説明

電子装置及び画像形成装置

【課題】制御部が設けられた空間に滞留する熱を装置外部に排出する。
【解決手段】装置の状態を少なくとも表示する表示部と、この表示部の裏面側にあって前記表示部の表示を制御する制御部と、熱源と、前記制御部と前記熱源とを遮蔽する遮蔽部と、前記制御部と前記遮蔽部とにより形成される空間に接続され、前記制御部に装置外部の空気が流入出可能に形成された開口部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、操作表示部の内部に設けられ、操作表示部を冷却するためのファンを備え、ファンから操作表示部の裏面に形成された通気孔を介して送風することで操作表示部の過昇温を抑制する画像形成装置を開示する。また、特許文献2は、外気を取り込み定着後の記録材にエアーを吹き付けるダクトを形成し、そのダクトにファンを配置し、ファンを境にダクトを吸入側と排出側とした時、制御基板の少なくとも一部を吸入側に配置することで制御基板を冷却する画像形成装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開2006−343393号公報
【特許文献2】特開2006−072200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、制御部が設けられた空間に滞留する熱を装置外部に排出することができる電子装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、装置の状態を少なくとも表示する表示部と、この表示部の裏面側にあって前記表示部の表示を制御する制御部と、熱源と、前記制御部と前記熱源とを遮蔽する遮蔽部と、前記制御部と前記遮蔽部とにより形成される空間に接続され、前記制御部に装置外部の空気が流入出可能に形成された開口部と、を有する電子装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記表示部の裏面側及び前記遮蔽部の表面側の少なくとも一方には、他方に向けて突出する突出部が設けられている請求項1記載の電子装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記突出部は、前記開口部に対して斜めに形成されている請求項2記載の電子装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記表示部の裏面側及び前記遮蔽部の表面側の少なくとも一方には、除電布が設けられている請求項1記載の電子装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記除電布は、接地されている請求項4記載の電子装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記開口部は、重力方向下向きに開口している請求項1乃至5いずれか記載の電子装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、装置の状態を少なくとも表示する表示部と、この表示部の裏面側にあって前記表示部の表示を制御する制御部と、少なくとも加熱部からなる定着装置と、前記制御部と前記定着装置とを遮蔽する遮蔽部と、前記制御部と前記遮蔽部とにより形成される空間に接続され、前記制御部に装置外部の空気が流入出可能に形成された開口部と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によれば、制御部が設けられた空間に滞留する熱を装置外部に排出することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、静電気による制御部の故障を防止しつつ、自然空冷することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、請求項2に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、静電気の除電効果を高めることができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、静電気による制御部の故障を防止することができる。
【0016】
請求項5に係る本発明によれば、請求項4に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、静電気の除電効果を高めることができる。
【0017】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1乃至5いずれかに係る本発明の効果に加えて、開口部が重力方向下向きに開口していない構成に比べて、埃等の流入を低減することができる。
【0018】
請求項7に係る本発明によれば、制御部が設けられた空間に滞留する熱を装置外部に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、本発明の実施形態に係る電子装置の一例である画像形成装置10の概要が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に画像形成部14と、画像形成部14にシートを供給するシート供給装置16と、電源ユニット18と、CPUなどを有する制御部20とが配設されている。制御部20は、画像形成装置10を構成する各部を制御する。また、画像形成装置本体12の上部に画像形成がなされたシートが排出されるシート排出部22が設けられている。
【0020】
画像形成部14は、カラー画像を形成する電子写真方式のもので、トナー像を保持する像保持体24Y、24M、24C、24Bと、この各像保持体24Y、24M、24C、24Bを一様に帯電する帯電ロールを備えた帯電装置25Y、25M、25C、25Bと、各像保持体24Y、24M、24C、24Bに光により静電潜像を書き込む光書き込み装置26Y、26M、26C、26Bと、各像保持体24Y、24M、24C、24Bに書き込まれた潜像を非磁性のトナーと磁性のキャリアとからなる二成分系の現像剤を用いて現像する現像器28Y、28M、28C、28Bと、各像保持体24Y、24M、24C、24Bに形成されたトナー像をシートに転写する転写ユニット29と、転写ユニット29によるトナー像の転写がなされた後に像保持体24Y、24M、24C、24Bに残留する廃トナーを例えば掻き取って(剥離して)回収するクリーニング装置30Y、30M、30C、30Bとを有する。
【0021】
光書き込み装置26Y、26M、26C、26Bは、それぞれレーザ露光装置からなり、光書き込み装置26Yは像保持体24Yにイエロー画像に対応するレーザ光を、光書き込み装置26Mは像保持体24Mにマゼンダ画像に対応するレーザ光を、光書き込み装置26Cは像保持体24Cにシアン画像に対応するレーザ光を、光書き込み装置26Bは像保持体24Bにブラック画像に対応するレーザ光をそれぞれ発し、像保持体24Y、24M、24C、24Bに、それぞれ静電潜像を書き込むようになっている。
【0022】
転写ユニット29は、像形成ユニット32の像保持体24Y、24M、24C、24Bと接触するように配置されている。この転写ユニット29は、ユニットとして一体化されていて二つの支持ロール44a、44bと、シート又はトナー像を搬送する搬送ベルト46と、この搬送ベルト46にシートを吸着させる吸着ロール48と、搬送ベルト46により搬送中のシートに、各像保持体24Y、24M、24C、24Bに形成されたトナー像をそれぞれ転写する転写ロール50Y、50M、50C、50Bとが装着されてなる。
【0023】
吸着ロール48は、搬送ベルト46を介して支持ロール44aに圧接する状態で設けられ、電源ユニット18から電圧が印加されて搬送ベルト46に静電的にシートを吸着させるようになっている。
【0024】
転写ロール50Y、50M、50C、50Bは、それぞれ転写バイアスが印加されており、像保持体24Y、24M、24C、24Bに形成されたトナー像を、搬送ベルト46によって搬送中のシートへ順に転写し、シートにイエロー、マゼンダ、ブラック、シアンの4色のトナー像が重ねられたカラートナー像を形成するようになっている。
【0025】
画像形成装置本体12内の上部には、転写ユニット29によりシートに転写されたトナー像をシートへと定着する定着装置52が設けられている。定着装置52は、加熱ロール52aと加圧ロール52bとからなり、加熱ロール52aと加圧ロール52bとの間を通過するシートを加熱し加圧することで、シートにトナー像を定着するようになっている。
【0026】
また、画像形成装置本体12内には、シート供給装置16から供給されたシートをシート排出部22まで搬送する搬送路60が設けられていて、この搬送路60に沿って、シート搬送方向上流側から順に、レジストロール62、転写ユニット29、定着装置52及び排出ロール64が配置されている。排出ロール64は、定着装置52から搬送されたシートをシート排出部22へと排出する。
【0027】
画像形成装置本体12の正面から上面にかけて(図1において左側)開閉カバー65が装着されている。
開閉カバー65は、装置本体12の正面下部に設けられたヒンジ67を軸に開閉でき、開閉カバー65を閉めることで、装置本体12内を密閉するようになっている。
【0028】
開閉カバー65の上面から正面にかけて(図1において上側)コントロールパネルカバー66に覆われている。
コントロールパネルカバー66の表面には表示部71が設けられている。
表示部71は、画像形成装置10の状態を表示する。
この表示部71の裏面側に対応するコントロールパネルカバー66の裏面には、表示部71の表示を制御する制御部である制御基板72が設けられている。
【0029】
図3は制御基板72周辺の詳細を示す断面図である。
【0030】
コントロールパネルカバー66は、開閉カバー65の上方から正面にかけてオーバーラップして装着されている。
したがって、装置本体12の正面側(図3において左側)の開閉カバー65とコントロールパネルカバー66の端部の間には、外気が流入出する開口部68が形成される。
開口部68は、重力方向下向きに形成され、装置本体正面からは視認しにくいようになっている。
また、開口部68は、例えば人の指(直径5.6mm程度)が入らない大きさとする。
【0031】
コントロールパネルカバー66の裏面に設けられた制御基板72と開閉カバー65の表面の空間には、コントロールパネルカバー66の裏面、開閉カバー65の表面及び開口部68からなる隙間70が形成されている。すなわち、制御基板72と熱源である定着装置52は、開閉カバー65によって遮蔽され、定着装置52とは別の空間に配置されている。
【0032】
また、開口部68は、隙間70に連通し、隙間70内に外部からの空気が流入出するように形成されている。したがって、隙間70は、開口部68から流入する空気の空気流入経路であり、開口部68から流出する空気の空気流出経路となっている。
すなわち、本発明の実施形態では、制御基板72と熱源である定着装置52とを遮蔽し、制御基板72と遮蔽部である開閉カバー65の間に空気流入出経路である隙間70を設け、隙間70内に制御基板72を設けることで、制御基板72を自然空冷している。
【0033】
図4は、第2の実施形態に係る画像形成装置10のコントロールパネルカバー66周辺を示し、(a)は装置正面の概略構成図であり、(b)は装置側面断面図の第1の具体例であり、(c)は装置側面断面図の第2の具体例である。
図4(b)に示すように、第1の具体例では、隙間70内の開口部68と制御基板72の間のコントロールパネルカバー66の裏面側に、開閉カバー65側に向けて突出する突出部である例えばリブ74を複数形成する。開口部68と制御基板72の間の空気流入出経路にリブを形成することで静電気の進行方向を変更させることができる。また、リブ74は、開口部68に対して斜めに形成するとよい。リブ74を斜めに形成することで、静電気の沿面距離を長くして静電気を制御基板72に届かないようにし、静電気力を弱めることができる。すなわち、静電気による基板の故障を防止することができる。
また、図4(c)の第2の具体例に示すように、隙間70内の開口部68と制御基板72の間の開閉カバー65の表面側に、コントロールパネルカバー66側に向けて突出するリブ74を複数形成してもよい。開閉カバー65側の空気流入出経路にリブを形成しても静電気の進行方向を変更させることができ、さらにリブ74を開口部68に対して斜めに形成することで、静電気の沿面距離を長くして静電気を制御基板72に届かないようにし、静電気力を弱めることができ、上述の第1の具体例と同様の効果が得られる。
さらに、上述の図4(b)と図4(c)を組み合わせて、隙間70内のコントロールパネルカバー66の裏面側及び開閉カバー65の表面側の双方に、他方に向けて突出するリブ74を複数形成しても、上述と同様の効果を得ることができる。
また、人の指(直径5.6mm程度)が入らない間隔でリブ74を複数設けることで、開口部68を例えば人の指(直径5.6mm程度)以上にする場合にであっても、開口部68から人の指が入ることを防止することができる。
【0034】
図5は、第3の実施形態に係る画像形成装置10のコントロールパネルカバー66周辺を示し、(a)は装置正面の概略構成図であり、(b)は装置側面断面図の第3の具体例であり、(c)は装置側面断面図の第4の具体例である。
図5(b)に示すように、第3の具体例では、隙間70内の開口部68と制御基板72の間のコントロールパネルカバー66の裏面側に除電布76を設ける。開口部68と制御基板72の間の空気流入出経路に静電気を除電する除電布を設けることで、制御基板72に届く前に静電気を除電し、静電気による基板の故障を防止することができる。
また、図5(c)の第4の具体例に示すように、隙間70内の開口部68と制御基板72の間の開閉カバー65の表面側に除電布76を設けてもよい。開閉カバー65側の空気流入出経路に除電布76を設けても、上述の第3の具体例と同様に、制御基板72に届く前に静電気を除電し、静電気による基板の故障を防止することができる。
さらに、上述の図5(b)と図5(c)を組み合わせて、隙間70内のコントロールパネルカバー66の裏面側及び開閉カバー65の表面側の双方に除電布76を設けても、上述と同様の効果を得ることができる。
また、除電布76は、接地するとよい(不図示)。除電布76を接地することで静電気の除電効果をさらに高めることができる。
【0035】
なお、本発明は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等の画像形成装置及び電子装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面からみた断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る制御基板周辺を示す側面からみた断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置のコントロールパネルカバー周辺を示し、(a)は装置正面の概略構成図であり、(b)は第1の具体例に係る装置側面断面図であり、(c)は第2の具体例に係る装置側面断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置のコントロールパネルカバー周辺を示し、(a)は装置正面の概略構成図であり、(b)は第3の具体例に係る装置側面断面図であり、(c)は第4の具体例に係る装置側面断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
22 シート排出部
52 定着装置
52a 加熱ロール
52b 加圧ロール
64 排出ロール
65 開閉カバー
66 コントロールパネルカバー
68 開口部
70 隙間
71 表示部
72 制御基板
74 リブ
76 除電布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の状態を少なくとも表示する表示部と、
この表示部の裏面側にあって前記表示部の表示を制御する制御部と、
熱源と、
前記制御部と前記熱源とを遮蔽する遮蔽部と、
前記制御部と前記遮蔽部とにより形成される空間に接続され、前記制御部に装置外部の空気が流入出可能に形成された開口部と、
を有する電子装置。
【請求項2】
前記表示部の裏面側及び前記遮蔽部の表面側の少なくとも一方には、他方に向けて突出する突出部が設けられている請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記開口部に対して斜めに形成されている請求項2記載の電子装置。
【請求項4】
前記表示部の裏面側及び前記遮蔽部の表面側の少なくとも一方には、除電布が設けられている請求項1記載の電子装置。
【請求項5】
前記除電布は、接地されている請求項4記載の電子装置。
【請求項6】
前記開口部は、重力方向下向きに開口している請求項1乃至5いずれか記載の電子装置。
【請求項7】
装置の状態を少なくとも表示する表示部と、
この表示部の裏面側にあって前記表示部の表示を制御する制御部と、
少なくとも加熱部からなる定着装置と、
前記制御部と前記定着装置とを遮蔽する遮蔽部と、
前記制御部と前記遮蔽部とにより形成される空間に接続され、前記制御部に装置外部の空気が流入出可能に形成された開口部と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−139829(P2010−139829A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316725(P2008−316725)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】