説明

電極用導電性ペーストおよび透明タッチパネル

【課題】前述したような特別の処理工程を行うことなく、透明導電性塗膜の電極として使用しても接触抵抗が小さい電極用導電性ペーストを提供することにある。また、そのような導電性ペーストを電極層として使用することによって、接触抵抗等の電気的特性に優れた透明タッチパネルを提供することにある。
【解決手段】透明導電性膜の電極用として使用される導電性ペーストであって、バインダー樹脂、導電性微粉末及び溶剤を必須成分とし、前記導電性微粉末が酸化錫微粉末0.2〜20質量%、銀微粉末99.8〜80質量%からなる電極用導電性ペーストとすることによって、解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性基板の電極材料として使用される透明導電性ペースト、また、それを用いた透明タッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年LCD等の表示素子の前面に、透明性タッチパネルを用いて各種電子機器の機能を切換えることが行われる。例えば、透明なプラスチッックフィルム上にインジウム錫の酸化物(以下、ITO)の層を形成し、この上の適所に銀微粉末を用いた導電性ペーストからなる電極層を形成した構成材料から製造されている。しかしながら、前記電極は接触抵抗が高いことが指摘されていた。そこで、このような問題点を改良する技術として、特許文献1が提案されている。すなわち、光透過性タッチパネルにおいては、上下導電層の材料である酸化インジウム錫と上下電極である銀との親和性があまり良くないため上導電層と上電極及び下導電層と下電極の界面の接続抵抗が大きいという問題があった、そこで、導電層と電極との界面の接続抵抗の小さい導電ペーストを提供するとして、合成樹脂中に、銀とインジウムの合金或いは銀にインジウムを付着させたものを分散させると共に、この銀に対するインジウムの比率を1〜50重量%とした導電ペーストを用いることによって、この導電性ペーストの電極は、酸化インジウム錫の導電層との界面の親和性が良く接続抵抗を小さくできると共に、電極全体の抵抗値も小さくできると記載されている。しかしながら、この導電性ペーストでは接触抵抗を改善することはできるが、銀とインジウムの合金の作製や微粉末化の工程が必要であり、また、銀微粉末にインジウムを付着する場合もそのような工程が必要なため、コスト増に繋がりあまり実用的ではなかった。
【特許文献1】特開2003−217348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって本発明が解決しようとする課題は、導電性微粉末が前述したような特別の処理工程を行わなくても、透明導電性塗膜の電極層として用いた場合に接触抵抗が小さく、具体的には、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10となるような安定した電極用導電性ペーストを提供することにある。また、そのような電極用導電性ペーストを電極層として形成することによって、特に接触抵抗等の電気的特性に優れた透明タッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載するように、透明導電性膜の電極用として使用される導電性ペーストであって、バインダー樹脂、導電性微粉末及び溶剤を必須成分とし、前記導電性微粉末は酸化錫微粉末が0.2〜20質量%、銀微粉末が99.8〜80質量%からなる電極用導電性ペーストとすることによって、解決される。
【0005】
また、好ましくは請求項2に記載するように、前記酸化錫微粉末がアンチモンドープされた酸化錫微粉末とすること、さらに請求項3に記載するように、前記酸化錫微粉末の粒径が、5nm〜30μmである請求項1または2のいずれかに記載の電極用導電性ペーストとすることによって、好ましく解決される。
【0006】
そして、請求項4に記載するように、請求項1〜3のいずれかに記載される電極用導電性ペーストを用いて、透明導電性膜に電極層を形成した透明タッチパネルとすることによって、解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の透明導電性膜の電極用として使用される導電性ペーストは、バインダー樹脂、導電性微粉末及び溶剤を必須成分とし、前記導電性微粉末が酸化錫微粉末0.2〜20質量%、銀微粉末99.8〜80質量%からなる電極用導電性ペーストであるから、前記導電性微粉末を特別に処理する等の必要がなく、透明導電性塗膜の電極として使用しても接触抵抗が小さく、安定した電極用導電性ペーストである。すなわち、比抵抗が略10×10-5Ω・cm台であり、耐熱試験後、耐湿試験後の値が初期接触抵抗値に対して50%以内と変化が小さく安定しており、また、具体的な接触抵抗値として、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10の範囲である。
【0008】
また、前記導電性微粉末として、好ましくは前記酸化錫微粉末が、アンチモンドープされた酸化錫微粉末を用いることによって、電極用導電性ペーストとしての導電性と接着性を維持すると共に、比抵抗が略10×10-5Ω・cm台であり、耐熱試験後、耐湿試験後の値が初期接触抵抗値に対して50%以内と余り変化せず、具体的な接触抵抗値としても、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10の範囲であり、透明導電性塗膜用の電極として使用される導電性ペーストとして好ましいものである。さらに、前記酸化錫微粉末の粒径として5nm〜30μmであるから、得られた電極用導電性ペーストは、電極層の形成時の取扱いが容易であると共に、比抵抗が略10×10-5Ω・cm台であり、耐熱試験後、耐湿試験後の値が初期接触抵抗値に対して50%以内と余り変化せず、具体的な接触抵抗値としても、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10の範囲であり、透明導電性塗膜用の電極として使用される導電性ペーストとして好ましいものである。
【0009】
そして、請求項4に記載するように、請求項1〜3のいずれかに記載される電極用導電性ペーストを用いて電極層を形成した透明性タッチパネルは、前述した特性を全て有し、電極層の形成性にも優れた透明性タッチパネルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に記載する発明は、透明導電性膜の電極用として使用される導電性ペーストに関するもので、用いる導電性微粉末は、酸化錫微粉末が0.2〜20質量%、銀微粉末が99.8〜80質量%からなる電極用導電性ペーストであって、前記導電性微粉末は特別な処理工程を施す必要がなく、混合するだけで良いので比較的簡単に小さな接触抵抗が得られる電極用導電性ペーストである。
【0011】
より詳細に説明する。この種の電極用導電性ペーストは、透明タッチパネルを構成する透明性や光透過性を有するガラスやポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック基材上に形成したITO塗膜等の透明導電性塗膜上に、電極層を形成するための材料として使用されるものである。すなわち、バインダー樹脂、導電性微粉末および溶剤を必須成分とする導電性ペースの前記導電性微粉末として、酸化錫微粉末(球状や燐片状等)と銀微粉末(球形や燐片状等)の混合物を使用することにある。より詳細に説明すると導電性微粉末は、酸化錫微粉末が0.2〜20質量%、銀微粉末が99.8〜80質量%の混合物から構成されるものである。そして、このような混合割合とするのは、酸化錫微粉末の添加量が0.2質量%未満では、接触抵抗が不十分であり、また20質量%を超えると導電性が悪くなるためである。前記の混合範囲とすることによって、目的とする接触抵抗が得られ十分な導電性を有する電極用導電性ペーストが得られる。具体的には、接触抵抗値が銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10の範囲であり、また、耐熱試験後、耐湿試験後の接触抵抗値が初期接触抵抗値と余り変化しない(50%以内)ものである。そして、好ましくは酸化錫微粉末と銀微粉末の混合割合が、酸化錫微粉末1〜15質量%、銀微粉末99〜85質量%とするものである。さらに、導電性微粉末の添加量としては、電極用導電性ペーストの固形分100質量部に対して、70〜95質量部となるようにするのが良い。また、導電性ペーストの必須成分であるバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が使用でき、その添加量は、電極用導電性ペーストの固形分100質量部に対して、5〜30質量部の範囲で添加される。さらに、必須成分としての溶剤としては、エチルジグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、ベンジルアルコール、イソホロン等が使用できる。なお、この電極用導電性ペーストには、銀メッキ銅微粉末、銀メッキニッケル微粉末等の銀メッキ金属微粉末や酸化チタン微粉末、カーボン微粉末、ニッケル微粉末、シリカ微粉末等を、必要により添加することができる。以上のような本発明の電極用導電性ペーストは、透明導電性塗膜の電極層として使用しても接触抵抗が小さく、安定したものであると共に、導電性微粉末は、特定の割合で銀微粉末と酸化錫微粉末を混合するだけで良いので、特許文献1に記載される技術ように特別の処理工程を行う必要がない。
【0012】
また、酸化錫微粉末としては、請求項2に記載するように、5nm〜30μmのものが使用される。ただ、5nm未満のものは製造が難しく、30μmを超えるような微粉末はスクリーン印刷やディスペンサー塗布での目詰まりが見られるので、好ましくは10nm〜10μmの粒径のものを選択するのが良い。さらに、酸化錫微粉末は、請求項3に記載するようにアンチモンドープされた酸化錫微粉末であることが好ましい。これは、アンチモンをドープすることによって、導電性が高まるので好ましいためである。通常、酸化錫微粉末100質量部に対して、0.1〜20質量部程度までドープされたものが好ましい。以上のように、導電性微粒子が特定された電極用導電性ペーストは、透明導電性塗膜の電極層として使用しても接触抵抗が小さく、安定した導電性ペーストとなる。具体的には、耐熱試験後、耐湿試験後の接触抵抗値が初期接触抵抗値と余り変化しない安定したものである。すなわち、接触抵抗値が、銀微粉末を用いた導電性ペーストの場合の1/4〜1/10の範囲のものである。さらに、用いる導電性微粒子は特別の処理工程を行う必要がないので、製造コストを上昇させることがなく実用的である。
【0013】
そして、請求項4に記載するように、請求項1〜3のいずれかに記載される電極用導電性ペーストを用いて、透明導電性膜上に電極層を形成した透明タッチパネルは、比抵抗が略10×10-5Ω・cm台であり、耐熱試験後、耐湿試験後の接触抵抗値が初期接触抵抗値に対して、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10の範囲と安定しており、電気的特性に優れると共に電極層の形成性にも優れたものである。
【0014】
本出願人が提供している透明タッチパネルの一例を、図1によって説明する。符号1が透明タッチパネルを示す。そして、ガラス或いはポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック基材からなる下部基材板2、或いは上部基材板2´である。下部基材板2或いは上部基材板2´にはITO等の光透過性の下部導電層3或いは上部導電層3´がそれぞれ形成される。そして、下部基材板2の下部導電層3の両端部には、本発明の導電性ペースト(例えば、酸化錫微粉末が0.2〜20質量%、銀微粉末が99.8〜80質量%含有)を用いて、下部電極4、4が形成される。同様に上部基材板2´の上部導電層3´上には、前記導電性ペーストを用いて、上部電極4´、4´が下部電極4、4と耐向するように形成される。また、対向する前記上部電極4´、4´および下部電極4、4は、粘着材5、5を介してレジスト層6、6および6´、6´が形成されて配置される。そして、下部導電層3上の適所にはスペーサ7が設けられて、透明タッチパネル1とされるものである。このような透明タッチパネルは、長期間にわたり各種電子機器の機能を切換える部品として安定して使用できると共に、電気的特性に優れたものである。
【実施例】
【0015】
以下の実施例によって、本発明の導電性ペーストの効果を説明する。表1に記載する組成の電極用導電性ペーストを、ITO導電層を有する東洋紡(株)の基材フィルム(品番:300RM−4)上に、120℃で10分間硬化させて電極層を形成し、これについて比抵抗、初期接触抵抗、耐熱試験、耐湿試験、付着性を測定した。用いたバインダー樹脂は、東洋紡(株)のポリエステル樹脂であるバイロン500である。リンドープ酸化錫微粉末(以下、酸化Sn(P)微粉末)としては三菱マテリアル社のS−2000、またアンチモンドープ酸化錫微粉末(以下、酸化Sn(Sb)微粉末)としては、三菱マテリアル社の透明導電粉TZ−1(粒径10nm)および触媒化成社のエレコムTL−20(粒径7μm)である。さらに、酸化錫微粉末(以下、酸化Sn)としては三井金属社のTIPEVI(粒径1μm)、銀微粉末(以下、Ag微粉末)としてはフレーク状銀微粉末であるフェロー社のシルバーフレイク#65である。これらの導電性微粉末を前記バインダー樹脂と共に、固形分が75質量%となるように溶剤(ダイセル化学工業社のエチルグリコールアセテート)に分散して電極用導電性ペーストとしたものである。比較のために、酸化錫微粉末に変えて石原産業社の酸化チタン微粉末(以下、酸化Ti微粉末)ET−500W、ライオン社のカーボンブラック(以下、CB微粉末)であるケッチェンブラックEC、Inco Limited社のニッケル微粉末(以下、Ni微粉末)であるニッケルパウダー210を添加した電極用導電性ペーストも作製した。
【0016】
つぎに、前記試験項目について説明する。比抵抗は、導電性ペーストをガラス板上で120℃×10分間硬化させて電極層とし、ADVANTEST社製のデジタルマルチメーター(R6581D)を用いて抵抗値を測定し、さらに膜厚、電極間距離を測定して算出した。接触抵抗は、導電性ペーストをITO導電層を有する基材フィルム上で120℃×10分間硬化させて電極層を形成し、ダイアインスツルメンツ社製の4端子4深針法高精度低抵抗率計(ロレスターGP)を用いて測定した。また耐熱試験は、初期接触抵抗測定に用いた試料を85℃×500時間放置した後の接触抵抗を測定したものである。さらに耐湿試験は、初期接触抵抗測定に用いた試料を65℃×湿度95%×500時間放置した後の接触抵抗を測定したものである。また、付着性としては、電極層を形成し導電性ペーストをITO導電層を有する基材フィルム上で120℃×10分間硬化して電極層を形成し、1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れセロハンテープ試験を行い、全く剥がれないものを合格として○印で記載した。結果は表1に示したとおりである。
【0017】
【表1】

【0018】
表1に記載するとおり、実施例1〜16に示した電極用導電性ペーストを使用したものは、導電性微粉末の特別な処理工程を行わなくても、透明導電性塗膜の電極層として用いた場合に、接触抵抗が銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10と優れた電極用導電性ペーストであり、それを用いた透明タッチパネルを同様の特性を有していた。すなわち、実施例1〜4に記載されるように、Ag微粉末99〜85質量%と、粒径が10nmの酸化Sn(Sb)微粉末1〜15質量%とを混合した導電性微粉末を用いた電極用導電性ペーストは、比抵抗値が略10×10−5台であり、耐熱試験後の接触抵抗値が7.2〜3.6Ω、耐湿試験後の接触抵抗値も7.5〜4.0Ωと、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10と優れた電極用導電性ペーストであることが判る。また、付着性についても前記セロハンテープ試験で全く剥がれがなく、合格であった。また、実施例5〜8に記載されるように、粒径が70μmの酸化Sn(Sb)微粉末を用いた他は、実施例1〜4と同様の組成の導電性微粉末を使用した電極用導電性ペーストも、比抵抗値が略10×10−5台であり、耐熱試験後の接触抵抗値が7.3〜4.0Ω、耐湿試験後の接触抵抗値も7.7〜4.4Ωと、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10と優れた電極用導電性ペーストであることが判る。また、付着性についても前記セロハンテープ試験で全く剥がれがなく、合格であった。さらに、実施例9〜12に記載されるように、Ag微粉末99〜85質量%と、粒径が10nmの酸化Sn(P)微粉末1〜15質量%とを混合した導電性微粉末を使用した電極用導電性ペーストは、比抵抗値が略10×10−5台であり、耐熱試験後の接触抵抗値が7.1〜3.3Ω、耐湿試験後の接触抵抗値も8.3〜4.7Ωと、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10と優れた電極用導電性ペーストであることが判る。また、付着性についても前記セロハンテープ試験で全く剥がれがなく、合格であった。また、実施例13〜16に記載されるように、Ag微粉末99〜85質量%と、粒径が1μmの酸化Sn微粉末1〜15質量%とを混合した導電性微粉末を用いた電極用導電性ペーストも、比抵抗値が略10×10−5台であり、耐熱試験後の接触抵抗値が7.4〜4.1Ω、耐湿試験後の接触抵抗値も9.1〜5.6Ωと、銀微粉末を用いた導電性ペーストの1/4〜1/10と優れた電極用導電性ペーストであることが判る。また、付着性についても前記セロハンテープ試験で全く剥がれがなく、合格であった。
【0019】
これに対して、比較例1示したAg微粉末が100質量%の場合には、初期接触抵抗値そのものが30.0Ωと実施例のものに比較して高い値であることが判る。また、比較例2のように、Ag微粉末70質量%、粒径が10nmの酸化Sn(Sb)微粉末を30%とした導電性微粉末を使用した導電性ペーストの場合には、比抵抗が10-4の中ごろの値となり、実施例に示したものと比較すると大きくなっていることが判る。これは、Ag微粉末よりも導電性が劣る酸化Sn(Sb)微粉末の添加量が多いためと思われる。そして、比較例3のようにAg微粉末95質量%に対して、酸化Tiの微粉末を5質量%添加した導電性ペーストの場合は、初期接触抵抗値がAg微粉末100質量%のものと余り変わらず、接触抵抗を改善する効果は見られない。また、比較例4のように、Ag微粉末95質量%に対して、CB粉末を5質量%添加した導電性ペーストの場合も、初期接触抵抗値がAg微粉末100質量%のものと余り変わらず、接触抵抗を改善する効果は見られなかった。さらに、比較例5のように、Ag微粉末95質量%に対して、Niの微粉末を5質量%添加した導電性ペーストの場合も同様に、初期接触抵抗値がAg微粉末100質量%のものより大きな値となり、接触抵抗を改善する効果は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の電極用導電性ペーストは、Ag微粉末のみを使用する従来の導電性ペーストと比較して、接触抵抗値を大幅に小さくできる効果があると共に、種々の環境下で長期間使用しても接触抵抗値の変化が少なく安定しているので、透明タッチパネル用の電極材料として有用なものである。さらに、電極層の形成時の取扱いが容易であるから製造コスト等からも有利な透明タッチパネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の透明タッチパネルの1例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 透明タッチパネル
2、下部基材板
2´ 上部基材板
3、 下部導電層
3´ 上部導電層
4、 下部電極層
4´ 上部電極層
5 粘着材
6、6´ レジスト層
7 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電性膜の電極用として使用される導電性ペーストであって、バインダー樹脂、導電性微粉末及び溶剤を必須成分とし、前記導電性微粉末が酸化錫微粉末0.2〜20質量%、銀微粉末99.8〜80質量%からなることを特徴とする電極用導電性ペースト。
【請求項2】
前記酸化錫微粉末が、アンチモンドープされた酸化錫微粉末であることを特徴とする請求項1に記載の電極用導電性ペースト。
【請求項3】
前記酸化錫微粉末の粒径が、5nm〜30μmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電極用導電性ペースト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載される電極用導電性ペーストを用いて、透明導電性膜に電極層を形成したことを特徴とする透明タッチパネル。

【図1】
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【公開番号】特開2009−295325(P2009−295325A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145738(P2008−145738)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000224123)藤倉化成株式会社 (124)
【Fターム(参考)】