説明

電子装置

【課題】スイッチが実装されたプリント基板の筐体内での占有スペースが抑制された電子装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例の電子装置は、正面、前記正面の裏面に相当する背面、開口部を有し前記正面及び背面の各面積よりも小さい面積を有した側面、を有した筐体と、スイッチが実装された第1面、前記第1面の裏面に相当する第2面、を有したプリント基板と、前記第1面が前記筺体の前記側面を向いた状態で前記プリント基板を保持する保持部、前記保持部に一体に形成され前記開口部から露出し前記スイッチを操作可能な操作部、を有し前記筐体に収納されたホルダと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置には、操作ボタン、操作ボタンへの操作により押されるスイッチ、スイッチを実装したプリント基板、操作ボタンを露出する開口部を有しプリント基板を収納した筐体、を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−148054号公報
【特許文献2】特開2001−082007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子装置の筐体には、薄型化されたものがある。薄型化された筐体は、正面、背面、正面及び背面の各面積よりも小さい面積を有した側面を有している。筐体の側面にこのような操作ボタンを設ける場合に、筐体の正面又は背面に平行に操作ボタン用のスイッチを実装したプリント基板を配置すると、筐体内での正面又は背面の方向でのプリント基板が占有するスペースが増大する。
【0005】
本発明は、スイッチが実装されたプリント基板の筐体内での占有スペースが抑制された電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の電子装置は、正面、前記正面の裏面に相当する背面、開口部を有し前記正面及び背面の各面積よりも小さい面積を有した側面、を有した筐体と、スイッチが実装された第1面、前記第1面の裏面に相当する第2面、を有したプリント基板と、前記第1面が前記筺体の前記側面を向いた状態で前記プリント基板を保持する保持部、前記保持部に一体に形成され前記開口部から露出し前記スイッチを操作可能な操作部、を有し前記筐体に収納されたホルダと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
スイッチが実装されたプリント基板の筐体内での占有スペースが抑制された電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A、1Bは、本実施例の携帯装置の説明図である。
【図2】図2は、電子装置の分解斜視図である。
【図3】図3は、ケース、プリント基板、ホルダを示した分解斜視図である。
【図4】図4は、ケース、プリント基板、ホルダを示した分解斜視図である。
【図5】図5は、ケースにホルダを固定した状態の図である。
【図6】図6は、ケースに固定されたホルダがプリント基板を保持した図である。
【図7】図7は、ケースに固定されたホルダがプリント基板を保持した図である。
【図8】図8は、組み立て後の電子装置のプリント基板、ホルダ周辺の断面図である。
【図9】図9は、組み立て後の電子装置のプリント基板、ホルダ周辺の断面図である。
【図10】図10は、組み立て後の電子装置のプリント基板、ホルダ周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施例の電子装置について説明する。図1A、1Bは、本実施例の電子装置1の説明図である。電子装置1は、携帯可能なタブレット型コンピュータである。電子装置1は、筐体2を有している。筐体2は、フロントケース(以下、ケースと称する)10、リアケース(以下、ケースと称する)20を有する。ケース10、20のそれぞれは、軽量および堅牢を目的に、マグネシウム合金で形成される。ケース10は、筐体2の正面側を画定し、ケース20は、筐体2の背面側を画定する。ケース10の正面11側には、タッチパネルディスプレイDが設けられている。ケース10の低側面14、ケース20の低側面24には、コネクタC、ポートPが設けられている。コネクタCは、電子装置1と接続可能なクレードルと接続するためのものである。ポートPは、ケーブルを接続するためのものである。
【0010】
ケース10の側面12、ケース20の側面22には、スライド可能な操作部70a、70b、押下げ可能な3つの操作部55が設けられている。側面12、22の合計の面積は、正面11、背面21の各面積より小さい。尚、側面12は、正面11に対して傾斜している。また、側面22は、湾曲している。ケース20の背面21には、バッテリパックBATが着脱可能に装着される。バッテリパックBATは、主に、電子装置1のコネクタと電気的に結合されるコネクタ、コネクタを介して電子装置1に電力を供給する電池セル、電池セルを収納するケースで構成される。バッテリパックBATが筐体2に装着されると、バッテリパックBATのケースの一部はケース20の背面21と協同して筐体2の背面を構成する。
【0011】
図2は、電子装置1の分解斜視図である。ケース10、20内には、ディスプレイユニットDU、マザーボードMB、ハードディスクHD、金属板30、プリント基板40、ホルダ50等が収納されている。ディスプレイユニットDUは、ケース10側に配置される。マザーボードMB、ハードディスクHD、金属板30、プリント基板40は、ケース20側に配置される。マザーボードMBには、電子装置1の動作を制御するためのICチップや、メモリが実装されている。
【0012】
プリント基板40には詳しくは後述するがスイッチが実装されている。プリント基板40は、ホルダ50に保持されている。マザーボードMBとプリント基板40とはフラットケーブルFCを介して電気的に接続されている。金属板30とケース20の側面22との間に、プリント基板40、ホルダ50が配置されている。金属板30の背面側にはバッテリが格納される。金属板30の正面側にはゴム製のシートSHが貼り付けられている。金属板30の正面側は、軽量化のために複数の孔が設けられており、シートSHはこの孔を塞いでいる。
【0013】
図3、4は、ケース20、プリント基板40、ホルダ50を示した分解斜視図である。プリント基板40は、スイッチ45、47a、47bが実装された第1面41、第1面41の裏面に相当しグランドパターン46a〜46cが形成された第2面42、を有している。第1面41がケース20の側面22側を向き、第2面42が金属板30側を向いて、プリント基板40はホルダ50に保持される。スイッチ45は、プッシュ式のスイッチである。スイッチ47a、47bはスライド式のスイッチである。プリント基板40は、剛性を有している。第1面41には、フラットケーブルFCとの接続用のコネクタFCCが実装されている。グランドパターン46a〜46cは、プリント基板40のグランド層と導通している。
【0014】
ホルダ50は、プリント基板40を保持する。ホルダ50は、スイッチ45を操作するための操作部55が一体に設けられている。操作部70a、70bは、ホルダ50とは別体に設けられている。ホルダ50は、互いに対向する側壁部51、52、側壁部51と側壁部52とに連続した低壁部59、を有している。また、側壁部51側には第1挟持部(以下、挟持部と称する)53が設けられ、側壁部52側には挟持部54が設けられている。挟持部53、54は、所定の隙間を有した互いに対向している。
【0015】
プリント基板40がホルダ50に組み付けられた場合には、側壁部51、52は、それぞれプリント基板40の第1面41、第2面42と対向し、挟持部53、54は、それぞれ第1面41、第2面42と対向する。ホルダ50の低壁部59は、プリント基板40の下側の縁と当接してプリント基板40を支持する。側壁部52には、プリント基板40の上側の縁を押える係合爪部58が形成されている。
【0016】
側壁部51には、操作部70a、70bをそれぞれスライド可能に係合する係合部577a、577bが形成されている。ホルダ50には、ネジ孔NHが形成されており、ネジNによりケース20にホルダ50が固定される。ホルダ50の側壁部52には、後述する金属板30の接続部36a〜36cとプリント基板40との接続を確保するための逃げ部56a〜56cが形成されている。ホルダ50は、合成樹脂製であり、ある程度変形可能に形成されている。
【0017】
一つの操作部55に対して2つの腕部57が連続している。腕部57は湾曲している。尚、腕部57は、側壁部51に連続して形成されているものもあるが、挟持部53に連続して形成されているものもある。
【0018】
ケース20の側面22には、操作部55、70a、70bを露出するための開口部25、27a、27bが形成されている。また、ケース20の側面22の内面には、ホルダ50を支えるための複数のリブ28、29が形成されている。リブ28、29は、それぞれホルダ50の側壁部51、低壁部59に当接してホルダ50を支える。尚、図4に示すように、ホルダ50には操作部70aを初期位置に戻すためのコイルバネSPが保持されている。
【0019】
金属板30には、プリント基板40のグランドパターン46a〜46cと接続するための接続部36a〜36cが設けられている。接続部36a〜36cは、弾性変形可能に湾曲した板バネ状である。
【0020】
図5は、ケース20にホルダ50を固定した状態の図である。ホルダ50は、ケース20の側面22に沿うように配置される。図6、7は、ケース20に固定されたホルダ50がプリント基板40を保持した図である。図8〜10は、組み立て後の電子装置1のプリント基板40、ホルダ50周辺の断面図である。
【0021】
図6、7に示すように、プリント基板40は、第1面41が側面22を向いている。換言すれば、第1面41は、筐体2の正面11、背面21と直交している。このように、ホルダ50は、第1面41がケース20の側面22を向いた状態でプリント基板40を保持する。プリント基板40の第1面41がケース10の正面11側を向くように配置された場合、プリント基板40の平面方向の大きさの分、第1面41が筐体2内の平面方向でのスペースを占有することになる。しかしながら、本実施例の電子装置1は、プリント基板40の第1面41を筐体2の側面12、22側を向くように配置したので、プリント基板40の厚み分だけ、筐体2内の平面方向でのスペースを占有することになる。このため、筐体2の平面方向でのプリント基板40が占有するスペースを抑制できる。
【0022】
特に、本実施例の電子装置1では、図2に示したように、マザーボードMBや金属板30、ハードディスクHDが筐体2内の平面方向でのスペースの大部分を占有している。換言すれば、マザーボードMBや金属板30の各表面積は、プリント基板40の第1面41の面積よりも大きい。このように、筐体2内の平面方向のスペースを大きく占有するマザーボードMBに対して、プリント基板40は直交するように配置される。これにより、筐体2の平面方向でのプリント基板40が占有するスペースを抑制できる。
【0023】
図7、8に示すように、挟持部53、54がプリント基板40を挟み、低壁部59がプリント基板40の下側の縁を支え、係合爪部58がプリント基板40の上側の縁を押えることにより、プリント基板40はホルダ50に保持される。ホルダ50の挟持部53、54、係合爪部58、低壁部59は、プリント基板40を保持する保持部の一例である。尚、挟持部53、54は、プリント基板40の第1面41に直交する方向でのプリント基板40の位置を規定し、係合爪部58、低壁部59が、プリント基板40の第1面41の面方向でのプリント基板40の位置を規定している。
【0024】
図6に示すように、操作部55、70a、70bのぞれぞれの背面側に、スイッチ45、47a、47bが位置する。また、図9に示すように、操作部55が押下げ操作されることにより、操作部55によってスイッチ45が押される。このように、ホルダ50は、プリント基板40を保持する機能を有していると共に、プリント基板40に実装されたスイッチ45を操作する操作部55が一体に形成されている。このため、部品点数が削減されている。
【0025】
操作部55が押されると、腕部57は変形して撓む。即ち、腕部57、操作部55が押下げ可能に操作部55を支持している。腕部57は湾曲しているので、腕部57が直線状の場合に比べて、腕部57の長さが確保されている。これにより、腕部57が撓みやすくなっている。また、操作部55には、2つの腕部57が連続している。
【0026】
図7に示すように、ホルダ50の逃げ部56a〜56cを介して、それぞれ金属板30の接続部36a〜36cが、それぞれプリント基板40のグランドパターン46a〜46cに接続される。これにより、操作部55が押されてスイッチ45が押された場合に、プリント基板40が撓むことを金属板30が防止している。
【0027】
また、図7、10に示すように、接続部36bはスイッチ45の裏側に位置している。これにより、プリント基板40を介して接続部36bと対向する操作部55が操作された際に、プリント基板40が撓むことを接続部36が防止している。また、接続部36a〜36cは、それぞれ弾性変形可能である。これにより、接続部36a〜36cがプリント基板40をホルダ50の側壁部51側に付勢しており、ホルダ50内でのプリント基板40のがたつきが防止される。
【0028】
尚、ホルダ50には、逃げ部56a〜56cが形成されており、それによって金属板30とプリント基板40との接続が確保されている。逃げ部56a、56bは、側壁部52に切欠状に形成され、プリント基板40のグランドパターン46a、46bを露出する。逃げ部56cは、プリント基板40のグランドパターン46cを露出するように形成されている。
【0029】
また、ホルダ50は、ケース20にネジNにより固定されるが、プリント基板40はホルダ50に保持されるがケース20には固定されていない。従って、ホルダ50のみがネジNによりケース20に固定され、プリント基板40はネジ止めされていない。このため、ホルダ50に対してプリント基板40は容易に組付け、取外しされる。これにより、ホルダ50に対するプリント基板40の組付け性や、ホルダ50に保持されているプリント基板40の交換作業性が向上している。
【0030】
プリント基板40をホルダ50に組み付ける際には、プリント基板40は、ホルダ50の挟持部53、54の間にプリント基板40の平面方向に挿入され、ホルダ50によって保持される。このように、プリント基板40はホルダ50に簡単に組み付けられる。尚、スイッチ45を操作するための操作部55の押下げ方向と、ホルダ50にプリント基板40を組み付ける方向とは相違している。
【0031】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0032】
尚、上記実施例においては、電子装置の一例としてタブレット型コンピュータを例に説明したが、電子装置はそれ以外であってもよい。例えば、ノート型コンピュータ、携帯電話、電子辞書、PDA、ゲーム機、カメラ、音楽プレイヤー、ナビゲーション装置等である。また、電子装置は、このような携帯装置のみならず、据置型の電子装置であってもよい。例えば、電子装置は、デスクトップ型のコンピュータや、デスクトップ型のコンピュータに用いられるキーボード、オーディオ、テレビ、その他の家電製品であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 電子装置
10、20 ケース
11 正面
21 背面
12、22 側面
25 開口部
30 金属板
36a〜36c 接続部
40 プリント基板
45 スイッチ
46a〜46c グランドパターン
50 ホルダ
53 第1挟持部
54 第2挟持部
55 操作部
56a〜56c 逃げ部
57 腕部
N ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面、前記正面の裏面に相当する背面、開口部を有し前記正面及び背面の各面積よりも小さい面積を有した側面、を有した筐体と、
スイッチが実装された第1面、前記第1面の裏面に相当する第2面、を有したプリント基板と、
前記第1面が前記筺体の前記側面を向いた状態で前記プリント基板を保持する保持部、前記保持部に一体に形成され前記開口部から露出し前記スイッチを操作可能な操作部、を有し前記筐体に収納されたホルダと、を備えた電子装置。
【請求項2】
前記ホルダに保持された前記プリント基板の前記第2面に形成されたグランドパターンに接続した接続部を有し、前記筐体に収納された金属板を備えた、請求項1の電子装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記スイッチの裏側に位置している、請求項2の電子装置。
【請求項4】
前記接続部は、弾性変形可能な板バネ状である、請求項2又は3の電子装置。
【請求項5】
前記ホルダは、前記筐体に固定され、
前記プリント基板は、前記ホルダに保持され前記筐体には固定されていない、請求項1乃至4の何れかの電子装置。
【請求項6】
前記筐体に収納され、前記プリント基板の前記第1面と垂直に配置され他のプリント基板を備えた、請求項1乃至5の何れかの電子装置。
【請求項7】
前記ホルダは、前記保持部と前記操作部とに連続し湾曲しており前記操作部への操作により変形する腕部を有している、請求項1乃至6の何れかの電子装置。
【請求項8】
前記保持部は、前記プリント基板の前記第1面に対向する第1挟持部、前記プリント基板の前記第2面に対向する第2挟持部、を有し、
前記プリント基板は、前記第1及び第2挟持部の間に前記プリント基板の平面方向に挿入することにより前記ホルダに保持される、請求項1乃至7の何れかの電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−174542(P2012−174542A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36313(P2011−36313)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】