説明

電極評価方法および評価装置

【課題】本発明は、実際に近いデバイス形態中で、単電極の評価を簡便に行うことができる。
【解決手段】正極、負極および電解液を有する蓄電デバイスに使用される電極の評価方法であって、被評価電極、電位−電気量特性が既知の材料を使用した基準電極および電解液とを少なくとも有する2極セルを作製する工程と、作製した2極セルを用いて、電圧−電気量特性を測定する工程と、測定された電圧−電気量特性(曲線(b))と、前記基準電極の電位−電気量特性(線(a))に基づいて、前記被評価電極の電圧−電気量特性(曲線(c))を得る工程とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスの電極の評価方法に関し、より詳細には単電極としての特性を測定・評価する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学キャパシタなどの蓄電デバイス用電極は正極と負極で構成されており、そのデバイスの特性は、単極の特性を組み合わせたもので現れる。そのため、種々の負極や正極が検討されており、高容量で耐電圧の高いものなどが出現している。例えば特許文献1(WO2006/054747)には、容量が大きく信頼性の高い電気二重層キャパシタが開示されている。
【特許文献1】WO2006/054747
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、電極を選択、設計し、それを用いてたとえば蓄電デバイスとして最高の容量を得るためには、現状では正極と負極の量を変えて、電気容量や充放電効率や電圧保持特性等を総合的に調べることにより、最も適切な正極/負極比が決められている。正極・負極を組み合わせた状態では、総合的に判断できるが、それぞれの単極の性能や改良の方向について判断するのは困難である。
【0004】
従来、単極を評価する方法としては第三電極(参照電極)を使用する方法がある。しかし、第三電極を実際に蓄電デバイスに組み込むのは難しく、簡単な2極セルやコイン電池の構造に第三電極を設置することはほとんど不可能である。また、単極を評価する他の方法として、金属リチウムを対極として測定する方法があるが、測定できるデバイスは限られており、また金属リチウムの応答性が悪いためハイレートでの評価はできないという問題がある。
【0005】
本発明は、これらの問題に鑑み、簡便に単電極を評価する方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の事項に関する。
【0007】
1. 正極、負極および電解液を有する蓄電デバイスに使用される電極の評価方法であって、
被評価電極、電位−電気量特性が既知である材料を使用した基準電極、および電解液とを少なくとも有する2極セルを作製する工程と、
作製した2極セルを用いて、電圧−電気量特性を測定する工程と、
測定された電圧−電気量特性と、前記基準電極の電位−電気量特性に基づいて、前記被評価電極の単極の電位−電気量特性を得る工程と
を有することを特徴とする電極評価方法。
【0008】
2. 前記基準電極を構成する材料が、活性炭であることを特徴とする上記1記載の電極評価方法。
【0009】
3. 前記基準電極を構成する材料が、活性炭繊維であることを特徴とする上記2記載の電極評価方法。
【0010】
4. 前記基準電極と前記被評価電極の容量比が1以上となるように、前記基準電極を設定することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の電極評価方法。
【0011】
5. 前記基準電極と前記被評価電極の容量比が2以上となるように、前記基準電極を設定することを特徴とする上記4記載の電極評価方法。
【0012】
6. 作製した2極セルでの測定条件において、前記基準電極の電位変化量が2極セル最大電圧の20%以下となる基準電極を使用することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の電極評価方法。
【0013】
7. 前記基準電極を構成する材料は、電位に対する単位質量あたりの電気量特性が測定されており、使用する量を調整して、容量比が定められることを特徴とする上記4または5記載の電極評価方法。
【0014】
8. 前記基準電極を構成する材料が、電位に対する単位質量あたりの電気量特性が測定された活性炭繊維であり、枚数を調節して、容量比が定められることを特徴とする上記7記載の電極評価方法。
【0015】
9. 前記被評価電極の電位−電気量特性として、電位−微分容量特性を得ることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の電極評価方法。
【0016】
10. 前記被評価電極の電位−電気量特性として、不可逆反応量を求めることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の電極評価方法。
【0017】
11. 電圧−電気量特性の測定を定電流法で行うことを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の電極評価方法。
【0018】
12. 電圧−電気量特性の測定を定電位法で行うことを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の電極評価方法。
【0019】
13. 蓄電デバイスの単極電位特性の評価装置であって、
(a)電位−電気量特性が既知である材料を使用した基準電極および電解液を少なくとも備え、被評価電極と共に2極セルを構成できる2極セル部、および
(b)前記被評価電極を組み込んだ2極セルの電圧−電気量特性を測定する測定部
を有することを特徴とする電極評価装置。
【0020】
14. (c)測定された前記2極セルの電圧−電気量特性と、前記基準電極の電位−電気量特性に基づいて、前記被評価電極の単極の電位−電気量特性を算出する手段をさらに有することを特徴とする上記13記載の電極評価装置。
【0021】
15. 前記基準電極を構成する材料が、活性炭であることを特徴とする上記13または14記載の電極評価装置。
【0022】
16. 前記基準電極を構成する材料が、活性炭繊維であることを特徴とする上記15記載の電極評価装置。
【0023】
17. 前記基準電極と前記被評価電極の容量比が1以上となるように、前記基準電極が設定されることを特徴とする上記13〜16のいずれかに記載の電極評価装置。
【0024】
18. 前記基準電極と前記被評価電極の容量比が2以上となるように、前記基準電極が設定されることを特徴とする上記17記載の電極評価装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、実際に近いデバイス形態中で、単電極の評価を簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明により評価される被評価電極は、2極セル型蓄電デバイスに使用される正極または負極である。好ましくは、活性炭、黒鉛、黒鉛質材料(黒鉛より面間隔の広い炭素材料)等の炭素材料で構成される電極であり、充放電が、イオンの吸着によるもの、インターカレーションにより生ずるもの、その両方の組み合わせによるもの等のいずれでもよい。
【0027】
正極と負極を有する蓄電デバイスでは、充電していくと、正極は高い電位に移行し、負極は低い電位に移行する。各々の電位は各々の電気量によって決まる。通常のデバイスの電極間電圧は、正極の電位から負極の電位を引いたものであり、外からの観察(充電電気量と電圧測定)では、単極が充電によりどのような電位変化をするのかを判断することができない。
【0028】
そこで、本発明では、対極として電位−電気量特性がすでに評価された基準電極を用いて、被評価電極と組み合わせて蓄電デバイス構造を作製し、その充放電特性を測定し、基準電極の特性に基づいて補正することで、被評価電極の単極としての特性を得ることができる。
【0029】
図5は、基準電極を負極側に使用し、正極の評価を行う代表的な例である(後述の実施例参照)。曲線(b)は正極−負極間の実測された電圧−電気量特性曲線を示す。ここで、負極の基準電極の電位(対標準水素電極電位)−電気量特性は、線(a)のように測定・算出済みである。ここで、
電圧=正極電位−負極電位(=基準電極電位)、従って、
正極電位=電圧+負極電位(=基準電極電位) (式1)
より、図5の横軸の電位に関して、特性曲線(b)に特性線(a)を加算し、正極の電位−電気量特性(対標準水素電極電位)として曲線(c)が得られる。
【0030】
また、基準電極を正極側に使用し、負極の評価を行う場合には、
電圧=正極電位(=基準電極電位)−負極電位、従って、
負極電位=正極電位(=基準電極電位)−電圧 (式2)
より、負極電位の特性を評価することができる。
【0031】
予め測定および/または算出しておくことで、基準電極の特性が既知であれば、実際の使用形態に近い2極セルの特性を測定することにより、評価したい電極の単極の特性を評価することができる。
【0032】
基準電極としては、充放電がイオンの吸着・脱着によるものが好ましい。即ち、イオンの吸脱着による電極では、電位−電気量特性の直線性が高いため、式(1)または式(2)による計算の際に、基準電極の電位−電気量特性を直線として近似することができるため、計算が簡便であることに加え、計算を行わなくても、評価電極の特性を定性的に把握することができる。ここで、もし基準電極の充放電がインターカレーション等を伴うと、充電電気量により電位が直線的に変化しないために、2極セルの電圧特性には基準電極の影響が強く現れてしまい、その結果、被評価電極の特性が見えにくくなってしまう。
【0033】
また、分解電位に達するまでの充電電気量を限界容量とするとき基準電極の限界容量が小さいと、充電を進める際に、基準電極側が先に限界容量に達して反応電流がのってしまい、基準電極側の電位−電気量特性の直線性が低下し、被評価電極の特性算出が複雑になる。
【0034】
従って、基準電極の限界容量は、被評価電極の充電電気量を入れても限界容量に達しない容量以上が好ましく、
容量比=(基準電極限界容量)/(被評価電極限界容量)
で定義される容量比が、1以上が好ましい。ある程度の余裕をみると、容量比はより好ましくは2以上である。
【0035】
また、容量比が大きいほど、基準電極の電位−電気量特性の傾きが大きくなる。即ち、図5では、基準電極の電位−電気量特性線(a)の傾きがより垂直に立ってくる(図5の線(a)も充分に傾きが大きい。)。式(1)または式(2)に従って被評価電極の特性を算出すると、被評価電極の特性は、2極セルで測定される電圧−電気量特性曲線の形状をほぼ保ったまま電圧・電位をシフトさせた形状に相当する。このため、換算が非常に簡単である上、2極セルの電圧−電気量特性曲線形状から、直ちに被評価電極の特性を簡便に把握することができる。従って、容量比は、さらに好ましくは5以上である。
【0036】
作製した2極セルでの測定条件において、基準電極の電位変化量は2極セル最大電圧の20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
【0037】
このようなことから、基準電極の材料としては、特に重量あたりのイオン吸着量が大きいものが好ましく、活性炭が好ましい。活性炭は、粉末状の通常の活性炭でもよいが、より好ましくは活性炭繊維である。活性炭繊維は、繊維そのものが活性炭の性質を有するものであり、表面積として、800m/g以上を有するものが好ましく、典型的には1500〜2000m/gのものが使用される。
【0038】
本発明を実施する最初のステップとして、まず基準電極材料を用意し、その一部をとり、基準電極材料の電位−電気量特性を測定する。測定は、詳細には後述する参考例1のように、参照極を加えた3極セル、評価に用いる電解液系を使用し、電位−電気量特性を測定する。これを単位質量あたりに換算することで、基準電極材料の特性を得る。特に、レート特性評価を行う場合には、評価電流における基準電極のDCIR(直流電圧降下)を測定しておき、基準電極電位のIR(電圧降下)補正を行うことにより正確な評価が可能である。尚、この基準電極材料の評価は、材料が同一であるとみなすことができる範囲で行うことが好ましい。一般に、同一製造ロット内では材料の特性のばらつきは小さい。もし製造ロットごとに材料の特性に無視できないばらつきがあるときは、製造ロットごとに特性の評価を行うことが好ましく、また、特性が安定していることがわかっていればその必要はない。材料の特性のばらつきにより、適宜評価を行えばよい。
【0039】
次に、基準電極材料の所定量、即ち被評価電極との容量比が1以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上となる量をとり、被評価電極と、電解液、必要によりセパレータを用いて、蓄電デバイス(2極セル)を組み、特性を測定することにより、多数の被評価電極の特性を簡便に評価することができる。
【0040】
基準電極材料としては、電極の製造が簡単で、かつ電極の製造により電極特性の変動・ばらつきが小さいものが好ましい。活性炭粉末を使用する場合は、活性炭をバインダーと共に固める必要があり、測定した電極と評価に使用する電極との間での操作によって、ばらつきが生じる可能性がある。一方、活性炭繊維、特に布状(織布、不織布)のものは、所定の形状に切断し、所定の枚数を用いて電極を構成することができるため、変動・ばらつきが小さく、容量の調整も非常に簡便に行うことができる。
【0041】
以上のように、本発明により、単電極の電位−電気量特性、加えて電位−微分容量特性の測定が可能になる。
【0042】
ところで、容量特性および/または微分容量特性の測定において、通常、電位や電圧の操作はdV/dtを一定として測定され、その時の電流を測定することによりi・dt/dV=Cの関係から微分容量を測定している。しかし、この場合、ΔV移動する間に電流値が変わるため、抵抗Rが存在すると抵抗による電圧変化ΔV=iRが変わるため、高電流が流れる容量の大きい所では電圧が少し大きくなり、測定上の電位も変わってくる。そのため、iを一定にしてdt/dVを求めることにより、ΔVを一定にすることができ、ΔVが無視出来る電流で測定することにより正確な微分容量が測定できる。
【0043】
また、本発明では、被評価電極における不可逆反応を評価することができる。例えば正極にある電位からインターカレートする被評価電極を用い、負極に本発明の容量比が2〜5の比較的低い、基準電極を用いた場合、正極で反応が発生しない電位内で充電し、同じ電気量を放電すると、正負極とも元の電位に戻り、再充電を行うと、同じ電位で充電が開始される。この時負極も同じ電気量で充電されているため、正極が充電され始める時の負極電位は変わらないため、観察される充電開始電圧も変わらない。一方、被測定電極で不可逆反応が発生する場合、例えば正極で溶媒の分解等の不可逆反応が発生したとすると、正極に充電された電気量と正極での反応電流に使われた電気量の合計が負極の充電に使われることになる。この状態で放電すると、正極が元の電位に戻った時、負極は正極での反応電流分だけ充電されたままになる。すなわち負極電位は低くなっている。次の充電はこの状態からスタートするため、正極がインターカレートする電位になった時、負極ははじめから低い電位でスタートし、同電気量分だけ負にずれることになる。すなわち、2極セルで観察されるインターカレーション開始電圧が、電圧の高い方にシフトする。このシフト量から、反応に使われた電気量を求めることが可能になる。
【0044】
また、容量比が5以上の基準電極を用いた場合、サイクルを繰り返して充放電曲線を測定し、インターカレーションの開始電圧が変化しない状況を観察することにより、正極で反応が起こらない使用可能電位を求めることもできる。
【0045】
以上のように、本発明では、所定の基準電極を使用することで、被評価電極の単極の特性を簡便に評価することが可能になり、蓄電デバイスを設計する上で非常に有用であることがわかった。
【0046】
さらに本発明は、上記の方法に使用される電極評価装置にも関し、(a)電位−電気量特性が既知である材料を使用した基準電極および電解液を少なくとも備え、被評価電極と共に2極セルを構成できる2極セル部、および(b)前記被評価電極を組み込んだ2極セルの電圧−電気量特性を測定する測定部を有する。
【0047】
基準電極および電解液の選定についてはすでに説明したとおりであり、その他必要な2極セル部材は公知である。また、2極セルの電圧−電気量特性の測定部も公知の装置の使用が可能であり、好ましくは少なくとも定電流法の場合にはガルバノスタット、エレクトロメーターおよびレコーダー、定電位法の場合にはポテンシオスタット、ファンクションジェネレーターなどの電位掃引装置およびレコーダーを備える。レコーダーは計時機能、演算機能、表示機能の少なくとも1つ備えていることも好ましい。これらの機能により、例えばデバイス中の電気量の蓄電量が容易に算出、表示される。
【0048】
本発明の電極評価装置は、好ましくはさらに、(c)測定された前記2極セルの電圧−電気量特性と、前記基準電極の電位−電気量特性に基づいて、前記被評価電極の単極の電位−電気量特性を算出する手段をさらに有する。算出手段における算出方法は、すでに説明したとおりである。この算出手段は、2極セルの電圧−電気量特性の測定装置の演算機能が兼ねることができる。また、これら算出手段、計時機能、演算機能、表示機能等は、専用または汎用のコンピュータのハード的な構成として、および/またはソフトウェアによる論理的な構成として存在することができる。
【実施例】
【0049】
<参考例1> 基準電極材料の評価
図1に模式的に示すように、3極スクリューセルを用いて、正極1、負極2ともに活性炭繊維布(ACC−5092−10、表面積800m/g、日本カイノール(株))を使用し、負極容量/正極容量比を0.5となるように、負極2では活性炭繊維布1枚、正極1では活性炭繊維布2枚を重ね、セパレータ3を間に挟み、正極側集電体4a、負極側集電体4bで両側から圧力をかけて押さえ、電解液6を浸し、さらに参照極5としてAg/AgCl電極を用いてキャパシタを組んだ。
【0050】
ACD-01 充放電試験装置(アスカ電子(株))にて、電圧0V〜1.5V間で充放電サイクルを行った。充放電操作とは別に、他の2チャンネルを用いて、参照極と正極および参照極と負極にそれぞれ電圧端子を接続し、電圧をモニターした。安定した10サイクル目の電位を確認した。測定の条件は以下の通りである。
【0051】
(1)セル:3極スクリューセル;
(2)正極(C):活性炭繊維布88.7mg(16mmφ)×2枚 [ACC−5092−10 日本カイノール(株)];
(3)負極(A):活性炭繊維布43.1mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−10 日本カイノール(株)];
(4)参照極:Ag/AgCl [EE009(CYPRESS SYSTEMS製)];
(5)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GF/C[ワットマン];
(6)電解液:1.5M TEMA・BF[PC] (トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、プロピレンカーボネート溶液);
(7)充放電条件:CCCV充電(1.0mA、1.5V、CV2min)、CC放電(1.0mA、0V)、休止(2min)。
【0052】
10サイクル目の標準水素電極基準(以下、vs.NHE)に変換した正・負極電位と電気量の関係を図2に示す。
【0053】
これを、単位質量あたりに換算することで、この活性炭繊維布の負極単極としての特性、正極単極としての特性は、それぞれ図3、図4に示すようになる。この活性炭繊維布を使用する基準電極の特性は、図3または図4のグラフを元に使用する質量換算により得ることができる。
【0054】
<実施例1> 被評価電極(正極)の評価
負極側の基準電極として参考例1で特性を測定した活性炭繊維布を使用し、正極の評価を行った。評価対象の正極は、活物質としてTIMCAL社製黒鉛ティムレックスKS−6(002層間距離0.3357nm、平均粒子径3.4μm、表面積20m/g)100部に対し、電気化学社製アセチレンブラック(ABと略記)8部を粉体混合後、ダイセル化学工業社製カルボキシメチルセルロース(CMC;バインダー)1.5部と水200部を混合した水溶液を加え混合する。最後に、アクリル系樹脂バインダー2部と水33部を加え軽く混合しスラリーを調製し、アルミ箔上に厚み50ミクロンの電極を調製した。各材料および測定の条件を次にまとめて示す。
【0055】
(1)正極(C):KS−6 :6.37mg(16mmφ)[CMC(1.3%)、アクリル系樹脂バインダー(1.8%)、AB(7.2%)/エッチドAl];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 188.6mg(16mmφ)×4枚 [ACC−5092−10 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GF/C[ワットマン];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)充放電条件:CCCV充電(1.0mA、2.1V、CV2min)、CC放電(1.0mA、0V)、休止(2min)、10サイクル。[ACD−01 充放電試験装置 アスカ電子(株)]
【0056】
図5に、10サイクル後の実測した電圧−電気量特性(曲線(b))、負極の基準電極の特性(線(a))およびそれらから求めた正極の被評価電極の特性(曲線(c))を示す。このグラフから明らかなように、負極の基準電極の特性(線(a))は、直線性がよく、また急峻であるため、実測した電圧−電気量特性(曲線(b))から、形状が大きく変化せずに正極の被評価電極の特性(曲線(c))が得られる。従って、被評価電極を簡便に評価できる。
【0057】
また、図6に、このときのセルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を示す(上側:充電、下側:放電)。また、図7に、被評価電極(正極)単極の充電時の電位−微分容量(重量あたり)特性を示す。図6と図7を比較すると、充電時の微分容量特性の形状が、類似しており、図6のみからでも単極の特性を直ちに理解することができる。
【0058】
<実施例2> 被評価電極(負極)の評価
正極側の基準電極として参考例1で特性を測定した活性炭繊維布を使用し、負極の評価を行った。評価対象の負極は、活物質としてクラレケミカル社製活性炭RP−20(平均粒子径2μm、表面積1800m/g)に変えた以外は、実施例1の正極と同様に調製した。各材料および測定の条件を次にまとめて示す。
【0059】
(1)正極(C):活性炭繊維布:183.2mg(16mmφ)×4枚[ACC−5092−10 日本カイノール(株)];
(2)負極(A):RP−20:7.35mg(16mmφ)[CMC(1.3%)、アクリル系樹脂バインダー(1.8%)、AB(7.2%)/エッチドAl;
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GF/C[ワットマン];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)充放電条件:CCCV充電(1.0mA、2.1V、CV2min)、CC放電(1.0mA、0V)、休止(2min)、10サイクル。[ACD−01 充放電試験装置 アスカ電子(株)]
【0060】
図8に、10サイクル後の実測した電圧−電気量特性(曲線(b))、正極の基準電極の特性(線(a))およびそれらから求めた負極の被評価電極の特性(曲線(c))を示す。このグラフから明らかなように、正極の基準電極の特性(線(a))は、直線性がよく、また急峻であるため、実測した電圧−電気量特性(曲線(b))から、形状が大きく変化せずにちょうど反転した形状の負極の被評価電極の特性(曲線(c))が得られる。従って、被評価電極を簡便に評価できる。
【0061】
また、図9に、このときのセルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を示す(上側:充電、下側:放電)。また、図10に、被評価電極(負極)単極の充電時の電位−微分容量(重量あたり)特性を示す。図10のグラフは、図9の充電時の微分容量特性の形状を左右反転した形状と類似しており、図9からでも単極の特性を直ちに理解することができることがわかる。
【0062】
<参考例2> 基準電極材料の評価2
参考例1では、3極スクリューセルを用いて基準電極材料の評価を行ったが、3極スクリューセルを利用できない場合には、一般的な3極ビーカーセルを用いて測定した自然電位と、2極セルによって測定した電圧特性から、次のように基準電極材料を評価することができる。
【0063】
(i)理論
基準電極材料(例えば活性炭繊維布)を正極および負極とし、セパレータを介して重ね、電解液を注入して構成され2極セル(図11(a)参照)は、図11(b)の等価回路図で表せる。正極および負極の静電容量をそれぞれC、Cとした場合、正極と負極に蓄えられる電気量Qは等しく、電圧はQ/C、Q/Cに分圧される。ここで、正負極が同じ材料かつ同じ重量である場合、C≒Cと仮定でき、電圧は電極の自然電位(以下、R.P.)からセル電圧の半分がそれぞれに分圧され、
正極電位= R.P.+セル電圧/2
負極電位= R.P.−セル電圧/2
となる。
【0064】
すなわち、基準電極材料のR.P.と2極セルの電圧−電気量特性が得られれば、単極電位が求められる。以下、具体的に示す。
【0065】
(ii)基準電極の自然電位(R.P.)の測定
図12に示すように容器に電解液(1.5M TEMA BF [PC])、活性炭繊維布(ACC−5092−20、表面積1800m/g、日本カイノール(株))およびAg/AgCl参照電極を入れて3極セルを構成し、ポテンシオスタット(北斗電工(株) HA−151)で活性炭繊維布と参照電極の電位差を測定した。活性炭繊維を電解液につけたときのR.P.の値を表1に示す。
【0066】
12枚測定した平均値 0.392V(vs.NHE)を活性炭繊維布 ACC−5092−20 のR.P.とした。
【0067】
【表1】

【0068】
(iii)基準電極電位の確認
正極となる活性炭繊維布をセパレータを介して重ね、電解液を注入して2極スクリューセルを組み立て、下記条件にて測定を行った。
【0069】
(1)正極(C):活性炭繊維布: 30.5mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 30.5mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GF/C[ワットマン];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)充放電条件:CC充電(1.0mA、1.0V)、CC放電(1.0mA、0V)5サイクル。CCCV充電(1.0mA、1.0V、CV10時間)[ACD−01 充放電試験装置 アスカ電子(株)]
【0070】
このCCCV充電後のセル電圧は0.94Vであった。したがって単極電位は
正極電位=R.P.+セル電圧/2
=0.39+(0.94/2)=+0.86 V
負極電位=R.P.−セル電圧/2
=0.39−(0.94/2)=−0.08 V
と計算できる。
【0071】
このセルを解体して正極、負極の電位を3極ビーカーセルにて測定した結果、正極電位+0.88V vs. NHE、負極電位−0.06Vvs. NHEとなり、計算値とほぼ一致した。
【0072】
(iv)基準電極の電気量測定
正極、負極ともに活性炭繊維布(ACC−5092−20、表面積1800m/g、日本カイノール(株))を1枚ずつ、セパレータを介して重ね、電解液を注入して2極スクリューセルを組み立て立て、下記条件にて測定を行った。
【0073】
(1)正極(C):活性炭繊維布: 30.1mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 30.1mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GA−100 [アドバンテック東洋(株)];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)充放電条件:CC充電(1.0mA、1.0V)、CC放電(1.0mA、0V) [ACD-01 充放電試験装置 アスカ電子(株)]
【0074】
10サイクル目のセル電圧−正極基準電気量の測定結果を図13示す。この測定結果と、(ii)で求めたR.P.=0.39V、(i)の式から、負極および正極の単極電位−電気量(重量あたり)特性は、それぞれ図14、図15のグラフで得られる。
【0075】
<実施例3>基準電極 表面積1800m/g活性炭繊維布を用いた評価
負極側の基準電極として参考例2で特性を測定した活性炭繊維布を使用した以外は実施例1と同様にセルを作製し、正極の評価を行った。
【0076】
(1)正極(C):KS−6 :8.46mg(16mmφ)[CMC(1.3%)、アクリル系樹脂バインダー(1.8%)、AB(7.2%)/エッチドAl];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 188.6mg(16mmφ)×4枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GA−100 [アドバンテック東洋(株)];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)充放電条件:CC充電(1.0mA、2.2V)、CC放電(1.0mA、0V)、休止(2min)、10サイクル。[ACD−01 充放電試験装置 アスカ電子(株)]
【0077】
図16に、10サイクル後の実測した電圧−電気量特性(曲線(b))、負極の基準電極の特性(線(a))およびそれらから求めた正極の被評価電極の特性(曲線(c))を示す。
【0078】
図17にセルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を、図18に被評価電極(正極)単極の電位−微分容量(重量あたり)特性を示す。
【0079】
<実施例4> 不可逆反応量の評価
容量比を小さくした以外は実施例3と同様にセルを作製し、不可逆反応量の評価を行った。
【0080】
(1)正極(C):KS−6 :6.70mg(16mmφ)[CMC(1.3%)、アクリル系樹脂バインダー(1.8%)、AB(7.2%)/エッチドAl];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 53.8mg(16mmφ)×2枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GA−100 [アドバンテック東洋(株)];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)充放電条件:CC充電(1.0mA、2.2V)、CC放電(1.0mA、0V)、休止(2min)、10サイクル。[ACD−01 充放電試験装置 アスカ電子(株)]
【0081】
図19、図20に、セルの電圧−微分容量特性および被評価電極(正極)単極の電位−微分容量(重量あたり)特性をそれぞれ示す。図20より被測定電極のインターカレート開始電位は一定であることから、図19のインターカレート開始電圧の高電圧側へのシフトは、不可逆反応によるものと確認できる。
【0082】
図19から微分容量0.1mAh/g/mVとなるインターカレート電圧を求めると、1.797V(1サイクル)、1.894V(2サイクル)、1.956V(10サイクル)となり、1サイクルと2サイクルのインターカレート電圧差は0.101V、1サイクルと10サイクルのインターカレート電圧差は0.163Vとなる。したがって、基準電極電位が0.291V(R.P.−0.101V)および0.229V(R.P.−0.163V)となる電気量から、1サイクル目の不可逆反応量は0.093mAh、10サイクル目までの不可逆反応量は0.173mAhとそれぞれ計算できる。
【0083】
<実施例5> 定電位法による評価
(i)基準電極の電気量測定
正極、負極ともに活性炭繊維布(ACC−5092−20、表面積1800m/g、日本カイノール(株))を1枚ずつ、セパレータを介して重ね、電解液を注入して2極スクリューセルを組み立て、下記条件にて測定を行った。
【0084】
(1)正極(C):活性炭繊維布: 27.1mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 27.1mg(16mmφ)×1枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GA−100 [アドバンテック東洋(株)];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)測定装置:ポテンシオスタット HA−151 [北斗電工(株)]、簡易型関数発生器 HB−111 [北斗電工(株)];
測定条件: 電圧 0〜1.0V、掃引速度 1mV/sec
【0085】
10サイクル目のセル電圧−正極基準電気量の測定結果を図21に示す。この測定結果と、参考例2(ii)で求めたR.P.=0.39V、参考例2(i)の式から、負極および正極の単極電位−電気量(重量あたり)特性は、それぞれ図22、図23に示すようになる。
【0086】
(ii)被評価電極(正極)の評価
実施例3と同様にセルを作製し、下記条件にて正極の評価を行った。
【0087】
(1)正極(C):KS−6 :9.10mg(16mmφ)[CMC(1.3%)、アクリル系樹脂バインダー(1.8%)、AB(7.2%)/エッチドAl];
(2)負極(A):活性炭繊維布: 107.3mg(16mmφ)×4枚 [ACC−5092−20 日本カイノール(株)];
(3)セパレータ:ガラス繊維濾紙 GA−100 [アドバンテック東洋(株)];
(4)電解液:1.5M TEMA・BF[PC];
(5)測定装置:ポテンシオスタット HA−151 [北斗電工(株)]、簡易型関数発生器 HB−111 [北斗電工(株)];
測定条件: 電圧 0〜1.0V、掃引速度 1mV/sec
【0088】
図24に、10サイクル後の実測した電圧−電気量特性(曲線(b))、負極の基準電極の特性(線(a))およびそれらから求めた正極の被評価電極の特性(曲線(c))を示す。図25にセルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を、図26に被評価電極(正極)単極の電位−微分容量(重量あたり)特性を示す。定電流法(実施例3)ではピークがはっきり観察できるのに対して、定電位法ではピーク位置で電流が多くなりIRドロップの影響が出るため、ピークがブロードになっている。ピーク時点の電流値を定電流法の時と同じ電流値になるように、掃引速度を遅く設定することにより、ブロード化は改善するが、測定には非常に時間を要する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】3極スクリューセルの構成を模式的に示す図である。
【図2】参考例1において、10サイクル目の活性炭繊維布の電気量特性(対標準水素電極)を示すグラフである。
【図3】参考例1において、活性炭繊維布の負極の単極電位−電気量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図4】参考例1において、活性炭繊維布の正極の単極電位−電気量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図5】実施例1において、基準電極(負極)、被評価電極(正極)を用いて測定した電圧−電気量特性(b)、および正極(c)、負極(a)の単極特性を示すグラフである。
【図6】実施例1において、セルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を示すグラフである。
【図7】実施例1において、被評価電極(正極)単極の充電時の電位−微分容量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図8】実施例2において、基準電極(正極)、被評価電極(負極)を用いて測定した電圧−電気量特性(b)、および正極(a)、負極(c)の単極特性を示すグラフである。
【図9】実施例2において、セルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を示すグラフである。
【図10】実施例2において、被評価電極(負極)単極の充電時の電位−微分容量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図11】(a)2極セルの構造を模式的に示す図である。(b)2極セルの等価回路図である。
【図12】3極セルの構成を模式的に示す図である。
【図13】参考例2において、活性炭繊維布を正・負極に使用した2極セルの10サイクル目のセル電圧−正極基準電気量の測定結果を示すグラフである。
【図14】参考例2において、活性炭繊維布の負極の単極電位−電気量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図15】参考例2において、活性炭繊維布の正極の単極電位−電気量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図16】実施例3において、基準電極(負極)、被評価電極(正極)を用いて測定した電圧−電気量特性(b)、および正極(c)、負極(a)の単極特性を示すグラフである。
【図17】実施例3において、セルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を示すグラフである。
【図18】実施例3において、被評価電極(正極)の単極の電位−微分容量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図19】実施例4において、セルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を測定した結果を示すグラフである。
【図20】実施例4の被評価電極(正極)単極の電位−微分容量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図21】実施例5において、基準電極材料の活性炭繊維布を正・負極に使用した2極セルの10サイクル目のセル電圧−正極基準電気量の測定結果を示すグラフである。
【図22】実施例5において、活性炭繊維布の負極の単極電位−電気量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図23】実施例5において、活性炭繊維布の正極の単極電位−電気量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【図24】実施例5において、基準電極(負極)、被評価電極(正極)を用いて測定した電圧−電気量特性(b)、および正極(c)、負極(a)の単極特性を示すグラフである。
【図25】実施例5において、セルの電圧−被評価電極基準微分容量特性を示すグラフである。
【図26】実施例5の被評価電極(正極)の単極の電位−微分容量(重量あたり)特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0090】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4a 正極側集電体
4b 負極側集電体
5 参照極
6 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極および電解液を有する蓄電デバイスに使用される電極の評価方法であって、
被評価電極、電位−電気量特性が既知である材料を使用した基準電極、および電解液とを少なくとも有する2極セルを作製する工程と、
作製した2極セルを用いて、電圧−電気量特性を測定する工程と、
測定された電圧−電気量特性と、前記基準電極の電位−電気量特性に基づいて、前記被評価電極の単極の電位−電気量特性を得る工程と
を有することを特徴とする電極評価方法。
【請求項2】
前記基準電極を構成する材料が、活性炭であることを特徴とする請求項1記載の電極評価方法。
【請求項3】
前記基準電極を構成する材料が、活性炭繊維であることを特徴とする請求項2記載の電極評価方法。
【請求項4】
前記基準電極と前記被評価電極の容量比が1以上となるように、前記基準電極を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極評価方法。
【請求項5】
前記基準電極と前記被評価電極の容量比が2以上となるように、前記基準電極を設定することを特徴とする請求項4記載の電極評価方法。
【請求項6】
作製した2極セルでの測定条件において、前記基準電極の電位変化量が2極セル最大電圧の20%以下となる基準電極を使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極評価方法。
【請求項7】
前記基準電極を構成する材料は、電位に対する単位質量あたりの電気量特性が測定されており、使用する量を調整して、容量比が定められることを特徴とする請求項4または5記載の電極評価方法。
【請求項8】
前記基準電極を構成する材料が、電位に対する単位質量あたりの電気量特性が測定された活性炭繊維であり、枚数を調節して、容量比が定められることを特徴とする請求項7記載の電極評価方法。
【請求項9】
前記被評価電極の電位−電気量特性として、電位−微分容量特性を得ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電極評価方法。
【請求項10】
前記被評価電極の電位−電気量特性として、不可逆反応量を求めることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電極評価方法。
【請求項11】
電圧−電気量特性の測定を定電流法で行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電極評価方法。
【請求項12】
電圧−電気量特性の測定を定電位法で行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電極評価方法。
【請求項13】
蓄電デバイスの単極電位特性の評価装置であって、
(a)電位−電気量特性が既知である材料を使用した基準電極および電解液を少なくとも備え、被評価電極と共に2極セルを構成できる2極セル部、および
(b)前記被評価電極を組み込んだ2極セルの電圧−電気量特性を測定する測定部
を有することを特徴とする電極評価装置。
【請求項14】
(c)測定された前記2極セルの電圧−電気量特性と、前記基準電極の電位−電気量特性に基づいて、前記被評価電極の単極の電位−電気量特性を算出する手段をさらに有することを特徴とする請求項13記載の電極評価装置。
【請求項15】
前記基準電極を構成する材料が、活性炭であることを特徴とする請求項13または14記載の電極評価装置。
【請求項16】
前記基準電極を構成する材料が、活性炭繊維であることを特徴とする請求項15記載の電極評価装置。
【請求項17】
前記基準電極と前記被評価電極の容量比が1以上となるように、前記基準電極が設定されることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の電極評価装置。
【請求項18】
前記基準電極と前記被評価電極の容量比が2以上となるように、前記基準電極が設定されることを特徴とする請求項17記載の電極評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−152446(P2009−152446A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330156(P2007−330156)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】