説明

電気コネクタとキャップとを有する組立体、電気コネクタ用のキャップおよび電気コネクタの実装方法

【課題】キャップにより複数のハウジングを正確に位置決めすることにより、回路基板上へのコネクタの配設前に該コネクタが正規位置からずれることを防止することを目的とする。
【解決手段】キャップ4は、回路基板への複数のコネクタ1の配設時に回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部81と、回路基板に対して直角な方向で各コネクタ1に対して二位置で嵌合する複数の嵌合突部82の対とを有し、各コネクタ1は、嵌合突部82の対が嵌合する嵌合凹部15の対を有していて、上記複数の嵌合突部82の対およびこれに対応する嵌合凹部15の対は、互いに協働して各コネクタ1についての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、全てのコネクタ1について、嵌合突部82の対同士そして嵌合凹部15の対同士が協働して複数のコネクタ1間の上記所定の位置関係を維持するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタと、該回路基板上への配設前の該複数の電気コネクタに取り付けられて該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する電気コネクタ用のキャップとを有する組立体、該キャップおよび該電気コネクタの実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気コネクタ(以下、単に「コネクタ」という)を所定の位置関係で回路基板に配設する場合、回路基板への配設前に該複数のコネクタに電気コネクタ用のキャップを取り付けてこれらのコネクタを連結して上記所定の位置関係を維持した状態で回路基板へ配設することがある。この場合、複数のコネクタが上記所定の位置関係で確実に配設されるためには、上記キャップに取り付けられた上記複数のコネクタが正規位置からずれていないことが必要となる。
【0003】
従来における、複数のコネクタをキャップで連結する方法としては、例えば、直方体外形をなすコネクタにおいて、端子の配列方向を長手方向としその直角方向を短手方向とするとき、該短手方向に間隔をもって互いに平行に複数の該コネクタを回路基板上に配設する場合、上記短手方向に延びる細長形状の二つの連結部材(上記「キャップ」に相当)を複数のコネクタの長手方向での一端同士そして他端同士にわたって取り付けることにより該コネクタ同士を連結することが知られている。
【0004】
しかし、この方法では、二つのコネクタおよび二つの連結部材はあたかもリンク機構をなすようにそれぞれの端部同士で連結されるので、該二つのコネクタが平行な状態を保ちながらも二つの連結部材がその長手方向で互いにずれて変位するおそれがある。このような連結部材の変位が生じると、上記二つのコネクタも該連結部材に追従して変位するので、該コネクタを回路基板上の所定の位置に配設できなくなる。
【0005】
一方、特許文献1には、直方体外形の二つのコネクタを回路基板上に配設する前に、一部材として形成されたキャップを該二つのコネクタに上方から取り付けて該二つのコネクタ同士を連結することが開示されている。該特許文献1では、上記キャップは、コネクタの長手方向に延び各コネクタの上側部分を覆う二つのキャップ部を、短手方向に延びる複数のリブで接続しており、一部材でありながら、長手方向そしてこれに直角な短手方向に延びるように略板状に拡がって形成されている。したがって、該リブによって上記二つのキャップ部同士の相対位置は固定されていて変位することがない。
【0006】
特許文献1において、コネクタの長手方向での両端に位置するリブには、該コネクタの短手方向での中央位置、すなわち二つのコネクタの間の位置で該リブから下方へ延びる板状の位置合わせ板が設けられている。該位置合わせ板は、その板面が上記長手方向に対して直角をなしていて、該位置合わせ板の幅方向、すなわち上記短手方向での両端に位置する両端面が上記二つのコネクタの側壁に当接することにより両コネクタ間の所定の距離を確保している。
【0007】
また、二つのキャップ部には、上記位置合わせ板に加えて、上記短手方向にて互いに離れた側壁から下方へ延びる複数の弾性係合片が設けられている。該弾性係合片は、キャップ部がコネクタに取り付けられているときに上記短手方向でコネクタの側壁に当接して同方向で該側壁を押さえつける。したがって、該弾性係合片によって、位置合わせ板から離れる方向への両コネクタの移動が規制されて、該両コネクタの互いに対向する側壁面が上記位置合わせ板の側端面に密着当接する。また、二つのキャップ部には下方に開口し長手方向(端子配列方向)に延びる溝部が、コネクタのハウジングの上側部分および該上側部分の側面から突出する端子の接触部を収容するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−153384
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、上記短手方向での両コネクタの位置決めは、上記キャップの位置合わせ板および弾性係合片が協働することによってなされている。しかし、該弾性係合片は、上記短手方向にて弾性変位可能に形成されているので、規制力が十分でなく、この弾性係合片の弾性変位時にコネクタが上記短手方向で正規位置からずれてしまうおそれがある。
【0010】
また、特許文献1には、キャップ部の上記溝部内にコネクタの上側部分および端子の接触部が収容されることは記載されているが、該溝部の内壁面によって上記短手方向でのコネクタの移動が規制されているかどうかは記載されていない。仮に、そのような規制がされていたとしても、上記溝部の内面部と当接しているのは、上記上側部分の側面から突出している端子の接触部であるので、上記弾性係合片と同様の理由で、端子の接触部の弾性変位によりコネクタの位置が上記短手方向でずれてしまうおそれがある。
【0011】
また、上記長手方向での位置決めがどのようになされているかについては記載されておらず、同方向でのコネクタの移動が規制されていない可能性がある。
【0012】
したがって、特許文献1においては、キャップによるコネクタの変位の各方向での規制が十分とは言えないので、コネクタの位置決めが不正確となり、回路基板へのコネクタの配設前に、該コネクタの位置が正規位置からずれるおそれがある。この結果、コネクタに配設されたコネクタは正規位置からずれ、該コネクタを所定の位置関係で配設できない。
【0013】
このような事情に鑑みて、本発明は、キャップにより複数のハウジングを正確に位置決めすることにより、回路基板上へのコネクタの配設前に該コネクタが正規位置からずれることを防止する電気コネクタと電気コネクタ用のキャップとを有する組立体、該キャップおよび該電気コネクタの実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
<第一発明>
本発明に係る電気コネクタとキャップとの組立体は、回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタと、該回路基板上への配設前の該複数の電気コネクタに取り付けられて該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する電気コネクタ用のキャップとを有する。
【0015】
かかる電気コネクタとキャップとの組立体において、上記キャップは、回路基板への上記複数の電気コネクタの配設時に該回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部と、回路基板に対して直角な方向で各電気コネクタに対して二位置で嵌合する複数のキャップ側嵌合部対とを有し、各電気コネクタは、上記キャップ側嵌合部対が嵌合するコネクタ側嵌合部対を有していて、上記複数のキャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタ側嵌合部対は、互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、全ての電気コネクタについて、キャップ側嵌合部対同士そしてコネクタ側嵌合部対同士が協働して複数の電気コネクタ間の上記所定の位置関係を維持するようになっていることを特徴としている。
【0016】
本発明では、上記複数のキャップ側嵌合部対およびコネクタ側嵌合部対に、回路基板に対して平行な面内で互いに直角な二方向での基準面が形成されていて、複数の電気コネクタにキャップを取り付けると、キャップ側嵌合対の基準面とこれに対応するコネクタ側嵌合部対の基準面同士が上記二方向で当接する。したがって、各コネクタにおいて、上記キャップ側嵌合部対をなすキャップ側嵌合部同士が協働しそしてコネクタ側嵌合部対をなすコネクタ側嵌合部同士が協働して、上記二方向での各コネクタの位置が定められる。この結果、複数のコネクタ間の該二方向での所定の位置関係が維持される。また、キャップ側嵌合部対およびコネクタ側嵌合部対コネクタ嵌合部対の基準面は弾性変位することがないので、コネクタが所定位置からずれることがない。
【0017】
コネクタ側嵌合部対は、コネクタ使用時にて、回路基板に対して直角な方向で相手コネクタの対応嵌合部対と嵌合可能となっていることが好ましい。つまり、コネクタ使用時にて相手コネクタの対応嵌合部対と嵌合するコネクタ側嵌合部対を、コネクタ使用前における回路基板へのコネクタの配設時にて、キャップ側嵌合部対と嵌合する嵌合部対としても利用する。したがって、相手コネクタの対応嵌合部対との嵌合のためのコネクタ側嵌合部対以外に、さらに、キャップ側嵌合部対と嵌合させるための嵌合部対を別途設ける必要がなくなるので、コネクタの大型化を防止できる。また、コネクタの形状が簡単となるので、その分、製造コストを抑制できる。
【0018】
キャップ側嵌合部対およびコネクタ側嵌合部対は、電気コネクタのハウジングおよびキャップの本体部のいずれか一方に形成された一つの凹部と他方に設けられ回路基板に対して直角な方向で該凹部に嵌着される一つの突部とを有しており、該凹部の内壁面および該突部の外壁面に基準面が形成されていることが好ましい。
【0019】
キャップの本体部は、回路基板に対して平行に延びる板面を有していることが好ましい。このように、本体部に板面を形成することにより、コネクタ実装時に吸着部材でコネクタを実装位置へ吸着搬送するために上記板面を吸着面として利用できるので、コネクタとキャップとの組立体の搬送が容易になる。
【0020】
<第二発明>
本発明に係る電気コネクタ用のキャップは、回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタに該回路基板上への配設前に取り付けられ該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する。
【0021】
かかる電気コネクタ用のキャップにおいて、上記キャップは、回路基板への上記複数の電気コネクタの配設時に回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部と、回路基板に対して直角な方向で各電気コネクタに対して二位置で嵌合する複数のキャップ側嵌合部対とを有し、各電気コネクタは、上記キャップ側嵌合部対が嵌合するコネクタ側嵌合部対を有していて、上記複数のキャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタ側嵌合部対は、互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、全ての電気コネクタについて、キャップ側嵌合部対同士そしてコネクタ側嵌合部対同士が協働して複数の電気コネクタ間の上記所定の位置関係を維持するようになっていることを特徴としている。
【0022】
<第三発明>
本発明に係る電気コネクタの実装方法は、回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタの該回路基板への実装方法であって、該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する電気コネクタ用のキャップを該複数の電気コネクタに取り付けてから、回路基板へ該複数の電気コネクタを配設して実装する。
【0023】
かかる電気コネクタの実装方法において、本発明では、上記キャップは、回路基板への上記複数の電気コネクタの配設時に該回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部と、回路基板に対して直角な方向で各電気コネクタに対して二位置で嵌合する複数のキャップ側嵌合部対とを有し、各電気コネクタは、上記キャップ側嵌合部対が嵌合するコネクタ側嵌合部対を有していて、上記複数のキャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタ側嵌合部対は、互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、上記キャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタの嵌合部対を嵌合させることにより、全ての電気コネクタについて、キャップ側嵌合部対同士そしてコネクタ側嵌合部対同士を協働させて複数の電気コネクタ間の上記所定の位置関係を維持した状態で該複数の電気コネクタを回路基板上に配設して実装することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明では、キャップ側嵌合部対およびコネクタ側嵌合部対に互いに直交する二方向での基準面を形成して、該キャップ側嵌合部対同士およびコネクタ側嵌合部対同士が互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるようにしたので、複数のコネクタ間の該二方向での所定の位置関係を維持することができる。また、キャップ側嵌合部対およびコネクタ側嵌合部対の基準面は弾性変位することがないので、コネクタが所定位置からずれることはなく、上記所定の位置関係を確実に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一実施形態に係るコネクタと、中間コネクタおよび相手コネクタとを嵌合前の状態で示す全体斜視図である。
【図2】複数のコネクタとキャップとを分離した状態で示す全体斜視図である。
【図3】図2のコネクタとキャップの嵌合状態を示す全体断面図である。
【図4】図3のコネクタおよびキャップの断面図であり、(A)はIVA−IVA断面を示し、(B)はIVB−IVB断面を示している。
【図5】第二実施形態に係る複数のコネクタとキャップとを分離した状態で示す全体斜視図である。
【図6】図5のコネクタとキャップの嵌合状態を示す全体断面図である。
【図7】図6のコネクタおよびキャップのVII−VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
<第一実施形態>
図1は、中間コネクタを介して相手コネクタと接続される本実施形態に係るコネクタと、該中間コネクタおよび該相手コネクタとを嵌合前の状態で示す全体斜視図である。本実施形態において、二つの回路基板用電気コネクタ1,2(以下、「コネクタ1」,「相手コネクタ2」という)は互いに同じ形状をなしており、対応する回路基板(図示せず)上にそれぞれ配設されるコネクタである。該コネクタ1と相手コネクタ2は該中間コネクタ3を介して接続される。具体的には、図1に見られるように、コネクタ1は中間コネクタ3の下方に配されて、該中間コネクタ3の下端側部分と接続される。また、相手コネクタ2は中間コネクタ3の上方でコネクタ1に対して上下反転した姿勢で配されて、該中間コネクタ3の上端側部分と嵌合接続される。対応する回路基板にそれぞれ配置されたコネクタ1および相手コネクタ2が中間コネクタ3に嵌合接続されることにより、これらの回路基板は板面が互いに平行に延びた状態で電気的に導通される。
【0028】
後述するように、本実施形態では、複数のコネクタ1およびこれと同数の相手コネクタ2がそれぞれの回路基板上に所定の位置関係で配設され、互いに対応するコネクタ1と相手コネクタ2とが中間コネクタ3を介して接続されるようになっている。ここで、「所定の位置関係」は、設計時に、要求に応じて予め定められている。
【0029】
複数のコネクタ1は、回路基板へ配設される前に、後述のキャップ4が取り付けられることにより互いに所定の間隔を維持した状態で該キャップにより連結される(図2,図3参照)。そして、複数のコネクタ1は、該キャップ4が取り付けられた状態で搬送され、上記所定の間隔を維持したまま回路基板上に配設される。
【0030】
コネクタ1は、図1に見られるように、略直方体外形をなす合成樹脂製のハウジング10と、該ハウジング10の長手方向で該ハウジング10に配列保持される複数の金属製の端子20と、該長手方向での該ハウジング10の両端部で該ハウジング10に保持される固定金具30とを有している。
【0031】
ハウジング10は、中間コネクタ3を受け入れるための受入空間11が上方に開口して形成されている。該受入空間11を囲む周壁は、ハウジング10の長手方向に延びる一対の側壁12と該一対の側壁12の長手方向での両端部同士を連結する一対の端壁13とによって形成されている。
【0032】
また、該受入空間11の中央部には、島状をなす中央壁部14が、ハウジング10の長手方向、すなわち端子配列方向に延びるようにして設けられており、受入空間11は、中央壁部14とハウジング10の周壁との間で該中央壁部14を包囲するように環状をなして形成されている。中央壁部14の側壁面には、上記長手方向で端子20に対応する位置に、端子収容溝14Aが上下方向(コネクタ高さ方向)に延びて形成されている。
【0033】
図1に示されているように、ハウジング10の両端壁13には、キャップ側嵌合部としての嵌合凹部15が上記受入空間11の一部をなすようにして上方に開口して形成されている。該嵌合凹部15は、コネクタ1を回路基板上に配設する前においては、後述するキャップ4の嵌合突部82を受け入れて該嵌合突部82と嵌合する。また、該嵌合凹部15は、コネクタ嵌合の際においては、後述するように中間コネクタ3の端壁43の板壁部44を該嵌合凹部15内に案内する案内部として機能するとともに後述の板壁部44および鉤部45を受け入れる。
【0034】
嵌合凹部15は、上述したように受入空間11の一部の空間であって、ハウジング10の長手方向での両端位置にて端壁13のU字溝状の内壁面および中央壁部14の平坦状の端壁面によって囲まれた空間で形成されている。該端壁13の内壁面は、ハウジング10の短手方向で互いに対向する二つの面と、上記中央壁部14の端壁面と上記長手方向で対向する面とから成り、上方から見てU字溝状をなしている。
【0035】
上記中央壁部14の端壁面は、上記長手方向に対して直角に延びていて、後述するように、コネクタ1にキャップ4が取り付けられた際に、該長手方向での該コネクタ1の位置を定めるための基準面15Aとして機能する(図2,図4(A),(B)参照)。
【0036】
また、上記端壁13の内壁面のうち上記短手方向で互いに対向する二つの面は、該短手方向に対して直角に延びていて、後述するように、コネクタ1にキャップ4が取り付けられた際に、該短手方向での該コネクタ1についての位置を定めるための基準面15B,15Cとして機能する(図4(B)参照)。
【0037】
端子20は、図1に見られるように、帯状の金属片の下端側を板厚方向でほぼ直角に屈曲させた略L字状をなしている。屈曲されてハウジング10の短手方向に延びる端子20の下端部は、回路基板上に形成された対応回路部と接続される接続部21として側方に向けてハウジング10外へ延出している。また、上方へ向け延びる端子20の上部は側方へ向けて凸湾曲するように屈曲されており、その凸湾曲部分は受入空間11内に突出して中間コネクタ3の後述する中間端子61と接触するための接触部22として形成されている。
【0038】
該端子20は、ハウジング10の底面に形成された端子挿入孔部(図示せず)を経て接触部22側から圧入され中央壁部14の端子収容溝14Aで保持される。図1に見られるように、接触部22は受入空間11内に突出するように位置し、上述したように接続部21は上記短手方向でコネクタ1の外方へ延びている。
【0039】
固定金具30は、図1に見られるように、該ハウジング10の両端壁13に設けられている。該固定金具30は、金属板から作られており、該ハウジング10に保持される板状部31と該板状部31の下端からハウジング10の短手方向で互いに離れる方向に延びる一対の脚部32とを有している。該固定金具30は、ハウジング10の両端壁13に形成されたコネクタ高さ方向(上下方向)に延びる取付部(図示せず)へ上記板状部31の側縁部が下方から圧入されることにより、ハウジング10に取り付けられている。
【0040】
固定金具30は、各端壁13に一つずつ設けられており、上記取付孔部の下端から上記一対の脚部32が延出していて、該一対の脚部32の下縁部が回路基板と半田接続され、これによって、コネクタ1が該回路基板上に固定される。
【0041】
また、上記板状部31は、その板面がハウジング10の中央壁部14の端壁面(基準面15A)と上記長手方向で対向するように保持されている。該板状部31には、孔部が形成されていて、該孔部を形成する上縁部がキャップ4や中間コネクタ3と係止するための係止部31Aとして機能する。具体的には、該係止部31Aは、コネクタ1にキャップ4が取り付けられた際には、該キャップ4の被係止突部84Aと該キャップ4の取付方向(上下方向)で係止する(図3,図4(A)参照)。また、該係止部31Aは、コネクタ1が中間コネクタ3との嵌合した際には、該中間コネクタ3の係止爪45Aとコネクタ嵌合方向(上下方向)で係止する。
【0042】
相手コネクタ2の構成はコネクタ1の構成と同じであるので説明を省略する。
【0043】
中間コネクタ3は、図1に示されるように、合成樹脂製の筒状体40A,40B,40Aが上下方向で結合して形成されたハウジング40と、該ハウジング40の短手方向で対面して該ハウジング40に保持される板状の二つのブレード組立体50とを有している。該ハウジング40は、直方体外形をなしており、上記ブレード組立体50を保持するための保持空間41が上下方向に貫通して形成されている。該保持空間41を形成する周壁は、ハウジング40の長手方向に延びる一対の側壁42と該一対の側壁42の長手方向での両端部同士を連結する一対の端壁43とによって形成されている。
【0044】
該ハウジング40の端壁43は、その下部が、上下方向での中間部分の端面よりも上記長手方向に没している。該下部における端壁43は、該長手方向に対して直角な板面をもつ板壁部44と、上記長手方向で該板壁部44よりもコネクタ外方位置にて該板壁部44から離間した位置でこれと平行に延び片持ち梁の板状をなす鉤部45とを有している。
【0045】
上記板壁部44は、下端外側面にテーパ面として形成された被案内面44Aを有しており、中間コネクタ3がコネクタ1と嵌合する際に、該被案内面44Aが該コネクタ1の嵌合凹部15の上縁部と当接することにより、板壁部44が該嵌合凹部15内に円滑に導入案内されるようになっている。
【0046】
上記鉤部45は、その板厚方向(上記長手方向)で上記板壁部44側へ向けて弾性撓み変位可能となっており、その先端部に上記長手方向にてコネクタ外方へ向けて突出する係止爪45Aを有している。コネクタ1と中間コネクタ3とのとの嵌合状態において、該鉤部45の係止爪45Aがコネクタ1の固定金具30の係止部31Aとコネクタ嵌合方向、すなわち、コネクタ高さ方向(図1にて上下方向)で係止することにより、コネクタ同士の抜けが防止される。
【0047】
ハウジング40の上部の形状は、上記鉤部45に相当する部分が設けられていない点を除き、上述したハウジング40の下部の形状と同じであるので、説明を省略する。
【0048】
二つのブレード組立体50は、図1に見られるように、中間コネクタ3の短手方向で板面同士が対向するようにハウジング40の保持空間41内で保持されている。該ブレード組立体50は、板状の基板の面に複数の中間端子61が互いに平行に延びて配列されたブレード60を有していて、複数の該ブレード60に対して金属板状部材としての一つのグランド板70が共通して取り付けられて形成されている。図1に示されるように、各ブレード組立体50において、複数のブレード60は、中間端子61がコネクタ高さ方向に延びた姿勢で、上記短手方向に対して直角に延びる同一平面上に位置するように、中間コネクタ3の長手方向で側縁が互いに隣接するように配列されている。すなわち、複数の中間端子61は該長手方向で配列されている。
【0049】
図1に見られるように、ハウジング40にブレード組立体50が保持された状態において、該ブレード組立体50の下部は、該ハウジング40の下縁部よりも下方へ突出している。コネクタ1と中間コネクタ3との嵌合状態では、該ブレード組立体50の突出する下部がコネクタ1の受入空間11内に進入し、上記中間端子61がコネクタ1の端子20の接触部22と接触する。また、二つのブレード組立体50の下部同士間には空間が形成されており、コネクタ嵌合状態において、コネクタ1の中央壁部14が該空間に進入するようになっている。
【0050】
中間コネクタ3の上部の形態は、上述した該中間コネクタ3の下部と上下対称であるので、説明を省略する。
【0051】
次に、キャップ4の構成を説明する。図2は、本実施形態に係るコネクタ1とキャップ4とを分離した状態で示す全体斜視図である。同図では、二つのコネクタ1がキャップ4とともに示されている。同図に示されるように、二つのコネクタ1は、上記キャップ4を用いることにより、回路基板(図示せず)上に該コネクタ1の短手方向で所定の間隔をもって平行に位置して配設されるようになる。
【0052】
図2に示されているように、キャップ4は、合成樹脂製であり、四角板状の本体部81と、該本体部81の四隅位置でそれぞれ下方へ向けて延びキャップ側嵌合部として機能する複数の嵌合突部82とを有している。本体部81は、板面が長方形状をなしており、図2では、該本体部81の長手方向および短手方向がコネクタ1の長手方向および短手方向とそれぞれ一致した姿勢で示されている。該本体部81は、長手方向にてコネクタ1とほぼ同じ寸法で形成されており、二つのコネクタ1に取り付けられた状態において、両コネクタ1の上面の大部分を覆うようになっている(図3参照)。
【0053】
上記嵌合突部82は、各コネクタ1における長手方向での両端部に位置する一対の嵌合凹部15に対応した位置に設けられていて、各対の嵌合凹部15に対応する二つの嵌合突部82がそれぞれ対をなしている。すなわち、キャップ4には、二対の嵌合突部82が設けられている。該嵌合突部82は、キャップ4の短手方向に延びる縁部よりも該キャップ4の長手方向でキャップ内方寄りに位置し該長手方向に対して直角な面をもつ略板状の板状脚部83と、該上記縁部から下方へ延び該板状脚部83の板面と平行した板面をもつ板状の片持ち梁状の弾性片84とを有している。
【0054】
各対の嵌合突部82の板状脚部83は、キャップ4の長手方向で互いに対向する板面が、コネクタ1の嵌合凹部15の基準面15Aと当接して各コネクタ1についての該長手方向での位置を定める基準面83Aとして機能する(図4(A),(B)をも参照)。また、板状脚部83においてコネクタ1の短手方向に対して直角をなす二つの板厚面は、コネクタ1の基準面15B,15Cと当接して各コネクタ1についての該短手方向での位置を定める基準面83B,83Cとして機能する(図4をも(B)参照)。
【0055】
各対の嵌合突部82において、上記長手方向での一対の板状脚部83の基準面83A同士の距離は、コネクタ1における長手方向での一対の基準面15A同士の距離、すなわち該長手方向での中央壁部14の寸法とほぼ等しい(図4(B)参照)。また、各嵌合突部82において上記短手方向での基準面83Bと基準面83Cとの距離、すなわち該短手方向での板状脚部83の寸法は、コネクタ1における短手方向での基準面15Bと基準面15Cとの距離にほぼ等しい(図4(B)参照)。
【0056】
また、キャップ4における二対の嵌合突部82において、一方の対の嵌合突部82の基準面83B;83Cと他方の対の嵌合突部82の基準面83B;83Cとの間の上記短手方向での距離は、予め設定されたコネクタ1同士の所定の間隔と等しくなっている。
【0057】
弾性片84は、その板厚方向(上記長手方向)で上記板状脚部83側へ向けて弾性撓み変位可能となっており、該長手方向に対して直角な二つの板面のうち板状脚部83から離れて位置する板面の下部には、キャップ4をコネクタ1に取り付けた状態で、コネクタ1の固定金具30の係止部31Aと上下方向で係止し合う被係止突部84Aが形成されている。
【0058】
以下、図2ないし図4にもとづいて、二つのコネクタ1の回路基板への実装について説明する。図3は、図2のコネクタ1とキャップ4の嵌合状態を示す全体断面図であり、嵌合突部82と嵌合凹部15との嵌合部分の一部を断面として示している。また、図4は、図3のコネクタ1およびキャップ4の断面図であり、(A)はIVA−IVA断面を示し、(B)はIVB−IVB断面を示している。図4(A)は、コネクタ1の短手方向に対して直角な方向での該コネクタ1およびキャップ4の断面を示しており、図4(B)は、コネクタ1の長手方向に対して直角な方向での該コネクタ1およびキャップ4の断面を示している。
【0059】
まず、図2に示されるように、キャップ4の取付けに先立ち、二つのコネクタ1を、該コネクタ1の短手方向で、予め設定された所定の間隔をもって同一平面上に配置する。そして、キャップ4を該二つのコネクタ1の上方にもたらして、該キャップ4と該コネクタ1の長手方向同士および短手方向同士を一致させるとともに、各対の嵌合突部82をそれぞれ対応するコネクタ1の嵌合凹部15の直上に位置させる。
【0060】
次に、キャップ4を下方へ移動させて、該キャップ4の一対の嵌合突部82を対応する一方のコネクタ1の一対の嵌合凹部15内に上方から嵌入させるとともに、該キャップ4の他の一対の嵌合突部82を対応する他方のコネクタ1の一対の嵌合凹部15内に上方から嵌入させる。該嵌合突部82と嵌合凹部15との嵌合により、図3に示されるように、該キャップ4が二つのコネクタ1に取り付けられ、該二つのコネクタ1同士が短手方向で連結される。上記嵌合突部82と上記嵌合凹部15との嵌合途中において、該嵌合突部82の弾性片84は、固定金具30の板状部31の板面に押されて弾性変位し、該板状部の孔部の位置に到達すると自由状態に戻る。この結果、図4(A)に見られるように、上記弾性片84の被係止突部84Aと上記板状部31の係止部31Aとがキャップ4の挿抜方向(上下方向)で係止可能な状態となる。このようにして、コネクタ1にキャップ4を取り付けることにより、該コネクタ1とキャップ4との組立体が完成する。
【0061】
上記嵌合突部82と上記嵌合凹部15との嵌合途中そして嵌合状態において、一対の嵌合突部82の基準面83Aと一対の嵌合凹部15の基準面15Aとがそれぞれコネクタ1の長手方向で当接し、各コネクタ1について、該長手方向での位置が定められる。つまり、一対の基準面83A同士が協働しそして一対の基準面15A同士が協働することにより、各コネクタ1は、上記長手方向での位置が定められ、同方向での正規位置にもたらされる。
【0062】
また、一対の嵌合突部82の基準面83B,83Cと一対の嵌合凹部15の基準面15B,15Cとがそれぞれコネクタ1の短手方向で当接し、各コネクタ1について、該短手方向での位置が定められる。つまり、上記一対の基準面83B同士の協働、基準面83C同士の協働、そして上記一対の基準面15B同士の協働、基準面15C同士の協働により、各コネクタ1は、上記短手方向での位置が定められ、同方向での正規位置にもたらされる。
【0063】
このように各コネクタ1について、直角な二種の基準面により、上記長手方向および短手方向での位置が定められる結果、キャップ4における嵌合突部82の二つの対同士が協働し、そして二つのコネクタ1における嵌合凹部15の二つの対同士が協働して、該二つのコネクタ1同士間の該長手方向および短手方向での所定の位置関係を維持することができる。
【0064】
コネクタ1とキャップ4との組立体は、該キャップ4の本体部81の上面が吸着装置(図示せず)によって吸着されて搬送され、回路基板上の所定位置に配設される。上記組立体の搬送時そして回路基板への配設時においても、二つのコネクタ1は正規位置からずれることがないので、回路基板上に配設された該二つのコネクタ1同士の所定の位置関係は維持されている。
【0065】
次に、キャップ4が取り付けられたままの状態で各コネクタ1の端子20の接続部21と回路基板上の対応回路部(図示せず)とが半田接続されて、該コネクタ1の実装が完了する。上記対応回路部には、各接続部21に対応し該接続部21とそれぞれ半田接続される複数のパッド(図示せず)が所定位置に形成されている。本実施形態では、上述したように二つのコネクタ1は所定の位置関係を維持して配設されるので、上記接続部21と上記パッドとの位置がずれることを防止でき、正確な位置での半田接続を確実にできる。
【0066】
コネクタ1の実装完了後、キャップ4が取り除かれ、該コネクタ1は、上記中間コネクタ3との嵌合接続が可能な状態となる。本実施形態では、コネクタ1同士の所定の位置関係が維持されているので、他の回路基板にて所定の位置関係で予め配設された二つの相手コネクタ2を、それぞれ対応するコネクタ1に中間コネクタ3を介して同時に嵌合接続させることができる。また、本実施形態では、相手コネクタ2はコネクタ1と全く同じ構成であるので、相手コネクタ2を上記他の回路基板に配設する際にも、上記キャップ4を用いて同様の要領で位置決めすることができる。
【0067】
本実施形態では、キャップ4の本体部81が該本体部81の長手方向および短手方向の二方向に延びる板状をなして形成されているので、コネクタ1の位置決めのための基準面83A,83B,83Cが形成された嵌合突部82同士の上記二方向での距離がずれることない。したがって、上記キャップ4の基準面83A,83B,83Cによってコネクタ1の上記二方向での位置を正確に定めることができる。また、上記本体部81の上面を吸着面として利用できるので、キャップ4と二つのコネクタ1との組立体を容易に搬送することができる。
【0068】
本実施形態では、コネクタ1の嵌合凹部15は、中間コネクタ3の端壁43の板壁部44および鉤部45とキャップ4の嵌合突部82との両方と嵌合可能となっている。すなわち、本実施形態では、嵌合凹部15は、コネクタ使用時にて、中間コネクタ3の上記板壁部44および鉤部45と嵌合する嵌合部として機能し、コネクタ使用前における回路基板へのコネクタの配設時にて、キャップ4の嵌合突部82と嵌合する嵌合部として機能している。
【0069】
したがって、上記中間コネクタ3の上記板壁部44および鉤部45との嵌合のための嵌合部以外に、さらに、キャップ4の嵌合突部82と嵌合させるための嵌合部を別途設ける必要がなくなるので、コネクタ1の大型化を防止できる。また、コネクタ1の形状が簡単となるので、その分、製造コストを抑制できる。
【0070】
また、コネクタ1の嵌合凹部15は、中間コネクタ3の板壁部44および鉤部45とキャップ4の嵌合突部82との両方と嵌合可能となっているので、該嵌合凹部15と上記板壁部44および鉤部45の嵌合のために両者の間に通常設けられる隙間と、該嵌合凹部15と上記嵌合突部82との嵌合のために両者の間に通常設けられる隙間とを同程度にすることができる。したがって、上記中間コネクタ3との隙間とキャップ4との隙間とを別個に考慮する必要がないので、該コネクタ1の製造時そして実装時における寸法管理が容易となる。
【0071】
本実施形態では、二つのコネクタにキャップを取り付けることとしたが、キャップが取り付けられるコネクタの数はこれに限られず、三つ以上であってもよい。この場合、キャップには、コネクタの数と同数の対の嵌合突部が設けられる。
【0072】
本実施形態では、複数のコネクタがその短手方向で配設されることとしたが、本発明が適用可能なコネクタの配設方向はこれに限られず、複数のコネクタが所定の間隔をもって配されているのであれば、本発明を適用できる。例えば複数のコネクタの長手方向で配設される場合にも、該複数のコネクタに取付可能な形状でキャップを形成することにより、本発明を適用することが可能である。
【0073】
<第二実施形態>
本実施形態は、キャップに嵌合凹部が設けられ、コネクタに嵌合突部が設けられている点で、キャップに嵌合突部が設けられ、コネクタに嵌合凹部が設けられている第一実施形態と構成が異なっている。
【0074】
図5は、複数のコネクタ5とキャップ6とを分離した状態で示す全体斜視図である。図6は、図5のコネクタ5とキャップ6の嵌合状態を示す全体断面図である。該図6では、コネクタ5の嵌合突部144の一部およびキャップ6の嵌合凹部182の一部が断面として示されている。また、図7は、図6のコネクタ5およびキャップ6のVII−VII断面図であり、上下方向における嵌合突部144と嵌合凹部182との嵌合部分の位置での横断面を示している。
【0075】
図5,6に見られるように、本実施形態に係るコネクタ5は、第一実施形態のコネクタ1のように回路基板上に実装されるコネクタであり、第一実施形態の中間コネクタ3のようにブレード組立体を保持し、相手コネクタ(図示せず)と上下方向で嵌合する。該コネクタ5は、合成樹脂製の筒状のハウジング140と、該ハウジング140の短手方向で対面して該ハウジング140に保持される板状の二つのブレード組立体150と、コネクタ5の長手方向でのハウジング140の両端部で該ハウジング140に保持される固定金具130とを有している。
【0076】
上記ハウジング140の端壁143は、その上部が、上下方向での他部の端面よりもコネクタ5の長手方向に没している。該上部における端壁143は、該長手方向に対して直角な板面をもちコネクタ側嵌合部として機能する嵌合突部144を有している。
【0077】
上記嵌合突部144は、コネクタ5の短手方向での一部が他部よりも板厚寸法、すなわち上記長手方向での寸法が大きくなっていて、この板厚になっている部分には、ブレード組立体150の上端よりも上方へ突出した先細形状の被案内部145を有している。該被案内部145は、上記長手方向に傾斜する一対の被案内面と上記短手方向に傾斜する一対の被案内面とを有しており、これらの被案内面が、後述するキャップ6の嵌合凹部182の下縁部と当接することにより、嵌合突部144が該嵌合凹部182内に円滑に導入案内されるようになっている。
【0078】
コネクタ5の長手方向での両端にそれぞれ位置する嵌合突部144において、該長手方向で対向する板面は、後述するように、コネクタ5にキャップ6が取り付けられた際に、該長手方向での該コネクタ5の位置を定めるための基準面144Aとして機能する(図7参照)。
【0079】
また、上記嵌合突部144のうち、コネクタ5の短手方向に対して直角な二つの板厚面は、後述するように、コネクタ5にキャップ6が取り付けられた際に、該短手方向での該コネクタ5についての位置を定めるための基準面144B,144Cとして機能する(図7をも参照)。該基準面144B,144Cは、上記短手方向で、ブレード組立体150のグランド板170の板面と同位置にある(図7をも参照)。
【0080】
図5および図6に見られるように、ブレード組立体150は、その下部で端子161の接続部162が上記短手方向でハウジング140外へ延び、回路基板の対応回路部と半田接続可能となっていることを除き、第一実施形態のブレード組立体50と同じ構成である。また、固定金具130は、第一実施形態の固定金具30と同じ構成である。
【0081】
図5に見られるように、合成樹脂製のキャップ6は、その本体部が四角板状をなしており、同図では、その長手方向および短手方向が、コネクタ5の長手方向および短手方向と一致した姿勢で示されている。該キャップ6の四隅位置はキャップ側嵌合部として機能する複数の嵌合凹部182が上下方向に貫通した孔部として形成されている。上記嵌合凹部182は、各コネクタ5における上記長手方向での両端部に位置する一対の嵌合突部144に対応した位置に設けられていて、各対の嵌合突部144に対応する二つの嵌合凹部182がそれぞれ対をなしている。すなわち、キャップ6には、二対の嵌合凹部182が設けられている。
【0082】
上記嵌合凹部182は、キャップ6の板面に平行な断面が四角形状をなしており、該嵌合凹部182の内壁面は、上記長手方向で対向する二つの面と上記短手方向で対向する二つの面とから成る。該嵌合凹部182内には、図6によく見られるように、上記長手方向で対向する二つの面のうち該長手方向にてキャップ外方側に位置する面の上部に連結され下方へ延びる弾性片184が形成されている。該弾性片184は該面と平行した板面をもち板厚方向に弾性変位可能な板状の片持ち梁状をなしている。
【0083】
図5に見られるように、各対の嵌合凹部182の内壁面において、弾性片184が設けられている面と上記長手方向で対向する面は、コネクタ5の嵌合突部144の基準面144Aと当接して各コネクタ5についての該長手方向での位置を定める基準面182Aとして機能する(図7をも参照)。また、各対の嵌合凹部182の内壁面において、上記短手方向で対向する二つの面は、コネクタ5の基準面144B,144Cと当接して各コネクタ5についての該短手方向での位置を定める基準面182B,182Cとして機能する(図7をも参照)。
【0084】
図7に見られるように、各対の嵌合凹部182において、上記長手方向での一対の基準面182A同士の距離は、コネクタ5における長手方向での一対の基準面144A同士の距離とほぼ等しい。また、各嵌合凹部182において上記短手方向での基準面182Bと基準面182Cとの距離、すなわち該短手方向での嵌合凹部182の寸法は、該短手方向での基準面144Bと基準面144Cとの距離にほぼ等しい。
【0085】
また、キャップ6の二対の嵌合凹部182において、一方の対の嵌合凹部182の基準面182B,182Cと他方の対の嵌合凹部182の基準面182B,182Cとの間のキャップ6の短手方向での距離は、予め設定されたコネクタ5同士の所定の間隔と等しくなっている。
【0086】
図6に見られるように、弾性片184は、その板厚方向(上記長手方向)で上記基準面182Aから離れるように弾性撓み変位可能となっており、該長手方向に対して直角な二つの板面のうち上記基準面182A側に位置する板面の下部には、キャップ6をコネクタ5に取り付けた状態で、コネクタ5の嵌合突部144を押圧する押圧突部184Aが形成されている。
【0087】
以下、図5ないし図7にもとづいて、二つのコネクタ5の回路基板への実装について説明する。第一実施形態と同様に、まず、図5に示されるように、キャップ6の取付けに先立ち、予め設定された所定の間隔をもって同一平面上に配置された二つのコネクタ5の上方にキャップ6をもたらす。次に、キャップ6を下方へ移動させて、それぞれのコネクタ5における一対の嵌合突部144を対応するキャップ6の一対の嵌合凹部に182内に下方から嵌入させる。この結果、図6に示されるように、キャップ6が二つのコネクタ5に取り付けられ、該二つのコネクタ5同士が短手方向で連結される。このようにして、コネクタ5にキャップ6を取り付けることにより、該コネクタ5とキャップ6との組立体が完成する。
【0088】
上記嵌合突部144と上記嵌合凹部182との嵌合途中において、嵌合凹部182内に位置する弾性片184は、嵌合突部144の板面に押し込まれて弾性変位し、その反力によって該押圧突部184Aで該嵌合突部144の板面を押圧する。この結果、キャップ6の嵌合凹部182の基準面182Aと上記弾性片184とによってコネクタ5の嵌合突部144を該コネクタ5の長手方向で挟圧することにより、上記キャップ6の不用意な外れが防止される。
【0089】
本実施形態も、上記嵌合突部144と上記嵌合凹部182との嵌合途中そして嵌合状態における、コネクタ5の長手方向および短手方向での該コネクタ5の位置決めの形態は、第一実施形態と同様である。つまり、図7に見られるように、一対の嵌合突部144の基準面144Aと一対の嵌合凹部182の基準面182Aとの上記長手方向での当接、一対の嵌合突部144の基準面144B,144Cと一対の嵌合凹部182の基準面182B,182Cとの上記短手方向での当接により、コネクタ5は上記長手方向および短手方向での位置決めされる。このように、本実施形態でも、一対の基準面144A,144B,144C,182A,182B,182C同士がそれぞれ協働することにより上記長手方向および短手方向での正規位置にもたらされる。
【0090】
このように各コネクタ5について、直角な二種の基準面により、上記長手方向および短手方向での位置が定められる結果、キャップ6における嵌合凹部182の二つの対同士が協働し、そして二つのコネクタ5における嵌合突部144の二つの対同士が協働して、該二つのコネクタ5同士間の上記長手方向および短手方向での所定の位置関係を維持することができる。
【0091】
コネクタ5が、キャップ6が取り付けられたままの状態で回路基板上の対応回路部(図示せず)と半田接続されて実装され、実装完了後にキャップが取り除かれて相手コネクタ(図示せず)と嵌合接続が可能な状態となることは第一実施形態と同様である。
【0092】
また、上記相手コネクタにキャップ6の嵌合凹部と同形状の嵌合凹部を設けコネクタ5の嵌合突部144と嵌合可能とすることにより、第一実施形態のように、コネクタ5の大型化を防止そして製造コストの抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1,5 コネクタ 81 本体部
4,6 キャップ 82,144 嵌合突部
10,140 ハウジング 83A,83B,83C 基準面
15,182 嵌合凹部 144A,144B,144C 基準面
15A,15B,15C 基準面 182A,182B,182C 基準面
20 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタと、該回路基板上への配設前の該複数の電気コネクタに取り付けられて該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する電気コネクタ用のキャップとを有する組立体において、
上記キャップは、回路基板への上記複数の電気コネクタの配設時に該回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部と、回路基板に対して直角な方向で各電気コネクタに対して二位置で嵌合する複数のキャップ側嵌合部対とを有し、各電気コネクタは、上記キャップ側嵌合部対が嵌合するコネクタ側嵌合部対を有していて、上記複数のキャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタ側嵌合部対は、互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、全ての電気コネクタについて、キャップ側嵌合部対同士そしてコネクタ側嵌合部対同士が協働して複数の電気コネクタ間の上記所定の位置関係を維持するようになっていることを特徴とする電気コネクタとキャップとの組立体。
【請求項2】
コネクタ側嵌合部対は、コネクタ使用時にて、回路基板に対して直角な方向で相手コネクタの対応嵌合部対と嵌合可能となっていることとする請求項1に記載の電気コネクタとキャップとの組立体。
【請求項3】
キャップ側嵌合部対およびコネクタ側嵌合部対は、電気コネクタのハウジングおよびキャップの本体部のいずれか一方に形成された一つの凹部と他方に設けられ回路基板に対して直角な方向で該凹部に嵌着される一つの突部とを有しており、該凹部の内壁面および該突部の外壁面に基準面が形成されていることとする請求項1または請求項2に記載の電気コネクタとキャップとの組立体。
【請求項4】
キャップの本体部は、回路基板に対して平行に延びる板面を有していることとする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の電気コネクタとキャップとの組立体。
【請求項5】
回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタに該回路基板上への配設前に取り付けられ該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する電気コネクタ用のキャップにおいて、
上記キャップは、回路基板への上記複数の電気コネクタの配設時に回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部と、回路基板に対して直角な方向で各電気コネクタに対して二位置で嵌合する複数のキャップ側嵌合部対とを有し、各電気コネクタは、上記キャップ側嵌合部対が嵌合するコネクタ側嵌合部対を有していて、上記複数のキャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタ側嵌合部対は、互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、全ての電気コネクタについて、キャップ側嵌合部対同士そしてコネクタ側嵌合部対同士が協働して複数の電気コネクタ間の上記所定の位置関係を維持するようになっていることを特徴とする電気コネクタ用のキャップ。
【請求項6】
回路基板上に所定の位置関係で配設される複数の電気コネクタの該回路基板への実装方法であって、該複数の電気コネクタを上記位置関係で連結する電気コネクタ用のキャップを該複数の電気コネクタに取り付けてから、回路基板へ該複数の電気コネクタを配設して実装する方法において、
上記キャップは、回路基板への上記複数の電気コネクタの配設時に該回路基板に対して平行な面内で一方向とこれに直角な他方向とで二方向に延びる本体部と、回路基板に対して直角な方向で各電気コネクタに対して二位置で嵌合する複数のキャップ側嵌合部対とを有し、各電気コネクタは、上記キャップ側嵌合部対が嵌合するコネクタ側嵌合部対を有していて、上記複数のキャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタ側嵌合部対は、互いに協働して各電気コネクタについての上記二方向での位置を定めるための基準面が形成されていて、上記キャップ側嵌合部対およびこれに対応するコネクタの嵌合部対を嵌合させることにより、全ての電気コネクタについて、キャップ側嵌合部対同士そしてコネクタ側嵌合部対同士を協働させて複数の電気コネクタ間の上記所定の位置関係を維持した状態で該複数の電気コネクタを回路基板上に配設して実装することを特徴とする電気コネクタの実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−53996(P2012−53996A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193319(P2010−193319)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】