説明

電子機器

【課題】ユーザ種別に応じたアクセス権限を超えたデータ操作を回避しつつ、最新のデータを復元できる電子機器を提供する。
【解決手段】バックアップ処理部942は、記憶部4に記憶されたバックアップ対象のすべてのデータをバックアップし、復元処理部943は、ユーザの指示に応じて、バックアップデータにより記憶部のデータを復元する。復元処理部943は、復元を指示したユーザの、記憶部4の各種データへのアクセス権限に応じたユーザ種別に基づいて、バックアップデータにより記憶部4に復元させるデータの種類を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶したデータのバックアップを行う電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器において、記憶したデータのバックアップを行うことがある。
【0003】
例えば、プリンタ等の画像形成装置では、各種設定情報や、印刷枚数に関するデータ等の各種データを、ハードディスク等の不揮発性の記憶媒体に記憶している。そして、画像形成装置では、何らかの理由でデータが消失した場合に備えて、データを他の記憶媒体等にバックアップしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−106806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置において、ユーザを複数のユーザ種別に区分する機能を有するものがある。ユーザ種別によって、アクセスできるデータが異なる。
【0006】
従来、このような画像形成装置では、データのバックアップをとる際、装置を使用しているユーザに対応するユーザ種別のアクセス権限に応じたデータがバックアップされる。また、バックアップデータを用いてデータの復元を行う際は、装置を使用しているユーザに対応するユーザ種別のアクセス権限に応じたデータが復元される。
【0007】
一般に、最も大きなアクセス権限を有するユーザ種別は、保守員(サービスマン)である。保守員は、装置の運用に重大な影響を与える設定値等の重要なデータを含む各種データへのアクセス権限を有している。保守員は、画像形成装置を提供した顧客を時折訪れるものであるため、保守員によるバックアップの周期は長くなりがちである。
【0008】
このため、バックアップデータを用いてデータの復元を行う必要が生じたときに、保守員しかアクセス権限を持たない重要なデータが最新の状態でバックアップされておらず、最新のデータを復元できないことがあった。
【0009】
ここで、例えば、保守員以外のユーザによっても、すべてのデータをバックアップ可能であり、かつ、すべてのデータを復元可能であるものとすれば、最新のデータを復元させることが容易となる。
【0010】
しかしながら、保守員以外のユーザにより、保守員しかアクセス権限を持たないデータの復元を可能とすることは、アクセス権限を超えたデータ操作を認めることになる。これは、装置の運用上、好ましくない。
【0011】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、ユーザ種別に応じたアクセス権限を超えたデータ操作を回避しつつ、最新のデータを復元できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器の第1の特徴は、複数種類のデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたバックアップ対象のすべてのデータをバックアップするバックアップ処理部と、ユーザの指示に応じて、バックアップデータにより前記記憶部のデータを復元する復元処理部とを備え、前記復元処理部は、復元を指示したユーザの、前記記憶部の各種データへのアクセス権限に応じたユーザ種別に基づいて、バックアップデータにより前記記憶部に復元させるデータの種類を決定することにある。
【0013】
本発明に係る電子機器の第2の特徴は、復元時において、前記記憶部に、バックアップデータにより上書きされるデータがある場合、上書きを行うか否かをユーザに選択させるための確認画面を表示する表示部をさらに備えることにある。
【0014】
本発明に係る電子機器の第3の特徴は、前記電子機器に固有の機器識別情報を記憶する機器識別情報記憶部をさらに備え、前記バックアップ処理部は、バックアップデータに機器識別情報を含ませ、前記復元処理部は、復元時において、バックアップデータに含まれる機器識別情報と、前記機器識別情報記憶部に記憶された機器識別情報とを照合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電子機器の第1の特徴によれば、バックアップ処理を指示したユーザのユーザ種別にかかわらず、すべてのバックアップ対象のデータをバックアップし、バックアップデータにより記憶部のデータを復元する際は、復元を指示したユーザのユーザ種別に基づいて、復元するデータの種類を決定する。これにより、どのユーザ種別のユーザが行ったバックアップ指示によっても、当該ユーザにアクセス権限のないデータまで最新の状態でバックアップされる。一方、復元を指示するユーザがアクセス権限のないデータの復元を行わせることはできない。したがって、電子機器は、ユーザ種別に応じたアクセス権限を超えたデータ操作を回避しつつ、バックアップデータを用いて最新のデータを復元することができる。
【0016】
本発明に係る電子機器の第2の特徴によれば、復元時において、記憶部に、バックアップデータにより上書きされるデータがある場合、上書きを行うか否かをユーザに選択させるための確認画面を表示するので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る電子機器の第3の特徴によれば、復元時において、バックアップデータに含まれる機器識別情報と、機器識別情報記憶部に記憶された機器識別情報とを照合することで、確実に自装置のバックアップデータから復元処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ユーザ情報管理テーブルの説明図である。
【図3】バックアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】復元処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】確認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施の形態では、電子機器として画像形成装置を例に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置1は、ネットワーク10を介してパーソナルコンピュータ(PC)20と接続されている。ネットワーク10は、代表的には、LAN(Local Area Network)とすることができる。
【0022】
画像形成装置1は、いわゆる複合機であり、PC20から送られた印刷データに基づく印刷を行うプリンタ機能、原稿の画像を読み取って複写印刷を行うコピー機能、原稿の画像を読み取って画像データをPC20に出力したり画像形成装置1内に保存したりするスキャナ機能を備える。
【0023】
画像形成装置1は、画像読取部2と、画像形成部3と、記憶部4,5と、バックアップ用記憶部6と、操作パネル部7と、通信処理部8と、制御部9とを備える。
【0024】
画像読取部2は、原稿台、受光素子、光源、レンズ、走査機構等を備え、原稿台に置かれた原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0025】
画像形成部3は、色材を用いて用紙に画像形成することで印刷動作を行う。画像形成部3は、例えば、色材としてインクを用い、印字ヘッドから用紙にインクを吐出して印刷するインクジェット方式の印刷機構を有する。また、画像形成部3は、用紙の給排紙機構および搬送機構を含んでいる。
【0026】
記憶部4は、ハードディスク等の不揮発性の記憶媒体を有し、各種のデータを記憶している。本実施の形態では、記憶部4は、バックアップの対象となるデータとして、ユーザ設定情報、管理者設定情報、アカウンティング情報、チャージカウント設定情報、および画調設定情報の各種データを記憶しているものとする。
【0027】
ここで、本実施の形態では、画像形成装置1は、ユーザを、一般ユーザ、管理者ユーザ、保守員の3つのユーザ種別に区分している。管理者ユーザは、一般ユーザのうち、管理者権限を有するユーザである。なお、画像形成装置1に複数名の管理者ユーザを設定することもできる。保守員は、顧客を訪問して画像形成装置1の保守、点検等を行うサービスマンである。
【0028】
各ユーザは、画像形成装置1にログインして、装置の使用、各種設定操作等を行うことができる。画像形成装置1へのログインは、ユーザが操作パネル部7を操作して行うことができる。また、PC20からログインすることもできる。
【0029】
記憶部4に記憶される上記ユーザ設定情報は、各一般ユーザが個々に設定した内容を示す情報である。ユーザ設定情報は、例えば、スキャナ機能で得られる画像データをメールで送付する宛先等の情報を含む。
【0030】
管理者設定情報は、管理者ユーザが、管理者権限で設定した内容を示す情報である。例えば、管理者設定情報は、画像形成装置1に登録した使用可能な用紙サイズ等の情報を含む。
【0031】
また、管理者設定情報として、記憶部4は、図2に示すようなユーザ情報管理テーブル30を記憶している。ユーザ情報管理テーブル30には、画像形成装置1に登録されているユーザのユーザ名、パスワード、管理者権限の有無等の情報が格納されている。ユーザの登録は、管理者ユーザが管理者権限で行うことができる。
【0032】
ユーザ情報管理テーブル30のユーザ名、パスワードは、ログインの際のユーザ認証に用いられるものである。また、上述のユーザ設定情報は、当該ユーザ設定情報に対応するユーザのユーザ名およびパスワードと対応付けて記憶部4に記憶されている。なお、保守員は、ユーザ情報管理テーブル30には登録されておらず、保守員用のパスワードが設けられている。この保守員用のパスワードは、記憶部4に記憶されている。
【0033】
アカウンティング情報は、画像形成装置1が実施したジョブの履歴であり、プリントジョブ、コピージョブ、スキャンジョブの終了状況、オーナー名(ユーザ名)、処理時間、総ページ数、部数等の情報を含む。アカウンティング情報は、課金等のために用いられる情報である。
【0034】
チャージカウント設定情報は、課金条件に関する設定情報である。チャージカウント設定情報は、例えば、用紙のサイズごとのカラー/白黒印刷別の単価等の情報を含む。
【0035】
画調設定情報は、印刷画像の調整に関する設定情報である。例えば、画像形成部3がインクジェット方式の印刷機構を有するものである場合、画調設定情報は、印字ヘッドから吐出される1ドロップのインク量等の情報を含む。
【0036】
ユーザ種別によって、記憶部4に記憶された各種データのなかでアクセスできるデータが異なる。すなわち、ユーザ種別により記憶部4に記憶されたデータへのアクセス権限が異なる。ユーザは、自身にアクセス権限のないデータにアクセスして内容の確認、操作等することはできない。
【0037】
上記3つのユーザ種別のうち、最もアクセス権限が小さいのは、管理者権限を持たない一般ユーザである。一般ユーザは、自身のユーザ設定情報にのみアクセス権限がある。管理者ユーザは、一般ユーザよりも大きなアクセス権限を有し、各一般ユーザのユーザ設定情報に加えて、管理者設定情報およびアカウンティング情報へのアクセス権限を有する。保守員は、管理者ユーザよりもさらに大きなアクセス権限を有し、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、アカウンティング情報に加えて、画像形成装置1の運用に重大な影響を与える情報であるチャージカウント設定情報、画調設定情報へのアクセス権限を有している。チャージカウント設定、画調設定は、保守員によってのみ、設定変更可能である。
【0038】
記憶部5は、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性のメモリからなり、画像形成装置1に固有の機器識別情報であるシリアル番号を記憶している。記憶部5は、請求項の機器識別情報記憶部に相当する。
【0039】
バックアップ用記憶部6は、不揮発性のメモリからなり、記憶部4に記憶された各種データのバックアップデータを記憶する。バックアップ用記憶部6は、画像形成装置1に着脱可能なUSBメモリ等でもよいし、画像形成装置1内に固定のメモリでもよい。
【0040】
操作パネル部7は、各種の情報を表示する液晶表示パネル等を有する表示部71と、ユーザが各種操作を行うための操作ボタンおよびタッチパネル等を有する入力部72とを備える。ユーザは、入力部72により、ログイン等の操作を行うことができる。
【0041】
通信処理部8は、ネットワーク10を介してPC20との通信を行うための処理を行う。
【0042】
制御部9は、画像形成装置1における制御的な処理を行う。制御部9は、画像形成装置1内に備えられたCPU、メモリ、画像処理装置等によって機能モジュールとして構成することができる。
【0043】
制御部9は、画像処理部91と、画像形成制御部92と、表示制御部93と、データ処理部94とを備える。
【0044】
画像処理部91は、画像読取部2で原稿を読み取って得た画像データ、あるいはPC20から送られた印刷データに対する画像処理を行う。
【0045】
画像形成制御部92は、画像処理部91で処理された画像データに基づき、画像形成部3に印刷動作を行わせる。
【0046】
表示制御部93は、表示部71の表示を制御する。
【0047】
データ処理部94は、認証部941と、バックアップ処理部942と、復元処理部943とを備える。
【0048】
認証部941は、ログインの際のユーザ認証を行う。
【0049】
バックアップ処理部942は、ユーザの指示に応じて、記憶部4に記憶されたデータをバックアップする処理を行う。バックアップ処理部942は、バックアップデータをバックアップ用記憶部6に記憶させる。本実施の形態では、バックアップ処理部942は、画像形成装置1にログインしてバックアップを指示したユーザのユーザ種別にかかわらず、バックアップ対象のすべてのデータをバックアップする処理を行う。
【0050】
復元処理部943は、ユーザの指示に応じて、バックアップ用記憶部6のバックアップデータにより記憶部4のデータを復元する(記憶部4にデータを書き戻す)処理を行う。復元処理部943は、画像形成装置1にログインして復元を指示したユーザのユーザ種別に基づいて、バックアップデータにより記憶部4に復元させるデータの種類を決定する。例えば、管理者ユーザがデータの復元を指示した場合、復元処理部943は、バックアップデータに基づいて、管理者ユーザがアクセス権限を有するデータである、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、およびアカウンティング情報の復元を行う。
【0051】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
【0052】
ここでは、一般ユーザが画像形成装置1を使用するために、ログインが必要な設定であるとする。このような設定は、管理者ユーザが管理者権限で行うことができる。なお、管理者ユーザが管理者権限で設定操作等を行う場合や、保守員が設定操作等を行う場合は、必ずログインする必要がある。
【0053】
ログインする際、一般ユーザおよび管理者ユーザは、入力部72により、ユーザ名およびパスワードを入力してログインする操作を行う。保守員は、入力部72により、パスワードを入力して保守員としてのログイン操作を行う。なお、一般ユーザおよび管理者ユーザは、PC20を操作してログインを行うこともできる。
【0054】
ログインの操作が行われると、認証部941は、パスワードの照合を行って認証の可否を判断する。一般ユーザの場合、認証部941は、入力されたパスワードと、記憶部4に記憶されたユーザ情報管理テーブル30のパスワードとを照合し、パスワードが一致すればログインを許可する。管理者ユーザの場合、認証部941は、入力されたパスワードとユーザ情報管理テーブル30のパスワードとを照合し、パスワードが一致し、かつ当該ユーザが管理者権限を有する場合、管理者としてのログインを許可する。保守員の場合、認証部941は、入力されたパスワードと記憶部4に記憶されている保守員用のパスワードとを照合し、パスワードが一致すれば保守員としてのログインを許可する。パスワードが不一致で認証不可の場合には、認証部941は、再度パスワードの入力を促すメッセージ等を表示制御部93により表示部71に表示させる。以上のようにログインが行われる。
【0055】
次に、画像形成装置1におけるバックアップ処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
図3に示すフローチャートの処理は、ログインしているユーザが、入力部72またはPC20を操作してバックアップの実行を指示するのに応じて開始となる。
【0057】
ここで、バックアップ処理部942は、記憶部4に記憶されたすべてのバックアップ対象のデータ(ユーザ設定情報、管理者設定情報、アカウンティング情報、チャージカウント設定情報、画調設定情報)を、所定のタイミングで自動的に、記憶部4の記憶媒体における別の領域にコピーしている。上記所定のタイミングは、例えば、画像形成装置1の電源ON時、シャットダウン時、スリープ時、ジョブ終了時、アイドル移行時等とすることができる。
【0058】
ユーザ操作によりバックアップの実行が指示されると、ステップS10において、バックアップ処理部942は、上述のように予め記憶部4の記憶媒体における別の領域にコピーしているすべてのバックアップ対象のデータを読み出す。
【0059】
次いで、ステップS20において、バックアップ処理部942は、ステップS10で記憶部4から読み出したデータをファイル化する処理等を行ってバックアップデータを生成する。この際、バックアップ処理部942は、記憶部5から画像形成装置1のシリアル番号を読み出し、このシリアル番号をバックアップデータに含める。
【0060】
そして、ステップS30において、バックアップ処理部942は、ステップS20で生成したバックアップデータをバックアップ用記憶部6に記憶させる。
【0061】
以上によりバックアップ処理が終了する。本実施の形態では、上述のように、バックアップを指示したユーザのユーザ種別にかかわらず、バックアップ対象のすべてのデータがバックアップされる。
【0062】
次に、バックアップデータにより記憶部4のデータを復元する処理について説明する。
【0063】
例えば、画像形成装置1において、ユーザが誤って設定を変更したりデータを消去したりしてしまうことがある。このような場合等に、ユーザの指示により、バックアップデータによる記憶部4のデータの復元を行うことがある。
【0064】
また、記憶部4の記憶媒体の損傷により、データが消失することがある。このような場合、記憶部4の記憶媒体を新たなものに交換した後、バックアップデータにより記憶部4のデータを復元することが行われる。なお、この記憶部4の記憶媒体の交換時のデータの復元は、保守員のみが行うことができる。この場合、新たな記録媒体に保守員用のパスワードが予め記憶されており、これにより、認証部941は、ログイン操作時の認証を行うことができる。
【0065】
図4は、バックアップデータにより記憶部4のデータを復元する処理の手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理は、ログインしているユーザが、入力部72またはPC20を操作してデータの復元の実行を指示するのに応じて開始となる。
【0066】
ステップS110において、復元処理部943は、バックアップ用記憶部6からバックアップデータを読み出す。
【0067】
次いで、ステップS120において、復元処理部943は、ログインしているユーザが一般ユーザであるか否かを判断する。
【0068】
復元処理部943は、ログインしているユーザが一般ユーザであると判断した場合(ステップS120:YES)、ステップS130において、バックアップデータにおける、当該ユーザに対応するユーザ設定情報を、記憶部4に書き込む。この際、当該ユーザのユーザ設定情報が記憶部4に存在している場合は、復元処理部943は、バックアップデータにおける当該ユーザのユーザ設定情報を上書きする。
【0069】
ここで、例えば、ユーザが誤って自身のユーザ設定情報を消去してしまったためにバックアップデータを用いた復元を指示したような場合では、記憶部4に当該ユーザのユーザ設定情報は存在しないため、上書きは行われない。一方、ユーザが誤って自身のユーザ設定情報を変更してしまい、元の設定に戻したいためにバックアップデータを用いた復元を指示したような場合では、記憶部4に当該ユーザのユーザ設定情報が存在するため、上書きが行われる。
【0070】
復元処理部943は、ログインしているユーザが一般ユーザでないと判断した場合(ステップS120:NO)、ステップS140において、ログインしているユーザが、管理者ユーザであるか否かを判断する。
【0071】
復元処理部943は、ログインしているユーザが管理者ユーザであると判断した場合(ステップS140:YES)、ステップS150において、バックアップデータにおける、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、およびアカウンティング情報を、記憶部4に書き込む。この際、これらの情報が記憶部4に存在している場合は、復元処理部943は、バックアップデータにおけるこれらの情報を上書きする。
【0072】
復元処理部943は、ログインしているユーザが管理者ユーザでないと判断した場合(ステップS140:NO)、つまり、ログインしているユーザが保守員であると判断した場合、ステップS160に進む。ステップS160では、復元処理部943は、バックアップデータにおける、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、アカウンティング情報、チャージカウント設定情報、および画調設定情報を、記憶部4に書き込む。この際、これらの情報が記憶部4に存在している場合は、復元処理部943は、バックアップデータにおけるこれらの情報を上書きする。以上により、記憶部4のデータの復元処理が終了する。
【0073】
なお、ユーザが画像形成装置1を使用するのにログインが不要な設定とすることもできる。
【0074】
ログインが不要な設定の場合においても、ユーザ操作によりバックアップの実行が指示されると、前述した図3のフローチャートのバックアップ処理と同様に、バックアップ処理部942は、バックアップ対象のすべてのデータをバックアップする。
【0075】
一方、ログインが不要な設定の場合に、ユーザ操作によりデータの復元の実行が指示されると、復元処理部943は、バックアップデータにおける、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、およびアカウンティング情報を、記憶部4に書き込む。つまり、この場合、復元処理部943は、データの復元の実行を指示したユーザが管理者ユーザである場合と同様の扱いとする。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像形成装置1は、バックアップ処理を指示したユーザのユーザ種別にかかわらず、すべてのバックアップ対象のデータをバックアップする。これにより、例えば、時折しか訪れない保守員に限らず、一般ユーザのバックアップ指示によっても、保守員しかアクセス権限のないデータまで最新の状態でバックアップされる。その一方、バックアップデータにより記憶部4のデータを復元する際は、画像形成装置1は、復元を指示したユーザのユーザ種別に基づいて、復元するデータの種類を決定する。これにより、例えば、一般ユーザは、保守員しかアクセス権限のないデータの復元を行わせることはできない。したがって、画像形成装置1では、ユーザ種別に応じたアクセス権限を超えたデータ操作を回避しつつ、バックアップデータを用いて最新のデータを復元することが可能となる。
【0077】
なお、上記実施の形態では、復元処理時において、バックアップデータにより上書きされるデータが記憶部4にある場合は自動的に上書きが行われるものとして説明したが、上書きを行うか否かをユーザに選択させるための確認画面を表示部71に表示するようにしてもよい。この場合、復元処理部943は、例えば、図5に示すような確認画面40を、表示制御部93により表示部71に表示させる。また、復元処理時にバックアップデータにより上書きされるデータが記憶部4にある場合に、上書きを行うか否かを管理者権限により設定できるようにしてもよい。以上のようにすることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0078】
また、バックアップ処理部942は、バックアップ処理の際に、バックアップデータを暗号化するようにしてもよい。これにより、情報の漏洩を防止することができる。
【0079】
また、バックアップ処理部942は、バックアップデータを、PC20が備える記憶装置に記憶させるようにしてもよい。この場合、復元処理時には、復元処理部943は、バックアップデータをPC20からネットワーク10を介して取得する。
【0080】
また、復元処理部943は、復元処理時において、バックアップデータに含まれたシリアル番号と、記憶部5に記憶されているシリアル番号との照合を行うようにしてもよい。この場合、復元処理部943は、上記2つのシリアル番号が一致しなければ復元処理を実行しないようにする。例えば、バックアップ用記憶部6が画像形成装置1に着脱可能なメモリ(USBメモリ等)である場合では、他の画像形成装置のバックアップデータを記憶したメモリが画像形成装置1に装着される可能性もある。そこで、復元処理部943は、上記のようなシリアル番号の照合を行うことで、確実に自装置のバックアップデータから復元処理を行うことができる。
【0081】
ここで、上記2つのシリアル番号が一致しない場合でも、一部の情報についての復元処理は実行可能としてもよい。例えば、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、およびアカウンティング情報についての復元処理は実行可能としてもよい。このようにすれば、必要に応じて、バックアップデータを用いて複数の画像形成装置に同様のユーザ設定や管理者設定を行ったり、同様のアカウンティング情報を記憶させたりすることが可能になる。
【0082】
また、ログインが不要な設定の場合に、データの復元の実行が指示されたとき、復元処理部943は、バックアップデータに含まれるユーザ情報管理テーブル30における管理者権限を有するユーザのユーザ名およびパスワードと、記憶部4に記憶されているユーザ情報管理テーブル30における管理者権限を有するユーザのユーザ名およびパスワードとの照合を行うようにしてもよい。この場合において、照合したユーザ名およびパスワードが一致した場合に、復元処理部943は、各一般ユーザのユーザ設定情報、管理者設定情報、およびアカウンティング情報データの復元処理を行うものとする。このようにすることで、ログインが不要な設定の場合において、適切なデータの復元を行うことが可能となる。
【0083】
また、画像形成装置1にICカードリーダを設け、一般ユーザおよび管理者ユーザのログインの方法として、パスワードの入力にかえて、ユーザの識別情報を記録したICカードの読み取りを行うようにしてもよい。さらに、パスワードの入力とICカードの読み取りとを併用するようにしてもよい。
【0084】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
4,5 記憶部
6 バックアップ用記憶部
7 操作パネル部
9 制御部
40 確認画面
71 表示部
72 入力部
93 表示制御部
94 データ処理部
942 バックアップ処理部
943 復元処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたバックアップ対象のすべてのデータをバックアップするバックアップ処理部と、
ユーザの指示に応じて、バックアップデータにより前記記憶部のデータを復元する復元処理部とを備え、
前記復元処理部は、復元を指示したユーザの、前記記憶部の各種データへのアクセス権限に応じたユーザ種別に基づいて、バックアップデータにより前記記憶部に復元させるデータの種類を決定することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
復元時において、前記記憶部に、バックアップデータにより上書きされるデータがある場合、上書きを行うか否かをユーザに選択させるための確認画面を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器に固有の機器識別情報を記憶する機器識別情報記憶部をさらに備え、
前記バックアップ処理部は、バックアップデータに機器識別情報を含ませ、
前記復元処理部は、復元時において、バックアップデータに含まれる機器識別情報と、前記機器識別情報記憶部に記憶された機器識別情報とを照合することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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