説明

電子線源装置

【課題】
電子線源装置フィラメントの断線・変形を的確に予測・判定し、従来の装置における使用可能なフィラメントの交換による不必要な資源消費および交換費用の発生ならびに、突然の断線や変形発生時の後追い処理による工程の混乱を防止し、測定時間、保守管理工数を低減する。
【解決手段】
フィラメント電流測定回路11によってフィラメント電流を常時測定し、演算回路12によって点灯時間零時点におけるフィラメント電流と現在のフィラメント電流の比を常時演算し、比が予め定めた限界比を下回ったときはフィラメントFの寿命時間到達、また予め定めた上限比を上回ったときはフィラメント異常と判定し、ディスプレイ13に適切なメッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析計、ガスクロマトグラフ質量分析計のイオン源など、分析分野・原子力分野・真空分野・半導体分野などにおける、熱電子放出用のフィラメントを備えた電子線源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、ガスクロマトグラフ質量分析計用イオン源(たとえば特許文献1参照)を例として図4により従来の電子線源装置の構造と作動を説明する。図4は前記イオン源の主要な構造を示す断面図で、イオン源の動作に関連する周辺回路も記入されている。イオン源は通常真空排気装置(図示せず)により排気されており、真空中で作動している。フィラメントFはフィラメント電源1から供給される電力により加熱され、熱電子を放出する。放出された熱電子流(以下エミッション電流と記載する)はフィラメントFと箱形のイオン化室2間に電子加速電源3によって印加された100ボルト前後の電子加速電圧によりイオン化室2に向けて加速され、イオン化室2に設けられた一方の開口からイオン化室2内に入射し、イオン化室2の逆側に設けられた他方の開口から取り出され、電子コレクタ4に集められる。エミッション電流を効率よく電子コレクタ4に収集するために、イオン源にはエミッション電流の進行方向にたとえば数mT程度の磁界(図示せず)が加えられていることが多い。電子コレクタ4に熱電子が衝突したときに発生する2次電子が他の電極たとえばイオン化室2などに流入すると、みかけのエミッション電流は2次電子の放出分だけ減少し、正規のエミッション電流との間に誤差が生じるが、イオン化室2と電子コレクタ4の間にはコレクタ電源5から通常数十ボルトの電圧が印加されており、発生する2次電子は接地電位、すなわち相対的に負電位のイオン化室2から反発力を受け、ふたたび電子コレクタ4に吸収されるので、2次電子の影響は生じない。
【0003】
電子コレクタ4に集められたエミッション電流値はエミッション電流計6によって計測・表示されると同時にエミッション制御器7に供給される。エミッション制御器7の出力はフィラメント電源1にフィードバック(帰還)され、フィラメント電源1の出力を加減する。すなわち、電子コレクタ4に入射するエミッション電流が規定の値より多いときはエミッション制御器7はフィラメントFの加熱電力を低減する方向にフィラメント電源1の出力を制御する。また規定の値より少ないときはフィラメントFの加熱電力を増加する方向にフィラメント電源1の出力を制御する。
【0004】
イオン化室2の側面には試料導入口8から測定試料が導入される。測定試料はエミッション電流によりイオン化室2内でイオン化され、イオン引き出し口9から図の裏面方向に引き出され、質量選別部(図示せず)に入射し、質量分析される。フィラメントFは加熱使用によりその一部が昇華するので、繰り返し交換を要する。通常フィラメントFの交換時期は、標準的なエミッション電流を想定し、そのエミッション電流で使用したときのフィラメントFの累積点灯時間によって定めている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−86778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電子線源装置の構造と作動は以上のとおりであるが、この構造ではフィラメントの交換時期を単純に累積点灯時間で定めているため、まだ余力のあるフィラメントも交換してしまうので資源の無駄を生じ、交換費用も増加する。すなわち、前記のように従来の交換時期は標準的なエミッション電流を想定し、そのエミッション電流で使用したときのフィラメントの累積点灯時間によって行われている。しかしエミッション電流は使用条件によって変更されることが多く、累積点灯時間とフィラメントの消耗には1対1の対応がないので予測の精度は低く、たとえば少ないエミッション電流で使用している場合にはまだ寿命の残っているフィラメントを無駄に交換してしまうので、上記のように資源の無駄を生じ、交換費用が増加する原因となる。逆にエミッション電流の大きい使用条件の場合は短い累積点灯時間でフィラメントが断線するので、不意の断線で分析等の作業が中断され工程が乱れることになる。
【0007】
また従来の構造では、フィラメント毎の品質の偏差に対応ができない。すなわち品質管理上の問題で、たとえば標準的なフィラメントの寿命より短い寿命を持つ特定のフィラメントの断線が近づいていても、従来の装置では外部からこれを事前に予測することが不可能なため断線が生じてから必要な対処をすることになり、分析等の作業が中断され工程の遅延を招く。また同じく品質管理上の問題でたとえば特定のフィラメントの使用中の変形や短絡による分析特性等の変化や不安定が生じても、上記断線の場合と同じく外部からの事前の予測が不可能なため、データを解析してから初めて特性変化や不安定が判明し、試行錯誤的な装置の分解修理によって初めてフィラメントには問題のないことが判明するか、フィラメントの変形等が判明することとなり、確認に時間を要するので、前記確認のための時間が確認後の修理および再分析等の時間にプラスされ、工程の遅延を増大させる。本発明はこのような問題点を解決する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、熱電子によるエミッション電流を発生するフィラメントと前記エミッション電流を収集する集電子電極を備え、所定のエミッション電流が得られるようにフィラメント電流を常時制御する電子線源装置において、フィラメント電流を常時測定すると共に、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比が予め定めた閾値以下に低下したことを検知かつ表示する手段を備える(請求項1)。もしくはフィラメント電流を常時測定すると共に、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の単位時間当たりの減少量すなわちフィラメント電流の減少速度が予め定めた閾値を越えたことを検知かつ表示する手段を備える(請求項2)。また請求項1もしくは請求項2記載の電子線源装置に対し、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比が予め定めた閾値以上に上昇したことを検知かつ表示する手段を備える(請求項3)。また請求項1記載の電子線源装置に対し、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比から残りフィラメント寿命を算出し表示する手段を備える(請求項4)。さらに請求項2記載の電子線源装置に対し、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の単位時間当たりの減少量すなわちフィラメント電流の減少速度から残りフィラメント寿命を算出し表示する手段を備える(請求項5)。
【0009】
請求項1または2に係わる電子線源装置を利用することで、フィラメントの損耗による断線を事前に検知・表示することができる。また請求項3に係わる電子線源装置を利用することで、フィラメントの変形・短絡による異常発生を検知・表示することができる。さらに請求項4または5に係わる電子線源装置を利用することで、フィラメントの残り寿命を測定者に知らしめることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の機械的な点灯時間による交換に比較して、客観的なデータに基づいた精度の高いフィラメントの寿命予測による的確なフィラメント交換が可能となり、無駄な取り替えが減少し、資源の無駄および交換費用が低減される。またフィラメント毎の品質の偏差に対応したフィラメント毎の断線の事前予測が可能になるので、予測に応じてあらかじめ分析作業の工程管理に組み込むことができ、突然の分析作業の停止・中断や再作業による工程の遅延が生じない。またフィラメントの変形等の異常を即時に検知し異常発生後ただちに処置をすることができ、従来の後追い的なフィラメント異常の確認作業のための無駄時間がなくなり、工程の遅延を最小に止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明が提供する電子線源装置はつぎのような特徴を有している。第1の特徴はフィラメント電流を常時測定すると共に、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比が予め定めた閾値以下に低下したことを検知かつ表示する手段を備えた点である。第2の特徴はフィラメント電流を常時測定すると共に、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の単位時間当たりの減少量すなわちフィラメント電流の減少速度が予め定めた閾値を越えたことを検知かつ表示する手段を備えた点である。
【0012】
第3の特徴は請求項1もしくは請求項2記載の電子線源装置に対し、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比が予め定めた閾値以上に上昇したことを検知かつ表示する手段を備えた点である。第4の特徴は請求項1記載の電子線源装置に対し、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比から残りフィラメント寿命を算出し表示する手段を備えた点である。第5の特徴は請求項2記載の電子線源装置に対し、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の単位時間当たりの減少量すなわちフィラメント電流の減少速度から残りフィラメント寿命を算出し表示する手段を備えた点である。したがってこれらの特徴を備えた形態が最良の形態である。
【実施例1】
【0013】
以下図示例にしたがって説明する。図1は本発明の実施例1を示す断面図である。図1において図4と同一符号の部品の構造および作動は図4と同一である。フィラメントFから放出されたエミッション電流はイオン化室2の一方の開口からイオン化室2内に入射し、イオン化室2の逆側に設けられた他方の開口から取り出され、電子コレクタ4に集められる。電子コレクタ4に集められたエミッション電流値はエミッション電流計6によって計測・表示されると同時にエミッション制御器7に供給される。エミッション制御器7の出力はフィラメント電源1にフィードバックされエミッション電流を規定値に保つ。
【0014】
フィラメント電流はフィラメント電流測定回路11によって常時測定され、演算回路12によって開始時フィラメント電流(すなわち点灯時間零時点におけるフィラメント電流)と現在のフィラメント電流が一定時間、たとえば1秒毎に記憶される。図2(A)に点灯時間(図では記号T、時間単位hr)と正常なフィラメント電流(図では記号I、電流単位アンペア)の関係の一例(抜粋し、作表したもの)をエミッション電流90μAの場合について示す。なお図2(A)の表の右列にはΔI/ΔTの値が示されているが、これについては実施例2において説明する。
【0015】
図2(A)において、エミッション電流90μAを常時保った場合のフィラメント電流は点灯時間の増加と共にフィラメントFの損耗により単調に漸減していることがわかる。したがって、あらかじめ実験により使用限界となるフィラメント電流の開始時フィラメント電流に対する限界減少比(たとえば0.94)を定め、限界減少比および時々刻々の比を演算回路12で記憶・演算し比較することにより、フィラメントFが使用限界、すなわち上記の比が限界減少比を下回ったときに演算回路12から減少限界到達の信号を発生させることができる。
【0016】
またあらかじめ標準的な特性のフィラメントについて、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の、使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する時々刻々の減少比および減少比と残り寿命時間の代表的関係を測定記録しておき、実測定時の時々刻々の電流減少比を標準的なフィラメントの電流減少比と演算回路12で比較し、前記の標準的なフィラメントの減少比と残り寿命時間の代表的関係を使用してある電流減少比におけるフィラメントFの残り寿命時間を標準的なフィラメントの残り寿命時間と見なし、ディスプレイ13に残り寿命時間の適切なメッセージを表示させることができる。さらに演算回路12に警報発生回路(図示せず)を設けて警報を発生させ測定者に伝達することができる。
【0017】
エミッション電流を増加させた場合はフィラメントFの損耗が増加し、自動的に短い点灯時間で減少限界到達の信号が表示される。エミッション電流を減少させた場合はフィラメントFの損耗も減少し使用可能な点灯時間が長くなるが、本発明により減少限界到達の信号が発生するまでの点灯時間は自動的に長くなるので、無駄なフィラメントFの取り替えは防止される。
【0018】
図2(B)はフィラメントFの変形や内部短絡などによるフィラメント電流の不規則変化の一例を示している。この例ではフィラメント電流は点灯時間と共に増加して、点灯時間674(図では任意単位)で使用不可能になっている。したがって、図2(A)の場合に対処して前記限界減少比を定めたと類似の方法で、フィラメント電流の上限比(たとえば1.12)を定め、上限比を上回ったときに演算回路12から上限到達の信号を発生させることにより、フィラメントFの異常発生を表示し、また測定者に伝達することができる。さらにフィラメント電流が、前記限界減少比を下限値、上限比を上限値とする変動範囲内にあるかどうかを弁別し、変動範囲を超えた場合、たとえば上限値を超えた場合はフィラメント異常発生メッセージ、下限値を下回った場合はフィラメント寿命到達メッセージを発生させるように、限界減少比と上限比の両者の検出および両者の表示を一体化することができる。
【実施例2】
【0019】
図3は本発明の実施例2を示す断面図である。図3において図1と同一符号の部品の構造および作動は図1と同一であるので、同一符号の部品については詳細説明を省略する。
【0020】
フィラメント電流はフィラメント電流測定回路11によって常時測定され、フィラメント電流の単位時間当たりの減少量すなわちフィラメント電流の減少速度が演算回路12Nによって算出され、必要な値は記憶される。正常なフィラメントFにおけるフィラメント電流の減少速度(ΔI/ΔT)の一例を図2(A)に示す。図2(A)の表の右列にΔI/ΔTの値(絶対値、×10,000)が示されている。ΔTはその行の点灯時間(図中の記号I)からその上の行の点灯時間を差し引いた値、ΔIは同じくその行のフィラメント電流(図中の記号T)からその上の行のフィラメント電流を差し引いた値が使用され、その行のΔI/ΔTが算出されている。
【0021】
たとえば、点灯時間678(hr)の行について説明すると、点灯時間678(hr)からその上の行の点灯時間550(hr)を差し引いた値128(hr)をΔT、フィラメント電流3.06(アンペア)からその上の行のフィラメント電流3.066(アンペア)を差し引いた値−0.006(アンペア)をΔIとしてΔI/ΔTを算出し、マイナス0.000047が得られる。図2(A)の表では、前記のようにこの値(減少速度)を10,000倍し、絶対値とした値、0.47が示されている。以下、上記の10,000倍し、絶対値とした値を減少速度Dと記載する。
【0022】
図2(A)から減少速度Dは点灯時間の増加と共にフィラメントFの損耗により漸増していることがわかる。したがって、あらかじめ実験により使用限界となるフィラメント電流の限界減少速度(以下、前記の減少速度と減少速度Dの関係と同じく、限界減少速度を10,000倍し、絶対値とした値を限界減少速度DCと記載する)を定めておき、実測定時には時々刻々の減少速度Dの値を演算回路12Nで記憶・演算し、常時限界減少速度DC(たとえば1.8)との大小を演算回路12N内で常時比較することにより、減少速度Dが限界減少速度DCを上回った時点をフィラメントFの使用限界とし、その時点で演算回路12Nから限界減少速度DC到達の信号を発生させ、ディスプレイ13に適切なメッセージを表示させることができる。
【0023】
また実測定における減少速度Dの勾配を、あらかじめ実験により定めた標準的なフィラメントの減少速度Dの勾配と演算回路12Nで比較して、あらかじめ求めた標準的なフィラメントの減少速度Dの値と標準的なフィラメントの残り寿命時間の代表的関係を使用して実測定におけるフィラメントFの残り寿命時間と見なし、ディスプレイ13に適切なメッセージを表示させることができる。
【0024】
さらに演算回路12Nに警報発生回路(図示せず)を設けて警報を発生させ測定者に伝達することもできる。エミッション電流を増加させた場合はフィラメントFの損耗が増加し、自動的に短い点灯時間で限界減少速度DC到達の信号が表示される。エミッション電流を減少させた場合はフィラメントFの損耗も減少し使用可能な点灯時間が長くなるが、本発明により限界減少速度DC到達の信号が発生するまでの点灯時間は自動的に長くなるので、無駄なフィラメントFの取り替えは防止される。フィラメントFの変形や内部短絡などによるフィラメント電流の不規則変化に対しては、実施例1で説明したと同様の手段が適用できる。すなわち、フィラメント電流の前記上限比(たとえば1.12)を定め、上限比を上回ったときに演算回路12Nから上限到達の信号を発生させることにより、フィラメントFの異常発生を表示し、また測定者に伝達することができる。
【0025】
さらに前記減少速度Dがその初期値から限界減少速度DCまでの変動範囲内に、フィラメント電流の使用開始時の値に対する比が1から前記上限比までの変動範囲内にあるかどうかを弁別し、各変動範囲を超えた場合、たとえば上限比を超えた場合はフィラメント異常発生メッセージ、限界減少速度DCを越えた場合はフィラメント寿命到達メッセージを発生させるように、フィラメント寿命とフィラメント異常の両者の検出および両者の表示を一体化することができる。
【0026】
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、さらに種々の変形実施例を挙げることができる。たとえば演算回路12、演算回路12N、ディスプレイ13などにパーソナルコンピュータなどの汎用要素またはその一部を利用しても良い。実施例におけるフィラメント残り寿命の表示はフィラメント交換時期の表示であっても良い。また各表示メッセージは文字の代わりに、または文字に加えてカラーバーなどの色別表示を行っても良い。
【0027】
また寿命到達または異常の時点で自動的にフィラメントを消灯させ、また2個以上のフィラメントを内蔵する電子線源装置などにおいては自動的にフィラメントを切り替えても良い。さらに上記実施例ではガスクロマトグラフ質量分析計用のイオン源によって本発明の構造を説明したが、本発明の適用はガスクロマトグラフ質量分析計に限定されるものではなく、熱フィラメントを有するイオン源や電子源に広く適用することができる。本発明はこれらをすべて包含する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は質量分析計、ガスクロマトグラフ質量分析計のイオン源など、分析分野・原子力分野・真空分野・半導体分野などにおける、熱電子放出用のフィラメントを備えた電子線源装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す図である。
【図2】点灯時間とフィラメント電流の関係の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施例2の構成を示す図である。
【図4】従来の電子線源装置の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 フィラメント電源
2 イオン化室
3 電子加速電源
4 電子コレクタ
5 コレクタ電源
6 エミッション電流計
7 エミッション制御器
8 試料導入口
9 イオン引き出し口
11 フィラメント電流測定回路
12 演算回路
12N 演算回路
13 ディスプレイ
F フィラメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電子によるエミッション電流を発生するフィラメントと前記エミッション電流を収集する集電子電極を備え、所定のエミッション電流が得られるようにフィラメント電流を常時制御する電子線源装置において、フィラメント電流を常時測定すると共に、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の、使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比が予め定めた閾値以下に低下したことを検知且つ表示する手段を備えたことを特徴とする電子線源装置。
【請求項2】
熱電子によるエミッション電流を発生するフィラメントと前記エミッション電流を収集する集電子電極を備え、所定のエミッション電流が得られるようにフィラメント電流を常時制御する電子線源装置において、フィラメント電流を常時測定すると共に、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の単位時間当たりの減少量が予め定めた閾値を越えたことを検知且つ表示する手段を備えたことを特徴とする電子線源装置。
【請求項3】
所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の、使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する比が予め定めた閾値以上に上昇したことを検知且つ表示する手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の電子線源装置。
【請求項4】
熱電子によるエミッション電流を発生するフィラメントと前記エミッション電流を収集する集電子電極を備え、所定のエミッション電流が得られるようにフィラメント電流を常時制御し、且つあらかじめ標準的な特性のフィラメントについて、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の、使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する時々刻々の減少比および減少比と残りフィラメント寿命時間の代表的関係が測定記録されている電子線源装置において、使用中のフィラメントの所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の、使用当初の所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流に対する減少比を測定し、前記標準的な特性のフィラメントについての減少比と残りフィラメント寿命時間の代表的関係を使用して使用中のフィラメントの残りフィラメント寿命時間を予測・算出し表示する手段を備えたことを特徴とする電子線源装置。
【請求項5】
熱電子によるエミッション電流を発生するフィラメントと前記エミッション電流を収集する集電子電極を備え、所定のエミッション電流が得られるようにフィラメント電流を常時制御し、且つあらかじめ標準的な特性のフィラメントについて、所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の時々刻々の単位時間当たりの減少量および減少量と残り寿命時間の代表的関係が測定記録されている電子線源装置において、使用中のフィラメントの所定のエミッション電流を与えるフィラメント電流の単位時間当たりの減少量を測定し、前記標準的な特性のフィラメントについての代表的関係を使用して使用中のフィラメントの残りフィラメント寿命時間を予測・算出し表示する手段を備えたことを特徴とする電子線源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−227255(P2007−227255A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49036(P2006−49036)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】