説明

電気ケトル

【課題】 保温性能を確保できるようにした電気ケトルを提供する。
【解決手段】 液体を収容する液体容器3と、該液体容器3を加熱する加熱手段(湯沸かしヒータ4)と備えた湯沸かし器本体(容器本体1A)と、該湯沸かし器本体1Aが着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段4に電源を供給する電源台20とからなる電気ケトルにおいて、前記湯沸かし器本体1Aにおける前記液体容器3の側方を覆う外郭部材を、真空構造や断熱材を利用した断熱ジャケット16で構成して、液体容器3で湯沸かしされた液体が断熱ジャケット16で保温されるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、保温性能を向上させることができる電気ケトルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、常時保温ヒータに通電して置くことが必要な電気ポットに代わって、お湯が必要な時にのみ、加熱手段に通電して簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができるようにした電気ケトルが、省エネ性の高い湯沸し手段として重宝されている。
【0003】
このような電気ケトルは、液体容器および該液体容器を加熱する加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置されるようになっており、湯沸し器本体が載置された状態において、湯沸し器本体側の上記加熱手段の受電部に電源を供給する給電部を備えた電源台とからなっている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
ところで、上記構成の電気ケトルの場合、湯沸かしした直後に使用することが多いところから、保温性能については考慮されていない。しかしながら、近年、この種の電気ケトルに保温性能を確保することによって、電気ケトルの使用範囲を拡大したいという要求が高まってきている。
【0005】
例えば、電気ポットなどにおいては、保温性能を強化することが要求されるところから、真空二重構造のジャケットを内容器(即ち、湯沸かしのための内容器)と外装体との間に介設したものが既に提案されている(特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−157号公報
【特許文献2】特開2008−212316号公報
【特許文献3】特開2000−316720号公報
【特許文献4】特開2006−55322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、電気ポットなどにおいては、保温性能を確保するために、真空二重構造のジャケットを用いたものがすでに提案されてはいるものの、電気ケトルにおいては、保温性能を考慮したものは未だ提案されていない。
【0008】
この出願の発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、保温性能を確保できるようにした電気ケトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、液体を収容する液体容器と、該液体容器を加熱する加熱手段と備えた湯沸かし器本体と、該湯沸かし器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、前記湯沸かし器本体における前記液体容器の側方を覆う外郭部材を、真空構造や断熱材を利用した断熱ジャケットで構成している。
【0010】
上記のように構成したことにより、湯沸かしが行われる液体容器の側方が真空構造や断熱材を利用した断熱ジャケットで覆われているため、液体容器で湯沸かしされた液体が断熱ジャケットで保温されることとなり、電気ケトルの保温性能が大幅に向上する。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケットの下端を、前記加熱手段より所定寸法だけ下方にまで配置することもでき、そのように構成した場合、加熱手段から側方への放熱が抑制されることによる加熱効率の向上と、液体容器から側方への放熱が効果的に抑制されることによる保温性能の向上とを図ることができる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケットの上端を、前記液体容器における上端開口より所定寸法だけ上方に配置することもでき、そのように構成した場合、液体容器から側方への放熱がより効果的に抑制されることとなり、保温性能のより一層の向上を図ることができる。
【0013】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケット、内筒と外筒とで構成するとともに、前記内筒に、剛性を強化する補強手段を施すこともでき、そのように構成した場合、断熱ジャケットの剛性が強化されるとともに、補強手段が外側から見えなくなるところから、湯沸かし器本体の外観が良好となる。
【0014】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケットを、内筒と外筒とからなる真空構造に構成するとともに、前記内筒に、断熱ジャケットの真空状態を確保するための封口部を設けることもでき、そのように構成した場合、封口部が外側から見えなくなるところから、湯沸かし器本体の外観が良好となる。
【0015】
本願発明では、上記課題を解決するための第6の手段として、液体を収容する液体容器と、該液体容器を加熱する加熱手段と備えた湯沸かし器本体と、該湯沸かし器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、前記電源台に、該電源台に対して前記湯沸かし器本体を載置した状態において該湯沸かし器本体の一部又は全部を所定間隔を空けた状態で覆う断熱構造の断熱ケースを設けている。
【0016】
上記のように構成したことにより、湯沸かしが行われる湯沸かし器本体の一部又は全部が断熱構造の断熱ケースで覆われているため、湯沸かし器本体が断熱構造の断熱ケースで保温されることとなり、電気ケトルの保温性能が大幅に向上する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の第1の手段によれば、液体を収容する液体容器と、該液体容器を加熱する加熱手段と備えた湯沸かし器本体と、該湯沸かし器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、前記湯沸かし器本体における前記液体容器の側方を覆う外郭部材を、真空構造や断熱材を利用した断熱ジャケットで構成して、湯沸かしが行われる液体容器の側方が真空構造や断熱材を利用した断熱ジャケットで覆われるようにしているので、液体容器で湯沸かしされた液体が断熱ジャケットで保温されることとなり、電気ケトルの保温性能が大幅に向上するという効果がある。
【0018】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケットの下端を、前記加熱手段より所定寸法だけ下方にまで配置することもでき、そのように構成した場合、加熱手段から側方への放熱が抑制されることによる加熱効率の向上と、液体容器から側方への放熱が効果的に抑制されることによる保温性能の向上とを図ることができる。
【0019】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケットの上端を、前記液体容器における上端開口より所定寸法だけ上方に配置することもでき、そのように構成した場合、液体容器から側方への放熱がより効果的に抑制されることとなり、保温性能のより一層の向上を図ることができる。
【0020】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケット、内筒と外筒とで構成するとともに、前記内筒に、剛性を強化する補強手段を施すこともでき、そのように構成した場合、断熱ジャケットの剛性が強化されるとともに、補強手段が外側から見えなくなるところから、湯沸かし器本体の外観が良好となる。
【0021】
本願発明の第5の手段におけるように、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた電気ケトルにおいて、前記断熱ジャケットを、内筒と外筒とからなる真空構造に構成するとともに、前記内筒に、断熱ジャケットの真空状態を確保するための封口部を設けることもでき、そのように構成した場合、封口部が外側から見えなくなるところから、湯沸かし器本体の外観が良好となる。
【0022】
本願発明の第6の手段によれば、液体を収容する液体容器と、該液体容器を加熱する加熱手段と備えた湯沸かし器本体と、該湯沸かし器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、前記電源台に、該電源台に対して前記湯沸かし器本体を載置した状態において該湯沸かし器本体の一部又は全部を所定間隔を空けた状態で覆う断熱構造の断熱ケースを設けて、湯沸かしが行われる湯沸かし器本体の一部又は全部が断熱構造の断熱ケースで覆われるようにしているので、湯沸かし器本体が断熱構造の断熱ケースで保温されることとなり、電気ケトルの保温性能が大幅に向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の第1の実施の形態に係る電気ケトルの内部の構造を示す上下方向の断面図である。
【図2】本願発明の第2の実施の形態に係る電気ケトルの内部の構造を示す上下方向の断面図である。
【図3】本願発明の第3の実施の形態に係る電気ケトルの内部の構造を示す上下方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の電気ケトルの実施の形態の構成について、詳細に説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
先ず図1には、本願発明の第1の実施の形態にかかる電気ケトル本体の全体および要部の構成が示されている。
【0026】
(電気ケトル本体部の構成)
この実施の形態の電気ケトル1は、先ず図1に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1A(湯沸かし器本体)と、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部12とを備えて構成されている。
【0027】
容器本体1Aは、合成樹脂からなる皿状の底部材13と、該底部材13の上端に下端部を係止された円筒形状の断熱ジャケット16(後に詳述する)と、その上端側全周囲に設けられた合成樹脂製の環状の肩部材11とからなり、該肩部材11内側の容器係止部14を介して、上記液体容器3が支持されている。
【0028】
上記液体容器3は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部31の下面側外周に、上記湯沸かしヒータ4が周方向に延びて設けられている。
【0029】
この場合、同湯沸かしヒータ4は、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4bを形成し、同ヒータ埋設用凸部4b内に埋め込む形で設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている。
【0030】
一方、上記ヒータプレート4aの下面側には、上記ヒータ埋設用凸部4bの内周側に位置して、受電用の棒状電極8、スリーブ状電極9、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ10を備えた第1の電源基板(詳細な構造は図示省略)が設けられている。
【0031】
この第1の電源基板の上記把手部12側端部には、上記湯沸かしヒータ4両端の電源リード端子とリード線を介して接続するための電源コネクタ端子が設けられている。そして、その内の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して、上記把手部12内の配線空間を介して把手部12上端側の操作レバースイッチ7の開閉接点、沸騰検知センサのバイメタル開閉接点部とそれぞれ直列な関係で接続され、同バイメタルの開閉接点部分からは電源配線であるリード線を介して同じく把手部12内の配線空間内をユーターンして上記湯沸しヒータ4の一端側電源リード端子に接続されている。
【0032】
また第1の電源基板側の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して上記湯沸かしヒータ4の他端側電源リード端子に接続されている。
【0033】
上記断熱ジャケット16は、容器本体1Aにおける前記液体容器3の側方を覆う外郭部材を構成するものであり、共に金属材料(例えば、ステンレス等)からなる円筒形状の内筒16aと外筒16bとを所定間隔を保持した状態で両者の上下端部を溶接等によって接合してなり、内外筒16a,16b間を真空となした真空二重構造とされている。
【0034】
そして、前記内筒16aには、剛性を強化する補強手段として補強ビード16cが施されている。このようにすると、断熱ジャケット16の剛性が強化されるとともに、補強ビード16cが外側から見えなくなるところから、容器本体1Aの外観が良好となる。また、上記断熱ジャケット16における内外筒16a,16b間を真空とするためには、内外筒16a,16b間の空間から空気を抜き、その跡を塞ぐ封口部16dを設ける必要があるが、本実施の形態においては、封口部16dは、前記内筒16aの適所(例えば、上下方向の中間部位)に設けられている。このようにすると、封口部16dが外側から見えなくなるところから、容器本体1Aの外観が良好となる。
【0035】
さらに、本実施の形態においては、上記断熱ジャケット16の下端は、上記湯沸かしヒータ4(加熱手段)より所定寸法だけ下方にまで配置されている。このようにすると、湯沸かしヒータ4から側方への放熱が抑制されることによる加熱効率の向上と、液体容器3から側方への放熱が効果的に抑制されることによる保温性能の向上と、容器本体1Aの外郭温度の上昇抑制とを図ることができる。
【0036】
さらにまた、本実施の形態においては、上記断熱ジャケット16の上端は、上記液体容器3における上端開口より所定寸法だけ上方に配置されている。このようにすると、液体容器3から側方への放熱がより効果的に抑制されることとなり、保温性能のより一層の向上と容器本体1Aの外郭温度の上昇抑制とを図ることができる。
【0037】
(蓋体の構成)
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと、該上板2aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板2bと、その下方の内カバー2cとからなっており、上記肩部材11内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されている。
【0038】
上記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されているとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部21aから上方側蒸気排出口21dに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路21b〜21cが形成されている。そして、同蒸気排出通路21b〜21c下部の蒸気導入口部21a内には、転倒止水弁22が設置されている。
【0039】
そして、それらの内の中間に位置する上記蒸気排出通路21b部分は、さらに把手部11eの取付部側バイメタル式の沸騰検知センサ65を設けた沸騰検知用の蒸気導入空間64c部分に蒸気を分流させるための蒸気分流通路64a,64bが背面方向から下方に向けて設けられている。
【0040】
そして、把手部12取付部の下部側蒸気導入空間64cの例えば上壁面側に設けられた沸騰検知センサ65のバイメタル部分の作動により液体容器3内の湯の沸とう(それに対応した蒸気の放出)を検知して、上記湯沸しヒータ4への電源の供給を遮断する。
【0041】
一方、このようにして沸騰検知用の蒸気導入空間64cに蒸気を導入するようにすると、同部分に導入した蒸気を外部に排出することが必要であり、また該部分で結露水を生じることにもなるので、これを外部に排出することが必要になる。
【0042】
そこで、上述した把手部12に対応する容器本体1A側に位置する筒状の断熱ジャケット16の側壁部外側には、上記蒸気導入空間64c底部から把手部12下端の蒸気および結露水排出口64eに到る蒸気等排出ダクトが設けられており、同蒸気等排出ダクト内の蒸気等排出通路64dを介して、蒸気および生じた結露水が把手部12の下部から排出されるようになっている。
【0043】
一方、把手部12の下部は、容器本体1Aの底部材13側まで延びて連結されている。
【0044】
また、符号18は、湯の注出状態をロック・アンロックする機械式のロック・アンロックスイッチであり、同ロック・アンロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aを開放し、液体容器3内の湯の注出を可能とする。
【0045】
(電源台の構成)
他方、符号20は卓上型円形の電源台であり、その中央部上面側には、上記容器本体1A側スリーブ構造の受電カプラ10内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電プラグ20dが所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コード20bの巻回収納部20aが設けられている。
【0046】
給電プラグ20dは、上記受電カプラ10のスリーブ状のガイド筒に対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒30aと、該ガイド筒30aの内周側にあって、上記スリーブ状電極9の内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極30bと、該スリーブ状電極30bの内側にあって、上記受電カプラ10側の棒状電極8が挿入される軸筒状電極30cとからなっており、上記電源コード収納部20a内のAC電源コード20bが延設されてAC電源に接続されると、上記電源台20側給電プラグ20dを介して上記容器本体1A側受電カプラ10にAC電源が供給され、さらに同受電カプラ10を介して上述の底部材側湯沸しヒータ用第1の電源基板の電源回路に電源が供給される。
【0047】
その結果、同電源回路を介して、さらに把手部12側操作スイッチ7、湯沸かしヒータ4、沸騰検知センサ65などに電源が供給されることになる。
【0048】
上記のように構成したことにより、本実施の形態にかかる電気ケトルにおいては、容器本体1Aにおける液体容器3の側方を覆う外郭部材を、真空二重構造の断熱ジャケット16で構成して、湯沸かしが行われる液体容器3の側方が真空二重構造の断熱ジャケット16で覆われるようにしているので、液体容器3で湯沸かしされた液体が断熱ジャケット16で保温されることとなり、電気ケトルの保温性能が大幅に向上するという効果が得られる。
【0049】
なお、本実施の形態においては、断熱ジャケット16として、金属製の内外筒間を真空としたものを採用しているが、断熱ジャケットとしては、真空を利用した断熱材(例えば、樹脂製真空断熱材)や保形性と保温効力のある断熱材(例えば、発砲断熱材を樹脂ケースで覆ったもの)等を用いることもできる。
【0050】
<第2の実施の形態>
次に図2は、本願発明の第2の実施の形態に係る電気ケトルの本体部分の構成を示している。
【0051】
この実施の形態の場合、上記把手部12は、側面逆L字形とされており、該把手部12の上端取付部には、上記蒸気分流通路64aの出口に臨むようにして沸騰検知センサ65が配設されている。また、この把手部12における鉛直部12a内には、湯沸かしヒータ4、沸騰検知センサ65および操作レバースイッチ7への通電を制御する電源基板15が配設されている。このように構成すると、リード線17が断熱ジャケット16の上端側を乗り越えなければならない構造となるため、リード線17が断熱ジャケット16の上端との接触により傷ついてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態においては、リード線17と断熱ジャケット16の上端とが直接接触するのを防止するために、断熱ジャケット16の上端を被覆するリード線カバー66が把手部12に取り付けられている。
【0052】
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので、説明を省略する。
【0053】
<第3の実施の形態>
さらに図3には、本願発明の第3の実施の形態にかかる電気ケトル本体の全体構成が示されている。
【0054】
この実施の形態の電気ケトル1は、図3に示すように、貯湯用の容器本体(湯沸かし器本体)1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記容器本体1Aの液体容器3部分を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸かしヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に対して上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた逆L字形状の把手部12とを備えて構成されている。
【0055】
この実施の形態の場合、上記容器本体1Aは、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の液体容器3と、スリーブ構造の肩部材11と、受皿構造の底部材13と、該底部材13の上端と前記肩部材11との間に介設される1枚板構造のステンレス製の円筒形状の外ケース16′とからなっている。この場合、上記電源台20には、該電源台20に対して前記容器本体1Aを載置した状態において該容器本体1Aの略全部を所定間隔を空けた状態で覆う断熱構造の有底円筒形状の断熱ケース67が設けられている。この断熱ケース67は、上記電源台20の底面に対して取り付けられており、容器本体1Aの側方略全面を覆うようにされていて、有底円筒形状の内筒67aと外筒67bとの上端部を密閉し、内外筒67a,67b間の空気を抜くことにより真空二重容器とされている。なお、容器本体1Aにおける把持部12側は、該把持部12の取付部位までが上記断熱ケース67に覆われることとなっている。そして、上記断熱ケース67と上記容器本体1Aとの当接部位には、断熱ケース67内からの熱気洩れを防止するためのシール部材71が介設されている。
【0056】
上記のように構成したことにより、容器本体1Aとして、特許文献1などに開示されている従来型のものをそのまま使用したとしても、電気ケトル1から外方への放熱が断熱ケース67により抑制されることとなり、電気ケトル1の保温性能を確保することができる。
【0057】
また、上記のように断熱ケース67を構成すると、電源台20からの電源コード20bは、断熱ケース67の側面から引き出さねばならなくなるが、本実施の形態においては、断熱ケース67の側面下部に電源コード20を引き出すための通孔68を形成し、該通孔68を金属パイプ69を溶接することにより塞ぐとともに、該金属パイプ69内に熱伝達が低い樹脂パイプ70を嵌挿し、該樹脂パイプ70内に上記電源コード20を挿通することにより、電源コード20を傷つけることなく断熱ケース67から引き出すことができるようになっている。符号72はリード線17を保護するための樹脂製のリード線ケースである。
【0058】
ところで、上記構成において、断熱ケース67として容器本体1Aの一部を覆う形状のものを採用することもでき、液体容器3として真空二重構造のものを採用することもでき、容器本体1Aの外郭を合成樹脂製とすることも可能である。
【0059】
その他の構成および作用効果は、第1および第2の実施の形態におけると同様なので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0060】
1は電気ケトル
1Aは容器本体(湯沸かし器本体)
2は蓋体
3は液体容器
4は湯沸かしヒータ
7は操作レバースイッチ
11は肩部材
12は把手部
13は底部材
16は断熱ジャケット
16aは内筒
16bは外筒
16cは補強ビード(補強手段)
16dは封口部
16′は外ケース
20は電源台
65は沸騰検知センサ
67は断熱ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体容器と、該液体容器を加熱する加熱手段と備えた湯沸かし器本体と、該湯沸かし器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルであって、前記湯沸かし器本体における前記液体容器の側方を覆う外郭部材を、真空構造や断熱材を利用した断熱ジャケットで構成したことを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
前記断熱ジャケットの下端は、前記加熱手段より所定寸法だけ下方にまで配置されていることを特徴とする請求項1記載の電気ケトル。
【請求項3】
前記断熱ジャケットの上端は、前記液体容器における上端開口より所定寸法だけ上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気ケトル。
【請求項4】
前記断熱ジャケットは、内筒と外筒とからなっており、前記内筒には、剛性を強化する補強手段が施されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電気ケトル。
【請求項5】
前記断熱ジャケットは、内筒と外筒とからなる真空構造とされており、前記内筒には、断熱ジャケットの真空状態を確保するための封口部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の電気ケトル。
【請求項6】
液体を収容する液体容器と、該液体容器を加熱する加熱手段と備えた湯沸かし器本体と、該湯沸かし器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルであって、前記電源台には、該電源台に対して前記湯沸かし器本体を載置した状態において該湯沸かし器本体の一部又は全部を所定間隔を空けた状態で覆う断熱構造の断熱ケースが設けられていることを特徴とする電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−147830(P2012−147830A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6858(P2011−6858)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】