説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気光学パネルの表面から効率的に熱を放散する。
【解決手段】電気光学装置(1)は、画素領域(10a)で電気光学動作を行う電気光学パネル(100)と、画素領域に対応する開口部(311a)が形成されると共に、電気光学パネルを収容する収容ケース(311)とを備える。電気光学パネルは、開口部と対向する開口部対向面(202a)を有する。電気光学パネルの一部は、開口部対向面のうち少なくとも画素領域に対応する部分において、開口部対向面の法線方向に沿う方向に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及びこれを備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器に関し、特に、電気光学装置の熱の放散に係る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置が、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器におけるライトバルブとして用いられる際には、電気光学装置の例えば画素領域における表示動作等の電気光学動作を行う液晶パネル等の電気光学パネルに光源からの強力な光源光が入射する。これにより電気光学パネルの温度が上昇し、電気光学パネルの性能が低下する可能性がある。例えば特許文献1には、電気光学パネルの一例である液晶パネルを、表面にフィンが形成された金属製のケースに収納することで、液晶パネルの熱を放散する放熱効果を向上させる技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−15104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1によれば、製造工程において、ケース開口部の枠部分によって液晶パネルを支持した状態で、接着剤を充填して液晶パネルを固着するため、ケース開口部と液晶パネルとの間に段差が生じる。すると、この段差によって、液晶パネルに冷却風が供給されていても、液晶パネルの表面から熱を十分には放散することができない可能性があるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、電気光学パネルの表面から効率的に熱を放散することができる電気光学装置及びこれを備えた電子機器を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、画素領域で電気光学動作を行う電気光学パネルと、前記画素領域に対応する開口部が形成されると共に、前記電気光学パネルを収容する収容ケースとを備え、前記電気光学パネルは、前記開口部と対向する開口部対向面を有し、前記電気光学パネルの一部は、前記開口部対向面のうち少なくとも前記画素領域に対応する部分において、前記開口部対向面の法線方向に沿う方向に突出している。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶パネル等である電気光学パネルは、駆動時に、該電気光学パネル上の画素領域における表示動作等の電気光学動作を行う。ここに、「画素領域」とは、個々の画素の領域を意味するのではなく、複数の画素が平面配列された領域全体を意味し、典型的には、「画像表示領域」或いは「表示領域」に相当する。収容ケースは、画素領域に対応する開口部が形成されると共に、電気光学パネルを収容する。
【0008】
電気光学パネルは、開口部と対向する開口部対向面を有している。電気光学パネルの一部は、開口部対向面のうち少なくとも画素領域に対応する部分において、開口部対向面の法線方向に沿う方向に突出している。電気光学パネルの一部は、典型的には、開口部対向面と収容ケースの開口部が形成された外表面との間に生じる段差が緩和されるように突出している。望ましくは、前記一部は、前記外表面と前記一部の一表面とが同一面を形成するように(即ち、段差が解消されるように)突出している。
【0009】
本願発明者の研究によれば、収容ケースの開口部と電気光学パネルとの間に段差が生じると、電気光学パネルに冷却風が供給されても、段差によって空気抵抗が増加し、電気光学パネルの表面から熱を十分には放散することが困難となる。すると、例えば、当該電気光学装置がプロジェクタ等の比較的強力な光源光に曝される場合に、熱によって、例えば表示画像の品質が劣化する可能性がある。加えて、段差部分にごみや埃等(以下、「粉塵」ともいう)が付着し易くなり、例えば映写幕上にその粉塵の像が投影されることで、画像の品質が劣化する可能性があることが判明している。
【0010】
しかるに本発明では、電気光学パネルの一部が突出しているので、前記外表面を含む面を平坦化することができる。この結果、段差に起因する空気抵抗が減少するので、電気光学パネル表面における冷却風の風速が速くなり、効率的に電気光学パネル表面から熱を放散することができる。同時に、収容ケース外表面における冷却風の風速も速くなるので、収容ケースを介する電気光学パネルの熱の放散の効率を向上させることもできる。
【0011】
加えて、粉塵が付着し難くなるため、実用上非常に有利である。更に、緩和された段差の分だけ、当該電気光学装置の厚さを薄くすることができるので、当該電気光学装置の小型化を図ることが可能となる。
【0012】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記一部は、前記開口部対向面と前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面との間に生じる段差が緩和されるように、突出している。
【0013】
この態様によれば、比較的容易にして、開口部対向面と収容ケースの開口部が形成された外表面との間に生じる段差を緩和又は解消することができ、実用上非常に有利である。尚、「段差が緩和されるように」とは、前記一部の開口部対向面の法線方向に沿った方向の距離(典型的には、高さ)が、段差の大きさに近づくように、という意味である。尚、段差が緩和される限りにおいて、前記一部の高さは、段差の大きさより大きくてもよい(即ち、前記一部が前記外表面より突出していてもよい)。
【0014】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一部は、前記開口部対向面に交わる平面で前記一部を切った断面上において、前記開口部対向面に向かって幅広となるテーパ形状を有している。
【0015】
この態様によれば、前記一部がテーパ形状を有しているため、前記一部が破損し難くなるので、実用上非常に有利である。
【0016】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルは、電気光学物質を狭持する一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の基板における前記電気光学物質に対向しない側に配置された防塵用基板とを備え、前記防塵用基板は、前記開口部対向面としての、前記防塵用基板における前記一方の基板に対向しない側の基板面を有する。
【0017】
この態様によれば、一対の基板は、例えば液晶等である電気光学物質を狭持している。尚、一対の基板は、例えば、少なくとも一方の基板上における、電気光学物質に対向する側に、例えばSiOやSiO等の無機材料からなる無機配向膜を有している。他方の基板上における、電気光学物質に面する側にも、同様に、無機配向膜が設けられていてもよい。
【0018】
防塵用基板は、一対の基板の少なくとも一方の基板における電気光学物質に対向しない側に配置されている。防塵用基板における一方の基板に対向しない側の基板面が、電気光学パネルにおける開口部対向面に相当する。従って、前記一部は、防塵用基板が部分的に、開口部対向面の法線方向に沿った方向に突出することにより形成されてもよいし、防塵用基板上に、例えばガラス等の板状の部材を配置することにより形成されてもよい。いずれにせよ、防塵用基板に何らかの加工を施すことによって、前記一部を形成することができるので、比較的容易にして前記一部を形成することができる。
【0019】
電気光学パネルが防塵用基板を備える態様では、前記防塵用基板は、前記基板面のうち少なくとも前記画素領域に対応する部分において、前記基板面の法線方向に沿った方向に前記基板面から突出する、前記一部としての突出部を有してよい。
【0020】
このように構成すれば、例えば防塵用基板を部分的に削る等によって、前記一部としての突出部を形成することができる。加えて、当該電気光学装置を構成する部品数を削減することができ、実用上非常に有利である。
【0021】
この突出部を有する態様では、前記突出部は、前記防塵用基板上で平面的に見て、前記防塵用基板の外縁が少なくとも部分的に切り欠かれることにより形成されてよい。
【0022】
このように構成すれば、比較的容易にして突出部を形成することができ、実用上非常に有利である。尚、例えば防塵用基板の外縁が矩形である場合、4辺のうち少なくとも相互に対向する2辺を切り欠くことによって、突出部を形成することができる。このようにすれば、4辺を切り欠く(即ち、加工する)場合に比べて、例えば製造コストの増加を抑制することができる。更に、電気光学パネルを収容ケース内に配置する際の位置ずれを低減することができるので、配置精度を向上できると共に、再配置による製造コストの増加を抑制することができる。
【0023】
電気光学パネルが防塵用基板を備える態様では、前記電気光学パネルは、前記基板面のうち少なくとも前記画素領域に対応する部分の上に配置された、前記一部としての段差緩和部材を更に備えてよい。
【0024】
このように構成すれば、比較的容易にして、前記一部を形成することができる。加えて、既存の製品であっても、段差緩和部材を配置すれば、当該電気光学装置と同様の効果を得ることができ、実用上非常に有利である。
【0025】
この段差緩和部材を備える態様では、前記段差緩和部材は、前記防塵用基板より高い熱伝導率を有してよい。
【0026】
このように構成すれば、段差緩和部材が、段差の緩和だけでなく、電気光学パネルの熱を放散する放熱用部材としても機能するので、実用上非常に有利である。このような段差緩和部材は、例えば水晶等により形成すればよい。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面及び前記一部の一表面が、同一面を形成する。
【0028】
この態様によれば、前記一部の高さと段差の大きさとが等しくなるように、前記一部が形成されるので、段差に起因する空気抵抗をなくすことができ、より効率的に電気光学パネル表面から熱を放散することができる。
【0029】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面上に、前記開口部を挟んで互いに対向すると共に当該電気光学装置に供給される冷却風の方向に夫々沿って延びる凸部が形成されている。
【0030】
この態様によれば、少なくとも電気光学パネル表面に沿って流れる冷却風が整流されて風速が速くなり、より効率的に電気光学パネル表面から熱を放散することができる。
【0031】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面上に、少なくとも部分的に、前記収容ケースの熱を放散するフィンが形成されている。
【0032】
この態様によれば、フィンにより収容ケースの表面積が増加するので、収容ケースを介して、電気光学パネルの熱をより効率的に放散することができ、実用上非常に有利である。
【0033】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0034】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を備えてなるので、電気光学パネルの熱を効率的に放散することができる。このため、熱暴走や熱破壊が起こりにくく信頼性の高い、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る電気光学装置及び電子機器の各実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の図では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、以下の実施形態では、電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリックス駆動方式の液晶装置を挙げる。
【0037】
<第1実施形態>
本発明の電気光学装置に係る第1実施形態を、図1乃至図5を参照して説明する。
【0038】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A´線断面図である。
【0039】
図1において、本実施形態に係る液晶装置1は、液晶パネル100、フレーム311、フック320及び配線基板330を備えて構成されている。ここに、本実施形態に係る「液晶パネル100」は、本発明に係る「電気光学パネル」の一例であり、本実施形態に係る「フレーム311」及び「フック320」は、本発明に係る「収容ケース」の一例である。
【0040】
図2に示すように、液晶パネル100は、TFTアレイ基板10、対向基板20、並びに防塵ガラス201及び202を備えて構成されている。ここに、本実施形態に係る「TFTアレイ基板10」及び「対向基板20」は、本発明に係る「一対の基板」の一例であり、本実施形態に係る「防塵ガラス201及び202」は、本発明に係る「防塵用基板」の一例である。
【0041】
ここで、液晶パネル100の構成について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。ここに図3は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図4は、図3のH−H´線断面図である。
【0042】
図3及び図4において、液晶パネル100では、TFTアレイ基板10及び対向基板20が対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の基板からなり、対向基板20は、例えば、石英基板、ガラス基板等の基板からなる。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0043】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0044】
図3において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aを規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0045】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側にサンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域52aの内側の額縁領域に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0046】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。更に、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0047】
図4において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図4では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。
【0048】
画素電極9aは、後述する対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。
【0049】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が、例えばプロジェクタ用のランプや直視用のバックライトから出射された光を透過させる開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0050】
遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。遮光膜23上に、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図4には図示しないカラーフィルタが形成されるようにしてもよい。対向基板20の対向面上における、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。
【0051】
尚、図3及び図4に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104、サンプリング回路7等に加えて、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置1の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0052】
再び図2に戻り、配線基板330は、外部回路接続端子102(図3参照)に電気的に接続されている。配線基板330上に、例えばストライプ状に形成された複数の配線の一部に電源電圧が印加されたり、複数の配線の他の部分に、例えば画像信号等の各種信号が供給されたりすることによって、液晶パネル100が駆動される。
【0053】
防塵ガラス202は、フレーム311の開口部311aが形成された外表面311bと、防塵ガラス202の開口部311aと対向する側の基板面202aとの間に生じる段差(即ち、開口部311aの枠部分を形成する材料の厚みに起因する段差)が緩和されるように、基板面202aのうち少なくとも画像表示領域10a(図3参照)に対応する部分において、基板面202aの法線方向に沿った方向に突出する突出部202bを有している。望ましくは、突出部202bは、外表面311bと突出部202bの上面とが同一面を形成するように、突出している。尚、本実施形態に係る「突出部202b」及び「基板面202a」は、夫々、本発明に係る「電気光学パネルの一部」及び「開口部対向面」の一例である。
【0054】
このように、本実施形態では防塵ガラス202が突出部202bを有しているため、外表面311bを含む面を平坦化することができるので、段差に起因する空気抵抗が減少し、液晶装置1の表面における冷却風の風速が速くなり、効率的に液晶パネル100の表面から熱を放散することができる。加えて、段差部分に粉塵が付着し難くなるため、例えば映写幕上に粉塵の像が投影されることによる画像の品質劣化を抑制することができる。
【0055】
ここで、防塵ガラス202について、図5を参照して説明を加える。ここに、図5(a)は、防塵ガラス202を、その上面の側から見た平面図であり、図5(b)は、図5(a)のB−B´線断面図である。
【0056】
図5に示すように、突出部202bは、防塵ガラス202の外縁を、例えば幅0.5mmで、切り欠くことにより形成されている。
【0057】
(比較例)
次に、本実施形態に係る液晶装置の比較例について、図6を参照して説明する。ここに、図6は、図2と同趣旨の、A−A´線断面図である。
【0058】
図6に示すように、比較例に係る液晶装置400では、防塵ガラス202が突出部を有していないので、外表面311bと基板面202aとの間の段差が緩和されることがない。このため、段差によって空気抵抗が増加し、例えば液晶装置400に冷却風が供給されても、液晶パネル100の表面から熱を十分には放散することが困難となる。加えて、段差部分に粉塵が付着し易くなる。
【0059】
(第1変形例)
次に、本実施形態に係る液晶装置の第1変形例について、図7を参照して説明する。ここに、図7は、図5(a)と同趣旨の、防塵ガラスを、その上面から見た平面図である。
【0060】
図7に示すように、本変形例では、防塵ガラス202の外縁のうち、相互に対向する2辺のみを切り欠くことにより、突出部202bを形成している。このため、4辺を切り欠く場合に比べて、例えば製造コストの増加を抑制することができる。更に、液晶パネル100をフレーム311内に配置する際の位置ずれを低減することができるので、配置精度を向上できる。
【0061】
(第2変形例)
次に、本実施形態に係る液晶装置の第2変形例について、図8を参照して説明する。ここに、図8は、図5(b)と同趣旨の、B−B´線断面図である。
【0062】
図8に示すように、本変形例では、防塵ガラス202の外縁を切り欠くことに代えて、防塵ガラス202の上に、本発明に係る「段差緩和部材」の一例としての基板210を配置して突出部を形成している。尚、基板210を、例えば水晶等の比較的熱伝導率の高い材料で構成すれば、液晶パネル100の熱を、より効率的に放散することができる。
【0063】
(第3変形例)
次に、本実施形態に係る液晶装置の第3変形例について、図9を参照して説明する。ここに、図9(a)は、図5(a)と同趣旨の、防塵ガラスを、その上面から見た平面図であり、図9(b)は、図5(b)と同趣旨の、図9(a)のC−C´線断面図である。
【0064】
図9(b)に示すように、本変形例では、突出部202bの側面がテーパ形状に形成されている。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の電気光学装置に係る第2実施形態を、図10を参照して説明する。第2実施形態では、フレームの形状が異なる以外は、第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図10を参照して説明する。ここに、図10は、図1と同趣旨の、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
【0066】
図10に示すように、本実施形態に係る液晶装置2では、フレーム312は、外表面311b上に、開口部311aを挟んで互いに対向すると共に、当該液晶装置2に供給される冷却風の方向に夫々沿って延びる凸部312aを有している。これにより、少なくとも液晶パネル100の表面に沿って流れる冷却風が整流されて風速が速くなり、より効率的に液晶パネル100の表面から熱を放散することができる。
【0067】
<第3実施形態>
次に、本発明の電気光学装置に係る第3実施形態を、図11を参照して説明する。第3実施形態では、フレームの形状が異なる以外は、第1実施形態と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図11を参照して説明する。ここに、図11は、図1と同趣旨の、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
【0068】
図11に示すように、本実施形態に係る液晶装置3では、フレーム313の表面に、少なくとも部分的に放熱フィン313aが形成されている。これにより、フレーム313の表面積が増加するので、フレーム313を介して、液晶パネル100の熱をより効率的に放散することができる。
【0069】
<電子機器>
次に、図12を参照しながら、上述した液晶装置を電子機器の一例であるプロジェクタに適用した場合を説明する。上述した液晶装置における液晶パネル100は、プロジェクタのライトバルブとして用いられている。図12は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0070】
図12に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0071】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等の構成を有しており、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0072】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像は、液晶パネル1110Gによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0073】
尚、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0074】
尚、図12を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0075】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A´線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶パネルを、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図4】図3のH−H´線断面図である。
【図5】(a)は、第1実施形態に係る防塵ガラスを、その上面の側から見た平面図であり、(b)は、図5(a)のB−B´線断面図である。
【図6】第1実施形態に係る液晶装置の比較例を示す断面図である。
【図7】第1実施形態の第1変形例に係る防塵ガラスを、その上面の側から見た平面図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例に係る防塵ガラスを示す断面図である。
【図9】(a)は、第1実施形態の第3変形例に係る防塵ガラスを、その上面の側から見た平面図であり、(b)は、図9(a)のC−C´線断面図である。
【図10】第2実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
【図11】第3実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
【図12】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0077】
1、2、3、400…液晶装置、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、100…液晶パネル、201、202…防塵ガラス、202a…基板面、202b…突出部、311、312、313…フレーム、311a…開口部、311b…外表面、320…フック、330…配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域で電気光学動作を行う電気光学パネルと、
前記画素領域に対応する開口部が形成されると共に、前記電気光学パネルを収容する収容ケースと
を備え、
前記電気光学パネルは、前記開口部と対向する開口部対向面を有し、
前記電気光学パネルの一部は、前記開口部対向面のうち少なくとも前記画素領域に対応する部分において、前記開口部対向面の法線方向に沿う方向に突出している
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記一部は、前記開口部対向面と前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面との間に生じる段差が緩和されるように、突出していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記一部は、前記開口部対向面に交わる平面で前記一部を切った断面上において、前記開口部対向面に向かって幅広となるテーパ形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記電気光学パネルは、
電気光学物質を狭持する一対の基板と、
該一対の基板の少なくとも一方の基板における前記電気光学物質に対向しない側に配置された防塵用基板と
を備え、
前記防塵用基板は、前記開口部対向面としての、前記防塵用基板における前記一方の基板に対向しない側の基板面を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記防塵用基板は、前記基板面のうち少なくとも前記画素領域に対応する部分において、前記基板面の法線方向に沿った方向に前記基板面から突出する、前記一部としての突出部を有することを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記防塵用基板上で平面的に見て、前記防塵用基板の外縁が少なくとも部分的に切り欠かれることにより形成されることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記電気光学パネルは、前記基板面のうち少なくとも前記画素領域に対応する部分の上に配置された、前記一部としての段差緩和部材を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記段差緩和部材は、前記防塵用基板より高い熱伝導率を有することを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面及び前記一部の一表面が、同一面を形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面上に、前記開口部を挟んで互いに対向すると共に当該電気光学装置に供給される冷却風の方向に夫々沿って延びる凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項11】
前記収容ケースの前記開口部が形成された外表面上に、少なくとも部分的に、前記収容ケースの熱を放散するフィンが形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−198542(P2009−198542A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36975(P2008−36975)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】