説明

電子管用高電圧発生装置

【課題】
モールドユニットを複雑な形状の外観にすることなく、使用する電気絶縁樹脂の量を大幅に節約できるので、装置全体の小型軽量化、低コスト化を実現すること。
【解決手段】
第1の高電圧用トランスの2次コイルと第1の高電圧整流回路と第1の高電圧抵抗器とフィラメント用トランスの2次コイルとを電気絶縁材料で一体的にモールドしてなる第1のモールドユニットと、第2の高電圧用トランスの2次コイルと第2の高電圧整流回路と第2の高電圧抵抗器とを電気絶縁材料で一体的にモールドしてなる第2のモールドユニットと、第1のモールドユニットの高電圧出力端子に第2のモールドユニットの高電圧出力端子を接続する高電圧コネクタ部とを備えることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管などフィラメントを有する各種の電子管に直流高電圧を供給するのに適した高電圧発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子管を負荷とする電子管装置、代表的なものとしてX線装置については随分と以前から多くのX線管用高電圧発生装置が開示されている。一般的なものとして、ダイオードとコンデンサとを互いに逆極性にカスケードに接続してなる一対のシングルのコッククロフト・ウォルトン回路を用いて正極性、負極性の直流高電圧を得、それら正極性と負極性の直流高電圧をX線管のアノードとフィラメントとにそれぞれ印加している(例えば、特許文献1参照)。フィラメントにはフィラメントを加熱するための電力を供給するフィラメント用トランス及び加熱用回路が備えられているのは勿論である。また、X線CT装置の場合には、高電圧発生装置は正極性と負極性の2出力を有する高電圧整流回路を備え、それぞれの高電圧トランスの2次側は通常、中性点接地方式であり、負極性の直流高電圧がフィラメントに印加される。高電圧整流回路としてはシングルのコッククロフト・ウォルトン回路よりも大きな高電圧出力が得られるダブル・コッククロフト・ウォルトン回路と呼ばれている周知の回路が用いられる場合が多い(例えば、特許文献2参照)。その他にもいろいろな回路構成が既に開示されている。
【0003】
このような高電圧発生装置としては、電気絶縁を確保するために油タンク内に高電圧発生部分を電気絶縁性油内に浸漬するもの(例えば、特許文献3参照)、あるいは高電圧発生部分を電気絶縁樹脂でモールドするものが一般的である(例えば、特許文献4参照)。前掲の特許文献3に開示されているものは、鋼製ドラム内部に高電圧整流回路、高電圧トランスなどを収納し、電気絶縁油を充填して必要な電気絶縁を確保し、天板で蓋をする構造であり、その天板には前記電気絶縁油内に延びる正極、負極の高電圧出力コネクタが備えられている。また、前掲の特許文献4に開示されているものは、電気絶縁材料からなるケース内に延びる高電圧出力コネクタに電気絶縁板などを介して高電圧抵抗及び高電圧整流回路を構成する電子部品を取付け、エポキシ樹脂をケース内に充填して必要な電気絶縁性を確保する構造である。
【特許文献1】特開平07−298620号公報
【特許文献2】特開2003−257697公報
【特許文献3】特開平10−112398号公報
【特許文献4】特開平08−019258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1、2において開示された高電圧発生回路に限らず、本発明はフィラメント用トランスを備える従来開示されている種々の電子管用高電圧発生装置に適用できるが、前掲特許文献3、4の記載のようにフィラメント用トランスと高電圧出力端子との高電圧構造の関係などを示す特許文献などは見つかっていない。しかし、本件出願人が実施している従来の樹脂モールド型の高電圧発生装置では、図示しないが、高電圧トランス、高電圧発生回路、フィラメント用トランスなどから高電圧発生部はエポキシ樹脂のような電気絶縁性樹脂によって一体的にモールドされている。この場合には、電気絶縁性樹脂を注入して固化するまで、フィラメント用トランスの2次コイルを支持部材で支承しなければならず、電気絶縁性樹脂が固化した後には不要な支持部材をそのまま電気絶縁性樹脂に埋め込んでおかなければならないという問題点がある。また、高電圧出力端子に直列接続される高電圧抵抗器についても支持部材又はプリント基板が必要であり、それらも電気絶縁性樹脂が固化した後には不要であるにもかかわらず、そのまま電気絶縁性樹脂に埋め込んでおかなければならない。そして、これら支持部分を含めて電気絶縁性樹脂でモールドするので、高電圧発生部全体が大型化、重量化し、経済的にも不利になる。さらにまた、ユニットを増設して出力容量を増加させたい場合もある。しかし、このような場合、従来では装置全体を設計し直して高電圧発生装置全体を製造し、交換しなければならないなどの不都合があった。
【0005】
本発明はこれら問題点を解決し、ユニットごとに電気絶縁樹脂でモールドを行い、端部にコネクタ部を有する導電支持部材を高電圧出力導体として用いるばかりでなく、高電圧抵抗器、さらにはフィラメント用トランスの2次コイルを機械的に支承すると共に接続配線の役割もさせることによって、高電圧配線を簡略化し、高電圧発生部の組み立てを容易にすると同時に、使用する電気絶縁樹脂の節約を図って、小型軽量化及びコストダウンを図ることを主目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述のような問題を解決するため、第1の発明は、1次コイルと交流高電圧を発生する2次コイルとをそれぞれ有する第1、第2の高電圧用トランスと、前記それぞれの交流高電圧を直流高電圧に変換する第1、第2の高電圧整流回路と、その第1、第2の高電圧整流回路の出力にそれぞれ直列に接続されている第1、第2の高電圧抵抗器と、2次コイルに発生する交流高電圧を電子管のフィラメントに与えるためのフィラメント用トランスとを備える電子管用高電圧発生装置において、前記第1の高電圧用トランスの前記2次コイルと前記第1の高電圧整流回路と前記第1の高電圧抵抗器と前記フィラメント用トランスの前記2次コイルとを電気絶縁材料で一体的にモールドしてなる第1のモールドユニットと、前記第2の高電圧用トランスの前記2次コイルと前記第2の高電圧整流回路と前記第2の高電圧抵抗器とを電気絶縁材料で一体的にモールドしてなる第2のモールドユニットと、前記第1のモールドユニットの高電圧出力端子に前記第2のモールドユニットの高電圧出力端子を接続する高電圧コネクタ部とを備えることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0007】
第2の発明は、前記第1の発明において、前記第1のモールドユニットの前記高電圧出力端子は、前記高電圧抵抗器を支承する導電支持部材であって、前記第1のモールドユニット中に埋設されており、前記高電圧抵抗器の一端は前記導電支持部材に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0008】
第3の発明は、前記第2の発明において、前記導電支持部材の長手方向の両端部がコネクタ部になっていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0009】
第4の発明は、前記第2の発明又は前記第3の発明において、前記フィラメント用トランスの2次コイルは前記導電支持部材に支承されると共に、その一端は前記導電支持部材に接続され、また、他端はフィラメント用出力端子に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0010】
第5の発明は、前記第4の発明において、前記フィラメント用トランスの2次コイルは円環状のものであり、前記導電支持部材の長手方向に対して垂直方向に円環状になっていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0011】
第6の発明は、前記第3の発明ないし前記第5の発明のいずれかにおいて、前記第1のモールドユニットにおける前記第1の高電圧用トランスと前記第1の高電圧整流回路とは隣接して配置され、前記導電支持部材における双方の前記コネクタ部を結ぶ方向は、前記第1の高電圧用トランスと前記第1の高電圧整流回路との配置の方向とは垂直であることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0012】
第7の発明は、前記第2の発明ないし前記第6の発明のいずれかにおいて、前記導電支持部材は、第1の部材と該第1の部材と一体的に形成されている、又は該第1の部材に取り付けられている第2の部材とからなり、前記第1の部材は長手方向の両端に前記コネクタ部を備え、前記第1の部材と前記第2の部材とは十文字状になっており、前記フィラメント用トランスの2次コイルは前記第2の部材に取り付けられていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0013】
第8の発明は、前記第7の発明において、前記第2の部材は前記第1の部材の長手方向に対して垂直方向であると共に、前記第1の高電圧用トランスと前記第1の高電圧整流回路との配置方向に対して垂直方向に延びており、前記フィラメント用トランスは2個備えられ、これら二つのフィラメント用トランスのそれぞれの2次コイルは、前記第2の部材の両端部にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0014】
第9の発明は、前記第1の発明ないし前記第8の発明のいずれかにおいて、前記第2のモールドユニットの前記高電圧出力端子は、前記第2の高電圧抵抗器を支承する第2の導電支持部材であって、一端がコネクタ部になっており、前記第2の導電支持部材は前記第2のモールドユニット中に埋設されており、前記第2の高電圧抵抗器の一端は第2の前記導電支持部材に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供するものである。
【0015】
第10の発明は、前記第1の発明ないし前記第9の発明のいずれかにおいて、前記高電圧コネクタ部においては、前記第1の導電支持部材と前記第2の導電支持部材とは同軸上に位置することを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0016】
第11の発明は、前記第9の発明又は前記第10の発明において、前記高電圧コネクタ部において、前記第1の導電支持部材と前記第2の導電支持部材の前記コネクタ部は環状の弾性部材によって囲まれ、高電圧コネクタ部は、両側から互いに前記弾性部材を加圧するように組み合わされることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0017】
第12の発明は、1次コイルと2次コイルとを有する高電圧用トランスと、前記2次コイルに接続されている高電圧整流回路と、その高電圧整流回路の出力に直列に接続されている高電圧抵抗器と、1次コイルと2次コイルとを有するフィラメント用トランスとを備える電子管用高電圧発生装置において、前記高電圧整流回路からの直流高電圧が前記高電圧抵抗器を介して印加される導電支持部材を備え、前記高電圧抵抗器は前記導電支持部材によって支承され、前記導電支持部材の一方の端部はコネクタ部となっており、そのコネクタ部は高電圧コネクタによって高電圧出力導体に結合されることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【0018】
第13の発明は、前記第12の発明において、前記フィラメント用トランスの前記2次コイルは前記導電支持部材によって支承されると共に、その一端が前記導電支持部材に接続され、前記フィラメント用トランスの2次コイルの他端はフィラメント用出力端子に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
前記第1の発明によれば、回路ユニットごとに回路部品をまとめて電気絶縁樹脂でモールドし、ユニット同士を高電圧コネクタ部で接続する構造にしているので、モールドユニットを複雑な形状の外観にすることなく、使用する電気絶縁樹脂の量を大幅に節約できるので、装置全体の小型軽量化、低コスト化を実現することができる。
【0020】
前記第2の発明によれば、前記第1の発明が奏する効果の他に、直流高電圧出力端子となる導電支持部材が高電圧抵抗器を支承し、かつ電気的に接続する配線も兼ねているので、さらに一層高電圧発生部の組み立てを容易に行え、しかも小型軽量化、低コスト化が可能になる。
【0021】
前記第3の発明によれば、前記第2の発明が奏する効果の他に、他の高電圧部位との接続を容易に行うことができる。
【0022】
前記第4の発明によれば、前記第2の発明又は前記第3の発明が奏する効果の他に、直流高電圧出力端子となる導電支持部材にフィラメント用トランスの2次コイルを支承させると共に、電気的に接続する配線作用も行わせているので、高電圧発生部の組み立てが容易で、しかも小型軽量化、低コスト化が可能になる。
【0023】
前記第5の発明によれば、前記第4の発明が奏する効果の他に、フィラメント用トランスの2次コイルをコアの縦方向の磁脚に接触することなく安定に保持することができ、良好な電気絶縁性を確保できると共に、フィラメント用トランス部の樹脂モールド体の幅広を小さくでき、装置全体としてバランスの良い形状とすることができ、かつより一層、使用する電気絶縁樹脂の量を節約できるので、装置全体の小型軽量化、低コスト化が可能となる。
【0024】
前記第6の発明によれば、前記第3ないし前記第5の発明が奏する効果の他に、電気絶縁距離を確保し易い構造であるので、高電圧発生装置をより一層小型化、軽量化することができる。
【0025】
前記第7の発明によれば、前記第2の発明ないし前記第6の発明のいずれかが奏する効果の他に、フィラメント用トランスが2台で2次コイルが2個であっても導電支持部材の両端部に固定することができるので、それらを同一の高さに保持することができ、したがってそれぞれのコアも同一の高さに配置することができるので、より一層、組み立てが容易でモールドユニットを小型軽量化できる。
【0026】
前記第8の発明によれば、前記第2の発明ないし前記第6の発明のいずれかが奏する効果の他に、第1のモールドユニットだけに二つのフィラメント用トランスの2次コイルを内蔵させているので、二つのフィラメント用トランスを左右バランスよく導電支持部材で支持することができるばかりでなく、装置全体の組み立てが容易になる。
【0027】
前記第9の発明によれば、前記第1の発明ないし前記第8の発明のいずれかが奏する効果の他に、第1と第2のモールドユニットの前記高電圧出力端子同士の接続を容易に行うことができる。
【0028】
前記第10の発明によれば、前記第1の発明ないし前記第9の発明のいずれかが奏する効果の他に、第1の導電支持部材と前記第2の導電支持部材の端部同士を直接コネクトできるので、特別な高電圧コネクタを別途用意することなく、コンパクトな構造で第1、第2のモールドユニットの高電圧出力端子同士を容易に接続することができる。
【0029】
前記第11の発明によれば、前記第9の発明又は前記第10の発明が奏する効果の他に、簡単な構造で容易に第1、第2のモールドユニットの高電圧出力端子同士を容易に接続することができるコネクト構造を提供する。
【0030】
前記第12の発明によれば、前電支持部材のコネクタ部で接続する構造にしているので、モールドユニットを複雑な形状の外観にすることなく、直流高電圧出力端子となる導電支持部材が高電圧抵抗器を支承し、かつ電気的に接続する配線も兼ねているので、さらに一層高電圧発生部の組み立てを容易に行え、また、装置全体の小型軽量化、低コスト化を実現することができる。
【0031】
前記第13の発明によれば、前記第12の発明が奏する効果の他に、直流高電圧出力端子となる導電支持部材にフィラメント用トランスの2次コイルを支承させると共に、電気的に接続する配線作用も行わせているので、高電圧発生部の組み立てが容易で、しかも小型軽量化、低コスト化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[実施形態1]
図1ないし図5によって本発明に係る電子管用高電圧発生装置の実施形態1について説明する。図1は本発明が適用される電子管用高電圧発生回路の一例を示す図、図2は本発明の実施形態1における電子管用高電圧発生装置の構造の概略を示す図、図3は本発明の実施形態1の主要な構造部分について説明するための図である。図4は高電圧抵抗器の支持構造などを説明するための図、図5は出力を導出する高電圧コネクタ部の構造の一例を示す図である。先ず図1によって、本発明に係るフィラメントトランスに関連する高電圧部分の構造が適用される電子管用高電圧発生回路の一例について説明する。
【0033】
図1は、X線CT用高電圧発生回路の一例を示し、三相200Vの商用交流電源1の三相交流電力を三相全波整流回路2によって直流電力に変換する。高周波インバータ回路3は、制御回路4からの駆動信号によって動作し、直流電力を高周波、例えば20kHzでスイッチング動作を行って20kHzの高周波交流電力に変換する。このとき、必要があれば図示しない昇圧チョッパ回路を三相全波整流回路2と高周波インバータ回路3との間に設け、その図示しない昇圧チョッパ回路によって、三相全波整流回路2の直流出力電圧であるほぼ260Vの電圧を350〜400Vに昇圧に昇圧すると共に、安定化し、この昇圧し安定化した直流電圧を高周波インバータ回路3に入力しても良い。
【0034】
高周波インバータ回路3の交流出力電圧は、第1の高電圧トランス5の1次コイル5a、第2の高電圧トランス6の1次コイル6aに印加される。高電圧トランス5は、互いに直列で中点が接地点に接続される第1、第2の2次巻線5b、5cを有する。高電圧トランス6も互いに直列で中点が接地点に接続される第1、第2の2次巻線6b、6cを有する。高電圧トランス5の第1、第2の2次巻線5b、5c、及び高電圧トランス6の第1、第2の2次巻線6b、6cには、それぞれ前掲特許文献2に記載されているダブル・コッククロフト・ウォルトン回路のような高電圧整流回路7、8が接続されている。したがって、高電圧トランス5、6によってそれぞれ昇圧された交流高電圧は、高電圧整流回路7、8それぞれによって更に高い直流高電圧に変換される。高電圧整流回路7の直流高電圧は、出力電流を制限するための高電圧抵抗器9を通して高電圧出力端子10に印加される。高電圧整流回路8の直流高電圧は、出力電流を制限するための高電圧抵抗器11を通して高電圧出力端子12に印加される。高電圧出力端子12はコネクタ部13によって高電圧出力端子10に接続され、高電圧整流回路7、8の出力は並列となる。
【0035】
また、制御回路4はフィラメント加熱回路14を制御する。フィラメント加熱回路14の出力には二つのフィラメント用トランス15、15’のそれぞれの1次巻線15a、15’aが接続されている。また、フィラメント用トランス15、15’はそれぞれ互いに巻数がほぼ等しい2次巻線15b、15’bを有し、2次巻線15b、15’bのそれぞれの一端は互いに短絡されて、図示しない診断用X線装置のX線管16におけるフィラメント17aと17bとの中点xに接続される。その中点xには、高電圧出力端子10、12に現出する負極性の直流高電圧、例えば−102kV程度の電圧が図示しない高電圧コネクタ及び高電圧ケーブルなどを介して印加される。2次巻線15b、15’bのそれぞれの他端はX線管16におけるフィラメント17aと17bの他端に、図示しない高電圧コネクタ及び高電圧ケーブルなどを介してそれぞれ接続される。
【0036】
後述するが、高電圧整流回路7と高電圧抵抗器9とフィラメント用トランス15、15’の2次巻線15b、15’bとは図示しない電気絶縁樹脂によって一体的にモールドされ、露出されている部材と共に第1のモールドユニットMD1を構成する。また、太線部分Xは第1のモールドユニットMD1内に一緒に埋設される不図示の導電支持部材(後述する)に相当する部分を示す。また、高電圧整流回路8と高電圧抵抗器11とは図示しない電気絶縁樹脂によって一体的にモールドされ、露出されている部材と共に第2のモールドユニットMD2を構成する。また、太線部分Yは第2のモールドユニットMD2内に一緒に埋設される不図示の導電支持部材(後述する)に相当する部分を示す。後述するが、それら導電支持部材の端部はコネクタ部13で結合される。なお、CNは直流高電圧出力、フィラメント用トランス15、15’の高電圧出力を導出するための高電圧コネクタ部を示す。
【0037】
このような回路構成の動作は知られているので説明を省略するが、制御回路4の信号によりフィラメント加熱回路14が動作すると、フィラメント用トランス15、15’を通してフィラメント17aと17bに電流が流れ、フィラメント17aと17bから熱電子が放出される。そして、フィラメント17aと17bが加熱された状態でX線管16のアノード18とカソードとなるフィラメントとの間に高電圧が印加されると、フィラメントから放出された熱電子がアノード18−フィラメント17aと17b間の高電圧で加速され、これがアノード18に衝突するときにX線を発生する。なお、アノード18は接地されている。
【0038】
次にこのような回路構成の高電圧発生部の構造について説明する。先ず図2は極めて簡潔にその全体的な構造の概要を示している。図1に示した高電圧トランス5の2次巻線5bと5cに相当する不図示の2次コイルは、エポキシ樹脂のような電気絶縁性樹脂でモールドしてなる第1の樹脂モールド体21で包囲されている。樹脂モールド体21の第1の部分21Aにおける窓部21aに磁脚の一片が挿通しているコア部22、樹脂モールド体21の窓部21aにおいてコア22の磁脚に装着されている1次コイル23、及び1次コイル23の外側に囲むように設けられている静電遮蔽体24からなる。1次コイル23は図1の1次巻線5aであり、図示しないコイルボビンに巻かれた通常のものである。コア22、1次コイル23、及び静電遮蔽体24は小型軽量化、経済性のために電気絶縁性樹脂でモールドされておらず、空気中に露出している。静電遮蔽体24は一般的なものであって、銅のような導電性の良好な薄板の金属板、あるいは編状体、又は巻線であってもよく、図示していないが接地されている。図1に示した高電圧トランス6も高電圧トランス5と同一の構造であり、その2次巻線6bと6cに相当する2次コイルは樹脂モールド体21とは別に電気絶縁性樹脂でモールドされ、第2の樹脂モールド体21’の第1の部分21’Aに埋設されている。その部分については第1のモールドユニットMD1と同じである。
【0039】
高電圧整流回路7は、高電圧トランス5の2次巻線5bと5cに相当する不図示の2次コイルに接続された状態で、図2における第1の樹脂モールド体21における鎖線Lの左側に相当する第2の部分21Bに一体的に埋設されている。高電圧整流回路8も高電圧整流回路7と同様に、高電圧トランス6と一緒に第2の樹脂モールド体21’の第2の部分21’Bに埋設されている。次に、樹脂モールド体21における第3の部分21Cには、フィラメント用トランス15、15’の2次巻線15b、15’bに相当する2次コイル、及びそれらを支持すると共に必要な接続を行う第1の導電支持部材30などが埋設されている。その導電支持部材30は高電圧コネクタ26及び図示しない高電圧ケーブルを通してX線管16に接続される。高電圧整流回路8の高電圧端子となる第2の導電支持部材30’には高電圧抵抗器11が支承されており、高電圧抵抗器11は導電支持部材30’と一緒に樹脂モールド体21’の第3の部分21’Cに埋設されている。導電支持部材30と導電支持部材30’とは同軸上にあり、図1で示したコネクタ部13で互いに電気的に接続される。この構造については、図5を用いて後述する。なお、導電支持部材30’は導電支持部材30よりも短いが、更に図示しない第3のモールドユニットを接続する可能性がある場合には、導電支持部材30’は導電支持部材30と同一の構造であってもよい。
【0040】
次に、図3によって樹脂モールド体21における第3の部分21Cの内部構造について詳しく説明する。第1の導電支持部材30は、細長い円形状又は4角形以上の多角形状の金属棒からなって、第1の導電支持部材30のコネクタ部30a、30bになる端子構造を有する第1の部材31と、第1の部材31の中央に近い箇所には第2の部材32が十字状になるように固定されている。第2の部材32は2個のボルトのような固定金具33a、33bで第1の部材31に固定されているが、半田付け又はスポット抵抗溶接などで固定されていても良い。また、不図示の鋳型などによって第2の部材32は第1の部材31と一体的に製作されていても勿論よい。第2の部材32の両端側には、図1で示したフィラメント用トランス15、15’の2次巻線15b、15’bにそれぞれ相当する2次コイル34、35を支持するための支持具36、37が固定されている。支持具36は、図示しない固定金具によって第2の部材32における図3の右側端部に固定されており、ネジ部材38を緩めた状態で支持具36の二つの部分36aと36bとの間に2次コイル34の一部分を挟み、図3において2次コイル34を水平に保持した状態でネジ部材38を締め付けることによって、安定に2次コイル34を保持する。この状態は樹脂モールドが行われるまで保持されればよい。支持具37も支持具38と同様であって、図示しない固定金具によって第2の部材32における図3の左側端部に固定されており、ネジ部材39を緩めた状態で支持具37の二つの部分37aと37bとに2次コイル35を把持させ、図3において2次コイル35を水平に保持した状態でネジ部材39を締め付けることによって、安定に2次コイル35を保持する。
【0041】
フィラメント用トランス15、15’それぞれの2次巻線15b、15’bにそれぞれ相当する2次コイル34、35から延びるそれぞれ一方の導線34a、35aは、不図示の一般的なハトメとボルトなどからなる接続具によって、第2の部材32の接続箇所32a、32bにそれぞれ接続される。つまり、2次コイル34、35の一端同士は第2の部材32を通して短絡される。また、2次コイル34、35から延びるそれぞれ他方の導線34b、35bはコネクト端子40、41に接続されている。図示しないが、コネクト端子40、41は高電圧コネクタ部42の一方側のコネクタ部分42Aに植設されている。コネクタ部分42Aにおいてコネクト端子40、41とほぼ正3角形を画成する位置を前述した第1の部材31のコネクタ部30aが挿通している。実際には、少なくともコネクタ部分42Aの下面まで第3の部分21Cの電気絶縁性樹脂で覆われている。なお、他方側のコネクタ部分42Bはコネクタ部分42Aと共に高電圧コネクタ部42を形成し、高電圧コネクタ部42は図5に示すような構造と同様なものである。
【0042】
第1の部材31の下部方向には、図1に示した高電圧抵抗器9に相当する高電圧抵抗ユニット43の一端が固定され、片持ちで支承されている。高電圧抵抗ユニット43は、図4に一例を示すように、互いに直列接続されている複数の高電圧抵抗器43aとこれら高電圧抵抗器を支持する抵抗器支持部材43bとからなる。抵抗器支持部材43bはほぼ一定の間隔で設けられた複数の貫通孔43cを有し、各高電圧抵抗器43aはそれぞれの貫通孔43cに挿入され、両端側で交互に複数の導線43dで直列に接続されている。抵抗器支持部材43bの一方の端部には貫通穴43eが設けられており、その貫通穴43eに
ボルト44(図4)を通して螺回することにより、図3に示すように抵抗器支持部材43bが片持ちで第1の部材31に固定される。
【0043】
抵抗器支持部材43bの最先端に位置する高電圧抵抗器43aから延びる導線45は、図1に示す高電圧整流回路7の出力に接続され、抵抗器支持部材43bの根元側に位置する高電圧抵抗器43aから延びる導線46は第2の部材32の接続箇所32bに電気的に接続される。つまり、導線46は導電支持部材30を通して図1に示した高電圧出力端子10に接続される。そして、図2に樹脂モールド体21の構造の概略をしたが、高電圧コネクタ部42のコネクタ部分42Aの下面又は幾分上から第1の部材31の下側に位置するコネクタ部30bまで、及び図面左右方向は2次コイル34から2次コイル35を包囲するまで不図示のエポキシ樹脂のような電気絶縁性樹脂によってモールドされる。ここで、フィラメント用トランス15の2次コイル34の樹脂モールドは、フィラメント用トランス15におけるコア48の磁脚の一片48aとそれに装着されている1次コイル49(図1の1次巻線15aに相当する。)と静電遮蔽体50とが2次コイル34の中央部を挿通できるように窓部(図示せず)が形成されている。したがって、コア48と1次コイル49と静電遮蔽体50とは樹脂モールドされておらず、空気中に露出している。図示していないが、樹脂モールド体21における2次コイル34の樹脂モールド部分は必要に応じてコア48を安定に保持するような形状になっている。フィラメント用トランス15’における2次コイル35、コア51、1次巻線15’aに相当する1次コイル52及び1次コイル52の外周を囲むように設けられている静電遮蔽体53ついても、前述と同様であるので説明を省略する。
【0044】
次に図5によって、図1に示した第1と第2のモールドユニットMD1とMD2との高電圧出力端子とを接続するコネクタ部13の構造の一例について説明する。図5は、図2における第3の部分21Cと第3の部分21’Cを紙面の表裏方向に切断した断面を示している。図2で示したように、樹脂モールド体21と樹脂モールド体21’とが上下に積み重ねられ、第3の部分21Cに埋設されている導電支持部材30の第1の部材31の下側に位置するコネクタ部30bと第3の部分21’Cに埋設されている導電支持部材3030’のコネクタ部30’aとをコネクトする。これらコネクタ部30bとコネクタ部30’aとの構造は、互いにコネクトピン同士が係合して電気的に接続される一般的なものであるので、細かい構造については説明を省略するが、導電支持部材30の第1の部材31と導電支持部材30’の部材31’とが同軸上に位置するように位置合わせして重ねることによって容易にコネクトされる。
【0045】
コネクタ部13は、樹脂モールド体21の第3の部分21Cと樹脂モールド体21’の第3の部分21’Cとにそれぞれ固定されたほぼ等しい形状の環状の結合部材55、56を備える。環状の結合部材55、56は第3の部分21C、第3の部分21’Cの形状に対応した形状であるが、ここでは4角形状であり、図示しないが、それらの4隅にボルト孔が設けられ、ボルト57によって強く締め付けられ、互いに結合される。環状の結合部材55、56は第3の部分21C、第3の部分21’Cのそれぞれの端面Q1、Q2よりも突出しており、環状の結合部材55と56とを最大限締め付けたときにも第3の部分21C、第3の部分21’Cの端面Q1とQ2との間には所定の間隔が存在する。ここで大切なことは、第3の部分21C、第3の部分21’Cの端面Q1とQ2との間には電気絶縁性の良好な環状の弾性部材58が備えられていることである。弾性部材58はコネクタ部30b、コネクタ部30’aに適合する直径の中心穴58Aを有する。
【0046】
弾性部材58は好ましくは、加圧されたときに第3の部分21C、第3の部分21’Cの端面Q1、Q2に良好に密着するシリコンゴムのようなゲル状の電気絶縁材料からなるのがよい。コネクタ部30b、コネクタ部30’aがそれぞれ第3の部分21C、第3の部分21’Cの端面Q1とQ2から突出している部分は、環状の弾性部材58の中心穴58A内にあって囲まれている。したがって、このコネクタ部13の構造によれば、第3の部分21Cの端面Q1と第3の部分21’Cの端面Q2との間に環状の弾性部材58を配置し、ボルト57によって環状の結合部材55、56を強く緊締することによって、高い電気絶縁耐力を得ることができる。なお、更に第3の部分21Cと第3の部分21’Cとの小型化を図ったために沿面の電気絶縁耐力が不足する場合には、図示しないが、第3の部分21C、第3の部分21’Cの端面Q1、Q2に、それぞれコネクタ部30b、コネクタ部30’aを中心とする一つ以上の溝を同芯状に形成すればよい。例えば、第3の部分21C、第3の部分21’Cの電気絶縁樹脂の端面Q1、Q2を適当に深い波状にすることによって、弾性部材58としてゲル状の電気絶縁材料を用いたときに、そのゲル状の電気絶縁材料は波状の端面Q1、Q2全体に良好に密着し、界面に気泡を形成しないので、より一層電気絶縁耐力を増大させることができる。
【0047】
導電支持部材30’の部材31’の下端部分には高電圧抵抗ユニット43と同様な高電圧抵抗ユニット43’が固定されると共に、その高電圧抵抗の一端が接続されている。また、図示しないが、高電圧抵抗ユニット43の高電圧抵抗の他端は図1に示す第2の高電圧整流回路8の出力に接続されている。なお、図3に示した高電圧コネクタ部42も前述のコネクタ部13と同様な構造であるが、図3を用いて説明したように、コネクタ部分42Aには第1の部材31のコネクト部30aに対してコネクト端子40と41とがほぼ正3角形を画成する位置に存在する点、及びコネクタ部分42Bにはコネクト部30aとコネクト端子40と41それぞれに接続される導体を備える点が異なるだけであり、基本的な構造は同じである。
【0048】
以上の説明から分かるように、第1の導電支持部材30は高電圧トランス5と高電圧整流回路7との配置方向に対して垂直方向に延びており、そのコネクト部30aとコネクタ部30aに同方向のフィラメント用出力端子であるコネクト端子40、41(図3)とに高電圧コネクタ部42をコネクトする構造であるので、高電圧トランス5と高電圧整流回路7との配置方向に対する第3の部分21Cの紙面表裏方向の幅を小さくでき、また樹脂モールド体21の第1の部分21A及び第2の部分21Bの高さ以下に高さを制限しても、必要な電気絶縁を確保することができる。樹脂モールド体21’の第3の部分21’Cについても同様であり、第3の部分21’Cにはフィラメントトランス15、15’が備えられていないので、更に第3の部分21Cに比べて小型軽量となる。
【0049】
したがって、この実施形態1においては、導電支持部材が高電圧部品同士の接続を行う電気接続部材の役割を果たすと同時に、特に、第1の導電支持部材30はフィラメント用トランスの2次コイル15b,15b’及び高電圧抵抗ユニット43を機械的に支承する役割を果たし、更にまた前記導電支持部材の両端部がコネクタ部30a、30bとなっている。このような構造的な特徴を有するので、樹脂モールド体21、特にフィラメント用トランスの2次コイルと高電圧抵抗ユニットと特定の導電支持部材とを樹脂モールドしてなる第3の部分21C内にはモールドされた後に不要となる支持部材などは一切埋設されていないので、高電圧配線が簡略化でき、組み立てが簡単で、その樹脂モールド体21は勿論のこと樹脂モールド体21’における液状の電気絶縁樹脂の使用量を節減することができ、装置全体を小型・軽量化することができ、また経済性にも優れる。
【0050】
なお、実施形態1では高電圧整流回路を2台並列接続したが、3台以上並列に接続してもよい。この場合には、一方の樹脂モールド体21’における導電支持部材30’を導電支持部材30と同様な構造にし、コネクタ部30’aに対向する他方の端部をコネクタ部としておくことにより、接続、切り離しが容易となる。高電圧整流回路が1台だけのものでも同様に本発明を適用できる。また、高電圧整流回路としては前掲の特許文献やその他に公開されている種々の回路構成のものが適用できる。フィラメント用トランスは2台に限ることなく、電子管のフィラメントの個数に合わせて1個又は3個以上であっても勿論よい。フィラメント用トランスが1台の場合には2次コイルは前記第2の部材の片側だけに固定される。前記実施形態1ではフィラメント用トランスの円環状の2次コイルを第1の部材の長手方向にほぼ垂直になるようにしたが、その2次コイルを前記第2の部材に吊り下げ、その円環状が前記第1の部材の長手方向にほぼ平行に広がるように固定しても良い。この場合には、フィラメント用トランスのコアにおける磁脚のうち図3で上側の磁脚が2次コイルを挿通するよう設置される。
【0051】
また、必要に応じて高電圧抵抗器ユニットを前記第2の部材に垂直に吊り下げるようにして固定しても構わない。導電支持部材30のコネクタ部30bと導電支持部材30’のコネクタ部30’aとの結合は半田付け又はボルトなどによる接続構造でも可能であるが、電気絶縁が難しくなる。前記第2の部材は必ずしも必要ではなく、支持具36、37のようなそれぞれの固定具でもって単一の導電支持部材にフィラメント用トランスの2次コイルを固定して、直接接続してもよい。図示しないが、これら樹脂モールド体の外側に近接して図1に示した三相全波整流回路2、高周波インバータ回路3、制御回路4、フィラメント加熱回路14などからなる低電圧回路が配置され、不図示の筐体に収納されている。この点については従来と同じである。また、商用交流電源1は単相交流電源でもよく、この場合には三相全波整流回路に代えて単相の整流回路が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態1に係る電子管用高電圧発生装置の回路構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る電子管用高電圧発生装置の構造の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る電子管用高電圧発生装置のフィラメント用トランスに関連する高電圧構造部分について説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る電子管用高電圧発生装置に用いられる高電圧抵抗ユニットの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る電子管用高電圧発生装置における第1、第2のモールドユニットの高電圧出力端子同士を接続する高電圧コネクタ構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・商用交流電源
2・・・整流回路
3・・・高周波インバータ回路
4・・・制御回路
5、6・・・高電圧トランス
7、8・・・高電圧整流回路
9・・・高電圧抵抗器
10・・・高電圧出力端子
11・・・高電圧抵抗器
12・・・高電圧出力端子
13・・・コネクタ部
14・・・フィラメント加熱回路
15、15’・・・フィラメント用トランス
16・・・X線管
17a、17b・・・X線管16のフィラメント
18・・・X線管16のアノード
21、21’・・・第1、第2の樹脂モールド体
21A、21’A・・・第1、第2の樹脂モールド体21、21’の第1の部分
21B、21’B・・・第1、第2の樹脂モールド体21、21’の第2の部分
21C、21’C・・・第1、第2の樹脂モールド体21、21’の第3の部分
22・・・高電圧トランス5のコア
23・・・高電圧トランス5の1次コイル
24・・・静電遮蔽体
30、30’・・・第1、第2の導電支持部材
31、32・・・第1の導電支持部材30の第1、第2の部材
30a、30b・・・第1の導電支持部材30のコネクタ部
30’a・・・第2の導電支持部材30’のコネクタ部
32a、32b・・・第2の部材32の接続箇所
34・・・フィラメント用トランス15の2次コイル
34a、34b・・・導線
35・・・フィラメント用トランス15’の2次コイル
35a、35b・・・導線
36、37・・・支持具
38、39・・・ネジ部材
40、41・・・コネクト端子
42・・・高電圧コネクタ部
43、43’・・・第1、第2の高電圧抵抗ユニット
45、46・・・導線
48・・・フィラメント用トランス15のコア
49・・・フィラメント用トランス15の1次コイル
50・・・フィラメント用トランス15の静電遮蔽体
51・・・フィラメント用トランス15’のコア
52・・・フィラメント用トランス15’の1次コイル
53・・・フィラメント用トランス15’の静電遮蔽体
55、56・・・環状の結合部材
57・・・ボルト
58・・・環状の弾性部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次コイルと交流高電圧を発生する2次コイルとをそれぞれ有する第1、第2の高電圧用トランスと、前記それぞれの交流高電圧を直流高電圧に変換する第1、第2の高電圧整流回路と、該第1、第2の高電圧整流回路の出力にそれぞれ直列に接続されている第1、第2の高電圧抵抗器と、2次コイルに発生する交流高電圧を電子管のフィラメントに与えるためのフィラメント用トランスとを備える電子管用高電圧発生装置において、
前記第1の高電圧用トランスの前記2次コイルと前記第1の高電圧整流回路と前記第1の高電圧抵抗器と前記フィラメント用トランスの前記2次コイルとを電気絶縁材料で一体的にモールドしてなる第1のモールドユニットと、
前記第2の高電圧用トランスの前記2次コイルと前記第2の高電圧整流回路と前記第2の高電圧抵抗器とを電気絶縁材料で一体的にモールドしてなる第2のモールドユニットと、
前記第1のモールドユニットの高電圧出力端子に前記第2のモールドユニットの高電圧出力端子を接続する高電圧コネクタ部と、
を備えることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のモールドユニットの前記高電圧出力端子は、前記高電圧抵抗器を支承する導電支持部材であって、前記第1のモールドユニット中に埋設されており、
前記高電圧抵抗器の一端は前記導電支持部材に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記導電支持部材の長手方向の両端部がコネクタ部になっていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
前記フィラメント用トランスの2次コイルは前記導電支持部材に支承されると共に、その一端は前記導電支持部材に接続され、また、他端はフィラメント用出力端子に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項5】
請求4において、
前記フィラメント用トランスの2次コイルは円環状のものであり、前記導電支持部材の長手方向に対して垂直方向に円環状になっていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記第1のモールドユニットにおける前記第1の高電圧用トランスと前記第1の高電圧整流回路とは隣接して配置され、
前記導電支持部材における双方の前記コネクタ部を結ぶ方向は、前記第1の高電圧用トランスと前記第1の高電圧整流回路との配置の方向とは垂直であることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記導電支持部材は、第1の部材と該第1の部材と一体的に形成されている、又は該第1の部材に取り付けられている第2の部材とからなり、
前記第1の部材は長手方向の両端に前記コネクタ部を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とは十文字状になっており、
前記フィラメント用トランスの2次コイルは前記第2の部材に取り付けられていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第2の部材は前記第1の部材の長手方向に対して垂直方向であると共に、前記第1の高電圧用トランスと前記第1の高電圧整流回路との配置方向に対して垂直方向に延びており、
前記フィラメント用トランスは2個備えられ、これら二つのフィラメント用トランスのそれぞれの2次コイルは、前記第2の部材の両端部にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、
前記第2のモールドユニットの前記高電圧出力端子は、前記第2の高電圧抵抗器を支承する第2の導電支持部材であって、一端がコネクタ部になっており、
前記第2の導電支持部材は前記第2のモールドユニット中に埋設されており、
前記第2の高電圧抵抗器の一端は第2の前記導電支持部材に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかにおいて、
前記高電圧コネクタ部においては、前記第1の導電支持部材と前記第2の導電支持部材とは同軸上に位置することを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10において、
前記高電圧コネクタ部において、前記第1の導電支持部材と前記第2の導電支持部材の前記コネクタ部は環状の弾性部材によって囲まれ、
高電圧コネクタ部は、両側から互いに前記弾性部材を加圧するように組み合わされることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項12】
1次コイルと2次コイルとを有する高電圧用トランスと、前記2次コイルに接続されている高電圧整流回路と、該高電圧整流回路の出力に直列に接続されている高電圧抵抗器と、1次コイルと2次コイルとを有するフィラメント用トランスとを備える電子管用高電圧発生装置において、
前記高電圧整流回路からの直流高電圧が前記高電圧抵抗器を介して印加される導電支持部材を備え、
前記高電圧抵抗器は前記導電支持部材によって支承され、
前記導電支持部材の一方の端部はコネクタ部となっており、
該コネクタ部は高電圧コネクタによって高電圧出力導体に結合されることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記フィラメント用トランスの前記2次コイルは前記導電支持部材によって支承されると共に、その一端が前記導電支持部材に接続され、
前記フィラメント用トランスの2次コイルの他端はフィラメント用出力端子に接続されていることを特徴とする電子管用高電圧発生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−173010(P2007−173010A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368610(P2005−368610)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】