説明

電子線照射装置

【課題】高速搬送される食品容器や包装材等の被照射物を殺菌処理する際、適切に滅菌処理ができて殺菌効果の優れ、しかも被照射物の劣化が少ない電子線照射装置を提供する。
【解決手段】被照射物である容器1が搬送される電子線照射室44部分に電子線照射手段40を設け、この電子線照射手段40からの電子線により容器1を電子線照射室44内で滅菌処理するもので、電子線照射室44内は減圧手段にて減圧状態を維持させ、電子線照射手段40は加速電圧を10〜100kVとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子線照射装置に係り、特にプラスチック製の食品容器や包装材等の被照射物を、電子線で殺菌処理するのに好適な電子線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、飲料や食品や医薬品、更には化粧品の充填にプラスチック製容器が多く用いられている。これらの容器は、内容物の充填前に、内部を滅菌処理して無菌状態にし、その後内容物を充填して密封を行っている。容器の滅菌処理は、設備が大掛かりとなる薬剤を用いるものに代え、電子線照射装置の電子線を用い、電子線により高速で搬送する容器の内外面を滅菌することが提案されている。
【0003】
電子線照射装置には、例えば300keV以上の高エネルギーの電子線或いは前記以下の低エネルギーの電子線を用いるものがあり、前者の装置は大型となる上、X線対策の大掛かりな放射線遮蔽を設ける必要があるのに対し、後者の装置はより小型化でき、搬送ライン中に殺菌工程を組み込むことができるために注目されてきている。
【0004】
低エネルギーの電子線照射装置の例である特許文献1には、加速電圧50kV以上500kV以下で加速した電子を、被照射物の照射空間に照射し、照射空間内にあるガス分子に衝突させ、これによって散乱電子を発生させ、また被照射物に直接照射して反射電子及び2次電子を発生させ、電子線が直接照射されない被照射物の部分にも散乱電子や反射電子及び2次電子を照射し、被照射物の内外面を殺菌することが提案されている。
【0005】
また、低エネルギーの電子線照射装置の別例である特許文献2には、電子を加速電圧20〜150kVで加速し、線量測定フィルムで測定した電子線吸収線量が5〜200kGyとなる電子線を照射し、被照射物を十分に殺菌処理できるようにし、電子線を被照射物の表面で有効に作用させてエネルギー効率をより高くし、かつ被照射物に与える損傷も少なくすることが提案されている。
【0006】
一方、電子線を照射する被照射物が、例えばプラスチック製ボトルの如く飲み口の細い容器の場合は、搬送手段によって横倒或いは立位姿勢で搬送し、電子線照射手段での電子線を照射する照射領域中を、回転しながら照射空間を通過させることで、容器の外面及び内面の全てに電子線を照射し、電子線照射手段の電子線の照射窓に至る直前位置から通過し終えるまでの間、回転付与手段で容器を自転させ、小型化を図りながら効率よく滅菌処理を行う電子線照射装置が提案されている(特許文献3及び4参照)。
【0007】
ところで、電子線照射装置の電子線照射手段は、真空空間内に電子線発生部と加速部を有しており、電子線照射手段で所定の加速電圧で電子を加速し、電子線照射手段の電子線照射窓から加速した電子線を電子線照射室内に照射するものであり、通常大気圧である電子線照射室内で、高速搬送される容器等の被照射物に対する電子線の殺菌処理を行っている。
【0008】
大気圧である電子線照射室内で、所定の加速電圧で加速した電子線で殺菌処理する場合、電子線のエネルギーを大きくするばかりでは、菌を効率的に殺菌できないことが明らかになってきている。この理由は、電子線による菌の殺菌は、主として菌のDNAを破壊することで行われるが、電子線の電子エネルギーを用いると、菌の大きさによっては電子線が透過してしまい、殺菌効率が低下することによると言われている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−142165号公報
【特許文献2】特開2003−225287号公報
【特許文献3】特開平10−268100号公報
【特許文献4】特開平11−1212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来の電子線照射装置では、高速搬送されるプラスチック製ボトル等の被照射物の殺菌処理する際、電子線のエネルギーを単に大きくするだけでは、殺菌効率を向上させることができず、また電子線の加速電圧を上げると電源装置が大型化するし、X線に対する遮蔽も複雑となってしまう問題がある。
【0011】
本発明の目的は、高速搬送される食品容器や包装材等の被照射物を殺菌処理する際、適切に滅菌処理ができて殺菌効果の優れ、しかも被照射物の劣化が少ない電子線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子線照射装置は、被照射物が搬送される電子線照射室部分に電子線照射手段を設け、前記電子線照射手段からの電子線により前記被照射物を電子線照射室内で滅菌処理する電子線照射装置であって、前記電子線照射室内は減圧手段にて減圧状態を維持させ、前記電子線照射手段は加速電圧を10〜100kVとしたことを特徴とする。
【0013】
また、前記電子線照射室と前記電子線照射手段との間は差動排気すると共に、前記電子線照射手段の加速電圧を10〜20kVとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のように電子線照射装置を構成すれば、負圧を維持した電子線照射室内で、加速電圧を10〜100kVにした極めて低いエネルギーの電子線により、滅菌処理する被照射物を劣化させることもなく殺菌効率を大幅に向上できる。また、被照射物の生産ラインに組み込んで使用する電子線照射装置に使用する電源装置も小型ですむし、X線に対する遮蔽も簡素化できるため、経済的に製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の電子線照射装置は、被照射物が搬送される電子線照射室部分に電子線照射手段を設け、電子線により被照射物を電子線照射室内で滅菌処理するものである。そして、電子線照射室内は減圧手段にて減圧状態を維持させるもので、電子線照射手段は加速電圧を10〜100kVとしている。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明を適用する図1(a)、(b)に示す回転搬送型の電子線照射装置を用いて説明する。この図1では、電子線で殺菌処理する被照射物となる容器の例として、プラスチック製ボトルで示している。中央に配置する照射処理槽10の側面部に隣接して、前処理ラインに連なる前圧力調整槽20と後処理ラインに連なる後圧力調整槽30を配置し、一体に連結している。
【0017】
各槽10、20、30内には、駆動機構(図示せず)により同期させて矢印で示すように回転させる回転搬送体11、21、31を回転可能に配置し、これによって各槽の外壁面との間に容器1を順に搬送する環状の搬送路を形成している。各回転搬送体11、21、31は、その外面に容器1を保持して搬送する保持機構2を等間隔で多数設け、これによって容器1の前処理ラインから後処理ラインまでの間で、容器1が直立状態のまま順に円滑に受け渡しできる構成としている。
【0018】
照射処理槽10内は、内部を減圧するため耐圧の密封構造に構成し、この照射処理槽10に真空排気装置13を含む排気手段に連なる配管14を接続し、搬送する容器1の周囲の雰囲気を、所定の負圧状態に維持している。しかも、図2に示す如く照射処理槽10内の電子線照射室44となる容器1の搬送路に対応する部分に、電源装置45と接続する電子線の電子線照射手段40を少なくとも一つ備えている。この電子線照射手段40の電子線照射窓43から、後述する加速電圧で加速した電子線を、減圧状態を維持した電子線照射室44に向けて照射し、高速で搬送されてくる容器1を電子線で連続して滅菌処理をする。
【0019】
照射処理槽10内が減圧された状態にあると、電子線照射室44内での電子線の減衰が大幅に軽減されるので、後述するような低い加速電圧で加速した低エネルギーの電子線であっても、大気中に比べて電子の飛程(飛行距離)が長くなり、しかも電子線の発散量が少なく、電子線での被照射物の容器1に対する照射滅菌が効果的に行える。
【0020】
照射処理槽10内の負圧状態を効果的に維持可能にして電子線の照射を良好に行えるようにするため、この開口容器搬入である前処理ライン側及び搬出側である後処理ラインに連なる前圧力調整槽20と後圧力調整槽30は、これら内の回転搬送体21、31に、それぞれ各保持機構2間を区分する隔壁3を突設している。これにより、回転搬送体21、31の回転移動時に、各保持機構2の両側の隔壁3と槽壁面との間で、小部屋となる複数の小区画22、32が形成される構造にしている。
【0021】
しかも、前圧力調整槽20側では、容器1を前工程ラインから取り込んだ位置から照射処理槽10に移動する範囲に存在する複数の小区画22を減圧するため、この範囲の壁面に、真空排気装置23を含む排気手段に連なる配管24の複数本を接続し、これによって容器1が、前工程ラインより前圧力調整槽20に搬入されてから照射処理槽10までの範囲の小区画22は、大気圧から所望の負圧までの状態となる圧力調整範囲としている。また、後圧力調整槽30側では、容器1を照射処理槽10から後工程ラインの位置に移動する範囲に形成される小区画32を減圧するため、同様にこの範囲の壁面に、真空排気装置33を含む排気手段に連なる配管34の複数本を接続し、これによって照射処理槽10から後圧力調整槽30の後工程ラインに容器1が搬出されるまでの範囲の小区画32は、逆に所望の負圧から大気圧までの状態となる圧力調整範囲としている。
【0022】
なお、前圧力調整槽20や後圧力調整槽30における小区画32の減圧する範囲は、必要に応じて上記とは反対側、即ち前圧力調整槽20においては照射処理槽10から前工程ラインに移動する範囲の小区画32と、後圧力調整槽30においては照射処理槽10から後工程ラインに移動する範囲の小区画32とも、排気手段を設けて減圧することもできる。
【0023】
小区画22、32を形成させるための各隔壁3は、図1(b)に示すように各槽20、30の外壁との間に微小な間隙Gを有するように設けている。隔壁3は、照射処理槽10から前圧力調整槽20や後圧力調整槽30の大気開放側の各範囲に、複数個存在することになる。このため、複数個の隔壁3が、ラビリンスシール構造の働きと同様になり、照射処理槽10から大気圧の外部までの流路抵抗が大きくなるので、特別にシール等を使用することなく、照射処理槽10の負圧状態を維持することができる。当然のことながら、照射処理槽10に設ける排気手段の真空排気装置13の容量は、漏れ量を見込んだ容量とすることで、照射処理槽10内部を予め定めた負圧状態の範囲内に維持することができる。
【0024】
また、照射処理槽10や前圧力調整槽20及び後圧力調整槽30部分に、例えばドライポンプを用い、適切なフィルタを備えた清浄空気発生装置15からの配管16を接続し、内部に清浄空気を供給するように構成している。なお、清浄空気発生装置15の代りに、電子線の照射が良好に行えるガス雰囲気にするため、窒素ガスやヘリウムガス等やこれらの混合ガスを供給する各種のガス供給装置を接続することができる。
【0025】
上記の構成の電子線照射装置では、前工程ラインからの直立状態のまま前圧力調整槽20に送り込まれる容器1は、順に前圧力調整槽20から照射処理槽10を経て、後圧力調整槽30から後工程ラインに搬出されるが、途中の照射処理槽10部分の負圧雰囲気内で、電子線照射手段40からの電子線照射による滅菌処理を受ける。この際、前圧力調整槽20内の回転搬送体21が時計方向に回転すると、容器1の前工程ラインより前圧力調整槽20への取り込み位置から、照射処理槽10に近づく範囲に形成されて内部に開口容器30を保持している小区画22は、排気手段によって大気圧から少しずつ減圧された状態となり、照射処理槽10内の回転搬送体11に移動したときには、照射処理槽10と略同じ負圧となる。
【0026】
また逆に、後圧力調整槽30内の回転搬送体31が時計方向に回転し、容器1が照射処理槽10から後工程ラインへの排出位置に近づく範囲に形成されて内部に開口容器30を保持している小区画32では、排気手段によって照射処理槽10内の負圧状態から少しずつ大気圧に近づく状態になり、後工程ライン側に容器1を排出する時点では大気圧になる。
【0027】
上記のように電子線照射装置を構成したので、照射処理槽10と前圧力調整槽20及び後圧力調整槽30で、各槽内部の圧力管理を別個に適切に管理できるから、負圧に維持する照射処理槽10内で、加速電圧が低くて低エネルギーの電子線照射手段40を使用して、電子線による容器1の滅菌処理を効果的に行うことができる。
【0028】
また、照射処理槽10の上部に取り付ける各電子線照射手段40は、例えば図2に示す如く高真空にする電子線発生室41内に、少なくとも1つの電子線ユニット42を配置している。電子線ユニット42部分で発生して後述する低い加速電圧で加速した電子線EBを、円形等に形成した電子線照射窓43から、負圧状態に維持した下方の電子線照射室44となる搬送路に向けて照射し、回転搬送体11の各保持機構2に保持され、しかも自転しながら順に移動してくる容器1の内外面の滅菌処理を実施する。
【0029】
電子線照射手段40では、一般には電子線発生室41と電子線照射室44との間を区画する電子線照射窓43部分に、電子線を透過する箔膜を配置し、しかも電子線を透過する箔膜を配置している。本発明の電子線照射装置では、以下に述べる発明者らの検討結果から、電子線照射手段40はその加速電圧を100kV以下にし、電子線を加速するようにしている。しかも、電子線照射窓43の薄膜材料を適切に選定することで、電子線のエネルギーも10から100keVの如く著しく低くして容器1に照射し、滅菌処理することができる。
【0030】
電子線照射窓43の薄膜に、市販されている厚さ25μmのグラファイトシートを使用する場合、加速電圧70kVの電子線を被照射物に照射することができる。このグラファイトシートを電子線照射窓43に用いた場合、電子線照射室44となる搬送路の圧力と電子線の加速電圧を考慮して検討すると、電子線の線量と菌の生残率との関係は、図3に示すようになった。
【0031】
この場合、電子線照射室44となる搬送路の圧力を12Paとし、加速電圧70kV或いは100kVの電子線を照射したとき、電子線の線量と菌の生残率との関係は、図3のように12Pa−70kVでは○印、比較例1の12Pa−100kVでは●印、比較例2の10000Pa−100kVでは▲印で示すようになった。
【0032】
この図3から明らかなように、加速電圧70kVで電子線照射室44の圧力が12Pa(○印)のときは、電子線を照射で滅菌の目安である初期菌数が百万分の一となる生残率の目標値(−6)の線量は、4kGy以下であり、また、加速電圧が100kVで電子線照射室44の圧力が10000Pa(▲印)では、初期菌数が百万分の一となる生残率の目標値(−6)の線量は、8kGy以上となる。
【0033】
これに対し、加速電圧が100kVで照射部(室)の圧力が12Pa(●印)のときは、初期菌数が百万分の一となる生残率の目標値(−6)の線量は、10kGy以上であって、γ線による殺菌効率と等しくなる。このように同一の加速電圧100kVで、殺菌効率が変わるのは、電子線照射室44の圧力が10000Paのときは、電子線の殺菌効果に加えて、電子線により形成されたプラズマによる酸素ラジカルや窒素ラジカルの殺菌効果によるものと推定される。
【0034】
一般に、被照射物の滅菌処理対象である菌の大きさは数μm程度であり、個体の表面に入射した電子が停滞するまでの距離である電子の飛程δ(μm)は、電子エネルギーをE(keV)、固体密度をρとすると、おおよそδ=0.2E/ρで与えられる。このため、電子エネルギーが10keVであれば、菌の密度ρを単純化して水と同じ1とすると、電子の飛程δは2μmとなる。したがって、電子エネルギー10keVの電子は、大きさ5から10μm程度の菌を殺菌するのは不足であるが、大きさ2μm程度の菌を殺菌するのには最も効率がよくなる。このことから、電子エネルギーが大きすぎると、電子が菌を透過してしまうため、効率よく殺菌できず、逆に電子エネルギーが低すぎても菌の内部まで電子が届かず、同様に効率よく殺菌できないことになる。
【0035】
電子線照射窓43に配置する薄膜として用いるグラファイトシートに、加速電圧70kVで電子線を照射した場合、本発明者らの検討では、電子軌道とエネルギー分布のモンテカルロ解析結果から、グラファイトシートが厚さ25μmなら、10から20keVのエネルギーをもった電子が多く透過することか判明した。この10から20keVエネルギーの範囲の電子は、上記したように大きさ2から8μm程度の菌を効率よく殺菌することができる。
【0036】
これに対し、比較例として示す加速電圧100kVで電子線を照射した場合、同様に電子軌道とエネルギー分布のモンテカルロ解析結果から、グラファイトシートが厚さ25μmなら、50keV前後のエネルギーをもった電子が多く透過することになった。この50keVエネルギーの電子は、大きさ50μm程度の菌なら効率よく殺菌するが、通常被照射物で殺菌する菌の大きさは数μm程度なので、電子が菌を透過してしまう割合が多く、殺菌効率は上記した加速電圧70kVに比べて下がってしまい、加速電圧100kV以上の場合も同様の傾向となる。
【0037】
本発明の電子線照射装置では、電子線発生室41に電子線照射窓43を設ける場合に、電子線照射手段40の加速電圧を100kV以下にしているので、電子線照射室44内を移動する被照射物の容器1は、10から20keVの極めて低いエネルギーの電子線により、効果的に滅菌処理することができる。
【0038】
本発明の図4に示す電子線照射装置の例では、電子線照射手段40の電子線発生室41と、被照射物である容器1が移動する電子線照射室44との間の電子線照射窓をなくし、これら両者間は差動排気を行って減圧し、容器1に電子線EBを照射して滅菌処理を行う構造にしたものである。
【0039】
このように、電子線照射手段40と電子線照射室44との間を差動排気する電子線照射装置の構造とするときには、陽極42Aと陰極42B間に印加する加速電圧源42Cの加速電圧を、10〜20kVにすることができ、上記したような低エネルギーの電子線を、被照射物まで十分に到達させて滅菌処理が行えるし、X線の遮蔽材を全く使用せずに装置を構成することができる。
【0040】
図2に示す電子線発生室41の電子線照射窓43に用いる薄膜の材質及び厚さを調節すれば、加速電圧100kV以上としても、被照射物に照射される電子線のエネルギーが10から100keVにでき、望ましくはエネルギーを10から20keVの範囲にして照射すると、被照射物を適切に滅菌処理することができる。電子線照射手段40は、加速電圧を上げるほど直流電源は大型化し、X線に対する遮蔽も大掛かりとなってしまい、X線に対する遮蔽材の使用量が飛躍的に増大するので、電子線照射窓43に用いる薄膜の材質及び厚さを考慮し、加速電圧を適切に設定する。
【0041】
上記した実施例では、被照射物である容器を、回転搬送体で搬送する構造の電子線照射装置の例で説明したが、本発明はこのような搬送構造に限ることなく、例えば被照射物を略直線状に搬送する構造の電子線照射室部分に電子線照射手段を設けるものに適用しても同様な効果を達成できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を適用する電子線照射装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明を適用する電子線照射手段と電子線照射室部分の例を示す概略縦断面図である。
【図3】電子線の線量と細菌の生残率との関係を説明するグラフである。
【図4】本発明を適用する電子線照射装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1…容器、40…電子線照射手段、43…電子線照射窓、44…電子線照射室、45…電源装置、G…間隙、EB…電子線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射物が搬送される電子線照射室部分に電子線照射手段を設け、前記電子線照射手段からの電子線により前記被照射物を電子線照射室内で滅菌処理する電子線照射装置であって、前記電子線照射室内は減圧手段にて減圧状態を維持させ、前記電子線照射手段は加速電圧を10〜100kVとしたことを特徴とする電子線照射装置。
【請求項2】
請求項1において、前記電子線照射室と前記電子線照射手段との間は差動排気すると共に、前記電子線照射手段の加速電圧を10〜20kVとしたことを特徴とする電子線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−82919(P2008−82919A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264117(P2006−264117)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501383635)株式会社日本AEパワーシステムズ (168)
【Fターム(参考)】