説明

電子部品用のエンボスキャリアテープ

【目的】廃棄処理を容易にして環境に適した電子部品用のエンボステープを提供する。
【構成】表面実装用の電子部品例えば表面実装振動子を収容する独立したポケット3を連続的に有し、リールに巻回されるエンボスキャリアテープにおいて、前記ポケット3間の例えば複数個置きに幅方向の分割線6を設けた構成とし、さらに具体的には、前記分割線6は厚み方向に設けた溝又はミシン目であって、前記分割線6の両端側又は一端側には切欠部7を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面実装用の電子部品を収納するエンボスキャリアテープ(以下、エンボステープとする)を技術分野とし、特に使用後の廃棄を容易にした電子部品用のエンボステープに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
電子部品としての水晶振動子は周波数制御素子として知られ、表面実装型が普及する。このようなものでは、一般にエンボステープに収納してリールに巻回され、セット基板に対し例えば抵抗やコンデンサと同様に、自動装着される。近年では、使用後におけるエンボステープの廃棄処理を容易にしたものが望まれている。
【0003】
(従来技術の一例)
第3図(ab)は一従来例を説明する図で、同図(a)はエンボステープの図、同図(b)は水晶振動子の外観図である。
【0004】
エンボステープ1は電子部品としての水晶振動子2を収容する連続的な独立したポケット3を有する。幅方向の一端側には連続的に搬送孔4を有する。通常では、フィルム状のPET(ポリエチレンテレフタレート)やPS(ポリスチレン)からなる樹脂の型押加工によって形成される。樹脂には例えば静電気を防止するC(カーボン)が混入される。
【0005】
そして、自動機器によって、水晶振動子2をポケット3に収容するとともに、連続したカバーテープ5がポケット3の開口面を閉塞しながら、図示しないリールに券回される。水晶振動子2は表面実装用の容器本体2aに図示しない水晶片を収容する。そして、金属カバー2bを被せて密閉封入してなる。
【0006】
このようなものでは、エンボステープ1の券回されたリールをユーザに納入後、カバーテープ5を剥離しながら水晶振動子2をセット基板に自動装着する。この場合、エンボステープ1の先端側は垂れ流しとなり、水晶振動子が空となったエンボステープ1は廃棄処分となる。ちなみに、リールの直径は概ね180から330mmであり、例えば水晶振動子2の外形を5.0×3.2mmとした2000個巻きタイプでは、ポケット3ピッチを8mmとして全長を16mとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(従来技術の問題点)
しかしながら、上記構成のエンボステープ1では、水晶振動子2のセット基板への自動搭載時には先端側から垂れ流しとなって、不要となったエンボステープの分量がかさばる。また、エンボステープとしてのPETやPSは簡単には切断できないため、ハサミやカッター等で例えば1m以下の長さに切断して短くする面倒な廃棄処理が必要になる問題があった。
【0008】
(発明の目的)
本発明は、廃棄処理を容易にした電子部品用のエンボステープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特許請求の範囲(請求項1)に示したように、表面実装用の電子部品を収容する独立したポケットを連続的に有し、リールに巻回されるエンボスキャリアテープにおいて、前記ポケット間の幅方向に分割線を設けた構成とする。
【発明の効果】
【0010】
このような構成であれば、分割線に沿って人手のみでも分割できるので、使用後におけるエンボステープを廃棄処理を容易にする。
【0011】
(実施態様項)
本発明の請求項2では、請求項1の前記分割線は厚み方向に設けた溝又はミシン目とする。これにより、エンボステープを人手のみでも分割できる。
【0012】
同請求項3では、請求項2の前記分割線の両端側又は一端側には切欠部を有する。この場合は、エンボステープの分割をさらに容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1図は本発明の一実施形態を説明するエンボステープの図である。なお、前従来例と同一部分の説明は簡略又は省略する。
【0014】
エンボステープ1は、前述したように、カーボンの混入したPETやPSからなる樹脂の型押加工によって形成され、水晶振動子2を収容する連続的な独立したポケット3及び搬送孔4を有する。ここでも、例えば水晶振動子2の外形を5.0×3.2mmとした2000個巻きタイプとし、ポケット3ピッチを8mmとして全長を約16mとする。
【0015】
そして、この実施形態では、例えばポケット3間の幅方向に分割線6を設ける。分割線6は一主面からあるいは両主面側から厚み方向に例えばV字状の溝とする。但し、図では一主面側からの分割溝6としている。これらは、ポケット3及び搬送孔4を形成する際、型押加工によって一体的に形成される。そして、前述同様に、水晶振動子2を各ポケット3に収容し、カバーテープ5を被せてリールに券回されて出荷される。
【0016】
このような構成であれば、出荷先でのセット基板に対する電子部品の自動装着後、垂れ流しになった使用後のエンボステープ1を分割線6に沿って、作業者が例えば人手で容易に分割できる。したがって、エンボステープ1の廃棄処理を容易にする。
【0017】
(他の事項)
なお、分割線6はV字状の溝としたが、これに限らずミシン目であってもよく「第2図(a)」、これ以外の分割を容易にするものであればよい。そして、分割線6の両端側に例えば平面視V字状の切欠部7を設けて「第2図(b)」、分割をさらに容易にしてもよい。また、分割線6は各ポケット3間に設けたが、複数個毎例えば125個置きの約1m間隔で設けたとしてもよい。この場合、約1m間隔となる箇所の複数のポケット間に分割線6を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を説明するエンボステープの図である。
【図2】本発明の他の例を説明するエンボステープの平面図である。
【図3】従来例を説明する図で、同図(a)はエンボステープの図、同図(b)は水晶振動子の図である。
【符号の説明】
【0019】
1 エンボステープ、2 水晶振動子、3 ポケット、4 搬送孔、5 カバーテープ、6 分割線、7 切欠部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装用の電子部品を収容する独立したポケットを連続的に有し、リールに巻回される電子部品用のエンボスキャリアテープにおいて、前記ポケット間の幅方向に分割線を設けたことを特徴とする電子部品用のエンボスキャリアテープ。
【請求項2】
請求項1において、前記分割線は厚み方向に設けた溝又はミシン目である電子部品用のエンボスキャリアテープ。
【請求項3】
請求項2において、前記分割線の両端側又は一端側には切欠部を有する電子部品用のエンボスキャリアテープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−91290(P2007−91290A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284742(P2005−284742)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】