説明

電気コネクタおよび電気コネクタの嵌合方法、嵌合解除方法

【課題】突起等を設けることなく、容易かつ確実に嵌合できることのできる電気コネクタおよび電気コネクタの嵌合方法、嵌合解除方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一方の雄コネクタ200に設けられた軸部25を中心として回動自在に設けられたレバー400を回動操作することにより、雌コネクタ100を雄コネクタ200に対して確実に嵌合・離脱させる。このとき、嵌合時にはレバー400に設けられたローラ部材45により雌コネクタ100のハウジング10の背面10bを押圧し、離脱時には、レバー400に設けられザグリ部46の壁面46aにより雌コネクタ100のシールフード部14を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタの嵌合を容易に行うためのレバーを備えた電気コネクタおよび電気コネクタの嵌合方法、嵌合解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の分野で用いられる電気コネクタ(以下、単にコネクタと称する)では多極化が進んでいる。また、オートバイ等に用いられるコネクタにおいては、防水性が求められ、雄コネクタおよび雌コネクタの少なくとも一方にゴム製のシール材が設けられ、雄コネクタと雌コネクタとの間にシール材を挟み込むことで防水性を確保したものがある。
【0003】
このように多極に形成されたコネクタや防水用のシール材を備えたコネクタでは、コネクタ同士の嵌合を行う際及び嵌合を解除する際に大きな力が必要となる。このため、自動車等の分野では、レバーによる倍力効果を利用して相手コネクタとの嵌合及び嵌合の解除を行うレバー式コネクタが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
レバー式コネクタは、互いに嵌合する雄コネクタと雌コネクタのそれぞれに突起等を設けておき、一方の突起を支点としてレバーを回動させたときに、レバーに形成された溝等によって他方の突起を押圧操作することで、雄コネクタと雌コネクタとを嵌合、または嵌合を解除させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−42509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような構成においては、雄コネクタ、雌コネクタのそれぞれに突起を設けなければならない。コネクタの設置スペース等の関係から、突起を設けることが困難である場合もある。
【0007】
レバーを、一方のコネクタの突起を中心として回動させたとき、他方のコネクタに作用する力は、他方のコネクタの突起を介して伝わる。このため、他方のコネクタの突起の位置が、このコネクタの中心軸(幅方向中心)から側方にオフセットしていると、このコネクタを傾いて押圧してしまい、一方のコネクタと他方のコネクタとをまっすぐに嵌合できないこともある。このため、突起はコネクタの中心軸近傍に配置するのが好ましいが、コネクタの設置スペース等の関係から、そのような位置に突起を配置するのが困難なこともある。
【0008】
また、コネクタの製造現場等において、完成したコネクタの検査のため、検査対象のコネクタ(この場合、雄コネクタまたは雌コネクタのいずれか単体)を、検査機器に接続された検査用のコネクタに嵌合させ、導通チェック等を行うことがある。
このような場合、検査用のコネクタには、検査対象の複数のコネクタが順次接続される。このため、検査用のコネクタに、検査対象のコネクタを容易かつ確実に嵌合できることが望まれる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、突起等を設けることなく、容易かつ確実に嵌合できることのできる電気コネクタおよび電気コネクタの嵌合方法、嵌合解除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもとになされた本発明の電気コネクタは、電気コネクタのハウジングと、ハウジングに回動自在に軸支されたレバーと、レバーに設けられ、電気コネクタに嵌合される相手側電気コネクタのハウジングを電気コネクタに接近する方向に押圧する第一の押圧部材と、レバーに設けられ、相手側電気コネクタのハウジングを電気コネクタから離間する方向に押圧する第二の押圧部材と、を備え、レバーをハウジングに軸支された部分を中心として第一の方向に回動させたときに、第一の押圧部材で相手側電気コネクタを電気コネクタに嵌合させ、レバーを第一の方向とは反対方向の第二の方向に回動させたときに、第二の押圧部材で相手側電気コネクタと電気コネクタとの嵌合を解除することを特徴とする。
このような電気コネクタにおいては、第一の押圧部材、第二の押圧部材により、相手側電気コネクタのハウジングを直接押圧することによって、相手側電気コネクタとの嵌合・嵌合解除を行うので、相手側電気コネクタに、レバーの作用力を伝達するための突起等を設ける必要がない。
【0010】
また、レバーは、電気コネクタのハウジングのいかなる位置に軸支しても良いが、ハウジングの幅方向中心に対して一方の側にオフセットした位置に軸支するのが好ましい。このようにすると、第一の押圧部材は、相手側電気コネクタのハウジングにおいて電気コネクタから離間した側の表面において、幅方向の一方の側から他方の側に移動しながら相手側電気コネクタを電気コネクタに接近する方向に押圧する。これにより、中心からオフセットした特定の位置だけを押圧し続けることなくなるので、相手側電気コネクタが電気コネクタに対して傾くのを防ぎ、確実に嵌合させることができる。
【0011】
ここで、第一の押圧部材は、レバーに回転自在に支持されたローラ部材からなるものとすることができる。これ以外にも、第一の押圧部材は、相手側電気コネクタのハウジングに接触する円弧状の曲面を有する等の構成とすることができる。第一の押圧部材の接触面には、摩擦を低減するための各種表面処理を施しても良い。
【0012】
また、相手側電気コネクタに、電気コネクタ側に延びる筒状のフード部が設けられている場合、第二の押圧部材は、フード部の先端部を押圧することで相手側電気コネクタを電気コネクタから離間する方向に押圧するとともに、第二の押圧部材に、フード部と電気コネクタのハウジングとの間に挿入されるガイド爪が設けられた構成とするのが好ましい。このガイド爪とレバーとが、フード部の両側に位置することになり、第二の押圧部材でフード部の先端部を押圧したときに、フード部がその面外方向に変形するのを防ぐことができる。
【0013】
また、第二の押圧部材は、レバーがハウジングに軸支された位置に対し、第一の押圧部材よりも近い位置に設けられているのが好ましい。これにより、レバーを回動操作したときの作用力は、レバー比の関係から、第一の押圧部材よりも第二の押圧部材で大きなものとなる。電気コネクタと相手側電気コネクタとを嵌合する場合と嵌合を解除する場合とでは、嵌合を解除する場合の方が大きな力が必要となる場合がある。したがって、第二の押圧部材でより大きな作用力を発揮できる構成とすることで、嵌合および嵌合の解除を円滑に行える場合がある。
【0014】
本発明は、上記したような電気コネクタと相手側電気コネクタとを互いに嵌合させる方法であって、電気コネクタと相手側電気コネクタとを対向させた状態で、レバーを第一の方向に回動させて第一の押圧部材を相手側電気コネクタのハウジングに押し当てる工程と、レバーを第一の方向にさらに回動させてレバーの軸支部分を中心として第一の押圧部材を旋回させ、当該第一の押圧部材により相手側電気コネクタを電気コネクタに接近する方向に押圧し、相手側電気コネクタと電気コネクタとを嵌合させる工程と、を備えることを特徴とする電気コネクタの嵌合方法とすることもできる。
【0015】
また、本発明は、上記したような電気コネクタと相手側電気コネクタとが互いに嵌合した状態において、レバーを第二の方向に回動させて第二の押圧部材を相手側電気コネクタのハウジングにおいて電気コネクタに対向した側に押し当てる工程と、レバーを第二の方向に回動させてレバーの軸支部分を中心として第二の押圧部材を旋回させ、当該第二の押圧部材により相手側電気コネクタを電気コネクタから離間する方向に押圧し、相手側電気コネクタを電気コネクタから離脱させる工程と、を備えることを特徴とする電気コネクタの嵌合解除方法とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レバーの回動動作にともない、レバーが軸支された部分を中心として第一の押圧部材、第二の押圧部材が旋回することによって、第一の押圧部材、第二の押圧部材により、相手側電気コネクタのハウジングを直接押圧して相手側電気コネクタとの嵌合・嵌合解除を行う。これによって、相手側電気コネクタに、レバーの作用力を伝達するための突起等を設けることなく、電気コネクタと相手側電気コネクタとを容易かつ確実に嵌合・嵌合解除することができる。
このとき、第一の押圧部材、第二の押圧部材は、その押圧動作中、レバーの回動動作にともない、相手側電気コネクタのハウジングを押圧する位置が変位する。したがって、相手側電気コネクタと電気側コネクタとが傾いて嵌合されるのを防ぐことができる。
このような電気コネクタは、通常用途のものに限らず、検査対象の複数の相手側電気コネクタが順次接続される検査用途のものとすることもでき、このような場合にも、検査対象の相手側電気コネクタを容易かつ確実に嵌合・嵌合解除させることができ、その作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における雄コネクタ、雌コネクタ、レバーを示す全体構成図である。
【図2】雄コネクタと雌コネクタを軽く嵌め合わせた状態における断面図である。
【図3】雌コネクタ単体での斜視図である。
【図4】レバーを異なる複数の角度から見た斜視図である。
【図5】レバーの正面図および側面図である。
【図6】レバーにより雄コネクタを雌コネクタに嵌合させていくときの流れを示す図である。
【図7】レバーにより雄コネクタを雌コネクタから引き抜く流れを示す図であり、爪部をフード受容空間に挿入した状態における側断面図および正断面拡大図である。
【図8】図7に続く状態を示す側面図および側断面図である。
【図9】図8に続く状態を示す側面図および側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態においては、互いに嵌合可能な雌コネクタ(相手側電気コネクタ)100および雄コネクタ(電気コネクタ)200のうち、例えば雄コネクタ200が回路基板300に固定状態で設けられ、雌コネクタ100がこの雄コネクタ200に着脱可能に嵌合される構成となっている。ここで、雄コネクタ200に代えて雌コネクタ100を回路基板300に固定状態に設ける構成とすることもできるし、固定側の雄コネクタ200は、回路基板300ではなく、他の制御ユニットの筺体等に固定される構成とすることもできる。
【0019】
上記のようにして互いに嵌合する雌コネクタ100、雄コネクタ200は、それぞれ、複数のコンタクト(図示せず)を収容するハウジング10、20を有している。
【0020】
雌コネクタ100のハウジング10は、樹脂等の絶縁性材料からなり、雄コネクタ200に対向する対向面10aとその背面10bを結ぶ方向に貫通する複数のコンタクト収容孔12aを有したコンタクト保持ブロック12を備えている。各コンタクト収容孔12aには、導電性材料からなる図示しない雌コンタクトが挿入・保持されている。各雌コンタクトには、図示しない配線ハーネスを構成する複数本の配線のそれぞれ一端が接続される。
ハウジング10において、コンタクト保持ブロック12の外周側には、ハウジング10の背面10b側から対向面10a側に向けて延びる筒状のシールフード部14が形成されている。シールフード部14は、コンタクト保持ブロック12の外周面との間に隙間を有して形成されており、この隙間が、後述する雄コネクタ200のフード部22を受容するフード受容空間15とされている。そして、フード受容空間15には、ゴム製のシールリング16が設けられている。
【0021】
雄コネクタ200のハウジング20は、樹脂等の絶縁性材料からなり、複数の雄コンタクト23を保持するコンタクト収容孔21aを有した端子保持部21が設けられている。
ハウジング20には、端子保持部21から、雌コネクタ100に嵌合する側に延びる筒状のフード部22が形成されている。フード部22の内側においては、端子保持部21に保持された雄コンタクト23が、端子保持部21から雌コネクタ100に嵌合する側に突出して設けられている。
そして、ハウジング20の端子保持部21から、フード部22が形成された側とは反対側に突出した雄コンタクト23の先端部23aは、回路基板300の配線パターンに電気的に接続される。また、ハウジング20に、外方に突出するベース部24を設け、このベース部24を介してハウジング20を回路基板300にボルトやビス等で固定することもできる。このようにして、雄コネクタ200は、回路基板300に固定的に設けられている。
【0022】
また、フード部22は、雌コネクタ100と雄コネクタ200とを嵌合させた状態では、雌コネクタ100のフード受容空間15に挿入され、その先端部がシールリング16に押し付けられるようになっている。
【0023】
図1、図3に示すように、雄コネクタ200のハウジング20において、互いに対向する二つの側面20a、20aには、側面20aに直交する方向に突出する軸部25が形成されている。
この軸部25は、短手方向の側面20aの幅方向の中心CLに対し、一方の側(側面20aに隣接する一方の側面20bに近い側)にオフセットして設けられている。
【0024】
図1に示すように、雄コネクタ200の軸部25には、レバー400が回動自在に設けられている。
図4に示すように、レバー400は、全体としては略コ字状で、一対のサイドプレート部41、41と、これらサイドプレート部41、41を連結する連結部42とから構成されている。
各サイドプレート部41において、連結部42から離間した側の先端部に、軸部25が挿入される貫通孔43が形成されている。ここで、軸部25の先端部には、断面涙形の凸形状部25aが形成されており、貫通孔43も軸部25の凸形状部25aの断面形状に対応した断面涙状に形成されている。レバー400は、それぞれ涙形断面の軸部25の凸形状部25aと貫通孔43の凸形状部43aの向きを合致させた状態でのみ、軸部25が貫通孔43に挿入・貫通可能とされている。したがって、レバー400は、雄コネクタ200に対して所定角度の状態でのみ雄コネクタ200に装着可能であり、他の角度のときには、軸部25の凸形状部25aが干渉することによって、レバー400のサイドプレート部41、41が外れるのを防止できる。
【0025】
図4、図5に示すように、サイドプレート部41には、反対側のサイドプレート部41に面する側において、貫通孔43が形成された先端部から、貫通孔43と連結部42との中間部にかけて、ザグリ部46が形成されている。互いに対向するサイドプレート部41、41のザグリ部46、46のザグリ底面46b、46bの間隔は、雌コネクタ100のシールフード部14の外形寸法よりも大きく形成されている。
【0026】
サイドプレート部41には、貫通孔43が形成された一端部41aと、連結部42側の他端部41bとの中間部に、支持軸44が設けられ、ローラ部材(第一の押圧部材)45が支持軸44に回転自在に設けられている。ここで、ローラ部材45は、貫通孔43の中心と、連結部42とを結ぶ仮想線に対し、一方の側にオフセットした位置に設けられている。
両側のサイドプレート部41、41にそれぞれ設けられたローラ部材45の間隔は、雌コネクタ100のハウジング10の長手方向の幅寸法Wよりも小さくなるよう設定されている。
【0027】
サイドプレート部41の一端部41aの近傍において、ザグリ底面46bの外周部から直交する方向に立ち上がる壁面46aに、ローラ部材45が設けられている側に向けて突出する爪部(ガイド爪)47が形成されている。この爪部47は、シールフード部14の内側のフード受容空間15に挿入されるよう、ザグリ部46の壁面46aにおいて、ザグリ底面46bから離間した側に設けられている。
【0028】
このようなレバー400は、雄コネクタ200に対し、軸部25を中心として回動可能に軸支されている。このとき、レバー400を回動させると、ローラ部材45は、軸部25を中心とした半径R1の軌跡を描いて旋回し、爪部47は、軸部25を中心とした半径R2の軌跡を描いて旋回する。ここで、R1>>R2である。
【0029】
そして、雄コネクタ200と雌コネクタ100とをレバー400により嵌合させるには、まず、図6(a)に示すように、雄コネクタ200に対し、雌コネクタ100を軽く嵌合させた状態(雄コネクタ200のフード部22が、フード受容空間15に挿入されつつも、フード部22がシールリング16に到達していない状態)で、レバー400の連結部42を作業者が手で引き起こし、ローラ部材45を、雌コネクタ100のハウジング10の背面10bにおいて、その幅方向中心に対して軸部25が位置する側と同じ側にオフセットした位置で背面10bに接触させる。
【0030】
そして、この状態からレバー400をさらに回動させていくと、ローラ部材45が軸部25を中心として旋回する。すると、図6(b)に示すように、ローラ部材45は、背面10bを、その幅方向中心に対して軸部25が位置する側から反対側に向けて(図6中、矢印A方向)に移動しながら、背面10bを、雄コネクタ200に接近する方向に押圧する。
【0031】
レバー400をさらに回動させ続けると、最終的に、図6(c)に示すように、ローラ部材45により、雌コネクタ100が雄コネクタ200に完全に嵌合し、フード部22が、シールリング16とシールフード部14との間に入り込む。この状態で、雌コンタクト(図示無し)と雄コンタクト23が嵌合し、電気的な接続がなされる。
【0032】
また、雌コネクタ100が雄コネクタ200に嵌合された状態から、雌コネクタ100を引き抜くときは、レバー400を、図6とは反対方向に回動させる。すると、図7に示すように、爪部47がシールフード部14の内側のフード受容空間15に入り込み、爪部47の近傍のザグリ部46の壁面46aが第二の押圧部材として機能し、シールフード部14を押圧する。その結果、図8に示すように、雌コネクタ100が雄コネクタ200から引き抜かれる方向に押圧され、雌コネクタ100と雄コネクタ200との嵌合が解除される。
【0033】
このとき、図7(a)に示すように、レバー400を、爪部47がシールフード部14の内側のフード受容空間15に入り込み、ザグリ部46の壁面46aがシールフード部14に突き当たるまで回動させた状態で、ローラ部材45が、雌コネクタ100の背面10bから一定寸法以上離間した位置となるよう配置されている。これにより、ローラ部材45が、雌コネクタ100が引き抜き方向に移動するのに干渉するのを回避している。
さらに、図9に示すように、レバー400を、雌コネクタ100と雄コネクタ200との嵌合が解除される状態まで回動させた状態では、レバー400のローラ部材45が、雌コネクタ100の背面10bに対向した位置よりもハウジング10の側方に退避した位置となるよう配置されている。さらに、この状態では、爪部37がフード受容空間15の内部から外部に出て露出した状態となる。これにより、レバー400が雌コネクタ100の引き抜き方向への移動を阻害しないようになっている。
【0034】
上述したような構成によれば、一方の雄コネクタ200に設けられた軸部25を中心として回動自在に設けられたレバー400を回動操作することにより、雌コネクタ100を雄コネクタ200に対して確実に嵌合・離脱させることができる。
このとき、嵌合時にはレバー400に設けられたローラ部材45により雌コネクタ100のハウジング10の背面10bを押圧し、離脱時には、レバー400に設けられたザグリ部46の壁面46aにより雌コネクタ100のシールフード部14を押圧する。つまり、レバー400は、雌コネクタ100に特に突起等を設けることなく、ハウジング10の一部を直接押圧することによって雌コネクタ100の嵌合・離脱を行える。その結果、雌コネクタ100の構造が複雑になるのを防ぐとともに、突起等を設けるためのスペースを確保する必要もなくなる。
【0035】
また、ローラ部材45、ザグリ部46の壁面46aは、その押圧動作中、レバー400の回動動作にともない、雌コネクタ100のハウジング10を押圧する位置が、ハウジング10の背面10bに沿って幅方向に変位する。したがって、雌コネクタ100と雄コネクタ200とが、傾いて嵌合されるのを防ぐことができる。
【0036】
また、ローラ部材45が回転しながら雌コネクタ100のハウジング10の背面10bを移動して雌コネクタ100を押圧するので、ローラ部材45と雌コネクタ100との間に生じる摩擦を抑え、レバー400により効率良く雌コネクタ100の嵌合動作を行える。
【0037】
また、雌コネクタ100の雄コネクタ200からの離脱時には、レバー400に設けられザグリ部46の壁面46aにより雌コネクタ100のシールフード部14を押圧するが、このとき、ザグリ部46の壁面46a近傍において、爪部47がシールフード部14の内側のフード受容空間15に入り込むので、シールフード部14は、爪部47とレバー400のサイドプレート部41との間に位置することになる。したがって、シールフード部14が薄い場合等においても、爪部47とサイドプレート部41とにより、シールフード部14が面外方向に過大に変形するのを防ぐことができる。
さらに、レバー400は、ザグリ部46の壁面46aが雌コネクタ100のハウジング10に突き当たった状態で、レバー400のローラ部材45が、雌コネクタ100の背面10bに対向した位置よりもハウジング10の側方に退避した位置となる。したがって、雌コネクタ100の離脱を妨げることなく、雌コネクタ100を確実に離脱させることができる。
【0038】
このようにして、突起等を設けることなく、雌コネクタ100を雄コネクタ200に対して容易かつ確実に嵌合することが可能となる。
そして、雄コネクタ200は、通常用途のものに限らず、検査機器に接続された検査用とすることもできる。この場合、複数の雌コネクタ100が雄コネクタ200に順次接続されてそれぞれの雌コネクタ100の導通検査が行われる。このような場合にも、検査対象の雌コネクタ100を容易かつ確実に嵌合・嵌合解除させることができ、その作業性を高めることができる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、雌コネクタ100、雄コネクタ200の構成を説明したが、レバー400以外の構成についてはいかなるものとしてもよい。
また、レバー400は、雄コネクタ200に常設しても良いし、必要に応じて雄コネクタ200に装着できる着脱式としても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 ハウジング
10a 対向面
10b 背面
12 コンタクト保持ブロック
12a コンタクト収容孔
14 シールフード部
15 フード受容空間
16 シールリング
20 ハウジング
20a 側面
20b 側面
21 端子保持部
21a コンタクト収容孔
22 フード部
23 雄コンタクト
23a 先端部
24 ベース部
25 軸部
25a 凸形状部
41 サイドプレート部
42 連結部
43 貫通孔
44 支持軸
45 ローラ部材(第一の押圧部材)
46 ザグリ部
46a 壁面(第二の押圧部材)
46b ザグリ底面
47 爪部(ガイド爪)
100 雌コネクタ(相手側電気コネクタ)
200 雄コネクタ(電気コネクタ)
300 回路基板
400 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタのハウジングと、
前記ハウジングに回動自在に軸支されたレバーと、
前記レバーに設けられ、前記電気コネクタに嵌合される相手側電気コネクタのハウジングを前記電気コネクタに接近する方向に押圧する第一の押圧部材と、
前記レバーに設けられ、前記相手側電気コネクタのハウジングを前記電気コネクタから離間する方向に押圧する第二の押圧部材と、を備え、
前記レバーを前記ハウジングに軸支された部分を中心として第一の方向に回動させたときに、前記第一の押圧部材で前記相手側電気コネクタを前記電気コネクタに嵌合させ、前記レバーを前記第一の方向とは反対方向の第二の方向に回動させたときに、前記第二の押圧部材で前記相手側電気コネクタと前記電気コネクタとの嵌合を解除することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記レバーは、前記ハウジングの幅方向中心に対して一方の側にオフセットした位置に軸支され、
前記第一の押圧部材は、前記相手側電気コネクタのハウジングにおいて前記電気コネクタから離間した側の表面において、前記幅方向の前記一方の側から他方の側に移動しながら前記相手側電気コネクタを前記電気コネクタに接近する方向に押圧することを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第一の押圧部材は、前記レバーに回転自在に支持されたローラ部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記相手側電気コネクタに、前記電気コネクタ側に延びる筒状のフード部が設けられ、
前記第二の押圧部材は、前記フード部の先端部を押圧することで前記相手側電気コネクタを前記電気コネクタから離間する方向に押圧するとともに、前記第二の押圧部材に、前記フード部と前記電気コネクタの前記ハウジングとの間に挿入されるガイド爪が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第二の押圧部材は、前記レバーが前記ハウジングに軸支された位置に対して、前記第一の押圧部材よりも近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気コネクタと相手側電気コネクタとを互いに嵌合させる方法であって、
前記電気コネクタと前記相手側電気コネクタとを対向させた状態で、前記レバーを前記第一の方向に回動させて前記第一の押圧部材を前記相手側電気コネクタの前記ハウジングに押し当てる工程と、
前記レバーを前記第一の方向にさらに回動させて前記レバーの軸支部分を中心として前記第一の押圧部材を旋回させ、当該第一の押圧部材により前記相手側電気コネクタを前記電気コネクタに接近する方向に押圧し、前記相手側電気コネクタと前記電気コネクタとを嵌合させる工程と、を備えることを特徴とする電気コネクタの嵌合方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気コネクタと相手側電気コネクタとの嵌合を解除する方法であって、
前記電気コネクタと前記相手側電気コネクタとが互いに嵌合した状態において、前記レバーを前記第二の方向に回動させて前記第二の押圧部材を前記相手側電気コネクタの前記ハウジングにおいて前記電気コネクタに対向した側に押し当てる工程と、
前記レバーを前記第二の方向に回動させて前記レバーの軸支部分を中心として前記第二の押圧部材を旋回させ、当該第二の押圧部材により前記相手側電気コネクタを前記電気コネクタから離間する方向に押圧し、前記相手側電気コネクタを前記電気コネクタから離脱させる工程と、を備えることを特徴とする電気コネクタの嵌合解除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−25985(P2013−25985A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158874(P2011−158874)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】