説明

電気光学装置の製造方法

【課題】サブ画素の開口部上に正確に着色層を形成し、かつ、製造工程の短縮化を図る。
【解決手段】透明基板の一方の面上の各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを形成した後、各色のサブ画素の内部に各色の感光性樹脂(紫外線などの光が照射された部分が硬化するネガレジスト)からなる色材が塗布され、色材硬化工程では、前記透明基板の他方の面側より、色材を硬化させるための光を入射させ、前記透過領域に塗布された前記各色の色材を硬化する。色材エッチング工程では、前記各色の色材における硬化しなかった部分をエッチングにより取り除く。これにより、前記各色のサブ画素の透過領域に着色層を形成することができる。また、各サブ画素毎に各色の色材が塗布されているので、各色の色材を硬化させるための光の照射を、一回で済ませることができ、製造工程の短縮化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報の表示に用いて好適な電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末といった携帯機器等に液晶表示装置が用いられている。また、カラーフィルタ基板を用いてカラー表示を行う構造の液晶表示装置も広く用いられるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1に示す半透過反射型の液晶表示装置では、反射型表示の場合には、モノクロ表示を行い、透過型表示の場合には、カラー表示を行う機能を供えている。この液晶表示装置が用いられた携帯電話では、待ち受け時(反射型表示)の場合には、モノクロ表示を行い、オペレーション時(透過型表示)の場合には、カラー表示を行うことができる。
【0004】
このような液晶表示装置の製造方法では、まず、R(赤)G(緑)B(青)の色材のうち、いずれか一色の色材を、光を透過する開口部及び光を反射する反射層が形成された基板の表面上の全面に塗布する。次に、塗布された色材の表面に対し、マスクを設置した後、紫外線などの光を照射することにより、基板の開口部上に塗布された色材の部分のみを硬化させる。このようにして、一色の着色層が形成される。この操作をRGBの色材について、それぞれ行うことで、RGBの着色層が形成される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−43239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような液晶表示装置の製造方法では、マスクのマスク開口部を、基板の開口部と同じ寸法で形成し、かつ、基板の開口部上に精緻に設置することが求められる。そのため、サブ画素の開口部上に正確に着色層を形成することは、事実上困難であり、実際には、着色層は、反射層上にはみ出して形成されてしまうことが多い。また、色材の硬化のための光の照射も、各色の色材を塗布するごとに行わなければならず、その分、製造工程が増えるという欠点がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、サブ画素の開口部上に正確に着色層を形成し、かつ、製造工程の短縮化を図ることのできる液晶表示装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点では、各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを有する電気光学装置の製造方法は、透明基板の一方の面上の前記反射領域に反射層を形成する反射層形成工程と、前記各色のサブ画素の内部に前記各色の色材を塗布する色材塗布工程と、前記透明基板の他方の面側より、色材を硬化させるための光を入射させ、前記透過領域に塗布された前記各色の色材を硬化させる色材硬化工程と、前記各色の色材における硬化しなかった部分をエッチングにより取り除く色材エッチング除去工程と、を備える。
【0009】
上記の各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを有する電気光学装置の製造方法では、反射層形成工程により、透明基板の一方の面上の前記反射領域に反射層が形成される。
色材塗布工程により、前記各色のサブ画素の内部に前記各色の色材が塗布される。前記各色の色材としては、感光性を有する感光性樹脂、具体的には、紫外線などの光が照射されときに照射された部分が硬化する性質を有する、いわゆるネガレジストが用いられる。色材硬化工程では、前記透明基板の他方の面側より、色材を硬化させるための光を入射させ、前記透過領域に塗布された前記各色の色材を硬化する。色材エッチング工程では、前記各色の色材における硬化しなかった部分をエッチングにより取り除く。これにより、前記各色のサブ画素の透過領域に着色層を形成することができる。また、各サブ画素毎に各色の色材が塗布されているので、各色の色材を硬化させるための光の照射を、一回で済ませることができ、製造工程の短縮化を図ることができる。
【0010】
上記の電気光学装置の製造方法の一態様は、前記色材塗布工程は、インクジェットにより前記各色の色材の塗布を一度に行う。これにより、製造工程の短縮化を図ることができる。
【0011】
本発明の他の観点では、各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを有する電気光学装置の製造方法は、透明基板の一方の面上の前記反射領域に、反射層を形成する反射層形成工程と、前記各色の色材のうち、いずれか一色の色材を、少なくとも前記透明基板の前記一方の面の前記各色の着色層が形成される領域に塗布する色材塗布工程と、前記透明基板の他方の面側に、前記一色の色材と同じ色の着色層が形成される前記透過領域に光を入射させるためのマスクを設置するマスク設置工程と、前記他方の面上に設置された前記マスクに対し、色材を硬化させるための光を照射し、前記透過領域上に塗布された前記一色の色材を硬化させるマスク色材硬化工程と、前記色材硬化工程の後に、前記一色の色材における硬化しなかった部分をエッチングにより取り除く色材エッチング除去工程と、前記各色の色材のうち、前記一色の色材以外の他の色の色材について、前記色材塗布工程、前記マスク設置工程、前記色材硬化工程、前記色材エッチング除去工程を繰り返すことにより、他の色の着色層を形成する着色層形成工程と、を備える。
【0012】
上記の各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを有する電気光学装置の製造方法では、反射層形成工程により、透明基板の一方の面上の前記反射領域に、反射層を形成する。色材塗布工程により、前記各色の色材のうち、いずれか一色の色材が、少なくとも前記透明基板の前記一方の面の前記各色の着色層が形成される領域に塗布される。マスク設置工程により、前記透明基板の他方の面側に、前記一色の色材と同じ色の着色層が形成される前記透過領域に光を入射させるためのマスクが設置される。マスク色材硬化工程により、前記他方の面上に設置された前記マスクに対し、色材を硬化させるための光が照射され、前記透過領域上に塗布された前記一色の色材が硬化される。色材エッチング除去工程により、前記一色の色材における硬化しなかった部分が、エッチングにより取り除かれる。着色層形成工程により、前記各色の色材のうち、前記一色の色材以外の他の色の色材について、前記色材塗布工程、前記マスク設置工程、前記色材硬化工程、前記色材エッチング除去工程が繰り返される。この製造方法によっても、前記各色のサブ画素の透過領域に着色層を形成することができる。
【0013】
上記の電気光学装置の製造方法の一態様は、マスク設置工程は、マスクの光を透過する部分がサブ画素の透過領域よりも大きく形成されている。ここで、マスクの光を透過する部分は、マスク開口部のことを指す。これにより、マスクの光を透過する部分と対応する透過領域のみに着色層が形成される。
【0014】
上記の電気光学装置の製造方法の他の一態様は、前記色材硬化工程は、前記反射層をマスクとして透過領域の着色層を硬化させる。このように、反射層自体をマスクとして用いることで、着色層が反射層上にはみ出して形成されることを防ぐことができ、アライメント性の向上した電気光学装置を製造することができる。
【0015】
上記の電気光学装置の製造方法の他の一態様は、前記反射層形成工程は、前記各色のサブ画素の間にも前記反射層を形成する。これにより、サブ画素間で、色材が硬化することを防ぐことができる。
【0016】
上記の電気光学装置の製造方法の他の一態様は、前記反射層形成工程は、行方向及び列方向の少なくとも一方の前記各色のサブ画素間には前記反射層を設けず、前記反射層を設けていない前記各色のサブ画素間には黒色遮光層を設ける。これにより、黒色遮光層をマスクとして用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を液晶表示装置に適用したものである。
【0018】
[液晶表示装置の構成]
まず、各実施形態に係る製造方法を適用することのできる液晶表示装置の構成の一例について説明する。図1は、各実施形態の製造方法を適用することのできる液晶表示装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。図1に示す液晶表示装置100は、半透過反射型の液晶表示装置であり、スイッチング素子としてTFT素子を用いたアクティブ・マトリクス駆動方式の液晶表示装置である。液晶表示装置100では、透過型表示の場合には、カラーの表示画像を表示し、反射型表示の場合には、モノクロの表示画像を表示する。
【0019】
図1において、液晶表示装置100は大きく分けて、液晶表示パネル30と照明装置20からなる。
【0020】
液晶表示パネル30は、素子基板11と、その素子基板11に対向して配置されるカラーフィルタ基板12とが枠状のシール部材3を介して貼り合わされ、内部に液晶が封入されて液晶層4が形成されてなる。この枠状のシール部材3には、複数の金粒子などの導通部材7が混入されている。
【0021】
まず、素子基板11について説明する。素子基板11は、ガラスなどの透明な上側基板1を有し、上側基板1の内面上には、図示しないデータ線および走査線がマトリクス状に配置される。データ線および走査線の交点には、サブ画素SGが設けられる。サブ画素SG毎には、画素電極10が形成されている。各画素電極10には、例えば、アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)などのTFT素子14が接続されており、データ線および走査線は、各画素電極10に対応するTFT素子14に電気的に接続されている。TFT素子14及び画素電極10の内面上には、透明樹脂等からなる保護層17が形成されている。
【0022】
次に、カラーフィルタ基板12について説明する。カラーフィルタ基板12は、ガラスなどの透明な下側基板2を有し、下側基板2の内面上には、サブ画素SG毎に、所定の厚みを有する反射層5が形成されている。各反射層5には、矩形状の開口部15が複数形成されている。各反射層5は、アルミニウム、アルミニウム合金、銀合金等の薄膜により形成することができる。開口部15は、カラーフィルタ基板12の内面上に縦横にマトリクス状に配列されたサブ画素SG毎に、当該サブ画素SGの全面積を基準として所定割合の面積を有するように形成されている。サブ画素SGでは、開口部15に対応する部分を透過領域とし、それ以外の部分を反射領域とする。
【0023】
反射層5上であって且つ各サブ画素SGの間には、隣接するサブ画素SG間を隔て、一方のサブ画素から他方のサブ画素への光の混入を防止するため、黒色遮光層BMが形成されている。
【0024】
また、開口部15上には、サブ画素SG毎にR(赤)、G(緑)、B(青)の3色のいずれかからなる領域6R、6G、6Bを有する着色層6が形成されている。着色層6の領域6R、6G、6Bは、それぞれの色のカラーフィルタとして構成される。画素Gは、RGBのサブ画素SGから構成されるカラー1画素分の領域を示している。なお、以下の説明において、色を問わずに構成要素を指す場合は、例えば「着色層6」のように記し、色を区別して構成要素を指す場合は「着色層6R」のように記す。図1に示すように、着色層6は、反射層5上には形成されない。これにより、液晶表示装置100は、透過型表示の場合にのみ、所望の色相を呈することとなる。
【0025】
着色層6及び黒色遮光層BMの上には、透明樹脂等からなる保護層16が形成されている。この保護層16は、各色間のカラーフィルタの段差を平滑化する機能を有すると共に、カラーフィルタ基板12及び液晶表示装置100の製造工程中に使用される薬剤等による腐食や汚染から、着色層6を保護する機能を有する。保護層16の表面上には、ストライプ状のITO(Indium-Tin Oxide)などの透明電極(走査電極)8が形成されている。この透明電極8の一端はシール部材3内に延在しており、そのシール部材3内の導通部材7と電気的に接続されている。この画素電極10と透明電極8との間に電圧をかけ、液晶層4の液晶を配向制御することにより光の透過率を変化させて階調表示を行う。
【0026】
下側基板2の透明電極8の内面上、及び上側基板1の保護層17の内面上には、それぞれ図示しない配向膜が形成されている。それらの配向膜の間には、液晶層4の厚さを均一に保持するために粒子状のスペーサ(図示略)がランダムに配置されている。
【0027】
次に照明装置20について説明する。照明装置20は、導光板21と、導光板21の一端面に取り付けられている光源23より構成される。光源23中には、LED(Light Emitting Diode)22が配置されている。
【0028】
反射型表示が行われる場合、液晶表示装置100に入射した外光は、図1に示す経路Rに沿って進行する。つまり、液晶表示装置100に入射した外光は、反射層5によって反射され観察者に至る。この場合、外光は、液晶層4を通過し、反射層5により反射され、再度液晶層4を通過することにより、所定の明るさを呈する。なお、経路Rに示すように、外光は、着色層6を通過することはない。従って、反射型表示が行われる場合、所望のモノクロの表示画像が観察者によって視認される。
【0029】
透過型表示が行われる場合、光源23中のLED22が発光することにより光が導光体21の入光端面21cより入射する。導光板21に入射した光は、出光面21aおよび反射面21bで反射を繰り返すことにより、導光板21内部を伝播する。導光板21内部を伝播する光は、出光面21aとの臨界角を超えると、出光面21aより液晶パネルへ向かって出射される。こうして液晶表示パネル30に照射された照射光は、図1に示す経路Tに沿って進行し、透過領域、即ち、開口部15上の着色層6および液晶層4を通過して観察者に至る。この場合、照射光は、着色層6および液晶層4を透過することにより所定の色相及び明るさを呈する。従って、透過型表示が行われる場合、所望のカラー表示画像が観察者により視認される。
【0030】
なお、液晶表示装置100において、用いられるスイッチング素子としては、TFT素子の代わりにTFD素子(Thin Film Diode)を用いるとすることもできる。また、液晶の駆動方式として、アクティブ・マトリクス駆動方式の代わりにパッシブ・マトリクス駆動方式を用いるとすることもできる。
【0031】
[第1実施形態]
次に、図2乃至図7を参照して、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法について述べる。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法を示すフローチャートである。図2のフローチャートに示すように、まず、カラーフィルタ基板12を製造する(工程P1)。この工程P1におけるカラーフィルタ基板12の製造方法については、後に詳述する。次に、カラーフィルタ基板12は、データ線、走査線、画素電極10、TFT素子14が形成された素子基板11と枠状のシール部材3を介して貼り合わされる(工程P2)。カラーフィルタ基板12と素子基板11が貼り合わされた後、カラーフィルタ基板12と素子基板11の間に液晶が封入され、液晶層4が形成される(工程P3)。このようにして、液晶表示パネル30が形成される。液晶表示パネル30が形成された後、照明装置20を取り付けて(工程P4)、液晶表示装置100が完成する。
【0033】
次に、工程P1におけるカラーフィルタ基板12の製造方法について述べる。図3は、第1実施形態に係るカラーフィルタ基板12の製造方法を示すフローチャートであり、図4乃至図7は、図3のフローチャートに示す各製造工程に対応する画素Gの平面図及び断面図である。
【0034】
まず、下側基板2の表面上に反射層5及びバンクBKを形成する(工程P11)。図4(a)に、そのときの画素Gの平面図を示し、図4(b)にその断面図を示す。具体的には、図4に示すように、ガラスなどの透明な下側基板2の表面上に、アルミニウム、アルミニウム合金、銀合金等の薄膜を形成することにより、反射層5を形成する。下側基板2の表面上において、反射層5は、サブ画素SGの開口部15となるべき部分には形成されない。即ち、反射層5が形成されると、下側基板2の表面上における反射層5が形成されなかった部分が、サブ画素の開口部15となる。反射層5を形成した後、反射層5の表面上には、各色のサブ画素SGの縁沿いに、金属などを材料とするバンクBKが形成される。従って、各色のサブ画素SGは、バンクBKによって仕切られる。この工程P11が、反射層形成工程及びバンク形成工程となる。また、工程P11では、サブ画素SG間にも反射層が形成されている。これにより、サブ画素SG間で色材18が硬化するのを防ぐことができる。
【0035】
なお、バンクBKを設けて各色のサブ画素SGを仕切る代わりに、サブ画素SG沿いにサブ画素SG外にはみ出した色材を弾くための撥液処理を行い、各色のサブ画素SGを仕切るとすることもできる。
【0036】
次に、Rの色材18R、Gの色材18G、Bの色材18Bが、下側基板2及び反射層5の表面上に対し、各色のサブ画素ごとに、インクジェットで一度に塗布される(工程P12)。図5(a)に、そのときの画素Gの平面図を示し、図5(b)にその断面図を示す。図5に示すように、各色のサブ画素SGにおいて、隣り合ったサブ画素は、バンクBKによって仕切られている。各色の色材18は、バンクBKによって囲まれたサブ画素内部に塗布される。バンクBKによって仕切られているので、隣り合ったサブ画素SGにそれぞれ塗布された色材は、互いに混色することがない。各色の色材18の材料としては、感光性を有する感光性樹脂、具体的には、紫外線などの光が照射された部分が硬化する性質を有する、いわゆるネガレジストが用いられる。また、下側基板2及び反射層5の表面上に対し、インクジェットで色材18を一度に塗布することで製造工程の短縮化を図ることができる。この工程P12が、色材塗布工程となる。
【0037】
各色のサブ画素ごとにそれぞれ塗布された色材18R、18G、18Bは、一定時間、色材の硬化のため、紫外線などの光で露光される。このとき、色材の硬化のための光は、下側基板2における色材が塗布された表面に対向する裏面2aの側より照射される(工程P13)。図6に、そのときの画素Gの断面図を示す。照射された光は、裏面2aより下側基板2に入射する。色材18R、18G、18Bの開口部15上に塗布されている部分13R、13G、13Bは、下側基板2に入射した光によって露光される。しかし、色材18R、18G、18Bにおいて、部分13R、13G、13B以外の部分、即ち、反射層5上に塗布されている部分は、反射層5によって光が遮蔽されるので、下側基板2に入射した光によって露光されない。つまり、反射層5は、照射された光に対するマスクの機能を有する。このようにすることで、色材18R、18G、18Bの開口部15上に塗布されている部分13R、13G、13Bのみが硬化される。この工程P13が、色材硬化工程となる。
【0038】
次に、色材18R、18G、18Bに対し、エッチングを行い、工程P13で硬化されなかった部分、即ち、色材18R、18G、18Bの反射層5上に塗布されている部分を除去する(工程P14)。図7(a)に、そのときの画素Gの平面図を示し、図7(b)にその断面図を示す。図7に示すように、工程P13において硬化しなかった部分、すなわち色材18R、18G、18Bの反射層5上に塗布されている部分は、エッチングにより除去され、工程P13において硬化した部分、即ち、図6で示した色材18R、18G、18Bの開口部15上に塗布されている部分13R、13G、13Bのみが残る。部分13R、13G、13Bが、それぞれ図7に示す着色層6R、6G、6Bとなる。この工程P14が、色材エッチング工程となる。
【0039】
下側基板2の開口部15上に着色層6が形成された後、その他の構成要素、具体的には、保護層16、透明電極8などが、下側基板2に形成される。このようにしてカラーフィルタ基板12が形成され(工程P15)、図1のフローチャートにおける工程P1が終了し、工程P2に移行する。なお、図7に示すように、バンクBKは、そのまま黒色遮光層BMとして用いることもできる。
【0040】
上述したように、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法では、下側基板2の裏面2aより色材の硬化のための光を入射させることで、反射層5をマスクとして用いることができる。これにより、着色層6が反射層5上にはみ出して形成されることを防ぐことができ、開口部15に対する着色層6のアライメント性を向上させることができる。また、上述した第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法では、バンクBKが各サブ画素ごとに設けられ、各色の色材は各サブ画素ごとに塗布されている。よって、各色の色材を硬化させるための光の照射を、一回で済ませることができ、一般的な液晶表示装置の製造方法に比較して、製造工程を削減することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、サブ画素SG毎に反射層5を形成し、反射層5が形成された領域を反射領域、反射層5が形成されていない開口部15を透過領域としているが、本発明の適用はこの態様には限定されない。例えば、開口部を有するように反射層を形成するのではなく、サブ画素SGを2つの領域に分け、一方のみに反射層を形成し、他方には反射層を形成しないこととしてもよい。この場合、反射層を形成した領域が反射領域となり、反射層を形成していない領域が透過領域となる。
【0042】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法の変形例について述べる。
【0043】
図8は、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法の第1変形例を示す図である。図8(a)は、第1変形例に係る液晶表示装置100の画素Gの断面図を示し、図8(b)は、下側基板2側からみたときの平面図を示す。第1変形例に係る液晶表示装置100では、図8(b)に示すように、反射層形成工程において、下側基板2上には、反射層5が島状に形成されると共に、黒色遮光層BMも形成される。上述した第1実施形態に係る液晶表示装置100は、反射層5をマスクとして用いていたが、第1変形例では、黒色遮光層BMもマスクとして用いるものである。このようにしても、下側基板2上の開口部15にのみ、着色層6を形成することができる。よって、サブ画素間に反射層が形成されない構成では、サブ画素SG間に黒色遮光層BMを形成するのが望ましい。
【0044】
図9は、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法の第2変形例を示す図である。図9(a)は、第2変形例に係る液晶表示装置100の画素Gの断面図を示し、図9(b)は、下側基板2側からみたときの平面図を示す。第2変形例に係る液晶表示装置100では、反射層形成工程において、さらに、上側基板1に黒色遮光層BMを形成する。この形成された黒色遮光層BM間に色材を塗布した後、下側基板2側より光を露光することで、上側基板1に着色層6を形成する。ここで露光される光は、指向性を有する光が用いられ、上側基板1に到達するまでは、拡散しない。このような指向性を有する光を用いることで、上側基板1の下側基板2に形成されている反射層に対向する部分には着色層を形成せずに済ませることができ、反射型表示を行う場合における色付きを防ぐことができる。
【0045】
図10は、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法の第3変形例を示す図である。図10(a)は、第3変形例に係る液晶表示装置100の画素Gの断面図を示し、図10(b)は、下側基板2側からみたときの平面図を示す。第3変形例では、上側基板1に色材を塗布した後、下側基板2に形成された反射層5をマスクとして、第2変形例と同様の指向性を有する光を、下側基板2側より露光するものである。このようにすることでも、上側基板1の下側基板2の開口部15に対向する部分に着色層6を形成することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、図11乃至図13を参照して、第2実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法について述べる。
【0047】
第2実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法を示すフローチャートは、図2の第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法を示すフローチャートと同じである。第2実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法では、工程P1におけるカラーフィルタ基板12の製造方法が、第1実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法と異なる。図11は、工程P1における、第2実施形態に係るカラーフィルタ基板12の製造方法を示すフローチャートであり、図12(a)〜(c)は、図11のフローチャートに示す各製造工程に対応する画素Gの断面図である。
【0048】
まず、下側基板2の表面上に、第1実施形態のときと同様、反射層形成工程として、反射層5を形成した後(工程P21)、画素G全面にRの色材18Rを塗布する(工程P22)。図12(a)は、そのときの画素Gの断面図を示している。この工程P22が、色材塗布工程となる。その後、下側基板2の裏面2aにマスク41Rを配置する。
【0049】
図13(a)〜(c)は、マスク41R、41G、41Bのそれぞれの平面図を示す。図13(a)に示すマスク41Rは、着色層6Rを形成するためのものであり、Rのサブ画素SGの開口部15に対応する部分に、マスク開口部42Rが設けられている。このマスク開口部42Rの大きさは、Rのサブ画素SGの開口部15よりも大きくされるが、その隣のサブ画素の開口部にかからない大きさとされる。つまり、マスク41Rは、Rのサブ画素SGの開口部15に対してのみ、色材の硬化のための光を入射させるためのものであり、他の色のサブ画素SGの開口部に光が入射することを防ぐ機能を有する。
【0050】
図13(b)に示すマスク41Gは、着色層6Gを形成するためのものであり、Gのサブ画素SGの開口部に対応する部分に、マスク開口部42Gが設けられている。図13(c)に示すマスク41Bは、着色層6Bを形成するためのものであり、Bのサブ画素SGの開口部に対応する部分に、マスク開口部42Bが設けられている。マスク41G、41Bにおけるマスク開口部42G、42Bの大きさも、マスク41Rにおけるマスク開口部42Rと同様、それぞれに対応するサブ画素SGの開口部よりも大きくされるが、その隣のサブ画素の開口部にかからない大きさとされる。
【0051】
下側基板2の裏面2a上にマスク41Rが配置される際、そのマスク41Rのマスク開口部42Rは、サブ画素SGの開口部15と重なる位置に合わされる(工程P23)。この工程P23が、マスク設置工程となる。次に、図12(a)に示すように、マスク41Rの外面に対し、色材の硬化のために、紫外線などの光が照射される。照射された光は、マスク開口部42Rのみを通過し、下側基板2を通過して、Rのサブ画素SGの開口部15に至る。これにより、Rのサブ画素SGの開口部15上の色材18Rのみが硬化する(工程P24)。この工程P24が、マスク色材硬化工程となる。
【0052】
次に、色材18Rに対し、エッチングを行い、工程P24で硬化されなかった部分を除去する(工程P25)。図12(b)に、そのときの画素Gの断面図を示す。図12(b)に示すように、工程P24において硬化していない部分、すなわち色材18Rの反射層5上に塗布されている部分や、他の色のサブ画素に塗布されている部分は、エッチングにより除去される。これにより、工程P24において硬化した部分、即ち色材18Rの開口部15上に塗布されている部分のみが残る。この色材18Rの開口部15上に塗布されている部分が、着色層6Rとなる。この工程P25が、色材エッチング除去工程となる。
【0053】
着色層6Rが形成された後、色材18G及び色材18Bについても上述した工程P22〜P25と同様の操作を行う(工程P26)。具体的には、着色層6Rを形成した後、さらに色材18Gを下側基板2の表面上に塗布し、マスク41Gを下側基板2の裏面上に配置する。このとき、マスク41Gのマスク開口部42Gは、Gのサブ画素SGの開口部と重なる位置に合わされる。この後、紫外線などの光の露光により、Gのサブ画素の開口部上の色材18Gのみが硬化され、さらにエッチングを施すことにより、着色層6Gが形成される。着色層6Gを形成した後、色材18Bを下側基板2の表面上に塗布し、マスク41Bを下側基板2の裏面上に配置する。このとき、マスク41Bのマスク開口部42Bは、Bのサブ画素SGの開口部と重なる位置に合わされる。この後、紫外線などの光の露光により、Bのサブ画素SGの開口部上の色材18Bのみが硬化され、さらにエッチングを施すことにより、着色層6Bが形成される。このようにして、着色層6R、6G、6Bが、形成されたときの画素Gの断面図を図12(c)に示す。この工程P26が、着色層形成工程となる。
【0054】
下側基板2の開口部15上に着色層6が形成された後、その他の構成要素、具体的には、保護層16、透明電極8などが、下側基板2に形成され、カラーフィルタ基板12が形成される(工程P27)。
【0055】
このように、第2実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法によっても、反射層5をマスクとして用いることができ、着色層6が反射層5上にはみ出して形成されることを防ぐことができ、着色層6のアライメント性を向上させることができる。
【0056】
(第2実施形態に係る変形例)
次に、第2実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法の変形例について述べる。
【0057】
図14は、第2実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法の変形例を示す図である。図14(a)は、本変形例に係る液晶表示装置100の画素Gの断面図を示し、図14(b)は、下側基板2側からみたときの平面図を示す。なお、図14(b)では、説明の便宜のため、2画素分示している。反射層形成工程において、上側基板1には、黒色遮光層BMが、サブ画素SGを囲んで形成され、下側基板2には、ストライプ状に反射層5が形成される。本変形例に係る製造方法では、ストライプ状に形成された反射層5間に、色材塗布工程では、さらにストライプ状に色材を塗布し、例えば、着色層6Rを形成する場合には、図14(a)、(b)に示すようなマスク開口部42RRを通して光を露光することにより形成する。本変形例の製造方法では、1つのストライプ状に塗布された色材に対し、サブ画素SGと塗布された色材との重複部分よりも大きな幅を有するマスク開口部に光を露光することで、1つのストライプ状の着色層6を形成することができる。なお、着色層6はストライプ状に形成されているため、サブ画素SG間に着色層6がかかることとなるが、透過型表示のときは、上側基板1の黒色遮光層BMによって遮光されるので問題はない。
【0058】
[電子機器]
次に、各実施形態に係る液晶表示装置100を適用可能な電子機器の具体例について図15を参照して説明する。
【0059】
まず、各実施形態に係る液晶表示装置100を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)の表示部に適用した例について説明する。図15(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ710は、キーボード711を備えた本体部712と、各実施形態に係る液晶表示装置100を適用した表示部713とを備えている。
【0060】
続いて、各実施形態に係る液晶表示装置100を、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。図15(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機720は、複数の操作ボタン721のほか、受話口722、送話口723とともに、各実施形態に係る液晶表示装置100を適用した表示部724を備える。
【0061】
なお、各実施形態に係る液晶表示装置100を適用可能な電子機器としては、図15(a)に示したパーソナルコンピュータや図15(b)に示した携帯電話機の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】各実施形態に係る製造方法を適用可能な液晶表示装置の概略構成を示す。
【図2】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を示すフローチャート。
【図3】第1実施形態に係るカラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャート。
【図4】工程P11における画素の平面図及び断面図である。
【図5】工程P12における画素の平面図及び断面図である。
【図6】工程P13における画素の平面図及び断面図である。
【図7】工程P14における画素の平面図及び断面図である。
【図8】第1実施形態に係る液晶表示装置の第1変形例の概略構成を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る液晶表示装置の第2変形例の概略構成を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る液晶表示装置の第3変形例の概略構成を示す図である。
【図11】第2実施形態に係るカラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャート。
【図12】第2実施形態に係る各製造工程に対応する画素Gの断面図である。
【図13】RGBの着色層を形成するためのマスクの形状を示す平面図である。
【図14】第2実施形態に係る液晶表示装置の変形例の概略構成を示す図である。
【図15】各実施形態に係る液晶表示装置を適用した電子機器を示す概略図である。
【符号の説明】
【0063】
2 下側基板、 5 反射層、 6 着色層、 BK バンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを有する電気光学装置の製造方法であって、
透明基板の一方の面上の前記反射領域に反射層を形成する反射層形成工程と、
前記各色のサブ画素の内部に前記各色の色材を塗布する色材塗布工程と、
前記透明基板の他方の面側より、色材を硬化させるための光を入射させ、前記透過領域に塗布された前記各色の色材を硬化させる色材硬化工程と、
前記各色の色材における硬化しなかった部分をエッチングにより取り除く色材エッチング除去工程と、を備えることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
前記色材塗布工程は、インクジェットにより前記各色の色材の塗布を一度に行うことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
各色のサブ画素毎に透過領域と反射領域とを有する電気光学装置の製造方法であって、
透明基板の一方の面上の前記反射領域に、反射層を形成する反射層形成工程と、
前記各色の色材のうち、いずれか一色の色材を、少なくとも前記透明基板の前記一方の面の前記各色の着色層が形成される領域に塗布する色材塗布工程と、
前記透明基板の他方の面側に、前記一色の色材と同じ色の着色層が形成される前記透過領域に光を入射させるためのマスクを設置するマスク設置工程と、
前記他方の面上に設置された前記マスクに対し、色材を硬化させるための光を照射し、前記透過領域上に塗布された前記一色の色材を硬化させるマスク色材硬化工程と、
前記色材硬化工程の後に、前記一色の色材における硬化しなかった部分をエッチングにより取り除く色材エッチング除去工程と、
前記各色の色材のうち、前記一色の色材以外の他の色の色材について、前記色材塗布工程、前記マスク設置工程、前記色材硬化工程、前記色材エッチング除去工程を繰り返すことにより、他の色の着色層を形成する着色層形成工程と、を備えることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
マスク設置工程は、マスクの光を透過する部分がサブ画素の透過領域よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
前記色材硬化工程は、前記反射層をマスクとして透過領域の着色層を硬化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記反射層形成工程は、前記各色のサブ画素の間にも前記反射層を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記反射層形成工程は、行方向及び列方向の少なくとも一方の前記各色のサブ画素間には前記反射層を設けず、前記反射層を設けていない前記各色のサブ画素間には黒色遮光層を設けることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−350170(P2006−350170A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178950(P2005−178950)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】