説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】この発明は本圧着時に用いられる保護テープによって基板の撮像が行なえなくなるのを防止した実装装置を提供することにある。
【解決手段】基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の加圧ツールと、加圧ツールを上下方向に駆動して基板に仮圧着された半導体チップを本圧着させる駆動手段と、基板の搬送方向と交差する方向の一端側の複数の加圧ツールと対応する位置からそれぞれ保護テープ31を繰り出す複数の供給リール36及び各供給リールから繰り出された保護テープを基板の搬送方向と交差する方向の他端側でそれぞれ巻取る複数の巻取りリール37を有し、各加圧ツールが駆動されて半導体チップを基板に本圧着するときに各加圧ツールの下端面と半導体チップとの間にそれぞれ保護テープを介在させるテープ供給機構30を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は耐熱性を備えた保護テープを介して基板に電子部品を加熱しながら圧着する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、携帯電話機や電子辞書などの小型電子機器には半導体チップなどの電子部品が実装された基板が用いられる。基板に電子部品を実装する場合、基板に上記電子部品を接着材料としての熱硬化性の異方性導電部材(ACF)を介して仮圧着した後、加圧ツールで加圧加熱して上記異方性導電部材を溶融硬化させて本圧着するということが行われる。
【0003】
電子部品を基板に本圧着する際、加圧加熱されることで溶融する異方性導電部材が加圧ツールに付着して硬化し、その加圧ツールの加圧面が凹凸状になるということがある。加圧ツールの加圧面が凹凸状になると、電子部品を基板に確実に加圧することができなくなって実装不良が発生するという虞がある。
【0004】
そこで、加圧ツールによって電子部品を基板に本圧着するとき、基板と加圧ツールとの間にフッ素樹脂などの耐熱性を備えた材料によって形成された保護テープを介在させ、この保護テープを介して上記加圧ツールによって電子部品を加圧加熱して実装するということが行われている。それによって、電子部品から異方性導電部材がはみ出しても、加圧ツールの加圧面に付着するのを防止することができるようにしている。
【0005】
上述したように、基板に仮圧着された電子部品を本圧着する場合、加圧ツールによって異方性導電部材を加圧加熱して溶融硬化させなければならない。異方性導電部材を溶融硬化させるには時間が長く掛かるから、本圧着に要するタクトタイムが長くなり、生産性の向上に限界が生じるということがある。
【0006】
そこで、実装装置に複数の実装ヘッドを上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置し、複数の実装ヘッドによって複数の電子部品の本圧着を同時に行うようにすることで、生産性の向上を図るということが行われている。
【0007】
複数の加圧ツールによって複数の電子部品を同時に実装する場合、加圧ツールを下降させ、保護テープを介して電子部品を基板に本圧着したならば、上記保護テープの加圧ツールによって加圧された使用済みの部分を送り、未使用の部分を上記複数の加圧ツールの加圧面に対向させるようにしている。
【0008】
従来、複数の加圧ツールを有する実装装置においては、基板に仮圧着された電子部品を本圧着する場合、供給リールに巻装された上記保護テープを上記基板の搬送方向に導出するようにしていた。
【0009】
つまり、上記保護テープが巻装された供給リールを複数の実装ヘッドの並設方向の上流側に配置し、使用済みの保護テープを巻取る巻取りリールを下流側に配置する。それによって、上記保護テープを上記基板の搬送方向の最も上流側に位置する実装ヘッドの加圧面から最も下流側に位置する実装ヘッドの加圧面に対応する長さで導出するようにしていた。
【0010】
そして、電子部品を基板に本圧着した後、その長さ分だけ上記保護テープを巻取りリールによって巻取ることで、保護テープの新たに引き出された未使用の部分を各実装ヘッドの加圧面に対向させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−295640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記電子部品を基板に本圧着する際、搬送される基板を上方から撮像カメラによって撮像し、その撮像信号に基いて上記基板を本圧着位置、つまり電子部品が加圧ツールによって加圧される実装位置に位置決めするようにしている。
【0013】
上記撮像カメラによって基板を撮像して位置決めする際、上記撮像カメラからの撮像信号によって、たとえば基板に設けられた位置合わせマークの座標を算出し、その座標を基準にして上記基板の上記実装位置までの距離を求めて基板を搬送位置決めするということが行なわれる。
【0014】
しかしながら、上記保護テープを上述したように基板の搬送方向に沿って走行させるようにすると、搬送される基板の上面側が常に上記保護テープによって覆われた状態となる。
【0015】
上記保護テークの幅寸法は基板に実装される電子部品の大きさによって設定される。そのため、とくに、電子部品の大きさが基板の大きさに比べてわずかに小さいような場合、保護テープの幅寸法を上記電子部品を確実に覆うことができるようにすると、基板の位置合わせマークが設けられた部分が上記保護テープから露出しない状態になるということがある。
【0016】
したがって、そのような場合、上方に配置された撮像カメラによって基板の位置合わせマークを撮像できなくなるということがあるから、基板を撮像カメラの撮像信号に基いて実装位置に確実に位置決めすることができなくなるということがある。
【0017】
この発明は、保護テープを基板の搬送方向と交差する方向に沿って走行あせるよう配置することで、実装位置に位置決めする前の基板が保護テープの下方に隠れて撮像できなくなるのを防止した電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、所定方向に搬送されて位置決めされた基板に仮圧着された電子部品を実装位置で本圧着する実装装置であって、
上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の加圧ツールと、
これら加圧ツールを上下方向に駆動して上記基板に仮圧着された上記電子部品を本圧着させる駆動手段と、
上記基板の搬送方向と交差する方向の一端側の複数の加圧ツールと対応する位置からそれぞれ保護テープを繰り出す複数の供給リール及び各供給リールから繰り出された保護テープを上記基板の搬送方向と交差する方向の他端側でそれぞれ巻き取る複数の巻取りリールを有し、各加圧ツールが駆動されて上記電子部品を上記基板に本圧着するときに各加圧ツールの下端面と上記電子部品との間にそれぞれ上記保護テープを介在させるテープ供給機構と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0019】
搬送される基板を上記実装位置の手前で撮像する撮像手段と、この撮像手段の撮像信号に基いて上記基板を上記実装位置に位置決めして各加圧ツールによって上記基板に仮圧着された電子部品を本圧着させる制御手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0020】
上記テープ供給機構は、
上記基板の搬送方向と交差する方向の一端側に回転可能に支持されて上記複数の供給リールが設けられた供給軸と、
上記基板の搬送方向と交差する方向の他端側に回転可能に支持されて上記複数の供給リールから繰り出された保護テープをそれぞれ巻取る複数の巻取りリールが設けられた巻取り軸と、
この巻取り軸を回転駆動して上記複数の巻取りリールによって各供給リールから繰り出された保護テープをそれぞれ巻取らせる巻取り駆動手段を具備し、
上記供給軸は互いに回転可能に連結された複数の分割軸によって構成されていて、各分割軸に複数の供給リールがそれぞれ取付けられていることが好ましい。
【0021】
上記供給軸と上記巻取り軸には、これらの軸が自由に回転するのを抑制するブレーキが設けられていることが好ましい。
【0022】
上記供給軸の複数の分割軸にそれぞれ巻装されて設けられた複数の保護テープのうち、1つの保護テープの外周面に接触してその回転角度を検出する回転体を有し、この回転体の回転角度によって上記巻取り駆動手段の駆動を制御して、上記巻取りリールに巻取られる上記保護テープの巻取り長さが設定されることが好ましい。
【0023】
この発明は、基板に仮圧着された電子部品を実装位置で本圧着する実装方法であって、
上記電子部品が仮圧着された上記基板を所定方向に沿って搬送して上記実装位置に位置決めする工程と、
上記基板の搬送方向と交差する方向に沿って送られる複数の保護テープをそれぞれ各加圧ツールの下端面と上記基板に仮圧着された電子部品との間で所定長さずつ搬送する工程と、
上記実装位置に位置決めされた上記基板に仮圧着された複数の電子部品を、上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の加圧ツールによって上記保護テープを介して同時に加圧して本圧着する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【0024】
搬送される基板を上記実装位置の手前で撮像する工程と、この撮像に基いて上記基板を上記実装位置に位置決めする工程とをさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、複数の加圧ツールを基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置するとともに、基板の搬送方向と交差する方向の一端側の各加圧ツールと対向する位置からそれぞれ保護テープを繰り出し、他端側で各保護テープを巻き取るようにした。
【0026】
そのため、基板の搬送方向に対して保護テープの走行方向が異なるから、少なくとも実装位置の手前では所定方向に搬送される基板が保護テープの下方に隠れることないから、実装位置に位置決めする前に基板を上方から確実に撮像し、その撮像信号に基いて実装位置に位置決めすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の正面図。
【図2】図1に示す実装装置の側面図。
【図3】テープ供給機構の平面図。
【図4】制御装置による制御系統図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態を示す実装装置の正面図であって、この実装装置は平行に離間対向して配置された一対のガイドレール1を備えている。このガイドレール1は後述する基板Wの搬送手段を構成している。
【0029】
上記ガイドレール1には、リードフレームなどの複数、この実施の形態では2つで対をなす一対の基板Wが図示せぬチャック機構などによって所定間隔でピッチ送りされるようになっていて、上記一対の基板Wは後述するように実装位置Bに所定間隔で位置決めされるようになっている。
【0030】
上記基板Wには電子部品としてのたとえば半導体チップ2が図示しない異方性導電部材を介して仮圧着されている。そして、上記半導体チップ2は上記基板Wが上記実装位置Bに位置決めされることで、後述するように本圧着される。
【0031】
上記実装位置Bには、上記ガイドレール1の上方に実装手段5が設けられている。この実装手段5の上方には駆動手段6が配設され、実装手段5を後述するように作動させるようになっている。
【0032】
上記実装手段5は板状の第1の支持体8を有する。この支持体8は板面を上記基板Wの搬送方向に沿わせて配置されていて、その板面には2本で対をなす複数組、この実施の形態では2組のリニアガイド9が上下方向に沿って設けられている。
【0033】
各組のリニアガイド9にはそれぞれ実装ヘッド11が背面に設けられた受け部材11a(図2に示す)を移動可能に係合させて設けられている。各実装ヘッド11はブロック状の本体部12と、この本体部12の下面に垂設され下端面が加圧面13aとなった加圧ツール13と、上記本体部12の上面に突設された作動軸部14を有し、作動軸部14の上端部にはラジアル軸受15が回転軸線を水平にして設けられている。
【0034】
上記本体部12の側面に設けられたピン12aと、上記支持体8の上部に設けられた係止部材16との間には上記実装ヘッド11を弾性的に保持するばね17が設けられている。上記支持体8の板面上部には取付け部材18が設けられ、この取付け部材18には調整ねじ19が螺合されている。この調整ねじ19の先端は上記実装ヘッド11の本体部12の上面に当接するようになっている。
【0035】
したがって、調整ねじ19のねじ込み量を調整すれば、上記実装ヘッド11の高さ位置、つまり実装ヘッド11を弾性的に変位させて上記加圧ツール13の加圧面13aの高さを調整できるようになっている。
【0036】
なお、加圧ツール13の下端部には図示しないヒータが埋設されていて、後述するように上記基板Wに上記半導体チップ2を本圧着するとき、この半導体チップ2を介して上記異方性導電部材を加熱して溶融硬化させるようになっている。また、本圧着時、上記基板Wの下面側は図示しない駆動源によって上下方向に駆動されるバックアップツール20によって支持されるようになっている。
【0037】
上記駆動手段6は、上記実装手段5の上方に固定的に配置された第2の支持体21を有する。この第2の支持体21の板面には、一対の実装ヘッド11と対応する間隔で、2本で対をなす2組のリニアガイド22が上下方向に沿って設けられている。
【0038】
各組のリニアガイド22にはそれぞれ可動体23が上下方向に移動可能に設けられている。この可動体23には加圧部24が下端部を上記可動体23の下端よりも下方に突出させて取付けられている。
【0039】
上記加圧部24は、その下端面によって上記実装ヘッド11の上端面である、上記作動軸部14の上端に設けられたラジアル軸受15を後述するように押圧できるようになっている。
【0040】
上記第2の支持体21の上部には保持部材26が設けられ、この保持部材26にはたとえばリニアモータなどの一対の第1、第2の加圧用駆動源27A,27Bが軸線を垂直にして設けられている。これら加圧用駆動源27A,27Bの駆動軸27a,27bはそれぞれ上記可動体23に連結されている。
【0041】
したがって、上記第1、第2の加圧用駆動源27A,27Bが作動して駆動軸27a,27bが下降方向に駆動されれば、この駆動軸27a,27bに連動して上記可動体23が下降するから、この可動体23に設けられた加圧部24の下端面によって上記実装ヘッド11の作動軸部14の上端に設けられたラジアル軸受15が押圧されて上記実装ヘッド11が下降方向に駆動されることになる。
【0042】
上記一対の実装ヘッド11の加圧ツール13の加圧面13aと、上記ガイドレール1を搬送されて実装位置Bに位置決めされる一対の基板Wの上面との間には、上記基板Wの搬送方向と交差する方向の一端側から他端側、つまり上記第1の支持体8の背面側から前面側に向かってフッ素樹脂などの耐熱性を有する樹脂によって形成された保護テープ31を走行可能に配置するテープ供給機構30が設けられている。
【0043】
このテープ供給機構30は、図2と図3に示すように上記第1の支持体8の幅寸法よりも大きな間隔で平行に離間対向した一対の側板32を有する。この側板32の一端側には供給軸33が回転可能に支持され、他端側には巻取り軸34が回転可能に支持されている。
【0044】
上記供給軸33は中途部で2つの分割軸33aに分割されていて、これらの分割軸33aは継ぎ手35によって互いに自由に回転するよう連結されている。
【0045】
各分割軸33aには、外周面に上記保護テープ31が巻装された供給リール36が上記一対の加圧ツール13と対応する間隔で着脱可能に設けられ、上記巻取り軸34には各供給リール36から繰り出された上記保護テープ31を巻取る一対の巻取りリール37が上記供給リール36と同じ間隔で着脱可能に保持されている。
【0046】
それによって、上記保護テープ31の上記供給リール36と巻取りリール37の間に位置する部分が上記加圧ツール13の加圧面13aと実装位置Bに位置決めされた基板Wの間を通されることになる。
【0047】
なお、上記供給軸33と上記巻取り軸34の間には、上記保護テープ31をガイドする一対のガイド軸40が両端を上記側板32に回転可能に支持されて設けられている。
【0048】
上記供給軸33の上記側板32に支持された両端にはそれぞれ一対の分割軸33aに回転抵抗を与えてこれら分割軸33aが自由に回転するのを抑制する第1のブレーキ38が設けられ、上記巻取り軸34の一端にはこの巻取り軸34に回転抵抗を与えて自由に回転するのを抑制する第2のブレーキ39が設けられている。
【0049】
それによって、上記供給軸33に設けられた供給リール36や上記巻取り軸34に設けられた巻取りリール37が保護テープ31の重量などによって回転するのが抑制されるから、供給リール36と巻取りリール37との間で保護テープ31に弛みが生じるのが防止されるようになっている。
【0050】
上記巻取り軸34の他端には従動歯車41が設けられ、この従動歯車41には駆動歯車42が噛合している。この駆動歯車42は回転駆動源43の回転軸43aに取り付けられている。
【0051】
したがって、上記回転駆動源43を作動させれば、上記巻取り軸34とともに上記巻取りリール37が回転駆動されるから、供給リール36に巻装された保護テープ31が図3に矢印Yで示す方向に繰り出されるようになっている。
【0052】
なお、この実施の形態では、上記従動歯車41、駆動歯車42及び回転駆動源43によって巻取り駆動手段を構成している。
【0053】
上記供給軸33に取付けられた一方の供給リール36に巻装された保護テープ31の外周面には、回転可能に設けられた回転体44が転接されている。この回転体44の回転角度はエンコーダ45によって検出され、その検出信号は図4に示す制御装置46に出力される。
【0054】
なお、上記回転体44は、供給リール36に巻装された保護テープ31の外径寸法が小さくなってきても、常に保護テープ31の外周面に転接するよう図示しないばねなどによって付勢されている。
【0055】
図4に示すように、上記制御装置46は上記エンコーダ45からの検出信号に基いて上記回転駆動源43の駆動を制御する。それによって、上記巻取り軸34に設けられた一対の巻取りリール37による上記保護テープ31の巻取り長さが設定される。
【0056】
図1に矢印Xで示す上記基板Wの搬送方向における上記実装手段5よりも上流側、つまり実装位置Bの手前側には、上記ガイドレール1に沿ってピッチ送りされる基板Wを上方から撮像する撮像手段としての撮像カメラ47が配置されている。
【0057】
上記撮像カメラ47は、たとえば上記基板Wの上面に設けられた図示しない位置合わせマークを、ピッチ送りされる基板Wが実装位置Bに搬送される1ピッチ手前で撮像し、その撮像信号を図4に示す画像処理部48に出力する。画像処理部48で処理された撮像信号は上記制御装置46に出力される。
【0058】
上記制御装置46は、画像処理された撮像信号に基いて実装位置Bの1ピッチ手前に搬送された基板Wの位置、つまり実装位置Bまでの距離を算出する。そして、基板Wが実装位置Bの1ピッチ手前から実装位置Bに搬送されるとき、一対の基板Wが実装位置Bに確実に位置決めされるよう、上記ガイドレール1に沿う一対の基板Wの搬送を制御するようになっている。
【0059】
なお、図4に示すように、上記制御装置46は、上記第1、第2の加圧用駆動源27A,27B及び上記回転駆動源43の駆動を制御するようになっている。
【0060】
上記構成の実装装置によれば、半導体チップ2が仮圧着された一対の基板Wが撮像カメラ47からの撮像信号に基いて実装位置Bに位置決めされると、第1の加圧用駆動源27Aと第2の加圧用駆動源27Bとが同時に作動して一対の実装ヘッド11を下降方向に駆動する。
【0061】
それによって、各実装ヘッド11の加圧ツール13の加圧面13aによって基板Wに仮圧着された半導体チップ2が保護テープ31を介して加圧加熱されるから、半導体チップ2を基板Wに接着した異方性導電部材が溶融して硬化し、半導体チップ2が上記基板Wに本圧着、つまり実装されることになる。
【0062】
上記保護テープ31は、基板Wの搬送方向Xと交差する方向Yに沿って送られるようになっている。そのため、保護テープ31は実装位置Bでは、この実装位置Bに位置決めされた一対の基板Wの上方を覆うことになるが、実装位置Bよりも手前側、つまり撮像カメラ47によって撮像される位置では基板Wの上方を覆うことはない。
【0063】
したがって、撮像カメラ47は、実装位置Bよりも1ピッチ手前に位置決めされた基板Wを確実に撮像し、その撮像に基いて基板Wの上面に設けられた位置合わせマークを画像処理部48で確実に認識することができるから、制御装置46は画像処理部48での認識に基いて、一対の基板Wを実装位置Bに精度よく搬送位置決めすることができる。
【0064】
このようにして、半導体チップ2を基板Wに本圧着した後、実装ヘッド11が上昇方向に駆動されると、テープ供給機構30の回転駆動源43が作動し、エンコーダ45が検出する供給リール36の回転角度に基いて巻取り軸34が所定の回転角度で回転駆動される。
【0065】
それによって、保護テープ31の加圧ツール13によって加圧された使用済みの部分が巻取りリール37に巻き取られ、未使用の部分が加圧ツール13の加圧面13aに対向するよう位置決めされることになる。
【0066】
上記保護テープ31は基板Wの搬送方向Xと交差する方向Yに送られるようになっている。そのため、上記保護テープ31の送り長さは、加圧ツール13の加圧面13aによって加圧された部分だけを基板W上の半導体チップ2よりも下流側(Y方向)に送ることで、未使用の部分を加圧ツール13の加圧面13aに対向させることができる。
【0067】
つまり、1回当たりの保護テープ31をX方向に送る場合に比べ、1回当たりの保護テープ31の送り長さを短くすることができるから、保護テープ31の使用量が減少し、ランニングコストを低減することができる。
【0068】
一方、保護テープ31の使用済みの部分を巻き取るために、上記回転駆動源43によって巻取り軸34を回転させると、この巻取り軸34に設けられた一対の巻取りリール37が一体的に回転駆動されて保護テープ31を巻取る。
【0069】
しかしながら、一対の巻取りリール37の外径寸法が異なったり、使用済みの保護テープ31に付着する付着物の量が異なることなどのことによって、一対の巻取りリール37に巻取られた保護テープ31がなす外径寸法が異なってくることがある。
【0070】
そのため、一対の巻取りリール37が巻取り軸34によって一体的に回転駆動されて保護テープ31を巻き取ると、保護テープ31がなす外径寸法の違いによって一対の巻取りリール37が巻取る保護テープ31の巻取り長さに差が生じる。その結果、巻取り長さが短い方の巻取りリール37側の保護テープ31に弛みが生じることがある。
【0071】
このようにして、保護テープ31に弛みが生じると、加圧ツール13によって半導体チップ2を本圧着するとき、その半導体チップ2を所定の加圧力で確実に加圧できなくなって実装不良を招いたり、保護テープ31の弛み量が増大してくると、保護テープ31が加圧ツール13や巻取りリール37に絡み、実装動作が円滑に行えなくなるということがある。
【0072】
しかしながら、この実施の形態では、供給リール36が設けられる供給軸33を、2つの分割軸33aに分割するとともに、これら分割軸33aを継ぎ手35によって互いに独立して回転できるよう回転可能に連結し、各分割軸33aにそれぞれ供給リール36を設けるようにした。
【0073】
そのため、上述した理由によって一対の巻取りリール37による保護テープ31の巻取り長さに差が生じると、その差に応じて一対の供給リール36が回転する。つまり、一対の供給リール36は一対の巻取りリール37が巻取る保護テープ31の巻取り長さに応じた角度で回転する。
【0074】
したがって、一対の巻取りリール37による保護テープ31の巻取り長さに差が生じても、各巻取りリール37に巻取られる保護テープ31に弛みが生じるのを確実に防止することができる。
【0075】
上記一実施の形態では、1つの基板に仮圧着された1つの半導体チップを本圧着する例を挙げて説明したが、1つの基板に、複数の半導体チップが基板の搬送方向に沿って所定間隔で設けられ、これら複数の半導体チップを同時に本圧着する場合であっても、上記構成の実装装置を提供することができる。
【0076】
なお、基板の搬送方向に沿って設けられる加圧ツールの数は2つに限定されず、3つ以上であってもよいことは勿論である。その場合、テープ供給機構の供給軸は加圧ツールの数に応じた数の分割軸に分割し、それらの分割軸を互いに自由に回転できるよう継ぎ手によって連結すればよい。
【0077】
その場合、中間に位置する分割軸に取付けた供給リールのブレーキは、たとえば供給リールの回転角度を検出する回転体にブレーキを取付けることで、その供給リールの回転を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…ガイドレール(搬送手段)、2…半導体チップ(電子部品)、6…駆動手段、13…加圧ツール、13a…加圧面、30…テープ供給機構、31…保護テープ、33…供給軸、33a…分割軸、34…巻取り軸、35…継ぎ手、36…供給リール、37…巻取りリール、38…第1のブレーキ、39…第2のブレーキ、46…制御装置、47…撮像カメラ、48…画像処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に搬送されて位置決めされた基板に仮圧着された電子部品を実装位置で本圧着する実装装置であって、
上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の加圧ツールと、
これら加圧ツールを上下方向に駆動して上記基板に仮圧着された上記電子部品を本圧着させる駆動手段と、
上記基板の搬送方向と交差する方向の一端側の複数の加圧ツールと対応する位置からそれぞれ保護テープを繰り出す複数の供給リール及び各供給リールから繰り出された保護テープを上記基板の搬送方向と交差する方向の他端側でそれぞれ巻き取る複数の巻取りリールを有し、各加圧ツールが駆動されて上記電子部品を上記基板に本圧着するときに各加圧ツールの下端面と上記電子部品との間にそれぞれ上記保護テープを介在させるテープ供給機構と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
搬送される基板を上記実装位置の手前で撮像する撮像手段と、この撮像手段の撮像信号に基いて上記基板を上記実装位置に位置決めして各加圧ツールによって上記基板に仮圧着された電子部品を本圧着させる制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記テープ供給機構は、
上記基板の搬送方向と交差する方向の一端側に回転可能に支持されて上記複数の供給リールが設けられた供給軸と、
上記基板の搬送方向と交差する方向の他端側に回転可能に支持されて上記複数の供給リールから繰り出された保護テープをそれぞれ巻取る複数の巻取りリールが設けられた巻取り軸と、
この巻取り軸を回転駆動して上記複数の巻取りリールによって各供給リールから繰り出された保護テープをそれぞれ巻取らせる巻取り駆動手段を具備し、
上記供給軸は互いに回転可能に連結された複数の分割軸によって構成されていて、各分割軸に複数の供給リールがそれぞれ取付けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記供給軸と上記巻取り軸には、これらの軸が自由に回転するのを抑制するブレーキが設けられていることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
上記供給軸の複数の分割軸にそれぞれ巻装されて設けられた複数の保護テープのうち、1つの保護テープの外周面に接触してその回転角度を検出する回転体を有し、この回転体の回転角度によって上記巻取り駆動手段の駆動を制御して、上記巻取りリールに巻取られる上記保護テープの巻取り長さが設定されることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
【請求項6】
基板に仮圧着された電子部品を実装位置で本圧着する実装方法であって、
上記電子部品が仮圧着された上記基板を所定方向に沿って搬送して上記実装位置に位置決めする工程と、
上記基板の搬送方向と交差する方向に沿って送られる複数の保護テープをそれぞれ各加圧ツールの下端面と上記基板に仮圧着された電子部品との間で所定長さずつ搬送する工程と、
上記実装位置に位置決めされた上記基板に仮圧着された複数の電子部品を、上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の加圧ツールによって上記保護テープを介して同時に加圧して本圧着する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項7】
搬送される基板を上記実装位置の手前で撮像する工程と、この撮像に基いて上記基板を上記実装位置に位置決めする工程とをさらに備えていることを特徴とする請求項6記載の電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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