説明

電気エネルギーを蓄電するための、電極の設計および製造用の層状複水酸化物群に関するオキシヒドロキシ塩の使用

本発明は、電気エネルギーを蓄電するための、電極の設計および製造用の層状複水酸化物群に関するオキシヒドロキシ塩の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを蓄電するための、電極の設計および製造用の層状複水酸化物群に関するオキシヒドロキシ塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、第一鉄材料(スチール)の分解中に出現し、かつ最終的に錆に変換され、したがってそれらの色の理由から一般に緑青と呼ばれる層状複水酸化物群に関する中間化合物である(Geninら、Geoscience、2006)。
例えば、Ona Nguemaら、2002、Enviro.Sci.Technolは、電子供与体としての蟻酸塩(HCO2-)および電子受容体としての鱗鉄鉱、水酸化酸化鉄(iron oxide hydroxide)γ−FeOOH、鉄源の存在中で、バクテリア シュウワネラ・プトレファシエンス(Shewanella putrefaciens)を還元する異化型(dissimilatory)鉄による緑青の形成を記載している。その結果、バクテリア活性は、FeIIIイオンをFeIIに還元し、その上、有機物を炭酸塩CO32-に酸化し、その結果としていわゆる炭酸塩化された緑青を形成させることを含む。したがって、この生成物は、特に浸水した土壌、グライ土に存在する天然物であり、かつフォルゲライト(fougerite)として知られている(Geninら、Geochim. Cosmochim. Acta、1998参照)。
【0003】
また、セル、バッテリーまたはアキュムレーターのような電気エネルギーを蓄積するための装置において、2つの物質の間で化学反応が起こり、一方で容易に電子が放出され(還元剤)、他方でそれらを受け入れる(酸化剤)。これはレドックス(還元−酸化)反応と呼ばれる。
酸化/還元対の各成分は電極を構成する。これらの電極は、電気を消費する装置に接続されたときに循環する電流を生じ;それにしたがって、一方で前記の化学反応が電荷(電子、イオン)の循環を引き起こす。
【0004】
近年、温暖化ガス(特にCO2)の排出削減ならびに低汚染エネルギーの製造手段および使用を見出す必要性や化石燃料(石油、天然ガス、石炭)埋蔵量の制限およびそれらの供給の不安に関連する問題のために、エネルギー蓄積装置への関心がかなり強まっている。
しかしながら、現存のセル、バッテリーまたはアキュムレーターは、それらの重量またはそれらの嵩高さ、特にリサイクル中に警戒を要求される汚染廃棄物に関連する環境問題のために、エネルギー性能の点で欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の1つの目的は、現在市販されている電気的セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターに対して遥かに優れたエネルギー性能を有し、その上生産コストが現存の材料よりもかなり低く、環境に対するどのような悪影響もなしに処分し得る、セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置に使用するための電極の製造用材料を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、確立した組成を有するこれらの活性材料を開発すること、すなわち、フィルムまたは炭素(グラファイト)と混合された複合材料のいずれかの形態での製造方法を提供し、それによりエネルギー蓄積装置の製造を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の一般式:
[DII3n(1-x)III3nx6nn(7-3x)]n+[An-,mH2O]n- (I)
(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)
の、少なくとも1つの二価のカチオンDIIおよび少なくとも1つの三価のカチオンTIIIを有する、第一第二鉄の層状複水酸化物(LDH)に関する化合物を少なくとも1つ含む材料の電極形成への使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の説明
図1a〜dは、材料(GR*)、実施例2によるヒドロキシ炭酸第一第二鉄[FeII4FeIII2(OH)12]2+CO32-のH22での強い酸化により作製された、式[FeIII6128]2+CO32-のオキシヒドロキシ炭酸第二鉄の、16、50、60および78Kの温度でそれぞれ得られたメスバウアスペクトルを示す。
y軸は、透過率のパーセンテージに対応し、x軸は、mm/sでの速度に対応する。
図2b、d、f、h、jは、xを変化させたオキシヒドロキシ炭酸第一第二鉄FeII6(1-x)FeIII6x122(7-3x)CO3の試料の78Kで測定されたメスバウアスペクトルを示す(図2b:x=0.33;図2d:x= 0.50;図2f:x=0.63;図2h:x=0.78;図2j:x=1)。
y軸は、透過率のパーセンテージに対応し、x軸は、mm/sでの速度に対応する。
図2a、c、e、g、iは、対応するスペクトルb、d、f、h、jのデコンヴォルーションを示し;対応する成分の発生量が示される。
図3は、金基板上に堆積されたフィルムの形態での本発明の材料(GR*)の室温で得られたメスバウアスペクトルを示す。
y軸は、任意単位における強度に対応し、x軸は、mm/sでの速度に対応する。
図4a〜bは、100mgのGR*での種々の形態での、材料GR*、オキシヒドロキシ炭酸第二鉄、[FeIII6128]2+[CO32-,3H2O]2-で得られた、電圧電流曲線を示す。
図4aは、実施例3のGR*と炭素との複合材料(実線)および炭素のみの参照(破線)で得られた曲線を示す。
y軸は、μAで得られた電流に対応し、x軸は、ボルトでの電位に対応する。
図4bは、実施例4のGR*のフィルムで得られた曲線を示す(実線および破線は2つのサイクルに対応する)。
y軸は、μAで得られた電流に対応し、x軸は、ボルトでの電位に対応する。
図5は、本発明の対照材料(GR*)で得られたメスバウアスペクトルを示す。
y軸は、任意単位における強度に対応し、x軸は、mm/sでの速度に対応する。
図6a〜bは、複合材料の形態での本発明の材料(GR*)で得られたメスバウアスペクトルを示す。
図6aは、50mgのGR*との炭素複合材料に対応する。
y軸は、任意単位における強度に対応し、x軸は、mm/sでの速度に対応する。
図6bは、100mgのGR*との炭素複合材料に対応する。
y軸は、任意単位における強度に対応し、x軸は、mm/sでの速度に対応する。
図7Aおよび7Bは、一般式FeII6(1-x)FeIII6x122(7-3x)CO3のオキシヒドロキシ炭酸第一第二鉄 RV(x)(またはGR*(x))の全ての組成物の、いわゆるプールベダイアグラムEh−pHを示す。プールベダイアグラムは、傾き−0.0591の一組の平行直線(ネルンスト法則)により構成される。第一鉄材料の侵食で用いられる、化学量論の緑青RV(またはGR)のそれと比較することができる。
図7Aは、溶解−沈降モードにおけるヒドロキシ炭酸塩FeII-III,[FeII4FeIII2(OH)12]2+ [CO32-,3H2O]2-のプールベダイアグラムを示す。
通常の侵食工程において、緑青RVの層は、水性酸化の最後に溶解し、媒体次第で針鉄鉱(goethite)α−FeOOH、鱗鉄鉱(lepidocrocite)γ−FeOOH、フェリハイドライト(ferrihydrite)δ'−FeOOHまたは赤金鉱(akaganeite)β−FeOOHになり得る、水酸化酸化鉄、FeOOHの形態で再沈殿する。RVのドメインは、確実に限定されるが、Fe(OH)2、RVおよびFeII のドメインの全てを見ると(図7A)、全てのpH値を含みかつRVの溶解が第一鉄材料の侵食を導いている。たとえ速度が遅くても、いかなるpHでもそれは避けられない。
図7Bは、その場脱プロトン化モードでのオキシヒドロキシ炭酸塩FeII-III,FeII6(1-x)FeIII6x122(7-3x)CO3のプールベダイアグラムを示す。反対に、例えばH22を用いて、その場で脱プロトン化し、乾燥し、次いでばっ気、塩基性溶液に曝し、電位差の下に置き(ボルトアンペアメーター(voltamperometer))、強力な酸素供給をすることにより急速な酸化が与えられるならば、活性材料RV*(x)は、構造的に丈夫にされる。ダイアグラム(図7B)は、溶液のpHが5を超え、第一鉄化合物RV(CO32-)*,FeII61214CO3から第二鉄のRV(CO32-)*,FeIII6128CO3への、充電および放電の全ての範囲にわたって、全てのネルンストの直線式に対応する変化でありさえすれば、幅広いドメインに対応することを示す。pH7において、電圧の範囲は、約−0.5〜+0.6V(標準水素参照電極)である。
【0008】
表現「少なくとも1つの二価のカチオンDII」は、カチオンDIIが単独で、またはもう1つと組み合わせて用いられることを意味する。
表現「少なくとも1つの三価のカチオンTIII」は、カチオンTIIIが単独で、またはもう1つと組み合わせて用いられることを意味する。
機能を果たすために、上記LDHに関する化合物には、FeIIが最小1%の比率で存在することが求められ、FeIIイオンのFeIIIイオンへの変換を可能にしている。もしLDHに関する化合物が少しもFeIIを有さないならば、それは機能しない。
【0009】
本発明は、さらにとりわけ、三価成分におけるFeIIIの比率が三価成分の全量に対して0%(w/w)〜100%(w/w)である上記の定義されたような化合物の使用に関する。
FeIIIに変換することができるFeIIが化合物中に存在すれば、FeIIIの存在は不可欠ではない。
また、本発明は、DIIがMgII、NiII、CaII、MnII、CoIIおよびFeIIから選択され、かつTIIIがAlIII、CoIII、CrIIIおよびFeIIIから選択される、上記の定義されたようなLDHに関する化合物の使用に関する。
【0010】
本発明は、次の一般式(II):
[FeII3n(1-x)FeIII3nx6nn(7-3x)]n+[An-,mH2O]n- (II)
(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)
の、少なくとも1つの成分の部分もしくは全置換により部分的に改質され得る、非汚染性の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を少なくとも1つ含む材料の電極形成への使用に関する。
【0011】
第一第二鉄のヒドロキシ塩は、ブルシティック(brucitic)と呼ばれる、構造Fe(OH)2のFeIIおよびFeIIIイオンならびにFeIIIイオンによる過剰の正電荷に釣り合うアニオンおよび水分子を含む内部ラメラを含むカチオン性ラメラを有する層状複水酸化物群に属する。
一方で第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、各FeIIIカチオンを取り囲むOH-イオンの一部が脱プロトン化してO2-イオンになるか、逆にプロトン化して水分子になるが、実際には関連するヒドロキシ塩と同様の結晶構造を有する。FeIIイオンはFeIIIに酸化して電荷を補償し、かつその逆も同様である。
【0012】
本発明にしたがって用いられる第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、天然起源または合成由来とすることができ、後者が好ましい。
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、土壌中に天然の状態で発見されるが、知られている存在状態では、0.33〜0.66のx=[FeIII]/[Fe全量]の範囲で存在するのみである。それは鉱物フォルゲライトである。一方、合成製品は、新規である適切な電子特性のために0〜1のx値に対応する。
「0.33」は、厳密値1/3を意味する。
「0.66」は、厳密値2/3を意味する。
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩中のx値は、比率FeIII/(FeII+FeIII)に対応し、かつ固体におけるメスバウアスペクトルにより自然位で直接測定することができる。
【0013】
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩の結晶構造、さらにとりわけオキシヒドロキシ炭酸塩の結晶構造が、Geninらにより詳細に記載されている(CR Geoscience、2006)。
0〜0.33、0.33〜0.66および0.66〜1のxの3つの範囲が解明されている(Geninら、Solid State Sciences、2006およびRushら、Solid State Science、2008)。
【0014】
図2a〜jは、FeIIIへの変換につれてFeIIの段階的な消失を示す、異なる比率のxを有するオキシヒドロキシ炭酸第一第二鉄試料の78Kにおいて測定されたメスバウアスペクトルの変化を示す。第一鉄ダブレット、D1およびD2は、第二鉄ダブレットD4に転換される。図2a、c、e、g、iは、図2b、d、f、h、jにおけるスペクトルのそれぞれのデコンヴォルーションを示す。
【0015】
したがって、0.66よりも大きなxの値は、自然条件下で到達し得るより多くのエネルギーを暗示する一方で、Fe34 からγ-Fe23へのスピネル構造を有するマグネタイトの形成が優先される構造に対応する。
0.33未満のxの値に対して、その結晶構造は準安定性(metastable)である。この結晶構造は、ボルトアンペアオメトリック(voltamperometric)サイクルによって得られる。
ボルトアンペアオメトリックサイクルは、固体の電圧をポテンショメーターで連続的かつ循環的に変化させる方法である。
【0016】
用語「準安定性」は、局所のエネルギー最小値(local energy minimum)に対応する系を意味するが、この最小値は最低ではなく、後者の用語「安定」より離れる。
x=0.33からx=1の固体の経過は、一般的に過酸化水素H22による段階的な酸化により連続的に得られる。それは、OH-イオンの一部が O2-になり、相まってFeIIイオンがFeIIIに変換される化合物内の脱プロトン化の現象である。
特に、x=0.33からx=1の固体の経過は、化学量論化合物、式[FeII2nFeIIIn(OH)6n]n+[An-,mH2O]n-(nはアニオンの電荷を示す)の第一第二鉄のヒドロキシ塩(x=0.33)の、過酸化水素H22による直接酸化により得ることができる。
【0017】
オキシヒドロキシ炭酸第一第二鉄の連続的な脱プロトン化は、Geninら、Solid State Science 2006により最初に立証された。それ以外に、前記の連続的な脱プロトン化の現象およびこのような比率xの範囲を有する酸化物(鉄を含むか否かにかかわらず)は知られていない。
【0018】
用語 アニオンは、負電荷のイオンを意味する。本発明の範囲において、アニオンは、1、2または3の負電荷、特に2の負電荷(例えば炭酸塩)を有する。
xが0に等しいとき、第一第二鉄の化合物は、単に水和された式[FeII3n6n7n]n+[An-,mH2O]n-の第一鉄ヒドロキシ塩になる。その結果、それはOH-がH2Oになるプロトン化である。
特に、アニオンが2つの負電荷を有するとき、第一第二鉄のヒドロキシ塩は、式[FeII61214]2+2-の水和された第一鉄ヒドロキシ塩になる。
【0019】
xが1に等しいとき、第一第二鉄のヒドロキシ塩は、単に式[FeIII3n6n4n]n+[An-,mH2O]n-の第二鉄のオキシヒドロキシ塩になる。
特に、アニオンが2つの負電荷を有するとき、第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、式[FeIII6128]2+2-の第二鉄のオキシヒドロキシ塩になる。
n-が炭酸塩に対応する場合、全て第二鉄の化合物は、GR*(またはRV*)で示され、この記号表示は、明細書の残りにおいて用いられる。
【0020】
セル、バッテリーまたはアキュムレーターにおいて、酸化/還元対の各成分は、電極と接続される。
本発明による第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、完全に新規であるレドックス特性を有し、電極(アノードまたはカソード)の構成を可能にしている。
現在、鉛、ニッケル−カドミウム、ニッケル−金属水素化物、ニッケル−亜鉛、リチウム−イオンバッテリーなどのエネルギー蓄積用電極を製造する技術がいくつかある。
これらの技術は全て、多かれ少なかれ汚染性がある電極を用いるもので、製品の処分に先立って材料中の金属を除去する必要性がある。
【0021】
したがって、表現「非汚染性(non-polluting)」は、一般に生態または環境の全てまたは一部に悪影響をもたらし得る、先天的な化合物または汚染物質を含まない材料を意味する。
したがって、本発明のもう1つの利点は、その処分の前に金属を除去したり材料を処理したりする必要がなくしたがって非汚染性の電極を利用可能にすることである。
【0022】
有利な実施態様において、本発明は、前記電極の理論的な特定の電気エネルギー容量が、160Ah/kg以上、特に245Ah/kg以上である、上記の定義された材料の使用に関する。
例えば、An-が炭酸塩を示す場合、この理論的な容量は245 Ah/kgである。
表現「理論的な特定の電気エネルギー容量」とは、その材料がその質量に対して返すことができる電気量を意味する。
【0023】
本発明の材料の利点の1つは、それが、市販の材料、特にLi−イオンにおいて最新の測定された特定の電気エネルギー容量よりも約50%大きく、したがって公知の電極材料よりも遥かに大きな電位力(potential power)を有する、特定の電気エネルギー容量を有することである。
一例として、例えばLiCoO2のようなこれまでに販売されている材料は、わずか160Ah/kgにしか到達ししない(The 14th International Meeting on Lithium Batteries、2008年6月22〜28日、中国、天津)。
有利な実施態様において、上記の定義された電極の理論的な電気エネルギー容量は、約160Ah/kg〜約 300Ah/kg、好ましくは160 Ah/kg〜250Ah/kg、さらに好ましくは200Ah/kg〜250Ah/kg、特に245Ah/kgである。
【0024】
有利な実施態様によれば、上記の定義された用いられる材料は、電気的セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置に用いることができる。
表現「エネルギー蓄積装置」とは、それが含むエネルギーを解放するのみで、結果としてもはやエネルギーを含まずかつ再びエネルギーを蓄積することができない装置、またはそれが含むエネルギーを解放し、次いで再びエネルギーを解放することができるようエネルギーを再充電することができる装置を意味する。
【0025】
「セル」とは、動作中にその成分の化学構造が変化するが、それらがそれらの初期の状態に回復することができないエネルギー蓄積装置を意味する。したがって、セルの可使時間は限定されている。
「バッテリー」とは、動作中に、電解液に浸漬されたその成分の表面が化学的に改質され、次いでそれらの初期の状態に回復することができるエネルギー蓄積装置を意味する。
「アキュムレーター」とは、電気エネルギーを蓄積することを目的とし、その後それを戻すことができる装置を意味する。
「スーパーキャパシター」とは、可変の持続時間に要求される瞬時の力を得ることができるキャパシターを意味する。
【0026】
したがって、本発明の材料は、材料において達成される置換によって可変の持続時間の電気的な充電および放電を行うことができ、したがってセル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターに使用することができる。
実際に、その本質的な有用性は、約2〜3分程度の短い充電および放電時間を有する材料を提供し、その結果として、我々がパワーバッテリーとして満足するリチウム−イオンバッテリーでは数日間かかるところ、特に電気自動車にとっては必須の特性である最小の時間で非常に多量の電気的な充電をすることができる、スーパーキャパシターの代用品の開発を可能にしていることである。
【0027】
有利な実施態様において、本発明は、An-が、次の式:
[FeII6(1-x)FeIII6x122(7-3x)]2+[CO32-,3H2O]2- (III)
(式中、xは0〜1である)
を導く、CO32-を表わす、上記の定義された材料の使用に関する。
【0028】
一例として、x=0のときの炭酸塩として、水和した第一鉄ヒドロキシ塩は、式[FeII61214]2+[CO32-,3H2O]2-の水和したヒドロキシ炭酸第一鉄である。
一例として、x=1のときの炭酸塩として、第二鉄のオキシヒドロキシ塩は、式[FeIII6128]2+[CO32-,3H2O]2-のオキシヒドロキシ炭酸第二鉄である。
n-がCO32-である本発明の材料は、245Ah/kgまたは800Ah/Lの理論容量を有する。
【0029】
したがって、本発明のもう1つの有用性は、約2〜3分程度の短い充電および放電時間を有する材料を提供し、その結果として、我々がパワーバッテリーとして満足するリチウム−イオンバッテリーでは数日間かかるところ、特に電気自動車にとっては必須の特性である最小の時間で非常に多量の電気的な充電することができる、スーパーキャパシターを入手可能にしていることである。
【0030】
有利な実施態様によれば、上記の定義された材料のOH-基の有効なプロトンH+は、一価のカチオン、特にLi+で部分的にもしくは完全に置換され、プロトンがリチウムで置換された炭酸塩の場合に、次の一般式(IV):
[FeII6(1-x)FeIII6x122(7-3y)LiI6(y-x)]2+[CO32-,3H2O]2-
(IV)
(式中、xは0〜1であり、かつ1≧y≧xである)
の化学構造が導かれる。
【0031】
したがって、「有効なプロトン」とは、カチオンFeIIおよびFeIII周囲のOH-基の特定のプロトンを意味する。
表現「部分的に置換され」とは、ある比率の有効なプロトンが一価のカチオン、例えばリチウムで転換されることを意味する。
「完全に置換され」とは、有効なプロトンH+がリチウムLi+のような一価のカチオンで転換され、すなわちy=1であることを意味する。
【0032】
OH-基のプロトンの部分もしくは全置換は、電極の充電および放電時間を変更させ、したがって、材料の電気的充電容量を維持しつつ電力の連続供給が要求されるバッテリーを導く。
この置換のもう1つの利点は、対応する電解液と同様に、−3Vでのリチウム対極の使用を可能であることである。
有利な実施態様において、上記の式IVにおけるyの値は、y=1/3またはy=1が好ましい。
【0033】
有利な実施態様において、本材料に存在するFeIIは、二価のカチオン、特にNi2+およ
び/またはCO2+で部分的に置換することができ、FeIIがNi2+で置換されかつプロトン
+が置換されていない炭酸塩の場合に、次の一般式(V):
[FeII6(1-y-x)NiII6yFeIII6x122(7-3x)]2+[CO32-,3H2O]2-
(V)
(式中、xは0〜1であり、かつ0<y≦1−xである)
の化学構造が導かれる。
【0034】
表現「部分的に置換する」とは、ニッケルおよび/またはコバルトのような二価のカチオンによってFeIIの原子が1%〜50%、好ましくは1%〜40%、好ましくは1%〜30%、好ましくは1%〜20%好ましくは1%〜10%、好ましくは1%〜5%、特に5%の比率で変換されることを意味する。
その結果として、本発明の材料のFeIIは、ニッケル原子またはコバルト原子または両方で置換され得る。
【0035】
言うまでもなく、FeIIが置換されるとき、OH-基の水素原子もまた一価のカチオンで置換されると理解される。
FeII原子のみ、またはFeII原子と水素原子の置換は、様々な方法で、電極の充電および放電時間を変化させることができ、その結果、本発明の材料で構成された電極の使用を非常に多用にしている。
FeIIの置換の比率によって決まる容量の減少を導く。
【0036】
有利な実施態様において、本材料に存在するFeIIIは、三価のカチオン、特にAl3+および/またはCo3+で部分的にもしくは完全に置換することができ、FeIIIがAl3+で置換され、FeIIおよび/またはプロトンH+が置換されていない炭酸塩の場合に、次の一般式(VI):
[FeII6(1-x)FeIII2(3x-z)AlIII2z122(7-3x)]2+[CO32-,3H2O]2-
(VI)
(式中、xは0〜1であり、かつ0<z≦3xである)
の化学構造が導かれる。
【0037】
その結果として、本発明の材料のFeIIIは、アルミニウム原子またはコバルト原子または両方で置換され得る。
この場合における、この置換のもう1つの利点は、電極電位および/または材料の安定性の変更である。
言うまでもなく、FeIIIが置換されるとき、FeII原子もまた、上記に示すようにOH-基のプロトンと同様に上記に示すように置換され得るか、または単にFeII原子が上記に示すように置換され得るか、または単にOH-基の水素原子が上記に示すように置換され得る。
FeIII原子および/またはFeII原子および/またはOH-基のプロトンの置換は、多くの応用において適切な、非常に多様な充電および放電時間を提供する。
【0038】
さらに有利な実施態様において、上記の定義された材料は、前記エネルギー蓄積装置に存在する対極の選択によってカソードまたはアノードを構成する。
【0039】
セル、バッテリーまたはスーパーキャパシターの動作は、アノードおよびカソードの存在を要求する。
アノードは、電子の生成を導く酸化の電気化学反応が起こる電極であり、蓄積装置の負極を構成する。
カソードは、電子の消費を導く還元の電気化学反応が起こる電極であり、蓄積装置の正極を構成する。
【0040】
本発明の材料がアノードとして用いられるとき、その結果として対極はカソードであり、その逆も同様である。
一例として、本発明の材料がカソードとして用いられるとき、その結果アノードは特にリチウム電極または白金電極により構成することができる。
本材料がアノードとして用いられるとき、その結果カソードは当業者に公知でありかつ通常、活性電極を構成する他のタイプの材料として用いられる他の電極で構成することができる。
したがって、本発明のもう1つの有用性は、適当な対極を選択することにより、所望のエネルギー蓄積装置によって、カソードとしてまたはアノードとして本材料を用いることができるということである。
【0041】
有利な実施態様において、本発明の材料と共に用いる前記対極は、前記第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を含む電極に対して、1Vよりも大きな電位差を有する活性レドックス対(active redox couple)を有する。
【0042】
1Vよりも大きなPDを有する利点は、放出された電力の増加である。実際に、P=U×Iであるので、PD(U)が大きければ大きいほど、放出され得る電力は大きい。
もう1つの利点は、従来の電気または電子装置の必要性に対応する電圧を得るために多くのセルを限定することである。
【0043】
有利な実施態様によれば、上記の定義された前記材料は、基板、特にスチール、銅のような金属基板またはインジウムドープスズ酸化物(ITO)のような酸化物、または炭素、特にグラファイトの基板上に堆積されたフィルムの形態で用いられ、かつ堆積されたフィルムの厚さが、約0.1μmと0.1mmとの間、好ましくは約10μmの厚さから約0.1mm、特に約0.1mmで変動し得る。
【0044】
用語「フィルム」とは、基板上に堆積された薄い塗膜を意味する。
基板は、スチールまたは銅のような金属またはスズ酸化物またはグラファイトのような炭素とすることができる。
基板は、金またはその他の基板上に堆積されたフィルムがメスバウア分光法(図3)においていかなる信号も与えないので、蓄積装置の動作に非常に重要である。
図4bは、炭酸塩:FeIII6128CO3、上記の定義されたような、基板上に堆積されたすなわち(GR(CO32-)*またはGR*)の形態の材料を100mgを含む本発明のフィルムで得られた電圧電流曲線を示す。
【0045】
本発明のもう1つの利点は、基板への本発明のフィルムの簡単な堆積により電極を容易に構成できることである。
なおさらなる有利な実施態様において、上記の定義されるフィルムの厚さは、10μm、好ましくは20μm、なおさらに好ましくは30μm、特に40μm、特に50μm、さらに好ましくは60μm、さらに好ましくは70μm、さらに好ましくは80μm、特に90μm、特に100μmである。
【0046】
有利な実施態様によれば、上記の定義された前記材料は、複合材料の形態で用いられ、かつ油またはパラフィンのようなバインダーをさらに含む。
【0047】
「複合材料」とは、炭素、特にグラファイトと本発明の材料との混合物を意味する。
「バインダー」とは、電気化学的に活性な表面の大部分をマスクすることなしに、複合材料の結合を維持するために、グラファイトを本発明の材料と結着させ得る生成物を意味する
数種のバインダー、具体的にはヒドロキシル、カルボキシルまたはアミド基のような、化学結合または水素結合を生じる基を含むポリマーを用いることができる。
【0048】
これらに限定されないバインダーの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、スチレン/ブタジエン(SBR)およびアクリロニトリル/ブタジエン(NBR)ゴムのようなエラストマーである。
好ましくは、本発明のバインダーは、油またはパラフィンから選択される。
【0049】
図4aは、炭素をベースとしかつ上記の定義されたような炭酸塩(GR*、オキシヒドロキシ炭酸第二鉄)の形態での材料を100mgを含む本発明の複合材料、および単一の炭素で得られた電圧電流曲線を比較する。
単一の炭素電極が用いられるとき、還元または酸化寄りの視覚的な信号は得られないのに対して、上記複合材料または本発明のフィルムでは、その傾向(還元または酸化)に関係なく、大きな振幅の信号が得られる。
【0050】
有利な実施態様において、上記の定義された材料に用いられるバインダーがパラフィンであり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩が混合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約10、有利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/パラフィン比率(w/w)が約1〜約10、有利には8〜10である。
【0051】
表現「炭素マトリックス」とは、グラファイトであってもよいがこれに限定されない、粉末形態での炭素源を意味する。
炭素に対する本発明の材料の比率は、電極が適切に機能するために重要である。
約0.1より少ない第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/w)では、材料はもはや機能しないだろう。
【0052】
もう1つの実施態様において、上記の定義される第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/w)は、約10より大きく約100までを含むことができ、かつ材料は、前記比率が≦10であるときと同様の動作特性を有するだろうが、製造のための費用がより高くなるかまたはより低い機械強度を有するであろう。
【0053】
同様に、バインダー、特にパラフィンに対する本発明の材料の比率もまた、電極が適切に機能するために重要である。
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/パラフィン比率(w/w)が0.1の域を超えると、バインダーと材料との過剰な相互作用が過剰な被覆につながり、その結果、活性な表面が減少する。
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/パラフィン比率(w/w)が10の域を超えると、もはや本発明のポリマーと電極との良好な接着性は提供されない。
【0054】
さらに有利な実施態様において、上記の定義された材料に用いられるバインダーが油であり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩が混合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約10、有利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/油比率(w/w)が約1〜約10、有利には8〜10である。
【0055】
上記の定義されたように、炭素およびバインダー、特に油に対する本発明の材料の比率は、電極が適切に機能するために重要である。
【0056】
有利な実施態様において、本発明は、前記蓄積装置のセルが、炭酸塩または硫酸塩の場合に、電解液、特に硫酸または塩酸のような酸を含む、上記の定義された材料の使用に関する。
【0057】
「セル」とは、エネルギー蓄積装置を構成する様々な要素の全てを意味する。
「電解液」とは、イオン、特にプロトンの動きによって電流を通過をさせる、液体状態もしくは溶液、またはゲルの形態の、物質または化合物を意味する。
【0058】
有利な実施態様によれば、本発明は、前記蓄積装置の前記セルの電位差(PD)が、約1V〜約4V、好ましくは約3V〜約4V、特に1.8Vである、上記の定義されたような材料の使用に関する。
【0059】
「電位差」とは、アノードとカソードとの間で測定される電圧を意味する。
PDが1V未満であれば、低過ぎて電気装置に電力を供給することができない。
逆に、高過ぎて4Vを超える場合、他のタイプのセルまたはバッテリー用に設計された、従来の電気または電子装置の殆どにおいて用いることができないだろう。
1.8Vの電圧の利点は、最も一般的な従来の電気または電子装置の殆どで動作させ得ることである。
【0060】
別の態様によれば、本発明は、基板、特にスチール、銅のような金属基板またはインジウムドープスズ酸化物(ITO)のような酸化物または炭素、特にグラファイトの基板上に堆積され、かつ上記の定義された一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を少なくとも1つ含み、かつ堆積されたフィルムの厚さが約0.1μmと0.1mmとの間で変動し得るフィルムに関する。
【0061】
さらに別の態様によれば、本発明は、上記の定義された一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を少なくとも1つ含む複合材料に関する。
【0062】
有利な実施態様によれば、上記の定義された複合材料は、バインダー、特に油またはパラフィンをさらに含む。
【0063】
さらに有利な実施態様によれば、本発明は、前記バインダーがパラフィンであり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩が混合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約10、有利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/パラフィン比率(w/w)が約1〜約10、有利には8〜10である、上記の定義された複合材料に関する。
【0064】
さらに有利な実施態様によれば、本発明は、前記バインダーが油であり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩が混合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約10、有利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/油比率(w/w)が約1〜約10、有利には8〜10である、上記の定義された複合材料に関する。
【0065】
有利な実施態様において、本発明は、An-が、CO32-を表わす、上記の定義されたフィルムまたは複合材料に関する。
【0066】
図5、6aおよび6bは、GR*(1)の対照(実施例2によるヒドロキシ炭酸第一第二鉄の強い酸化により得られた)ならびに50mgのGR*(1)(図6a)および100mgのGR*(1)(図6b)をそれぞれ有する複合材料の形態での本発明の材料で得られたメスバウアスペクトルを比較する。
【0067】
得られたスペクトルは、用いた材料の量に関係なく、対照および複合材料のいずれも同じである。また、これはレドックスサイクル後でさえ、本発明の材料が元々有していたのと同様の特性を有することを示している。
表Iは、GR*(1)の2つの複合材料および対照の、室温で測定された超微細のパラメーターを示す。
【0068】
【表1】

【0069】
有利な実施態様において、上記の定義されたフィルムまたは複合材料は、対極の選択に応じて、エネルギー蓄積装置のカソードまたはアノードとして用いられる。
【0070】
別の態様において、本発明は、上記の定義されたフィルムまたは複合材料により構成されるカソードまたはアノードを含む、セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置に関する。
【0071】
その結果として、本発明のもう1つの利点は、現在存在するリチウム−イオンセルに対して約2、3分程度の非常に速い充電および放電速度を有し、かつ容易に処分できかつリサイクルし得る非汚染性の材料で構成された、現在市販されているセル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターの理論容量よりも50%大きな理論容量を有する、セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのような蓄積装置の応用に、上記の定義された電極を用いることができることである。
【0072】
有利な実施態様によれば、上記の定義されたようなバッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置は、炭酸塩または硫酸塩の場合に、電解液、特に硫酸または塩酸のような酸をさらに含む。
【0073】
別の態様によれば、本発明は、
a.アニオンが二価であり、特に硫酸塩(SO42-)または炭酸塩(CO32-)である第
一第二鉄のオキシヒドロキシ塩により構成されるアノード、
b.金属鉄のカソード、
c.5未満のpH、特に2または3のpHの、特にゲルまたは溶液の形態の電解液
を含む、上記の定義されたような、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置に関する
【0074】
上記電極は、約pH2の酸電解液におけるFe(0)/Fe(II)対に対するFe(II)/RV*Fe(III)対に相当する(図7Aおよび7B参照)。
【0075】
さらに別の態様によれば、本発明は、上記の定義された材料のプロトン化または脱プロトン化の段階を含むセル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置の実施方法に関する。
【0076】
一部のOH-イオンがO2-になる、材料での脱プロトン化の間に、相関的にFeIIイオンをFeIIIに変換する酸化の結果として生じるプロトンの消費がある。
その結果、本発明の材料は、アノードを構成する。
逆に、一部のO2-がOH-イオンになり、そのOH-がH2Oになる、材料でのプロトン化の間に、相関的にFeIIIイオンをFeIIに変換する還元の結果として生じるプロトンの増加がある。
その結果、本発明の材料は、カソードを構成する。
バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターの場合、、装置が電流を供給するか、充電されるかによって、これら2つの機能が交代する。
【0077】
さらに別の態様によれば、本発明は、以下の:
a.炭素マトリックス中で、上記の定義された一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を混合して、マトリックス−第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩混合物を得る工程、
b.前記混合物を油またはパラフィンと共に、約30℃〜90℃、好ましくは約45℃〜80℃、好ましくは約60℃〜70℃、特に60℃の温度で加熱して、複合材料を得る工程、
を含む、上記の定義された複合材料の製造方法に関する。
【0078】
油またはパラフィンの加熱は、結合を起こさせ、複合材料を電極の基板の形状に形作ることを可能にさせる。
【0079】
別の態様によれば、本発明は、前記材料を、水相において化学的もしくは電気化学的に、または乾式によって、または「スピンドロップ」によって堆積する工程を含む、上記の定義されたようなフィルムの製造方法に関する。
【0080】
用語「化学的堆積」、「電気化学的堆積」および「スピンドロップ」は、当業者に公知の技術である。
化学的堆積または電気化学的堆積を用いる方法は、電解液(0.04M NaHCO3)の溶液中でディッピングされるとき、より安定したフィルムを与える。
【0081】
もう1つの実施態様において、上記の定義されたフィルムの製造方法は、以下の:
a.上記の定義されたような基板上に、上記の定義された一般式(I)、(II)、(II
I)、(IV)、(V)または(VI)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩の約0.1μm〜約0.1mmの厚さ、好ましくは約10μm〜約0.1mm、特に約0.1mmの厚さを有する薄層を堆積して、支持された第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を得る工程、
b.前工程で得られた生成物を約15℃〜40℃、好ましくは約20℃〜30℃、特に
約20℃〜約25℃の温度で乾燥して、フィルムを得る工程、
を含む。
【実施例】
【0082】
実施例
実施例1:メスバウア分光法
複合材料およびフィルム中の鉄の酸化状態を決定するために、MIMOS装置を用いるメスバウア反射分光法(Mossbauer reflection spectroscopy)を用いた。MIMOS装置は、再放出された放射線(ガンマ線については14.4keVおよびX線については6.4keV)を検知するための後方散乱ジオメトリーにより操作する。また、MIMOSは、惑星火星の土壌に存在する鉄化合物を研究するために用いられる(NASAおよび欧州宇宙機関)。
メスバウア分光は、室温で鉄のシートを用いて較正され、ローレンツ型(Lorentzian shape)の線形および単一第二鉄の四極子ダブレット(single 第二鉄の quadrupole doublet)で調整された。
【0083】
実施例2:材料の作製
化学量論のヒドロキシ炭酸第一第二鉄[FeII4FeIII2(OH)12]2+CO32-GR(CO32-)は、Geninら(2006、Geoscience)により記載されているような、炭酸イオンの存在中でのFe(OH)2の沈殿物の酸化、もしくはRubyら(2006、Geoscience)により記載されているような、アニオンの存在中でのFeIIおよびFeIIIイオンの共沈による化学合成により作製される。
次いで、Geninら(2006、Geoscience)に記載されているように、このヒドロキシ炭酸第一第二鉄をH22のような強力な酸化剤で、過度に(GR*(1))または乾燥後空気中で(GR*(2))完全に脱プロトン化して、式[FeIII6128]2+CO32-のオキシヒドロキシ炭酸第二鉄(GR*(1)または(2))を形成する。
得られた生成物は、X線回折、メスバウアスペクトル、振動スペクトル(ラマンまたは赤外線)および透過電子顕微鏡により特徴付けられる。
GR(CO32-)およびGR*のメスバウアパラメータは、以下の表IIに示される。
【0084】
【表2】

【0085】
表IIは、GR(CO32-)が12K未満で常磁性であることをを示す。そのメスバウアスペクトルは、12Kにおいて3つのダブレット(D1、D2およびD3)を有する。D1およびD2はFeIIイオンに対応し、かつD3はFeIIIイオンに対応する。
強い酸化により得られたGR*(1)は、FeIIイオンの痕跡がなく、GR(CO32-)の完全な酸化が確認される。
空気中での酸化により得られたGR*(2)もまたFeIIイオンの痕跡がない。
16K、50K、60Kおよび78Kにおいて得られたGR*(1)のメスバウアスペクトルを図1a、1b、1cおよび1dに示す。
【0086】
実施例3:複合材料の作製
オキシヒドロキシ炭酸塩(GR*(1))および炭素パウダーを、バインダーとしてのパラフィンまたは油と混合する。パラフィンの場合、250mgの炭素および50または100mgのGR*(1)を混合し、次いでその混合物を100mgのパラフィンの存在下で加熱し、全体を結着させて複合材料を作製する。
50または100mgのGR*(1)を用いて得られた複合材料のメスバウアスペクトル(図6Aおよび6B)は、GR*(1)のそれと類似している。
【0087】
実施例4:フィルムの作製
細粒堆積物の化学的もしくは電気化学的な堆積および次いで60℃での乾燥により、または細粒堆積物の「スピンドロップ(spindropping)」および次いで室温での乾燥により、炭素基板または金属基板またはインジウムドープスズ酸化物(ITO)のような酸化物の基板上に、GR*(1)の薄いフィルムを作製した。
【0088】
実施例5:電気化学的検討
複合材料およびフィルムの電圧電流曲線を、作用電極としてこれらの材料を用いて得た。複合材料の特徴づけのために参照電極としてAg/AgCl電極を用い、かつフィルムのために擬似参照(pseudo-reference)を用いた。これらの電極をNaHCO3の0.04M溶液と接触させて保持した。その溶液のpHを炭酸塩で8〜9に緩衝した。電気化学的検討を、電圧スキャニング用のPGESソフトウェアで制御されたAutolab PGSTAT12ポテンシオスタットで行った。
【0089】
実施例6:セルの作製
図7Bにおけるダイヤグラムによるバッテリーを作製した。
カソード還元(バッテリーの+端子)は反応:
FeIII6128CO3+6e-+6H+→FeII61214CO3
に相当する。
アノードでの金属鉄は、溶液中におけるFe2+イオン:
Fe0→Fe2++2e-
で平衡になる。
電解液は、pH5未満、好ましくは2の酸溶液(例えば、硫酸または塩酸)である。
このセルの理論的な固有の電気エネルギー容量は、約245Ah/kgである。pH2において、図7は、約300 Wh/kgの力をもたらす、金属鉄の対極とRV*(またはGR*)との間に1.2Vに等しいEhの値を示す。
したがって、このタイプのバッテリーは、鉛蓄電池と比較して非常に優位性があり、かつ10セルで12Vバッテリーを得ることを可能にする。
本発明の材料のもう1つの利点は、鉛蓄電池と比較して重さが5分の1のバッテリーの製造を可能にすることである。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図2】

【図3】

【図4a】

【図4b】

【図5】

【図6a】

【図6b】

【図7A】

【図7B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式:
[DII3n(1-x)III3nx6nn(7-3x)]n+[An-,mH2O]n- (I)
(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)
の、少なくとも1つの二価のカチオンDIIおよび少なくとも1つの三価のカチオンTIIIを有する、第一第二鉄の層状複水酸化物(LDH)に関する化合物を少なくとも1つ含む材料の電極形成への使用。
【請求項2】
次の一般式(II):
[FeII3n(1-x)FeIII3nx6nn(7-3x)]n+[An-,mH2O]n- (II)
(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)
の、少なくとも1つの成分の部分もしくは全置換により部分的に改質され得る、非汚染性の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を少なくとも1つ含む材料の、請求項1による電極形成への使用。
【請求項3】
前記電極の理論的な電気エネルギー容量が、160Ah/kg以上、特に245Ah/
kg以上であることで特徴付けられる請求項1または2による材料の使用。
【請求項4】
電気的セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネ
ルギー蓄積装置に用いることができる請求項1〜3のいずれか1つによる材料の使用。
【請求項5】
n-が、次の式:
[FeII6(1-x)FeIII6x122(7-3x)]2+[CO32-,3H2O]2- (III)
(式中、xは0〜1である)
を導く、CO32-を表わすことで特徴付けられる請求項1〜4のいずれか1つによる材料の使用。
【請求項6】
OH-基の有効なプロトンH+が、一価のカチオン、特にLi+で部分的にもしくは完全に置換され、プロトンがリチウムで置換された炭酸塩の場合に、次の一般式(IV):
[FeII6(1-x)FeIII6x128+6(1-y)LiI6(y-x)]2+[CO32-,3H2O]2-
(IV)
(式中、xは0〜1であり、かつ1≧y≧xである)
の化学構造が与えられることで特徴付けられる請求項1〜5のいずれか1つによる材料の使用。
【請求項7】
FeIIが、二価のカチオン、特にNi2+および/またはCO2+で部分的に置換され、FeIIがNi2+で置換されかつプロトンH+が置換されていない炭酸塩の場合に、次の一般式(V):
[FeII6(1-y-x)NiII6yFeIII6x122(7-3x)]2+[CO32-,3H2O]2-
(V)
(式中、xは0〜1であり、かつ0<y≦1−xである)
の化学構造が与えられることで特徴付けられる請求項1〜6のいずれか1つによる材料の使用。
【請求項8】
FeIIIが、三価のカチオン、特にAl3+および/またはCo3+で部分的にもしくは完全に置換され、FeIIIがAl3+で置換され、かつFeIIおよび/またはプロトンH+が置換されていない炭酸塩の場合に、次の一般式(VI):
[FeII6(1-x)FeIII2(3x-z)AlIII2z122(7-3x)]2+[CO32-,3H2O]2-
(VI)
式中、xは0〜1であり、かつ0<z≦3xである)
の化学構造が与えられることで特徴付けられる請求項1〜7のいずれか1つによる材料の使用。
【請求項9】
前記材料が、前記エネルギー蓄積装置に存在する対応する対極に関連してカソードまた
はアノードを構成することで特徴付けられる請求項1〜8のいずれか1つによる材料の使
用。
【請求項10】
前記対極が、前記第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を含む電極に対して、1Vよりも大
きな電位差を有する活性レドックス対を有することで特徴付けられる請求項9による使用

【請求項11】
前記材料が、基板、特にスチール、銅のような金属基板またはインジウムドープスズ酸
化物(ITO)のような酸化物または炭素、特にグラファイトの基板上に堆積されたフィ
ルムの形態であり、かつ堆積されたフィルムの厚さが、約0.1μmと0.1mmとの間
、好ましくは約10μmの厚さから約0.1mm、特に約0.1mmで変動し得ることで
特徴付けられる請求項1〜10のいずれか1つによる使用。
【請求項12】
前記材料が、複合材料の形態でありかつ油またはパラフィンのようなバインダーをさら
に含むことで特徴付けられる請求項1〜10のいずれか1つによる使用。
【請求項13】
前記バインダーがパラフィンであり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキ
シ塩が混合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比
率(w/w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約
10、有利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/パラフィン比率
(w/w)が約1〜約10、有利には8〜10であることで特徴付けられる請求項12に
よる使用。
【請求項14】
前記バインダーが油であり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩が混
合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/
w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約10、有
利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/油比率(w/w)が約1
〜約10、有利には8〜10であることで特徴付けられる請求項12による使用。
【請求項15】
前記蓄積装置のセルが、炭酸塩または硫酸塩の場合に、電解液、特に硫酸または塩酸の
ような酸を含むことで特徴付けられる請求項1〜14のいずれか1つによる使用。
【請求項16】
前記蓄積装置の前記セルの電位差(PD)が、約1V〜約4V、好ましくは約3V〜約
4V、特に1.8Vであることで特徴付けられる請求項15による使用。
【請求項17】
基板、特にスチール、銅のような金属基板またはインジウムドープスズ酸化物(ITO
)のような酸化物または炭素、特にグラファイトの基板上に堆積され、かつ請求項1、2
および5〜8でそれぞれ定義された一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、
mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)の
第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を少なくとも1つ含み、かつ堆積されたフィルムの厚さ
が約0.1μmと0.1mmとの間で変動し得るフィルム。
【請求項18】
請求項1、2および5〜8でそれぞれ定義された一般式(I)、(II)、(III)、(I
V)、(V)または(VI)(式中、An-はnが値1、2または3、特に2である電荷nのアニオンであり、mは1〜10、特に1〜4の範囲の整数、有利には3であり、かつxは0〜1である)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を少なくとも1つ含む複合材料。
【請求項19】
バインダー、特に油またはパラフィンをさらに含む請求項18による複合材料。
【請求項20】
前記バインダーがパラフィンであり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキ
シ塩が混合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比
率(w/w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約
10、有利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/パラフィン比率
(w/w)が約1〜約10、有利には8〜10であることで特徴付けられる請求項19に
よる複合材料。
【請求項21】
前記バインダーが油であり、かつ前記複合材料が第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩が混
合された炭素マトリックスを構成し、第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/炭素比率(w/
w)が約0.1〜約100、好ましくは約0.1〜約10、好ましくは約1〜約10、有
利には8〜10であり、かつ第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩/油比率(w/w)が約1
〜約10、有利には8〜10であることで特徴付けられる請求項19による複合材料。
【請求項22】
n-が、CO32-を表わす請求項17〜21のいずれか1つによるフィルムまたは複合材料。
【請求項23】
対極の選択に応じて、エネルギー蓄積装置のカソードまたはアノードとして用いられる
請求項17〜22のいずれか1つによるフィルムまたは複合材料。
【請求項24】
請求項17〜23のいずれか1つによるフィルムまたは複合材料により構成されるカソ
ードまたはアノードを含む、セル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパ
シターのようなエネルギー蓄積装置。
【請求項25】
炭酸塩または硫酸塩の場合に、電解液、特に硫酸または塩酸のような酸をさらに含む請
求項24によるセル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのよう
なエネルギー蓄積装置。
【請求項26】
a.アニオンが二価であり、特に硫酸塩または炭酸塩である第一第二鉄のオキシヒドロ
キシ塩により構成されるアノード、
b.金属鉄のカソード、
c.5未満のpH、特に2または3のpHでの、特にゲルまたは溶液の形態の電解液
を含む請求項24または25によるセル、バッテリー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置。
【請求項27】
請求項1に定義された材料のプロトン化または脱プロトン化の段階を含むセル、バッテ
リー、アキュムレーターまたはスーパーキャパシターのようなエネルギー蓄積装置の実施
方法。
【請求項28】
以下の:
a.炭素マトリックス中で、請求項1、2および5〜8でそれぞれ定義された一般式(
I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩
を混合して、マトリックス−第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩混合物を得る工程、
b.前記混合物を油またはパラフィンと共に、約30℃〜90℃、好ましくは約45℃〜80℃、好ましくは約60℃〜70℃、特に60℃の温度で加熱して、複合材料を得る工程
を含む、請求項18〜22のいずれか1つに定義されたような複合材料の製造方法。
【請求項29】
化学的もしくは電気化学的に水相で、または乾式によって、または「スピンドロップ」
によって堆積する工程含む請求項17に定義されたようなフィルムの製造方法。
【請求項30】
以下の:
a.請求項4に定義されたような基板上に、請求項1、2および5〜8でそれぞれ定義
された一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩の約0.1μm〜約0.1mmの厚さ、好ましくは約10μm〜約0.1mm、特に約0.1mmの厚さを有する薄層を堆積して、支持された第一第二鉄のオキシヒドロキシ塩を得る工程、
b.前工程で得られた生成物を約15℃〜40℃、好ましくは約20℃〜30℃、特に
約20℃〜約25℃の温度で乾燥して、フィルムを得る工程
を含む請求項29によるフィルムの製造方法。

【公表番号】特表2011−529618(P2011−529618A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520568(P2011−520568)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051514
【国際公開番号】WO2010/012951
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(509296214)ユニベルシテ アンリ ポアンカレ ナンシー 1 (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE HENRI POINCARE NANCY 1
【住所又は居所原語表記】24−30, rue du Lionnois, BP 60120, F−54003 Nancy Cedex, France
【Fターム(参考)】