説明

電気コネクタ

【課題】完全密封構造で、開閉扉の不用意な開放を防止し、バネ材等の部材を用いることなく安定して開閉扉の開状態または閉状態を保持できる開閉扉付き電気コネクタを提供する。
【解決手段】フランジ部2dが形成された箱形ケースにコネクタ端子3を収容した第1コネクタ1と、フランジ部2dの内側に配置された軸4と、軸4に回動自在に軸支された開閉扉5と、コネクタボディを有し、コネクタボディの少なくとも1つの側壁部に第1ガイドと第2ガイドを形成した第2コネクタ7と、を備え、第2コネクタ7の第1コネクタ1への挿入または引く抜き時、第1ガイド凹部および第2ガイド凹部に開閉扉5を位置させて挿入または引き抜きのガイドとすると共に、第1ガイド凹部および第2ガイド凹部を形成する隔壁部が開閉扉5を押圧して回動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン、カメラ、医療機器および測定機器等に使用される微少サイズの電気コネクタに関し、特に、防塵のため箱形ケースに収容された受け入れ側コネクタに差し込み側コネクタを挿入して受け入れ側コネクタと差し込み側コネクタを接続する密封構造の開閉扉付き電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
実開平5−61975号公報には、受け入れ側コネクタを収容したハウジングの開口部にトーションバネにより閉方向に付勢された一対の開閉扉を軸支し、差し込み側コネクタを挿入することにより開閉扉を押し開き、差し込み側コネクタを引き抜くと、開閉扉の軸に配置したトーションバネのバネ力により開閉扉を閉じるようにした開閉扉付き電気コネクタが開示されている。
【0003】
また、特開平11−8005号公報には、作業者がコネクタ内の端子に誤って触るのを防止する高電圧および強電流に適応可能な電気コネクタにおいて、受け入れ側コネクタを収容したケースの開口部に回動軸を配置し、回動軸に突条と開閉扉を回動自在に軸支し、受け入れ側コネクタを収容したケースに挿入して受け入れ側コネクタと接続する差し込み側コネクタに挿入ガイド部と係合突部を設け、差し込み側コネクタをケースに挿入する際、差し込み側コネクタに設けた係合突部と受け入れ側コネクタの開閉扉に設けた突条とを係合させて開閉扉を開方向に回動し、差し込み側コネクタをケースから引く抜く際、差し込み側コネクタに設けた係合突部と受け入れ側コネクタの開閉扉に設けた突条との係合で開閉扉を閉方向に回動し、開閉扉を開状態、閉状態に保持するため、開閉扉の端部に係合突起を設け、ケース内に係合突起と係合する閉および開用係合穴を設けた開閉扉付き電気コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−61975号公報
【特許文献2】特開平11−8005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された開閉扉付き電気コネクタは、受け入れ側コネクタを収容するハウジングが外部から完全に密封された構造でないため、塵等のハウジング内への浸入を完全に防ぐことは困難である。また、開閉扉を閉状態に付勢するためトーションバネ等のバネ手段が必要であるため、コネクタ組立時にトーションバネを捻りながらセットしなければならず、組立作業が繁雑になるという問題を有する。さらに、トーションバネ等のバネ材は、使用時間、使用回数が増加すると疲労劣化するという問題がある。
【0006】
特許文献2に開示された開閉扉付き電気コネクタは、開閉扉にバネを用いていないため、バネの疲労劣化の問題と組立の困難性は解消されている。しかし、開閉扉に設けた突条がケースの外に露出した状態であるため、ケースを完全に密封する構造ではない。また、開閉扉を開状態、閉状態に保持するため、開閉扉の端部に係合突起を設け、ケース内に係合突起と係合する閉および開用係合穴を貫通して設ける必要があり、ケースを密封する構造にはなっていない。そもそも、特許文献2で開示された電気コネクタは、高電圧、強電流に適応可能な電気コネクタであって、作業者がコネクタ内の端子に誤って触るのを防止することを解決すべき課題としており、粉塵等の浸入を防止するような配慮されていない。しかも、密封構造でないためケースに収容されたコネクタピンが外気に露出する状態となり、コネクタピンの腐食と、腐食による接触不良に起因する発熱等の不具合の発生の恐れがある。
【0007】
本発明は、前記従来技術のもつ課題を解決する、密封構造で、開閉扉の不用意な開放を防止し、バネ材等の部材を用いることなく安定して開閉扉の開状態または閉状態を保持できる開閉扉付き電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気コネクタは、前記課題を解決するために、開口部を縮小するフランジ部が形成された箱形ケースにコネクタ端子を収容した第1コネクタと、前記フランジ部の内側に配置された軸と、前記軸に回動自在に軸支され、軸部に第1歯部と第2歯部を形成した開閉扉と、前記第1コネクタのコネクタ端子と接続するコネクタ端子を配置したコネクタボディを有し、前記コネクタボディの少なくとも1つの側壁部に第1ガイド凹部と第2ガイド凹部を形成した第2コネクタと、を備え、前記第2コネクタの前記第1コネクタへの挿入または引く抜き時、前記第1ガイド凹部および第2ガイド凹部が前記第1歯部および前記第2歯部を位置させて挿入または引き抜きのガイドとすると共に、前記第1ガイド凹部および前記第2ガイド凹部を区画する隔壁部が前記第1歯部および前記第2歯部を押圧して前記開閉扉を開方向または閉方向に回動することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電気コネクタは、前記箱形ケースに一端を固定された弾性変形可能なロック部材を少なくとも1つ配置し、前記ロック部材の端部に前記開閉扉の閉状態時、前記開閉扉をロックするロック溝を形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電気コネクタは、前記ロック部材の先端部に突出部を形成し、前記コネクタボディに係合凹部を形成し、前記第1コネクタと前記第2コネクタの接続時、前記突出部が前記係合凹部に係合することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電気コネクタは、前記フランジ部の内壁に前記第2歯部を係合する第1係合段部を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電気コネクタは、前記フランジ部の内壁に前記開閉扉の前記軸部の先端部を係合する第2係合段部を形成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電気コネクタは、前記開閉扉を一対の開閉扉とし、前記一対の開閉扉の対向する端部を閉状態で互いにに係合する櫛歯状とすることを特徴とする。
【0014】
まや、本発明の電気コネクタは、前記第1コネクタの外形寸法を縦横10mm以内とし、前記第2コネクタの外形寸法を7mm以内とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
開口部を縮小するフランジ部が形成された箱形ケースにコネクタ端子を収容した第1コネクタと、前記フランジ部の内側に配置された軸と、前記軸に回動自在に軸支され、軸部に第1歯部と第2歯部を形成した開閉扉と、前記第1コネクタのコネクタ端子と接続するコネクタ端子を配置したコネクタボディを有し、前記コネクタボディの少なくとも1つの側壁部に第1ガイド凹部と第2ガイド凹部を形成した第2コネクタと、を備え、前記第2コネクタの前記第1コネクタへの挿入または引く抜き時、前記第1ガイド凹部および前記第2ガイド凹部に前記第1歯部および前記第2歯部を位置させて挿入または引き抜きのガイドとすると共に、前記第1ガイド凹部および前記第2ガイド凹部を形成する隔壁部が前記第1歯部および前記第2歯部を押圧して前記開閉扉を開方向または閉方向に回動する構成により、バネ材を用いることなく開閉扉をケースの内側で開閉方向に回動するので、回動部がケースの外に露出することなく完全な密封構造とすることができ、塵等の浸入を防止できる。また、コネクタピンが露出していないため、腐食による接触不良と、これに起因する発熱を防止できる。
箱形ケースに一端を固定された弾性変形可能なロック部材を少なくとも1つ配置し、前記ロック部材の端部に前記開閉扉の閉状態時、前記開閉扉をロックするロック溝を形成した構成により、開閉蓋の閉状態をトーションバネ等を用いることなく安定して保持することができる。
ロック部材に係合凸部を形成し、前記コネクタボディの側面に係合凹部を形成し、前記第1コネクタと前記第2コネクタの接続時、前記係合凸部が前記係合凹部に係合する構成により、第1コネクタと前記第2コネクタの接続状態を安定して保持することができる。
フランジ部の内壁に前記第2歯部を係合する第1係合段部を形成する構成により、開閉扉の閉方向の回動のストッパとして機能することができる。
フランジ部の内壁に前記開閉扉の軸部の先端部を係合する第2係合段部を形成する構成により、開閉扉の開方向の回動のストッパとして機能することができる。
開閉扉を一対の開閉扉とし、前記一対の開閉扉の対向する端部を閉状態で互いにに係合する櫛歯状とする構成により、開閉扉の開閉に伴う回動軌跡寸法を短くすることができ、コネクタの寸法を短くすることができる。
第1コネクタの外形寸法を縦横10mm以内とし、第2コネクタの外形寸法を7mm以内とする構成により、パソコン、カメラ、医療機器および測定機器等に使用される微少サイズの電気コネクタとして適した電気コネクタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)(b)本発明の電気コネクタの第1実施形態を示す図である。
【図2】(a)(b)ロック部材を示す図である。
【図3】(a)(b)第2コネクタを示す図である。
【図4】(a)(b)第2コネクタを第1コネクタに挿入する第1段階を示す図である。
【図5】(a)(b)第2コネクタを第1コネクタに挿入する第2段階を示す図である。
【図6】(a)(b)第2コネクタを第1コネクタに挿入する第3段階を示す図である。
【図7】(a)(b)第2コネクタを第1コネクタに挿入する第4段階を示す図である。
【図8】(a)(b)第2コネクタを第1コネクタに嵌合した状態の第5段階を示す図である。
【図9】(a)(b)本発明の電気コネクタの第2実施形態を示す図である。
【図10】(a)(b)本発明の電気コネクタの第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図により説明する。第1図(a)(b)は、本発明の電気コネクタの第1実施形態を示す図である。
【0018】
電気コネクタを構成する第1コネクタ1は、底壁部2aと4つの側壁部2b、2b、2c、2cからなら箱形ケース2を備えている。箱形ケースの先端開口部に開口部を縮小するように4つの側壁部2b、2b、2c、2cから内側に直角に延びるフランジ部2dが形成される。箱形ケース2は絶縁性の合成樹脂等で形成する。第1コネクタ1の箱形ケース2の底壁部2aに雄コネクタ端子3が配置される。この実施形態では、雄コネクタ端子3を配置しているが、雌コネクタ端子を箱形ケース2に配置しても良い。
【0019】
箱形ケース2のフランジ部2dの内側に水平に延びる軸4がその両端を箱形ケース2の側壁部2c、2cに固定して配置する。第1実施形態では開閉扉5が2枚であるので軸4が2本平行に配置される。軸4は、絶縁性の合成樹脂等で形成する。
【0020】
2本の軸4にはそれぞれ開閉扉5が回動自在に軸支される、開閉扉5は、軸4に軸支される軸部5aが一体に形成される。軸部5aの先端部5fは、第1コネクタ1に装着される前の自由状態での外形寸法が第1コネクタ1の側壁部2bの内径寸法より若干大きく作られている。箱形ケース2のフランジ部2dの内壁には軸部5aの回動をガイドする曲面部と、軸部5aの先端部5fを係合する第2係合段部2fが形成される。したがって、先端部5fは、前記曲面部を押圧しながら回動し、軸部5aの先端部5dが第2係合段部2fに係合されたとき、開閉扉5が第1コネクタ1の軸方向と平行になり、雌コネクタ端子が雄コネクタ端子に完全に接続したことを確認するようになっている。一方、軸部5aには、第1歯部5bと第2歯部5cが軸部5a表面から外方向に突出して形成される。箱形ケース2のフランジ部2dの内壁には軸部5aの回動をガイドする曲面部と、軸部5aに形成した第2歯部5cを係合する第1係合段部2eが形成される。開閉扉5が閉状態時、開閉扉5の軸部5aに形成された第2歯部5cが第1係合段部2eに係合され、開閉扉5の閉方向の回動を制限するストッパとして機能する。開閉蓋5は絶縁性の合成樹脂等で形成される。
【0021】
2本の軸4にそれぞれ回動自在に軸支された一対の開閉扉5の相対する端部に櫛歯状端部5dが形成される。開閉扉5の閉状態時、1対の開閉扉5の櫛歯状端部5dが互いに噛合し密封状態に箱形ケース2の開口部を閉状態にする。1対の開閉扉5は相対する端部を櫛歯状端部5dとすることで、開閉扉5の開閉に伴う回動軌跡半径を小さくすることができ、開閉扉5の回動による雄コネクタ端子3との干渉を防止するスペースを少なくすることができるので電気コネクタのコンパクト化を実現できる。
【0022】
図2(a)(b)は、箱形ケース2内に配置されるロック部材6を示す図である。
【0023】
ロック部材6は、一端部を箱形ケース2の底壁部2aに固定され、箱形ケース2の開口部方向に側壁部2cに沿って延びる部材である。ロック部材6は、上下に夫々配置しても良いし、上下いずれかに1つ配置しても良い。ロック部材6は弾性変形可能な絶縁性の合成樹脂等で形成される。ロック部材6の先端部には第1コネクタ1の内方に突出した突出部6c、端部近傍には、開閉扉5の閉状態時に一対の開閉扉5を閉状態にロックするロック溝6aが形成される。また、ロック部材6のロック溝6aの近傍にロック溝6aを区画する凸部6bが形成される。
【0024】
図3(a)(b)は、箱形ケース2を有する第1コネクタ1に接続される第2コネクタ7を示す図である。
【0025】
第2コネクタ7は、箱形ケース2の開口部から挿入して第1コネクタ1と接続するコネクタボディ7aを備えている。コネクタボディ7aには第1コネクタ1の雄コネクタ端子3と接続する雌コネクタ端子(図示せず)が収容される。コネクタボディ7aの箱形ケース2への挿入部は4つの側壁部7b、7b、7c、7cを備えた断面矩形の部材で構成される。コネクタボディ7aの先端面には、第1コネクタ1に収容された雄端子3を挿入ガイドするガイド穴7jが形成される。コネクタボディ7aの箱形ケース2への挿入部の断面の大きさを、箱形ケース2の開口部の大きさより若干小さくする。
【0026】
第2コネクタ7の側壁部7b、7bには、挿入方向の先端部から第1ガイド凹部7dと第2ガイド凹部7eが形成される。コネクタボディ7aの挿入方向の先端と第1ガイド凹部7dを区画する部分を第1隔壁部7fとし、第1ガイド凹部7dと第2ガイド凹部7eを区画する部分を第2隔壁部7gとする。コネクタボディ7aの第1ガイド凹部7dと第2ガイド凹部7eが形成されていない側壁部7cには係合凹部7hが形成される。第1コネクタ1にロック部材6を上下に配置した場合、係合凹部7hは、上下の側壁部7c、7cに夫々形成する。コネクタボディ7aは絶縁性の合成樹脂等で形成される。
【0027】
図4(a)(b)〜図8(a)(b)は、第1実施形態の第1コネクタ1に第2コネクタ7を接続するための段階を示す図である。
【0028】
図4(a)(b)は、第1コネクタ1に第2コネクタ7を接続する前の段階を示す図である。図4(b)に示されるように、開閉扉5はロック部材6のロック溝aに係合し閉の状態にロックされている。
【0029】
図5(a)(b)は、第2コネクタ7が第1コネクタ1の箱形ケース2の開口部から挿入を開始した段階を示す図である。この段階で第2コネクタ7のコネクタボディ7aの第1隔壁部7fの先端部が1対の開閉扉5を押圧し始める。図5(b)に示されるように、第2コネクタの第1隔壁部7fの先端部の押圧により、ロック部材6の先端部に形成された突出部6cが押圧され、ロック部材6の先端部が第1コネクタ1の側壁部2c方向に弾性変形し、その結果、1対の開閉扉5は、ロック部材6のロック溝6aからの離脱を開始する。
【0030】
図6(a)(b)は、第2コネクタ7が第1コネクタ1の箱形ケース2内にさらに挿入された段階を示す図である。この段階では、1対の開閉扉5は完全にロック部材6のロック溝6aから離脱する。第2コネクタ7の側壁部7cに形成した第1ガイド凹部7dに開閉扉5の軸部5aに形成した第1歯部5bが位置している。
【0031】
図7(a)(b)は、第2コネクタ7の第2隔壁部7gの第1ガイド凹部7d側の部分が第1歯部5bと係合した状態を示す図である。第2隔壁部7gの第1ガイド凹部7d側の部分が第1歯部5bを押圧して開閉扉4を開方向に回動する。この段階で第2歯部5cは、第2ガイド凹部7eに位置する。
【0032】
図8(a)(b)は、第2コネクタ7の第1コネクタ1への嵌合が終了した段階を示す図である。この段階では、第1歯部5bと第2歯部5cは、第2ガイド凹部7eに位置する。第2コネクタ7のコネクタボディ7aの側壁部7cに形成した係合凹部7hにロック部材6の先端部に形成した突出部6cが係合し、第1コネクタ1と第2コネクタ7の接続状態を保持する。
【0033】
第2コネクタ7を第コネクタ1の箱形ケース2から引き抜く段階を説明する。図8(a)(b)に示す第1コネクタ1と第2コネクタ7の接続状態から第2コネクタ7に引き抜き方向の力を加えると、第2コネクタ7のコネクタボディ7aの側壁部7cに形成した係合凹部7hとロック部材6の先端部に形成した突出部6cの係合が解除されると同時に、軸部5aの先端部5fが第2係合段部2fから離脱する。第2ガイド凹部7eに位置する第1歯部5bと第2歯部5cは、先ず第2歯部5cが第2隔壁部7gの第2ガイド凹部7eの部分と係合し、第2隔壁部7gの第2ガイド凹部7eの部分に押圧され閉方向に回動する。
【0034】
閉方向の回動が進むと、第1歯部5bが第1ガイド凹部7dに位置し、第1隔壁部7fの第1ガイド凹部7d側の部分と係合する。第1歯部5bが第1隔壁部7fの第1ガイド凹部7d側の部分に押圧され開閉扉5を閉方向に回動する。第1歯部5bが第1ガイド凹部7dから離脱し、第2歯部5cがフランジ部2dに形成した第1係合段部2eに係合されると開閉扉5の閉方向の回動は阻止され、1対の開閉扉5の櫛歯状端部5dが互いに係合し箱形ケース2の開口部を密封して閉鎖する。この状態で、ロック部材6のロック溝6aに1対の開閉扉5が係合し、1対の開閉扉5は閉状態にロックされる。また、前述のように、軸部5aの先端部5fが、曲面部を押圧しながら回動するようにすれば、雄、雌コネクタ端子が相互に離脱した後でも、急激に引き抜き力が低下することなく、スムーズに雄、雌コネクタを引き抜くことができる。
【0035】
図9は、(a)(b)本発明の電気コネクタの第2実施形態を示す図である。
【0036】
第2実施形態の電気コネクタは、第1コネクタ1の箱形ケース2の開口部に1対の開閉扉5を回動自在に配置する。2本の軸4にそれぞれ回動自在に軸支された一対の開閉扉5の相対する端部にはそれぞれ係合段部5eが形成され、1対の開閉扉5が閉の状態でそれぞれの係合段部5eが係合し密封機能を向上させる。他の構成は、第1実施形態の電気コネクタと同様であるので説明を省略する。
【0037】
図10は、(a)(b)本発明の電気コネクタの第3実施形態を示す図である。
【0038】
第3実施形態の電気コネクタは、第1コネクタ1の箱形ケース2の開口部に一つの開閉扉5を回動自在に配置する。開閉扉5が1つなので、第2コネクタ7のコネクタボディ7aの側壁部7bに形成する第1ガイド凹部7d、第2ガイド凹部7e、第1隔壁部7f、第2隔壁部7gは、開閉扉5の回動部側の1つの側壁部7bのみに形成する。他の構成は、第1実施形態の電気コネクタと同様であるので説明を省略する。
【0039】
以上のように、本発明の電気コネクタによれば、完全密封構造で塵等の浸入を防止でき、開閉扉の不用意な開放を防止し、バネ材等の部材を用いることなく安定して開閉扉の開状態または閉状態を保持できる。
【符号の説明】
【0040】
1:第1コネクタ、2:箱形ケース、2a:底壁部、2b、2c:側壁部、2d:フランジ部、2e:第1係合段部、2f:第2係合段部、3:雄端子、4:軸、5:開閉扉、5a:軸部、5b:第1歯部、5c:第2歯部、5d:櫛歯状端部、5e:係合段部、5f:軸部の先端部、6:ロック部材、6a:ロック溝、6b:凸部、6c:突出部、7:第2コネクタ、7a:コネクタボディ、7b、7c:側壁部、7d:第1ガイド凹部、7e:第2ガイド凹部、7f:第1隔壁部、7g:第2隔壁部、7h:係合凹部、7j:ガイド穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を縮小するフランジ部が形成された箱形ケースにコネクタ端子を収容した第1コネクタと、
前記フランジ部の内側に配置された軸と、
前記軸に回動自在に軸支され、軸部に第1歯部と第2歯部を形成した開閉扉と、
前記第1コネクタのコネクタ端子と接続するコネクタ端子を配置したコネクタボディを有し、前記コネクタボディの少なくとも1つの側壁部に第1ガイド凹部と第2ガイド凹部を形成した第2コネクタと、
を備え、
前記第2コネクタの前記第1コネクタへの挿入または引く抜き時、前記第1ガイド凹部および第2ガイド凹部に前記第1歯部および前記第2歯部を位置させて挿入または引き抜きのガイドとすると共に、前記第1ガイド凹部および第2ガイド凹部を形成する隔壁部が前記第1歯部および前記第2歯部を押圧して前記開閉扉を開方向または閉方向に回動することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記箱形ケースに一端を固定された弾性変形可能なロック部材を少なくとも1つ配置し、前記ロック部材の端部に前記開閉扉の閉状態時、前記開閉扉をロックするロック溝を形成することを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ロック部材の先端部に突出部を形成し、前記コネクタボディに係合凹部を形成し、前記第1コネクタと前記第2コネクタの接続時、前記突出部が前記係合凹部に係合することを特徴とする請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記フランジ部の内壁に前記第2歯部を係合する第1係合段部を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記フランジ部の内壁に、前記開閉扉の軸部の先端部を係合する第2係合段部を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記開閉扉を一対の開閉扉とし、前記一対の開閉扉の対向する端部を閉状態で互いに係合する櫛歯状とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記第1コネクタの外形寸法を縦横10mm以内とし、前記第2コネクタの外形寸法を7mm以内とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−218880(P2010−218880A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64216(P2009−64216)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(502254774)有限会社小野製作所 (5)
【Fターム(参考)】