説明

電気光学変調器

【課題】消費電力増大の抑制、サイズの小型化、プロセスばらつきによる特性変動の抑制およびシステム構成の複雑化を回避可能とする電気光学変調器の提供。
【解決手段】信号光源1011から出力された信号光を信号光源側偏光方向調整部1021にて偏光方向を調整し、変調部1031は、EO効果により変調を与え、参照光源1041から出力され参照光源側偏光方向調整部1022で信号光と同方向に偏光を調整した参照光を信号光と干渉した強度変調光を受光部1051に入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学変調器に関し、特に光通信や光インターコネクションの分野に用いて好適な電気光学変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンフォトニクスは、光通信から光インターコネクションにわたる幅広い応用に対して、低コスト、高集積化や低消費電力を可能とする技術として注目されている。中でもここ数年における要素デバイスの進展はめざましい。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術に互換の光機能素子および電子回路をシリコンプラットフォーム上に集積することも現実的になってきている。光回路とシリコン半導体を融合したシリコンフォトニクス技術が実用化すれば、現在のLSI(Large Scale Integration)間の電気配線を光配線に置き換えることが可能となる。この際、LSI間の配線長が1cm程度を超えると、光配線の優位性が大きくなり、例えばデータセンタ間の光配線やインターネット通信の省電力化への貢献が期待されている。
【0003】
近年、シリコン・ベースの導波路、光結合器、および波長フィルタなどの受動デバイスが広く研究されている。また、このような通信システム用の光信号を操作する手段の重要な技術として、シリコン・ベースの光変調器や光スイッチなどの能動素子が注目されている。
【0004】
シリコンフォトニクス技術を次世代の高機能コンピューティングに適用するためには、省電力化、集積化やプロセストレランスの向上が重要であり、要素デバイスである光変調器のさらなる低消費電力化、小型化やプロセス最適化が求められている。
【0005】
シリコン・ベースの光変調素子において、熱光学効果を利用して屈折率を変化させる構造は、1Mb(megabits)/秒程度の低速の変調周波数までの装置速度にしか使用できない。したがって、より多くの光通信システムにおいて要求されている高い変調周波数を実現するためには、電気光学効果を利用した電気光学変調器が望ましい。
【0006】
現在、各機関で検討されている電気光学変調器の多くは、キャリア・プラズマ効果を利用した変調器である。キャリア・プラズマ効果とは、材料中の電子やホールなど自由に動ける電荷の濃度によって材料の屈折率が変化する効果をいう。この効果を利用した変調器は、屈折率の実数部と虚数部を変化させて光の位相や強度を変化させている。
【0007】
一般的なキャリア・プラズマ効果を用いた変調器の構造の一例として、図1に特許文献1に開示された構成を示す。図1は、特許文献1の図1を引用したものである。この電気光学変調器は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板上に形成されたリブ導波路形状を利用したシリコン・ベース電気光学位相変調器である。この電気光学位相変調器は、真性半導体シリコン領域2からなるリブ形状の両側に横方向に延びるスラブ領域がp+ドープ半導体シリコン(pタイプ領域)6、またはn+半導体ドープシリコン(nタイプ領域)8として形成されている。上記リブ導波路構造は、SOI基板5上のSi層(埋込酸化物ケイ素層(BOX:Berried Oxide layer))4を利用して形成される。この構造では、真性半導体領域内の自由キャリア密度を変化させ、キャリア・プラズマ効果を利用することにより、リブ導波路3内の屈折率を変化させる構造となっている。真性シリコン層2は、第1の電極コンタクト層(第1の電気接触子)7と接触する領域に高濃度にドープ処理されたpタイプ領域6を含むように形成されている。真性シリコン層2は、高濃度にnタイプドープ処理されたnタイプ領域8及び関連する第2の電極コンタクト層(第2の電気接触子)9を含む。上記PINダイオードの構造においては、pタイプ領域6およびnタイプ領域8は、cm毎に約1020のキャリア密度を呈するようにドープ処理することも可能である。また、上記PIN構造(p−真性(intrinsic−n)において、pタイプ領域6およびnタイプ領域8は、リブ3の両側に間隔を置いて配置されており、リブ3は真性シリコン層2である。真性シリコン層2の上面は、酸化物クラッドで覆われている。
【0008】
しかしながら、キャリア・プラズマ効果を用いた変調器は、消費電力や素子サイズが大きいという問題がある。
【0009】
その理由は、キャリア・プラズマの効果の大きさが消費電力や素子サイズの限界を決めているためである。
【0010】
このキャリア・プラズマ効果に代えて、入力される電気信号に応じて材料の光学定数(例えば屈折率)を変化することができる電気光学効果(EO効果)の電気光学変調器への利用が提案されており、小型・低消費電力な電気光学変調器の実現が期待されている。
【0011】
しかしながら、シリコンの結晶構造(ダイヤモンド構造)は反転対称性を有するため、通常、線形EO効果(ポッケルス効果ともいう:電界に比例して屈折率が変化)は存在しない。そのため、LiNbO材料のような、線形EO効果を利用したマッハ・ツェンダ型変調器は、シリコン電気光学変調器としては構成できなかった。
【0012】
これに対して、導波路コアを構成するシリコンに、意図的に結晶歪を導入することで結晶対称性を崩し、これにより生じるEO効果を利用した変調器が、例えば非特許文献1に開示されている。
【0013】
図2は特許文献2の図22を引用した図である。図2には、上記キャリア・プラズマ効果やEO効果を用いた一般的な電気光学変調器が示されており、光の干渉を利用したマッハ・ツェンダ(MZ)型の変調器である。
【0014】
一般的なキャリア・プラズマ効果を利用した電気光学変調器は、部分的にキャリア濃度が変化する電気的な構造が作り込まれた光導波路に対して、電圧などの電気信号の入力により屈折率に変化を与えている。光導波路の屈折率の変化の結果、光導波路を伝搬する光に対して、位相変化が生じる。この位相変化は、マッハ・ツェンダ干渉計などに組み込むことで、強度変化へと変換される。かかる構成により、入力された連続光の強度を変調し、変調光として出力する。
【0015】
このようなMZ変調器は、図2に示すように、マッハ・ツェンダ干渉計を構成する2本のアームを備える。2本のアームは、それぞれ分岐等のない一本の光導波路によって形成されている。MZ変調器に入力された連続光は、分岐されて2本のアームを伝搬した後、光カプラで再び結合されて出力される。
【0016】
また、図2に示すように、2本のアームには、それぞれ光導波路の屈折率を変化させるための電極が、当該アームのほぼ全領域にわたって設けられている。そして、各電極を介して各アームに電界を印加し、その光導波路の屈折率を変化させることで、各アームを伝搬する光の位相を変化させ、各アームを伝搬してきた光に位相差を生じさせ、これらを干渉させることで、出力される光の強度を変化させている。
【0017】
上述の電気光学変調器は、光通信や光インターコネクションの分野において、主に光の強度を利用したものであり、光の位相を積極的に活用することはなされていない。
【0018】
これに対して、キャリア信号の2つの位相によりデジタル情報を伝送する位相シフトキーイング(Phase Shift Keying:PSK)や、元の情報データから、一度、差動符号化データビットを得た上で位相変調をかける差動位相シフトキーイング(Differential Phase Shift Keying:DPSK)が広く用いられている。
【0019】
一般的なDPSK方式の一例を図3に示す。図3には、DPSK信号を復調する受信回路の一例が示されている。図3は、特許文献3の図14を引用している。図3において、干渉計(1ビット遅延干渉計)101は、1組の導波路の一方に1ビット遅延素子を備えており、互いに隣接するビット間の位相差に応じた1組の光信号を出力する。バランスドフォトダイオード(Balanced PD)102は、干渉計101から出力される1組の光信号を強度変調信号に変換する。バランスドフォトダイオード102の出力信号は、アンプ103により増幅され、ローパスフィルタ104により、NRZ(Non Return to Zero:非ゼロ復帰)信号に変換される。そして、そのNRZ信号は、NRZデータ用のクロックデータリカバリ(Clock Data Recovery:CDR)回路105によりバイナリデータが得られる。
【0020】
強度変調や位相変調以外の変調方式として、偏光を用いた伝送方式も注目されている。偏光変調方式の関連技術の一例を図4に示す。図4は、特許文献4の図6を引用した図である。一般的な偏光変調を用いた光伝送装置では、クロック信号抽出方法として、位相同期ループ(PLL)回路などの電気回路を用いた手法や、データ信号を送信する偏光状態とは異なる偏光状態を用いてクロック信号を独立して送信する手法等が用いられている。
【0021】
このような偏光変調方式では、例えば図4のように、光源51、偏光変調部52、光伝送路53、偏光分離部54、第1の受光部55a、第2の受光部55b、クロック抽出部56、及び識別部57を備えて構成されている。
【0022】
光源51から出力された連続光を偏光変調部52でデータ信号に基づいて、互いに異なる第1と第2の偏光状態の光に変調し、偏光変調信号として出力する。偏光分離部54は、偏光変調部52から出力され、光伝送路53を経由してきた偏光変調信号から、第1と第2の偏光状態の光を分離して出力する。第1の受光部55aは、偏光分離部54に対応して接続され、第1の偏光状態の光を光電気変換し、第1の受信信号として出力する。クロック抽出部56は、第1の受光部55aから出力された第1の受信信号を検出し、タイミング信号として出力する。識別部57は、第1の受光部55aから出力された受信信号を、クロック抽出部56から出力されたタイミング信号を基準に識別することにより、情報信号を再生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特表2006−515082号公報
【特許文献2】特開2009−282460号公報
【特許文献3】特開2007−60442号公報
【特許文献4】特開2007−53573号公報
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】R. S. Jacobsen et al., “Strained silicon as a new electro−optic material,” nature, Vol.441, pp.199−202 (2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
上記した関連技術(特許文献1乃至4および非特許文献1)の電気光学変調器や光伝送方式には、いくつかの問題がある。
【0026】
第1の問題点は、消費電力が大きい、ということである。
【0027】
その理由は、キャリア・プラズマ効果に起因する。特許文献1に記載のキャリア・プラズマ効果を用いた電気光学変調器では、キャリア・プラズマの効果の大きさが消費電力の限界を決めていた。このキャリア・プラズマ効果に代えて、非特許文献1に記載されている入力される電気信号に応じて材料の光学定数を変化することができるEO効果を用いた場合も、充分な位相変調を与えるためには高い入力電圧を必要としていた。
【0028】
第2の問題点は、電気光学変調器のサイズに制約がある、ということである。
【0029】
特許文献2に記載のMZ型電気光学変調器は、EO効果を用いた場合には、キャリア・プラズマ効果に起因するサイズの制約を受けない。しかしながら、光導波路を分割していることにより、素子サイズが大きくなる,という問題を回避することはできない。素子サイズが大きい場合、シリコンプラットフォーム上での温度分布の影響を受け易くなり、熱光学効果に起因するシリコン層の屈折率変化により、本来のEO効果を打ち消すことになるという問題も想定される。
【0030】
第3の問題点は、光導波路のアーム間での作製プロセスのばらつきによる意図しない特性変化が生じる、ということである。
【0031】
この特性変化の原因は、導波路の経路に起因する。導波路の経路としては、キャリア・プラズマ効果を用いた構造、歪みによるEO効果を用いた構造ともに、高速性と高い消光比の実現のため、特許文献2に記載のマッハ・ツェンダ干渉計を組み込んだ変調器構造が注目されている。しかしマッハ・ツェンダ型では、光路のアーム間でのプロセスばらつきや温度不均一によって、アームを伝播する光に位相差が生じる、という課題がある。リング共振器型においても、該共振器の構造に起因した、狭い動作波長幅という問題があった。
【0032】
第4の問題点は、通信システムが複雑化する、ということである。
【0033】
特許文献3や特許文献4に記載の通信方式は、光の強度以外の情報を用いているため、通信の自由度が高い。一方で、多数のロジック回路を必要としており、高い変調周波数での伝送を実現するためには、複雑な回路構成が必要とされる。また、例えば、CDR回路はその用途が特殊であるために、大量生産されていず、高価である。
【0034】
したがって、本発明の目的は、消費電力の増大、サイズの大型化、プロセスばらつきによる特性変動、およびシステムの複雑化の少なくとも1つ又は全てを解消可能とする電気光学変調器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明によれば、信号光源から出力された信号光の偏光方向を調整する信号光源側偏光方向調整部と、前記信号光源側偏光方向調整部からの信号光に対して電気光学効果による変調を与える変調部と、偏光方向が同方向とされた、前記変調部からの信号光と、前記参照光とを干渉させ強度変調した光を検出する受光部と、を備えた電気光学変調器が提供される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、消費電力の増大、サイズの大型化、プロセスばらつきによる特性変動、およびシステムの複雑化の少なくとも1つ又は全てを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】特許文献1(図1)に記載の電気光学変調器の断面を模式的に示す図である。
【図2】特許文献2(図22)に記載の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図3】特許文献3(図14)に記載の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図4】特許文献4(図6)に記載の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の電気光学変調器の断面を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態の変形例の電気光学変調器の構成を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態の電気光学変調器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の態様の一つにおいて、電気光学変調器は、信号光源(1011)から出力された信号光の偏光方向を調整する信号光源側偏光方向調整部(1021)と、前記信号光源側偏光方向調整部からの信号光に対して電気光学効果による変調を与える変調部(1031)と、を備え、偏光方向が同方向とされた、前記変調部からの信号光と、参照光とを干渉させ強度変調した光を検出する受光部(1051)と、を備えている。信号光源(1011)から出力された信号光は、信号光源側偏光方向調整部(1021)にて偏光方向の調整が行われる。この時、信号光源側偏光方向調整部(1021)では、変調部(1031)での電気光学効果(EO効果)が最大になるように信号光の偏光方向を調整する。 変調部(1031)では、EO効果による屈折率変化を用いて信号光に位相変調を与える。すなわち、EO効果が最大になるのは、物質の結晶等の方位においてEO効果が最大になる方向(図5の変調部(1031)の上下矢印EOの方向)と、電場の方向を一致させた場合であり、偏光方向を、結晶の方向に合致させるべく、電場の方向を回すために、偏光方向を調整する。なお、上記及び以下の態様において、括弧内の参照番号は本発明の理解を容易化するために参考として付加したものであり、本発明を限定するためのものと解釈すべきでないことは勿論である。
【0039】
本発明の態様の一つにおいて、変調部(1031)は、シリコン結晶に歪みが導入されたシリコン導波路を含み、前記シリコン導波路に電界を印加する電極を有する、
【0040】
本発明の態様の一つにおいては、参照光源(図5の1041)と、参照光源(1041)からの参照光を受け、信号光と同方向に偏光を調整する参照光源側偏光方向調整部(図5の1022)と、を備え、受光部(図5の1051)は、変調部(1031)からの信号光と参照光源側偏光方向調整部(1022)からの参照光とを干渉させた干渉光を入力する。すなわち、信号の取り出しには、参照光源(1041)から出力された参照光を、参照光源側偏光方向調整部(1022)で受け、参照光を、信号光(信号光源側偏光方向調整部(1021)で偏光の向きが調整された信号光)と偏光方向を同一とし、変調された信号光と干渉させることで、強度変調信号に変換する。この時、参照光源(1041)は、信号光源(1011)と同期をとる必要がある。強度変調に変換された光(偏光方向が同一の信号光と参照光とを干渉させた光)は受光部(1051)で検出される。
【0041】
(I)本発明の態様の一つによれば、変調器におけるEO効果を最大にするように、偏光を調整することで、変調部(1031)における入力電圧(シリコン導波路コアへの印加電圧)を低減することができる。
【0042】
すなわち、本発明の態様の一つによれば、変調部(1031)の導波路コア(不図示)を構成するシリコンに、意図的に結晶歪を導入することで、結晶対称性を崩し、これにより生じるEO効果を利用している上に、変調部(1031)におけるEO効果が最大となるように、信号光源側偏光方向調整部(1021)で信号光の偏光方向を調整している。このため、低い入力電圧(変調部1031の電極に印加される入力信号電圧が低い場合)においても、充分な位相変調を与えることができる。
【0043】
(II)本発明の態様の一つによれば、変調部(1031)が干渉計構造をとっていないことから、変調部(1031)の小型化を実現した電気光学変調器を提供することができる。すなわち、本実施形態においては、光導波路を分割した構成(例えば図2のMZ変調器の構成)をとらないため、素子サイズは、図2の構成のように大きくはならない。
【0044】
そして、素子サイズが小さいため、シリコンプラットフォーム上での温度分布の影響を受けにくく、熱光学効果に起因するシリコン層の屈折率変化によりEO効果が打ち消されるという問題も回避することができる。
【0045】
参照光源(1041)は、信号光を位相変調から強度変調へ変換する目的であるため、波長単位で同期(信号光源(1011)との同期)をとればよく、例えば光路長で調整可能である。そのため、参照光源(1041)と信号光源(1011)の同期に、大がかりな光導波路は必要とせず、この部品数は大きな問題とはならない。
【0046】
(III)本発明の態様の一つによれば、変調部(1031)は、干渉計構造(図2参照)をとっていないことから、光導波路のアーム間(図2のアーム間)での作製プロセスのばらつきによる意図しない特性変化を回避することができる。
【0047】
(IV)本発明の態様の一つによれば、EO効果が最大になるように、偏光を調整した信号光を用いて位相変調を与えているため、複雑な通信システムを必要としない。
【0048】
すなわち、EO効果によって位相変調が与えられた信号光を、参照光源(1041)を用いて強度変調光に変換しているため、必要な回路構成は、信号光源(1011)と参照光源(1041)の同期をとるだけでよい(例えば光路長で調整される)。
【0049】
また、変調部(1031)が干渉計構造をとっていないことから、変調部(1031)の配置の自由度が向上するため、集積化時のレイアウトが容易になる。
【0050】
本発明の別の態様において、参照光源(図5の1041)と、参照光源側偏光方向調整部(図5の1022)とが除かれており、信号光源(図7の1011)から出力の光を参照光に用いた構成としてもよい。すなわち、本発明の態様の別の一つにおいては、前記信号光源から出力された信号光を2つに分岐させ、前記分岐した一方を、信号光として前記信号光源側偏光方向調整部(図7の1021)を介して前記変調部(図7の1031)に入力し、前記分岐した他方を参照光とし、前記変調部(1031)で変調された信号光の偏光方向を、前記分岐した参照光と同方向に調整する変調信号側偏光方向調整部(図7の1023)を備え、前記受光部(1051)は、前記分岐した参照光と、前記変調信号側偏光方向調整部(1023)からの信号光と、を干渉させた光を検出する構成としてもよい。
【0051】
本発明の別の態様において、前記変調信号側偏光方向調整部(図7の1023)が除かれており、前記信号光源側偏光方向調整部(1021)から出力された光を分岐して参照光に用いた構成としてもよい。すなわち、前記信号光源側偏光方向調整部(図8の1021)から出力された信号光を2つに分岐させ、前記分岐した一方を信号光として前記変調部(図8の1031)に入力し、前記分岐した他方を参照光とし、前記受光部(図8の1051)は、前記分岐した参照光と、前記変調部(図8の1031)からの信号光とを干渉させ強度変調した光を検出する。
【0052】
本発明の別の態様において、前記信号光源(図9の1011)から出力される信号光を受け偏光分離する偏光ビームスプリッタ(図9の1111)を備え、さらに、前記偏光ビームスプリッタ(1111)で前記信号光を偏光分離した2つの光が互いに逆方向に回る閉路導波路(1121)を備え、前記変調部(図9の1031)は、前記閉路導波路上を逆方向に回る前記2つの光に対して電気光学効果による変調を与え、前記閉路導波路(図9の1121)上を前記逆方向に回る前記偏光分離された2つの光は、前記偏光ビームスプリッタ(図9の1111)に戻り、出力変調光として取り出され、前記2つの光の前記出力変調光に対して偏光を回転させ、偏光方向を同方向とした前記信号光と前記参照光として干渉させて強度変調に変換する出力変調光偏光方向調整部(図9の1024)を備え、前記受光部(図9の1051)は、前記出力変調光偏光方向調整部から出力される前記信号光と前記参照光干渉させ強度変調した光を検出する構成としてもよい。
【0053】
本発明の別の態様において、信号光源側偏光方向調整部(1021)からの信号光を分岐して参照光に用い、信号光源側偏光方向調整部(1021)からの信号光を入力する前記変調部(1031)と、前記変調部(1031)から出力光と前記分岐した参照光を干渉させ強度変調した光を検出する前記受光部(1051)の組を、複数組備えた構成としてもよい。
【0054】
次に、本発明のいくつかの実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0055】
<第1の実施の形態>
図5は、本発明の第1の実施の形態の電気光学変調器の構成を示す図である。本発明の第1の実施の形態の電気光学変調器は、信号光源1011から出力された信号光を信号光源側偏光方向調整部1021にて偏光方向を調整する。この時、変調部1031でのEO効果が最大になるように調整する。EO効果を発生させるために、導波路コアを構成するシリコンに、意図的に結晶歪を導入することで結晶対称性を崩す。これにより生じるEO効果を最大限利用するために、信号光源側偏光方向調整部1021で偏光方向を調整している。EO効果が最大となるのは、物質の結晶等の方位においてその電気光学効果(EO効果)が最大になる方向と、電場の方向を一致させた場合である。結晶の方向に合致させるために、電場の方向を回すために、信号光源側偏光方向調整部1021において光の偏光方向(電場の振動方向)を調整している。
【0056】
変調部1031では、EO効果による屈折率変化を用いて、信号光に位相変調を与える。
【0057】
信号の取り出しには、参照光源1041から出力された参照光の偏光方向を、参照光源側偏光方向調整部1022で信号光と偏光方向を同一とし、変調された信号光と干渉させることで、強度変調光に変換する。この時、参照光源1041は信号光源1011と同期をとる必要がある。図5では、変調部1031からの信号光と参照光源側偏光方向調整部1022からの信号光をカプラ(Si導波路又は光ファイバカプラ等)で合波して強度変調された干渉光を得る。強度変調に変換された干渉光を受光部1051(ヘテロダイン/コヒーレント方式)にて検出する。
【0058】
信号光と参照光の電場(電界)をEs、Erとし、周波数をf、f、位相をφ、φとすると、

で与えられる。
【0059】
二つの電場Es、Erを重ね合わせた場合に、検出される光の強度Iは、

で与えられる。
【0060】
ただし、<>は時間平均を表す。上式第1、第2項の(A+A)/2は直流成分であり、第3項2Acos{2π(f−f)+(φ−φ)}は交流成分である。特に制限されるものではないが、受光部105は、例えば上式の第3項の交流成分から、振幅(=2A)、周波数(=f−f)、位相差(=φ−φ)を検出し、信号光の振幅(A)、周波数(f)又は位相(φ)に含まれる情報を検出する。
【0061】
本実施の形態においては、信号光の偏光を調整することでEO効果を最大限に利用した強度変調型の電気光学変調器が実現できる。また、キャリア・プラズマ効果を用いていないため、消費電力を低減できる。さらに、変調部1031におけるEO効果を有効に利用するように入力信号の偏光を調整しているため、変調部1031に印加される電圧が低い電圧の場合にも、信号光に充分な位相変調を与えることができる。従って、変調部1031において、位相変調に必要とされる入力電圧(導波路コアへの印加電圧)を低減することができる。
【0062】
このように、本実施の形態においては、偏光制御により、消費電力が格段に低減できていることが分かる。しかも、本実施の形態では、変調部1031が干渉計構造をとっていないので、電気光学変調器の小型化という効果も得られる。これは、光導波路を分割していないため、素子サイズが大きくならないことによる。素子サイズが小さいため、シリコンプラットフォーム上での温度分布の影響を受け難く、熱光学効果に起因するシリコン層の屈折率変化によるEO効果を打ち消しの問題も回避できる。
【0063】
さらに、本実施の形態では、変調部1031が干渉計構造をとらないことにより、光導波路のアーム間での作製プロセスのばらつきによる意図しない特性変化を回避できる。
【0064】
加えて、本実施の形態では、変調部1031でのEO効果が最大になるように偏光を調整した信号光を用いて位相変調を与えているため、複雑な通信システムを必要としない電気光学変調器を提供することができる。
【0065】
EO効果によって位相変調が与えられた信号光を、参照光源1041を用いて強度変調に変換しているため、必要な回路構成は、信号光源1011と参照光源1041の同期を取るだけでよい。前述したように、参照光源1041は、信号光を位相変調から強度変調へ変換する目的であるため、波長単位で同期をとればよい。初期状態で強度を強めあうように調整しておくには、参照光と信号光の波長の山が合うように光路長が設定される(コヒーレンシィが保たれる領域内に設定される)。このため、大がかりな光導波路等は必要とせず、この部品数は大きな問題とはならない。
【0066】
次に、第1の実施の形態の電気光学変調器の製造を説明する。特に制限されないが、製造の手順は、例えば以下の通りである。
【0067】
始めに、信号光源1011は、例えば化合物のレーザを配置する。これは、一般的な家庭用光ファイバおよびローカル・エリア・ネットワークなどの様々なシステム用の1300nmおよび1550nmの光ファイバ通信波長帯のものや、短距離通信に広く用いられている850nm帯や1000nm帯などが用いられる。ただし、波長帯は特に限定されない。信号光源1011は、シリコン光エミッタであってもよいことは勿論である。
【0068】
信号光源1011からのレーザ光は、信号光源側偏光方向調整部1021で偏光方向を調整した後に、変調部1031へつながる光導波路に入力する。
【0069】
次に図6を参照して、変調部1031の製造手順を説明する。
【0070】
まず、電気光学変調器を形成するために用いるSOI(Silicon On Insulator)基板1061を準備する。SOI基板1061は、支持基板の上面に形成された埋め込み酸化層1071(SiO)上面に、さらに膜厚300〜1000nm程度のSi層1081が形成されている。光損失を低減するために、埋め込み酸化層1071の膜厚は好ましくは1000nm以上とされる。埋め込み酸化層上のSi層1081は、所望の導電型を呈するように、予めドーピング処理された基板を用いるか、あるいは、イオン注入などにより、PあるいはBを表面層にドープ処理した後、熱処理しても良い。
【0071】
続いて、Si層1081の上に、SiN層(窒化珪素膜)1091を堆積することで歪みを生じさせ、その結果、シリコン結晶構造の対称性が破られ、EO効果を誘起する。歪みが生じたSi層1081内を光が伝搬する。
【0072】
Si層1081とSiN層1091の積層膜の側壁に(横方向に)、電極となる金属1101を蒸着する。続いて、金属1101を、蒸着工程、スパッタ工程やメッキ工程などにより、図6のように、電極を形成する。この金属形成も、上記工程を複数行うことや、上記以外の金属形成方法やアニール処理を加えることを行ってよいことは勿論である。
【0073】
Si層1081に歪みを生じさせ、その歪みを最大限利用するために、横方向から電圧を有効的に印加するために、電極1101を横方向(側面)に配置する。この結果、Si層1081内を伝搬する光に対して、屈折率変化を与えることができ、位相変化を与えることができる。以上で、変調部1031の製造手順の説明を終える。
【0074】
前述したように、変調部1031から出力された信号光は、参照光源1041から出力され参照光源側偏光方向調整部1022で信号光と同方向に偏光を調整した参照光を信号光と同期、干渉した後に、受光部1051に入力する。参照光源1041は、信号光源1011と同様の構造とされ、波長は特に限定されない。同様に、受光部1051も、シリコン・ベース、化合物等の制約は特にない。
【0075】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を説明する。上記第1の実施の形態において、参照光源1041と参照光源側偏光方向調整部1022を用いず、信号光源1011から出力された光を、信号光と参照光に二分した構成にすることができる。図7は、本発明の第2の実施の形態の構成を示す図である。本発明の第2の実施の形態は、図5の構成から、参照光源1041と参照光源側偏光方向調整部1022が省かれている。このため、システム全体の消費電力を低減することができる。
【0076】
図7を参照すると、信号光源1011から出力された光を信号光と参照光とに分岐させ、信号光を信号光源側偏光方向調整部1021で偏光方向を調整した後に、変調部1031で、EO効果により位相変調を与える。その後、変調信号側偏光方向調整部1023で、偏光方向を調整する。分岐した参照光は、光導波路1131を伝搬させた後に、変調信号側偏光方向調整部1023から出力される位相変調された信号光と干渉させることで、強度変調に変換し、受光部1051で検出する。
【0077】
本実施の形態では、変調信号側偏光方向調整部1023を外し、参照光側に配置し、分岐した参照光の偏光を変調信号側偏光方向調整部1023で信号光側の偏光に合わせてもよい。
【0078】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態の構成を示す図である。本実施形態は、前記第2の実施の形態において、参照光源側偏光方向調整部1022を用いず、信号光と参照光に二分した光の干渉を用いる構成としている。本実施の形態では、参照光源側偏光方向調整部1022を必要としないため、システム全体を簡素化することができる。
【0079】
図8を参照すると、信号光源側偏光方向調整部1021から出力された光(偏光は縦方向)を信号光と参照光に二分し、信号光を変調部1031でEO効果により位相変調を与える。
【0080】
一方の参照光は、光導波路1131を伝搬させた後に、変調部1031から出力される位相変調された信号光と干渉させることで、強度変調に変換し、受光部1051で検出する。
【0081】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図9は、本発明の第4の実施の形態の構成を示す図である。本実施の形態においては、信号光を二分岐し一方を信号光、他方を参照光とする前記第2の実施形態における、信号光と参照光の分岐を、偏光による分割で構成している。本実施の形態では、参照光の伝搬経路を信号光と同一とすることができるため、電気光学変調器を小型化することができる。さらに、信号光と参照光の伝搬経路を同一とすることで、光導波路のアーム間での作製プロセスのばらつきによる意図しない特性変化を回避できる。
【0082】
図9を参照すると、本実施形態においては、信号光源1011から出力された光を、偏光ビームスプリッタ1111により、偏光分離された2つの光が同一光路上を、逆方向に回るシリコン導波路(閉路光導波路)1121を備えている。シリコン導波路1121上において、シリコン結晶に、EO効果を誘起するための歪みを発生させるSiN層(図6の1091)を堆積する。これにより、偏光方向が互いに直交する2つの光に対するシリコン導波路1121中での屈折率は、印加された電界により、差異が生じ、位相を変調させる変調部1031を構成する。この結果、2つの光の間に位相差を設けつつ、光路を共通化することができるため、電気光学変調器全体の小型化や光路間でのプロセスばらつきや温度不均一の解消が実現できる。
【0083】
本実施の形態では、偏光を用いて、2つの光路間で位相差を設け、その2つの光を合波して強度変調へと変換する。2つの光路間での位相差を作るために、信号光を偏光ビームスプリッタ1111で偏光分離し、偏光分離された2つの光を、シリコン導波路1121上で、逆回りに伝搬させる。
【0084】
図9において、同一光路では、シリコン導波路1121上に、図6のSiN層1091(図9では不図示)を堆積することで、シリコン導波路1121のシリコン結晶に歪みを生じさせ、その結果、シリコン結晶構造の対称性が破られることでEO効果を誘起する。歪みが生じたシリコン導波路1121内を横方向の偏光の光と、縦方向(振動方向が紙面に垂直)の偏光の光が伝搬し、電極(図6の1101)から電界を印加することで、2つの光に対する屈折率に差異が現れる。位相差を設けた2つの光は、最終的に偏光ビームスプリッタ1111に戻り、出力変調光として取り出される。すなわち、偏光ビームスプリッタ1111を透過してシリコン導波路1121を反時計回り(CCW:Counter Clock Wise)に伝播する横方向の偏光の光と、偏光ビームスプリッタ1111で反射されてシリコン導波路1121を時計回り(CW:Clock Wise)に伝播する縦方向(電場は紙面垂直方向に振動)の偏光の光はそれぞれ変調部1031で位相変調され偏光ビームスプリッタ1111に戻る。シリコン導波路1121内を反時計回りに伝播した横方向の偏光の光は、偏光ビームスプリッタ1111に図の上方から入射して透過し、出力変調光(図の実線矢印)となり、シリコン導波路1121内を時計回りに伝播した縦方向の偏光の光は偏光ビームスプリッタ1111に図の右側から入射して反射され、出力変調光(図の破線矢印)となる。偏光ビームスプリッタ1111で偏光分離されシリコン導波路1121内を逆方向に伝播する2つの光の一方を信号光、他方を参照光とする。
【0085】
偏光ビームスプリッタ1111からの出力変調光を出力変調光偏光方向調整部1024に入力し、偏光を回転させることで、信号光と参照光を干渉させ、強度変調に変換する。強度変調に変換された光を受光部1051で検出する。特に制限されるものでないが、例えば偏光ビームスプリッタ1111で反射されシリコン導波路1121を時計回り(CW)に伝播する縦方向の偏光の光を参照光とした場合、出力変調光偏光方向調整部1024では、偏光ビームスプリッタ1111からの出力変調光から参照光(縦方向の偏光の光)を取り出して回転させ、信号光の偏光方向と同一とした上で、該出力変調光の信号光と合波して干渉させる。
【0086】
シリコン導波路1121中には、変調部1031が設けられている。変調部1031は、図9における横方向の偏光のみが支配的に屈折率変化を与えられるように、図6の構造とする。シリコン導波路1121のコア上にSiN層1091(図6)などの異種材料の半導体を形成することで、シリコン導波路1121内に結晶歪を導入している。また、電界を効率よく印加するために、シリコン導波路1121の側面方向(横方向)から電気的接続をとっている(図6の電極1101参照)。
【0087】
本実施形態の作用効果は以下の通りである。
【0088】
光路を1つにする(シリコン導波路1121を閉路とする)ことで、シリコン光変調器全体を小型化することができる。
【0089】
変調部1031を、シリコン導波路1121の四辺のどの辺にも配置できるため、集積化時のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0090】
光路を共通化することで、プロセスばらつきによる意図しない位相差を、打ち消しあうこと、および、光路を共通化することで、光路間での温度不均一を解消することができる。特に、プロセスのばらつきの回避は、高い変調周波数を実現するためには必須となってくる。
【0091】
<第4の実施の形態の変形例>
図9の前記第4の実施形態では、シリコン導波路1121上の変調部1031において、EO効果を用いて横方向の電場に支配的に屈折率変化を与えている。この変形例では、図10に示すように、シリコン導波路1121上の変調部1031において、縦方向(紙面垂直方向)の電場(電界)に支配的に屈折率変化を与えている。この場合も、図9の前記第4の実施形態と同じ原理で変調器を構成できる。
【0092】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を説明する。図11は、本発明の第5の実施の形態の構成を示す図である。本実施の形態は、図8の前記第3の実施の形態において、変調部1031を複数個並列配置したものである。本発明の第5の実施の形態では、各変調部1031において干渉計構造をとらないため、システム全体を小型化することができる。
【0093】
参照光は、信号光源側偏光方向調整部1021からの光を分岐して用いているため、光源の消費電力を抑えることができる。信号光源側偏光方向調整部1021から出力された信号光を二分岐させ、一方を信号光、他方を参照光とし、分岐された信号光は、複数の変調部1031に入力され、EO効果により位相変調される。参照光は、光導波路1131を伝搬させた後に、複数の変調部1031から出力される各々の位相変調された信号光と干渉させることで、強度変調に変換し、受光部1051で検出する。
【0094】
変調部1031と受光部1051の組を複数備えた構成は、前記第1の実施の形態、前記第2の実施の形態の構成に組み込んでもよいことは勿論である。
【0095】
なお、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
1011 信号光源
1021 信号光源側偏光方向調整部
1022 参照光源側偏光方向調整部
1023 変調信号側偏光方向調整部
1024 出力変調光偏光方向調整部
1031 変調部
1041 参照光源
1051 受光部
1061 SOI基板
1071 埋め込み酸化層(SiO
1081 Si層
1091 SiN層
1101 金属(電極)
1111 偏光ビームスプリッタ
1121 シリコン導波路(閉路導波路)
1131 光導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光源から出力された信号光の偏光方向を調整する信号光源側偏光方向調整部と、
前記信号光源側偏光方向調整部からの信号光に対して電気光学効果による変調を与える変調部と、
偏光方向が同方向とされた前記変調部からの信号光と参照光とを干渉させ強度変調した光を検出する受光部と、
を備えたことを特徴とする電気光学変調器。
【請求項2】
前記変調部が、シリコン結晶に歪みが導入されたシリコン導波路を含み、前記シリコン導波路の長手方向に直交する方向に電界を印加する電極を有する、請求項1記載の電気光学変調器。
【請求項3】
参照光源と、
前記参照光源から出力された参照光の偏光方向を、前記信号光源側偏光方向調整部での信号光の偏光方向と同方向に調整する参照光源側偏光方向調整部と、
を備え、
前記受光部では、前記変調部からの信号光と前記参照光源側偏光方向調整部からの参照光とを干渉させ強度変調した光を検出する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記信号光源から出力された信号光を2つに分岐させ、
前記分岐した一方を、信号光として前記信号光源側偏光方向調整部を介して前記変調部に入力し、
前記分岐した他方を参照光とし、
前記変調部で変調された信号光の偏光方向を、前記分岐した参照光と同方向に調整する変調信号側偏光方向調整部を備え、
前記受光部は、前記分岐した参照光と前記変調信号側偏光方向調整部からの信号光とを干渉させ強度変調した光を検出する、請求項1又は2記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記信号光源側偏光方向調整部から出力された信号光を2つに分岐させ、
前記分岐した一方を信号光として前記変調器に入力し、
前記分岐した他方を参照光とし、
前記受光部は、前記分岐した参照光と前記変調器からの信号光とを干渉させ強度変調した光を検出する、請求項1又は2記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記信号光源側偏光方向調整部が、前記信号光源から出力される信号光を受け偏光分離する偏光ビームスプリッタを備え、
前記偏光ビームスプリッタで前記信号光を偏光分離した2つの光が互いに逆方向に回る閉路導波路を備え、
前記変調器は、前記閉路導波路上を逆方向に回る前記2つの光に対して電気光学効果による変調を与え、
前記閉路導波路上を前記逆方向に回る前記偏光分離された2つの光は、前記偏光ビームスプリッタに戻り、出力変調光として取り出され、
前記2つの光の前記出力変調光に対して偏光を回転させ、偏光方向を同方向とした前記信号光と前記参照光として干渉させ強度変調に変換する出力変調光偏光方向調整部を備え、
前記受光部は、前記出力変調光偏光方向調整部から出力される強度変調した光を検出する、請求項1又は2記載の電気光学変調器。
【請求項7】
信号光源から出力される信号光を受ける偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタで偏光分離された2つの光が互いに逆方向に回る閉路の導波路を備え、
前記導波路上を逆方向に回る前記偏光分離された2つの光に対して電気光学効果による変調を与える変調部と
を備え
前記導波路上を前記逆方向に回る前記偏光分離された2つの光は、前記偏光ビームスプリッタに戻り出力変調光として取り出され、
前記偏光ビームスプリッタからの出力変調光に対して偏光を回転させ、前記信号光と参照光を干渉させ強度変調に変換する出力変調光偏光方向調整部と、
前記強度変調に変換された光を検出する受光部と、
を備えた電気光学変調器。
【請求項8】
前記変調部は、前記導波路に縦方向からの電界を印加する請求項6又は7記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記信号光源側偏光方向調整部から出力された信号光を2つに分岐させ、
前記分岐した一方を信号光として入力する前記変調部と、
前記分岐した他方を参照光として、前記変調部から出力光と前記参照光を干渉させ強度変調した光を検出する前記受光部と、
の組を、複数組備えた請求項1又は2記載の電気光学変調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−141493(P2012−141493A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511(P2011−511)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】