説明

電子機器

【課題】 各種の電子機器において、電源変換時の電力損失を減らし、電子機器を省電力化すること。
【解決手段】 一実施形態における電子機器は、外部電源を取り込んで動作電力を生成する電源ユニットと、電力が充電されるバッテリと、前記電源ユニット又は前記バッテリからの電力供給を受けて動作する複数のデバイスと、これら各デバイスを通常の消費電力にて動作させる通常モードにおいては前記電源ユニットにて生成される動作電力を前記各デバイスに供給させ、これら各デバイスによる消費電力を前記通常モードでの動作時よりも低減する低電力モードにおいては前記バッテリに蓄えられた電力を前記各デバイスに供給させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、POS(Point Of Sales)ターミナル等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の販売や役務の提供を行う店舗においては、POSターミナルやECR(Electric Cash Register)等の決済処理装置を用いて取引の会計が行われている。一般的なPOSターミナルは、レシートプリンタを備えており、このレシートプリンタを用いて取引の詳細情報が印刷されたレシートを発行する。上記レシートプリンタによるレシート印刷時には、多大な電力が消費される。通常はこの電力がPOSターミナルにおける最大消費電力となる。POSターミナルの電源装置は、この最大消費電力に合せて決定される定格電力値にて変換効率(AC−DC変換)が最も高くなるように設計されている。
【0003】
また、POSターミナルには、停電時にいきなり電断して記憶装置内のプログラムやデータなどが破損することを防ぐ目的でバッテリを搭載し、停電時にはこのバッテリによる駆動にて正常にシャットダウン処理を行う機能を備えたものもある。但し、日本のように電源事情が好ましい環境では停電が発生する可能性は極めて低く、POSターミナルが製造されてから廃棄されるまで一度も同バッテリが使用されないケースも多々ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−142584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レシートは、1取引において1枚発行される。ここで、あるPOSターミナルにて1日に会計する客数が500人、1枚のレシートが10cm、印字速度が240mm/秒とした場合、1日のうちでPOSターミナルがレシートを印刷している時間は、約4分となる。
【0006】
また、通常、レシート印刷時の次にPOSターミナルの消費電力が大きいのは、キーボードやスキャナを用いて商品登録に関わる処理が行われているときである。ここで、あるPOSターミナルにて商品登録に要する時間が1取引当り1分、1日に会計する客数が500人とした場合、1日のうちでPOSターミナルが商品登録を行う時間は、約8時間となる。
【0007】
これらのことから、一般的なPOSターミナルの稼働時間が1日当り約16時間とすると、そのうちの半分が商品登録に使用され、わずかな時間だけレシートプリンタが使用されていることになる。つまり、1日のうちの半分が停止状態となっている。しかしながら、少ない時間でもレシートプリンタを動作させるための電力を供給しなければならないので、装備する電源装置は上記した通りレシート印刷時の消費電力に合せる必要がある。そうすると、レシートを印刷するわずかな時間だけ高効率でAC−DC変換が行われるが、他の多くの時間は低効率でAC−DC変換が行われ、無駄な電力を消費していることになる。
【0008】
なお、ここに挙げた電力消費に関わる問題は、POSターミナルのみならず他種の電子機器でも同様に生じる問題である。
【0009】
以上のような事情から、各種の電子機器において、電源変換時の電力損失を減らし、電子機器を省電力化するための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態における電子機器は、外部電源を取り込んで動作電力を生成する電源ユニットと、電力が充電されるバッテリと、前記電源ユニット又は前記バッテリからの電力供給を受けて動作する複数のデバイスと、これら各デバイスを通常の消費電力にて動作させる通常モードにおいては前記電源ユニットにて生成される動作電力を前記各デバイスに供給させ、これら各デバイスによる消費電力を前記通常モードでの動作時よりも低減する低電力モードにおいては前記バッテリに蓄えられた電力を前記各デバイスに供給させる制御手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係るPOSターミナルの要部構成を示すブロック図。
【図2】同POSターミナルの電源供給に関する回路構成を示す図。
【図3】同POSターミナルの基本的な電源制御を説明するためのフローチャート。
【図4】同POSターミナルの停電時における電源制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、この実施形態においては、電子機器の一例として、商品の販売や役務の提供を行う店舗にて会計処理に使用されるPOSターミナルを開示する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るPOSターミナル1の要部構成を示すブロック図である。このPOSターミナル1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)2を備える。このCPU2には、チップセットやバスライン等を介してROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、通信I/F(Interface)5、バーコードスキャナ6、HDD(Hard Disk Drive)7、キーボード8、ディスプレイ9、タッチパネル10、カードリーダ11、レシートプリンタ12等が接続されている。ROM3には、POSターミナル1に商品登録処理等の動作を実現させるための制御プログラムを始めとし、各種の固定的データが記憶されている。RAM4は、POSターミナル1のメインメモリとして機能するものであり、処理場面に応じて種々の作業用記憶エリアが形成される。
【0014】
通信I/F5は、店舗内のLAN(Local Area Network)やインターネットに接続された各種機器との間で、通信ケーブル5aを介して各種のデータを送受信する。バーコードスキャナ6は、例えば店員が手持で操作するハンディタイプのスキャナであり、バーコードを光学的に読み取る。このバーコードスキャナ6によって商品に付されたバーコードを読み取ることにより、当該商品の識別情報であるPLUコードが入力される。PLUコードが入力されると、CPU2の制御の下で当該コードに対応する商品の価格や名称等の商品データがHDD7等に記憶された商品マスタから特定され、RAM4に生成された商品登録バッファに登録される。
【0015】
キーボード8は、商品登録の開始を宣言するためのPLU(Price Look Up)キー、取引の締めを宣言するための締めキー、0〜9の数字を置数するためのテンキー等で構成されている。締めキーが操作されると、CPU2の制御の下で、商品登録バッファに登録された商品データに基づき取引の合計代金が算出されるとともに、現金や電子マネーによる周知の手順の支払処理が実行される。また、キーボード8には、例えば店員が所持する鍵が挿入されたときに回動可能となる鍵スイッチ13が設けられている。この鍵スイッチ13の回動により、POSターミナル1の動作モードが、例えば商品登録業務を行う商品登録モードや、POSターミナル1を休止状態に移行させる休止モードなどの間で切り替わる。
【0016】
商品登録モードにおいては、POSターミナル1の操作責任者の登録が要求され、この登録を行わないと商品登録業務を行えないようになっている。操作責任者が登録されていない状態において、例えばキーボード8を操作すること、あるいはバーコードスキャナ6により店員が所持する名札に印刷されたバーコードを読み取ることなどで店員の識別情報が入力されると、CPU2の制御の下で、当該識別情報で示される店員が操作責任者として登録される。その後、キーボード8の操作によって操作責任者の登録解除が宣言されたり、鍵スイッチ13によりPOSターミナル1の動作モードが商品登録業務以外のモードに切り替えられたりすると、CPU2の制御の下で、操作責任者の登録が解除される。このような操作責任者の登録および登録解除に関してCPU2が実行する処理等は、本実施形態における責任者登録手段を構成する。
【0017】
上記休止モードや商品登録モードにて操作責任者が登録されていない状態(以下、低電力モード)においては、POSターミナル1が備えるデバイスの少なくとも一部を、商品登録モードにて操作責任者が登録されている状態(以下、通常モード)よりも低い電力で動作させるか、あるいは各デバイスのうちの少なくとも一部の動作を停止させることで、各デバイスによる消費電力が上記通常モードでの動作時よりも低減される。なお、鍵スイッチ13の操作や操作責任者の登録/解除に起因して、通常モードと低電力モードとを切り替える際にCPU2が実行する処理等は、本実施形態における切替手段を構成する。
【0018】
ディスプレイ9は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、商品登録バッファに登録された商品データや、取引の合計代金等の情報を表示する。タッチパネル10は、ディスプレイ9の表示面上に設けられ、ディスプレイ9に表示されたGUI(Graphical User Interface)に対する接触操作を検知する。カードリーダ11は、ICタイプあるいは磁気タイプのクレジットカードやポイントカードから、クレジット情報やポイント情報等を読み取る。
【0019】
レシートプリンタ12は、例えばサーマルプリンタであり、取引の締めが宣言されたときに、商品登録バッファに登録された商品データ、合計代金、預かり金額、釣銭額、店舗に関する情報、登録中の操作責任者に関する情報等をレシート用紙に印刷し、POSターミナル1の筐体に設けられたレシート排出口から発行する。
【0020】
次に、POSターミナル1が備える電源供給に関する回路(以下、電源回路)の構成につき、図2を用いて説明する。
【0021】
POSターミナル1の電源回路は、電源ユニット20、バッテリ21、PNP型のトランジスタ22a,23a,24a、電源リレー回路22b、充電リレー回路23b、バッテリリレー回路24b、電流を整流するためのダイオード22c,23c,24c、電圧監視回路25、複数のDC−DC変換回路30-1〜30-n、および制御回路40等で構成される。電源ユニット20は、ACコンセントを介して商用交流電源等の外部電源(AC入力)を取り込み、取り込んだ外部電源をDC電源に変換し、例えば12V,5V,3.3VのDC電圧(DC出力)を生成する。この電源ユニット20は、POSターミナル1の定格電力を考慮して設計されており、POSターミナル1の消費電力が上記定格電力に近づくほどAC−DC変換効率が高くなる。なお、POSターミナル1の消費電力は、レシートプリンタ12によるレシート印字時に最大となり、このときの消費電力に合せて上記定格電力が定められている。
【0022】
また、電源ユニット20は、外部電源からの電力供給が停止したときに停電を検出し、信号C1を制御回路40に出力する機能を備える。トランジスタ22aのエミッタは電源ユニット20に接続され、コネクタはダイオード22cを介して各変換回路30-1〜30-nに接続され、ベースは電源リレー回路22bに接続されている。
【0023】
トランジスタ23aのエミッタは電源ユニット20に接続され、コネクタはダイオード23cを介してバッテリ21に接続され、ベースは充電リレー回路23bに接続されている。トランジスタ24aのエミッタはバッテリ21に接続され、コネクタはダイオード24cを介して各変換回路30-1〜30-nに接続され、ベースはバッテリリレー回路24bに接続されている。
【0024】
電圧監視回路25は、バッテリ21の蓄電残量不足を検出する。具体的には、電圧監視回路25は、バッテリ21の電圧を監視し、この電圧が予め定められた基準値を下回ったときに、制御回路40に信号C2を出力する。上記基準値は、バッテリ21の残量が不足している場合の電圧値と、そうでない場合の電圧値とを隔てる値に設定されている。
【0025】
制御回路40は、所定のタイミングで電源リレー回路22b、充電リレー回路23b、バッテリリレー回路24bに対して制御信号を出力し、各回路22b〜24bをオン/オフする。制御回路40は、例えば上記CPU2、チップセット、ROM3、RAM4等で構成される。あるいは、制御回路40は、CPU2等とは別途に設けられたプロセッサやメモリにて構成されてもよい。
【0026】
電源リレー回路22bは、制御回路40によってオンされると、トランジスタ22aのベースに電流を供給する。これによりトランジスタ22aのエミッタ,コレクタ間が導通し、電源ユニット20にて生成されたDC電源が各変換回路30-1〜30-nに供給される。また、電源リレー回路22bは、制御回路40によってオフされると、トランジスタ22aのベースへの電流供給を停止する。これによりトランジスタ22aのエミッタ,コレクタ間が非導通となり、電源ユニット20から各変換回路30-1〜30-nへの電源供給が停止される。
【0027】
充電リレー回路23bは、制御回路40によってオンされると、トランジスタ23aのベースに電流を供給する。これによりトランジスタ23aのエミッタ,コレクタ間が導通し、電源ユニット20にて生成されたDC電源がバッテリ21に供給される。バッテリ21は、電源ユニット20から供給されるDC電源にて充電される。また、充電リレー回路23bは、制御回路40によってオフされると、トランジスタ23aのベースへの電流供給を停止する。これによりトランジスタ23aのエミッタ,コレクタ間が非導通となり、電源ユニット20からバッテリ21への電源供給が停止される。
【0028】
バッテリリレー回路24bは、制御回路40によってオンされると、トランジスタ24aのベースに電流を供給する。これによりトランジスタ24aのエミッタ,コレクタ間が導通し、バッテリ21に蓄電された電力がDC電源として各変換回路30-1〜30-nに供給される。また、バッテリリレー回路24bは、制御回路40によってオフされると、トランジスタ24aのベースへの電流供給を停止する。これによりトランジスタ24aのエミッタ,コレクタ間が非導通となり、バッテリ21から各変換回路30-1〜30-nへの電源供給が停止される。
【0029】
各変換回路30-1〜30-nは、電源ユニット20から供給されるDC電源に基づき所定の回路電圧V1,V2,V3・・・Vnを生成し、通信I/F5、バーコードスキャナ6、HDD7、キーボード8、ディスプレイ9、タッチパネル10、カードリーダ11、レシートプリンタ12等のデバイスに供給する。各デバイスは、この回路電圧V1,V2,V3・・・Vnにて駆動される。
【0030】
次に、本実施形態に係るPOSターミナル1の電源制御に関わる動作について、図3,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0031】
POSターミナル1の筐体に設けられた電源スイッチがオンされると、電源ユニット20が外部電源を取り込んでDC電源の生成を開始する。制御回路40は、このDC電源の供給を受けて動作を開始し、バッテリリレー回路24bをオフし(ステップS1)、電源リレー回路22bをオンし(ステップS2)、充電リレー回路23bをオンする(ステップS3)。これにより、電源ユニット20にて生成されたDC電源が各変換回路30-1〜30-nに供給され、各変換回路30-1〜30-nが回路電圧V1〜Vnを生成して各デバイスに供給する。また、電源ユニット20にて生成されたDC電源がバッテリ21に供給され、バッテリ21が充電される。
【0032】
その後、BIOS(Basic Input/Output System)による各デバイスの診断・初期化処理等を経て、CPU2の制御の下でオペレーティングシステムが起動される。オペレーティングシステムが起動されると、鍵スイッチ13にて指定された動作モードにおける処理が実行される。
【0033】
各動作モードにおける処理が実行されている間、制御回路40は、ステップS4以降の処理を実行する。すなわち、先ず制御回路40は、電源ユニット20からの出力に基づき、外部電源が停電したか否かを判定する(ステップS4)。電源ユニット20から信号C1が出力されていないならば、外部電源が停電していないと判定し(ステップS4のNo)、制御回路40は、現在の動作モードが上記通常モードであるか否かを判定する(ステップS5)。現在の動作モードが通常モードである場合(ステップS5のYes)、制御回路40は、バッテリリレー回路24bをオフし(ステップS6)、電源リレー回路22bをオンし(ステップS7)、充電リレー回路23bをオンする(ステップS8)。その後、ステップS4の処理に戻る。このとき、ステップS1〜S3の場合と同様に、電源ユニット20にて生成されたDC電源が各変換回路30-1〜30-nに供給され、各変換回路30-1〜30-nが回路電圧V1〜Vnを生成して各デバイスに供給する。また、電源ユニット20にて生成されたDC電源がバッテリ21に供給され、バッテリ21が充電される。
【0034】
このように、POSターミナル1が通常モードで動作している間は、電源ユニット20にて生成されるDC電源に基づいて回路電圧V1〜Vnが生成され、この回路電圧V1〜Vnにて各デバイスが駆動される。
【0035】
一方、現在の動作モードが上記低電力モードである場合(ステップS5のNo)、制御回路40は、充電リレー回路23bをオフし(ステップS10)、バッテリリレー回路24bをオンし(ステップS11)、電源リレー回路22bをオフする(ステップS12)。その後、ステップS4の処理に戻る。このとき、バッテリ21から各変換回路30-1〜30-nにDC電源が供給され、各変換回路30-1〜30-nが回路電圧V1〜Vnを生成して各デバイスに供給する。
【0036】
このように、POSターミナル1が低電力モードに切り替えられたときには、バッテリ21から供給されるDC電源に基づいて回路電圧V1〜Vnが生成され、この回路電圧V1〜Vnにて各デバイスが駆動される。また、バッテリ21の充電は中止される。また、停電等により外部電源の供給が停止されると(ステップS4のYes)、図4に示した処理が行われる。すなわち制御回路40は、充電リレー回路23bをオフし(ステップS13)、バッテリリレー回路24bをオンし(ステップS14)、電源リレー回路22bをオフする(ステップS15)。このとき、バッテリ21から各変換回路30-1〜30-nにDC電源が供給され、各変換回路30-1〜30-nが回路電圧V1〜Vnを生成して各デバイスに供給する。すなわち、停電直前まで電源ユニット20からのDC電源にて各デバイスが駆動されていたとしても、これら各デバイスの駆動電源がバッテリ21に切り替わる。
【0037】
この状態で、CPU2の制御の下でオペレーティングシステムのシャットダウン処理が実行される(ステップS16:シャットダウン処理手段)。このシャットダウン処理では、少なくとも作業中のデータがHDD7に保存される。
【0038】
続いて、以上説明した構成による作用について説明する。
鍵スイッチ13の操作によりPOSターミナル1の動作モードが商品登録モードに設定され、操作責任者が登録された状態においては、バーコードスキャナ6によるバーコードの読み取り、ディスプレイ9への各種情報の表示、カードリーダ11によるカードの読み取り、レシートプリンタ12によるレシートの印刷等が行われるので、消費電力が比較的高くなる。このとき、電源ユニット20から供給されるDC電源を用いてバーコードスキャナ6、ディスプレイ9、カードリーダ11、レシートプリンタ12等のデバイスが駆動される(ステップS4のNo、S5のYes、S6〜S8)。既述の通り電源ユニット20は、消費電力が高いときに良好なAC−DC変換効率を発揮するので、このように商品登録業務が行われている間のAC−DC変換による電力損失は抑えられる。
【0039】
店舗への来店数が少ない時間帯などには、店員が鍵スイッチ13を操作したり、責任者登録を解除してPOSターミナル1の動作モードを低電力モードに切り替える。そうすると、例えばディスプレイ9を消灯したり、レシートプリンタ12が備えるサーマルヘッドの予熱を中止したりして、POSターミナル1の消費電力が低減される。このとき、バッテリ21から供給されるDC電源を用いてバーコードスキャナ6、ディスプレイ9、カードリーダ11、レシートプリンタ12等のデバイスが駆動される(ステップS4のNo、S5のNo、S10〜S12)。また、バッテリ21の充電も中止される。したがって、AC−DC変換による電力損失は生じない。電源ユニット20は、消費電力が低いときにはAC−DC変換効率が悪化するので、このように休止モードに切り替わったときにAC−DC変換を行わないようにすれば、同変換による電力損失がカットされる。すなわち、各モードでの動作時を通してみれば、POSターミナル1が省電力化されることになる。
【0040】
但し、バッテリ21の残量が低下した場合には、電源ユニット20からDC電源の供給を受けて各デバイスが動作する(ステップS4のNo、S5のNo、S9のYes、S6〜S8)。したがって、バッテリ21の残量切れによりPOSターミナル1が動作停止するような事態は生じない。
【0041】
さらに、停電時にはバッテリ21からの電源供給を受けて各デバイスが動作し、オペレーティングシステムがシャットダウンされ、作業中のデータが保存される(ステップS4のYes、S13〜S16)。したがって、作業中のデータが停電により破損あるいは消失することはない。また、このように停電時にシャットダウンを行うための電力を供給するバッテリを用いてPOSターミナル1の省電力化が実現されるので、従来は使用機会の少なかったハードウェア資源が有効に活用される。
【0042】
ここに例示したものの他にも、本実施形態に開示した構成からは、種々の好適な効果が得られる。
【0043】
上記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0044】
上記実施形態では、電子機器の一例として、POSターミナル1を例示した。しかしながら、上記実施形態にて開示した電源制御に関わる構成等を、他の電子機器、例えばECR、プリンタ、複合機、事務用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、サーバ装置、PDA等の他の機器に適用してもよい。
【0045】
上記実施形態では、POSターミナル1が鍵スイッチ13の操作や、操作責任者の登録/解除に起因して低電力モードに移行したときに各デバイスの駆動電源がバッテリ21に切り替わる場合を例示した。しかしながら、低電力モードに移行するタイミングは、例えばPOSターミナル1に対する操作が所定時間行われなかったときなど、他のタイミングであってもよい。
【0046】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 POSターミナル
9 ディスプレイ
12 レシートプリンタ
13 鍵スイッチ
20 電源ユニット
21 バッテリ
22a〜24a トランジスタ
22b 電源リレー回路
23b 充電リレー回路
24b バッテリリレー回路
25 電圧監視回路
30 DC-DC変換回路
40 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源を取り込んで動作電力を生成する電源ユニットと、
電力が充電されるバッテリと、
前記電源ユニット又は前記バッテリからの電力供給を受けて動作する複数のデバイスと、
これら各デバイスを通常の消費電力にて動作させる通常モードにおいては前記電源ユニットにて生成される動作電力を前記各デバイスに供給させ、これら各デバイスによる消費電力を前記通常モードでの動作時よりも低減する低電力モードにおいては前記バッテリに蓄えられた電力を前記各デバイスに供給させる制御手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記バッテリは、前記通常モードにおいて前記電源ユニットからの電力供給を受けて充電されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記バッテリの残量不足を検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段によって前記バッテリの残量不足が検出されたとき、前記バッテリから前記各デバイスへの電力供給を停止し、前記電源ユニットにて生成される動作電力を前記各デバイスに供給させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記外部電源が停電したとき、前記バッテリに蓄えられた電力を用いて当該電子機器をシャットダウン処理するシャットダウン処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
当該電子機器の操作者を登録及び登録解除する操作者登録手段をさらに備え、
前記操作者登録手段によって操作者が登録されたときに前記通常モードに切り替え、前記操作者登録手段によって操作者の登録が解除されたときに低電力モードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
所定の操作鍵にて回動操作される鍵スイッチをさらに備え、
前記鍵スイッチの操作に応じて前記通常モード及び低電力モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−20516(P2013−20516A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154459(P2011−154459)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】