説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気光学装置のシール領域において容易に基板間ギャップを制御する。
【解決手段】電気光学装置は、一対の基板(10、20)と、一対の基板のうち少なくとも一方の基板上の画素領域(10a)に形成され、互いに異なる色を有する複数の着色層(Cf)と、一対の基板間における画素領域の周囲に沿って配置され、一対の基板間のギャップを制御するギャップ材(56)を含んでなると共に一対の基板を互いに貼り合せるシール材(52)と、少なくとも一方の基板上のシール領域に、複数の着色層と同一層に間隔を空けて配列され、前記複数の着色層のうち少なくとも一の着色層を模擬する複数のダミー着色層(dCf)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、複数の画素部が形成された画素領域の周辺におけるシール領域においてシール材により一対の基板が貼り合わされ、一対の基板間には電気光学物質として例えば液晶が挟持される。この一対の基板間における液晶の厚み(セルギャップ)を制御するために、少なくともシール領域にギャップ材が設けられ一対の基板間の間隔(基板間ギャップ)が制御される。
【0003】
画素領域に配置された複数の画素部の各々でカラー表示を行うために、一対の基板のうち少なくとも一方の基板上の画素領域に着色層が設けられる。この場合、画素領域と着色層が設けられないシール領域とでは、着色層の配置される層において段差が生じ、基板間ギャップが異なることとなる。特許文献1によれば、このような事態を回避するために、シール領域において着色層を形成する。また、特許文献2によれば、シール領域において部分的に青色の着色層を形成し、この着色層を介してシール領域に光を照射させることによりシール材を光硬化させる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−34682号公報
【特許文献2】特開2007−41625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここに、特許文献1に開示された構成において、光硬化性のシール材により一対の基板を貼り合わせる場合には、シール領域に着色層を配置させずに、シール材に対して光を照射させる領域を確保する必要がある。また、特許文献2に開示された構成によれば、着色層の配置される層においてシール領域には、着色層の配置された部分と、着色層の配置されない部分とで段差が生じ、各々の部分で基板間ギャップが異なる不具合が生じる。ここに、着色層より上層側にはそれよりも下層側の層の段差を緩和させるための平坦化膜が形成されることがある。しかしながら、着色層はその本来の機能を発揮させるために比較的大きい膜厚を有しており、その上層側に平坦化膜を形成したとしても、シール領域において平坦化膜の表面には着色層の存否に起因する段差が生じる。よって、結果的にはシール領域に生じた段差により、基板間ギャップの制御が困難となる。
【0006】
本発明は例えば上記問題点等に鑑みてなされたものであり、シール領域において容易に基板間ギャップを制御することが可能な電気光学装置及びこのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の基板と、該一対の基板のうち少なくとも一方の基板上の画素領域に形成され、互いに異なる色を有する複数の着色層と、前記一対の基板間における前記画素領域の周囲に沿って配置され、前記一対の基板間のギャップを制御するギャップ材を含んでなると共に前記一対の基板を互いに貼り合せるシール材と、前記少なくとも一方の基板上の少なくとも前記シール材が配置されたシール領域に、前記複数の着色層と同一層に間隔を空けて配列され、前記複数の着色層のうち少なくとも一の着色層を模擬する複数のダミー着色層とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、一対の基板がシール領域においてシール材によって互いに貼り合わされ、これらの基板間に電気光学物質として例えば液晶が封入される。また、シール材にはギャップ材が散布或いは混入されており、このギャップ材によって一対の基板間のギャップが制御されることにより、セルギャップ(液晶の厚み)が調整される。
【0009】
本発明の電気光学装置において、複数の画素の各々において複数色として、典型的には例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のうちいずれかの色に相当する光を表示に寄与する光として出射可能なように、一対の基板のうち少なくとも一方の基板上の画素領域(即ち、複数の画素が配列されてなる画素アレイ領域或いは画像表示領域)に着色層が設けられる。着色層は、基板上の画素領域において複数色として例えばR、G、Bの各色毎に複数設けられる。
【0010】
一方、このように着色層が設けられた基板上において、周辺領域のうち少なくともシール領域には複数のダミー着色層が設けられる。複数のダミー着色層は夫々、複数の着色層のうち少なくとも一の着色層を模擬して、この着色層と同一層に形成される。より具体的には、複数の着色層のうち少なくとも一の着色層について、例えばこの着色層と同一の膜厚を有するようにこれに加えて若しくは代えて同一の材料により、複数のダミー着色層は夫々形成される。
【0011】
従って、基板上において着色層の配置される層において、着色層が形成されないシール領域と着色層が形成される画素領域とで生じる段差を、仮にシール領域にダミー着色層を形成しない場合と比較してより小さくすることが可能となる。これにより、シール領域と画素領域とで基板間ギャップを同程度の値に近づけることができ、理想的には同一とすることができる。従って、シール材に含まれるギャップ材の径を、画素領域における基板間ギャップに対して異ならせる必要が無くなり、セルギャップの制御が煩雑となるのを防止することが可能となる。
【0012】
尚、一対の基板間において、液晶はシール材が形成されるシール領域より内周側において一対の基板間に封入される。ダミー着色層は、周辺領域において、シール領域からシール領域よりも内周側に位置する部分にまで延在させるように形成してもよい。このように構成すれば、液晶が封入される周辺領域の一部において、ダミー着色層の存否に基づく段差が生じて、シール領域と基板間ギャップが相違する事態を防止することができる。
【0013】
また、複数のダミー着色層は夫々間隔を空けてシール領域に配列される。よって、配列された複数のダミー着色層は夫々、互いに隣り合うダミー着色層との間に隙間が空いており、この隙間を介してシール材に対して光を照射させることにより、シール材を容易に光硬化させることが可能となる。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記少なくとも一方の基板上における前記複数のダミー着色層より上層側に、少なくとも前記シール領域に形成された絶縁膜を備え、前記複数のダミー着色層は、前記絶縁膜の上層側表面における、前記複数のダミー着色層及び前記間隔の各々に基づいて生じる段差が緩和されるように、夫々形成されると共に前記間隔が調整される。
【0015】
この態様によれば、複数のダミー画素領域より上層側にこれらを覆って絶縁膜が形成され、該絶縁膜の上層側表面において、ダミー着色層に対応する位置の表面部分と、互いに隣り合うダミー着色層間の隙間に対応する位置の表面部分との間の高低差による段差が、ダミー着色層の位置する層におけるダミー着色層と互いに隣り合うダミー着色層間の隙間との間に生じる段差より小さくなり、この段差が絶縁膜の表面において緩和されるように、ダミー着色層が形成され且つ互いに隣り合うダミー着色層間の間隔が調整される。従って、絶縁膜の表面において、ダミー着色層の位置する層におけるダミー着色層と隣り合うダミー着色層間の隙間との間に生じる段差に応じて、比較的大きな段差が生じるのを防止し、その表面を平坦化することが可能となる。
【0016】
よって、このように平坦化された絶縁膜上にギャップ材が配置されることにより、シール領域における基板間ギャップの制御をより容易に行うことができる。従って、本態様によれば、シール材に含まれるギャップ材により、セルギャップの制御を容易に且つ精度良く行うことが可能となる。その結果、表示ムラ等の表示不良の発生を防止しつつ高精細な表示を行うことができ、且つ電気光学装置を小型化することが可能となる。
【0017】
上述した絶縁膜を備える態様では、前記絶縁膜は、前記画素領域から前記シール領域に前記複数の着色層及び前記複数のダミー着色層を埋め込んで連続的に形成される。
【0018】
この態様によれば、画素領域において、絶縁膜が着色層の配置される層の表面に生じる段差を埋めこんで形成されることで、この段差を絶縁膜の表面において緩和させることが可能となる。従って、複数の着色層において例えばR、G、Bの各色毎に着色層の膜厚が異なることで、着色層間に生じる段差を絶縁膜を形成することで緩和させることができる。
【0019】
一方、シール領域においては、上述したように絶縁膜の表面において、ダミー着色層の位置する層における段差が緩和されるように、ダミー着色層が形成されると共に隣り合うダミー着色層間の間隔が調整される。従って、ダミー着色層の位置する層において、ダミー着色層と隣り合うダミー着色層間の隙間との間に生じる段差を、それよりも上層側において、これを埋め込んで絶縁膜が画素領域から連続的に形成されることにより、絶縁膜の表面において緩和することが可能となる。
【0020】
よって、以上によりこの態様によれば、シール領域から画素領域にかけて絶縁膜を連続的に形成し、絶縁膜上にギャップ材が配置されることにより、シール領域と、画素領域とで基板間ギャップを同程度の値により近づけることができ且つ、シール領域における基板間ギャップの制御をより容易に行うことが可能となる。
【0021】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数のダミー着色層は、前記シール領域の面積に対する、前記複数のダミー着色層の全ての配置面積及び前記間隔に係る隙間の全ての面積の各々の割合が夫々50%程度となるように形成される。
【0022】
この態様によれば、複数のダミー着色層、及び互いに隣り合うダミー着色層間の間隔に係る隙間の各々の配置面積が調整されることにより、絶縁膜の表面においてダミー着色層の位置する層におけるダミー着色層と互いに隣り合うダミー着色層間の隙間との間に生じる段差を緩和することが可能となる。
【0023】
尚、この態様では、複数のダミー着色層の各々の配置面積を互いに同一としてもよいし、異ならせてもよい。この点については、互いに隣り合うダミー着色層間の間隔についても同様である。
【0024】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記ダミー着色層の膜厚と前記間隔との比が1:1となるように形成される。
【0025】
この態様によれば、各ダミー着色層の膜厚と、互いに隣り合うダミー着色層間の間隔との比が調整されることにより、例えば、ダミー着色層より上層側に形成された絶縁膜の表面においてダミー着色層の位置する層におけるダミー着色層と互いに隣り合うダミー着色層間の隙間との間に生じる段差を緩和することが可能となる。
【0026】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記画素領域の周辺において、前記一対の基板間の電気的な導通を行うための上下導通部に形成された上下導通材を備え、前記ダミー着色層は、前記上下導通部にも形成される。
【0027】
この態様によれば、電気光学装置の動作時に、上下導通部において電気的導通がなされることにより、一対の基板間に挟持された液晶には所定の電圧が印加される。上下導通部にもダミー着色層が形成されることにより、シール領域と同様に、画素領域における基板間ギャップに対して上下導通部における基板間ギャップを同程度の値に近づけることが可能となる。従って、上下導通材の径を、画素領域における基板間ギャップに対して異ならせる必要が無くなり、より精度良くセルギャップの制御を行うことができる。
【0028】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
【0029】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品位な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0030】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下図面を参照しながら、本発明に係る電気光学装置並びに電子機器の各実施形態を説明する。尚、本実施形態では、電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げる。
【0032】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。
【0033】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とから構成されている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の透明基板である。対向基板20も例えばTFTアレイ基板10と同様の材料からなる透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域52aに設けられたシール材52により相互に接着されている。なお、画像表示領域10aは、表示に寄与する光が出射され、画像表示を行うことが可能な領域であり、本発明に係る「画素領域」の一例である。ここに、「画素領域」は、額縁遮光膜53が配置される額縁領域において、少なくとも部分的に、表示には寄与しないが画素を模して形成されたダミー画素が配置される場合には、画像表示領域10aから額縁領域をも少なくとも部分的に含む場合もある。
【0034】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。本実施形態に係る液晶装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0035】
シール材52が配置されたシール領域52aの内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0036】
TFTアレイ基板10上における、周辺領域に配置された周辺回路領域には、データ線駆動回路101及びサンプリング回路7、走査線駆動回路104、外部回路接続端子102がそれぞれ形成される。
【0037】
シール領域52aより外周側に、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、シール領域52aより内側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿う画像表示領域10aの一辺に沿って且つ額縁遮光膜53に覆われるようにしてサンプリング回路7が配置される。走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0038】
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対して、TFTアレイ基板10及び対向基板20間の電気的導通を行うための上下導通部106aが設けられている。
【0039】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線の上層に、絶縁膜14を介して画素電極9aがマトリクス状に設けられている。画素電極9a上には、配向膜(図2中、図示省略)が形成される。尚、本実施形態では、画素スイッチング素子はTFTのほか、各種トランジスタ或いはTFD等により構成されてもよい。
【0040】
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上(図2中遮光膜23より下側)に、絶縁膜24を介してITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して例えばベタ状に形成され、更に対向電極21上(図2中対向電極21より下側)には配向膜(図2中、図示省略)が形成される。
【0041】
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9aと対向電極21との間には液晶保持容量が形成される。
【0042】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
【0043】
次に、図3から図6を参照して、対向基板の構成をより詳細に説明する。図3は、図1において点線A0で囲まれた部分における、対向基板側の主要な構成要素の配置関係を概略的に示す部分拡大平面図であり、図4は、図3のA−A’線に沿う断面部分の構成を示す断面図であり、図5は、比較例の構成について図4に対応する断面部分の構成を示す断面図である。図6は、図3のB−B’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。尚、図3から図6では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。この点については、後述の該当する各図について同様である。また、図4及び図6では、対向基板側に着目して、その主要な構成を図示すると共にTFTアレイ基板側の詳細な構成について図示を省略し、その説明は省略することもある。
【0044】
図3から図6において、シール領域52aに配置されたシール材52により対向基板20は、TFTアレイ基板10と貼り合わされる。また、図4及び図6において、シール領域52aに配置されたギャップ材56により、対向基板20及びTFTアレイ基板10間のギャップが制御されることで、セルギャップが調整される。
【0045】
図3又は図4において、複数の画素の各々において、典型的には例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のうちいずれかの色に相当する光を表示に寄与する光として出射可能なように、対向基板20上の画像表示領域10aには着色層Cfが設けられる。この場合、着色層Cfは、対向基板20上においてR、G、Bの各色毎に複数設けられる。
【0046】
ここに、液晶装置の動作時に液晶50には画素電極9a及び対向電極21間の電位差に応じた電圧が印加される。液晶50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。各画素では着色層Cfを介して液晶50を透過した光が表示に寄与する光として出射されることにより、画像表示領域10aではカラー表示を行うことが可能となる。尚、各画素では、画素スイッチング用のTFT等の駆動素子が設けられることで画素電極9aに対する画像信号の供給が所定のタイミングで行われ、アクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0047】
一方、図3及び図4において、対向基板20上のシール領域52aには、複数のダミー着色層dCfが設けられる。複数のダミー着色層dCfは、画像表示領域10aにおける複数の着色層Cfのうち少なくとも一の着色層Cfを模擬して形成される。より具体的には、複数のダミー着色層dCfの各々は、R、G、Bの各色のうち、いずれか一色の着色層Cfを模擬して、着色層Cfと同一の層に形成される。よって、複数のダミー着色層dCfは夫々、R、G、Bの各色のうち、いずれか一色の着色層Cfと同一の膜厚を有するように、これに加えて若しくは代えて同一の材料により、形成される。複数のダミー着色層dCfは、画像表示領域10a外のシール領域52aに配置され、着色層Cfと同様の構成を有していても、着色層Cfと同様には機能しない。
【0048】
図4及び図6において、対向基板20におけるTFTアレイ基板20との対向面側において、画像表示領域10aにおいて遮光膜23上に着色層Cfが形成されると共に、着色層Cfと同一層において、シール領域52aにダミー着色層dCfが形成される。着色層Cf及びダミー着色層dCfを埋め込んで、その上層側に絶縁膜24が形成され、この絶縁膜24上に、図2を参照して説明したように対向電極21及び配向膜22が形成される。尚、図4において、TFTアレイ基板10側の対向基板20との対向面側においては、画像表示領域10aにおいて複数の画素電極9a上に配向膜16が形成される。
【0049】
図3又は図6に示されるように、複数のダミー着色層dCfは夫々間隔dpを空けてシール領域52aに配列される。複数のダミー着色層dCfについて夫々、膜厚やシール領域52aにおける配置面積等の構成に加えて、配列における隣り合うダミー着色層dCf間の間隔dpは次のように調整される。図6において、シール領域52aの複数のダミー着色層dCfより上層側において、これらを覆って本発明に係る「絶縁膜」の一例としての絶縁膜24が形成されている。この絶縁膜24の表面において、ダミー着色層dCfに応じる位置の表面部分と、隣り合うダミー着色層dCf間の隙間に応じる位置の表面部分との間の高低差による段差が、ダミー着色層dCfの位置する層におけるダミー着色層dCfと互いに隣り合うダミー着色層dCf間の隙間との間に生じる段差より小さくなり、この段差が絶縁膜24の表面において緩和されるように、ダミー着色層dCfが形成され且つダミー着色層dCf間の間隔dpが調整される。
【0050】
このため、本実施形態では、対向基板20上におけるシール領域52aの配置面積に対して、複数のダミー着色層dCfの全ての配置面積、及び隣り合うダミー着色層dCf間の間隔dpによる隙間の全ての配置面積の各々の割合が夫々50%程度となるように形成されるのが好ましい。加えて、図6において、ダミー着色層dCfの膜厚h0と、ダミー着色層dCf間の間隔dpとの比が1:1となるように形成されるのがよい。この場合、複数のダミー着色層dCf及びダミー着色層dCf間の間隔dpによる隙間について夫々、各々の配置面積を互いに同一としてもよいし、異ならせてもよい。また、複数のダミー着色層dCfは夫々、各間隔dpが所定値となるように規則的に配列されていてもよいし、間隔dp毎に異なる値となるような不規則的な配列として形成されてもよい。
【0051】
また、図4において、画像表示領域10aでは、複数の着色層Cfにおいて例えばR、G、Bの各色毎に着色層Cfの膜厚が異なることで、着色層Cf間に段差が生じることがある。上述したように、画像表示領域10aにおいても、絶縁膜24が複数の着色層Cfを埋め込んで形成されることにより、着色層Cfの配置される層の表面に生じる段差をも埋めこまれる。よって、この段差を絶縁膜24の表面において緩和させることが可能となる。
【0052】
一方、シール領域52aにおいては、上述したようにダミー着色層dCfの構成に加えてダミー着色層dCf間の間隔dpが調整されることで、ダミー着色層dCfの位置する層において、ダミー着色層dCfと、隣り合うダミー着色層dCf間の隙間との間に生じる段差を、それよりも上層側において、これを埋め込んで絶縁膜24が画像表示領域10aから連続的に形成されることにより、絶縁膜24の表面において緩和することが可能となる。従って、絶縁膜24において、画像表示領域10aからシール領域52aに亘って連続的に平坦化された表面を形成することができる。
【0053】
ここに、図5に示す比較例について、本実施形態と異なる点に着目すれば、シール領域52aにはダミー着色層dCfは形成されていないため、対向基板20上において、着色層Cfの配置される層では、シール領域52aと画像表示領域10aとでは着色層Cfの存否に基づく段差が生じている。その結果、画像表示領域10aにおける基板間ギャップd0に対して、シール領域52aにおける基板間ギャップが異なるため、ギャップ材56の径r1も画像表示領域10aにおける基板間ギャップd0に対して異なることとなる。この場合、セルギャップを制御するために、ギャップ材56の径r1を画像表示領域10aにおける基板間ギャップd0に対して調整する必要が生じ、セルギャップの制御が煩雑となるおそれがある。
【0054】
これに対して本実施形態では、図4において、対向基板20上において着色層Cfの配置される層において、着色層Cfが形成されないシール領域52aと、画像表示領域10aとで生じる段差を、シール領域52aにダミー着色層dCfを配置することで、図5に示す構成と比較してより小さくすることが可能となる。これにより、シール領域52aと、画像表示領域10aとで基板間ギャップを同程度の値に近づけることができ、理想的には同一とすることができる。従って、シール領域52aにおけるギャップ材の径r0を、画像表示領域10aにおける基板間ギャップd0に対して異ならせる必要が無くなる。また、画像表示領域10aからシール領域52aに亘って連続的に絶縁膜24の表面を平坦化することができるため、このように平坦化された絶縁膜24上にギャップ材56が配置されることで、シール領域52aにおける基板間ギャップの制御をより容易に行うことができる。従って、セルギャップの制御が煩雑となるのを防止することが可能となる。
【0055】
また、図6において、複数のダミー着色層dCfは夫々、隣り合うダミー着色層dCfとの間に隙間が空いており、この隙間を介してシール材52に対して例えば同図中矢印P0で示される進行方向に従って光を照射させることにより、シール材52を容易に光硬化させることが可能となる。
【0056】
従って以上説明したような本実施形態では、シール領域52aに配置されたギャップ材56により、セルギャップの制御を容易に且つ精度良く行うことが可能となる。その結果、画像表示領域10aにギャップ材を配置しなくても、表示ムラ等の表示不良の発生を防止することができるため、高精細な表示を行うと共に液晶装置を小型化することが可能となる。
【0057】
尚、図3に示すように、複数のダミー着色層dCfは夫々ストライプ状に配置する構成に限られず、例えば市松模様状に配置する構成とするようにしてもよい。
【0058】
次に、本実施形態に対する一の変形例について説明する。本変形例においては、対向基板20側に加えて若しくは代えて、TFTアレイ基板10側に着色層が形成されると共に、ダミー着色層が配置される。
【0059】
ここに、図7は、図1において点線B0で囲まれた部分における、TFTアレイ基板側の主要な構成要素の配置関係を概略的に示す部分拡大平面図であり、図8は、図7のC−C’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。尚、図7及び図8では、TFTアレイ基板側に着目して、その主要な構成を図示すると共に対向基板側の詳細な構成について図示を省略し、その説明は省略することもある。
【0060】
図7又は図8において、TFTアレイ基板10上において、図3から図6と同様に、画像表示領域10aに着色層Cfが設けられ、且つシール領域52aに複数のダミー着色層dCfが間隔を空けて配列される。
【0061】
ここに、図8において、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aには、積層構造において各種配線6a及びTFT30aが作りこまれており、これらよりも上層側に着色層Cfが形成されると共に、着色層Cfを埋め込んで絶縁膜14が形成され、絶縁膜14上に画素電極9aが形成されている。
【0062】
また、図7において、TFTアレイ基板10上の周辺領域には、図1を参照して説明したように、シール領域52aを含み、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等が設けられる周辺回路領域110が形成されている。図8において、周辺回路領域110においても、走査線駆動回路104等を形成する各種の配線60aやTFT30b等が積層構造内に作りこまれる。ダミー着色層dCfは、シール領域52aにおいて積層構造中の着色層Cfと同一層に形成される。絶縁膜14は、着色層Cf及びダミー着色層dCfを埋め込んで、画像表示領域10aからシール領域52aにまで連続的に形成される。
【0063】
尚、図7又は図8に示すように、ダミー着色層dCfは、シール領域52aからシール領域52aよりも内側に位置する周辺回路領域110の一部にまで延在させるようにしてもよい。
【0064】
ここに、液晶50はシール材52が形成されるシール領域52aより内側において対向基板20及びTFTアレイ基板10間に封入される。よって、上述したように、ダミー着色層dCfをシール領域52aよりも内側にまで延在させることにより、周辺回路領域110において、シール領域52aの配置された一部とシール領域52aより内側の他部において、ダミー着色層dCfの存否に基づく段差が生じて基板間ギャップが異なる事態を防止することができる。その結果、より容易に且つ精度良くセルギャップの制御を行うことが可能となる。尚、このようなダミー着色層dCfの構成は、図3から図6を参照して説明したような対向基板20側の構成に適用させることもできる。
【0065】
従って、本変形例においても、既に説明したような対向基板20側にダミー着色層dCfが設けられる場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0066】
次に、本実施形態に対する他の変形例について説明する。ダミー着色層dCfを、上述したようにシール領域52aに配置するのに加えて、上下導通部106aにも配置するようにしてもよい。
【0067】
図9は、上下導通部に着目しその主要な構成を概略的に示す部分拡大平面図であり、図10は、図9におけるF−F’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。
【0068】
図1を参照して説明したように、上下導通部106aは、例えば対向基板20の4つのコーナー部に対し、これに対応するシール領域52aの角部に配置される。図10に示すように、上下導通部106aには、TFTアレイ基板10側に上下導通端子106が配置されると共に、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に上下導通材57が配置される。上下導通部106aでは、上下導通端子106と、対向基板20側に例えばベタ状に上下導通部106aにまで形成された対向電極21とが、上下導通材57を介して電気的に接続される。
【0069】
ダミー着色層dCfは、上下導通部106aにおいて対向基板20上に、例えば図9に示すように上下導通部106aの平面形状に対応するパターンで、複数の着色層Cfのうち少なくとも一の着色層Cfを模擬して、着色層Cfと同一の層に形成される。尚、図10において、上下導通部106aにおいて、ダミー着色層dCfを埋め込んで、その上層側に絶縁膜24が形成され、この絶縁膜24上に対向電極21が形成される。
【0070】
よって、上下導通部106aにおいても、シール領域52aと同様に、画像表示領域10aにおける基板間ギャップに対して上下導通部106aにおける基板間ギャップを同程度の値に近づけることが可能となる。従って、上下導通材57の径r0を、シール領域52aにおけるギャップ材56(図4参照)と同程度とし、画像表示領域10aにおける基板間ギャップに対して異ならせる必要が無くなり、より精度良くセルギャップの制御を行うことができる。
【0071】
尚、上下導通部106aについても、シール領域52aと同様に対向基板20側に加えて若しくは代えて、TFTアレイ基板10側にダミー着色層dCfが配置されるようにしてもよい。
【0072】
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図11は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0073】
図11に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0074】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0075】
尚、図11を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0076】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)等にも適用可能である。
【0077】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の概略的な平面図である。
【図2】図1のH−H'線断面図である。
【図3】図1において点線A0で囲まれた部分における、対向基板側の主要な構成要素の配置関係を概略的に示す部分拡大平面図である。
【図4】図3のA−A’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。
【図5】比較例の構成について図4に対応する断面部分の構成を示す断面図である。
【図6】図3のB−B’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。
【図7】図1において点線B0で囲まれた部分における、TFTアレイ基板側の主要な構成要素の配置関係を概略的に示す部分拡大平面図である。
【図8】図7のC−C’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。
【図9】上下導通部に着目しその主要な構成を概略的に示す部分拡大平面図である。
【図10】図9におけるF−F’線に沿う断面部分の構成を示す断面図である。
【図11】液晶装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0079】
10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、52a…シール領域、52…シール材、56…ギャップ材、Cf…着色層、dCf…ダミー着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
該一対の基板のうち少なくとも一方の基板上の画素領域に形成され、互いに異なる色を有する複数の着色層と、
前記一対の基板間における前記画素領域の周囲に沿って配置され、前記一対の基板間のギャップを制御するギャップ材を含んでなると共に前記一対の基板を互いに貼り合せるシール材と、
前記少なくとも一方の基板上の少なくとも前記シール材が配置されたシール領域に、前記複数の着色層と同一層に間隔を空けて配列され、前記複数の着色層のうち少なくとも一の着色層を模擬する複数のダミー着色層と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記少なくとも一方の基板上における前記複数のダミー着色層より上層側に、少なくとも前記シール領域に形成された絶縁膜を備え、
前記複数のダミー着色層は、前記絶縁膜の上層側表面における、前記複数のダミー着色層及び前記間隔の各々に基づいて生じる段差が緩和されるように、夫々形成されると共に前記間隔が調整される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記絶縁膜は、前記画素領域から前記シール領域に前記複数の着色層及び前記複数のダミー着色層を埋め込んで連続的に形成されることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数のダミー着色層は、前記シール領域の面積に対する、前記複数のダミー着色層の全ての配置面積及び前記間隔に係る隙間の全ての面積の各々の割合が夫々50%程度となるように形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記ダミー着色層の膜厚と前記間隔との比が1:1となるように形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記画素領域の周辺において、前記一対の基板間の電気的な導通を行うための上下導通部に形成された上下導通材を備え、
前記ダミー着色層は、前記上下導通部にも形成される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−163168(P2009−163168A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2903(P2008−2903)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】