない剛性の低下を招くことが考えられる。
この対策として、例えば、筐体の一部を構成する樹脂製のカバーに補強用の板金部材をインサート成形し、インサート成形された板金部材に表示装置を接触させた電子機器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−113101号公報(段落0003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、樹脂製のカバーに補強用の板金部材をインサート成形した場合、樹脂製のカバー内に板金部材が埋設される。
このため、樹脂製のカバーから板金部材を分離することが難しく、分別廃棄が困難であった。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、樹脂製のカバーから板金部材を容易に分別できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電子機器は、互いに厚み方向に組み合わせられる第1部材および第2部材を有する筐体と、前記筐体に収容され、かつ、前記第1部材に支持手段により支持される板金部材と、を備え、前記支持手段が、前記板金部材における第1縁部に設けられ、前記第1部材に向かって突出する第1突出部と、前記第1部材の内面から厚み方向に沿って形成され、前記第1突出部を収容するとともに前記第1突出部の第1立上面が接触する第1凹部と、前記板金部材における前記第1縁部に対して交差する第2縁部に設けられ、前記第2部材に向かって突出する第2突出部と、前記第1部材に形成され、前記第2突出部の第2立上面が接触する第2凹部と、前記第2部材の内面から突出し、前記板金部材に接触する押さえリブと、を備える。
【0007】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器は、前記第2凹部は、前記第1部材に設けられた爪部と一体となって形成されており、前記爪部は、前記第1部材と前記第2部材とが組み合わされた状態において、前記第2部材に設けられた嵌合部と嵌合する。
【0008】
また、本発明の第3の態様に係る電子機器は、前記第2凹部が、前記第2突出部の端面を収容する。
【0009】
さらに、本発明の第4の態様に係る電子機器は、前記第1部材の開口から外部に露出するとともに前記板金部材に接触する表示装置を有し、前記開口の外側縁部に開口突出部が設けられているとともに、前記表示装置のホルダの外側面に前記開口突出部と係合するホルダ突出部が設けられている。
【0010】
また、本発明の第5の態様に係る電子機器は、前記第1突出部および前記第2突出部のうちの少なくとも一方が、前記表示装置の平面対角線位置に配置されている。
【0011】
さらに、本発明の第6の態様に係る電子機器は、前記第1突出部および前記第2突出部のうちの少なくとも一方が前記板金部材の縁部を折り曲げることにより形成されている。
【0012】
また、本発明の第7の態様に係る電子機器は、前記第1突出部および前記第2突出部のうちの少なくとも一方が前記板金部材の縁部を折り返すことにより形成されている。
【0013】
また、本発明の第8の態様に係る電子機器は、前記第1突出部は、前記第1凹部に対して、接着剤を用いて固定されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様に係る電子機器によれば、板金部材の第1突出部が第1部材の第1凹部に支持され、板金部材の第2突出部が第1部材の第2凹部に支持されている。この状態において、板金部材が第2部材の押さえリブにより第1部材に押し付けられている。
よって、第1部材に板金部材が位置決めされた状態で、板金部材が第1部材に設けられる。すなわち、第1突出部と第1凹部、および、第2突出部と第2凹部とが、板金部材の平面方向への位置を規制し、押さえリブが板金部材の厚み方向への位置を規制する。これにより、第1部材と第2部材とが組み合わされた状態において、板金部材と第1部材とが互いに勘合した状態で固定されるため、板金部材によって第1部材を補強することができる。したがって、筐体の強度を確保できる。
【0015】
一方、第1部材および第2部材の組み付け状態を解除させることにより、第1部材から板金部材を容易に分離できる。
これにより、第1部材から板金部材を分離して板金部材および第1部材を分別廃棄できるという効果を有する。
【0016】
さらに、第1部材に板金部材を組み込むことにより、第1部材から板金部材を分離可能とした。
これにより、第1部材に塗装不良があることが判明した場合に、第1部材から板金部材を分離して第1部材のみを破棄できるという効果を有する。
【0017】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器によれば、組み立て時には板金部材を容易に組み込むことができ、かつ、組み立て後には板金部材が脱落しにくい構造を実現することができる。すなわち、第1部材と第2部材を組まれる前であれば、爪部を容易に変形できるので第2突出部を第2凹部に容易に収容できる。
一方、第1部材と第2部材が組まれた状態では、爪部の変形が嵌合部によって規制されるため、第2突出部が第2凹部からの脱落しにくくすることができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様に係る電子機器によれば、第2凹部で第2突出部の端面を収容するようにした。
よって、第1部材および第2部材を組み合わせる前の状態でも、第2凹部から第2突出部が外れないようにできる。
これにより、第2凹部および第2突出部により第1部材および板金部材を一体化(サブアッセンブリー)できるという効果を有する。
【0019】
さらに、本発明の第4の態様に係る電子機器によれば、第1部材の開口に開口突出部を設けるとともに、表示装置にホルダ突出部を設けた。そして、第1部材の開口から表示装置を外部に露出させるとともに板金部材に接触させた状態において、表示装置のホルダ突出部を第1部材の開口突出部に係合させるようにした。
よって、第1部材に表示装置を一体化(サブアッセンブリー)でき、第1部材、表示装置および板金部材を一体にサブアッセンブリーにできる。
これにより、板金部材に表示装置を固定するための両面テープを不要にできるという効果を有する。
【0020】
また、本発明の第5の態様に係る電子機器によれば、板金部材の第1突出部および第2突出部のうちの少なくとも一方を表示装置の平面対角線位置に配置した。
ここで、表示装置は略矩形形状に形成されている。よって、表示装置にかかる力は表示装置の四隅に分散しやすい。
そこで、板金部材の第1突出部および第2突出部のうちの少なくとも一方を表示装置の平面対角線位置に配置することにより、第1突出部や第2突出部の個数を少なく抑えた状態で表示装置を好適に支持できるという効果を有する。
【0021】
さらに、本発明の第6の態様に係る電子機器によれば、第1突出部および第2突出部のうちの少なくとも一方を板金部材の縁部を折り曲げることにより形成した。
これにより、第1突出部および第2突出部のうちの少なくとも一方を簡単に形成でき、コストを抑えることができるという効果を有する。
【0022】
また、本発明の第7の態様に係る電子機器によれば、第1突出部および第2突出部のうちの少なくとも一方を板金部材の縁部を折り返すことにより形成した。
これにより、第1突出部および第2突出部のうちの少なくとも一方の高さ寸法を小さく抑えることができる。
第1突出部の高さ寸法を小さく抑えることにより、第1部材の高さ寸法を小さく抑えることが可能になり電子機器の薄型化を図ることができる。
【0023】
また、本発明の第8の態様に係る電子機器によれば、第1突出部を第1凹部に対して接着剤を用いて固定しているので、より強固に第1突出部を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電子機器の第1実施形態を示す斜視図
【図2】第1実施形態の第2筐体を示す分解斜視図
【図3】図1のIーI線断面図
【図4】(A)は第1実施形態の板金部材を示す斜視図、(B)は図4(A)のII−II線断面図
【図5】図1のIII−III線断面図
【図6】(A)は図4(A)のIV部拡大図、(B)は図4(A)のV部拡大図、(C)は図4(A)のVI部拡大図
【図7】本発明に係る第2筐体の第2実施形態を示す分解斜視図
【図8】第2実施形態の第2筐体を示す断面部
【図9】本発明に係る第2筐体の第3実施形態を示す断面部
【図10】本発明に係る第2筐体の第4実施形態を示す断面部
【図11】本発明に係る板金部材の第5実施形態を示し、(A)は要部断面部、(B)は要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態である電子機器10は、略矩形体状に形成された第1筐体11と、略矩形体状に形成された第2筐体(筐体)12と、第1筐体11および第2筐体12を開閉自在に連結する連結部13と備えた開閉式の電子機器である。
【0027】
この電子機器10は、連結部13を中心として相対的に回動することにより第1筐体11および第2筐体12が互いに重なり合う携帯状態と、連結部13を中心として相対的に回動することにより第1筐体11および第2筐体12が互いに離れる方向に展開された展開状態(図1参照)とを取り得る。
【0028】
第1筐体11は、第1筐体11の表面11Aに操作キー等を備えた操作部が設けられている。
【0029】
図2に示すように、第2筐体12は、互いに厚み方向に組み合わせられる樹脂製のカバー(第1部材)15および樹脂製のケース(第2部材)16と、第2筐体12の内部に収容された回路基板18と、回路基板18に実装された電子部品19とを備えている。
【0030】
さらに、第2筐体12は、第2筐体12の内部に収容されて回路基板18を支える板金部材21と、板金部材21に接触するとともにカバー15の開口15Aから外部に露出する表示装置23と、表示装置23の表示部23Aを覆う表示部パネル24とを備えている。
【0031】
図3に示すように、カバー15は、外周からカバー爪部15Dが外向きに突出されている。
また、ケース16は、外周からケース爪部16Bが内向きに突出されている。
カバー15にケース16を組み付けた状態において、カバー爪部15Dにケース爪部16Bが係止され、カバー15にケース16を組み付けた状態に保持される。
【0032】
表示装置23は、略矩形状に形成され(図2参照)、カバー15の開口15Aから外部に露出するとともに板金部材21に両面テープ26を介して接触するように設けられている。
表示部パネル24は、両面テープ28を介してカバー15に設けられることにより、表示装置23の表示部23Aを覆う位置に配置されている。
【0033】
板金部材21は、第2筐体12の内部に収容されている。
図4に示すように、板金部材21は、一対の第1縁部21Aおよび一対の第2縁部21Bで略矩形状に形成された金属製の板材である。
この板金部材21は、カバー15に支持手段35(図3、図5参照)により支持されている。
【0034】
図3、図5に示すように、支持手段35は、板金部材21の第1縁部21Aに設けられた第1突出部36と、カバー15に形成されて第1突出部36を収容する第1凹部37と、板金部材21の第2縁部21Bに設けられた第2突出部38と、カバー15に形成されて第2突出部38を収容する第2凹部39と、ケース16の内面16Aから突出しして板金部材21に接触する押さえリブ41とを備えている。
【0035】
図4に示すように、第1突出部36および第2突出部38は板金部材21に設けられている。
また、図3、図5に示すように、第1凹部37および第2凹部39はカバー15に形成されている。
【0036】
図4に示すように、第1突出部36は、板金部材21における一対の第1縁部21Aに設けられ、カバー15(図5参照)に向かって突出する部位である。
図6(A)に示すように、第1突出部36は、板金部材21の第1縁部21Aを折り曲げることにより形成されている。
第1突出部36を折り曲げて形成することにより、第1突出部36を簡単に形成できコストを抑えることができる。
【0037】
図5に示すように、第1凹部37は、カバー15の内面15Cから厚み方向に沿って形成され、第1突出部36を収容する凹部である。
この第1凹部37は、外側壁面に複数の第1リブ37Aが形成されている。第1凹部37の外側壁面に複数の第1リブ37Aを形成することにより、複数の第1リブ37Aに第1突出部36の第1立上面36Aが接触されている。
複数の第1リブ37Aに第1立上面36Aを接触させることにより、第1突出部36を第1凹部37に収容した状態で第2筐体12の幅方向において所定位置に位置決めできる。
【0038】
押さえリブ41は、ケース16の内面16Aからカバー15に向けて突出され、板金部材21の表面21Cに接触する押さえ部位である。
【0039】
図4に示すように、第2突出部38は、一方の第2縁部21Bの両端部21D,21Eおよび他方の第2縁部21Bの両端部21F,21Gに設けられることにより、板金部材21に4個備えられている。
【0040】
一方の第2縁部21Bの一端部21Dに設けられた第2突出部38、および他方の第2縁部21Bの他端部21Gに設けられた第2突出部38が板金部材21の第1対角線43上に配置されている。
ここで、板金部材21は、表示装置23と同様の大きさで略矩形状に形成され、表示装置23に重ね合わされている。
よって、一方の第2縁部21Bの一端部21Dに設けられた第2突出部38、および他方の第2縁部21Bの他端部21Gに設けられた第2突出部38は、表示装置23(図2参照)の平面対角線位置に配置されている。
【0041】
また、一方の第2縁部21Bの他端部21Eに設けられた第2突出部38、および他方の第2縁部21Bの一端部21Fに設けられた第2突出部38が板金部材21の第2対角線42上に配置されている。
よって、一方の第2縁部21Bの他端部21Eに設けられた第2突出部38、および他方の第2縁部21Bの一端部21Fに設けられた第2突出部38は、表示装置23(図2参照)の平面対角線位置に配置されている。
【0042】
ここで、表示装置23は略矩形形状に形成されている。よって、表示装置23にかかる力は表示装置23の四隅に分散しやすい。
よって、第2突出部38を表示装置23の平面対角線位置に配置することにより、第2突出部38の個数を少なく抑えた状態で表示装置23を好適に支持できる。
【0043】
図6に示すように、第2突出部38は、板金部材21における第1縁部21Aに対して交差する第2縁部21Bに設けられ、ケース16(図3参照)に向かって突出する部位である。
この第2突出部38は、板金部材21の第2縁部21Bを折り曲げることにより形成されている。
第2突出部38を折り曲げて形成することにより、第2突出部38を簡単に形成できコストを抑えることができる。
【0044】
図3に示すように、第2凹部39は、カバー15に形成され、第2凹部39の外側壁面に複数の第2リブ39Aが形成されている。
第2凹部39の外側壁面に複数の第2リブ39Aを形成することにより、複数の第2リブ39Aに第2突出部38の第2立上面38Aが接触されている。
複数の第2リブ39Aに第2立上面38Aを接触させることにより、第2突出部38を第2凹部39に収容した状態で第2筐体12の長手方向において所定位置に位置決めできる。
【0045】
なお、第2凹部39は、カバー爪部15Dと一体となって構成されている。カバー爪部15Dは、ケース爪部16Bとの嵌合する前の状態であれば、筐体外側へ向けての変形が規制されていないため、第2突出部38を第2凹部39に容易に収容できる。また、ケース爪部16Bがカバー爪部15Dと嵌合した状態では、ケース16によってカバー爪部15Dの筐体外側へ向けての変形が規制されるため、ケースとカバーが組み合わせられた状態における、第2突出部38の第2凹部39からの脱落を防止することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、ケース側にてカバー爪部15Dに嵌合する嵌合部を、カバー爪部15Dに嵌合するケース爪部16Bとして構成しているが、これに限られるものではない。例えば、ケース側の嵌合部は、カバー爪部15Dに嵌合する凹部のみから構成されているとしてもよい。
【0047】
このように、第2突出部38を第2凹部39に収容して第2筐体12の長手方向に位置決めし、かつ、図5に示すように、第1突出部36を第1凹部37に収容して第2筐体12の幅方向に位置決めすることにより、板金部材21を第2筐体12の幅方向および長手方向に位置決めできる。
【0048】
さらに、図3に示すように、第2凹部39は、第2突出部38の端面38Bを収容可能に形成されている。
第2凹部39で第2突出部38の端面38Bを収容することにより、カバー15およびケース16を組み合わせる前の状態でも、第2凹部39から第2突出部38が外れないようにできる。
これにより、第2凹部39および第2突出部38によりカバー15および板金部材21を組み込んだ状態に一体化できる。
【0049】
ここで、第2筐体12の内部に表示装置23および板金部材21を組み込む手順を図2、図3および図5に基づいて説明する。
図2に示すように、まず、カバー15の裏面側から板金部材21を矢印A方向に組み込む。
図3、図5に示すように、第1突出部36を第1凹部37に収容するとともに第2突出部38を第2凹部39に収容する。
【0050】
第2凹部39で第2突出部38の端面38Bを収容することにより、第2凹部39および第2突出部38によりカバー15に板金部材21を組み込んだ状態に一体化される。
カバー15に板金部材21を組み込んだ後、図2に示すように、カバー15の表側から表示装置23を矢印B方向に組み込む。
図3、図5に示すように、表示装置23を板金部材21に両面テープ26で接着する。
これにより、カバー15、表示装置23および板金部材21が一体に組み付けられる。
【0051】
以上説明したように、第1実施形態の電子機器10によれば、板金部材21の第1突出部36がカバー15の第1凹部37に支持され、板金部材21の第2突出部38がカバー15の第2凹部39に支持されている。
この状態において、板金部材21がケース16の押さえリブ41によりカバー15に押し付けられている。
【0052】
よって、カバー15およびケース16に板金部材21が位置決めされた状態で、板金部材21がカバー15およびケース16に設けられる。
すなわち、第1突出部36と第1凹部37、および、第2突出部38と第2凹部39とが、板金部材の平面方向への位置を規制し、押さえリブ41が板金部材21の厚み方向への位置を規制する。これにより、カバー部材15とケース部材16とが組み合わされた状態において、板金部材21とカバー部材15とが互いに嵌合した状態で固定されるため、板金部材21によってカバー部材15を補強することができる。これにより、カバー15を板金部材21によって補強することができる。
【0053】
一方、カバー15およびケース16の組付け状態を解除させることにより、カバー15から板金部材21を容易に分離できる。
これにより、カバー15から板金部材21を分離して板金部材21およびカバー15を分別廃棄できる。
【0054】
さらに、カバー15に板金部材21を組み込むことにより、カバー15から板金部材21を分離可能とした。
これにより、カバー15に塗装不良があることが判明した場合に、カバー15から板金部材21を分離してカバー15のみを破棄できる。
【0055】
つぎに、第2実施形態〜第5実施形態を図7〜図11に基づいて説明する。なお、第2実施形態〜第5実施形態において第1実施形態の電子機器10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
(第2実施形態)
図7に示すように、第2実施形態の電子機器50は、第1実施形態のカバー15に代えてカバー(第1部材)51を備え、第1実施形態の表示装置23に代えて表示装置53を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同様である。
【0057】
図8に示すように、カバー51は、開口15Aの外側縁部15Bに開口突出部52が設けられている。
また、表示装置53は、ホルダ54を備え、ホルダ54の外側面54Aにホルダ突出部55が設けられている。ホルダ突出部55は、開口突出部52に対してカバー51の内部側に位置し、開口突出部52と係合可能な突出部である。
ホルダ突出部55を開口突出部52に係合することで、表示装置53を開口15Aの外側縁部15Bに保持できる。
【0058】
よって、カバー51に表示装置53を組み込んだ状態に一体化でき、カバー51、表示装置53および板金部材21を組み込んだ状態に一体化できる。
これにより、板金部材21に表示装置53を固定するために、第1実施形態で必要とした両面テープ26を不要にできる。
【0059】
ここで、カバー51に表示装置53および板金部材21を組み込む手順を図3、図7および図8に基づいて説明する。
図7に示すように、まず、カバー51の裏側から表示装置53を矢印C方向に組み込む。図8に示すように、ホルダ突出部55を開口突出部52に係合する。
カバー51に表示装置53を組み込んだ後、図7に示すように、カバー51の裏面側から板金部材21を矢印C方向に組み込む。図8に示すように、第1突出部36を第1凹部37に収容するとともに第2突出部38を第2凹部39(図3参照)に収容する。
【0060】
図3に示すように、第2凹部39で第2突出部38の端面38Bを収容することにより、第2凹部39および第2突出部38によりカバー51に板金部材21を組み込んだ状態に一体化される。
これにより、カバー51、表示装置53および板金部材21が一体に組み付けられる。
【0061】
第2実施形態の電子機器50によれば、第1実施形態で必要とした両面テープ26を不要にでき、さらに、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(第3実施形態)
図9に示すように、第3実施形態の電子機器60は、第1実施形態の板金部材21に代えて板金部材61を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同様である。
【0063】
板金部材61は、板金部材61の第1縁部61Aを折り曲げ、折り曲げた先端部63Aを折り返すことにより第1突出部63が形成されている。
この第1突出部63は、第1実施形態の第1突出部36と同様の役割を果たす部位である。
第1突出部63を先端部63Aで折り返すことにより、第1突出部63の剛性を一層高めることができ、表示装置23を板金部材61で一層好適に支持できる。
【0064】
さらに、第3実施形態の電子機器60によれば、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
【0065】
(第4実施形態)
図10に示すように、第4実施形態の電子機器70は、第1実施形態の板金部材21に代えて板金部材71を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同様である。
【0066】
板金部材71は、板金部材71の第2縁部71Aを折り返すことにより第2突出部73が形成されている。
この第2突出部73は、第1実施形態の第2突出部38と同様の役割を果たす部位である。
【0067】
第2突出部73を第2縁部71Aで折り返すことにより、第2突出部73の高さ寸法H1を小さく抑えることができる。
第2突出部73の高さ寸法H1を小さく抑えることにより、カバー15の高さ寸法H2を小さく抑えることが可能になり、電子機器70の薄型化を図ることができる。
【0068】
さらに、第4実施形態の電子機器70によれば、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(第5実施形態)
図11(A)、(B)に示すように、第5実施形態の電子機器80は、第1実施形態の板金部材21に代えて板金部材81を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同様である。
【0070】
板金部材81は、板金部材81の第2縁部81Aを切り起こすことにより第2突出部83が形成されている。
この第2突出部83は、第1実施形態の第2突出部38と同様の役割を果たす部位である。
【0071】
板金部材81の第2縁部81Aを切り起こして第2突出部83を形成することにより、第2突出部83を自由な位置に構成することができる。
【0072】
例えば、板金部材81の縁部周辺にて厚み方向で重なる位置に他の回路等が実装されている場合など、カバー15およびケース16の形状に実装上の制限がある場合でも、その回路等を避けた位置に突出部を設けることで、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
なお、第2突出部38と同様の役割を果たす部位ではなく、第1突出部36と同様の効果を果たす部位を、板金部材81の切り起こしによって形成するとしてもよい。この場合も、第2突出部83を形成する場合と同様の効果が得られる。
【0073】
なお、本発明に係る電子機器は、前述した第1実施形態〜第5実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、第1実施形態〜第5実施形態で使用した電子機器、第2筐体、カバー、ケース、板金部材、表示装置、支持手段、第1突出部、第1凹部、第2突出部、第2凹部、押さえリブ、ホルダおよびホルダ突出部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【0074】
また、本発明に係る電子機器は、第1突出部を長手方向の第1縁部に、第2突出部を幅方向の第2縁部に形成していたが、これに限られるものではない。例えば、第1突出部を幅方向の第2縁部に、第2突出部を長手方向の第1縁部に設けるとしてもよい。また、第1突出部と第2突出部とを幅方向の縁部または長手方向の縁部に混在させるとしてもよい。
【0075】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、第1縁部と第2縁部とは交差する縁部であると説明したが、これは、第1縁部と第2縁部とが異なる方向に延びる縁部であることを意味する。すなわち、第1実施形態〜第5実施形態では、板金部材が略矩形形状であったため、第1縁部と第2縁部とは直交していたが、板金部材が他の形状の場合には、直交しなくともよい。
【0076】
また、ケース部材に設けた構成とカバー部材に設けた構成とを入れ替えることで、カバー部材に替えて、ケース部材を板金部材によって補強することもできる。すなわち、各凹部と各突出部をケース部材とカバー部材のどちらに設けるべきかは、補強したい対象に応じて適宜入れ替えることができる。
また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせたものも本発明に含まれる。
【0077】
また、第1実施形態〜第5実施形態の構成に加え、第1凹部に接着剤を塗布または充填し、第1凹部に収容された板金部材を接着剤によって固定するとしてもよい。
これにより、板金部材をより強固にカバーに固定することができ、カバーをより強く補強することができる。なお、接着剤を用いて板金部材を第1凹部に固定する場合、第1実施形態〜第5実施形態よりも板金部材とカバーとを分離しにくくなるが、それでも、インサート板金を使用する従来技術よりは容易に分離することが可能である。インサート板金を用いる場合、カバーを構成する樹脂を破壊しなくては板金を分離することはできないが、本変形例の場合、接着剤を溶かす溶媒に漬けるなどの手段によって、容易に接着剤を取り除き板金を分離することができる。
【0078】
なお、第1実施形態〜第5実施形態の構成に替えて、第1凹部に塗布または充填された接着剤のみによって板金部材を固定するとしてもよい。ただし、板金部材もしくは第1凹部から接着剤が剥がれた場合に備え、第1実施形態〜第5実施形態の構成によって更に板金部材を強固に固定する方が、より強くカバーを補強できる。
【0079】
また、第1凹部に加えまたは第1凹部に替えて、他の部分を、接着剤を用いて固定するとしてもよい。すなわち、板金部材とカバーもしくはケースそれぞれの少なくとも一部ずつが接着剤によって固定されていれば上述した効果を得ることができる。特に、接着剤によって固定する部分を少なくすることで、より接着剤を剥がしやすくなるため、廃棄時に板金部材をカバーもしくはケースから分離することが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、第1部材および第2部材を組み合わせて筐体を形成し、筐体に板金部材を収容するとともに板金部材で表示装置を支持する電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0081】
10,50,60,70,80 電子機器
12 第2筐体(筐体)
15,51 カバー(第1部材)
15A カバーの開口
15B 開口の外側縁部
15C カバーの内面(第1部材の内面)
16 ケース(第2部材)
16A ケースの内面(第2部材の内面)
21,61,71,81 板金部材
21A,61A 第1縁部(縁部)
21B,71A,81A 第2縁部(縁部)
23,53 表示装置
35 支持手段
36,63 第1突出部
36A 第1立上面
37 第1凹部
38,73,83 第2突出部
38A 第2立上面
38B 第2突出部の端面
39 第2凹部
41 押さえリブ
52 開口突出部
54 ホルダ
54A ホルダの外側面
55 ホルダ突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに厚み方向に組み合わせられる第1部材および第2部材を有する筐体と、
前記筐体に収容され、かつ、前記第1部材に支持手段により支持される板金部材と、を備え、
前記支持手段が、
前記板金部材における第1縁部に設けられ、前記第1部材に向かって突出する第1突出部と、
前記第1部材の内面から厚み方向に沿って形成され、前記第1突出部を収容するとともに前記第1突出部の第1立上面が接触する第1凹部と、
前記板金部材における前記第1縁部に対して交差する第2縁部に設けられ、前記第2部材に向かって突出する第2突出部と、
前記第1部材に形成され、前記第2突出部の第2立上面が接触する第2凹部と、
前記第2部材の内面から突出し、前記板金部材に接触する押さえリブと、を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第2凹部は、前記第1部材に設けられた爪部と一体となって形成されており、
前記爪部は、前記第1部材と前記第2部材とが組み合わされた状態において、前記第2部材に設けられた嵌合部と嵌合する電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
前記第2凹部が、前記第2突出部の端面を収容する電子機器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1部材の開口から外部に露出するとともに前記板金部材に接触する表示装置を有し、
前記開口の外側縁部に開口突出部が設けられているとともに、前記表示装置のホルダの外側面に前記開口突出部と係合するホルダ突出部が設けられている電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1突出部および前記第2突出部のうちの少なくとも一方が、前記表示装置の平面対角線位置に配置されている電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1突出部および前記第2突出部のうちの少なくとも一方が前記板金部材の縁部を折り曲げることにより形成されている電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記第1突出部および前記第2突出部のうちの少なくとも一方が前記板金部材の縁部を折り返すことにより形成されている電子機器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1突出部は、前記第1凹部に対して、接着剤を用いて固定されている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−49629(P2012−49629A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187420(P2010−187420)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】