電子装置
【課題】電子装置の熱や静電気に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させる。
【解決手段】自動販売機の支持部材4の支持面4aに取り付けるモジュール(電子装置)1であって、配線基板6と、配線基板6に搭載される半導体パッケージ(電子部品)5と、支持面4aに固定する背面(取り付け面)2bを有し、配線基板6を内部に固定して収納するフロントケース(第1ケース)2とを有している。また、フロントケース2の背面2b側に配置され、配線基板6との間に空間を確保した状態で固定され、支持面4aに沿って配置される外面3aを有する板状のリアケース(第2ケース)3を有し、リアケース3の外面3a側に、外形が球面の一部を成す凸部3bを形成する。
【解決手段】自動販売機の支持部材4の支持面4aに取り付けるモジュール(電子装置)1であって、配線基板6と、配線基板6に搭載される半導体パッケージ(電子部品)5と、支持面4aに固定する背面(取り付け面)2bを有し、配線基板6を内部に固定して収納するフロントケース(第1ケース)2とを有している。また、フロントケース2の背面2b側に配置され、配線基板6との間に空間を確保した状態で固定され、支持面4aに沿って配置される外面3aを有する板状のリアケース(第2ケース)3を有し、リアケース3の外面3a側に、外形が球面の一部を成す凸部3bを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置の技術に関し、特に自動販売機に実装されるモジュールなどの電子装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、実開平6−43966号公報(特許文献1)には、電子機器のスイッチ操作部の静電気ノイズ対策として、回路基板にスイッチを実装し、このスイッチを覆う絶縁カバーとキートップに前記絶縁カバーを覆う壁を設けた構造が開示されている。
【特許文献1】実開平6−43966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、自動販売機の高機能化に伴い、自動販売機内には、多種多様な回路が形成された電子装置(モジュール)が実装されるようになってきた。このようなモジュールの回路を正常に動作させるためには、熱影響や静電気ノイズによる影響の少ない環境下で動作させることが好ましい。
【0004】
しかし、自動販売機は周知の通り、屋外に設置される場合がある。また、自動販売機内部には種々の熱源が存在する。このため、上記モジュールが設置される環境は、モジュールが備える回路や電子部品にとって必ずしも好ましい環境ではない。
【0005】
<熱影響についての検討>
例えば、上記モジュールを自動販売機の筐体の裏面側に取り付ける場合、該筐体に直射日光が当たることにより、発生した熱が該筐体を介してモジュール内部に搭載された基板や電子部品に熱伝達される場合がある。
【0006】
また、自動販売機内部には種々の熱源が存在するため、これらの熱源から発せられる熱が、上記モジュールを取り付けている支持部材を介してモジュール内部に搭載された基板や電子部品に熱伝達される場合がある。
【0007】
モジュール内部に搭載された基板や電子部品に熱が伝わると、モジュールが有する回路が誤動作する原因となる。すなわち、モジュールの信頼性が損なわれる。しかし、自動販売機の設置環境などの要因から、モジュールに伝達される熱を完全に取り除くことは困難である。したがって、上記モジュールには、熱に対する耐性を向上させる(モジュールに伝達される熱を内部の基板や電子部品に伝達し難くする)技術が要求される。
【0008】
本発明者は、モジュールを取り付ける支持部材が熱を発する場合でも、モジュール内部の基板や電子部品への熱の伝達を防止ないしは抑制する技術について検討を行った。
【0009】
まず、支持部材からの熱の伝達を抑制するため、電子部品が搭載された配線基板をその内部に固定するフロントケースを有し、該フロントケースの支持部材への取り付け面側に、熱伝達係数が低い樹脂製のリアケースを配置した構造について検討を行った。
【0010】
しかし、単にフロントケースの取り付け面側にリアケースを配置した構成の場合、リアケースと支持部材との接触面積が大きいので、リアケース自体に熱が蓄積し易くなる。このため、リアケースからフロントケースに固定された配線基板に熱が伝達され、熱伝達の十分な抑制効果は得られないという問題があることを見出した。
【0011】
<静電気の影響についての検討>
また例えば、サービスなどの目的で、自動販売機に実装された上記モジュールの表面に露出した押しボタンを操作する場合、操作者の指に帯電した静電気が押しボタンと上記モジュールのケース(フロントケース)の隙間から浸入して、内部のスイッチあるいはこれに接続される回路に到達し、これらの部品や回路が誤作動する原因となる場合がある。特に、冬場に屋外に設置された自動販売機に対してサービスを行う場合、このような現象が頻発する。
【0012】
したがって、上記モジュールには、静電気に対する耐性を向上させる(静電気がモジュール内部の基板やスイッチに伝達し難くする)技術が要求される。
【0013】
前記実開平6−43966号公報(特許文献1)の記載によれば、スイッチを覆う絶縁カバーとキートップに前記絶縁カバーを覆う壁を設けたことにより、キートップと外装ケースの間の隙間からスイッチのリード端子までの沿面距離を十分に確保することができるため静電気放電の発生する電圧を実用上問題のないレベルにまで高くすることができるとされている。
【0014】
しかし、この場合、スイッチを覆う絶縁カバーを配線基板上に配置する領域が必要となるため、スイッチ以外の電子部品を実装する実装領域が少なくなるという問題がある。また、部品点数が増加するという問題がある。
【0015】
また、配線基板に搭載されるスイッチ以外の電子部品に静電気が到達することを防止するためには、これらの電子部品も絶縁カバーで覆う必要があるため、上記した実装領域が少なくなる問題、あるいは部品点数が増加する問題はより深刻な問題となる。
【0016】
また、前記特許文献1に記載される構成から絶縁カバーを除いた場合、キートップと外装ケースの間の隙間からスイッチまでの沿面距離はスイッチの高さとストローク量で決定されるため、十分な沿面距離を確保することが困難になるという問題がある。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子装置の熱や静電気に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
すなわち、本発明の一つの実施の形態における電子装置は、自動販売機の支持部材の支持面に取り付ける電子装置であって、配線基板と、前記配線基板に搭載される電子部品と、前記自動販売機の前記支持面に固定する取り付け面を有し、前記配線基板を内部に固定して収納する第1ケースとを有している。また、前記第1ケースの前記取り付け面側に配置され、前記配線基板との間に空間を形成した状態で固定され、前記支持面に取り付ける際に前記支持面に沿って配置される外面を有する板状の第2ケースを有し、前記第2ケースの前記外面側には、外形が球面の一部を成す凸部を形成するものである。
【発明の効果】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0022】
すなわち、本発明の一つの実施の形態によれば、第2ケースと、電子装置を取り付ける支持部材との接触面積を小さくすることにより、第2ケースに伝達される熱量を低減することができるので、電子装置の熱に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
【0024】
(実施の形態1)
<電子装置の構造>
図1は本実施の形態1のモジュール(電子装置)の前面側の構造を示す平面図、図2は図1に示すモジュールを自動販売機の支持部材上に配置して、図1に示すA−A線に沿って切断した断面の構造を示す断面図である。また、図3は図2に示すフロントケース(第1ケース)の裏面側の構造(リアケースを取り除いた状態)を示す平面図、図4は図3に示す配線基板を取り外した状態を示す平面図、図5は図2に示す領域Bを拡大した要部拡大断面図である。
【0025】
図1に示す本実施の形態1のモジュール(電子装置)1は、自動販売機の内部に実装され、例えば、自動販売機内の在庫の状況や、販売状況に関するデータを管理する小型のモジュールである。モジュール1の外形は、モジュール1の筐体であるフロントケース(第1ケース)2の形状により規定される。
【0026】
フロントケース2の外形は、略直方体の裏面側をくりぬいた器状の外形(図2〜図4参照)をなし、その裏面側に開口部2a(図2参照)を有している。この開口部2aは板状の部材であるリアケース(第2ケース)3(図2参照)により塞がれており、モジュール1は内部に空間が確保された略直方体の箱となっている。
【0027】
図2に示すようにモジュール1は自動販売機が有する支持部材4の平坦な支持面4aに取り付けられる。
【0028】
また、フロントケース2の背面(取り付け面)2b側には、フロントケース2を自動販売機の支持部材4の支持面4aに固定するための取り付け部2cが、フロントケース2の側壁の外側に向かって延在している。
【0029】
取り付け部2cには、厚さ方向に沿って複数の貫通孔2dが形成されており、この貫通孔2dにネジなどの固定治具(図示は省略)を差し込むことにより自動販売機の支持部材4に固定する構造となっている。
【0030】
フロントケース2およびリアケース3は、保型性を維持するために必要な所定の硬さを有する例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、あるいはPC(Polycarbonate)/ABSなどの樹脂材料で形成されている。樹脂材料で形成することにより、フロントケース2およびリアケース3の成型性が向上する。また、樹脂材料は金属材料と比較して熱伝達係数が低いので、モジュール1の外部の熱が内部に伝達することを抑制することができる。
【0031】
また、ABS、あるいはPC/ABSなどの樹脂は、難燃性、耐薬品性などの特性も兼ね備えたグレードがあるため、その点でも好ましい。
【0032】
また、モジュール1の内部には、半導体パッケージ(電子部品)5などの電子部品が搭載された配線基板6がフロントケース2の内部の空間に収納されている。配線基板6は、例えば、略平面板状のプリント回路基板であり、その主面および内部には、所望の回路を構成する配線が複数形成されている。
【0033】
図2および図3では半導体パッケージ5が配線基板6に1個搭載された例を示しているが、電子部品の数、種類、および各電子部品の配置位置はこれに限定されない。電子部品の数および種類、配置位置はモジュール1に要求される機能に応じて適宜選択される。例えば、ベアチップの状態で半導体チップ(電子部品)が実装される場合や、コイル、コンデンサ、抵抗部品などがそれぞれ複数個搭載されている場合もある。
【0034】
配線基板6に搭載(実装)されるこれら部品のうち、その内部に集積回路が形成された半導体チップあるいは半導体パッケージ5が高温になると、特に誤作動の原因となりやすい。
【0035】
また、配線基板6は図4に示すフロントケース2の裏面側に設けられた配線基板固定用のボス2eに例えばネジで固定されている。図4では、配線基板6をフロントケース2側にしっかりと固定するため、配線基板6の四隅に対応する位置にボス2eが設けられた例を示している。
【0036】
一方、リアケース3はフロントケース2の背面2b側に配置されている。リアケース3は図2に示すように、配線基板6との間に空間を確保した状態で配置されている。図2〜図4に示すように、フロントケース2の側壁の内側には、リアケース3の外縁を受けるための受け部2fが形成されている。また、図3および図4に示すようにフロントケース2には、受け部2fとの間にリアケース3を挟み込んで固定するための留具2gが2箇所形成されている。
【0037】
また、留具2gが形成された辺と対向する辺側には、リアケース3を固定するためのボス2hが形成されており、リアケース3はボス2hに例えばネジなどにより固定されている。留具2gを用いることにより、リアケース3を固定する際のネジ留め箇所を少なくすることができる。
【0038】
また、リアケース3はモジュール1を支持部材4の支持面4aに取り付ける際に支持面4aに沿って配置される外面3aを有している。
【0039】
ここで、図2および図5に示すようにリアケース3の外面3a側には凸部3bが形成されている。リアケース3の外面3a側に凸部3bを形成することにより、モジュール1を自動販売機の支持部材4に取り付けた場合に、リアケース3と支持部材4のとの間(外面3aと支持面4aとの間)に隙間7を確保することができる。
【0040】
この隙間7を確保することにより、リアケース3は、凸部3bのみが支持部材4と接触することとなる。すなわち、リアケース3と支持部材4との接触面積を大幅に小さくすることができる。
【0041】
また、凸部3bの外形は、球面の一部を成すように形成されている。このため、凸部3bと支持部材4との接触は、凸部3bの有する球面の頂点による点接触となる。つまり、接触面積を更に低減することができる。
【0042】
本実施の形態1では、支持部材4が熱を発した場合であっても、リアケース3と支持部材4の接触面積が小さいので、リアケース3への熱の伝達を抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態1では、図2に示すように、リアケース3と配線基板6との間に空間が確保されている。このため、リアケース3から配線基板6への熱伝達経路は、大気を介した熱伝達、あるいは放射熱による熱伝達が主たる熱伝達経路となる。
【0044】
しかし、リアケース3への熱の伝達を抑制することにより、リアケース3自体は熱を蓄積し難い状態となる。このため、大気を介した熱伝達および放射熱による熱伝達も抑制することができるので、結果として配線基板6やこれに搭載された半導体パッケージ5などに対する熱伝達を防止ないしは最小限に抑制することができる。
【0045】
本実施の形態1では、このように配線基板6や半導体パッケージ5への熱の伝達を最小限に抑えることができるので、モジュール1の耐熱性向上させ、信頼性を向上させることができる。
【0046】
<リアケースの詳細構造>
次に図6〜図8を用いて本実施の形態1のリアケース3の詳細構造について説明する。図6は本実施の形態1のリアケースの内面側の平面図、図7は本実施の形態1のリアケースの外面側の平面図、図8はリアケースの反りの方向を示す断面図である。
【0047】
図6に示すようにリアケース3の内面3c側には、リブ3dが形成されている。リブ3dはリアケース3の内面3c側の外周に沿って延在するように形成されている。リブ3dは、図3および図4に示す留具2gを受ける受け部3e、リアケース3をネジ留め固定する固定部3f、モジュール1の外部に接続されるコネクタ(図示は省略)が配置される外部接続部3gなど、リブ3dを形成すると、その他の部材と緩衝する領域を除き、リアケース3の外周を囲むように形成されている。
【0048】
一方、図7に示すリアケース3の外面3a側には、既に説明した凸部3bが形成されている。凸部3bは、リアケース3の外面3a側の中央の領域に1個形成されている。
【0049】
リアケース3の上記構造は、モジュール1(図1参照)を図5に示す自動販売機の支持部材4に取り付けた際に、支持部材4とリアケース3の外面3aとの間に確実に隙間7を確保することを可能とするものであるが、以下にその理由を説明する。
【0050】
リアケース3は、前述の通り、樹脂成型品である。したがって、成型後の乾燥工程、あるいはその後熱が加わった際に、所謂「反り」と呼ばれる変形を生じる場合がある。ここで、図6に示すリブ3dを形成しない構造の場合、リアケース3の反りの方向は、一定した方向とはならない。
【0051】
このため、この反りによって、図7に示す凸部3bが形成されていない領域(例えば図7に示す外面3aの四隅)が、リアケース3の外面3aの方向に持ち上がった場合、リアケース3の外面3aの凸部3bが形成されていない領域と支持部材4(図5参照)の支持面4a(図5参照)とが直接接触することとなり、接触面積が増大する。つまり、図5に示す隙間7が十分に確保できないこととなる。
【0052】
図5に示す隙間7が十分に確保できない場合、リアケース3の外面3aと支持部材4との接触箇所を介して支持部材4の熱がリアケース3に伝わり易くなるので、リアケース3を介して、図2に示す配線基板6やこれに搭載される半導体パッケージ5に熱が伝わり易くなる。
【0053】
リアケース3に反りが生じた場合でも、確実に凸部3bと支持部材4とを接触する方法としては、リアケース3の外面3a側に多数の凸部3bを形成する方法も考えられる。しかし、この場合、多数の凸部3bを形成することにより、結局隙間7が十分に確保できない状態となるため、リアケース3を介して、図2に示す配線基板6やこれに搭載される半導体パッケージ5に熱が伝わり易くなる場合がある。
【0054】
そこで、本実施の形態1では、図6に示すようにリアケース3の内面3c側に、この反りの方向を制御するためのリブ3dを形成する構造とした。
【0055】
図8に示すリアケース3の成型時にリブ3dも一括して形成する場合、リブ3dが形成された領域は、成型後の乾燥工程で乾燥し難くなる。つまり、リブ3dが形成された領域の乾燥速度は他の領域の乾燥速度よりも遅くなる。
【0056】
このため、最終的にリブ3dが乾燥する段階では、既に乾燥したリブ3d以外の領域にはリブ3dの高さ方向Yに引っ張る力が加わる。
【0057】
したがって、図6に示すように、リアケース3の内面3cの外周に沿ってリブ3dを延在させるように形成することにより、リアケース3の内面3cの外周は、図8に示すリブ3dの高さ方向Yに引っ張られることとなる。
【0058】
このような力を加えることにより、リアケース3に反りが生じる場合には、内面3cの外周が方向Yに変形するので、凸部3bが形成された外面3aの中央の領域が方向Yの反対方向に突出する形状となる。つまり、凸部3bの先端が外面3a側に最も突出するように反りの方向を制御することが可能となる。
【0059】
したがって、上記リアケース3を有するモジュール1を図5に示すように自動販売機の支持部材4に取り付ける場合、リアケース3に反りが生じた場合であっても、支持部材4との距離が最も近づく領域に凸部3bが1個形成されることとなる。
【0060】
このため、リアケース3に反りが生じた場合であっても、1個の凸部3bと支持部材4とが接触し、その他の領域は支持部材4とは接触しないので、隙間7を十分に確保することができる。
【0061】
この結果、リアケース3に伝達される熱を最小限に抑制することができる。すなわち、リアケース3と支持部材4との接触面積を最小限にすることができる。したがって、図2に示す配線基板6やこれに搭載された半導体パッケージ5などに対する熱伝達を防止ないしは最小限に抑制することができる。
【0062】
また、図6に示すように、リアケース3の内面3c側の外周に沿って延在するようにリブ3dを形成することにより、リアケース3の厚さ方向の強度を向上させることができる。したがって、リアケース3に発生する反り自体を抑制することができる。
【0063】
本実施の形態1のリアケース3は、内面3c側の外周に沿って延在するようにリブ3dを形成することにより、リアケース3に発生する反りを抑制することができるので、モジュール1を支持部材4に取り付けた場合に、リアケース3と支持部材4との間の隙間7の体積が小さくなることを抑制することができる。
【0064】
また、仮に反りが発生した場合であっても、反りの方向はリブ3dによって制御されているので、支持部材4との距離が最も近づく領域に、1個の凸部3bを確実に形成することができる。したがって、隙間7をより確実に確保することができる。
【0065】
<変形例>
本実施の形態1では、支持部材4とリアケース3との接触面積を最小限にする方法として、リアケース3の内面3c側の外周に沿ってリブ3dを形成し、外面3a側の中央の領域に凸部3bを1個形成する構成について説明したが種々の変形例がある。
【0066】
例えば、リアケース3の平面積が大きい場合、内面3c側の外周に沿ってリブ3dを形成した場合であっても、反りの発生によって支持部材4に最も近づく箇所がリアケース3の中心から若干ずれる場合がある。
【0067】
このような現象の対策として、リアケース3の中心付近の領域(中央の領域)に複数の凸部3bを形成しても良い。例えば、リアケース3の外面3a側の中心付近の領域(中央の領域)に3個の凸部3bをそれぞれ三角形の頂点を成すように配置しても良い。この場合、リアケース3の反りによって支持部材4に最も近づく箇所がリアケース3の中心から若干ずれても凸部3bのいずれかが支持部材4と接触するので、隙間7を確保することができる。
【0068】
また、リブ3dを形成する領域をリアケース3の内面3c側の中央の領域として、凸部3bは外面3a側の四隅に各1個ないしは2個ずつ形成する構成としても良い。
【0069】
この場合、リアケース3に反りが発生した場合、リブ3dは内面3cの中央の領域に形成されているので、リアケース3の四隅が支持部材4に近づく方向に反ることとなる。しかしリアケース3の外面3a側の四隅にはそれぞれ凸部3bが形成されているので、各凸部3bが支持部材4と接触することとなり、隙間7を確保することができる。
【0070】
ただし、リブ3dを中央の領域に形成する場合、図6に示す構造と比較すると、リアケース3の厚さ方向に対する強度を向上させる効果は低い。したがって、リアケース3の厚さ方向に対する強度を向上して、リアケース3の反り自体を抑制する観点からは図6に示す構造(リアケース3の内面3c側の外周に沿ってリブ3dを形成する構造)の方がより好ましい。
【0071】
<自動販売機への取り付け例>
次に、図9を用いて本実施の形態1のモジュール1を自動販売機に取り付ける例について説明する。図9は、本実施の形態1の自動販売機にモジュールを取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
【0072】
本実施の形態1のモジュール1は、例えば図9に示すように自動販売機の外部カバーと共用される金属板である支持部材4に取り付けられる。図9において、モジュール1は自動販売機の内部の温冷庫11と外部カバーの一部である支持部材4の間に配置されている。
【0073】
図9に示すように、外部カバーの一部である支持部材4に取り付ける場合、自動販売機を屋外に設置すると、支持部材4は、直射日光12が当り、加熱される。あるいは、自動販売機の内部に設置された熱源となる部品からの熱が支持部材4に伝わり、加熱される。
【0074】
しかし、本実施の形態1のモジュール1は、図2に示すようにモジュール1の取り付け面であるフロントケース2の背面2b側に配置される樹脂製のリアケース3を有している。また、図5に示すようにリアケース3の外面3aと支持部材4との間には隙間7が確保されている。
【0075】
このため、支持部材4が加熱された場合であっても、モジュール1の内部に熱が伝達されることを抑制するので、モジュール1の熱に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、電子装置の静電気ノイズに対する耐性を向上させる構造について説明する。なお、本実施の形態2で電子装置の例として説明するモジュールは、前記実施の形態1で説明したモジュール1と同様の構成をとることができる。したがって、本実施の形態2では、自動販売機に取り付けるモジュール1を例として、前記実施の形態1で説明した図1〜図9を適宜参照しながら説明することとし、重複する説明は原則として省略する。
【0077】
図10は図2に示すC領域を拡大して示す要部拡大断面図、図11は図4に示すフロントケースの内面側に配置されたキーを取り除いた状態を示す平面図である。
【0078】
図10において、配線基板6には、スイッチ15が搭載されている。スイッチ15は配線基板6の前面側に搭載されている。また、スイッチ15は搭載面の反対側に押しボタン15aが配置される状態で搭載されている。
【0079】
また、スイッチ15の押しボタン15a側には、フロントケース(ケース)2の外側から押しボタン15aを操作するためのキー16が配置されている。キー16は、例えば、シリコーンゴム、エラストマーなど、弾性を有する絶縁性の樹脂材料で形成されている。
【0080】
フロントケース2の前面2i側にはスイッチ15が配置される位置に対応して、開口部2jが形成されている。キー16の露出面16bは、この開口部2jからフロントケース2の外部に露出している。
【0081】
また、フロントケース2は開口部2jの縁からフロントケース2の内側方向に延在する内壁部2kを有している。内壁部2kは、図11に示すように円形の開口部2jを囲むように形成されている。
【0082】
キー16の略中央には、スイッチ15の押しボタン15aに接触する押圧部16aが形成されている。スイッチ15を操作する際には、キー16の露出面16bを例えば指で押し込む事により、押圧部16aが押しボタン15aを押圧して操作する機構となっている。
【0083】
この押しボタン15aを操作する際に、指などに静電気が帯電している場合、帯電した指と、フロントケース2の内部に実装されたスイッチ15、あるいは配線基板6の配線との間で静電気放電が発生し、内壁部2kとキー16の隙間から静電気が浸入する場合がある。特に、自動販売機に取り付けられるモジュール1の場合、冬場にはサービスなどの目的で押しボタン15aを操作する作業者の指に静電気が帯電することが多い。
【0084】
この内壁部2kとキー16の隙間と、スイッチ15、あるいは配線基板6との距離が短い場合、静電気放電を発生しやすい状況となる。静電気放電が発生すると、配線基板6に形成された回路や、これに搭載されたスイッチ15、あるいは半導体パッケージ5などの電子部品が誤作動を起す可能性がある。
【0085】
そこで、本実施の形態2では、静電気放電の発生を抑制するため以下の構造とした。
【0086】
まず、キー16は、その外周側に内壁部2kの内面に沿って延在する内フランジ部(第1のフランジ部)16cと、内壁部2kの外面に沿って延在する外フランジ部(第2のフランジ部)16dとを有している。
【0087】
また、フロントケース2の内壁部2kの先端よりも深い位置には、キー16の一部であるフランジ底部16eが配置されている。内フランジ部16cと外フランジ部16dとは、それぞれフランジ底部16eと接続されており、一体構造となっている。
【0088】
また、内フランジ部16cはキー16の露出面16bからフランジ底部16eの内縁まで延在し、外フランジ部16dはフランジ底部16eの外縁からフロントケース2の開口部2jが形成された面の方向に延在している。また、内フランジ部16cと外フランジ部16dとでフロントケース2の内壁部2kを挟み込む構造となっている。
【0089】
つまり、絶縁体であるキー16の内フランジ部16c、フランジ底部16e、外フランジ部16dが連なって形成されており、フロントケース2の内壁面2kをその内面側から外面側に包むように覆っている。
【0090】
上記構造とすることにより、内壁部2kとキー16の隙間から静電気が浸入した場合であっても、配線基板6あるいはスイッチ15などの電子部品までの沿面距離を十分に確保することができる。
【0091】
また、本実施の形態2によれば、スイッチ15に静電気から保護するカバーなどを設ける必要がないため、配線基板6上の各種電子部品を搭載する実装面積を広く確保することができる。また、部品点数を少なくすることができる。
【0092】
また、例えば、モジュール1の外形寸法の制約上、配線基板6からフロントケース2の高さを十分に確保できない場合がある。しかし、本実施の形態2によれば、必要に応じてフロントケース2の内壁部2kの厚さを厚くして、これに対応してフランジ底部16eの幅を広げることにより、必要な沿面距離を確保することができる。
【0093】
また、図10に示すように、キー16のフランジ底部16eの厚さLAは、内フランジ部16cの厚さLB、および外フランジ部16dの厚さLCよりも厚い。
【0094】
フランジ底部16eは、内壁部2kとキー16の隙間に浸入した静電気が直線的にスイッチ15あるいは配線基板6の方向に向かうことを防止する機能を有している。したがって、フランジ底部16eの厚さLAが薄い場合、静電気がフランジ底部16eを貫通してしまう場合がある。
【0095】
本実施の形態2では、フランジ底部16eの厚さLAを内フランジ部16cの厚さLB、および外フランジ部16dの厚さLCよりも厚くすることにより、静電気がフランジ底部16eを貫通することを防止することができる。
【0096】
また、フロントケース2の内壁部2kの外側には、内壁部2kを囲むように凹部2mが形成されている。このように凹部2mを形成することにより、外フランジ部16dをさらに上方に延ばすことができるので、沿面距離をさらに長くすることができる。
【0097】
また、キー16を保持する際に、内壁部2kの先端とフランジ底部16e、あるいは外フランジ部16dの先端とフロントケース2のいずれか一方を接触させる構造とした方が保持位置を決定し易い。
【0098】
本実施の形態2では、凹部2mを形成することにより、外フランジ部16dの先端とフロントケース2の間に隙間17を確保する構造とした。このため、十分な沿面距離を確保しつつ、容易にキー16の保持位置を決定することができる。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0100】
例えば、実施の形態2では、押しボタン15aを操作するための開口部2jの形状として円形構造を示したが、例えばこれを多角形、あるいは楕円形などとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、自動販売機に取り付けるモジュールなどの電子部品に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施の形態であるモジュール(電子装置)の前面側の構造の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すモジュールを自動販売機の支持部材上に配置して、図1に示すA−A線に沿って切断した断面の構造を示す断面図である。
【図3】図2に示すフロントケース(第1ケース)の裏面側の構造(リアケースを取り除いた状態)を示す平面図である。
【図4】図3に示す配線基板を取り外した状態を示す平面図である。
【図5】図2に示す領域Bを拡大した要部拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるリアケースの内面側の平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態であるリアケースの外面側の平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態であるリアケースの反りの方向を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態である自動販売機にモジュールを取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
【図10】図2に示すC領域を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図11】図4に示すフロントケースの内面側に配置されたキーを取り除いた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 モジュール(電子装置)
2 フロントケース(第1ケース、ケース)
2a 開口部
2b 背面(取り付け面)
2c 取り付け部
2d 貫通孔
2e ボス(配線基板固定用ボス)
2f 受け部
2g 留具
2h ボス(リアケース固定用ボス)
2i 前面
2j 開口部
2k 内壁部
2m 凹部
3 リアケース(第2ケース)
3a 外面
3b 凸部
3c 内面
3d リブ
3e 受け部
3f 固定部
3g 外部接続部
4 支持部材
4a 支持面
5 半導体パッケージ(電子部品)
6 配線基板
7 隙間
11 温冷庫
12 直射日光
15 スイッチ
15a 押しボタン
16 キー
16a 押圧部
16b 露出面
16c 内フランジ部(第1のフランジ部)
16d 外フランジ部(第2のフランジ部)
16e フランジ底部
17 隙間
LA、LB、LC 厚さ
Y 方向
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置の技術に関し、特に自動販売機に実装されるモジュールなどの電子装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、実開平6−43966号公報(特許文献1)には、電子機器のスイッチ操作部の静電気ノイズ対策として、回路基板にスイッチを実装し、このスイッチを覆う絶縁カバーとキートップに前記絶縁カバーを覆う壁を設けた構造が開示されている。
【特許文献1】実開平6−43966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、自動販売機の高機能化に伴い、自動販売機内には、多種多様な回路が形成された電子装置(モジュール)が実装されるようになってきた。このようなモジュールの回路を正常に動作させるためには、熱影響や静電気ノイズによる影響の少ない環境下で動作させることが好ましい。
【0004】
しかし、自動販売機は周知の通り、屋外に設置される場合がある。また、自動販売機内部には種々の熱源が存在する。このため、上記モジュールが設置される環境は、モジュールが備える回路や電子部品にとって必ずしも好ましい環境ではない。
【0005】
<熱影響についての検討>
例えば、上記モジュールを自動販売機の筐体の裏面側に取り付ける場合、該筐体に直射日光が当たることにより、発生した熱が該筐体を介してモジュール内部に搭載された基板や電子部品に熱伝達される場合がある。
【0006】
また、自動販売機内部には種々の熱源が存在するため、これらの熱源から発せられる熱が、上記モジュールを取り付けている支持部材を介してモジュール内部に搭載された基板や電子部品に熱伝達される場合がある。
【0007】
モジュール内部に搭載された基板や電子部品に熱が伝わると、モジュールが有する回路が誤動作する原因となる。すなわち、モジュールの信頼性が損なわれる。しかし、自動販売機の設置環境などの要因から、モジュールに伝達される熱を完全に取り除くことは困難である。したがって、上記モジュールには、熱に対する耐性を向上させる(モジュールに伝達される熱を内部の基板や電子部品に伝達し難くする)技術が要求される。
【0008】
本発明者は、モジュールを取り付ける支持部材が熱を発する場合でも、モジュール内部の基板や電子部品への熱の伝達を防止ないしは抑制する技術について検討を行った。
【0009】
まず、支持部材からの熱の伝達を抑制するため、電子部品が搭載された配線基板をその内部に固定するフロントケースを有し、該フロントケースの支持部材への取り付け面側に、熱伝達係数が低い樹脂製のリアケースを配置した構造について検討を行った。
【0010】
しかし、単にフロントケースの取り付け面側にリアケースを配置した構成の場合、リアケースと支持部材との接触面積が大きいので、リアケース自体に熱が蓄積し易くなる。このため、リアケースからフロントケースに固定された配線基板に熱が伝達され、熱伝達の十分な抑制効果は得られないという問題があることを見出した。
【0011】
<静電気の影響についての検討>
また例えば、サービスなどの目的で、自動販売機に実装された上記モジュールの表面に露出した押しボタンを操作する場合、操作者の指に帯電した静電気が押しボタンと上記モジュールのケース(フロントケース)の隙間から浸入して、内部のスイッチあるいはこれに接続される回路に到達し、これらの部品や回路が誤作動する原因となる場合がある。特に、冬場に屋外に設置された自動販売機に対してサービスを行う場合、このような現象が頻発する。
【0012】
したがって、上記モジュールには、静電気に対する耐性を向上させる(静電気がモジュール内部の基板やスイッチに伝達し難くする)技術が要求される。
【0013】
前記実開平6−43966号公報(特許文献1)の記載によれば、スイッチを覆う絶縁カバーとキートップに前記絶縁カバーを覆う壁を設けたことにより、キートップと外装ケースの間の隙間からスイッチのリード端子までの沿面距離を十分に確保することができるため静電気放電の発生する電圧を実用上問題のないレベルにまで高くすることができるとされている。
【0014】
しかし、この場合、スイッチを覆う絶縁カバーを配線基板上に配置する領域が必要となるため、スイッチ以外の電子部品を実装する実装領域が少なくなるという問題がある。また、部品点数が増加するという問題がある。
【0015】
また、配線基板に搭載されるスイッチ以外の電子部品に静電気が到達することを防止するためには、これらの電子部品も絶縁カバーで覆う必要があるため、上記した実装領域が少なくなる問題、あるいは部品点数が増加する問題はより深刻な問題となる。
【0016】
また、前記特許文献1に記載される構成から絶縁カバーを除いた場合、キートップと外装ケースの間の隙間からスイッチまでの沿面距離はスイッチの高さとストローク量で決定されるため、十分な沿面距離を確保することが困難になるという問題がある。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子装置の熱や静電気に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
すなわち、本発明の一つの実施の形態における電子装置は、自動販売機の支持部材の支持面に取り付ける電子装置であって、配線基板と、前記配線基板に搭載される電子部品と、前記自動販売機の前記支持面に固定する取り付け面を有し、前記配線基板を内部に固定して収納する第1ケースとを有している。また、前記第1ケースの前記取り付け面側に配置され、前記配線基板との間に空間を形成した状態で固定され、前記支持面に取り付ける際に前記支持面に沿って配置される外面を有する板状の第2ケースを有し、前記第2ケースの前記外面側には、外形が球面の一部を成す凸部を形成するものである。
【発明の効果】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0022】
すなわち、本発明の一つの実施の形態によれば、第2ケースと、電子装置を取り付ける支持部材との接触面積を小さくすることにより、第2ケースに伝達される熱量を低減することができるので、電子装置の熱に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
【0024】
(実施の形態1)
<電子装置の構造>
図1は本実施の形態1のモジュール(電子装置)の前面側の構造を示す平面図、図2は図1に示すモジュールを自動販売機の支持部材上に配置して、図1に示すA−A線に沿って切断した断面の構造を示す断面図である。また、図3は図2に示すフロントケース(第1ケース)の裏面側の構造(リアケースを取り除いた状態)を示す平面図、図4は図3に示す配線基板を取り外した状態を示す平面図、図5は図2に示す領域Bを拡大した要部拡大断面図である。
【0025】
図1に示す本実施の形態1のモジュール(電子装置)1は、自動販売機の内部に実装され、例えば、自動販売機内の在庫の状況や、販売状況に関するデータを管理する小型のモジュールである。モジュール1の外形は、モジュール1の筐体であるフロントケース(第1ケース)2の形状により規定される。
【0026】
フロントケース2の外形は、略直方体の裏面側をくりぬいた器状の外形(図2〜図4参照)をなし、その裏面側に開口部2a(図2参照)を有している。この開口部2aは板状の部材であるリアケース(第2ケース)3(図2参照)により塞がれており、モジュール1は内部に空間が確保された略直方体の箱となっている。
【0027】
図2に示すようにモジュール1は自動販売機が有する支持部材4の平坦な支持面4aに取り付けられる。
【0028】
また、フロントケース2の背面(取り付け面)2b側には、フロントケース2を自動販売機の支持部材4の支持面4aに固定するための取り付け部2cが、フロントケース2の側壁の外側に向かって延在している。
【0029】
取り付け部2cには、厚さ方向に沿って複数の貫通孔2dが形成されており、この貫通孔2dにネジなどの固定治具(図示は省略)を差し込むことにより自動販売機の支持部材4に固定する構造となっている。
【0030】
フロントケース2およびリアケース3は、保型性を維持するために必要な所定の硬さを有する例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、あるいはPC(Polycarbonate)/ABSなどの樹脂材料で形成されている。樹脂材料で形成することにより、フロントケース2およびリアケース3の成型性が向上する。また、樹脂材料は金属材料と比較して熱伝達係数が低いので、モジュール1の外部の熱が内部に伝達することを抑制することができる。
【0031】
また、ABS、あるいはPC/ABSなどの樹脂は、難燃性、耐薬品性などの特性も兼ね備えたグレードがあるため、その点でも好ましい。
【0032】
また、モジュール1の内部には、半導体パッケージ(電子部品)5などの電子部品が搭載された配線基板6がフロントケース2の内部の空間に収納されている。配線基板6は、例えば、略平面板状のプリント回路基板であり、その主面および内部には、所望の回路を構成する配線が複数形成されている。
【0033】
図2および図3では半導体パッケージ5が配線基板6に1個搭載された例を示しているが、電子部品の数、種類、および各電子部品の配置位置はこれに限定されない。電子部品の数および種類、配置位置はモジュール1に要求される機能に応じて適宜選択される。例えば、ベアチップの状態で半導体チップ(電子部品)が実装される場合や、コイル、コンデンサ、抵抗部品などがそれぞれ複数個搭載されている場合もある。
【0034】
配線基板6に搭載(実装)されるこれら部品のうち、その内部に集積回路が形成された半導体チップあるいは半導体パッケージ5が高温になると、特に誤作動の原因となりやすい。
【0035】
また、配線基板6は図4に示すフロントケース2の裏面側に設けられた配線基板固定用のボス2eに例えばネジで固定されている。図4では、配線基板6をフロントケース2側にしっかりと固定するため、配線基板6の四隅に対応する位置にボス2eが設けられた例を示している。
【0036】
一方、リアケース3はフロントケース2の背面2b側に配置されている。リアケース3は図2に示すように、配線基板6との間に空間を確保した状態で配置されている。図2〜図4に示すように、フロントケース2の側壁の内側には、リアケース3の外縁を受けるための受け部2fが形成されている。また、図3および図4に示すようにフロントケース2には、受け部2fとの間にリアケース3を挟み込んで固定するための留具2gが2箇所形成されている。
【0037】
また、留具2gが形成された辺と対向する辺側には、リアケース3を固定するためのボス2hが形成されており、リアケース3はボス2hに例えばネジなどにより固定されている。留具2gを用いることにより、リアケース3を固定する際のネジ留め箇所を少なくすることができる。
【0038】
また、リアケース3はモジュール1を支持部材4の支持面4aに取り付ける際に支持面4aに沿って配置される外面3aを有している。
【0039】
ここで、図2および図5に示すようにリアケース3の外面3a側には凸部3bが形成されている。リアケース3の外面3a側に凸部3bを形成することにより、モジュール1を自動販売機の支持部材4に取り付けた場合に、リアケース3と支持部材4のとの間(外面3aと支持面4aとの間)に隙間7を確保することができる。
【0040】
この隙間7を確保することにより、リアケース3は、凸部3bのみが支持部材4と接触することとなる。すなわち、リアケース3と支持部材4との接触面積を大幅に小さくすることができる。
【0041】
また、凸部3bの外形は、球面の一部を成すように形成されている。このため、凸部3bと支持部材4との接触は、凸部3bの有する球面の頂点による点接触となる。つまり、接触面積を更に低減することができる。
【0042】
本実施の形態1では、支持部材4が熱を発した場合であっても、リアケース3と支持部材4の接触面積が小さいので、リアケース3への熱の伝達を抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態1では、図2に示すように、リアケース3と配線基板6との間に空間が確保されている。このため、リアケース3から配線基板6への熱伝達経路は、大気を介した熱伝達、あるいは放射熱による熱伝達が主たる熱伝達経路となる。
【0044】
しかし、リアケース3への熱の伝達を抑制することにより、リアケース3自体は熱を蓄積し難い状態となる。このため、大気を介した熱伝達および放射熱による熱伝達も抑制することができるので、結果として配線基板6やこれに搭載された半導体パッケージ5などに対する熱伝達を防止ないしは最小限に抑制することができる。
【0045】
本実施の形態1では、このように配線基板6や半導体パッケージ5への熱の伝達を最小限に抑えることができるので、モジュール1の耐熱性向上させ、信頼性を向上させることができる。
【0046】
<リアケースの詳細構造>
次に図6〜図8を用いて本実施の形態1のリアケース3の詳細構造について説明する。図6は本実施の形態1のリアケースの内面側の平面図、図7は本実施の形態1のリアケースの外面側の平面図、図8はリアケースの反りの方向を示す断面図である。
【0047】
図6に示すようにリアケース3の内面3c側には、リブ3dが形成されている。リブ3dはリアケース3の内面3c側の外周に沿って延在するように形成されている。リブ3dは、図3および図4に示す留具2gを受ける受け部3e、リアケース3をネジ留め固定する固定部3f、モジュール1の外部に接続されるコネクタ(図示は省略)が配置される外部接続部3gなど、リブ3dを形成すると、その他の部材と緩衝する領域を除き、リアケース3の外周を囲むように形成されている。
【0048】
一方、図7に示すリアケース3の外面3a側には、既に説明した凸部3bが形成されている。凸部3bは、リアケース3の外面3a側の中央の領域に1個形成されている。
【0049】
リアケース3の上記構造は、モジュール1(図1参照)を図5に示す自動販売機の支持部材4に取り付けた際に、支持部材4とリアケース3の外面3aとの間に確実に隙間7を確保することを可能とするものであるが、以下にその理由を説明する。
【0050】
リアケース3は、前述の通り、樹脂成型品である。したがって、成型後の乾燥工程、あるいはその後熱が加わった際に、所謂「反り」と呼ばれる変形を生じる場合がある。ここで、図6に示すリブ3dを形成しない構造の場合、リアケース3の反りの方向は、一定した方向とはならない。
【0051】
このため、この反りによって、図7に示す凸部3bが形成されていない領域(例えば図7に示す外面3aの四隅)が、リアケース3の外面3aの方向に持ち上がった場合、リアケース3の外面3aの凸部3bが形成されていない領域と支持部材4(図5参照)の支持面4a(図5参照)とが直接接触することとなり、接触面積が増大する。つまり、図5に示す隙間7が十分に確保できないこととなる。
【0052】
図5に示す隙間7が十分に確保できない場合、リアケース3の外面3aと支持部材4との接触箇所を介して支持部材4の熱がリアケース3に伝わり易くなるので、リアケース3を介して、図2に示す配線基板6やこれに搭載される半導体パッケージ5に熱が伝わり易くなる。
【0053】
リアケース3に反りが生じた場合でも、確実に凸部3bと支持部材4とを接触する方法としては、リアケース3の外面3a側に多数の凸部3bを形成する方法も考えられる。しかし、この場合、多数の凸部3bを形成することにより、結局隙間7が十分に確保できない状態となるため、リアケース3を介して、図2に示す配線基板6やこれに搭載される半導体パッケージ5に熱が伝わり易くなる場合がある。
【0054】
そこで、本実施の形態1では、図6に示すようにリアケース3の内面3c側に、この反りの方向を制御するためのリブ3dを形成する構造とした。
【0055】
図8に示すリアケース3の成型時にリブ3dも一括して形成する場合、リブ3dが形成された領域は、成型後の乾燥工程で乾燥し難くなる。つまり、リブ3dが形成された領域の乾燥速度は他の領域の乾燥速度よりも遅くなる。
【0056】
このため、最終的にリブ3dが乾燥する段階では、既に乾燥したリブ3d以外の領域にはリブ3dの高さ方向Yに引っ張る力が加わる。
【0057】
したがって、図6に示すように、リアケース3の内面3cの外周に沿ってリブ3dを延在させるように形成することにより、リアケース3の内面3cの外周は、図8に示すリブ3dの高さ方向Yに引っ張られることとなる。
【0058】
このような力を加えることにより、リアケース3に反りが生じる場合には、内面3cの外周が方向Yに変形するので、凸部3bが形成された外面3aの中央の領域が方向Yの反対方向に突出する形状となる。つまり、凸部3bの先端が外面3a側に最も突出するように反りの方向を制御することが可能となる。
【0059】
したがって、上記リアケース3を有するモジュール1を図5に示すように自動販売機の支持部材4に取り付ける場合、リアケース3に反りが生じた場合であっても、支持部材4との距離が最も近づく領域に凸部3bが1個形成されることとなる。
【0060】
このため、リアケース3に反りが生じた場合であっても、1個の凸部3bと支持部材4とが接触し、その他の領域は支持部材4とは接触しないので、隙間7を十分に確保することができる。
【0061】
この結果、リアケース3に伝達される熱を最小限に抑制することができる。すなわち、リアケース3と支持部材4との接触面積を最小限にすることができる。したがって、図2に示す配線基板6やこれに搭載された半導体パッケージ5などに対する熱伝達を防止ないしは最小限に抑制することができる。
【0062】
また、図6に示すように、リアケース3の内面3c側の外周に沿って延在するようにリブ3dを形成することにより、リアケース3の厚さ方向の強度を向上させることができる。したがって、リアケース3に発生する反り自体を抑制することができる。
【0063】
本実施の形態1のリアケース3は、内面3c側の外周に沿って延在するようにリブ3dを形成することにより、リアケース3に発生する反りを抑制することができるので、モジュール1を支持部材4に取り付けた場合に、リアケース3と支持部材4との間の隙間7の体積が小さくなることを抑制することができる。
【0064】
また、仮に反りが発生した場合であっても、反りの方向はリブ3dによって制御されているので、支持部材4との距離が最も近づく領域に、1個の凸部3bを確実に形成することができる。したがって、隙間7をより確実に確保することができる。
【0065】
<変形例>
本実施の形態1では、支持部材4とリアケース3との接触面積を最小限にする方法として、リアケース3の内面3c側の外周に沿ってリブ3dを形成し、外面3a側の中央の領域に凸部3bを1個形成する構成について説明したが種々の変形例がある。
【0066】
例えば、リアケース3の平面積が大きい場合、内面3c側の外周に沿ってリブ3dを形成した場合であっても、反りの発生によって支持部材4に最も近づく箇所がリアケース3の中心から若干ずれる場合がある。
【0067】
このような現象の対策として、リアケース3の中心付近の領域(中央の領域)に複数の凸部3bを形成しても良い。例えば、リアケース3の外面3a側の中心付近の領域(中央の領域)に3個の凸部3bをそれぞれ三角形の頂点を成すように配置しても良い。この場合、リアケース3の反りによって支持部材4に最も近づく箇所がリアケース3の中心から若干ずれても凸部3bのいずれかが支持部材4と接触するので、隙間7を確保することができる。
【0068】
また、リブ3dを形成する領域をリアケース3の内面3c側の中央の領域として、凸部3bは外面3a側の四隅に各1個ないしは2個ずつ形成する構成としても良い。
【0069】
この場合、リアケース3に反りが発生した場合、リブ3dは内面3cの中央の領域に形成されているので、リアケース3の四隅が支持部材4に近づく方向に反ることとなる。しかしリアケース3の外面3a側の四隅にはそれぞれ凸部3bが形成されているので、各凸部3bが支持部材4と接触することとなり、隙間7を確保することができる。
【0070】
ただし、リブ3dを中央の領域に形成する場合、図6に示す構造と比較すると、リアケース3の厚さ方向に対する強度を向上させる効果は低い。したがって、リアケース3の厚さ方向に対する強度を向上して、リアケース3の反り自体を抑制する観点からは図6に示す構造(リアケース3の内面3c側の外周に沿ってリブ3dを形成する構造)の方がより好ましい。
【0071】
<自動販売機への取り付け例>
次に、図9を用いて本実施の形態1のモジュール1を自動販売機に取り付ける例について説明する。図9は、本実施の形態1の自動販売機にモジュールを取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
【0072】
本実施の形態1のモジュール1は、例えば図9に示すように自動販売機の外部カバーと共用される金属板である支持部材4に取り付けられる。図9において、モジュール1は自動販売機の内部の温冷庫11と外部カバーの一部である支持部材4の間に配置されている。
【0073】
図9に示すように、外部カバーの一部である支持部材4に取り付ける場合、自動販売機を屋外に設置すると、支持部材4は、直射日光12が当り、加熱される。あるいは、自動販売機の内部に設置された熱源となる部品からの熱が支持部材4に伝わり、加熱される。
【0074】
しかし、本実施の形態1のモジュール1は、図2に示すようにモジュール1の取り付け面であるフロントケース2の背面2b側に配置される樹脂製のリアケース3を有している。また、図5に示すようにリアケース3の外面3aと支持部材4との間には隙間7が確保されている。
【0075】
このため、支持部材4が加熱された場合であっても、モジュール1の内部に熱が伝達されることを抑制するので、モジュール1の熱に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、電子装置の静電気ノイズに対する耐性を向上させる構造について説明する。なお、本実施の形態2で電子装置の例として説明するモジュールは、前記実施の形態1で説明したモジュール1と同様の構成をとることができる。したがって、本実施の形態2では、自動販売機に取り付けるモジュール1を例として、前記実施の形態1で説明した図1〜図9を適宜参照しながら説明することとし、重複する説明は原則として省略する。
【0077】
図10は図2に示すC領域を拡大して示す要部拡大断面図、図11は図4に示すフロントケースの内面側に配置されたキーを取り除いた状態を示す平面図である。
【0078】
図10において、配線基板6には、スイッチ15が搭載されている。スイッチ15は配線基板6の前面側に搭載されている。また、スイッチ15は搭載面の反対側に押しボタン15aが配置される状態で搭載されている。
【0079】
また、スイッチ15の押しボタン15a側には、フロントケース(ケース)2の外側から押しボタン15aを操作するためのキー16が配置されている。キー16は、例えば、シリコーンゴム、エラストマーなど、弾性を有する絶縁性の樹脂材料で形成されている。
【0080】
フロントケース2の前面2i側にはスイッチ15が配置される位置に対応して、開口部2jが形成されている。キー16の露出面16bは、この開口部2jからフロントケース2の外部に露出している。
【0081】
また、フロントケース2は開口部2jの縁からフロントケース2の内側方向に延在する内壁部2kを有している。内壁部2kは、図11に示すように円形の開口部2jを囲むように形成されている。
【0082】
キー16の略中央には、スイッチ15の押しボタン15aに接触する押圧部16aが形成されている。スイッチ15を操作する際には、キー16の露出面16bを例えば指で押し込む事により、押圧部16aが押しボタン15aを押圧して操作する機構となっている。
【0083】
この押しボタン15aを操作する際に、指などに静電気が帯電している場合、帯電した指と、フロントケース2の内部に実装されたスイッチ15、あるいは配線基板6の配線との間で静電気放電が発生し、内壁部2kとキー16の隙間から静電気が浸入する場合がある。特に、自動販売機に取り付けられるモジュール1の場合、冬場にはサービスなどの目的で押しボタン15aを操作する作業者の指に静電気が帯電することが多い。
【0084】
この内壁部2kとキー16の隙間と、スイッチ15、あるいは配線基板6との距離が短い場合、静電気放電を発生しやすい状況となる。静電気放電が発生すると、配線基板6に形成された回路や、これに搭載されたスイッチ15、あるいは半導体パッケージ5などの電子部品が誤作動を起す可能性がある。
【0085】
そこで、本実施の形態2では、静電気放電の発生を抑制するため以下の構造とした。
【0086】
まず、キー16は、その外周側に内壁部2kの内面に沿って延在する内フランジ部(第1のフランジ部)16cと、内壁部2kの外面に沿って延在する外フランジ部(第2のフランジ部)16dとを有している。
【0087】
また、フロントケース2の内壁部2kの先端よりも深い位置には、キー16の一部であるフランジ底部16eが配置されている。内フランジ部16cと外フランジ部16dとは、それぞれフランジ底部16eと接続されており、一体構造となっている。
【0088】
また、内フランジ部16cはキー16の露出面16bからフランジ底部16eの内縁まで延在し、外フランジ部16dはフランジ底部16eの外縁からフロントケース2の開口部2jが形成された面の方向に延在している。また、内フランジ部16cと外フランジ部16dとでフロントケース2の内壁部2kを挟み込む構造となっている。
【0089】
つまり、絶縁体であるキー16の内フランジ部16c、フランジ底部16e、外フランジ部16dが連なって形成されており、フロントケース2の内壁面2kをその内面側から外面側に包むように覆っている。
【0090】
上記構造とすることにより、内壁部2kとキー16の隙間から静電気が浸入した場合であっても、配線基板6あるいはスイッチ15などの電子部品までの沿面距離を十分に確保することができる。
【0091】
また、本実施の形態2によれば、スイッチ15に静電気から保護するカバーなどを設ける必要がないため、配線基板6上の各種電子部品を搭載する実装面積を広く確保することができる。また、部品点数を少なくすることができる。
【0092】
また、例えば、モジュール1の外形寸法の制約上、配線基板6からフロントケース2の高さを十分に確保できない場合がある。しかし、本実施の形態2によれば、必要に応じてフロントケース2の内壁部2kの厚さを厚くして、これに対応してフランジ底部16eの幅を広げることにより、必要な沿面距離を確保することができる。
【0093】
また、図10に示すように、キー16のフランジ底部16eの厚さLAは、内フランジ部16cの厚さLB、および外フランジ部16dの厚さLCよりも厚い。
【0094】
フランジ底部16eは、内壁部2kとキー16の隙間に浸入した静電気が直線的にスイッチ15あるいは配線基板6の方向に向かうことを防止する機能を有している。したがって、フランジ底部16eの厚さLAが薄い場合、静電気がフランジ底部16eを貫通してしまう場合がある。
【0095】
本実施の形態2では、フランジ底部16eの厚さLAを内フランジ部16cの厚さLB、および外フランジ部16dの厚さLCよりも厚くすることにより、静電気がフランジ底部16eを貫通することを防止することができる。
【0096】
また、フロントケース2の内壁部2kの外側には、内壁部2kを囲むように凹部2mが形成されている。このように凹部2mを形成することにより、外フランジ部16dをさらに上方に延ばすことができるので、沿面距離をさらに長くすることができる。
【0097】
また、キー16を保持する際に、内壁部2kの先端とフランジ底部16e、あるいは外フランジ部16dの先端とフロントケース2のいずれか一方を接触させる構造とした方が保持位置を決定し易い。
【0098】
本実施の形態2では、凹部2mを形成することにより、外フランジ部16dの先端とフロントケース2の間に隙間17を確保する構造とした。このため、十分な沿面距離を確保しつつ、容易にキー16の保持位置を決定することができる。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0100】
例えば、実施の形態2では、押しボタン15aを操作するための開口部2jの形状として円形構造を示したが、例えばこれを多角形、あるいは楕円形などとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、自動販売機に取り付けるモジュールなどの電子部品に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施の形態であるモジュール(電子装置)の前面側の構造の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すモジュールを自動販売機の支持部材上に配置して、図1に示すA−A線に沿って切断した断面の構造を示す断面図である。
【図3】図2に示すフロントケース(第1ケース)の裏面側の構造(リアケースを取り除いた状態)を示す平面図である。
【図4】図3に示す配線基板を取り外した状態を示す平面図である。
【図5】図2に示す領域Bを拡大した要部拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるリアケースの内面側の平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態であるリアケースの外面側の平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態であるリアケースの反りの方向を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態である自動販売機にモジュールを取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
【図10】図2に示すC領域を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図11】図4に示すフロントケースの内面側に配置されたキーを取り除いた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 モジュール(電子装置)
2 フロントケース(第1ケース、ケース)
2a 開口部
2b 背面(取り付け面)
2c 取り付け部
2d 貫通孔
2e ボス(配線基板固定用ボス)
2f 受け部
2g 留具
2h ボス(リアケース固定用ボス)
2i 前面
2j 開口部
2k 内壁部
2m 凹部
3 リアケース(第2ケース)
3a 外面
3b 凸部
3c 内面
3d リブ
3e 受け部
3f 固定部
3g 外部接続部
4 支持部材
4a 支持面
5 半導体パッケージ(電子部品)
6 配線基板
7 隙間
11 温冷庫
12 直射日光
15 スイッチ
15a 押しボタン
16 キー
16a 押圧部
16b 露出面
16c 内フランジ部(第1のフランジ部)
16d 外フランジ部(第2のフランジ部)
16e フランジ底部
17 隙間
LA、LB、LC 厚さ
Y 方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の支持部材の支持面に取り付ける電子装置であって、
配線基板と、
前記配線基板に搭載される電子部品と、
前記自動販売機の前記支持面に固定する取り付け面を有し、前記配線基板を内部に固定して収納する第1ケースと、
前記第1ケースの前記取り付け面側に配置され、前記配線基板との間に空間を形成した状態で固定され、前記支持面に取り付ける際に前記支持面に沿って配置される外面を有する板状の第2ケースとを有し、
前記第2ケースは樹脂で形成され、
前記第2ケースの前記外面側には、外形が球面の一部を成す凸部が形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第2ケースの内面側には、前記第2ケースに発生する反りの方向を制御するためのリブが形成され、
前記第2ケースの外面側に形成される前記凸部は、前記電子装置を前記自動販売機の前記支持面に取り付ける場合に、前記支持面との距離が最も近づく領域に形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置において、
前記第2ケースの前記リブは、前記第2ケースの内面側の外周に沿って形成され、
前記凸部は、前記第2ケースの外面側の中央の領域に形成されることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
配線基板と、
前記配線基板に搭載されるスイッチと、
前記配線基板を内部に固定して収納するケースと、
前記ケースの外側から前記スイッチの押しボタンを操作するための絶縁性のキーとを有し、
前記ケースは、
前記キーを外部に露出させるための開口部と、前記開口部の縁から前記開口部を囲むように前記ケースの内側に延在する内壁部とを有し、
前記キーは、
前記ケースの前記開口部から外部に露出する露出面と、
前記スイッチの前記押しボタンと接触する押圧部と、
前記ケースの前記内壁部の先端よりも深い位置に配置されるフランジ底部と、
前記ケースの前記内壁部の内面に沿って前記露出面から前記フランジ底部まで延在する第1のフランジ部と、
前記フランジ底部から前記ケースの前記開口部が形成された面の方向に前記内壁部の外面に沿って延在する第2のフランジ部とを有し、
前記ケースの前記内壁部は、前記第1のフランジ部、前記フランジ底部、および前記第2のフランジ部によって内面側から外面側に覆われていることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子装置において、
前記キーの前記フランジ底部の厚さは、前記第1のフランジ部の厚さ、および前記第2のフランジ部の厚さよりも厚いことを特徴とする電子装置。
【請求項1】
自動販売機の支持部材の支持面に取り付ける電子装置であって、
配線基板と、
前記配線基板に搭載される電子部品と、
前記自動販売機の前記支持面に固定する取り付け面を有し、前記配線基板を内部に固定して収納する第1ケースと、
前記第1ケースの前記取り付け面側に配置され、前記配線基板との間に空間を形成した状態で固定され、前記支持面に取り付ける際に前記支持面に沿って配置される外面を有する板状の第2ケースとを有し、
前記第2ケースは樹脂で形成され、
前記第2ケースの前記外面側には、外形が球面の一部を成す凸部が形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第2ケースの内面側には、前記第2ケースに発生する反りの方向を制御するためのリブが形成され、
前記第2ケースの外面側に形成される前記凸部は、前記電子装置を前記自動販売機の前記支持面に取り付ける場合に、前記支持面との距離が最も近づく領域に形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置において、
前記第2ケースの前記リブは、前記第2ケースの内面側の外周に沿って形成され、
前記凸部は、前記第2ケースの外面側の中央の領域に形成されることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
配線基板と、
前記配線基板に搭載されるスイッチと、
前記配線基板を内部に固定して収納するケースと、
前記ケースの外側から前記スイッチの押しボタンを操作するための絶縁性のキーとを有し、
前記ケースは、
前記キーを外部に露出させるための開口部と、前記開口部の縁から前記開口部を囲むように前記ケースの内側に延在する内壁部とを有し、
前記キーは、
前記ケースの前記開口部から外部に露出する露出面と、
前記スイッチの前記押しボタンと接触する押圧部と、
前記ケースの前記内壁部の先端よりも深い位置に配置されるフランジ底部と、
前記ケースの前記内壁部の内面に沿って前記露出面から前記フランジ底部まで延在する第1のフランジ部と、
前記フランジ底部から前記ケースの前記開口部が形成された面の方向に前記内壁部の外面に沿って延在する第2のフランジ部とを有し、
前記ケースの前記内壁部は、前記第1のフランジ部、前記フランジ底部、および前記第2のフランジ部によって内面側から外面側に覆われていることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子装置において、
前記キーの前記フランジ底部の厚さは、前記第1のフランジ部の厚さ、および前記第2のフランジ部の厚さよりも厚いことを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−117586(P2009−117586A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288447(P2007−288447)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000233169)株式会社日立超エル・エス・アイ・システムズ (327)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000233169)株式会社日立超エル・エス・アイ・システムズ (327)
【Fターム(参考)】
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