説明

電子装置

【課題】装置の信頼性を簡易にして向上することができる電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置(1)は、電子部品(4)が収容され、開口部(14)を有する筐体(12)と、一端が電子部品に接合され、他端が開口部に挿通されて筐体外に延びる芯線(20)と、芯線を覆うシース(22)とからなるケーブル(16)とを備え、ケーブルは、少なくとも開口部にかかる位置にてシースの内側に挿通される芯捧(24)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に係り、例えば光電センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子装置として、例えば、可視、不可視光線の反射または遮光の何れかによって物体を検出する光電センサ装置がある(例えば特許文献1参照)。
この光電センサ装置は、発光ダイオード(発光素子)やフォトダイオード(受光素子)などの光素子が実装され、配線パターンが形成される回路基板(電子部品)と、回路基板が収納されるケースと、ケースと組み付けられて筐体を形成するカバーとを具備しており、カバーには光素子の光学系を決定するレンズが設けられる。
このような光電センサ装置の筐体には開口部が形成され、開口部には装置に電力を供給したり、或いは装置の制御信号を入出力するケーブルが挿通されている。
【0003】
ケーブルは、銅線を絶縁材で被覆した2本または3本程度の芯線と、各芯線の束を覆うゴム製等の外皮であるシースとから構成され、各芯線の一端は回路基板に接合され、各芯線の他端は開口部に挿通されて筐体外に延びて電力源や監視・制御対象に接続される。
しかしながら、一般的に光電センサ装置は装置自体が小型であるが故に小径のケーブル(例えばφ2.5mm程度)を用いざるを得ない場合がある。従って、ケーブルのうち装置外に露出した箇所を屈曲させることによってケーブルの、特に開口部近傍に応力集中が生じることとなるのでシースの破損やケーブルの断線のおそれがある。
【0004】
このような課題に対し、筐体の開口部にコーン(例えば特許文献2参照)を設け、ケーブル保護を図ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−342916公報
【特許文献2】実開平05−018226公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光電センサ装置を含む電子機器は昨今のニーズに伴い小型化が進められている。しかしながら小型形状を2次成形によって形成することは困難であることから、当該手法にかかるコストは2次成形するための工程や設備コストを含め増大するという課題が生じている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、電子装置におけるケーブルの信頼性を簡易にして向上することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、請求項1記載の電子装置は、電子部品が収容され、開口部を有する筐体と、一端が電子部品に接合され、他端が開口部に挿通されて筐体外に延びる芯線と、芯線を覆うシースとからなるケーブルとを備え、ケーブルは、少なくとも開口部にかかる位置にてシースの内側に挿通される芯捧を有することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明では、請求項1において、芯捧は弾性材からなることを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3記載の発明では、請求項1において、ケーブルは、芯捧が複数の芯線と隣接して設けられることを特徴としている。
更にまた、請求項4記載の発明では、請求項3において、ケーブルは、複数の芯捧を有することを特徴としている。
また、請求項5記載の発明では、請求項3において、芯捧は筐体内から筐体外に向けて縮径されたテーパ棒状をなすことを特徴としている。
【0009】
更に、請求項6記載の発明では、請求項1において、芯線は芯捧に対して巻回されることを特徴としている。
更にまた、請求項7記載の発明では、請求項6において、ケーブルは、シースの内側の少なくとも開口部にかかる位置にて芯線及び芯捧を巻回する巻線を有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項8記載の発明では、請求項1において、電子装置は光電センサ装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
従って、本発明の電子装置によれば、一端が電子部品に接合され、他端が開口部に挿通されて筐体外に延びる芯線と、芯線を覆うシースとからなるケーブルには、シースの内側の少なくとも筐体の開口部にかかる位置に芯捧が挿通される。これにより、開口部にかかる位置のケーブルの耐屈曲性を高めることができるため、芯線への応力集中やシースの破損によってケーブルが断線するのを効果的に防止することができるため、電子装置の信頼性を簡易にして向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光電センサ装置の構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A方向からみた光電センサ装置の組立状態を示す縦断面図である。
【図3】図2のケーブルの開口部にかかる位置における径断面を示す斜視図である。
【図4】図2のケーブルの芯捧の有無によるケーブル状態の違いを示す図である。
【図5】図3の変形例となるケーブルの開口部にかかる位置における径断面を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るケーブルの開口部にかかる位置における径断面を示す斜視図である。
【図7】図6の変形例となるケーブルの開口部にかかる位置における径断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る光電センサ装置について先ず第1実施形態から説明する。
図1は、本実施形態に係る光電センサ装置(電子装置)1の構造を示す分解斜視図である。
装置1は、可視、不可視光線の反射または遮光の何れかによって光素子2を介して物体を検出する検出器であって、光素子2が電気的に実装され、配線パターンが形成される回路基板(電子部品)4と、回路基板4が収容されるケース6と、ケース6に組み付けられるカバー8とから概略構成されている。
【0014】
光素子2は、シリコン等の電子基板上をエポキシ樹脂等で封止した表面実装パッケージ部品であって、発光ダイオード(発光素子)やフォトダイオード(受光素子)などとして用いられ、図1の向きにて例えば縦横幅2mm、高さ0.4mm程度の外形寸法を有し、回路基板4において光素子2が実装される被実装面4aの略中央に搭載されている。
ケース6及びカバー8は、何れも、合成樹脂等から箱体に形成され、図1の向きにて例えば縦幅10mm、横幅20mm、高さ4mm程度の外形寸法を有している。
【0015】
カバー8には、その箱体の底面8aにレンズ10が設けられ、光素子2と共に光学系を形成する。本実施形態の場合には、レンズ10はケース6及びカバー8の高さ方向に光素子2と正対して位置付けられ、これより、光素子2の発光や受光が被実装面4aと平行な面にて可能な装置1が構成される。
図2の、図1のA−A方向からみた装置1の組立状態を示す縦断面図を参照すると、回路基板4は、その被実装面4aとは反対側の面である背面4bからケース6の底面6aに載置され、ケース6及びカバー8の各箱体の開口端面6b、8bを互いに当接させ、例えばレーザ溶着などで接合することにより、回路基板4が収容された筐体12が構成される。
【0016】
筐体12には、ケース6及びカバー8の各箱体の各側壁6c、8cを各開口端面6b、8bにかかる位置で切り欠き、これら切り欠き部分を合わせて形成される開口部14が設けられている。
開口部14には、装置1に電力を供給したり、或いは装置1の制御信号を装置1外に出力するケーブル16がコネクタ18を介して挿通され、ケーブル16は回路基板4に電気的に接続されている。
【0017】
詳しくは、図3のケーブル16の開口部14にかかる位置における径断面を示す斜視図を参照すると、ケーブル16は、例えば2.5mm程度の径を有して形成され、3本の芯線20と各芯線20の束を覆うシース22とから構成されている。
各芯線20は銅線20aを絶縁材20bで被覆した0.8mm程度の径を有して形成され、一方、シース22はゴム製等の外皮であって0.8mm程度の厚みを有して形成されている。
【0018】
各芯線20の筐体12側の一端は、はんだ付け等により被実装面4aの所定のパット位置に接合され、一方、各芯線20の他端は開口部14に挿通されて筐体12外に延び、図示しない電力源や装置1の出力の監視・制御対象に接続される。
ここで、ケーブル16には、シース22の内側の少なくとも開口部14にかかる位置に芯捧24が挿通されている。
【0019】
芯捧24は、好ましくはゴムやプラスチック等の弾性材であって、シース22よりも高いヤング率を有する材料から円柱棒状に形成され、各芯線20と隣接する位置に配置されている。なお、市販のケーブルにシース22を貫通させて芯捧24を挿入することによりケーブル16を形成しても良いし、ケーブル16の製造段階においてシース22の内側の所定位置に芯捧24を予め配置してケーブル16を形成しても良い。
【0020】
以上のように、本実施形態では、装置1への電力供給や制御信号の出力に使用されるケーブル16には、シース22の内側の少なくとも筐体12の開口部14にかかる位置に芯捧24が挿通されることにより、開口部14にかかる位置のケーブル16の耐屈曲性を高めることができるため、ケーブル16の断線を効果的に防止することができる。
すなわち、図4の装置1の上面図に示されるように、ケーブル16を所定の力Fで屈曲したとき、何らの対策を採らない場合にあっては、ケーブル状態Aに示されるように開口部14の近傍に大きな曲げ量(変位量)が生じることからケーブル16が装置1の内外で大きく屈曲、特に開口部14近傍では大きな屈曲角aで屈曲することとなってしまい、結果としてケーブル16の断線に繋がるおそれがある。
【0021】
しかし、本実施形態によればケーブル16の曲げ量はケーブル状態Bに示されるように開口部14近傍から緩やかに推移し、ケーブル16は開口部14近傍では屈曲角aに比して極めて小さな屈曲角bでしか屈曲しないため、ケーブル16への応力集中が生じにくくなり、ケーブル16の断線を防止することができる。
しかも、本実施形態によればケーブル16に芯棒24を配置することでケーブル16の断線を防止することができるため、2次成型によってコーンを形成する必要がない。
【0022】
ここで、図示はしないが、ケーブル16の開口部14にかかる位置に複数の芯捧24を設けても良く、これにより、ケーブル16に作用する屈曲力を複数の芯捧24に分散させることができるため、開口部14におけるケーブル15の耐屈曲性をより一層高めることができる。
また、図5は、ケーブル16とは異なる構造のケーブル26の開口部14にかかる位置における径断面を表した斜視図を示している。これより明らかなように、円柱捧状をなす芯捧24に代えて、筐体12内から筐体12外に向けて縮径されたテーパ棒状をなす芯捧28を設けても良い。このような構成によっても前述した実施の形態と同様、開口部14におけるケーブル26の耐屈曲性を更に高めることができる。なお、図5は、図の分かり易さのために各芯線20及び芯捧28を覆うシース22の一部を剥離した状態を示す。また、図5は、一例として芯線20を2本設ける場合について図示しているが、芯線20が3本以上の場合でも上記と同様の効果が得られるのは勿論である。
【0023】
また、芯捧28をシース22を貫通させてケーブル26に挿入する場合には、縮径された側から芯捧28を挿入することによって容易に芯捧28を挿入することができるため、ケーブル26の加工性が向上するとの利点もある。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
当該第2実施形態では、上記第1実施形態のケーブル16とは異なる構造のケーブル30を用い、他は上記第1実施形態とは同様の構成をなすため、主としてこのケーブル30について説明する。
【0024】
図6は、ケーブル30の開口部14にかかる位置における径断面を示す斜視図である。
ケーブル30は、各芯線20が芯捧24に対して巻回されて構成され、更に、シース22の内側の少なくとも開口部14にかかる位置において各芯線20及び芯捧24の束を巻回する巻線32を有している。なお、図6及び後で説明する図7は、図の分かり易さのために巻線32を覆うシース22の一部を剥離した状態を示す。
【0025】
巻線32は、例えばピアノ線のような樹脂製等の極細線であって、図6の場合には筐体12内からみて右巻きに各芯線20及び芯捧24の束をコイル状に巻回される。なお、芯捧24の場合と同様に、市販のケーブルのシース22の一部を剥離して巻線32を巻回することによりケーブル30を形成しても良いし、ケーブル30の製造段階においてシース22の内側の所定位置に巻線32を予め巻回してケーブル30を形成しても良い。
【0026】
以上のように、本実施形態では、芯線20が芯捧24に対して巻回されることにより、前述の効果に加え、コイル状に巻回された巻線の弾性力によって、ケーブル30がねじれに対し強くなるという効果を奏する。
ここで、図7は、ケーブル30とは異なるケーブル34の開口部14にかかる位置における径断面を表す斜視図を示している。これより明らかなように、筐体12内からみて右巻きの巻線32に加え、巻線32と同様の極細線であって筐体12内からみて左巻きの巻線36で各芯線20及び芯捧24の束をコイル状に巻回しても良い。
【0027】
以上で本発明の実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記各実施形態での光電センサ装置1にに限らず、レンズ10をカバー8の外側面に設けたり、レンズ10と正対しない位置に設け、更にカバー8に光素子2とレンズ10との間の導光を行う導光部材を設けて、光素子2の発光、受光が水平や斜め方向にて可能な光電センサ装置や、光電センサ装置以外の電子装置にも適用可能である。
【0028】
また、コネクタ18として独立した部品を設けるのではなく、筐体12の開口部14とケーブルとが形成する隙間を、例えば樹脂材料を用いた2次成形等の手法で封止しても良いことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0029】
1 光電センサ装置(電子装置)
4 回路基板(電子部品)
12 筐体
14 開口部
20 芯線
22 シース
16,26,30,34 ケーブル
24,28 芯捧
32,36 巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収容され、開口部を有する筐体と、
一端が前記電子部品に接合され、他端が前記開口部に挿通されて前記筐体外に延びる芯線と、前記芯線を覆うシースとからなるケーブルとを備え、
前記ケーブルは、少なくとも前記開口部にかかる位置にて前記シースの内側に挿通される芯捧を有することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記芯捧は弾性材からなることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ケーブルは、前記芯捧が複数の前記芯線と隣接して設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ケーブルは、複数の前記芯捧を有することを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記芯捧は前記筐体内から前記筐体外に向けて縮径されたテーパ棒状をなすことを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記芯線は前記芯捧に対して巻回されることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記ケーブルは、前記シースの内側の少なくとも前記開口部にかかる位置にて前記芯線及び前記芯捧を巻回する巻線を有することを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
光電センサ装置であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−226877(P2010−226877A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71744(P2009−71744)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】