説明

電気光学装置、画像処理装置、画像処理方法および電子機器

【課題】 各電気光学素子を消灯させずに外光量や各電気光学素子の特性値を個別に特定
する。
【解決手段】 センサ30は、複数の電気光学素子13からの出射光および外光を受光し
てその受光量Lを検出する。平均算定部63は、階調データDg0によって複数の電気光学
素子13に指定された階調の平均値Aを算定する。特性値特定部651は、複数の電気光
学素子13の特性値をセンサ30の受光量Lに基づいて特定する。外光量特定部652は
、平均算定部63が算定した平均値Aとセンサ30の受光量Lとに基づいて、平均値Aが
最低値であるときにセンサ30に到達すべき光量を外光量L0として特定する。調整値決
定部67は、特性値特定部651が特定した特性値と外光量特定部652が特定した外光
量L0とに応じた調整値Rを決定する。調整部69は、階調データDg0を調整値Rに応じ
て調整することで階調データDg1を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode
)」という)素子などの電気光学素子を所期の階調に制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気光学素子を配列した電気光学装置において各電気光学素子の階調を調整する
ための技術が従来から提案されている。例えば特許文献1や特許文献2には、電気光学素
子が配列された基板の周縁部にセンサを配置し、このセンサによって受光された電気光学
素子からの出射光の光量に基づいて各電気光学素子の階調を補正する技術が開示されてい
る。この構成のもとでは、各電気光学素子からの出射光だけでなく太陽光や室内の照明光
といった外光もセンサによって受光される。電気光学素子から出射した光量と外光の光量
(以下「外光量」という)とを区別するために、特許文献1や特許文献2に記載された構
成においては、各電気光学素子を消灯させたときのセンサによる受光量が外光量として検
出され、各電気光学素子の駆動時におけるセンサの受光量から外光量を差引いた数値(す
なわち各電気光学素子から出射した光量)に基づいて各電気光学素子の階調が補正される
ようになっている。
【特許文献1】特開2005−201962号公報(段落0077および図5)
【特許文献2】特開2005−70065号公報(段落0042)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された構成においては、各電気光学素子
を消灯させるという動作が外光量の検出のために不可欠である。したがって、外光量の検
出時には各電気光学素子を本来の用途(例えば画像の表示)に使用することができないと
いう問題がある。この問題を解消するための方策としては、例えば電気光学装置の電源が
投入されてから各電気光学素子を発光させる前に外光量を1回だけ検出するという方策も
考えられる。しかしながら、この構成のもとでは、電気光学装置の使用中に外光量を検出
することができないから、たとえ電気光学装置の使用中に外光量が変化したとしてもこの
変化に対応して補正の態様(例えば調整値)を変更することがでいない。本発明は、この
ような事情に鑑みてなされたものであり、各電気光学素子を消灯させる必要なしに外光量
や各電気光学素子の特性値を個別に特定するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明の第1の特徴に係る電気光学装置は、各々が光を出
射する複数の電気光学素子と、複数の電気光学素子からの出射光および外光を受光してそ
の受光量を検出するセンサと、階調データによって複数の電気光学素子に指定された階調
の平均値である階調平均値を算定する平均算定手段と、複数の電気光学素子の特性値をセ
ンサにより検出された受光量に基づいて特定する特性値特定手段と、平均算定手段が算定
する階調平均値とセンサによる受光量との関係に基づいて、階調平均値が最低値であると
きにセンサに到達すべき光量を外光量として特定する外光量特定手段と、特性値特定手段
が特定した特性値と外光量特定手段が特定した外光量とに応じた調整値を決定する調整値
決定手段と、複数の電気光学素子の各々を、階調データによって当該電気光学素子に指定
された階調と調整値決定手段が決定した調整値とに応じた階調に駆動する駆動手段とを具
備する。
【0005】
この構成によれば、階調平均値が最低値であるときにセンサに到達すべき光量が階調平
均値とセンサによる受光量との関係に基づいて外光量として特定される。したがって、各
電気光学素子が駆動されている場合であっても外光量を特定することができる。すなわち
、外光量の特定のために総ての電気光学素子を消灯させる必要はない。
【0006】
本発明の「電気光学素子」とは、電流の供給や電界(電圧)の印加といった電気エネル
ギの付与によって階調が制御される要素である。例えば、本発明は、OLED素子などの
発光素子が電気光学素子として採用された電気光学装置(すなわち発光装置)に好適に採
用される。また、本発明における「外光」とは、各電気光学素子からの出射光以外の光で
あり、典型的には太陽光や屋内の照明光など外部から電気光学装置に到来する光である。
【0007】
本発明の具体的な態様において、特性値特定手段は、第1期間の階調データから平均算
定手段が算定した階調平均値および当該第1期間でのセンサによる受光量と、第1期間と
は相違する第2期間の階調データから平均算定手段が算定した階調平均値および当該第2
期間でのセンサによる受光量との関係に基づいて、階調平均値に対するセンサによる受光
量の勾配(各実施形態における効率係数E)を特性値として特定する。例えば、特性値特
定手段は、第1期間における階調平均値および受光量と第2期間における階調平均値およ
び受光量とから階調平均値と受光量との関係を近似する直線を特定し、この直線の勾配を
特性値として特定する。この態様によれば、外光量の影響を除外して電気光学素子の特性
値を高精度に特定することが可能である。
【0008】
さらに別の態様において、外光量特定手段は、第1期間の階調データから平均算定手段
が算定した階調平均値および当該第1期間でのセンサによる受光量と、第1期間とは相違
する第2期間の階調データから平均算定手段が算定した階調平均値および当該第2期間で
のセンサによる受光量との関係に基づいて、階調平均値が最低値であるときにセンサに到
達すべき光量を外光量として特定する。例えば、外光量特定手段は、第1期間における階
調平均値および外光量と第2期間における階調平均値および受光量とから階調平均値と受
光量との関係を近似する直線を特定し、この直線の切片(階調平均値がゼロであるときの
受光量)を外光量として特定する。この態様によれば、各電気光学素子の駆動中であって
も高精度かつ確実に外光量を特定することが可能である。
【0009】
なお、以上の各態様において、平均算定手段が階調平均値を算定する期間の時間長は任
意である。この期間の典型例はフレーム期間(すなわち総ての電気光学素子が駆動される
期間)であるが、例えば複数のフレーム期間を単位として階調平均値が算定される構成と
してもよい。また、以上の各態様においては第1期間および第2期間のみに言及されてい
るが、3個以上の期間の各々における階調平均値および受光量に基づいて特性値(勾配)
や外光量(切片)を特定する構成であっても、このうちのひとつの期間を本発明の「第1
期間」と把握するとともに他のひとつの期間を本発明の「第2期間」と把握すれば当然に
本発明の範囲に含まれる。
【0010】
より好適な態様において、平均算定手段は、所定の期間ごとに階調平均値を算定し、外
光量特定手段は、各期間において算定された階調平均値および当該期間におけるセンサに
よる受光量と、他の期間にて算定された階調平均値および当該期間におけるセンサによる
受光量とに基づいて順次に外光量を特定し、調整値決定手段は、外光量特定手段が期間ご
とに特定する外光量に応じて順次に調整値を更新する。この態様によれば、所定の期間ご
とに外光量が特定されるから、例えば電気光学装置の使用される環境が変化して外光量が
変動した場合であっても、この変動後の外光量に適した調整値を決定することが可能であ
る。
【0011】
本発明の第2の特徴に係る電気光学装置は、各々が光を出射する複数の電気光学素子と
、複数の電気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセンサと
、階調データによって複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均値を
算定する平均算定手段と、第1期間の階調データから平均算定手段が算定した階調平均値
および当該第1期間でのセンサによる受光量と、第1期間とは相違する第2期間の階調デ
ータから平均算定手段が算定した階調平均値および当該第2期間でのセンサによる受光量
との関係に基づいて、階調平均値に対するセンサによる受光量の勾配を特性値として特定
する特性値特定手段と、特性値特定手段が特定した特性値に応じた調整値を決定する調整
値決定手段と、複数の電気光学素子の各々を、階調データによって当該電気光学素子に指
定された階調と調整値決定手段が決定した調整値とに応じた階調に駆動する駆動手段とを
具備する。
【0012】
この構成によれば、第1期間における階調平均値および受光量と第2期間における階調
平均値および受光量とに基づいて特性値が決定されるから、外光がセンサに到達する構成
にも拘わらず、この外光の影響を排除して高精度に特性値のみを特定することが可能であ
る。したがって、事前に外光量を特定するための各電気光学素子を消灯させるといった処
理は原理的に不要である。
【0013】
本発明の第1および第2の特徴に係る電気光学装置の好適な態様において、平均算定手
段は、階調データによって各電気光学素子に指定される階調をセンサと各電気光学素子と
の距離に応じた係数で重み付けした加重平均を階調平均値として算定する。この態様によ
れば、センサから離間した電気光学素子からの出射光ほどセンサに到達し難いという傾向
を調整値に忠実に反映させることができる。
【0014】
本発明の第1および第2の特徴に係る電気光学装置は、例えば、複数の電気光学素子が
表面に配列された光透過性の基板を具備し、センサは、基板の内部を進行してきた各電気
光学素子からの出射光を受光する。この構成によれば、各電気光学素子からの出射光を効
率的にセンサに到達させることができる。
より好適な態様において、センサは基板の側方に配置され(例えば図2や図15参照)
、基板の表面には透光部材が配置される。この透光部材は、当該表面からの高さが側方に
近い位置ほど高い傾斜面(例えば図2の傾斜面41)を含む光透過性の部材である。この
態様によれば、外光が直接的に基板に入射する構成と比較して、透光部材の傾斜面に入射
した外光を効率的にセンサに到達させることができる。
さらに具体的な態様においては、基板を収容する筐体が設けられ、筐体には、複数の電
気光学素子からの出射光が通過する開口部(例えば図1の開口部231)が形成される。
そして、開口部の内周縁には切欠部(例えば図1の切欠部233)が形成され、透光部材
は、筐体の切欠部に嵌め込まれる。この態様によれば、電気光学装置のデザイン性を損な
うことなく透光部材を設置することが可能となる。
【0015】
本発明に係る電気光学装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、
電気光学装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソ
ナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途
は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体
に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)や、液晶装置の背面側に配置されてこれ
を照明する装置(バックライト)、あるいは、スキャナなどの画像読取装置に搭載されて
原稿を照明する装置など各種の照明装置など、様々な用途に本発明の電気光学装置を適用
することができる。
【0016】
本発明は、階調データと調整値とに応じた階調に駆動される複数の電気光学素子と、複
数の電気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセンサとを具
備する電気光学装置の画像処理装置としても特定される。
例えば、本発明の第1の特徴に係る画像処理装置は、階調データによって複数の電気光
学素子に指定された階調の平均値である階調平均値を算定する平均算定手段と、複数の電
気光学素子の特性値をセンサにより検出された受光量に基づいて特定する特性値特定手段
と、平均算定手段が算定する階調平均値とセンサによる受光量との関係に基づいて、階調
平均値が最低値であるときにセンサに到達すべき光量を外光量として特定する外光量特定
手段と、特性値特定手段が特定した特性値と外光量特定手段が特定した外光量とに応じた
調整値を決定する調整値決定手段とを具備する。
また、本発明の第2の特徴に係る画像処理装置は、階調データによって複数の電気光学
素子に指定された階調の平均値である階調平均値を算定する平均算定手段と、第1期間の
階調データから平均算定手段が算定した階調平均値および当該第1期間でのセンサによる
受光量と、第1期間とは相違する第2期間の階調データから平均算定手段が算定した階調
平均値および当該第2期間でのセンサによる受光量との関係に基づいて、階調平均値に対
するセンサによる受光量の勾配を特性値として特定する特性値特定手段と、特性値特定手
段が特定した特性値に応じた調整値を決定する調整値決定手段とを具備する。
【0017】
本発明の望ましい態様に係る画像処理装置は、調整値決定手段が決定した調整値に基づ
いて、階調データが指定する階調を調整する調整手段を具備する。この態様によれば、各
電気光学素子を駆動するための駆動回路に階調データを調整(補正)するための機能を持
たせる必要がないから、この機能を持たない従来の駆動回路を本発明の電気光学装置に汎
用することができる。ただし、階調データを調整する機能(調整手段)は駆動回路に設け
られてもよい。
【0018】
なお、本発明の画像処理装置は、DSP(Digital Signal Processor)などのハードウ
ェアによって実現されてもよいし、コンピュータとプログラムとの協働によって実現され
てもよい。このプログラムは、コンピュータを以上の各手段として機能させる内容となる
。また、本発明は、以上の各態様に係る電気光学装置に利用される画像処理方法としても
特定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構造を示す平面図である。また、
図2は、図1におけるII−II線からみた断面図であり、図3は、図1におけるIII−III線
からみた断面図である。本実施形態の電気光学装置Dは、各種の電子機器の表示装置とし
て利用される装置であり、画像を表示する電気光学パネル10と、この電気光学パネル1
0を収容する筐体20とを含む。
【0020】
電気光学パネル10は、略長方形に成形された光透過性の基板11と、この基板11の
うち背面側(図2や図3における下方)の表面112に配置された複数の電気光学素子1
3とを含む。基板11の表面112には、図1に示されるように、相互に交差する方向に
延在する複数の走査線16と複数のデータ線17とが形成される。各電気光学素子13は
走査線16とデータ線17との各交差点に対応した位置に配置される。したがって、これ
らの電気光学素子13は基板11の表面112にマトリクス状に配列する。なお、図2や
図3においては走査線16やデータ線17の図示が省略されている。
【0021】
図2および図3に示されるように、各電気光学素子13は、相互に対向する第1電極1
31(陽極)と第2電極132(陰極)との間に発光層134が介挿された構造となって
いる。本実施形態の電気光学素子13は、発光層134が有機EL(ElectroLuminescent
)材料によって形成されたOLED素子(発光素子)である。発光層134は、第1電極
131と第2電極132との間に流れる電流に応じた輝度で発光する。
【0022】
各第1電極131は、ITO(Indium Tin Oxide)など光透過性の導電材料によって
電気光学素子13ごとに形成された電極である。これらの第1電極131が形成された基
板11の表面112には、この表面112上の空間を電気光学素子13ごとに仕切る格子
状の隔壁136が形成される。発光層134は、この隔壁136に包囲されて第1電極1
31を底面とする空間(凹部)に形成される。一方、第2電極132は、アルミニウムや
銀など光反射性を有する導電材料によって形成された電極であり、複数の電気光学素子1
3にわたって連続に分布する。発光層134から背面側への出射光は第2電極132の表
面にて反射して基板11を透過したうえで観察側(図2の上方)に出射する。すなわち、
本実施形態の電気光学パネル10はボトムエミッション型である。ただし、トップエミッ
ション型の電気光学パネルを備えた電気光学装置にも本発明は適用される。
【0023】
筐体20は、基板11の表面112に対向する長方形状の背面部21と、電気光学パネ
ル10を挟んで背面部21に対向する前面部23と、基板11の側端面116にその全周
にわたって対向するように背面部21と前面部23との間隙に介在する側面部25とが一
体に形成された形状となっている。電気光学パネル10の観察側に位置する前面部23に
は、略長方形状に開口した部分(以下「開口部」という)231が形成されている。図1
に示されるように、この開口部231は、基板11に垂直な方向からみたときに、その内
周縁が複数の電気光学素子13の集合を包囲するように寸法および形状が選定されている

【0024】
図1および図2に示されるように、基板11のうちひとつの側端面116の中央部には
センサ30が配置される。このセンサ30は、検出面31に到達した光を受光し、この受
光量に応じたレベルの信号(以下「検出信号」という)を出力する手段である。本実施形
態におけるセンサ30は、図2に示されるように、検出面31が基板11の側端面116
に対向(理想的には接触)するように基板11または筐体20に固定される。
【0025】
各電気光学素子13の発光層134による出射光(第2電極132における反射光も含
む)は、基板11の背面側の表面112に入射して基板11内を進行したうえで観察側の
表面114に到達する。この光のうち表面114に臨界角を下回る角度で入射した成分は
、図2に矢印D1で示すように、表面114を透過したうえで筐体20の開口部231を
通過し、観察側に出射して観察者に知覚される。一方、各電気光学素子13からの出射光
のうち表面114に臨界角を上回る角度で入射した成分は、図2に矢印D2で示すように
、基板11の表面114と表面112とにおいて全反射を繰り返しながら基板11内を進
行し、最終的には側端面116から出射してセンサ30の検出面31に入射する。
【0026】
また、電気光学パネル10の基板11には太陽光や室内の照明光など各種の外光が照射
される。この外光のなかには、図2に矢印D3で示すように、基板11に入射したうえで
基板11内を伝播し、側端面116から出射してセンサ30の検出面31に入射する成分
がある。したがって、センサ30は、複数の電気光学素子13からの出射光と外光とを受
光してその受光量を検出する手段として機能する。本実施形態においては、基板11に入
射してセンサ30の検出面31に到達する外光の光量(外光量)を充分に確保するために
、基板11の観察側の表面114に光透過性の透光部材40が配置されている。
【0027】
この透光部材40は、図2に示されるように、基板11の表面114に対して角度α(
αは鋭角)だけ傾いた傾斜面41と、基板11の表面114に平行な上面42とを含む。
傾斜面41は、センサ30が設置された側端面116に近い位置ほど表面114からの高
さが高い平面である。図1に示されるように、筐体20の開口部231の内周縁のうちセ
ンサ30に対応する位置には略矩形状の切欠部233が形成される。この切欠部233の
幅方向(図1の左右方向)の寸法は透光部材40の幅寸法と略一致し、透光部材40は、
底面が基板11の表面114に接触するようにこの切欠部233に嵌め込まれる。この状
態において、図2および図3に示されるように、透光部材40の傾斜面41と前面部23
の内壁面235とは略同一の平面P1内に位置し、透光部材40の上面42と前面部23
の上面236とは略同一の平面P2内に位置する。このように透光部材40が筐体20に
対して一体的に嵌め込まれた構成によれば、例えば透光部材40の表面(傾斜面41や上
面42)と筐体20の表面(235・236)とに段差がある構成(例えば透光部材40
が部分的に筐体20の表面から突出した構成)と比較して、デザイン上の不自然性を解消
することができる。
【0028】
次に、センサ30に到達する外光量が透光部材40の設置によって増加することを説明
する。なお、実際の透光部材40の屈折率は任意であるが、ここでは説明の便宜のために
透光部材40の屈折率が基板11の屈折率と略一致する場合を想定する。
【0029】
図4は、透光部材40の傾斜面41に入射した外光が透光部材40および基板11の内
部を進行する様子を示す断面図である。同図に示されるように、基板11の表面114に
対する垂線V0に対して角度θ1(0≦θ1≦π/2)をなす方向から傾斜面41に入射し
た外光は、この垂線V0に対して角度θ3(0≦θ3≦π/2)の方向に屈折したうえで透
光部材40および基板11の内部を進行する。さらに、この外光は、第2電極132の表
面にて鏡面反射し、垂線V0に対して角度θa(≒θ3)をなす方向から透光部材40の上
面42に到達する。
【0030】
ここで、透光部材40の内部から上面42に到達する外光の角度θaが臨界角i0を下回
る場合、外光は上面42から観察側に出射するからセンサ30には到達しない。これに対
し、外光の角度θaが臨界角i0を上回る場合、透光部材40の内部から上面42に到達し
た外光はこの上面42にて全反射し、透光部材40および基板11の内部を進行したうえ
で基板11の側端面116からセンサ30に到達する。このように、センサ30に到達す
る外光量を充分に確保するためには、角度θaが臨界角i0を上回ることが必要である。そ
して、角度θaと角度θ3とは略一致するから、より広範囲にわたる外光をセンサ30に到
達させるためには、角度θ3を充分に大きい角度とすることが望ましい。本実施形態によ
れば、基板11の表面114に透光部材40が設置されているから、この透光部材40が
設置されていない場合と比較して角度θ3を大きく確保できる(ひいてはセンサ30に到
達する外光量を増加させることができる)。その理由について詳述すると以下の通りであ
る。
【0031】
図5は、透光部材40が基板11の表面114に設置されない構成のもとで外光が空気
中から表面114に入射する様子を示す断面図である。同図に示されるように、空気(屈
折率n1)と基板11(屈折率n2)との界面における入射角θ1と出射角θ2と間には以下
の式(1)が成立する。
sinθ1=(n2/n1)・sinθ2 ……(1)
【0032】
一方、図6は、透光部材40が設置された構成のもとで外光が空気中から透光部材40
の傾斜面41に入射する様子を示す断面図である。ここでは図5と同様に、基板11の垂
線V0に対して角度θ1なす方向から外光が入射する場合を想定する。外光は、傾斜面41
の垂線V1に対して角度(θ1−α)の方向から傾斜面41に入射し、垂線V1に対して角
度(θ3−α)をなす方向に向きを変えたうえで透光部材40の内部を進行する。したが
って、空気と透光部材40との界面(傾斜面41)における入射角(θ1−α)と出射角
(θ3−α)との間には以下の式(2)が成立する。なお、式(2)においては透光部材40の
屈折率を基板11と同じ「n2」と仮定している。
sin(θ3−α)=(n1/n2)・sin(θ1−α) ……(2)
【0033】
以上の式(2)は式(1)の関係を利用して以下のように変形される。
sin(θ3−α)=(n1/n2)・sin(θ1−α)
=(n1/n2)・(sinθ1・cosα−cosθ1・sinα)
=sin(θ2−α)+sinα・[cosθ2−(n1/n2)・{1−((n2/n1)・sinθ2)2}1/
2]
=sin(θ2−α)+sinα・[(1−sin2θ2)1/2−{(n1/n2)2−sin2θ2}1/2]
……(2a)
【0034】
ここで、透光部材40(あるいは基板11)の屈折率n2は空気の屈折率n1(≒1)よ
りも大きい(n1/n2<1)。また、図6から明らかなように、α>0、(θ3−α)>0、(θ2
−α)>0であるから、
sinα>0,(1−sin2θ2)1/2−{(n1/n2)2−sin2θ2}1/2>0
が成立する。これらの関係と式(2a)とを考慮すると、sin(θ3−α)>sin(θ2−α)であ
ることが判る。したがって、θ3>θ2である。すなわち、基板11の表面114に透光部
材40が配置された本実施形態によれば、外光が透光部材40の内部から上面42に到達
するときの角度θaを、透光部材40が配置されない構成と比較して大きくすることがで
きる。したがって、センサ30に到達する外光量を充分に確保することができる。
【0035】
次に、透光部材40の角度αについて説明する。式(2)を変形すると以下の式(3)が導出
される。
θ3=α+arcsin{(n1/n2)・sin(θ1−α)} ……(3)
図7は、横軸を角度αとし縦軸を角度θ3(≒θa)として式(3)の関係を示すグラフで
ある。ここでは空気の屈折率n1を「1」とし、透光部材40および基板11の屈折率n2
を「1.5」としている。同図においては、角度θ1を別個の数値(45°,60°,75
°)とした場合の3種類のグラフと、透光部材40の上面42における臨界角i0とが併
記されている。臨界角i0は、sin(i0)=n1/n2から約41.8°と算定される。
【0036】
図7に示されるように、垂線V0に対して45°の角度(θ1)から透光部材40に入射
する外光は、透光部材40の傾斜面41の角度αが35°以上であれば上面42にて全反
射して透光部材40および基板11の内部を伝播する。したがって、この外光をセンサ3
0に到達させる場合には、透光部材40の傾斜面41の角度αが35°以上に設定される
。同様に、垂線V0に対して60°の角度から透光部材40に入射する外光をセンサ30
に到達させる場合には、傾斜面41の角度が15°以上に設定される。このように、本実
施形態における透光部材40の傾斜面41の形状(角度α)は、センサ30に到達させる
べき外光の角度θ1に応じて適宜に選定される。
【0037】
次に、図8は、電気光学装置Dの電気的な構成を示すブロック図である。同図に示され
るように、本実施形態の電気光学装置Dは、図1に示した電気光学パネル10やセンサ3
0のほかに、各電気光学素子13を駆動する走査線駆動回路51およびデータ線駆動回路
52と、電気光学装置Dの各部を制御する制御装置60とを具備する。なお、走査線駆動
回路51およびデータ線駆動回路52や制御装置60は、電気光学パネル10の基板11
に実装されてもよいし、この基板11に実装された配線基板に実装されてもよい。
【0038】
走査線駆動回路51は、各走査線16に供給される走査信号をひとつのフレーム期間(
垂直走査期間)内の水平走査期間ごとに順番にアクティブレベルとすることによって各走
査線16を順次に選択する。データ線駆動回路52は、走査線駆動回路51が何れかの走
査線16を選択する水平走査期間にて各データ線17に電流(以下「駆動電流」という)
を供給する。ひとつの走査線16が選択される水平走査期間にてデータ線17に供給され
る駆動電流は、その走査線16とデータ線17との交差に対応した電気光学素子13に指
定された階調に応じた電流値に設定される。各電気光学素子13の階調は、制御装置60
からデータ線駆動回路52に供給される階調データDg1によって指定される。電気光学素
子13は、データ線17に供給される駆動電流に応じた階調(輝度)に駆動される。
【0039】
制御装置60は、電気光学装置Dの動作のタイミングを規定する各種の制御信号(例え
ばフレーム期間に相当する周期の垂直同期信号VSYNC)の供給によって走査線駆動回路5
1やデータ線駆動回路52を制御する。さらに、本実施形態の制御装置60は、センサ3
0から出力される検出信号Sに基づいて階調データDg0から階調データDg1を生成する画
像処理装置61を含む。
【0040】
検出信号Sは、センサ30による受光量L(すなわち、複数の電気光学素子13から出
射してセンサ30に到達した光量とセンサ30に到達した外光の光量との総和)に応じた
信号である。また、階調データDg0は、各電気光学素子13の階調を指定するデジタルデ
ータであり、電気光学装置Dが搭載される電子機器のCPUなど各種の上位装置から制御
装置60に供給される。画像処理装置61が生成した階調データDg1はデータ線駆動回路
52に出力される。
【0041】
図9は、画像処理装置61の具体的な構成を示すブロック図である。同図に示されるよ
うに、この画像処理装置61は、平均算定部63とパラメータ特定部65と調整値決定部
67と調整部69とを含む。なお、これらの要素は、各々の処理に専用されるDSP(Di
gital Signal Processor)などのハードウェアによって実現されてもよいし、CPUなど
のコンピュータがプログラムを実行することによって実現されてもよい。上位装置から入
力される階調データDg0は平均算定部63と調整部69とに供給され、センサ30から出
力される検出信号Sはパラメータ特定部65に供給される。また、平均算定部63とパラ
メータ特定部65と調整値決定部67とは、上位装置から供給される垂直同期信号VSYNC
に基づいて、各々がフレーム期間に同期したタイミングで動作する。
【0042】
平均算定部63は、階調データDg0によって複数の電気光学素子13に指定される階調
の平均値(以下「階調平均値」という)Aをフレーム期間ごとに算定する手段である。本
実施形態における平均算定部63は、ひとつのフレーム期間内に上位装置から供給される
1画面分(総ての電気光学素子13)の階調データDg0を順次に積算し、この積算値を電
気光学素子13の総数で除算することでフレーム期間ごとに階調平均値(すなわち相加平
均)を算定する。
【0043】
パラメータ特定部65は、平均算定部63が算定した階調平均値Aとセンサ30から出
力される検出信号S(受光量L)とに基づいて各種のパラメータを特定する手段であり、
各電気光学素子13の特性に応じた特性値を算定する特性値特定部651と、センサ30
による受光量Lのうち外光量L0を特定する外光量特定部652とを含む。本実施形態に
おける特性値特定部651は、複数の電気光学素子13の平均的な発光効率に比例する係
数(以下「効率係数」という)Eを特定する。発光効率は、各電気光学素子13に指定さ
れた階調とそのときに各電気光学素子13から出射する光量の総和との比である。電気光
学素子13の経時的な劣化や電気光学装置Dが使用される周囲の環境の温度など様々な要
因によって発光効率(さらには効率係数E)は変化する。
【0044】
図10は、平均算定部63が算定する階調平均値A(横軸)と検出信号Sが示す受光量
L(縦軸)とを複数のフレーム期間の各々についてプロットしたグラフである。例えば、
階調平均値Aが「A1」であるフレーム期間F1でセンサ30が受光した光量Lは「L1」
であり、階調平均値Aが「A2」であるフレーム期間F2でセンサ30が受光した光量Lは
「L2」である。各電気光学素子13は、階調データDg0に応じた輝度(より厳密には階
調データDg1に応じた輝度)に発光するから、図10に示されるように、階調平均値Aと
受光量Lとの間には、階調平均値Aが大きいフレーム期間ほどセンサ30による受光量L
が大きいという傾向がある。したがって、階調平均値Aと受光量Lとの関係は直線Bで近
似することができる。
【0045】
図10のグラフにおいて、階調平均値Aが最低値(ゼロ)となるのは総ての電気光学素
子13に対して消灯(輝度ゼロ)が指示された場合である。したがって、直線Bの切片(
階調平均値Aがゼロであるときの受光量L)が外光量L0に相当する。また、直線Bの勾
配(傾き)は、複数の電気光学素子13の平均的な発光効率に比例する。例えば、各電気
光学素子13の発光効率が高ければ階調平均値Aの増加に対する受光量Lの増加量は大き
く、各電気光学素子13が経年的に劣化して発光効率が低下した場合には階調平均値Aの
変化に対する受光量Lの増加量は縮小する。したがって、直線Bの勾配は各電気光学素子
13の効率係数Eに相当する。
【0046】
図9のパラメータ特定部65は、平均算定部63が算定した階調平均値Aとセンサ30
が検出した受光量Lとをフレーム期間ごとに取得し、この新たな階調平均値Aおよび受光
量Lとそれ以前の所定数のフレーム期間にて取得した階調平均値Aおよび受光量Lとに基
づいて図10の直線Bを決定する。例えば、パラメータ特定部65は、新たなフレーム期
間F2における階調平均値A2および受光量L2とその直前のフレーム期間F1における階調
平均値A1および受光量L1との双方を通過する直線Bを算定する。特性値特定部651は
、この直線Bの勾配を効率係数Eとして特定する。また、外光量特定部652は、この直
線Bの切片を外光量L0として特定する。
【0047】
図9に示される調整値決定部67は、特性値特定部651から出力される効率係数Eと
外光量特定部652から出力される外光量L0とに基づいてフレーム期間ごとに調整値R
を決定する手段である。本実施形態における調整値決定部67は、調整値Rを特定するた
めの調整テーブルが記憶された記憶装置を備える。図11に示されるように、調整テーブ
ルは、各々が別個の外光量L0(L0a,L0b,L0c,…)に対応する複数のテーブルを含
む。各テーブルにおいては、特性値特定部651によって特定され得る各効率係数E(例
えばEa1,Ea2,Ea3,…)と調整値R(例えばRa1,Ra2,Ra3,…)とが対応付けら
れている。
【0048】
調整値決定部67は、外光量特定部652から出力される外光量L0に対応するテーブ
ルを調整テーブルのなかから検索し、この検索したテーブルのうち特性値特定部651か
ら出力される効率係数Eに対応付けられた調整値Rを選定して出力する。調整テーブルの
内容は、第1に、特性値特定部651から出力される効率係数Eが小さいほど(すなわち
各電気光学素子13の発光効率が経時的な劣化や周囲の温度によって低下している場合ほ
ど)、調整値決定部67によって決定される調整値Rが大きくなるように決定されている
。第2に、調整テーブルの内容は、外光量特定部652から出力される外光量L0が大き
いほど、調整値決定部67によって決定される調整値Rが大きくなるように決定されてい
る。
【0049】
次に、図9に示される調整部69は、調整値決定部67が決定した調整値Rに基づいて
階調データDg0を加工することで階調データDg1を生成する手段である。本実施形態にお
ける調整部69は、あるフレーム期間内に供給される1画面分の階調データDg0に対し、
当該フレーム期間にて調整値決定部67が決定した調整値Rを共通に加算することで階調
データDg1を生成する。データ線駆動回路52は、この階調データDg1に応じた電流値の
駆動電流をデータ線17に出力することで各電気光学素子13を駆動する。
【0050】
本実施形態においては、外光量L0が大きいほど調整値Rは大きい数値に設定される。
したがって、階調データDg0によって同じ階調が指定された場合であっても、電気光学装
置Dの使用の環境が明るいほど(すなわち外光量L0が大きいほど)、各電気光学素子1
3は高輝度(高階調)に駆動される。これにより、電気光学装置Dが明るい環境で使用さ
れる場合であっても画像の視認性を充分に確保することができる。換言すると、外光量L
0が小さいほど調整値Rは小さい数値に設定されるから、電気光学装置Dが暗い環境で使
用される場合には各電気光学素子13の輝度が抑制される。したがって、電気光学装置D
の消費電力が低減されるとともに各電気光学素子13の劣化が抑制される。
【0051】
また、効率係数Eが小さいほど調整値Rは大きい数値に設定されるから、階調データD
g0によって同じ階調が指定された場合であっても、各電気光学素子13の発光効率が低下
するほど、階調データDg1によって各電気光学素子13に指定される階調は調整値Rに応
じた分だけ高階調とされる。これにより、例えば各電気光学素子13の特性が経時的に劣
化した場合や電気光学装置Dが低温の環境で使用される場合など発光効率が低下している
場合であっても、各電気光学素子13の輝度を所期値に維持して画像の品位を維持するこ
とができる。
【0052】
次に、図12は、画像処理装置61の動作を説明するためのフローチャートである。電
気光学装置Dの電源が投入されると、図12のステップS21からステップS24までの
処理がフレーム期間ごとに順次に繰り返される。まず、画像処理装置61の平均算定部6
3は、1画面分の階調データDg0に基づいて輝度平均値Aを算定する(ステップS21)
。これに続いて、パラメータ特定部65は、センサ30からの検出信号Sに基づいて受光
量Lを特定する(ステップS22)。
【0053】
パラメータ特定部65(特性値特定部651・外光量特定部652)は、ステップS2
1で算定した階調平均値AおよびステップS22で特定した受光量Lと、それ以前の所定
数のフレーム期間で取得した階調平均値Aおよび受光量Lとに基づいて外光量L0と効率
係数Eとを特定する(ステップS23)。そして、調整値決定部67は、ステップS23
で特定した外光量L0と効率係数Eとに基づいて調整値Rを決定する(ステップS24)

【0054】
なお、電気光学装置Dの電源が投入された直後のステップS23においては、ひとつの
フレーム期間の外光量L0および効率係数Eが取得されているに過ぎない。したがって、
階調平均値Aと受光量Lとの関係を近似する直線Bを特定することができない。この場合
、ステップS23にて外光量L0および効率係数Eは特定されず、さらにステップS24
にて調整値Rは設定されない。したがって、最初のフレーム期間については階調データD
g0がそのまま階調データDg1として出力される。
【0055】
ステップS25においては電気光学素子13の駆動を終了すべきタイミングが否かが判
定される。電気光学装置Dの電源が遮断された場合や画像の表示が停止されるモード(い
わゆるスリープモード)に移行した場合には、ステップS25の判定が肯定されて図12
の処理が終了する。
【0056】
一方、ステップS25の判定が否定された場合にはステップS21からステップS24
までの処理が繰り返される。すなわち、外光量L0および効率係数Eの特定とこれに応じ
た調整値Rの決定とがフレーム期間ごとに繰り返される。したがって、本実施形態におい
ては、画像の表示中に電気光学装置Dが例えば屋内から屋外に移動されることで外光量L
0が変化した場合や電気光学装置Dの周囲の温度が変化することで効率係数Eが変化した
場合であっても、この変化後のパラメータに応じた最適な階調に各電気光学素子13を駆
動することが可能である。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態によれば、各電気光学素子13が階調データDg1に
応じて駆動されている期間(すなわち画像が表示されている最中)におけるセンサ30の
受光量Lから外光量L0と各電気光学素子13の特性値(効率係数E)とが個別に特定さ
れる。したがって、外光量L0の特定のために各電気光学素子13を消灯させるといった
特許文献1や特許文献2の構成および処理は原理的に不要である。また、各電気光学素子
13の駆動中に外光量L0や効率係数Eが変化した場合には、この変化後の外光量L0や効
率係数Eに対応するように調整値Rを更新することができるという利点がある。
【0058】
また、複数のフレーム期間にわたる階調平均値Aと受光量Lとの関係(直線B)が判別
されるから、ひとつのセンサ30が外光と各電気光学素子13からの出射光との双方を受
光する構成にも拘わらず、センサ30による受光量Lから外光量L0と効率係数Eとが個
別に特定される。したがって、本実施形態によれば、外光を検出するためのセンサ30と
各電気光学素子13からの出射光を検出するためのセンサ30とが別個に設置された構成
と比較して、電気光学装置Dの構成の簡素化や製造コストの低減(部品点数の削減)を実
現することができる。
【0059】
なお、各電気光学素子13は画像処理装置61による補正後の階調データDg1に応じて
駆動される。したがって、以上の形態のように画像処理装置61が外光量L0に応じて輝
度を調整する構成においては、特性値特定部651によって特定される効率係数Eと実際
の各電気光学素子13の特性との間に外光量L0に応じた補正分だけ差異が発生する場合
がある。この誤差を解消するために、外光量L0(または外光量L0に応じた補正量)に応
じて階調平均値Aを補正してから図10の効率係数Eを特定することで、実際の各電気光
学素子13の特性(すなわち外光量L0に応じて輝度を調整しない場合の特性)を反映し
た効率係数Eを特定してもよい。また、図11の調整テーブルの効率係数Eが外光量L0
に応じた数値に選定された構成によっても効率係数Eの誤差を解消することができる。こ
の構成においては階調平均値Aの補正は不要である。
【0060】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置Dについて説明する。
第1実施形態においては、ひとつのセンサ30による受光量Lに応じて決定された調整
値Rによって総ての電気光学素子13の階調データDg0が共通に調整される構成を例示し
た。これに対し、本実施形態においては、各電気光学素子13の階調データDg0が発光色
ごとに別個に調整される構成となっている。なお、本実施形態のうち第1実施形態と同様
の要素については共通の符号を付してその説明を適宜に省略する。
【0061】
図13は、本実施形態における電気光学装置Dの外観を示す平面図である。本実施形態
における電気光学素子13は、複数色(赤色および緑色および青色)の何れかに対応した
波長の光を放射する。したがって、本実施形態の電気光学パネル10は、赤色と緑色と青
色とを選択的に組み合わせた多色の画像を表示することができる。
【0062】
基板11の側端面116には、各々が別個の発光色に対応する3個のセンサ30(30
r,30g,30b)が配置される。センサ30rは、その検出面31に到達した光(各電気
光学素子13からの出射光および外光)のうち赤色に対応する波長の成分を選択的に受光
してその受光量Lに応じた検出信号Srを出力する。同様に、センサ30gは緑色に対応す
る成分のみを受光して検出信号Sgを出力し、センサ30bは青色に対応する成分のみを受
光して検出信号Sbを出力する。一方、本実施形態における透光部材40は、3個のセン
サ30にわたって連続する寸法に成形されている。
【0063】
図14は、本実施形態における画像処理装置61の構成を示すブロック図である。同図
に示されるように、本実施形態の画像処理装置61は、階調データDg0を発光色ごとに分
配する分配部611と、各々が別個の発光色に対応する3個の処理ユニットU(Ur,Ug
,Ub)と、各処理ユニットUが生成した発光色ごとの階調データDg1(Dg1[R],Dg1[G
],Dg1[B])を合成してデータ線駆動回路52に出力する合成部613とを含む。
【0064】
赤色の電気光学素子13に対応する階調データDg0[R]は分配部611から処理ユニッ
トUrに供給される。同様に、緑色に対応する階調データDg0[G]は処理ユニットUgに供
給され、青色に対応する階調データDg0[B]は処理ユニットUbに供給される。また、赤色
に対応する処理ユニットUrにはセンサ30rから検出信号Srが供給される。同様に、処
理ユニットUgには検出信号Sgが供給され、処理ユニットUbには検出信号Sbが供給され
る。
【0065】
各処理ユニットUは、図9に示した画像処理装置61と同様に、平均算定部63とパラ
メータ特定部65と調整値決定部67と調整部69とを含む。調整値決定部67に保持さ
れた調整テーブルは処理ユニットUごとに相違する。各発光色に対応する処理ユニットU
は、その発光色について、階調データDg0(Dg0[R],Dg0[G],Dg0[B])と検出信号S
(Sr,Sg,Sb)とから調整値Rを決定し、この調整値Rに応じた階調データDg0の調
整によって階調データDg1(Dg1[R],Dg1[G],Dg1[B])を生成する。したがって、デ
ータ線駆動回路52には、各発光色の電気光学素子13の特性値(効率係数E)に応じて
個別に調整された階調データDg1が出力される。
【0066】
以上の構成によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。さらに、本実施形態にお
いては、各電気光学素子13の階調が発光色ごとに調整されるから、例えば各電気光学素
子13の劣化の程度が発光色ごとに相違する場合であっても、所期のホワイトバランスに
調整することが可能である。
【0067】
<C:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば
以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0068】
(1)変形例1
以上の各形態においては、基板11の側端面116にセンサ30が配置された構成を例
示したが、センサ30が配置される位置は適宜に変更される。例えば、図15に示される
ように、検出面31が基板11と平行な方向を向くようにセンサ30を配置した構成とし
てもよい。この構成における透光部材40は、基板11の側端面116からの出射光をセ
ンサ30の検出面31に導くための傾斜面43を有する。この構成によれば、第1実施形
態の構成と比較してセンサ30の配置が容易化されるという利点がある。
【0069】
(2)変形例2
総ての電気光学素子13が消灯しているときの受光量Lが外光量L0として特定される
構成としてもよい。例えば図16は、各電気光学素子13の駆動前のセンサ30による受
光量Lを外光量L0として特定する場合のフローチャートである。同図に示されるように
、電気光学装置Dの電源が投入されると、画像処理装置61の画像処理装置61は、階調
データDg0の受信に先立って総ての電気光学素子13の消灯を指示する階調データDg1を
データ線駆動回路52に出力する(ステップS11)。この全消灯を指示する階調データ
Dg1は、上位装置から供給されてもよいし画像処理装置61に予め保持されていてもよい
。そして、パラメータ特定部65は、この状態のもとでセンサ30が出力する検出信号S
から受光量Lを特定し、この受光量Lを外光量L0として保持する(ステップS12)。
以上の処理が完了すると、画像処理装置61は、第1実施形態と同様にステップS21か
らステップS22までの処理を繰り返す。
【0070】
この構成によれば、各電気光学素子13の駆動前に受光量L0が特定されるから、電気
光学素子13の電源が投入された直後のステップS23においても効率係数Eを特定する
ことができる。したがって、最初のフレーム期間から各電気光学素子13を調整値Rに応
じて駆動することができる。
【0071】
(3)変形例3
以上の各形態においては加算平均が階調平均値Aとして算定される構成を例示したが、
階調平均値Aは相乗平均であってもよい。また、各電気光学素子13からの出射光のうち
センサ30に到達する光量は電気光学素子13の位置に応じて相違するから、階調データ
Dg0によって指定される階調を電気光学素子13の位置に応じて重み付けしたうえで階調
平均値A(すなわち加重平均)を算定してもよい。この場合の階調平均値は以下の式(a)
によって算定される。
A=(α1・G1+α2・G2+α3・G3+……+αn・Gn)/n ……(a)
なお、ここでは電気光学素子13の総数が「n」である場合を想定している。「Gi」
は第i(iは1≦i≦nを満たす整数)番目の電気光学素子13に対して階調データDg0
で指定された階調である。また、各電気光学素子13の階調Giに乗算される係数αiは、
その電気光学素子13からセンサ30までの距離が長いほど小さい数値に設定される。こ
の構成によれば、センサ30から離間した電気光学素子13ほど受光量Lへの寄与が少な
いという実際の状況が調整値Rに反映されるから、実際の電気光学装置Dの条件に適合し
た調整値Rを設定することが可能となる。
【0072】
また、以上の各形態においては、フレーム期間ごとに階調平均値Aが算定される構成を
例示したが、複数のフレーム期間にわたる階調の平均が階調平均値Aとして算定される構
成としてもよい。したがって、外光量L0や各電気光学素子13の特性値(効率係数E)
さらには調整値Rもフレーム期間ごとに決定される必要は必ずしもなく、例えば複数のフ
レーム期間ごとに決定されてもよい。
【0073】
(4)変形例4
以上の各形態においては、階調平均値Aと受光量Lとの関係を近似する直線Bの勾配が
効率係数Eとして算定される構成を例示したが、特性値特定部651によって特定される
各電気光学素子13の特性値は効率係数Eに限定されない。例えば、外光量特定部652
が特定した外光量L0を受光量Lから減算した光量(すなわち複数の電気光学素子13か
らのセンサ30に到達した光量の総和)が特性値として算定されてもよいし、外光量Lか
ら外光量L0を減算した数値を電気光学素子13の総数で除算した数値(すなわち各電気
光学素子13からセンサ30に到達した光量の平均値)が特性値として算定されてもよい
。これらの構成によっても、調整テーブルにおいて各特性値に適切な調整値Rを対応付け
れば第1実施形態と同様の作用および効果が奏される。このように、本発明における特性
値とは、複数の電気光学素子13の特性に応じた数値(電気光学素子13の特性の変化に
応じて変動する数値)であれば足りる。
【0074】
(5)変形例5
以上の各形態においては、調整テーブルを利用して調整値Rが決定される構成を例示し
たが、調整値決定部67が調整値Rを決定する方法は適宜に変更される。例えば、外光量
L0と特性値(効率係数E)とを変数として調整値Rを定義した所定の演算式に、特性値
特定部651が特定する特性値(効率係数E)と外光量特定部652が特定する外光量L
0とを代入することで調整値Rが算定される構成としてもよい。
【0075】
(6)変形例6
以上の各形態においては、階調データDg0に調整値Rを加算することで階調データDg1
が生成される構成を例示したが、階調データDg0を調整値Rに応じて調整する方法は任意
である。例えば、階調データDg0に調整値Rを乗算することで階調データDg1が生成され
る構成としてもよい。
【0076】
また、階調データDg0が調整値Rに応じて調整される必要は必ずしもない。例えばいま
、データ線駆動回路52が、所定の電圧(以下「基準電圧」という)を基準として駆動電
流を生成する構成を想定する。この場合には、上位装置から供給された階調データDg0が
制御装置60からそのまま(つまり調整を経ることなく)データ線駆動回路52に出力さ
れるとともに、調整値決定部67から調整値Rがデータ線駆動回路52に供給される構成
としてもよい。データ線駆動回路52においては、階調データDg0に応じた電流値の駆動
電流が基準電圧に基づいて生成される一方、この基準電圧が調整値Rに応じて調整される
。この構成によっても、各電気光学素子13を調整値Rに応じた階調に駆動することがで
きる。以上のように、本発明においては、階調データG0を調整する機能が画像処理装置
61に搭載されている必要は必ずしもない。
【0077】
また、以上の各形態においては、各データ線17に出力される駆動電流の電流値が調整
値Rに応じて変化する構成を例示したが、調整値Rに基づく調整の対象は適宜に変更され
る。例えばいま、電気光学素子13が駆動される時間長を階調データDg(Dg0,Dg1)
に応じて変化させることで多階調を表現する方式(すなわちパルス幅変調によって電気光
学素子13の階調を制御する方式)のデータ線駆動回路52を想定する。この構成におい
ては、各電気光学素子13を駆動する時間長が調整値Rに応じて調整されてもよい。例え
ば、図9に示したように画像処理装置61から出力される調整後の階調データDg1に基づ
いて各電気光学素子13の駆動の時間長が制御される。あるいは、調整部69が省略され
た構成のもとで、データ線駆動回路52が、階調データDg0と調整値Rとに応じて各電気
光学素子13の駆動の時間長を調整してもよい。
【0078】
また、以上においては階調データDg0と調整値Rとに応じた電流値の駆動電流が各デー
タ線17に供給される構成を例示したが、階調データDg0と調整値Rとに応じた電圧値の
駆動電圧が各データ線17に印加されることで各電気光学素子13が駆動される構成とし
てもよい。以上のように、各実施形態においては、各電気光学素子13が階調データDg0
と調整値Rとに応じた階調に駆動される構成であれば足り、各電気光学素子13の階調に
調整値Rを反映させるための具体的な方法や構成は任意である。
【0079】
(7)変形例7
電気光学パネル10の基板11の側端面116から光が入射すると、観察側から入射す
る外光量L0の測定に誤差が発生する場合がある。以上の各形態においては、側面部25
が基板11の側端面116に対向するように電気光学パネル10が筐体20に収容される
から、基板11の側端面116からの光の入射を防止して外光量L0を高精度に測定する
ことが可能である。ただし、基板11の側端面116からの光の入射を防止するための構
成は適宜に変更される。例えば、図17に示されるように、基板11の側端面116に遮
光性の部材(例えば遮光テープ)19を設置してもよい。この部材19は、基板11の全
周にわたる側端面116のうちセンサ30に対向する部分以外の領域に配置される。また
、部材19を光反射性の材料によって形成すれば、例えば基板11のうちセンサ30とは
反対側の側端面116に到達した光を再びセンサ30に向けて反射させることができるか
ら、センサ30に到達する光量を充分に確保して高精度に受光量Lを検出することができ
る。
【0080】
(8)変形例8
以上の各形態においては透光部材40が配置された構成を例示したが、この透光部材4
0は必ずしも必要ではない。例えば、基板11の背面側の反射面(各形態における第2電
極132の表面)が散乱面である場合には、この散乱面での反射光の一部をセンサ30に
向かって進行させることができるから、透光部材40が配置されていなくても充分な受光
量Lを検出することができる。
【0081】
(9)変形例9
以上の各形態においては、電気光学素子13としてOLED素子を例示したが、本発明
における電気光学素子はこの例示に限定されない。例えば、無機EL材料からなる発光層
を含む発光素子やLED(Light Emitting Diode)素子なども電気光学素子として採用さ
れる。また、照明装置(バックライト)からの照射光を変調して出射する液晶装置や、プ
ラズマの放電により発光する発光素子が配列されたプラズマ装置など様々な機器を本発明
の電気光学装置として採用することができる。すなわち、各々の階調が制御される複数の
電気光学素子を備えた電気光学装置であれば、各電気光学素子の具体的な構造や階調を制
御する方法の如何を問わず、以上の各形態と同様に本発明を適用することができる。
【0082】
<D:応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図18は、以
上に説明した何れかの形態に係る電気光学装置Dを表示装置として採用したモバイル型の
パーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は
、表示装置としての電気光学装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、
電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この電気光学装置D
は電気光学素子13にOLED素子を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示
できる。
【0083】
図19に、各形態に係る電気光学装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話
機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表
示装置としての電気光学装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによ
って、電気光学装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0084】
図20に、各形態に係る電気光学装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal D
igital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン400
1および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての電気光学装置Dを備える。電
源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光
学装置Dに表示される。
【0085】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図18から図20に
示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション
装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーショ
ン、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパ
ネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の
表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置
においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘ
ッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用される

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の外観を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線からみた断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線からみた断面図である。
【図4】透光部材の傾斜面に入射した外光が進行する様子を示す断面図である。
【図5】透光部材がない構成のもとで外光が基板に入射する様子を示す断面図である。
【図6】外光が透光部材に入射する様子を示す断面図である。
【図7】角度αと角度θ3との関係を示すグラフである。
【図8】電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】画像処理装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図10】階調平均値と受光量との関係を示すグラフである。
【図11】調整テーブルの内容を示す概念図である。
【図12】画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の外観を示す平面図である。
【図14】第2実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】変形例に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図16】変形例に係る画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】変形例に係る電気光学装置の基板の構成を示す断面図である。
【図18】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
D……電気光学装置、10……電気光学パネル、11……基板、13……電気光学素子、
20……筐体、231……開口部、233……切欠部、30……センサ、40……透光部
材、41……傾斜面、51……走査線駆動回路、52……データ線駆動回路、60……制
御装置、61……画像処理装置、U……処理ユニット、63……平均算定部、65……パ
ラメータ特定部、651……特性値特定部、652……外光量特定部、67……調整値決
定部、69……調整部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光を出射する複数の電気光学素子と、
前記複数の電気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセン
サと、
階調データによって前記複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均
値を算定する平均算定手段と、
前記複数の電気光学素子の特性値を前記センサにより検出された受光量に基づいて特定
する特性値特定手段と、
前記平均算定手段が算定する階調平均値と前記センサによる受光量との関係に基づいて
、階調平均値が最低値であるときに前記センサに到達すべき光量を、外光量として特定す
る外光量特定手段と、
前記特性値特定手段が特定した特性値と前記外光量特定手段が特定した外光量とに応じ
た調整値を決定する調整値決定手段と、
前記複数の電気光学素子の各々を、階調データによって当該電気光学素子に指定された
階調と前記調整値決定手段が決定した調整値とに応じた階調に駆動する駆動手段と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記特性値特定手段は、第1期間の階調データから前記平均算定手段が算定した階調平
均値および当該第1期間でのセンサによる受光量と、前記第1期間とは相違する第2期間
の階調データから前記平均算定手段が算定した階調平均値および当該第2期間での前記セ
ンサによる受光量との関係に基づいて、階調平均値に対する前記センサによる受光量の勾
配を前記特性値として特定する
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記外光量特定手段は、第1期間の階調データから前記平均算定手段が算定した階調平
均値および当該第1期間でのセンサによる受光量と、前記第1期間とは相違する第2期間
の階調データから前記平均算定手段が算定した階調平均値および当該第2期間での前記セ
ンサによる受光量との関係に基づいて、階調平均値が最低値であるときに前記センサに到
達すべき光量を前記外光量として特定する
請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記平均算定手段は、所定の期間ごとに階調平均値を算定し、
前記外光量特定手段は、前記各期間において算定された階調平均値および当該期間にお
けるセンサによる受光量と、他の期間にて算定された階調平均値および当該期間における
センサによる受光量とに基づいて順次に外光量を特定し、
前記調整値決定手段は、前記外光量特定手段が前記期間ごとに特定する外光量に応じて
順次に調整値を更新する
請求項1から請求項3の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項5】
各々が光を出射する複数の電気光学素子と、
前記複数の電気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセン
サと、
階調データによって前記複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均
値を算定する平均算定手段と、
第1期間の階調データから前記平均算定手段が算定した階調平均値および当該第1期間
でのセンサによる受光量と、前記第1期間とは相違する第2期間の階調データから前記平
均算定手段が算定した階調平均値および当該第2期間での前記センサによる受光量との関
係に基づいて、階調平均値に対する前記センサによる受光量の勾配を特性値として特定す
る特性値特定手段と、
前記特性値特定手段が特定した特性値に応じた調整値を決定する調整値決定手段と、
前記複数の電気光学素子の各々を、階調データによって当該電気光学素子に指定された
階調と前記調整値決定手段が決定した調整値とに応じた階調に駆動する駆動手段と
を具備する電気光学装置。
【請求項6】
前記平均算定手段は、階調データによって各電気光学素子に指定される階調を前記セン
サと前記各電気光学素子との距離に応じた係数で重み付けした加重平均を階調平均値とし
て算定する
請求項1から請求項5の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記複数の電気光学素子が表面に配列された光透過性の基板を具備し、
前記センサは、前記基板の内部を進行してきた前記各電気光学素子からの出射光を受光
する
請求項1から請求項6の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記センサは、前記基板の側方に配置され、
前記基板の表面には、当該表面からの高さが前記側方に近い位置ほど高い傾斜面を含む
光透過性の透光部材が、前記傾斜面に外光が入射するように配置される
請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記基板を収容する筐体を具備し、
前記筐体には、前記複数の電気光学素子からの出射光が通過する開口部が形成され、
前記開口部の内周縁には切欠部が形成され、
前記透光部材は、前記筐体の前記切欠部に嵌め込まれる
請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れかに記載の電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項11】
階調データと調整値とに応じた階調に駆動される複数の電気光学素子と、前記複数の電
気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセンサとを具備する
電気光学装置に利用される画像処理装置であって、
階調データによって前記複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均
値を算定する平均算定手段と、
前記複数の電気光学素子の特性値を前記センサにより検出された受光量に基づいて特定
する特性値特定手段と、
前記平均算定手段が算定する階調平均値と前記センサによる受光量との関係に基づいて
、階調平均値が最低値であるときに前記センサに到達すべき光量を外光量として特定する
外光量特定手段と、
前記特性値特定手段が特定した特性値と前記外光量特定手段が特定した外光量とに応じ
た前記調整値を決定する調整値決定手段と
を具備する画像処理装置。
【請求項12】
階調データと調整値とに応じた階調に駆動される複数の電気光学素子と、前記複数の電
気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセンサとを具備する
電気光学装置に利用される画像処理装置であって、
階調データによって前記複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均
値を算定する平均算定手段と、
第1期間の階調データから前記平均算定手段が算定した階調平均値および当該第1期間
でのセンサによる受光量と、前記第1期間とは相違する第2期間の階調データから前記平
均算定手段が算定した階調平均値および当該第2期間での前記センサによる受光量との関
係に基づいて、階調平均値に対する前記センサによる受光量の勾配を前記特性値として特
定する特性値特定手段と、
前記特性値特定手段が特定した特性値に応じた調整値を決定する調整値決定手段と
を具備する画像処理装置。
【請求項13】
前記調整値決定手段が決定した調整値に基づいて、階調データが指定する階調を調整す
る調整手段
を具備する請求項11または請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
階調データと調整値とに応じた階調に駆動される複数の電気光学素子と、前記複数の電
気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセンサとを具備する
電気光学装置に利用される画像処理方法であって、
階調データによって前記複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均
値を算定する平均算定過程と、
前記複数の電気光学素子の特性値を前記センサによる受光量に基づいて特定する特性値
特定過程と、
前記平均算定過程にて算定した階調平均値と前記センサによる受光量との関係に基づい
て、階調平均値が最低値であるときに前記センサに到達すべき光量を外光量として特定す
る外光量特定過程と、
前記特性値特定過程にて特定した特性値と前記外光量特定過程にて特定した外光量とに
応じた前記調整値を決定する調整値決定過程と
を含む画像処理方法。
【請求項15】
階調データと調整値とに応じた階調に駆動される複数の電気光学素子と、前記複数の電
気光学素子からの出射光および外光を受光してその受光量を検出するセンサとを具備する
電気光学装置に利用される画像処理方法であって、
階調データによって前記複数の電気光学素子に指定された階調の平均値である階調平均
値を算定する平均算定過程と、
第1期間の階調データから前記平均算定過程にて算定した階調平均値および当該第1期
間でのセンサによる受光量と、前記第1期間とは相違する第2期間の階調データから前記
平均算定過程にて算定した階調平均値および当該第2期間での前記センサによる受光量と
の関係に基づいて、階調平均値に対する前記センサによる受光量の勾配を前記特性値とし
て特定する特性値特定過程と、
前記平均算定過程にて算定した階調平均値が第1値である階調データに応じて前記各電
気光学素子が駆動されたときの前記センサによる受光量と、前記平均算定過程にて算定し
た階調平均値が第2値である階調データに応じて前記各電気光学素子が駆動されたときの
前記センサによる受光量とに基づいて、階調平均値に対する前記センサによる受光量の勾
配を特性値として特定する特性値特定過程と、
前記特性値特定過程にて特定した特性値に応じた調整値を決定する調整値決定過程と
を含む画像処理方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−86277(P2007−86277A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273416(P2005−273416)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】